著者
緒方 秀教
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、科学技術計算におけるポテンシャル問題の数値解法である代用電荷法および双極子法の理論・実験的研究を目的とする。代用電荷法は仮想点電荷のポテンシャルの重ね合わせで解を近似する方法であり、点電荷の代わりに仮想電気双極子のポテンシャルを用いると双極子法を得る。双極子法について双極子配置の仕方に特に研究の重点を置き、円周の等分点を等角写像で写した点に双極子を置く方法がよいことを数値実験により示した。また、代用電荷法・双極子法の複素解析関数近似の応用も行い、理論・実験両面からこの解析関数近似が良い精度を達成することを示した。さらに、関連研究として、佐藤超函数論に基づく数値積分の研究も行った。
著者
緒方 秀教
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:24321982)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.8-15, 2018 (Released:2018-03-31)
参考文献数
9

In this paper, we show an application of hyperfunction theory to numerical integration. It is based on the remark that, in hyperfunction theory, functions with singularities such as poles, discontinuities and delta impulses are expressed in terms of complex holomorphic functions. In our method, we approximate a desired integral by approximating the complex integral which defines the desired integral as an hyperfunction integral by the trapezoidal rule. Theoretical error analysis shows that the approximation by our method converges geometrically, which is due to the fact that the approximation by the trapezoidal rule of the integral of a periodic analytic function over one period interval or the integral of an analytic function over the whole infinite interval converges geometrically. Numerical examples show that our method is efficient especially for integrals with strong end-point singularities.
著者
西田真弓 石神暁郎 緒方英彦
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2019(札幌)
巻号頁・発行日
2019-06-11

寒冷地に位置する農業用のコンクリート開水路では,凍害劣化を対象とし,劣化要因である水分の侵入抑制を期待できる表面保護工法の適用が進められている。しかし,表面保護工法適用後のモニタリングでは,その耐久性は目視等の外観にて判断することが多く,母材コンクリートの健全性の評価や,再補修の適正時期の見極めは困難となっている。本研究では,寒冷地において表面保護工法施工後10年が経過した供用中のコンクリート開水路の補修効果の検証を行った。その結果,表面保護工法の種別による母材コンクリートへの影響は大きく,母材コンクリートの健全性や含水状態を把握することの重要性が示された。
著者
岩田 隆 大亦 郁子 緒方 邦安
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.350-358, 1969 (Released:2007-07-05)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

前報で, 収穫後の果実の成熟に伴う呼吸型は3種に分類するのが適当であることを述べたが, 本報はこれをエチレンとの関係について検討したものである。一時上昇型 (climacteric 型) としてトマトおよびバナナ, 末期上昇型としてイチゴ•カキおよびモモ, 漸減型果実として温州ミカンを選んだ。(1) トマト緑白色果はエチレン処理によつて着色が促進された。同一圃場から得られた緑白色果でも, 遅い時期に収穫されたもののほうが効果が大であつた。呼吸の climacteric rise はエチレン処理によつて早く現われた。着色果に処理した場合には効果がなかつた。緑白色果を貯蔵すると, 着色に伴つて果実組織内のエチレン濃度が著しく増大し, また, 呼吸上昇以前にかなりの水準に達していた。(2) バナナ緑色果にエチレン処理を行なうと急速に成熟が進んだ。やはり climacteric rise が促進されたがピーク値は自然な climacteric の場合よりもかなり大きくなつた。(3) イチゴは, 緑色が消失して白色に近い状態となつた果実を収穫し, エチレン処理を行なつたが, 着色や軟化の進みかたに影響はなかつた。呼吸量についても処理効果はみられなかつた。果実組織内エチレン濃度は白色果でかなりの値となり, 以後はあまり変わらないようであつた。(4) モモ未熟果にエチレン処理を行なつても, 軟化の進展に影響はなく, 呼吸量もほとんど変わらなかつた。果肉組織内エチレン濃度は, かなり未熟な段階でも高い値となつた。(5) カキ未熟果はエチレン処理によつて急速に着色し, 軟化が進んだ。渋ガキは脱渋された。呼吸量は未熟果, 熟果ともにエチレン処理によつて著しく増大した。果肉組織内エチレン濃度は, かなり軟化した段階でやや大きくなつたが, 全般に低い値であつた。(6) 温州ミカン未熟果はエチレンによつて黄化が促進された。呼吸量は未熟果, 熟果とも処理によつて著しく増大した。エチレン処理によつて呼吸の増大した果実から, エチレンを除去すると, 呼吸量は無処理のものと同じ水準に戻り, これにエチレンを処理すると, また増大した。果実内エチレン濃度は全般に低い値であつた。(7) エチレン処理の効果の有無は, 処理時の果実内エチレン濃度が生理的に活性な値にあるかどうかによるものであり, エチレン処理に対する反応から climacteric の有無を区別することはできないと考えられた。
著者
緒方 邦安
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.10, no.11, pp.470-481, 1963-11-15 (Released:2010-03-08)
参考文献数
61
被引用文献数
2
著者
大河原 知嘉子 森岡 典子 柏木 聖代 緒方 泰子
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.85-91, 2019-06-20 (Released:2019-06-26)
参考文献数
28
被引用文献数
1

目的:訪問看護事業所の教育・研修内容の実態を可視化し,事業所規模により比較する.方法:2015年度介護サービス情報公表システムのデータを用い,東京都の訪問看護事業所を対象とした混合研究法を実施した.研修内容に関する自由記載から研修主催情報とテーマのカテゴリを作成し,事業所規模とのコレスポンディング分析と,各研修の実施割合と規模を量的に解析し結果を統合した.結果:311か所を分析対象とした.研修主催機関8カテゴリのうち,「医療機関」は中規模でより記載され,規模が小さいほど実施割合が高かった.研修テーマ38カテゴリのうち「精神科看護」「小児看護」などは中規模以上で記載されており,量的にも規模が大きいほど実施割合が高かった.結論:東京都の訪問看護事業所における教育・研修主催機関・テーマが明らかとなった.規模によらず様々な研修機関を活用していた一方,テーマは規模との関連が見られた.
著者
緒方 さつき 森松 嘉孝 幸崎 弥之助 工藤 昌尚 田尻 守拡 井 賢治 渡邉 健次郎
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.99-103, 2006

症例は42歳の男性。400ccの自動二輪車運転中に左側の駐車場から無灯火で出てきた普通車の右側面に衝突し,当院へ搬送された。来院時,呼吸は腹式呼吸で,両上下肢の知覚が消失し,両上下肢で徒手筋力テスト0であった。病的反射の出現は認めなかったが,肛門反射が完全に消失していた。重症の下位頸髄損傷を疑うも,頸椎単純X線,頭部CT,頸髄・胸髄・腰髄MRI検査にて異常所見は認めなかった。その後,6年前の急性一過性精神病性障害の既往が判明し,転換性障害の診断にて入院となった。徐々に症状の改善がみられ,リハビリテーション目的にて第13病日に他院へ転院となった。救急の現場において,症状と検査所見が一致しない事例をみた場合,精神病性障害である可能性に留意すべきである。
著者
緒方 英彦
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.193-196,a1, 2003-03-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
2

農村には, 農業に関わる歴史的事件などを発端とする祭りが数多くある。この祭りは, 地域住民が祭りの発端となった歴史的事件を通して, 地域の風土に関心を抱き, 地域の歴史を振り返るための機能を有している。農村の祭りがその機能を十分に発揮し, かつ伝統行事として継続されるためには, 当事者である地域住民の祭りに対する意向を調査しておく必要があるるそこで, 歴史的農業水利事業を発端とする祭りの一つである鳥取県八頭郡郡家町郡家地区の安藤祭りの現状を調査し, あわせて参加者意識を調査することで, 農村の祭りが有する機能が十分に発揮されるための要因を検討した。
著者
梶田 悦子 伊木 雅之 飛田 芳江 三田村 純枝 日下 幸則 緒方 昭 寺本 路夫 土田 千賀 山本 和高 石井 靖
出版者
The Japanese Society for Hygiene
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.893-900, 1995-10-15 (Released:2009-02-17)
参考文献数
41
被引用文献数
11 9

We recruited community-dwelling women for participation in a study to investigate the effects of risk factors in lifestyle on bone mineral density (BMD). The subjects were 177 women aged 35 years and over living in a rural area in Fukui Prefecture. Their BMD of the lumbar spine (L2-L4) was determined by dual energy X-ray absorptiometry (DXA). In addition to measurements of height, body weight and grip strength, the lifestyles of the women, including physical load in work, sporting activities, smoking habits, calcium intake, and history of bone fracture were interviewed in detail.Adjusted for age, the BMD significantly correlated to body weight (r=0.337, p<0.05 for premenopausal women and r=0.289, p<0.01 for postmenopausal women) and body mass index (kg/m2) (r=0.291, p<0.05 for premenopausal women and r=0.190, p<0.05 for postmenopausal women). These results indicated the lower body weight to be a risk factor for the osteoporotic process in middle-aged and aged women. With respect to the grip strength as a physical fitness indicator, a significant correlation coefficient (r=0.267, p<0.01) with BMD was obtained for postmenopausal women independent of age and body weight.In univariate analysis, BMD showed no significant correlations with sporting activities, smoking habits, lower back pain and history of bone fracture for either premenopausal women or postmenopausal women. In multiple regression analysis using age, calcium intake, physical load in work, body weight, grip strength, and sporting activities, the latter three variables had significantly increasing effects on BMD, while aging and menopause had significantly negative effects on BMD.Thus, physical excercise was suggested to protect middle-aged and aged women from the osteoporotic process, probably through either maintaining or enhancing muscle strength.
著者
廣岡 佳苗 徳留 武史 津曲 優子 緒方 匡 藤元 登四郎
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.205, 2016

<p>【はじめに】</p><p>今回、心原性脳塞栓症を発症し、軽度右片麻痺と失語の影響でPC操作や電話応対が困難となった症例を担当した。職場との連携により、スムーズな復職が可能となったため報告する。</p><p>【事例紹介】</p><p>40歳代男性。妻、子供3人との5人暮らし。看護師副主任としてPCでの薬の管理、電話応対などを行っていた。心原性脳塞栓症を発症し、急性期病院にて保存的に加療され、リハ目的にて当院に転院となった。初期評価時は発症後18日、右片麻痺、失語を呈していた。WAIS-Rは動作性IQ 82、言語性IQ は評価困難、SLTAは聴理解で仮名4割、複雑文0割、視理解は仮名10割、複雑文8割、音読は仮名、単語0割で喚語困難を認めた。デマンドは「家族のために早く復職したい」であった。右のBrunnstrom stage(以下Br. stage)は上肢Ⅵ、手指Ⅴ、下肢Ⅵ、STEFは右87/100点、左91点、FIMは123/126点であった。</p><p>【作業療法計画】</p><p>復職には、日常の会話、PC操作、電話応対が必要であるが、失語や右手指の巧緻性の低下により困難な状況であった。回復期であるため、機能訓練として促通反復療法、動作訓練としてPC操作、電話応対訓練を実施した。</p><p>【結果及び考察】</p><p>訓練開始から1カ月は上肢機能訓練を中心に実施した。その結果、Br. stageは右手指Ⅵ、STEFは両側100点と巧緻性はPC操作に問題ないレベルとなった。日常会話は単語や短文であれば発話にて可能となった。この頃、本人からは「今でも仕事はできる、早く復職したい」との発言があり、休職の長期化が復職を困難にするという不安が生じていることが考えられた。2カ月後、職場の上司と情報交換し、以前の仕事が部分的に行えれば復職可能との情報を得た。視理解と上肢機能が良好であること、メモの使用が可能であることや簡単な日常会話は口頭で可能になったことから、PC操作と電話応対訓練を開始した。PC操作は、処方箋にある薬の選択を音読して確認する方法で模擬的に行った。訓練初期には、3/5の選択課題で時間を要していた。この頃、SLTAでの音読は0割で、喚語困難が影響していたことが考えられる。2カ月後、10/25の選択を5分以内で実施することが可能となった。SLTAの音読は10割と改善を認め、喚語困難の改善と反復による動作学習により時間短縮が可能となったことが考えられる。電話応対では、「ついたち」など日にちの読み方の理解が困難であったため、電話応対課題は日付を中心に実施した。その際、本人にとって理解可能な単語に変換して確認することとし、その都度フィードバックを行った。6カ月後、WAIS-Rは年齢平均値まで改善、SLTAは聴理解で仮名9割、複雑文6割、視理解は複雑文9割、音読は仮名、単語10割に改善した。電話応対は模擬的な面会日程のやりとりが可能となり、この頃、「自分でも仕事で問題となるところが分かってきた」との発言があった。このことから、フィードバックにより、気づきを促したことと、理解困難な単語については、本人が理解可能なものに変換して復唱することを提案したことで電話応対が可能になったと考える。訓練開始から6カ月後、外来リハへ移行した。本人や関連職種と話し合い、まずは半日出勤で電話応対、簡単な書類記載をする形で復職することとなった。以上のことから、復職をよりスムーズにするためには、早期から職場と情報交換し、対象者の状況について職場の理解を深めること、職場の意向を確認すること、復職に必要な条件に対して集中的にアプローチすることが重要であることが示唆された。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本報告について本人に説明し同意を得た。</p>
著者
濱地 望 矢倉 千昭 緒方 綾
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A3P1041, 2009 (Released:2009-04-25)

【目的】関節過可動性(Hypermobility:HM)は,関節包や靭帯などの結合組織の緩み,筋緊張の低さなどによって,主に伸展可動域の関節可動性が増大しており,男性より女性に多く存在することが知られている.臨床的には,女性の膝関節靭帯損傷や腰椎すべり・分離症などの発症にHMが関与していると考えられているが,その関係は明らかになっていない.しかし,若年集団におけるHMの特性や関連因子について検討することは,スポーツ外傷などの発症を予防するための基礎資料になると考えられる.そこで,本研究では,若年者を対象に,HMの割合や性差,関節およびその周囲の痛み(関節周囲痛)との関係について調査を行った.【方法】対象は, 関節可動性に影響を及ぼす可能性のある整形外科疾患のない若年者151名(男性67名,女性84名),平均年齢19.9±1.5歳であった.対象者には,書面にて本研究の目的と内容を説明し,同意を得てから調査を行った.HMの評価は,Beighton Hypermobility Score(BHS)を用い,両側の手関節,第5指,肘関節,膝関節と体幹の9ヵ所の過可動性を確認し(過可動性があると1点加算),9点中4点以上をHMとした.関節周囲痛の有無は,肩関節,肘関節,手関節,膝関節,足関節,腰背部,仙腸関節など主要な関節およびその周囲における慢性的な痛みの有無を質問紙にて確認した.統計学的分析には,性別によるHMの割合,HMと各々の関節周囲痛との関係はχ2検定を用いて分析し,危険率5%未満をもって有意とした.【結果】対象者全体でHMのある者は151名中31名(20.5%),男性67名中4名(5.9%),女性84名中27名(32.1%)で,女性におけるHMの割合が高かった(p<0.01).また,女性ではHMと関節周囲痛との関係はなかったが,男性では仙腸関節痛のみと関係があった(p<0.01).【考察】本研究の結果,若年女性の約3割にHMが存在することが示された.女性は,女性ホルモンなどの影響によって,関節包や靭帯などの結合組織が緩く,筋緊張が低く,男性より関節支持性が低いといわれている.HMは,若年女性において,しばしば観察される身体的な特徴のひとつであると考えられる.しかし,女性ではHMと関節周囲痛との関係はなかった.女性は,男性より関節支持性が低く,外部からの力学的ストレスを受けやすいため,HMと関節周囲痛との関係がみられにくいと考えられる.一方,関節支持性の高い男性では,HMの影響による痛みは,仙腸関節のような結合組織によって強靭に固定されている関節に起こりやすい可能性がある.【まとめ】HMは,若年女性のしばしば観察される身体的な特徴のひとつであるが,関節周囲痛との関係については,さらなる精査が必要である.
著者
小岩井 馨 武見 ゆかり 林 芙美 緒方 裕光 坂口 景子 嶋田 雅子 川畑 輝子 野藤 悠 中村 正和
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.13-28, 2019-02-28 (Released:2019-02-28)
参考文献数
51
被引用文献数
1

目的:効果的な減塩対策のためには食塩摂取源を把握する必要がある.食塩摂取源を食品群で把握するだけでなく,家庭内・家庭外由来かを特定し,さらに疾病の指摘の有無別に食塩摂取源の特徴を検討することとした.方法:平成29年神奈川県真鶴町の特定健診受診者を対象とした横断研究を行った.3日間の食事調査により出現した食品や料理を食品群別・加工度別に分類後,家庭内・家庭外(菓子・嗜好飲料・中食,外食)に整理した.その後,食事記録日数の不足者等を除外した213名を対象に,3日間の平均食塩摂取量に占める各々の食塩摂取量の割合(以下,「食塩摂取割合」)を算出した.さらに,循環器疾患の指摘または降圧剤の使用有無別(以下,「循環器疾患の有無別」)に食塩摂取割合を比較した.結果:食品群別の食塩摂取割合が最も高い食品は,男女とも調味料(約60%)であり,このうち,約75%が家庭内,約25%が家庭外であった.循環器疾患の有無別では,中食からの食塩摂取割合は男性の有り群は26.8%と,無し群14.3%に比べ,有意に高かった(p=0.029).結論:地域在住特定健診受診者では,家庭で使用する際の調味料からの食塩摂取割合が高いこと,男性の循環器疾患有りの者は中食の食塩摂取割合が高いことが示された.減塩対策を検討する上で,家庭内・家庭外の視点を取り入れること,男性では中食への減塩対策も必要であることが示唆された.
著者
緒方 裕光
出版者
THE SOCIETY FOR RISK ANALYSIS, JAPAN
雑誌
日本リスク研究学会誌 (ISSN:09155465)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.2_3-2_9, 2009 (Released:2012-03-09)
参考文献数
16

We need to describe or deal with uncertainty in risk analysis because risk inherently involves chance or probability. There have been many discussions to define uncertainty in risk analysis. However, different types of uncertainty appear in risk analysis in different ways. Some of them are quantifiable by probabilities, some are not. The appropriate method to characterize the uncertainty, which can be caused by incomplete knowledge or stochastic variability, depends on the kind of its source. The most important result of considering uncertainties in risk analysis is an insight that its consideration gives to the risk assessor. This review presents the basic concepts to deal with uncertainty in risk analysis.
著者
緒方 康介
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.89-104, 2018-08-27 (Released:2018-09-19)
参考文献数
29

犯罪心理学においては,少年非行と再犯に関してメタ分析より得られたエビデンスが蓄積されている。14歳未満で刑罰法令に触れた少年に対する児童相談所の指導効果を検証することが本研究の目的である。児童相談所のケース記録から,82名の再犯ケースを含め344の非行ケースを抽出した。生存時間モデルを採用した本研究では,最長観察期間を5年とした。Kaplan–Meier推定法による生存時間分析の結果,3つの交互作用が検出された。①実父母家庭,②共犯,③特別法犯のケースに継続面接を(特に4回以上)実施することに効果があった。さらに,被虐待歴のある少年では極端に再犯リスクが高いこと,児童自立支援施設の再犯抑止効果は施設退所後に失われがちであることが示された。以上の結果に基づいて,児童相談所の非行対応には少しの有効性と多くの課題が残されているものと結論した。
著者
喜多村 泰輔 石西 貴 緒方 公介 井上 敏生 副島 修 佐伯 和彦 花村 達夫
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.809-813, 1997-09-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
4
被引用文献数
1

We investigated the relationship between Pinch strength and factors associated with activity of Rheumatoid Arthritis (RA). Subjects included 183 out-patients (366 hands) with RA who were hospitalized from April to June 1996 for at least one year. Pinch gauge (Baseline) which measures 0-5kg strength, and also grip strength were measured with an air bag connected to a mercurial column. 366 hands were assessed according to the classifications of Steinbrocker, Larsen, and Naelbuff. Results revealed that pinch strength correlated with grip strength. (Rt.: p<0.0001, Lt.: p<0.0001) However pinch strength did not correlate with patient's age, disease duration, morning stiffness, and ESR. Pinch strength measurement with a pinch gauge was useful for evaluating RA activity. It was difficult to measure grip strength in patients with advanced RA. It was useful to measure the pinch strength in patients with severe joint mutilation or immediately postoperatively.
著者
松岡 剛志 緒方 将人 若杉 耕一郎
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.119-122, 2013-01-23
被引用文献数
1

「地上デジタル放送に割り当てられたUHF帯のホワイトスペースを活用して行われるワンセグ携帯等の地上デジタルテレビ放送受信機に向けたエリア限定の放送サービス」であるエリア放送が注目されている。エリア放送とは、商店街街などの小規模のエリアを対象とし、お祭り等のイベント等での臨時的な、その地域限定のローカルな情報を配信するサービスとして期待されている。九州産業大学は、平成24年8月に地上一般放送局免許を取得し、平成24年9月からエリアワンセグ放送を運用している。本稿では、九州産業大学でのエリアワンセグ放送システムとのワンセグ放送の実績を紹介するとともに、エリアワンセグ放送を大学等の教育機関で運用の際に考えられる課題について検討した。