著者
小杉 泰 足立 明 東長 靖 田辺 明生 藤倉 達郎 岡本 正明 仁子 寿晴 山根 聡 子島 進
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、環インド洋地域を構成する南アジア、東南アジア、西アジア/中東について、イスラーム、ヒンドゥー教、仏教が20世紀後半から宗教復興を遂げている状況を調査し、社会と宗教がともに現代的なテクノロジーによって変容している実態を解明した。特に先端医療の発展によって、宗教的な生命倫理が再構築されていることが明らかとなった。
著者
足立 明 山本 太郎 大木 昌 加藤 剛 内山田 康
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究の目的は、アジア諸社会において行われてきた公衆衛生に関わる社会開発の客観的・実態的把握に加え、政治的、社会文化的に構成され演出されてきた「清潔さ」「衛生」「健康」の関する語りやイメージを把握し、人々の社会開発をめぐる生活世界を解明することであった。そして、複数の社会での比較研究を通して、「開発現象」の共通性と個別性を明らかにすることを目指した。具体的には、(1)スリランカ、インド、インドネシアにおける公衆衛生プロジェクトの事例研究と、それに付随する様々な「開発現象」の学際的資料の収集、(2)開発言説を軸にした公衆衛生をめぐる新しい開発研究における枠組みの構築の2点であった。その結果、この3年間収集してきた資料は保健衛生に関わる開発プロジェクト、特に村落給水計画事業に関わるものであった。また、それと相前後して、調査のとりまとめに向けた理論的枠組みの再検討(アクター・ネットワーク論、サバルタン研究論)と、このような医療衛生研究の背景となる社会史的な資料の検討も行った。また、オランダに所蔵してあるインドネシアの医療史関係の資料も収集し分析した。ただし、とりまとめの研究成果報告書には、時間の関係で、村落給水事業の分析を十分に行うことは出来なかった。今後、村落給水計画に関する資料の整理を行い、開発言説と公衆衛生との関わりを論じていきたい。
著者
室橋 春光 河西 哲子 正高 信男 豊巻 敦人 豊巻 敦人 間宮 正幸 松田 康子 柳生 一自 安達 潤 斉藤 真善 松本 敏治 寺尾 敦 奥村 安寿子 足立 明夏 岩田 みちる 土田 幸男 日高 茂暢 蓮沼 杏花 橋本 悟 佐藤 史人 坂井 恵 吉川 和幸
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

発達障害は生物学的基盤を背景とし、社会的環境の影響を強く受けて、非平均的な活動特性を生じ、成長途上並びに成人後においても様々な認知的・行動的問題を生ずる発達の一連のありかたである。本研究では発達障害特性に関する認知神経科学的諸検査及び、社会的環境・生活の質(QOL)に関する調査を実施した。脆弱性と回復性に関連する共通的背景メカニズムとして視覚系背側経路処理機能を基盤とした実行機能やワーキングメモリー機能を想定し、事象関連電位や眼球運動等の指標を分析して、個に応じた読みや書きなどの支援方法に関する検討を行った。また、QOLと障害特性調査結果の親子間の相違に基いた援助方法等を総合的に検討した。
著者
小野 忠義 足立 明巳
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
油化学 (ISSN:18842003)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.72-76, 1959-02-20 (Released:2009-10-09)
参考文献数
4
被引用文献数
1
著者
足立 明彦 小林 英一 渡邉 義之 米山サーネキー 智子 早坂 典弘 鈴木 誉 岡本 美孝 佐伯 直勝
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.8, pp.597-603, 2011-08-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
13
被引用文献数
3 8

CBS(carotid blowout syndrome)は,頭頚部腫瘍に対する放射線治療後に,遅発性に動脈破裂をきたす致死的疾患として知られている.今回,放射線治療後36年および2年を経て大量出血で発症し,血管内治療で良好な結果が得られた2例を報告する.1例目は,瘤内塞栓をしたものの,2週間後に再出血し,母動脈を閉塞した.2例目は,虚血耐性を確認できたため,同様にtrappingにて止血を得た.大量出血で発症するCBSは緊急の止血処置を要する.将来的には膜付きステントに期待が寄せられるが,現時点では閉塞試験が不可能な際にも,救命目的に母動脈閉塞を要する場面は少なくない.その際,照射野を外してのendovascular trappingは永続的止血を得る確実な方法であり,有効と考えられた.
著者
足立 明 平松 幸三 安藤 和雄
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、アクター・ネットワーク論(以下、ANT)を地域研究に援用し、地域における出来事や事象を、人、モノ、言葉(記号)のネットワークとしてとらえ、それらを動態として記述・分析することを目指した。ここでは、研究代表者と研究分担者がこれまで個別に関わってきた開発、在地の技術、基地の事例研究を、ANT的に再構成することで、地域研究におけるANT的な展開の可能性を具体的に議論した。本研究を通して理論的・方法論的に明確になってきた点は、以下の通りである。1.ANTは、科学技術研究を目的として発展してきたもので、上記のような対象には、十分な分析概念を必ずしも備えておらず、新たなボキャブラリーを付け加える必要がある。2.そのために、ANTと親和的な存在論と分析枠組みを持っている生態心理学とメディオロジーを検討した。生態心理学は、活動というものを人と文化的道具(言語、技術、改変された自然物など)の媒介過程ととらえている。また、メディオロジーでは、イデオロギーが歴史的に制度とモノによって媒介されて力を持つ過程を分析している。そして、これらの理論の検討の結果、これらのボキャブラリーが、今後のANTの理論的、方法論的な検討に有効であることを認識した。例えば、多様なアクタントが巻き込まれる過程の分析には、ANTにおけるネットワーク概念よりも生態心理学やメディオロジーにおける媒介概念の方がよりその動態を考えやすいと思われる。3.上記の検討から、新たなANTの分析枠組みを、人と文化的道具(制度、イデオロギーを含む)の歴史的な媒介過程の分析と言いかえることができるであろう。この意味で、本研究によって、このような媒介過程をより詳細に分析し、記述するという理論的・方法論的展望が開かれたといえる。
著者
丸山 定巳 花田 昌宣 宮北 隆志 中地 重晴 下地 明友 原田 正純 足立 明 井上 ゆかり 田尻 雅美 藤本 延啓
出版者
熊本学園大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究の目的は、近年の水俣病被害者救済策や地域振興策が水俣病患者にもたらすものを50年の歴史に照して検証することであった。そこで根本的に問われることは、改めて水俣病被害とは何であるのかを解明することであった。この基礎の上に立って、今日の意義と課題を明確にして行くことである。そのために、過去の資料、研究成果、種々のデータを洗い直し、現地のさまざまなアクターに密着して、被害者ばかりではなく水俣病に関わるステークホルダーとともに調査を実施した。それによって、水俣病という負の経験を将来に活かすことができ、また、環境被害に関する国際フォーラムを通してその成果を国内外に発信することができた。
著者
足立 明久 桐田 襄一
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.295-303, 1992-09-30

The purpose of this study was to develop a new method of team teaching for training student teachers and to investigate the effectiveness of the method. The originality of this method is as follows : (1) Two student teachers shared the two roles of the instructor based on two main functions, i.e., Performance and Maintenance of the PM leadership theory, and they interacted between the two roles ; (2) Four situations of teaching were designed with reference to the basic cognitive processes of learners. The teaching plan was made to define the teamwork of the two student teachers in each of the four situations. This study also prepared two types of teaching as controls : One was instructed by a student teacher as in the usual case, and the other by a professional teacher. Results indicated that in pupils' reaction, this method was relatively similar to the method used by a professional teacher and that it was proved more effective than the method by one student teacher, both in the training effectiveness of the student teachers' leadership and in the learning effectiveness of pupils.
著者
足立 明 山本 太郎 内山田 康 加藤 剛 井上 昭洋 清水 和裕
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究の目的は、非西欧世界における「清潔さ」「衛生」「健康」「身体」概念の変容を、保健医療に関わる開発現象を中心に検討することであった。そのため、これまでの公衆衛生の社会史、文化史の成果を整理し、また各研究者の蓄積してきた諸社会の民族誌的・歴史的経験をもとにして、保健医療の導入と「清潔さ」「衛生」「健康」「身体」概念の変容に関する分析枠組みの検討・整理を行おうとしたのである。平成11年度は、西欧世界を中心とした保健医療の導入とその社会文化的影響に関する既存の文献を収集し、それらを分担して検討した。その主な内容は、上下水道の導入に関する社会文化的影響、保健医療の制度化と宗教の世俗化、保健医療の導入と疾病傾向の変容、キリスト教宣教師と「清潔」「衛生」概念であった。これにたいして、平成12年度は、各自の蓄積してきた諸社会の資料を整理した。その結果分かってきたことの一つは、20世紀初頭の植民地下で西欧の健康概念と西欧的核家族概念が結びつき、社会変容に寄与する可能性である。また、このようなテーマで研究する上で、新しい研究視角の議論も行い、人、モノ、言葉のネットワークをいかに把握するかという方法論的検討も行った。もっとも、現地調査を前提としていないこの研究では、資料的に限界があり、その意味で、本研究は今後の海外学術調査の予備的な作業という性格が強いものとなった。今後は、さらなる研究に向けた体制の立て直しを計る予定である。
著者
足立 明 花田 昌宣 子島 進 平松 幸三 佐藤 寛 山本 太郎
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は、開発過程を総合的に記録・記述する民族誌的プロセス・ドキュメンテーションの可能性を検討するところにある。いうまでもなく、開発は、開発援助機関、プロジェクトマネージャー、受益者といった直接のアクターのみならず、それを取り巻く多様なアクターとの関わりで、紆余曲折しながら進行していく。それは「複雑系」といってよい過程である。本研究は、参加型開発での現地調査をとおして、開発過程を記録し記述する手法を学際的に検討し、開発研究者や開発実務者のみならず、開発の受益者にも利用可能となるような汎用的記録法の可能性をさぐることを目的としていた。平成14年度は方法論的としてのアクター・ネットワーク論を議論した。平成15年度、16年度は、すでに検討した方法論をふまえて、開発プロジェクトの参与観察を行った。なお、現段階で収集した資料の整理がすべて終わったわけではないが、これまでに判明した点は以下である。1.調査を始めて見た結果、この研究はきわめて「時間のかかる」仕事であるということを実感した。たとえ実験的なプロセス・ドキュメンテーションの調査であっても、数週間から1ヶ月程度の期間でできることはきわめて不十分で、博士課程の院生が全力で取り組むような規模の研究課題である。2.方法論的な検討の結果、アクター・ネットワーク論は有効であることが分かった。例えば、「参加型」というフレームの成立、安定化、揺らぎを、アクターを追うことで、参加型開発の「公的台本」と「隠された台本」を見いだしうる。3.しかし、アクター・ネットワーク論的方法論を、事後的に使ってプロセス・ドキュメンテーションを描くことは、異種混交なアクター間の微妙な相互作用を見落としがちであり、事後的な分析ではなく、「アクターを追う」ことで、このような調査を継続し、方法論的な検討を深める必要がある。
著者
足立 明久
出版者
桃山学院大学
雑誌
桃山学院大学社会学論集 (ISSN:02876647)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.175-194, 1975-03-01

本研究の目的は組織風土の変革について心理学的見地より実験的な調査を行ない,組織開発の実践に具体的かつ実証的な論拠を得ようとすることである。それに伴う問題は二つある。第一は組織風土の把握に関する問題であり,他はリアルな組織開発の実践面をいかなる形で実験的に計画するかという問題である。前者は心理学の認知論的アプローチの立場から組織風土を操作的に把握することにし,後者は今日,組織開発の実践特に組織風土の変革において最も有効な方法だと考えられている職場ぐるみ訓練(ファミリートレーニング)が実施された。具体的な方法としては,内容とすすめ方を一定に統制した職場ぐるみ訓練を大阪にある金融機関N社のA支店とB支店に実施し,各支店の組織風土が訓練の直前と終了直後に本研究用に作成された調査用紙で測定された。結果と考察は次のように要約される。組織風土の変革の状態を把握するためには,どのような風土が新しく形成されたのかという形成面と,どのように良くなったのかという改善面の両方の次元から統合的に見ていかねばならない。その形成面は訓練の実施前と実施後の分散の変化でその状態が把握でき,改善面は同様に平均値の変化で把握できるであろう。そういう観点から職場ぐるみ訓練の一般的な効果を抽出するために,A,B両支店に共通して有意な変化を示したものをそれぞれあげれば下記の通りである。形成面では「危険負担」の指標が強く形成され,改善面では「葛藤の処理」「目標水準」「グループへの一体感」の指標が著しく改善されるといえる。そして,A,B両支店に共通して形成面も改善面もともに有意に変化しているものは「方法を考えるとき新しいアイデアを出しあおうとする」という測定項目であった。この項目は危険負担の指標に入るものであるが,一般的にいって職場ぐるみ訓練を実施すれば,この項目を頂点としかつ以上にあげた各指標がそれに関連するというひとつの体系的な組織風土の姿が職場には新しくできるがると考えられるのである。これが本研究の目的とするもの,即ち組織開発の実践における具体的かつ実証的な論拠となるものである。