著者
谷口 正実
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.6, pp.1426-1432, 2013-06-10 (Released:2014-06-10)
参考文献数
20
被引用文献数
3 4

・アスピリンに対するアレルギーではなく,COX1阻害作用を持つNSAIDsにより,強い気道症状を呈する不耐症であるが,選択的COX2阻害薬は安全に使用できる.・成人喘息の約5~10%を占め,男女比は1:2で小児ではまれである.・ほとんどの症例で好酸球性鼻茸を合併し,近年では好酸球性中耳炎や胃腸症,異型狭心症の合併が増加している.・通常のアレルギー学的検査では診断不能で,問診(NSAIDs使用歴,嗅覚低下,鼻茸手術歴の確認)が重要であり,確定診断には内服試験が必要である.・静注用ステロイドの急速静注は禁忌であり,NSAIDs誘発時にはエピネフリンが奏効する.
著者
花房 規男 阿部 雅紀 常喜 信彦 星野 純一 谷口 正智 菊地 勘 長谷川 毅 後藤 俊介 小川 哲也 神田 英一郎 中井 滋 長沼 俊秀 三浦 健一郎 和田 篤志 武本 佳昭
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.473-536, 2023 (Released:2023-12-28)
参考文献数
20
被引用文献数
2

日本透析医学会統計調査(JSDT Renal Data Registry:JRDR)の2022年末時点における年次調査は,4,521施設を対象に実施され,施設調査票に関しては4,464施設(98.7%),患者調査票に関しては4,276施設(94.6%)のほぼ例年通りの回答を得た.わが国の透析患者数は近年増加速度が低下していたが,2022年末の施設調査結果による透析患者数は347,474人と,この調査で初めて前年に比較して減少した.人口百万人あたりの患者数は2,781人であった.患者調査結果による平均年齢は69.87歳で,最も多い原疾患は糖尿病性腎症(39.5%),次いで慢性糸球体腎炎(24.0%),第3位は腎硬化症であった(13.4%).2022年の施設調査結果による透析導入患者数は39,683人であり,2021年から828人減少した.患者調査結果による透析導入患者の平均年齢は71.42歳であり,原疾患では糖尿病性腎症が最も多く38.7%で,昨年より1.5ポイント少なかった.第2位は腎硬化症(18.7%)で,昨年同様慢性糸球体腎炎(14.0%)を上回った.2022年の施設調査結果による年間死亡患者数は38,464人であり,前年に比較して大きく増加した.このことが全患者数の減少につながっている可能性がある.年齢調整がされていない年間粗死亡率も,過去最高の11.0%であった.主要死因は感染症(22.6%),心不全(21.0%),悪性腫瘍(7.6%)の順で,2022年は感染症が最も多かった.2012年以降,血液透析濾過(HDF)患者数は急増しており2022年末の施設調査票による患者数は191,492人で,維持透析患者全体の55.1%を占めた.腹膜透析(PD)患者数は10,531人で2017年から増加傾向にある.PD患者のうち20.3%は血液透析(HD)やHDFとの併用療法であり,この比率はほぼ一定していた.2022年末の在宅HD患者数は827人であり,2021年末から79人増加した.2022年は,新規調査として腎性貧血を行い,引き続き,新型コロナウイルス感染症,生体腎移植による腎提供の既往が調査された.2022年末の現況報告では,2018年以来行っていなかった腹膜透析の章も再開した.これらのデータはそれぞれの疾患・患者に関する基礎資料となり,その結果から,より治療効果の高い日常臨床パターンの提案が期待される.
著者
源馬 均 佐藤 篤彦 千田 金吾 岡野 昌彦 岩田 政敏 安田 和雅 谷口 正実 山崎 晃 立田 良廣 西村 和子
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.710-717, 1991-06-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
24

超音波加湿器による過敏性肺炎の2例を報告した. 両例とも環境誘発試験陽性であり, 同試験後早期のBALは好中球増多を示し, 第1例では病理組織学的にも胞隔内に好中球浸潤が認められた. 第1例では加湿器の水の培養を施行しえなかったが, 皮内反応, 沈降抗体, 吸入試験の成績から Aspergillus fumigatus が起因抗原と考えられた. 第2例では水の培養および沈隆抗体から抗原として Acremonium が疑われた. 従来, 加湿器肺の抗原として好熱性微生物が重視されていたが, 超音波加湿器による本報告例ではその関与を示唆する所見は得られなかったことから, 本症の抗原検索にあたっては加湿器の機構にも留意すべきと考えられた.
著者
花房 規男 阿部 雅紀 常喜 信彦 星野 純一 菊地 勘 後藤 俊介 神田 英一郎 谷口 正智 中井 滋 長沼 俊秀 長谷川 毅 三浦 健一郎 和田 篤志 武本 佳昭
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.611-657, 2021 (Released:2021-12-28)
参考文献数
19
被引用文献数
21

日本透析医学会統計調査(JSDT Renal Data Registry: JRDR)の2020年末時点における年次調査は,4,493施設を対象に実施され,施設調査票に関しては4,437施設(98.8%),患者調査票に関しては4,271施設(95.1%)のほぼ例年通りの回答を得た.わが国の透析患者数は年々増加し,2020年末の施設調査結果による透析患者数は347,671人に達し,人口百万人あたりの患者数は2,754人であった.患者調査結果による平均年齢は69.40歳で,最も多い原疾患は糖尿病性腎症(39.5%),次いで慢性糸球体腎炎(25.3%),第3位は腎硬化症であった(12.1%).2020年の施設調査結果による透析導入患者数は40,744人であり,2019年から141人減少した.患者調査結果による透析導入患者の平均年齢は70.88歳であり,原疾患では糖尿病性腎症が最も多く40.7%で,昨年より0.9ポイント少なかった.第2位は腎硬化症(17.5%)で,昨年同様慢性糸球体腎炎(15.0%)を上回った.2020年の施設調査結果による年間死亡患者数は34,414人であり,年間粗死亡率は9.9%であった.主要死因は心不全(22.4%),感染症(21.5%),悪性腫瘍(9.0%)の順で,昨年とほぼ同じ比率であった.2012年以降,血液透析濾過(HDF)患者数は急増しており2020年末の施設調査票による患者数は163,825人で,維持透析患者全体の47.1%を占めた.腹膜透析(PD)患者数は10,338人であり2017年から増加傾向にある.腹膜透析患者のうち20.8%は血液透析(HD)やHDFとの併用療法であり,この比率はほぼ一定していた.2020年末の在宅HD患者数は751人であり,2018年末から9人減少した.2020年は,新規調査項目として,新型コロナウイルス感染症,悪性腫瘍の調査が行われた.また2019年に引き続き,生体腎移植における腎提供の既往が調査された.これらのデータはそれぞれの疾患・患者に関する基礎資料となり,その結果から,より治療効果の高い日常臨床パターンの提案が期待される.
著者
花房 規男 阿部 雅紀 常喜 信彦 星野 純一 和田 篤志 菊地 勘 後藤 俊介 小川 哲也 神田 英一郎 谷口 正智 中井 滋 長沼 俊秀 長谷川 毅 三浦 健一郎 武本 佳昭
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.665-723, 2022 (Released:2022-12-27)
参考文献数
22
被引用文献数
10

日本透析医学会統計調査(JSDT Renal Data Registry:JRDR)の2021年末時点における年次調査は,4,508施設を対象に実施され,施設調査票に関しては4,454施設(98.8%),患者調査票に関しては4,251施設(94.3%)のほぼ例年通りの回答を得た.わが国の透析患者数は年々増加し,2021年末の施設調査結果による透析患者数は349,700人に達し,人口百万人あたりの患者数は2,786人であった.患者調査結果による平均年齢は69.67歳で,最も多い原疾患は糖尿病性腎症(39.6%),次いで慢性糸球体腎炎(24.6%),第3位は腎硬化症であった(12.8%). 2021年の施設調査結果による透析導入患者数は40,511人であり,2020年から233人減少した.患者調査結果による透析導入患者の平均年齢は71.09歳であり,原疾患では糖尿病性腎症が最も多く40.2%で,昨年より0.5ポイント少なかった.第2位は腎硬化症(18.2%)で,昨年同様慢性糸球体腎炎(14.2%)を上回った.2021年の施設調査結果による年間死亡患者数は36,156人であり,年間粗死亡率は10.4%であった.主要死因は心不全(22.4%),感染症(22.0%),悪性腫瘍(8.4%)の順で,昨年とほぼ同じ比率であった.2012年以降,血液透析濾過(HDF)患者数は急増しており2021年末の施設調査票による患者数は176,601人で,維持透析患者全体の50.5%を占めた.腹膜透析(PD)患者数は10,501人であり2017年から増加傾向にある.腹膜透析患者のうち20.3%は血液透析(HD)やHDF との併用療法であり,この比率はほぼ一定していた.2021年末の在宅HD患者数は748人であり,2020年末から3人減少した.2021年は,施設調査として災害対策調査,また本年も引き続き,新型コロナウイルス感染症,悪性腫瘍,生体腎移植による腎提供の既往が調査された.これらのデータはそれぞれの疾患・患者に関する基礎資料となり,その結果から,より治療効果の高い日常臨床パターンの提案が期待される.
著者
谷口 正哲
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.937-940, 2015 (Released:2015-08-20)
参考文献数
24

がんの発症から宿主の死亡まで、がん治療の全経過を通じて様々なリハビリテーションが適用される。その有用性が確認され、法律上も医療保険制度上も施行が推奨されている。栄養療法との併用も有用であり、特に前悪液質・悪液質期における筋委縮とADL 低下については摂食・嚥下訓練による摂食量の増加、運動療法と充分なタンパク補給の併用による筋委縮の改善が示され、今後の普及・標準化が期待される。
著者
新田 孝作 政金 生人 花房 規男 星野 純一 谷口 正智 常喜 信彦 後藤 俊介 阿部 雅紀 中井 滋 長谷川 毅 濱野 高行 三浦 健一郎 和田 篤志 山本 景一 中元 秀友
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.579-632, 2020 (Released:2020-12-28)
参考文献数
23
被引用文献数
22

日本透析医学会統計調査 (JSDT Renal Data Registry: JRDR) の2019年末時点における年次調査は, 4,487施設を対象に実施され, 施設調査票は4,411施設 (98.3%), 患者調査票は4,238施設 (94.5%) からほぼ例年通りの回答を得た. わが国の慢性透析患者数は年々増加し, 2019年末の施設調査結果による透析患者数は344,640人に達し, 人口百万人あたりの患者数は2,732人であった. 患者調査結果による平均年齢は69.09歳で, 最も多い原疾患は糖尿病性腎症 (39.1%), 次いで慢性糸球体腎炎 (25.7%), 第3位は腎硬化症であった (11.4%). 2019年の施設調査結果による透析導入患者数は40,885人であり, 2018年から417人増加した. 患者調査結果による透析導入患者の平均年齢は70.42歳であり, 原疾患では糖尿病性腎症が最も多く41.6%で, 昨年より0.7ポイント少なかった. 第2位は腎硬化症 (16.4%) で, 初めて慢性糸球体腎炎 (14.9%) を上回った. 2019年の施設調査結果による年間死亡患者数は34,642人であり, 年間粗死亡率は10.1%であった. 主要死因は心不全 (22.7%), 感染症 (21.5%), 悪性腫瘍 (8.7%) の順で, 昨年とほぼ同じ比率であった. 2012年以降, 血液透析濾過 (HDF) 患者数は急増しており2019年末の施設調査票による患者数は144,686人で, 維持透析患者全体の42.0%を占めた. 腹膜透析 (PD) 患者数は9,920人であり2017年から増加傾向にある. 腹膜透析患者のうち19.2%は血液透析 (HD) やHDFとの併用療法であり, この比率はほぼ一定していた. 2019年末の在宅HD患者数は760人であり, 2018年末から40人増加した. 2019年調査では, 2009年から10年ぶりにCKD-MBDに関する総合的な調査が行われた. 今後は新しく開発された薬剤の治療効果や問題点, 2012年に改訂されたガイドラインの影響等を詳細に解析する予定である. これらのデータは, CKD-MBDガイドラインの改定の基礎資料となり, より治療効果の高い日常臨床の治療パターンの提案が期待される.
著者
谷口 正実
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.1, pp.148-157, 2006-01-10 (Released:2008-12-12)
参考文献数
33
被引用文献数
3 4 2

NSAID不耐症は, 気道型と皮膚型に分かれる. 前者は, いわゆるアスピリン喘息 (NSAID過敏喘息) であり, プロスタグランディン合成酵素であるシクロオキシゲナーゼ (COX) 阻害作用を持つNSAIDsにより, 強い喘息発作と鼻症状をきたし, 成人喘息の約10%を占める. 一方, 皮膚型は, 慢性蕁麻疹患者に合併しやすい. NSAID過敏喘息の典型的臨床像は, 成人後に発症する非アトピー型重症喘息で, 好酸球性鼻茸副鼻腔炎を合併し, 嗅覚低下を伴うことである. また好酸球浸潤性の中耳炎や胃腸炎を合併することもある. その特徴的病態として, システイニルロイコトリエンの過剰産生があり, 鼻茸副鼻腔がその産生源として重要である. またCOX2阻害薬は安全に使用できることが多くの報告で確認され, 本症の本態は, COX1阻害薬過敏と考えられつつある. 臨床上注意すべき点として, 問診にてもNSAIDs誘発歴の無い症例が少なくないこと, 発作増悪しうるNSAIDsは, あらゆる剤型 (内服や坐薬だけでなく, 貼付, 塗布薬など) が含まれること, 静注用ステロイドの急速静注で発作が増悪しやすいこと, などが挙げられる.
著者
中井 滋 鈴木 一之 政金 生人 和田 篤志 伊丹 儀友 尾形 聡 木全 直樹 重松 隆 篠田 俊雄 庄司 哲雄 谷口 正智 土田 健司 中元 秀友 西 慎一 西 裕志 橋本 整司 長谷川 毅 花房 規男 濱野 高行 藤井 直彦 丸林 誠二 守田 治 山縣 邦弘 若井 建志 渡邊 有三 井関 邦敏 椿原 美治
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.1-31, 2003-01-28
被引用文献数
34 5

2008年末の統計調査は全国の4,124施設を対象に実施され,4,081施設(99.0%)から回答を回収した.2008年末のわが国の透析人口は283,421人であり,昨年末に比べて8,179名(3.0%)の増加であった.人口100万人あたりの患者数は2,220人である.2007年末から2008年末までの1年間の粗死亡率は9.8%であった.透析導入症例の平均年齢は67.2歳,透析人口全体の平均年齢は65.3歳であった.透析導入症例の原疾患ごとのパーセンテージでは,糖尿病性腎症が43.3%,慢性糸球体腎炎は22.8%であった.2008年に透析液細菌数測定を行った施設の52.0%において透析液細菌数測定のための透析液サンプル量は10 mL以上確保されていた.施設血液透析患者の治療条件では,全体の95.4%は週3回治療を受けており,1回治療時間の平均は3.92(±0.53;s.d.以下略)時間であった.血流量の平均値は197(±31)mL/分,透析液流量の平均値は487(±33)mL/分であった.ダイアライザではpolysulfone(PS)膜使用患者が50.7%と最も多く,膜面積平均は1.63(±0.35)m<SUP>2</SUP>であった.ダイアライザ機能分類ではIV型ダイアライザを使用している患者が80.3%と最も多かった.体外循環を用いた血液浄化療法を施行されている患者の治療前各種電解質濃度平均値は以下のようであった;血清ナトリウム濃度138.8(±3.3)mEq/L,血清カリウム濃度4.96(±0.81)mEq/L,血清クロール濃度102.1(±3.1)mEq/L,pH 7.35(±0.05),HCO<SUB>3</SUB><SUP>-</SUP>濃度20.7(±3.0)mEq/L.施設血液透析患者のバスキュラーアクセス種類では,自己血管動静脈瘻が89.7%,人工血管動静脈瘻は7.1%を占めていた.2007年1年間のHCV抗体陽性化率は1.04%であり,透析歴20年以上の患者のHCV抗体陽性化率は極めて高かった.また,透析前血清クレアチニン濃度,血清アルブミン濃度,血清総コレステロール濃度,かつまたは,body mass indexが低い患者でHCV抗体陽性化リスクは高かった.
著者
森 健二 谷口 正明
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.775-780, 2007-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
6
被引用文献数
2 2

有効アイドリングストップ時間が5秒であるという新たな知見に基づき、信号待ち時にアイドリングストップを行った際に、円滑性を阻害しないエンジン始動のタイミングを検討した。エンジン始動の条件をいくつか設定し、信号交差点を模擬した戸外の実験コースにおいて様々な条件下における車列の捌け具合を観測した。その結果、先頭から3台目までの車両は、対面信号が青になってからエンジンを始動するのでは遅れが発生することが明らかとなった。しかし、これらの車両にあっても、交差側信号の黄開始をトリガーとすること、または青開始を予告することができればこの様な遅れは生じないことが確認された。
著者
黒木 暢一 堀口 みなみ 田井 博 谷口 正次
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.1225-1231, 2023 (Released:2023-07-20)
参考文献数
21

症例は69歳女性.腹痛,嘔吐を主訴に来院した.CTにて最大37mm大の含気性の腫瘤像が胃に4個と空腸に1個みられた.空腸の腫瘤は内腔を占め,口側腸管は拡張して腸液が充満していた.柿の嗜好歴があり腫瘤は柿胃石と考え,胃石が空腸に陥頓したものと診断した.腹膜刺激症状はみられず,緊急手術ではなく,まず保存的加療を選択した.イレウス管を挿入し減圧後,コーラ溶解療法を行ったところ,胃石は回腸まで移動した.最終的に回腸に嵌頓したため,経肛門的にシングルバルーン内視鏡を挿入し,鉗子口からコーラを注入,スネア破砕を行い,胃石を回収することに成功した.結石分析はタンニン98%であり,柿胃石に矛盾しなかった.
著者
中尾 寿朗 荒尾 真樹 藤本 幸一 細野 正彦 谷口 正宏 石川 達也
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.83, pp.15-21, 2001-09-06
被引用文献数
4

近年インターネットやモバイル端末の急速な普及によって鉄道においても様々なIT活用サービスが提案されている。本開発では切符の機能をモバイル端末で実現する鉄道向け電子チケット(以下デジタルチケットと呼ぶ)システムを構築した。デジタルチケットは切符の取引や予約をモバイル環境で可能にし「いつでもどこでも切符が買えて、そのまま改札を通過できる」という利便性が期待できる。実現にあたっては、(1)チケット取引・使用の安全性確保 (2)モバイル端末での操作利便性の実現 (3)自動改札判定の高機能対応と高速化、といった主要な課題を解決した。評価システムの構築、実現性の検証、実用化に向けての課題について考察する。また、デジタルチケットの実現により新たに創出が可能となるサービスを検討し、一例として運用を予定している「自動改札機連動モバイル情報配信サービス:goopas(グーパス)」について、その概要を紹介する。The Automatic Fare Collection (AFC) System has started change the form of tickets from magnetic ones to IC cards and prepaid cards. On the other hand, the explosive spread of cellular phones has induced the idea of building an IC card into cellular phones carried by commuters so that the cellular phones will incorporate a train ticket function. The users can expect the convenience that they can buy virtual tickets anywhere and anytime and pass the ticket gates. The following technical themes are important items awaiting solution for mobile equipments to handle digital tickets. This paper reports a solution to the items with an evaluation result and the actualization of solution. (1) Security in dealing with or using digital tickets (2) Ease of use of function built into PDA and cellular phone units (3) Improvement in the response speed of an automatic ticket gates. Furthermore, realization of a digital ticket considered the service whose creation is newly attained. As an example, we introduce the outline about the information distribution service interlocked with the automatic ticket gates.
著者
吉田 剛 鷲尾 隆 大城 敬人 谷口 正輝
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

急速に発展している先端計測技術の膨大な出力は複雑でノイズが多く,計測対象の高精度推定やノイズ除去のために機械学習技術を適用する必要性が高まっている.ところが既存の標準的機械学習は対象の母集団分布が変わらないことを前提とするベイズ推定を基にしている.そのため例えば,統計的に非定常な計測ノイズを除去するには,対象分布に依存しない最尤推定原理に基づいた新しい手法が必要となる.本研究では計測ノイズ除去のために,最尤推定原理に基づき多数のラベルなし事例と少数の正例からPU分類器(Positive and Unlabeled Classification)を学習する原理の検討を行った.そしてこの検討PUC手法を,現実の計測ノイズ除去問題に適用し,高精度・高ロバストな性能を得た.