著者
奥谷 浩一
出版者
札幌学院大学
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 (ISSN:09163166)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.45-70, 2000-09

一連の論考の連載からなる本論文では, プレスナーの主著『有機的なものの諸段階と人間』において展開されている中心思想を対象とし, とりわけ「位置性」の理論に焦点をあてながら, 難解なことで知られるプレスナーの哲学的人間学の本質的な諸特徴を把握し, その人間学思想と, 「哲学的人間学」の定礎者シェーラー, そして同じ流れを汲むゲーレンの人間学思想との同一性と差異性とを解明することを試みる。前編においては, プレスナーの人間学の諸前提として, 生の哲学とのかかわり, 人間学にたいする課題意識, またカントの批判哲学および現象学的方法との関連におけるその人間学の方法的な独自性を考察した。本稿においては, デカルト的な心身分離論, ユクスキュルの環境世界説, ケーラーとドリーシュの論争との関連をふまえながら, プレスナーの位置性の理論の導入部となる生命あるものの「境界」の概念, そしてこれにもとづく有機的なものの本質諸徴表の理論の全容を究明する。
著者
奥谷 浩一
出版者
札幌学院大学
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 (ISSN:09163166)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.63-93, 2001-12

これまでの2回にわたる前編では, プレスナーの哲学的人間学のよって立つ哲学的諸前提とその出発点となった哲学的・生物学的論争について考察した。本稿からはいよいよ, その哲学的人間学の中心思想である位置性の理論の核心的な部分を取り上げる。まず本稿では, 有機的生命一般の本質的諸性質と, これを踏まえた植物的生命の本質的諸特徴とにかんするプレスナーの理論を解明し, 論評する。初めに, 生命体とそれの環境領野である媒体とのあいだに想定される境界, そしてこれにもとづいて生ずる位置性の概念のプレスナー的意味を再確認したうえで, 生命体一般がそなえる動態的および静態的性格, そして生きたものの自己調節可能性と調和等能性などにかんするプレスナーの理論を解釈する。そして, 開放的な有機組織形式をもつと特徴づけられる植物の位置性が生命循環のなかでどのように機能し, またそれが動物の位置性または位置形式とどのように区別されるのかを解明し, あわせてプレスナーのこうした接近の視点の積極的面と限界とを考察する。
著者
奥谷 浩一
出版者
札幌学院大学
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 (ISSN:09163166)
巻号頁・発行日
vol.73, pp.21-50, 2003-03-20

本稿では,植物と動物の位置性にかんするプレスナーの理論を考察した前稿に引き続き,人間の位置性にかんする理論を検討する。プレスナーによれば,人間が環境領野にたいしてとる位置性は,植物の開放性,動物の閉鎖性・中心性とは異なって,脱中心性である。動物は,おのれのうちに意識と中心を有し,環境世界にたいしては行動図式をもって対処しうる。しかし動物は,空間的には<ここ>,時間的には<今>のうちに埋没し,これらと事物とを真に対象化することはできない。これに対して人間は,動物と同じく閉鎖的・中心的ではあるが,<ここ>と<今>にたいして距離を取り,「意識とイニシアティヴの主体」として,おのれの中心から外に出て,これらを対象化し,これらから離脱することができる。人間は,自我をもち,「消失点」または「眺望点」を自己の背後にもつ。しかし,自然による束縛を免れた人間には,動物のような自然的な場所と安定性はもはや失われ,自らの足で立たなくてはならず,場所も時間もなく,境界ももたずに,自らの力で進路を切り開かねばならない。こうして人間は,自然的技巧性を発揮して,道具を用いて文化を創造する必要に迫られ,媒介された無媒介性によっておのれを表出し,歴史をおのれの背後に残さざるをえず,そして世界のうちにおのれの本来の場所をもたない無場所的=ユートピア的性格のために,世界根拠または神への信仰という宗教的次元によっておのれの故郷へと還帰せざるをえない。われわれは,位置形式という首尾一貫した観点から植物・動物と人間との差異に一歩一歩迫っていこうとするプレスナーの理論から豊富な諸論点を大いに学ぶことができる。しかし,彼が空間的なイメージに固執して,人間の一切の営為を脱中心性という位置形式へと還元するあまり,一種の還元主義に陥っているのではないかという嫌疑もまた生じている。彼が言う「消失点」または「眺望点」も,人間の大脳化に伴って,自己自身を対象化しうるまでに発達を遂げた人間の自己意識から説明しうるのであるから,結局のところプレスナーはドイツ古典哲学における観念論的な伝統に回帰していると言わざるをえない。そして位置形式の差異から動物と人間を考察する限り,そこには両者のあいだに橋渡ししえない質的断絶しか見えてこないことになろう。ここにプレスナーの理論の時代的制約と限界があるように思われる。
著者
山本 孝夫 仁谷 浩明 清野 智史 小原 孝介 大門 英夫 中川 貴
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.481, 2008

放射線による水の放射線分解で発生するラジカルが水溶性の貴金属イオンを還元しナノ粒子を生成することを利用し、AuとPtを同時に加速器電子線で処理し合金のナノ粒子(直径が数nm)を担体粒子(酸化鉄もしくはカーボン)の上に多数担持した複合ナノ粒子を合成した。得られた粒子材料は大気中のCOを還元する触媒作用を持つ。X線回折によるAuとPtは合金を形成していることが判った。従来の化学的手法では、ビルドアップ法で二元合金ナノ粒子を合成しようとすると、酸化還元電位の序列に妨げられるが、放射線合成法によればこれが克服される。合金化することで触媒特性も促進されるだけでなく、触媒機能の本質を持つ高価な白金の節約ともなる。
著者
奥谷 浩一
出版者
札幌学院大学
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 (ISSN:09163166)
巻号頁・発行日
vol.80, pp.143-176, 2006-11-16

江戸時代の日本が「鎖国」であったとする歴史観がこれまで日本近世史の見方を規定してきた。しかし,日本と朝鮮との間には室町時代から正式な国交関係が存在したのであって,豊臣秀吉の朝鮮侵略による中断はあったものの,徳川家康によって関係修復が行われて以来,江戸時代をつうじて12回もの朝鮮通信使が我が国に派遣された。朝鮮通信使は大陸の学術・文化を我が国に伝える唯一の機会であって,新しい徳川将軍の襲職を祝賀して使節団が来日する度に日朝両国の間では知識人だけでなく民衆のレベルにおいても大きな国際交隣の花が開いていたのである。ところで,こうした朝鮮通信使の軌跡をたどると問題になるのは,1764年の第11回の朝鮮通信使の来日の後は47年間の中断があり,しかも1811年に派遣された最後の第12回朝鮮通信使節は江戸ではなくて,対馬を往復するという変則的な事態となったことである。これは「易地聘礼」と呼ばれている。なぜ第12回の朝鮮通信使が対馬での「易地聘礼」にとどまったのか,そしてなぜこれが最後の朝鮮通信使となったのかについては,社会経済的理由や政治的理由から説明するもの,あるいは日本に歴史的に根強く存在してきた「朝鮮蔑視観」に根拠を求めるものなど,さまざまな見解がある。しかし,17世紀から18世紀の日本と朝鮮の思想の歴史から「易地聘礼」の理由を全体として概観する視点がこれまで不足していたように思われる。本論文では,日朝両国の思想の歴史という視点から,「易地聘礼」の思想的背景を明らかにしたい。
著者
奥谷 浩一
出版者
札幌学院大学総合研究所
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 = Journal of the Society of Humanities (ISSN:09163166)
巻号頁・発行日
no.99, pp.77-110, 2016-02-01

ハイデガーが第二次世界大戦後に公刊した『ヒューマニズム書簡』は,小著でありながらきわめて重要な意味をもつ著作である。この書のなかで初めて彼自身の前期から後期への思想の「転回」が語られ,その後の後期思想のアウトラインが示されているからである。そして,これまでの西洋の伝統的な思想とその基調であったヒューマニズムを批判して,反ヒューマニズムの立場を公言する彼の議論は,彼がナチに所属していた時代との関わりにおいてもさまざまな議論を呼んでいるからである。本稿では,この小著が内包するさまざまな問題群のうちから,彼のヒューマニズム論に焦点を絞り,ハイデガーのヒューマニズム批判が意図するところを解明すると共に,1930年代からこの小著に至るまでの過程で彼の反ヒューマニズム的な立場がどのように進展してきたかを解明する。その結論として,彼の思想の展開過程のなかでは,存在,存在と人間との関わり,存在への接近の仕方などの点で思想の「転回」を示しているにも拘わらず,反ヒューマニズム論的な立場にはほとんど変化がないこと,彼が第二次世界大戦の結果としてのナチズムに対する歴史的審判の後にも強固に反ヒューマニズムの立場を維持し続けたこと,そしてこれらのことと彼のナチズムへの関与とが内的に深く,また強く通底していることが示されるであろう。
著者
熊谷 浩一 田中 尚人 佐藤 英一 岡田 早苗 Kumagai Koichi Naoto Tanaka Eiichi Satoh Sanae Okada 東京農業大学大学院農学研究科農芸化学専攻 東京農業大学応用生物科学部菌株保存室 東京農業大学応用生物科学部生物応用化学科 東京農業大学応用生物科学部生物応用化学科 Department of Agricultural Chemistry Tokyo University of Agriculture NRIC Tokyo University of Agriculture Department of Applied Biology and Chemistry Tokyo University of Agriculture Department of Applied Biology and Chemistry Tokyo University of Agriculture
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.274-282,

長崎県対馬市は南北に長い島であり,対馬のそれぞれの農家ではサツマイモを原料とした固有の伝統保存食品である『せんだんご』を小規模に製造している。 せんだんごは,水で戻し,捏ねた生地を麺状に加工して茹であげ『ろくべえ麺』として食される。 ろくべえは,原料であるサツマイモ単体では生じ得ない食感を有していることから,せんだんごの製造工程に着目した。 せんだんごの製造には,"芋を腐らせる(発酵させる)"工程,それを丸めて数ヶ月に及ぶ軒下での"寒晒し"の工程があることから,島内各地域の「せんだんご製造農家」を訪問し,製造方法の調査を行った。 その結果,これら両工程にはカビなどの微生物が繁殖しており,黒色カビが繁殖した場合は味が悪くなるという理由からその部位が破棄され,白色や青色カビが繁殖した部位の製造が続行される。 このことから微生物の働きがあってせんだんごとなり,さらにろくべえ麺特有の食感が与えられると推察した。 さらに,せんだんご製造に重要な働きをすると考えられる微生物を特定するにあたり,数年にわたり島内の調査を重ねた結果,基本的にはせんだんご製造工程には3段階の発酵工程(発酵1(浸漬),発酵2(棚板に広げて発酵),発酵3(ソフトボール大の塊で発酵))と洗浄・成型工程の2工程4区分に分けられることが確認された。Sendango is an indigenous preserved food derived from sweet potato that is traditionally made in Tsushima, Japan located between the Korean Peninsula and Kyushu. The local people process a noodle called Rokube from Sendango and eat it with soup, fish or chicken. Rokube has a unique texture similar to konyaku, and unlike that of cooked sweet potato. There are two or three fermentation processes involved in Sendango production; therefore, we inferred that the unique texture of Rokube may result from the fermentation process. Sendango is manufactured in several farmhouses on the island ; however, the manufacturing process varies among districts. We investigated each local Sendango manufacturing process and determined the microorganisms involved in fermentation. The investigation of Sendango manufacturing procedures was carried out in three towns, Toyotama, Izuhara, and Mitsushima, by interviews and observations between December and February each year from 2008 to 2011. The processes consist of three main fermentations. In Fermentation-1 (F1), sliced or smashed sweet potatoes were soaked in cold water for 7-10 days. Gas production and film formation were observed during F1. In Fermentation-2 (F2), the soaked sweet potato pieces were piled to a thickness of 5-20cm for 20-30 days. Intense propagation of filamentous fungi was observed during F2. In fermentation-3 (F3), softball-sized lumps were formed on the sticky sweet potato by fungi. The sweet potatoes were left outside for approximately 1 month. The lumps gradually hardened by drying. Many fungal mycelia were observed on the surface of potatoes and inside the lumps during F3. The three aforementioned fermentation processes were used for Sendango production in two towns (Toyotama and Izuhara). In Izuhara, smashed sweet potatoes were placed in sandbags knit with plastic strings, and the bags were soaked in the flowing river water. The sandbags collected from the river water were left on the river bank for 20 days. F2 was carried out in sandbags. In Mitsushima, Sendango production consisted of two fermentation processes, F1 and F3. The fermentation process occurs over a long time period. The propagation of filamentous fungi was particularly intense during F2 and F3. It is thought that filamentous fungi are indispensable for Sendango production. We characterized the microorganisms participating in Sendango production based on this investigation.
著者
吉村 幸雄 井藤 英喜 吉村 英悟 鎌田 智英実 奥村 亮太 秦野 佑紀 鈴木 太朗 堀江 寿美 高谷 浩司 大見 英明
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.51-64, 2018-01-25 (Released:2018-03-05)
参考文献数
21
被引用文献数
1

目的:移動販売車利用者の栄養素摂取量および食品摂取量を,店舗利用者のそれらと比較した.さらに,移動販売車利用者の中で買い物回数の違いおよび買い物手段が移動販売車以外にもある場合と無い場合の栄養素摂取量および食品摂取量についても比較した.これらの検討から,移動販売車利用者の栄養摂取状況の問題点を明らかにする.方法:買い物に移動販売車または店舗を利用した65歳以上の女性高齢者257名を対象に24時間思い出し法による食事調査および食料品アクセスに関するアンケート調査を実施した.栄養素摂取量および食品摂取量の比較は,年齢を共変量とした共分散分析により行った.結果:移動販売車利用者の栄養素および食品摂取量は,店舗利用者と比較して,エネルギー摂取量が168 kcal有意に低く,また3大栄養素および種々のビタミン,ミネラル類が有意に低値であった.食品摂取量では,移動販売車利用者は緑黄色野菜,その他の野菜,肉類等が有意に低値であった.次に移動販売車利用者について解析を行った.移動販売車のみを買い物手段とする者は,移動販売車以外に買い物手段を持つ者より,エネルギー,3大栄養素およびその他の栄養素が有意に低値であった.さらに,移動販売車のみの利用者で買い物回数と栄養素摂取量および食品摂取量を比較したところ,1週間の買い物回数が1回の者は,2回の者よりもエネルギー,たんぱく質等の摂取量が有意に少なかった.結論:移動販売車利用者では,3大栄養素や種々のミネラル,ビタミン摂取量が低値であり,食品としては野菜,肉類,乳類等の摂取量が少なかった.これらの事実は,移動販売車利用者では,食事量そのものが不足気味であることを示唆している.その一因として,移動販売車以外の他の買い物手段がないことや買い物回数が週に1回であることが考えられ,これらの改善が望まれる.
著者
柴原 弘明 戸倉 由美子 伊勢呂 哲也 惠谷 俊紀 池上 要介 神谷 浩行 橋本 良博 岩瀬 豊 植松 夏子 今井 絵理 西村 大作
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.514-517, 2012 (Released:2012-05-22)
参考文献数
17
被引用文献数
1

【緒言】ミルタザピンはノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)で, 5-HT3受容体拮抗作用をもち, 嘔気を改善する先行研究が報告されている. 【症例】38歳, 女性. 遠隔転移を伴う進行腎がんに対し, スニチニブとオキシコドンを投与した. 経過中に出現した難治性嘔気・嘔吐に, ミルタザピン1.875 mg/日を開始した. 開始翌日に嘔吐は消失し, 2日目に3.75 mg/日へ増量したところ, 3日目には嘔気も消失した. 消化器症状でスニチニブとオキシコドンを中止することなく治療を続行できた. ミルタザピン15 mg/日の投与量では眠気が出現することがあるが, 今回の低用量投与で眠気はみられずに消化器症状の改善が得られた. 【結論】ミルタザピンの低用量投与は, スニチニブとオキシコドン併用時の難治性嘔気・嘔吐に対して, 有効な選択肢の1つであると考えられる.
著者
朴 杓允 西村 正暘 甲元 啓介 尾谷 浩
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.488-500, 1981-09-25
被引用文献数
1

イチゴ黒斑病菌, ナシ黒斑病菌, トマトstem canker病菌およびリンゴ斑点落葉病菌の宿主特異的毒素(それぞれAF-toxin I, II, AK-toxin, AL-toxinおよびAM-toxin I)によってひきおこされた各宿主細胞の初期変性を電顕によって比較観察した。これら毒素による変性像は, 3つの型に分けられた。1つは, 透過性機能の崩壊を伴う原形質膜の陥入・断片化・小胞化, 原形質連絡糸の変形そして細胞壁の崩壊であった。これはAK-toxin-感受性ナシ花弁, AM-toxin I-感受性リンゴおよびナシ葉, AF-toxin I-感受性イチゴおよびナシ葉, AF-toxin II-感受性ナシ葉の各組み合せで見られた。なお, AF-toxin II-感受性イチゴ葉の組み合せでは, 肉眼的な毒性は認められなかったが, 電顕下では維管束細胞の崩壊が観察された。2番目の型は, 葉緑素含量の減少を伴う葉緑体グラナの小胞化であった。これはAM-toxin I-感受性リンゴおよびナシ葉の光合成組織細胞だけで認められた。3番目の型は, ミトコンドリアと粗面小胞体の変性であった。両者とも膨潤・小胞化した。ミトコンドリアでは, その基質は漏出し, クリステの数は減少した。これはAL-toxin-感受性トマト葉で認められた。上記各毒素を処理したすべての抵抗性宿主細胞では, なんらの変性も認められなかった。以上の結果から, AK-toxinとAF-toxin IおよびIIの作用点は, 感受性宿主細胞の原形質膜や細胞壁上に, AL-toxinのそれは, 感受性細胞のミトコンドリアや粗面小胞体上にあると考えられる。なお, AM-toxin Iの作用点は, 葉緑体を持っ感受性細胞では原形質膜・細胞壁および葉緑体グラナ上に存在し, 葉緑体を持たない細胞では, 原形質膜・細胞壁上に存在するものと考えられる。
著者
齊藤 祐毅 三谷 浩樹 米川 博之 福島 啓文 佐々木 徹 新橋 渉 瀬戸 陽 北野 睦三 小泉 雄 植木 雄志 神山 亮介 川畑 隆之 蛯名 彩 足立 充隆 小倉 真理子 川端 一嘉
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部癌 (ISSN:13495747)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.74-79, 2012
被引用文献数
5

1980年1月から2010年12月までの30年間にがん研病院頭頸科で一次治療として手術を行った頭頸部原発粘膜悪性黒色腫40例の治療成績を検討した。男女比1:1,年齢は24~79歳(中央値62歳),観察期間は5~174ヶ月(中央値23ヶ月)であった。原発臓器は鼻副鼻腔:28例,口腔:9例,咽頭:3例。TNM分類(AJCC/UICC第7版)ではT3:8例,T4a:23例,T4b:9例でN0:36例,N1:4例,stage III:6例,stage IVA:25例,stage IVB:9例であった。Kaplan-Meier法による5年局所制御率,粗生存率,無再発生存率は70%,43%,29%であった。TNM分類は臨床的な予後とよく相関し,T4b,N1は予後不良であった。原発後方再発の制御が課題と考えられた。後発頸部リンパ節転移も高率にみとめ,頸部郭清が治療成績の維持に一定の効果を認めた。
著者
武田 文男 竹内 潔 水山 高久 池谷 浩
出版者
GRIPS Policy Research Center
雑誌
GRIPS Discussion Papers
巻号頁・発行日
vol.16-05, 2016-06

平成24・25年の災害対策基本法改正は,制定以来の大改正であり,改正法等の適切な運用を図るため自治体に求められる実務的課題は多いのではないかと考えている。災害対策基本法等の主たる運用を担う自治体における実務的課題等について,関係自治体の現状や取組み,認識等の実態を明らかにし,今後のあるべき対応を提言するものである。
著者
西田 和広 水谷 浩之 津留 正臣 川上 憲司 檜枝 護重
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.63, pp.83-86, 2008-05-22
被引用文献数
1

低位相雑音VCOの構成として,線路共振器に能動回路および同調回路をそれぞれタップ結合で接続したデュアルタップ結合型線路共振器を用いたVCOを提案する.共振器の解析式を導出し,数値計算により,外部Qと共振周波数の可変帯域幅とがタップ位置によって独立に設定可能であることを示している.能動回路にGaAs 2um HBTを用い,共振器にアルミナ基板を用いた12GHz帯における試作の結果,能動回路の接続位置により位相雑音が,同調回路の接続位置により発振周波数の可変帯域幅が,それぞれ独立に設定できることを確認している.また,可変帯域幅226MHz(1.88%)において,100kHz離順における位相雑音-117.6〜-114.4dBc/Hzを得,本構成の有効性を確認している.