著者
清行 緒方
出版者
日本医科大学医学会
雑誌
日本医科大学雑誌 (ISSN:00480444)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.17-26, 1987-02-15 (Released:2009-12-04)
参考文献数
30

A new unstable hemoglobin variant, Hb Sendagi (β42Phe→Val), was found in a Japanese male and his daughter both suffering from moderate hemolytic anemia. The structure of the variant was determined and the functional properties were studied. The results obtained are as follows.1) The variant was electrophoretically silent, but the abnormal β-chain was found to emerge ahead of the normal, 6-chain when the hemolysates from the patients were applied to a reverse-phase HPLC.2) The tryptic peptides were prepared with the variant β-chain enriched by isopropanol precipitation and column chromatography on CM-cellulose. The abnormal peptide, βTx-5, was separated by fingerprint mapping or by reverse-phase HPLC of the tryptic peptides.3) Sequence analyses of the abnormal peptide revealed that the phenylalanine in position 42 (CD1) of the β-chain was replaced by valine. The variant was named as Hb Sendagi according to the place where it was discovered.4) Hb Sendagi showed a decreased stability upon heat denaturation and isopropanol precipitation tests, and was oxidized faster than Hb A by atmospheric oxygen in the presence and absence of sodium benzoate.5) The oxygen equilibrium curves of the hemolysates from the propositus also indicated that Hb Sendagi had a lowered oxygen affinity and a normal response to 2, 3-diphosphoglycerate.
著者
狩野 元宏 小森 広嗣 下島 直樹 山本 裕輝 緒方 さつき 広部 誠一
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.1015-1019, 2016-08-20 (Released:2016-08-20)
参考文献数
16

【目的】待機的虫垂切除術(以下IA と略す)は,周術期リスクを低減することができ有用であるとの報告が散見され,特に膿瘍形成性虫垂炎に対するIA は広く受け入れられているが,それ以外の症例群に対する適応は未だ議論がつきない.今回我々は,当院で蜂窩織炎性または壊疽性虫垂炎と診断された症例のうちIA の適応とした症例を緊急手術症例と比較し,その安全性,妥当性を検討したので報告する.【方法】当院では発症から48 時間以上経過した蜂窩織炎性または壊疽性虫垂炎と診断された症例に対し,2012 年は緊急手術(以下E 群)を,2013 年はIA(IA 群)をそれぞれ選択し治療した.2012 年1 月1 日から2013 年12 月31 日に当院で治療した上記虫垂炎2 症例群について,年齢,性別,疼痛コントロール,血液データ所見,手術時間,出血量,入院期間や合併症の有無を後方視的に検討した.【結果】対象は20 例で,IA 群,E 群ともに10 例であった.手術時間はIA 群58.6 分,E 群96.7 分で,IA 群はE 群に比べ有意に短かった.手術合併症はE 群で2 例あり,IA 群では0 例であった.IA 群の保存的加療期間は8.8 日で,退院後待機中に症状の再燃は認めなかった.総入院日数はIA 群12.8 日,E 群10.2 日で有意差はなかった.【結論】発症から48 時間を経過した症例に対するIA により,周術期リスクの高い症例を緊急手術に劣らぬ総入院日数で,安全に治療し得た.発症から一定の時間が経過した症例に対してもIA を適応拡大しうることが示唆された.
著者
緒方 克守 吉田 遼司 米田 雅一 竹下 尚志 中山 秀樹 篠原 正徳
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.65, no.11, pp.719-725, 2019-11-20 (Released:2020-01-20)
参考文献数
22

Traumatic carotid-cavernous sinus fistula (t-CCF) is an arteriovenous fistula formed by the tearing of the internal carotid artery running in the cavernous sinus, accompanied by head/maxillofacial injuries. Patients with this disease rarely show spontaneous closure and often require urgent endovascular treatment. We report a case of t-CCF that developed following jaw and zygoma fractures and was successfully treated by manual carotid compression. A 35-year-old man was referred to our hospital to undergo treatment for multiple maxillofacial fractures. On the first day after injury, open reduction and internal fixation of the mandible were conducted with the patient under general anesthesia. On the fifth day after injury, diplopia of the left eye suddenly appeared. On the seventh day after injury, left exophthalmos/edema of the left upper eyelid/left abducens nerve palsy/bilateral ptosis, and hyperemia of the bulbar conjunctiva appeared. On the 15th day after injury, cerebral angiography revealed a definitive diagnosis of t-CCF. Supervised manual carotid compression during the waiting period before endovascular treatment led to improvement in various symptoms from the 19th day after injury. Cerebral angiography, which was performed again for endovascular treatment, revealed that arteriovenous fistula resolved spontaneously. Therefore, treatment was discontinued, and the patient was followed up with a conservative approach. By 9 months after injury, all symptoms, including left oculomotor nerve palsy had disappeared. There was no evidence of recurrence 10 years after injury.
著者
大河内 博 吉田 昇永 柳谷 奏明 新居田 恭弘 梅澤 直樹 板谷 庸平 緒方 裕子 勝見 尚也 高田 秀重
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

1.はじめにプラスチック生産量は年々増加しており,総生産量は1950年には年間200万トンであったが,2012年には3億トン,2050年には400億トンに達すると推計されている(Zalasiewicz, et al., 2016).その結果,河川を通じて大量の海洋ブラスチックゴミが発生している.ブラスチックゴミのうち,直径5 mm以下のプラスチック片の総称であるマイクロプラスチック(microplastics,; MPs)は,海洋生物が餌と誤認して摂食する物理的障害とともに,プラスチック添加剤や環境中で表面に吸着した有害有機化合物が体内に移行して生体に影響を与えることが懸念されている.2.大気中マイクロプラスチックの現状 最近では河川,水道水,ペットボトル,道路粉塵,室内空気でもMPsが検出されている.米国の推計によると,MPsが体内に取り込まれる経路は食物と呼吸が同程度でそれぞれ年間6万個程度,ペットボトル水から年間9万個を摂取している(Cox et al. , 2019).ただし,大気中マイクロプラスチック(Airborne microplastics; AMPs)の計測例は限られており,その実態はよく分かっていない.AMPsに関する先行研究はフランス・パリ郊外(Dris et al., 2016, 2017)や中国・広東省(Cai et al., 2017)で行われている.ただし,大部分は大気エアロゾルではなく,フォールアウトである.都市部におけるAMPsの形状は繊維状が多く,フィルム状,破片状,発泡体は少ない.同定されている主要材質はポリプロピレン,ポリエチレン,ポリエチレンテレフタレートである(Dris et al., 2016, 2017; Cai et al., 2017, Liu et al., 2019).大気エアロゾル中AMPsの報告例は数例に限られるが,パリ(フランス)では室内空気で1 – 60 本/m3の繊維が存在しており,その66 %がセルロースなどの天然繊維である(Dris et al., 2017).一方,屋外空気では0.3 – 1.5 本/m3(50 – 1650 µm)の繊維が浮遊している.イラン南岸部アサルイエの都市大気でも大部分は繊維であり,空気では0.3 – 1.1 本/m3(2 -–100 µm)であるが,天然繊維か合成繊維(プラスチック)かは不明である(Abbasi et al., 2019).上海(中国)の都市大気では0 – 4.18 個/m3(23 – 9555 µm)であり,67 %が繊維状である(Liu et al., 2019a).また,同地点で0.05 – 0.07 個/m3(12 – 2191 µm)であり,43%が繊維状という報告もあり(Liu et al., 2019b),かなりばらつが大きい.AMPs研究はほとんどが都市大気に関するものであるが,最近になってマイクロプラスチックが大気を通じて輸送され,フランス・ピレネー山脈で365個/m2/日(65 µm以上)の沈着量であることが明らかにされた(Allen et al., 2019).この沈着量は都市部とほとんど変わらないことから,大気を通じたマイクロプラスチック汚染が広域的に起きていると可能性を示すものであり,NHKでも取り上げられた.また,山間部では都市部とプラスチック形状が大きく異なり,破片状,フィルム状AMPsが多く,繊維状AMPsは少ないことが明らかにされている.3.大気中マイクロプラスチック研究の課題現状では研究者が独自の方法で行った結果を報告しており,単純に比較することはできない.したがって,AMPsの採取法,前処理法,同定法に関する統一的手法開発が求められている.講演では, AMPs計測用の大気中エアロゾル捕集材,前処理法,計測手法に関する我々の検討結果について紹介するとともに,都市大気および自由対流圏大気中AMPsの実態について,その一端を紹介したい.
著者
志賀 建夫 横川 真紀 緒方 巧二 千々和 龍美 川村 昌史 中村 寿宏
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.244-247, 2006 (Released:2006-07-31)
参考文献数
11

34歳,男性。右前胸から背部,右上腕にかけての刺青の施行から3年後に,感冒様症状が先行して刺青の朱色部に限局した発赤と腫脹が出現した。リンパ節腫脹,発熱,咽頭痛といった全身症状も伴った。発赤部からの皮膚生検では,真皮の刺青色素周囲に著明な組織球の浸潤がみられた。パッチテストにて塩化第二水銀が陽性であり,刺青の朱色色素である辰砂(硫化水銀)に対するアレルギー反応によるものと考えた。プレドニゾロン30mg/日の内服およびプロピオン酸クロベタゾールの外用にて症状は速やかに消退し,プレドニゾロンの漸減,中止後も症状の再燃はみられていない。本症例は刺青施行後3年間の間に2度同様のエピソードを示しており,いずれの際にも感冒様症状の後に本症が発症していることから,発症には感染症が誘因になっていると考える。
著者
笠原 浩太 椎名 政昭 肥後 順一 緒方 一博 中村 春木
出版者
分子シミュレーション学会
雑誌
アンサンブル (ISSN:18846750)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.253-259, 2018-10-31 (Released:2019-10-31)
参考文献数
14

蛋白質における天然変性領域(IDR)は特定の立体構造をもたないフレキシブルな領域であり,リン酸化などの化学修飾を受けて蛋白質の機能制御を行うなど,重要な役割を果たしている.本研究では重要なDNA 結合蛋白質であるEts1 に着目し,そのIDR がリン酸化を受けることでDNA 結合親和性を低下させる制御メカニズムを理論と実験の両面から明らかにした.独自のマルチカノニカル分子動力学法(McMD)を用いて求められたリン酸化Ets1 および非リン酸化Ets1 のIDR の構造アンサンブルより,リン酸基がDNA 結合領域へ接触することで競争的にDNA 結合を阻害するメカニズムが示唆された.ここで明らかとなった重要なアミノ酸残基に関する種々の変異体について実験的な結合解離速度測定を行い,計算結果と整合することを確かめた.
著者
緒方 南奈 徳田 智代 原口 雅浩
出版者
久留米大学大学院心理学研究科
雑誌
久留米大学心理学研究 = Kurume University psychological research (ISSN:13481029)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.9-16, 2016-03-31

本研究では,母親に対する甘えが大学生の精神的自立に及ぼす影響について,母親の養育態度を踏まえて検討する。研究 1 では,大学生と大学院生89名を対象に質問紙調査を行った。その結果,現在の「相互依存的甘え」は精神的自立の「適切な対人関係」にプラスの影響を及ぼし,現在の「屈折した甘え」は,精神的自立の 「価値判断・実行」にマイナスの影響を及ぼしていた。特に,母親に対して素直に甘えを表現し,うらみすねみといった気持ちを持たない人は,精神的自立ができることが分かった。また,母親の過保護な養育態度は,精神的自立にマイナスの影響を及ぼしていた。研究 2 では,大学生と大学院生108名を対象に,甘えと精神的自立について自由記述式の質問紙調査を行った。その結果,子どもの甘えに対して,母親が一貫して子どもの甘えを受け入れる態度をとることが,「 自立できる甘え」にとって重要であることが示唆された。
著者
石田 高康 深堀 雄蔵 緒方 公介 張 敬範 野見山 宏
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.1375-1378, 1993-09-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
7

Length patterns of the posterior cruciate ligament (PCL) were measured with magnetic resonance imaging of five normal human knees. All were male right knees. The average age was 25.6 years. The sagittal view showed the PCL clearly as a low signal intensity in T1 weighted imaging. We evaluated the changes in length during knee flexion from 0 to 120 degree (0, 30, 60, 90, 120 degrees). The maximum length of the PCL was at the 60 degree flexion and its minimun length at 0 and 120 degrees. This suggested that 0 degree flexion of the knee joint avoided the hyper tensile stress of the PCL and that it was a suitable position for the treatments of PCL injuries.
著者
中嶋 真理子 中山 朋子 前濱 和佳奈 緒方 麻記 尾崎 茜 水谷 慎介 小島 寛
出版者
一般社団法人 日本障害者歯科学会
雑誌
日本障害者歯科学会雑誌 (ISSN:09131663)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.504-510, 2019-10-31 (Released:2020-02-29)
参考文献数
19

目的:障害者が歯を喪失する原因を調査した.対象と方法:知的能力障害,発達障害,身体障害,精神障害を有し,2015年4月から2018年3月までに当科に来院した患者を対象とし,第三大臼歯や過剰歯を除く歯を抜去した患者を抽出した.抜去した歯の診断は,う蝕(著しい歯冠崩壊または根尖性歯周炎),歯周疾患,その他(歯の破折,外傷など)に分類した.結果:調査期間中に来院した障害を有する者は897人で,20歳未満が242人,20~39歳が438人,40~59歳が177人,60歳以上が40人であった.抜歯処置を受けた患者と来院した患者の数は,知的能力障害が51/361人(14.1%),Down症候群が7/90人(7.8%),自閉スペクトラム症が15/238人(6.3%),その他の発達障害が6/25人(24.0%),身体障害が17/138人(12.3%),精神障害が18/45人(40.0%)であった.知的能力障害,Down症候群,自閉スペクトラム症,その他の発達障害における抜歯原因は161歯(83%)がう蝕,19歯(9.8%)が歯周疾患,14歯(7.2%)がその他であった.身体障害,精神障害では,49歯(62%)がう蝕,22歯(27.8%)が歯周疾患,8歯(10.1%)がその他であった.結論:抜歯原因はう蝕が多くを占め,知的能力障害,Down症候群,自閉スペクトラム症,その他の発達障害でその傾向が強かった.
著者
佐藤 智 金田 敏和 石神 暁郎 周藤 将司 緒方 英彦
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会誌 (ISSN:18822770)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.117-120,a2, 2013 (Released:2020-01-10)
参考文献数
4

積雪寒冷地において農業水利施設の機能診断を行う際には,凍結融解作用に着目する必要がある。農業水利施設の多くを占める鉄筋コンクリート製開水路では,凍害による側壁の表面変状と内部変状が異なる形態であることが知られている。水路側壁の断面観察の結果,凍害劣化した開水路の側壁内部に発生するひび割れは必ずしも連続したものではなく,多数のひび割れが不規則に発生していることを明らかにした。また,側壁の方角,背面の土地勾配,積雪状況,融雪水の供給状況,ひび割れが発生した目地,側壁の雨水滲出箇所,天端のスケーリング,表面ひび割れの分布などから凍害発生箇所を目視調査のみで推定できることを明らかにした。
著者
緒方 康介
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.11-20, 2010-08-25 (Released:2017-09-30)
参考文献数
27

本研究の目的は児童相談所で出会う身体的虐待被害児における知能の偏りを調査することである。児童相談所のケース記録から抽出された身体的虐待群58名と,マッチング法により性別(男児41名,女児17名),年齢(月齢139カ月),全検査IQ(平均86)を統制された対照群58名のデータにおけるWISC-IIIの下位検査プロフィールを比較分析した。まず身体的虐待群の全下位検査評価点がノルムよりも低いことを1サンプルのt検定で確認した。その後,多変量分散分析によって10の下位検査における全体的な群間差が検出された。つづいてボンフェロニーの修正を施したpaired-t検定,ロジスティック回帰分析,判別分析の結果,いずれにおいても絵画完成と絵画配列における群間差が示された。対照群に比べて身体的虐待被害児は,絵画完成課題で高く,絵画配列課題で低い評価点であった。最後に全下位検査評価点の平均値と2つの下位検査評価点を比較すると,身体的虐待群で絵画配列が低く,対照群で絵画完成が低いという有意傾向が得られた。本研究知見の臨床実践上の意義について,身体的虐待被害と絵画完成および絵画配列に関する知的能力との関連,身体的虐待と非行との関連という観点から考察した。
著者
緒方 康介
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.1-11, 2013-10-31 (Released:2017-07-30)
参考文献数
22

児童虐待の被害児が示す知能プロフィールの発達的変遷を記述することを目的に調査を行った。最終的に義務教育課程の児童データ493名分を収集した。虐待群と対照群を,それぞれ小学校低学年,高学年,中学生の3つの学齢に分類し,横断的方法により発達変化を分析した。WISC-IIIの検査結果に対して多母集団同時分析で因子構造の相違を調べ,被虐待児特有の潜在的な知能特徴をいくつか検出した。引き続き,クラスタ分析で各学齢における下位分類を行い,群指数に基づくいくつかの典型的なパターンを示した。以上の結果を被虐待児の発達的変遷という観点から考察し,方法論上の限界ゆえに平均値としての知見にとどまることを踏まえたうえで,一定の臨床的参照点が得られたものと結論された。

1 0 0 0 OA 富山縣奇病論

著者
緒方正清 著
出版者
丸善
巻号頁・発行日
1907
著者
吉川 恵士 西條 一止 矢澤 一博 森 英俊 坂井 友実 根本 宏三 源内 清美 佐々木 和郎 緒方 昭広 小田 京子 嶋 俊和 窪田 清和 峯田 宏 神尾 秀子 山本 暁美
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.372-380, 1982-03-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
4

反復性 (習慣性) 扁桃炎の再発予防を目的とし, 鍼電極による低周波通電を行った。研究対象は, 幼稚園・小学生を中心として年4回以上の発熱頻度を呈する83例である。治療方法は, 合谷と孔最をそれぞれ結び, 1Hzで20分から30分通電した。治療間隔は, 週1回で3週間を1クールとし経過に応じて再治療を行った。効果の判定は, 鍼治療後1年間観察した。その結果83例中6例は経過の観察ができなかった。残り77例のうち9例 (11.7%) は1年間発熱をまったくおこさなかった。49例 (63.6%) は発熱頻度が減少した。また77例のうち39例 (50.6%) は発熱頻度が年3回以下になった。13例は無効であり, 6例は鍼治療後扁桃摘出を行った。学校保健統計による扁桃肥大の年減少率と比較しても, 鍼による再発予防効果を考察し得る成績であり, 一般化および患者への負担の少ない治療法であることから, 反復性扁桃炎の予防として, 鍼がファーストチョイスされる可能性が高いと考える。
著者
保 聖子 藤田 聡 緒方 由美 木村 郁夫
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.103-110, 2018 (Released:2018-01-19)
参考文献数
14
被引用文献数
1

シラス(イワシ類稚仔魚)の冷蔵保存中に発生する自己消化について,魚体プロテアーゼ活性の経時変化やプロテアーゼの種類および漁獲時の魚体にかかる圧の影響を測定した。モデル試験で魚体に圧力を加えると冷蔵保存中の自己消化が促進した。また,冷蔵保存中には保存温度に依存してプロテアーゼ活性の上昇がみられ,その原因としてセリンプロテアーゼ(主にキモトリプシン)の酵素活性値が高くなることをプロテアーゼ阻害スペクトルから明らかにした。卵白はシラス魚体溶解の原因プロテアーゼに対して強い阻害効果を示した。
著者
伊崎 輝昌 緑川 孝二 柴田 陽三 緒方 公介 原 正文
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.5-11, 1994-09-01 (Released:2012-11-20)
参考文献数
12

PurposeBiceps labrum complex (BLC) lesions most commonly occur during sports activities in which the arm is frequently held in an overhead position. Among the available literature there are few histological studies about BLC. The purpose of this study was to demonstrate the anatomy of BLC and its attachment to the glenoid and to evaluate the results of our treatment for BLC lesions.Materials and MethodsAnatomical Study: Sixty shoulders from 30 cadavers were studied. We recorded the appearance of the glenoid labrum and the LHB. Then, we removed the glenoid process from the scapula leaving all of the capsular insertion intact. Sections were each cut along the cornal plane and along the sagittal plane at 200-300 p m thickness on a rotary milling saw, and then ground to a 20 p m thickness. The sections were stained with Cole's hematoxylin and eosin and examined via light and polarized light microscopy.Clinical Cases:Thirty shoulders of 29 patients with BLC lesions underwent arthroscopic debridement of the superior labrum.ResultsAnatomical Study: The LHB inserted directly to the superior glenoid and its attachment extended to the middle of the posterior glenoid. The LHB was firmly attached to the superior glenoid from the edge of the glenoid rim. The attachment was gradually loose toward the middle of the posterior glenoid. The LHB was attached to a large surface of the glenoid.Clinical Cases:All patients were able to return to competitive sports.DiscussionsBased on our anatomical study, the LHB has a larger attachment area on the glenoid than had been previously reported. Therefore, we believe debridement of the superior labrum for BLC lesions preserves the LHB functions.
著者
緒方 政寿 鈴木 裕也 野口 裕貴 山守 健太 有働 大樹 栗原 和也 十時 浩二
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.H2-238_1, 2019 (Released:2019-08-20)

【はじめに、目的】股関節は、下肢と体幹をつなぎとめ身体を安定させるのに重要な関節であり、その安定性に関与しているのが股関節外転筋である。臨床において股関節外転筋の筋力低下が生じると、起立動作や歩行、階段昇降などの動作が不安定となるため、筋の特異性からも荷重位での強化練習が必要と推測される。しかし、股関節外転筋強化に関するシステマティックレビューは筆者が知る限り、Paul Macadam (2015)の一遍のみで、動作速度を規定し比較した研究はない。そこで今回、CKC動作における動作速度を規定した股関節外転筋の活動を検討し、効果的な運動方法を明らかにする。【方法】対象は健常男性10例とした。被検筋は右側の大殿筋上部(G-max)、中殿筋(G-med)、大腿筋膜張筋(TFL)とした。北九州地区6病院の理学療法士に臨床で行う荷重位での股関節外転筋運動種目の事前調査を行い、上位種目の中からスクワット、段差昇降、ブリッジ、サイドステップ、フロントランジ、ラテラルステップアップダウンの6つを課題種目とした。各動作は1回を2秒で5回連続して施行し、動作時表面筋電図を計測した。解析には5回のうち間3回の計測データを用いた。筋電図解析方法は徒手筋力検査法の手技に従い、5秒間の最大随意等尺性収縮時における筋活動を測定し、0.5秒毎に移動平均を行い、最大値を最大収縮値(MVC)とした。各動作の筋活動を各筋に0.1秒毎の2乗平均平方根にて平滑化を行い、MVCで正規化(%MVC)した。3試行の最大値の平均を算出し、3筋における各動作種目別の最大筋活動を求めた。統計解析は、フリードマン検定を行い、多重比較検定にはSteel-Dwass検定を用いて各筋の%MVCを比較検討し、有意水準はP<0.05とした。【結果】G-maxの筋活動は、筋活動の高い順にフロントランジ65.9%、サイドステップ53.7%、ラテラルステップアップダウン42.2%、段差昇降35.3%、ブリッジ21.4%、スクワット14.7%で、フロントランジはスクワットとブリッジと比べ優位に高い筋活動を示した(p<0.05) 。G-medはサイドステップ76.6%、ラテラルステップアップダウン64.8%、フロントランジ59.1%、段差昇降49.4%、ブリッジ30.3%、スクワット19.0%で、サイドステップはスクワットとブリッジと比べ有意に高い筋活動を示した(p<0.05)。TFLはサイドステップ118.5%、ラテラルステップアップダウン56.8%、フロントランジ48.6%、段差昇降43.8%、ブリッジ43.1%スクワット10.7%で、サイドステップがラテラルステップアップダウン以外と比べ有意に筋活動が高かった(p<0.05)。【結論(考察も含む)】今回、事前調査の中から選定した6つのCKC動作ではG-maxの強化はフロントランジを、G-medとTFLの強化はサイドステップを、3筋総合ではサイドステップを第一選択とすることが推奨された。【倫理的配慮,説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言を遵守し、当院の理事会及び、製鉄記念八幡病院の倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号17-11)。対象者には文書及び口頭で本研究の主旨及び目的を説明し、書面にて同意を得た。