著者
木庭 慧 竹内 啓恵 上原 巌
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.127, 2016

内閣府の調査(2011)によると、森林へ行く目的は「優れた風景、景観を楽しむ」との回答が最も多く、人がどのような森林景観を好むかを把握することは重要である。 そこで本研究では、森林において快適さを感じさせる要素のひとつであり、林相によって異なる色彩を切り口に、人がどのような色彩の森林を好むのか考察した。 調査は林相の異なる6プロットと、対照区(東京農業大学構内、和泉多摩川河川敷)において、写真撮影とアンケートを実施した。撮影した画像は代表色を抽出し、RGB値の三次元グラフ内での分布から色の豊かさを考察した。アンケート調査では、回答からプロット毎に全体の好感度と色の好感度を算出した。 その結果、林内では色の好感度と全体の好感度とで正の相関関係が認められたほか、対照区に比べ林内のプロットの方が、色の好感度が全体の好感度に影響を与えていた。 林相では、常緑樹林と対照的に落葉広葉樹林の好感度、色の豊かさが高く、より好まれることがわかった。一方の常緑樹林は、好感度と色の豊かさが共に低かったが、落葉広葉樹林を引き立てる重要な役割があり、両者のバランスが快適な林内景観を造る鍵になると示唆された。
著者
山口 一 冨岡 一之 竹内 啓五
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成27年度大会(大阪)学術講演論文集 第7巻 空気質 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.85-88, 2015 (Released:2017-11-15)

室内アレルギーの問題が顕著化している。既に我々は、室内アレルギ-の主な原因であるダニの制御を目的に、画像処理技術を応用したダニ活動度を工学的に評価できるシステムを開発し、防ダニ性能を有する建材・薬剤の選定や室内のダニ生息評価について報告した。本報では本システムを改良し、温湿度域や化学物質によるダニへの影響について検討した結果を報告する。
著者
林 永昌 西村 亮平 野崎 一敏 佐々木 伸雄 廉沢 剛 後藤 直彰 伊達 宗宏 竹内 啓
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.1017-1022, 1992-10-15 (Released:2008-02-15)
参考文献数
19
被引用文献数
25 29

膝蓋靭帯欠損を作製したウサギに対し, 磁場強度0(対照群), 2, 10および50Gauss(G)の変動電磁場刺激を連日6時間行い, 各群に対し1週ごとに4週後まで肉眼的観察, 病理組織学的検索および力学的強度試験を行った. その結果, 欠損作製2週後における肉眼および病理組織学所見では, 対照群および2G, 10G群で, 靭帯欠損部が依然陥没していたのに対し, 50G群では出血, 壊死像はすでに消失し, 他群に比べ走行性のより一致した膝原線維が増加した. この傾向はその後も持続し, 50G群で最も早期の修復像が認められた. 一方, 引張り強度試験では, すべての刺激群で, 対照群よりいずれの週も高値を示し, かつ50Gが最も高値を示した. 以上の結果から, 50Gの変動電磁場刺激は靭帯の修復機転の少なくとも初期段階に対し, 組織学的, 力学的な促進効果を示すことが示された.
著者
山本 健兒 熊谷 圭知 栗原 尚子 竹内 啓一 寺阪 昭信 山田 晴通
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

欧州の大都市自治体はEUROCITIESを通じてEUに都市政策を推進させる行動や、相互の経験交流を進めてきた。これを受けて、EUも当初、文化遺産の保全や環境問題に焦点をあてる都市政策を、社会的排除、失業、移民の統合、経済的活力などを重視する都市政策を1990年代半ば以降推進している。EU主要都市によるグローバリゼーションとEU統合への文化的対応に関して2つの論点が浮かび上がる。第1は移民マイノリティの生活実態とこれに対するホスト社会の対応、第2は都市の建造環境の整備保全という論点である。第1については、オランダへのモルッカ移民の統合、スペインへの移民のラテンアメリカ化、同じドイツ都市といえどもベルリンとミュンヘンでは移民比率の高い街区の様相に大きな違いがあることが明らかとなった。移民とホスト社会との間で対立が激しいというわけではなく、移民たちはドイツ都市を故郷と認識する傾向にある。しかし、移民は失業などでより厳しい立場にある。また中国を含む世界各地からの移民がパリ、ローマ、バルセロナでも可視的存在となっている。第2の論点について、イタリアでは都市政府の政権交代が建造環境の変化に大きく影響すること、フランスでは文化遺産としての建造物の保全に中央政府の力がより大きく働くことが判明した。ロンドンの影におかれやすいイギリスのその他の主要都市は、欧州文化首都として指定を受けることによって大陸部のEU主要都市との競争に対応しようしている。2つの論点のいずれに主眼をおこうとも、都市住民あるいは訪問外国人に対して都市の物理的な構成は大きな意味を持つ。欧州各国主要都市の動向を総括するならば、外的圧力に対する文化的対応は政治的対応とならざるを得ず、中央政府の力が強いフランスと地方政府の力が強いドイツを両極として、各都市を位置づけうる。その際に鍵をなすのは、参加と自治のありようである。
著者
芳賀 敏郎 竹内 啓 奥野 忠一
出版者
一般社団法人 日本品質管理学会
雑誌
品質 (ISSN:03868230)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.35-40, 1976-04-15 (Released:2019-03-13)

重回帰分析における説明変数の選択の基準として従来使われていた「残差平方和 RSS」に対して,最近 Allen の提案した「予測平方和 PSS」について検討した.(1) 計算量を大幅に減少するアルゴリズムを考案した. (2) PSS の性質,特に RSS との違いを調べるために,2つのモデル実験を行った.(3) PSS, MSEP, RSS の期待値 (またはその下限) を求めた.(4) 自由度2重調製済重相関係数 R**^2 を提案し,R**^2 の最大を基準とする変数選択は,F IN = F OUT = 2 とする通常の逐次選択法に近いことを証明した.
著者
對間 昌宏 野中 尚輝 竹内 啓 鎌野 智樹 中間 雅之 小池 束紗
雑誌
第79回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.433-434, 2017-03-16

日本サッカーにおいてインテンシティが重要な課題となっている.しかし,インテンシティという用語は定義が曖昧であり,未だ具体的な指導方針・トレーニングに落とし込めていない.本研究では,インテンシティを定量的に評価するための指標となる要素を明らかにし,それぞれの要素の向上がもたらす効果を明らかにすることを目的としている.データは,J1開幕戦9試合のトラッキングデータ(ビデオカメラによって試合中の選手の動きを抽出し,選手の位置座標を記録したデータ)を用いる.分析においては,インテンシティを構成する要素,ポジションごとのインテンシティに関わるパフォーマンスの特徴,日本のチームと海外のチーム比較を実施した.
著者
仙波 裕之 徳力 幹彦 佐々木 伸雄 竹内 啓 臼井 和哉
出版者
公益社団法人 日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science) (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.771-781, 1984-12-15 (Released:2008-02-13)
参考文献数
21
被引用文献数
1

異常脳波の判定基準を作るために, 64頭のビーグル犬について, 年齢および意識水準の変化に対応する正常脳波の変化を調べた。鼻部に基準電極をおいた単極誘導法 (左前頭部-鼻部, 右前頭部-鼻部, 左後頭部-鼻部, 右後頭部-鼻部) と双極誘導法 (左前頭部-右前頭部, 左後頭部-右後頭部, 左前頭部-左後頭部, 右前頭部-右後頭部) の8誘導を同時記録した。生後1日にときおり出現した律動波はその後頻度を増し, 1週齢には常にみられた。2週齢では, 覚醒期と睡眠期との判別が脳波上で可能となった。5週齢では, 覚醒期, 軽睡眠期, 中等度睡眠期, および深睡眠期の区別が可能となった。これは, 脱同期, 8-13 Hzの律動波, 痛波, 初期紡錘波, および3 Hz以下の徐波などが5週齢から出現したためであった。これらの波の振幅ほ次第に増し, 10-12週齢で最大となり, その後は次第に減少した。覚醒期~深睡眠期の脳波の週齢変化から, 脳波が成犬型になる時期は, 20-30週齢であることが明らかとなった。
著者
林 慶 西村 亮平 山木 明 金 輝律 松永 悟 佐々木 伸雄 竹内 啓
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.951-956, 1994-10-15 (Released:2008-02-15)
参考文献数
29
被引用文献数
34 38

イヌにおいてメデトミジン20μg/kgとミダゾラム0.3mg/kg(Me-Mi), あるいはメデトミジン20μ/kgとブトルファノール0.1mg/kg(Me-B)を組み合わせて投与し, 得られた鎮静効果を, メデトミジン20, 40および80μg/kg(Me20, Me40, Me80)を単独投与した場合の効果と比較検討した. その結果, Me-MiおよびMe-Bでは非常に迅速に強力な鎮静効果が得られ, 約40分間の最大効果発現時には, いずれのイヌも完全に横臥し, 周囲環境, 音刺激に反応せず, 中程度の反射抑制と鎮痛作用が得られ, さらにMe-Miでは自発運動も全く消失し, 優れた筋弛緩作用も得られた. これに対しMe40, Me80では, その鎮静効果はMe-Mi, Me-Bに比べて弱くまた個体間のばらつきもやや大きかった. Me20ではその効果はさらに弱かった. イヌにおいてメデトミジンをミダゾラムあるいはブトルファノールと併用すると, 両者が相乗的に作用することにより低用量のメデトミジンを用いても, 強力な安定した鎮静効果が得られるものと考えられ, とくにメデトミジン-ミダゾラムの組み合わせでは非常に優れた鎮静状態が得られ, イヌの鎮静法として幅広く応用可能で有用であると考えられた.
著者
岡田 啓司 深谷 敦子 志賀 瀧郎 平田 統一 竹内 啓 内藤 善久
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.311-315, 2003-05-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

黒毛和種母牛5頭を分娩後低でんぷん飼料で飼養し, その後にデントコーンサイレージ3kg/日を追加給与した結果, 全頭の子牛は給与開始後1~3日に軽度の糞便性状の変化 (前駆症状) を示し, 5~7日に水様性白痢を発症した. この時, 母乳の乳脂肪率は前駆症状発現当日および白痢発症当日の朝に増加した. 母乳のpHは白痢発症前日に大きく変動した. 乳脂肪中パルミチン酸とステアリン酸は前駆症状発現前日から増加した. 子牛の血中トリグリセライドと遊離脂肪酸濃度は前駆症状発現当日に低下したが, 白痢発症前日には元の値に復した. このように母牛の飼料の変更は母乳成分を変化させ, それにより子牛の消化管での脂肪の吸収低下が引き起こされて白痢の発症した可能性が示唆された.
著者
竹内 啓 對間 昌宏 城所 哲夫 瀬田 史彦
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.172-178, 2018-10-25 (Released:2018-10-25)
参考文献数
24
被引用文献数
1

イノベーションを効率的に起こすには「フェース・トゥ・フェース」のコミュニケーションを通して知識を複数の主体間で共有することが不可欠であることから、イノベーションは地理的に集中する傾向にあるとこれまで論じられてきた。本研究は日本国内の特許データを用いて、共同発明者同士のネットワークの空間的分布を調べた。また、分野毎の比較も行うため、機械・情報通信の二分野で分析をした。結果、以下の点が示された。1)発明者同士のネットワークは地理的に集中しているが、その空間的傾向は分野間で異なる。2)発明者間の時間距離が小さいときに共同発明が進みやすいものの、そうした傾向は近年弱くなっている。3)ネットワークは都道府県境や経済産業局の管轄区域を越えて広がっている。以上を総合すると、将来イノベーション・ネットワークはより地理的に広い範囲に広がる可能性があり、都道府県や各地方をまたいだ政策の必要性が示唆される。
著者
水内 俊雄 吉原 直樹 高木 彰彦 山野 正彦 野澤 秀樹 竹内 啓一 久武 哲也 水岡 不二雄
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本研究グループのテーマは次の3つに設定されていた。(1)地理思想、(2)地政学、(3)最近の地理学の理論的動向のキャッチアップであり、こうした成果を直ちに公刊するという課題を掲げていた。この、成果の公刊という点では、3年間の研究助成を通じ、『空間・社会・地理思想』を1号から3号まで刊行し、論説3本、フォーラム5本、翻訳22本を掲載したことを指摘しておきたい。本雑誌が人文地理学会に与えた影響は大きく、良書、良論文の翻訳が根づかないといわれた中で、欧米の地理学会を代表するハ-ヴェイ、ソジャ、グレゴリーを始め、多くの地理学者の近年の成果を翻訳し、他の諸学問において空間論へのまなざしが強くなっている中、地理学での理論的議論を深める基礎を提供したと考えている。特に、2号ではハ-ヴェイ特集、3号ではジェンダー地理学特集を組んだ。こうした翻訳のみならず、政治地理学と唯物論の関係、批判的地理学とは、社会問題に対する地理学の貢献、フ-コ-の空間論の地理学への影響、地政学研究の課題といった理論的研究動向が整理された。日本の地理思想での貢献として、福沢諭吉の地理的研究の書誌学的系譜が明らかにされ、日本の経済地理学の思想的動向と批判的地理学との関係も学史的に明らかにされた。海外に関してもIGUの地理思想史研究委員会の活動も学史的に明らかにされた。こうした本研究グループの活動を通じて、研究分担者によって『ドイツ景観論の生成』、『空間から場所へ』という2つの著書が公刊されたことも、その貢献として強調しておきたい。