著者
堀 秀昭 藤本 昭 山崎 美帆 伊藤 のぞみ 大谷 浩樹 小林 康孝 林 正岳
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.E0340, 2008

【目的】今回の介護保険制度改正は、「できない」「足りない」を補うだけでなく、「できる」「している」を増やす目標志向型にシフトし、特に運動器の機能向上、栄養改善、口腔機能の向上に関しては加算が行われる。しかし、これらのプランも事業所で行われるだけでは効果はなく、在宅・地域コミュニティで継続されることが重要である。今回、高齢者スポーツ実施を通して継続的に地域で介護予防を実施するために、スポーツ高齢者の身体機能を調査し、スポーツの特殊性を検討するための基本的な調査を行った。<BR>【方法】対象は、スポーツを行っている高齢者366名(平均年齢69.8歳)とスポーツを行っていない高齢者399名(平均年齢76.5歳)とした。スポーツの種類としては、エスキーテニス、バウンドテニス、ラージボール卓球、シルバーバレーボール、グランドゴルフ、マレットゴルフ、ゲートボール、太極拳とした。身体機能測定項目は、片脚立位時間、握力、5m速度とし、各々の測定値から運動機能総合判定指標を算出した。また同時に転倒リスクに関する調査も行った。分析は、実施の有無、種目別、年齢別にて分散分析、また重回帰分析により転倒リスクとの関連を検討した。<BR>【結果】1、片脚立位時間は、太極拳(49.2秒)、シルバーバレー(46.2秒)がマレット(28.0秒)ゲートボール(32.6秒)より有意に長かった。握力は、グランドゴルフ(36.5Kg)エスキー(35.5Kg)バウンド(35.1Kg)ゲートボール(34.3 Kg)であり、太極拳(27.8 Kg)より有意に強かった。5m歩行は、バウンド(2.1秒)がゲートボール(2.8秒)より有意に早かった。運動機能総合判定指標においては、各種目に有意差は認められなかった。2、転倒リスクとの関連では片脚立位時間(p=0.011)握力(p=0.013)が有意な関連が認められた。<BR>【考察】運動機能総合判定指標では各スポーツの種目において違いが認められなかったが、バランス能力の片脚立位時間や総合筋力指標の握力で、スポーツ間に違いが認められた。これは競技特性を表しており、ラケットを使用しての競技は握力が必要であり、前後左右への動きが必要とされるラージボール卓球、シルバーバレーボール、太極拳は片脚立位時間が必要とされる。また転倒リスクと片脚立位時間や握力に関連性が見られたことで、高齢者スポーツを紹介する手段として、高齢者の握力と片脚立位時間を測定し、過去のスポーツ暦を考慮に入れながら、転倒予防を目標としたスポーツ紹介が可能と考える。また運動の精神的効果や社会的効果も報告されており、汗を流す喜びを体験させ、体力の向上は健康感を実感させ、ストレスから解放し、また地域に住む人々とともに運動やスポーツを楽しむことで友達づくりに貢献できるので、高齢者スポーツの推進を積極的に行う必要性がある。
著者
奥谷 浩一
出版者
札幌学院大学総合研究所
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 (ISSN:09163166)
巻号頁・発行日
no.96, pp.77-99, 2014-10

アクセル・ホネットはいわゆるフランクフルト学派の第三世代にぞくすると評されるドイツの哲学者・社会学者である。その彼が『物化』を公刊した。この著作の意図は、マルクスによって創始されルカーチによって継承された物象化論に今一度アクチュアリティを与えようとするところにあるが、それはかなり特異な「物化」論でもある。その大きな特徴は、ルカーチの理論の読み換えを行い、彼独自の「承認」という概念を用いてこれを「物化」論に適用し、「物化」を「承認の忘却」として理解することである。しかし、こうした特異な「物化」論は、マルクスとルカーチによって定式化された物象化論から資本主義的商品交換社会という視点を排除し、本来社会的次元で生ずるはずの個々人どうしの「相互承認」の概念内容をも変更して、個人と環境世界との間の、しかも認知以前の「承認」へと拡大するとともに、個人的・人間学的な次元で読み換えようとするものであり、きわめて問題の多いものである。そしてそれは、その強引と思える読み換えと鍵となる概念内容の拡大によって、本来の物象化論がもつ社会批判としての意義を解消しかねないように思われる。本論文では、こうした観点から、マルクスとルカーチの物象化論に立ち帰ってまずその基本的思想を確認し、この準備作業から見えてくる、ホネットの「物化」と「承認」の理論がもつ問題点を分析する。論文
著者
室谷 浩平
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.39, no.152, pp.12-18, 2019 (Released:2019-04-26)
参考文献数
7

単純な流体解析を解くためには,粒子法を用いるのは計算精度の面で不向きであるが,境界面が複雑に変形し合うような解析や,多くの接触判定が必要となる解析では,粒子法は大きな力を発揮する.本稿では,前者の解析として,水滴が載っているレールの上を車輪が転がる解析を紹介し,後者の解析として,鉄道車両が走行時に舞い上げる雪が台車へ着雪する解析を紹介する. 本稿で紹介する可視化例は,POV-Rayによるフォトリアリスティックな可視化例と,3Dプリンターによる縮小模型の作成例である.粒子法による解析結果に対して,これらの可視化を行おうとすると,三角形ポリゴンで構成された等値面が必要となる.ParaViewを用いれば,簡単に等値面を生成することができるだけでなく,レイトレーシングによる可視化できる.可視化は,解析結果の解釈を助けるだけでなく,アウトリーチ活動にも効果的であるため,多くの可視化技術の普及が期待されている.
著者
池田 卓生 関谷 透 木戸 利成 金谷 浩一郎 田原 哲也 原 浩貴
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.97, no.4, pp.703-708, 1994 (Released:2008-03-19)
参考文献数
7

今回我々は,北海道上砂川町にある地下無重力実験センター(Japan Microgravity Center: JAMIC)を利用する機会を得たので,これが身体平衡系の研究における新しい実験手段として有用であるかを検討する目的で,平衡系実験セット(姿勢•行動観察用及び筋電図記録用)を作製し,カエルを用いた予備実験を行った.1) 姿勢•行動観察では,無処置群において頭部が背屈し,四肢が伸展するという特徴的な姿勢が観察できた.また前庭神経切断群では,落下前の姿勢変化はそのまま持続し,障害側を下にする回転運動が見られた.2) 筋電図では,落下直後に前庭脊髄反射のためと考えられる筋活動の亢進を認めた.また前庭神経切断例では,術側の潜時が,やや遅延した.3) カエルは,落下実験施設を利用した平衡系実験の実験動物として適当である.4) 微小重力暴露時の身体平衡系の研究において,落下実験施設は非常に有用な実験手段である.
著者
柳川 隆 泉水 文雄 池田 千鶴 水野 倫理 草薙 真一 明城 聡 吉野 一郎 播磨谷 浩三
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

エネルギー・電気通信・鉄道といったネットワーク産業の制度改革の現状と課題、及び解決策について研究を行った。エネルギー産業については、日本、アメリカ、EUのアンバンドリングと再生可能エネルギー促進に関する政策を調査した。また、原子力発電所の所有形態について公的所有とフランスのNOME法について分析した。電気通信事業については、規制改革のインフラ投資の影響についての理論分析と、規制改革がもたらす競争政策上の課題について考察した。鉄道事業では、水平分離された国鉄の新幹線と在来線との兼営の効果と並行在来線の経営の効率性を検証した。
著者
遠山 泰明 酒谷 智彦 江草 洋 吉川 昭 三谷 浩 太田 豊
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.19, no.60, pp.43-48, 1995
参考文献数
1
被引用文献数
1

We developed a new system, non-integral speed playback VCR. By this system, variable speeds with synchronizing scene and sounds can be realized. The system is realized by three technologies, that is : (1) capstan phase control in non-integral speed playback (2) vertical dancing compensation on TV (3) key control technique
著者
鷲谷 浩輔
雑誌
千葉商大紀要
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.143-151, 2018-03
著者
戸高 義一 梅本 実 渡辺 幸則 土谷 浩一
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.690-696, 2003 (Released:2008-04-24)
参考文献数
30
被引用文献数
15 24

The surface nanocrystallization of various steels by air blast shot peening was investigated. It was found that nanocrystalline layers can be produced when higher shot speed and longer process period than those of conventional shot peening were applied. The produced nanocrystalline layers are several μm thick and show extremely high hardness. The layers have clear boundaries with the adjacent work-hardened regions. By annealing, slow grain growth without recrystallization is observed in the layers. Those characteristics are similar to those observed in the nanocrystalline layers produced by other techniques, such as ball milling, ball drop and particle impact deformations.
著者
上田 和夫 紺谷 浩
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

現在までに知られている磁性体の中でもっとも複雑な相図を示すことで良く知られているのはCeSbである。磁場-温度平面での階段状の複雑な相図はデビルズ・ステアケース(悪魔の階段)と呼ばれている。CeSbに限らず一般のCeX(X=P,As,Bi,Sb)で程度の差はあれ、複雑な磁気相図が見られることは、この現象の背後に一般的なメカニズムが存在することを示唆している。CeXがその他のセリウム化合物とことなる特徴は、この系におけるキャリアーの数が大変少ないことで、CeXは小数キャリアー系と呼ばれている。CeXのキャリアーはΓ点のホールとX点の電子からなり立っている。このような、半金属ではそれぞれのキャリアーに対する近藤結合に加えて、電子からホールへ遷移する際にf電子とのスピン交換を伴うプロセスが可能になる。この非対角的交換相互作用にともなう運動量変化は反強磁性波数ベクトルに対応するから、この非対角相互作用は反強磁性的に働くことになる。対角(バンド内),非対角(バンド間)交換相互作用にもとづく二種類のRKKY相互作用の間のフラストレーションがCeXで見られるデビルズ・ステアケースを理解する鍵と考えられる。当研究課題での研究によりこの考えが正しいことが、簡単な一次元モデルを用いて検証された。このRKKY相互作用は、局在スピンによって誘起される磁気的フリーデル振動がその起源である。その詳細を調べるため、近藤格子モデルに対する密度行列繰り込み群のプログラムを開発し、常磁性における電荷およびスピンのフリーデル振動を観測することが出来た。。その周期から、近藤格子の常磁性相では、フェルミ波数が伝導電子の密度に局在スピンの数を加えたもので決まっている、すなわちフェルミ面が大きいことが明らかになった。
著者
水谷 浩之
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0180328a, (Released:2018-09-21)
参考文献数
37

本研究では、Mintzberg, Raisinghani, and Theoret (1976) の漸進的意思決定モデルにおける中断に注目し、地方自治体の意思決定プロセスを分析した。その結果、漸進的意思決定モデルで指摘されている中断とは異なり、大まかな方針が決まった後に、他の意思決定との整合性をとるために起こる「意思決定後の中断」が明らかになった。漸進的意思決定モデルに「意思決定の連鎖」と「他の意思決定の影響」という二つの要素を加えたモデルにより、この現象を理解することができ、実態に即した地方自治体の意思決定プロセスの理論的な考察が可能になる。
著者
藤谷 浩悦
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.113, no.10, pp.1659-1688, 2004

This paper considers the Ping-Liu-Li Uprising of 1906 from the viewpoint of popular culture surrounding the Mid-autumn festival, and focuses on the following three points. First, the Ping-Liu-Li Uprising consisted of many phases, and rumors about the uprising which appeared in the Mid-autumn festival played an important role. The second point is the ideals and world view of the people were contained in the rumors. The third point concerns the connection between those ideals and world view and several leaders of the Tong Meng Hui and the Hong River Society. The Ping-Liu-Li Uprising started with an appeal from the Tong Meng Hui to the secret societies, which resulted in the organization of the Hong River Society. However, the main factor which led to the uprising was popular ideals and world view as reflected in Mid-autumn festival : the idea of the present world coming to an end, the appearance of a savior, and the realization of a peaceful world. It was believed that a savior would come to earth on the night of the Mid-autumn festival and save the people. Ultimately, this meant the return of the fundamental world. It has been said that the Ping-Liu-Li Uprising was raised by leaders of the Tong Meng Hui and the Hong River Society. However, the ideals and world view of the people also played an important role in this uprising. This phenomenon was to be repeated in the Revolution of 1911.
著者
細谷 浩之 谷 直記
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.900-903, 2006-06-01

韓国の会社である,ケイターボ社は高効率のターボブロワ(TB)シリーズを開発した。TBシリーズは半永久的なエアーフォイルベアリングと高效率高速モータを適用し,ルーツブロワに比べて30%以上のエネルギー節約及びメンテナンスの削減で長寿命のターボブロワである。機械的な摩擦が無いことと低騒音の構造にすることにより,低騒音75dBと画期的に減少し,速回転するので重さと設置面積を大幅に削減できた。振動がないので防振工事の必要がない。<BR>汚排水処理曝気用,セメント工場の搬送システム,製紙工場,纖維工場などProcess Airの供給装置として使用できる。また遠隔操作も可能であり,お客様の幅広いニーズに対応できる。
著者
花谷 浩
出版者
一般社団法人 日本考古学協会
雑誌
日本考古学 (ISSN:13408488)
巻号頁・発行日
vol.6, no.8, pp.117-126, 1999-10-09 (Released:2009-02-16)
参考文献数
18

飛鳥寺南東の谷あいにある飛鳥池遺跡は,7世紀後半から8世紀初めにかけて操業された一大工業団地を中核とする遺跡。3年にわたる調査により,その構造が判明してきた。遺跡南半の工房地区は,人字形の谷の両側に金・銀・ガラスなどの類・銅・鉄・漆などの工房が業種ごとに配置され,いわばコンビナートを形成していた。工房地区中央から東南にかけては,銅・鉄・漆などの工房が操業した。西南部では,金・銀・玉類などの宝飾品が製作された。いずれの工房も,斜面にテラスを作って作業面とし,整地を繰り返しながら炉を築く。みつかった炉跡は,総計300基近くに達する。また,谷の東側では,入唐僧・道昭が創建した,飛鳥寺東南禅院の瓦窯も発見された。谷筋には汚水処理施設がある。陸橋と水溜によって工房からの廃棄物を谷に堆積させ,さらに,北半にある石組み池に導水し,そこで再度沈殿させて遺跡外に排水する。遺跡の北半にはほかに,石敷井戸や掘立柱建物などがある。工房から排出された廃棄物層(炭層)から,多種多様な遺物が膨大にみつかった。各業種の失敗品や道具類,鉱滓などがあり,生産工程が復原できる。様を使った注文生産も確認された。最近,富本銭とその銭笵などが出土し,日本最初の鋳銭が確認された。大量の木簡が出土したことも,飛鳥池遺跡の特色。南半の工房地区からは,その生産に天皇や皇子宮が関わることを示す木簡がみつかった。北半部から多量に出土した木簡は,飛鳥寺あるいは東南禅院に関連する木簡群,「天皇」や「次米」の文言あるいは地方行政組織の変遷を物語る木簡群,さらには工房に関連する木簡群など,豊富な内容をもつ。富本銭鋳造に端的に表現されるように,この遺跡は飛鳥浄御原宮や藤原宮と密接な関係をもつが,一方では飛鳥寺や東南禅院とも深い関わりがある。複数の業種が一カ所に集まって生産を行い,宮殿や皇子宮あるいは寺院へも製品を供給する飛鳥池遺跡の操業形態は,この時代でなくては実現しえなかっただろうし,またそのような遺跡はここしかないだろう。律令国家成立期を研究する上でこの遺跡の解明は大きな意義をもつ。
著者
三木谷 浩史 井上 裕
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1316, pp.6-8, 2005-11-14

問 楽天とTBSの問題では交渉の落とし所や買収防衛を巡る技術論にメディアの関心が偏り過ぎているように思います。そこで原点に戻り、三木谷さんがTBSになぜ経営統合を持ちかけたのか、またインターネット、放送、メディアの世界が今後どう変わっていくとお考えなのかからお伺いしたい。