著者
西川 長夫
出版者
京都大学フランス文学研究室
雑誌
Francia
巻号頁・発行日
vol.8, pp.38-53, 1964-12-28
著者
日野 泰守 尾留川 正博 石橋 謙三 上田 英司 松本 年男 小山 理 西川 幸一郎 穂積 靖 芦沼 孝昭 藤井 英一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPM, 電子部品・材料 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.328, pp.25-31, 2002-09-13

本講演では、赤レーザを用いた2インチ3GBディスクについて述べる。トラック間のレーザアニールによる磁壁移動検出方式(DWDD)と、極性を交互反転させたサンプルサーボ方式との組み合わせにより、現行DVDと同じ波長660nm、NA0.6の光学ヘッドを用いながら、実にその4倍の記録密度を実現した。ビット密度は80nm/bit、トラックピッチは540nmで面記録密度は 15Gbit/inch^2である。さらに新開発した1-bit分散アドレスにより、冗長度23%を達成、僅か2インチの小径でありながら、3GBの大容量、24Mbpsの高転送レートのディスクシステムを実現した。このディスクシステムをムービーカメラに用いることにより、ビットレート6MbpsのMPEG2圧縮動画が1時間以上記録できることとなる。
著者
西川 潤 宮嵜 孝子 鈴木 庸弘 板谷 優子 山脇 秀元 三原 弘 蓮本 祐史 藤浪 斗 小川 浩平 細川 歩 工藤 俊彦 杉山 敏郎
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.108, no.9, pp.1535-1539, 2011 (Released:2011-09-05)
参考文献数
24

infliximab投与により薬剤誘発性ループスを発症した潰瘍性大腸炎の1例を経験した.ステロイド依存性潰瘍性大腸炎患者に対し,寛解導入ならびに寛解維持目的でinfliximab投与を施行した.第5回目のinfliximab投与後に多関節痛,リンパ球減少,抗二本鎖DNA抗体陽性,抗核抗体陽性を呈し薬剤誘発性ループスと診断した.保存的治療とinfliximab投与中止により症状の改善が得られた.
著者
大澤 敏 西川 武志 小川 俊夫
出版者
MATERIALS LIFE SOCIETY, JAPAN
雑誌
マテリアルライフ (ISSN:09153594)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.118-123, 1999-07-30 (Released:2011-04-19)
参考文献数
17

生分解性プラスチックの分解速度はその構造とそれが置かれた微生物環境によって決まるが, 後者を制御することは微生物の多様性から困難であるとされている. しかしながら, プラスチックを含む有機廃棄物処理の観点から見ると使用後は速やかに分解する微生物環境を人為的に管理する必要性がある. そこで本研究では, 従来から有機農法において用いられている, 安定な循環サイクルを有する有用微生物 (EM) 群を生分解性プラスチック (L-ポリ乳酸) の置かれた有機廃棄物中に添加してその分解促進効果について調べた. その結果, 36℃でEM菌群をコンポスト中に添加した場合にL-ポリ乳酸の分解が約40%促進されることがわかった. また, コンポスト中での分解は非晶相から進行するが50℃でEM菌群を添加した場合には, 結晶相でも速やかな分解が起こることが明らかになった.
著者
井地 輝雄 西川 正行
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.299-302, 1977-05-30 (Released:2009-03-31)

Genkai Nuclear Power Station Unit 1 owned by the Kyushu Electric Power Co., the 8th LWR in Japan, commenced the commercial operation on Oct. 15, 1975, and achieved the longest (243 days) continued operating record of the LWR in Japan in the first cycle.After 14, 350 MWD/t of average burn up was attained, the first annual inspection and refueling was performed satisfactorily as the plan during the 86 days outage period-from Oct. 31, 1976 to Jan. 24, 1977. Now the unit is generating full power of 559 MW. Summary of the operating experience of the unit from the commencement of operation is briefly described in this report.
著者
井上 恵子 西川 〓八 木村 直人 広田 公一
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.156-165, 1992-04-01
被引用文献数
2 2

日常継続的な運動を行っていない6名の男子学生(23〜25才)に対し, 主に上腕二頭節がコンセントリックおよびエクセントリック収縮となるような重量負荷運動を課した. 運動強度は20%MVCであった. そしてその運動の3週間後に同一運動(2nd Ex.)を再負荷し, 筋痛と血清CK活性値, および白血球数におよぼす影響について検討し, 以下の結果を得た. 1. 血中乳酸値は, 1st, 2nd Ex.とも運動直後に有意(p<0.01)な上昇を示し, 運動終了6時間後には安静レベルに戻った. 血中乳酸値は, 両運動間ではとんど差はみられなかった. 2. 白血球数は1st Ex.および2nd Ex.ともに運動終了直後から6時間後まで一過性に増加し, その後安静レベルに戻ったが, 運動終了7日後に再び上昇を示した. 1st Ex.の運動終了6時間後と7日後に, 5%レベルで安静値より有意な上昇が認められた. 3. 血清CKは, 1st Ex.において5名に安静値からの著しい上昇(266〜763%)がみられ, 上昇のピークは運動終了3〜4日後と遅延した上昇を示した. これに対し2nd Ex.のCKは僅かな変動しか示さなかった. 血清CK値の両運動間には有意(p<0.01)な差が認められた. 4. 1st Ex.の運動後, 3〜7日間に亘って被検者全員に筋痛が認められ, そのピークは運動終了2日後であった. しかし2nd Ex.においては, 筋痛の程度は軽く, 消失も早くなる傾向が認められた. 5. 2nd Ex.において, 1st Ex.と同程度の筋痛が見られた被検者YIについては, CKについても1st Ex.と同様の上昇が認められた. しかしその値は, CK上昇が見られた5名中最も低い値であった. 以上のことから, 1st Ex.により, 新組織に損傷を与え筋痛を引き起こしたものと思われるが, 2nd Ex.で認められた筋痛と白血球数およびCK逸脱の低減は, 筋組織の損傷後修復過程が進行し, 3週間後の運動負荷に対し耐えうる準備ができたことによると推察された. また, 1st Ex.においてCK上昇の程度が低かった者には2nd Ex.においても筋痛とCKの低減が認められず, 筋組織に適応を引き起こす閾値が存在することが推測された.
著者
谷口 忠大 高木 圭太 榊原 一紀 西川 郁子
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.1078-1091, 2009-12-15
被引用文献数
2 9

近年,CO<SUB>2</SUB>排出量の抑制や,化石燃料の将来的な枯渇を背景に再生可能エネルギーの利用が注目されている.しかし,既存の中央集権的な電力ネットワークは系統末端での非定常発電を前提とする再生可能エネルギーとは必ずしも相性がよくないと言われる.このため,マイクログリッドを始め分散型の電力ネットワークが研究されている.本研究ではその一つである自律分散型の電力ネットワークであるECOネットを取り上げ,ECOネット内の発電消費の末端ノードであるミニマル・クラスター間での電力売買を通じた電力融通の自動化の為の機構について検討する.電力売買の自動化の為には,各ミニマル・クラスターにおける電力ロスの発電・消費における諸条件に基づき電力売買の方策を最適化する事が望まれる.本稿では,電力売買を行うエージェントの学習に強化学習を用いる事で電力ロスを低減し,収益を最大化させるような適応的取引エージェントの構築を目指す.ただし,そのような系ではマルチエージェント強化学習の系となるために,不完全知覚問題や同時学習問題が発生することが指摘されている.本稿ではそれらの問題に強いとされる方策勾配法,特にその一種である Natural Actor-Critic を用いて適応的取引エージェントを構築する.また,提案手法の有効性を示すために,6個のミニマル・クラスターにより構成されるローカルクラスターを対象にシミュレーション実験を行った.シミュレーション実験では,Natural Actor-Criticによりエージェントが適切な取引を学習する事が出来る事が示されたのと同時に,マルチエージェント強化学習環境下においても少なくとも一体固定的な取引を行うエージェントの居る条件下では良好な学習結果を生むことが示された.
著者
西川祐信 画
出版者
菊屋喜兵衛
巻号頁・発行日
1736

西川祐信画。女性風俗絵本。半紙本3巻合1冊。享保21年(1736)正月、京都・菊屋喜兵衛板。紅絵。丁付に「葛上」「葛下」「葛後」とあることを勘案すると、上下2巻、後編1巻という構成である。元来は2冊本であったので、すべて3巻本から構成される『絵本倭文庫』に収める際の修訂増補かといわれる。序に「業平の昔をおもふより筆を染て、春の花に艶なる粧、夏は若葉の蓁々たる風俗、秋の月のまはゆき面影、雪の肌の素を後にして書集ぬる」と、作画動機を述べる。上巻はじめに詞書きを伴った伊勢物語絵4図を置き、以下、老若貴賤の当世風女性の四季折々の風俗図を、詞書きのない絵だけで収める。菊見、訪問、茶屋遊び、花火、入浴、雨の他行、田舎遊行、遊里、揚屋、遊戯、色子と幅広く取り上げており、とくに後編に多い、色子の図は特筆すべきであろう。(鈴木淳)
著者
西川 仁
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.26-27, 2015-12-15

自動要約は情報アクセス技術の一種として重要な位置を占めている.現在の自動要約システムは,入力されたテキストを構成する文のうち要約としてふさわしいものを抽出し,余分な句や節を除去するなどした上で,抽出した文を組み合わせることで要約を出力する.自動要約は入力および出力がいずれも基本的には文章であり,その処理にさまざまな要素が関係することから,誤り分析が難しい.Project Next要約課題グループでは,自動要約の誤り分析の枠組みを考案し,それに基づいて現在の要約システムの誤りの傾向を分析した.分析の結果,より洗練された文の書き換えや,テキストの論理構造の利用などが重要であることがわかった.
著者
村上 恵子 西川 向一
出版者
日本生理人類学会
雑誌
日本生理人類学会誌 (ISSN:13423215)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.39-44, 2000
参考文献数
32
被引用文献数
1 1

The purposes of this study were to select the crude drugs of the medicated baths calendar for each of the twelve months of the year, and to clarify the physiological responses of this medicated baths. To ultimately establish a set of crude drugs for use in medicated baths, the history and make-up of medicated baths were researched and the characteristics of seasonal events were investigated. Next, characteristics of crude drugs particular to each Japanese season that would affect baths and formulation our bath drugs using readily accessible materials were sought. The result was an assortment of crude drugs specifically designed for effectiveness throughout the year. In experiments, skin temperatures, blood flow, and amounts of perspiration were monitored. The findings revealed that the medicated baths were highly effective in keeping the skin temperature high in that they caused a little decrease in mean skin temperature over a period of time and a longer period of perspiration in comparison to normal bath. These medicated baths were also found to increase the amound of blood flow and the secretion of nor adrenaline, making the drugs a notably more effective promoter of blood circulation than normal bath. The results proved the medicated baths to be beneficial, healthy bathing methods.
著者
南角 学 西川 徹 秋山 治彦 柿木 良介
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100545-48100545, 2013

【目的】人工股関節置換術(以下,THA)術後早期の理学療法では,術後の合併症の予防に取り組みながら,より効率的に股関節機能や運動機能の向上に図ることが重要となる.近年,股関節の深部外旋筋群は股関節の安定性に関与することが報告されており,股関節外旋筋に対するトレーニングが注目されている.しかし,股関節外旋筋のトレーニングがTHA術後早期の股関節外転筋および歩行能力の回復に与える影響を検討した報告は見当たらない.本研究の目的は,股関節外旋筋の筋力トレーニングがTHA術後早期における股関節機能および歩行能力の向上に有用であるかどうかを検討することである.【方法】対象は片側変形性股関節症で初回THAを施行された28 名とした.さらに,当院のプロトコール通りに術後の理学療法を行った14 名(以下,Control群)と,通常の理学療法に加えて股関節外旋筋に対するトレーニングを実施した14 名(以下,Ex群)に無作為に分類した.股関節外旋筋のトレーニングは,腹臥位で股関節屈曲0°・膝関節屈曲90°での股関節外旋運動,仰臥位と側臥位での股関節軽度屈曲位からの股関節外旋運動とし,術後1 週間は自動介助,術後2 週目からは自動運動,術後3 〜4 週間は低負荷でのトレーニングを行った.評価時期は術前と術後4 週とし,測定項目は術側の股関節痛,術側の股関節屈曲と外転の関節可動域,術側の下肢筋力(股関節外転筋力,股関節外旋筋力,膝関節伸展筋力),Timed up and go test(以下,TUG)とした.股関節痛は,日本整形外科学会の股関節判定基準の股関節痛の点数を用いた.股関節外転筋力と股関節外旋筋力は徒手筋力計(日本MEDIX社製),膝関節伸展筋力はIsoforce GT-330(OG技研社製)にて等尺性筋力を測定し,股関節外転筋と膝関節伸展筋の筋力値はトルク体重比(Nm/kg),股関節外旋筋力は体重比(N/kg)にて算出した.統計処理は,各測定項目の術前と術後の比較には,対応のあるt検定とMann-WhitneyのU検定を用い,統計学的有意基準は5%未満とした.【説明と同意】本研究は京都大学医学部の倫理委員会の承認を受け,各対象者には本研究の趣旨ならびに目的を詳細に説明し,研究への参加に対する同意を得て実施した.【結果】年齢(Ex群60.5±6.4歳,Control群60.8±7.5歳)と身体特性(Ex群:身長154.8±5.5cm,体重55.9±6.4kg,Control群:身長153.7 ± 9.4cm,体重52.2 ± 9.9kg)および術前の運動機能に関しては,両群間で有意差を認めなかった.Ex群の股関節外転筋力は術前0.63 ± 0.15 Nm/kg,術後0.72 ± 0.12 Nm/kgで術後に有意に高い値を示した.一方, Control群の股関節外転筋力は,術前0.60 ± 0.14 Nm/kg,術後0.58 ± 0.14 Nm/kgであり,術前と術後で有意差を認めなかった.股関節外旋筋力については,Ex群が術前1.05 ± 0.27 N/kg,術後1.05 ± 0.25 N/kgで有意差を認めなかったのに対して, Control群では術前0.97 ± 0.35 N/kgよりも術後0.78 ± 0.39 N/kgに有意に低下していた.また,TUGに関しては,Ex群のTUGは術前8.50 ± 1.67 秒,術後7.62 ± 1.08 秒で術前と比較して術後に有意に低い値を示したが,Control群で術前8.25 ± 2.07 秒,術後8.61 ± 1.46 秒で術前と術後で有意差を認めなかった.股関節痛および股関節屈曲と外転の関節可動域は,両群ともに術前と比較して術後で有意に改善していた.【考察】股関節深部外旋筋は,臼蓋に対して大腿骨頭を求心位に保持することから股関節の安定性に関与すると考えられている.本研究においては,股関節外旋筋に対するトレーニングを実施したことにより,臼蓋と大腿骨頭の安定性が得られ,より効率に股関節外転筋群による筋力発揮が可能となったために股関節外転筋力が術前よりも14.3%向上したと考えられた.さらに,股関節外旋筋のトレーニングを行うことで股関節外転筋力が術前よりも向上したことから,THA術後早期での歩行能力も同時に改善したと考えられた.今後の課題として,THA術後早期の運動機能の向上が術後中期および長期的な運動機能の回復過程に及ぼす影響を検討していく必要性があると考えられた.【理学療法研究としての意義】本研究の結果より,THA術後早期における運動機能の向上に対して股関節外旋筋のトレーニングが有用であることが示され,理学療法研究として意義があると考えられる.
著者
高木 俊輔 正木 秀和 大島 一成 車地 暁生 西川 徹
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.179-182, 2010-02-15

はじめに Cytochrome P450(CYP450)は肝臓において薬物の酸化的代謝を触媒する酵素群で,約20種類のサブタイプがあり,一般臨床において用いられる治療薬の多くがこの酵素群により代謝および分解される。また,こういった治療薬はCYP450酵素群に対してその酵素活性を抑制あるいは誘導することが知られており,複数の薬物が同時に用いられる場合はおのおのの薬物の代謝動態が複雑な相互作用によって影響される5)。たとえば,本症例のように関節リウマチ治療薬として抗ヒトtumor necrosis factor(TNF)αモノクローナル抗体製剤(infliximab)が使用される場合,この投与によって免疫力が低下するため,抗結核薬の予防的投与が必須となる。その場合,抗結核薬の1つであるrifampicinはCYP450酵素群を誘導し4),定型的抗精神病薬のhaloperidolの代謝を顕著に促進することが報告されている2,6)。 今回,関節リウマチを合併し,infliximab投与のためrifampicinを併用したところ,それまで投与されていたhaloperidolの血中濃度が多大な影響を受けた統合失調症の1例を経験したので,以下に報告する。 なお,個人情報保護の観点から,症例の細部においてはいくつかの変更を施した。また,本文中の薬剤量は1日投与量を記載した。
著者
西川 仁 日高 浩史 工藤 貴之 小林 俊光
出版者
Japan Rhinologic Society
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.481-488, 2012 (Released:2012-12-27)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

2003年から2011年の9年間に入院加療を要した鼻出血症例203例の検討を行った。男女比は2:1で,50~70歳代に多く,また冬季から春季に多く,夏季に少ない傾向であった。出血部位は,部位不明47%,キーゼルバッハ24%,下鼻道および中鼻道が各々8%であった。初回時の止血方法は,ガーゼタンポン55%,電気焼灼29%,バルーンタンポン8%であった。再出血症例は46%に認められ,再出血なしの症例と比較して,キーゼルバッハ例や電気焼灼例の割合が有意に低く,出血部位不明例やガーゼタンポン例の割合が有意に高かった。基礎疾患および出血素因となる薬剤の服用は,再出血症例との関連がなかった。入院理由は,止血困難な絶対的入院適応が13%のみで,他は反復性のため24%,処置時意識障害22%,不安等の入院希望13%と経過観察目的の入院が多かった。平均入院期間は7.8日であり,再出血症例で10.4日,再出血なしの症例で5.8日であった。経過観察目的入院の症例でも再出血例が多く,また,再出血症例の全てが4日以内の再出血であり,入院経過観察期間として4日間(5日目の退院)が妥当と考えた。出血部位不明症例の初回治療はガーゼタンポン67%(再出血率74%),バルーンタンポン15%(再出血率50%)であったが,54%に入院中出血部位が判明できた。迅速に対応し出血部位を同定できることが入院加療の利点と考えた。