- 著者
-
野村 紀匡
- 出版者
- 一般社団法人 情報科学技術協会
- 雑誌
- 情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
- 巻号頁・発行日
- vol.72, no.4, pp.121, 2022-04-01 (Released:2022-04-01)
2020年,新型コロナウイルスの感染が拡がり始めた頃,メディアやソーシャルネットワークで様々な情報が飛び交い,デマや間違った情報が大規模に拡散する「インフォデミック」という状況が起こりました。また過去には,ヘルスケア情報キュレーションメディアが不正確な医療情報記事を大量に公開していたことが発覚し,ついにはサービスを終了する事案もありました。インターネットは様々な医療情報にあふれており,各自がリテラシーを向上させ,適切な意思決定をする必要があります。本特集は「ヘルスリテラシーと医療情報」と題し,関連トピックについて幅広く取り上げています。まず,中山和弘氏に,ヘルスリテラシーと日本での状況,情報評価と意思決定のスキルについて解説いただきつつ,意思決定ガイドについて案内いただきました。続いて佐藤正惠氏に,メディアリテラシーのあり方について,医療・健康に関する報道についての質向上を目指すメディアドクター研究会の活動紹介を交えながら解説いただきました。さらに,医療・医薬品情報を調べる際の情報源についての記事が続きます。黒沢俊典氏には,国内医学論文を網羅するデータベース,医中誌Webを提供する立場から,その概要や沿革,最近の機能拡張等について詳説いただきました。山口直比古氏には,英語医学論文を検索する際に用いるデータベース,PubMedについて,近年の機能拡張やコンテンツ拡張について説明いただき,また市民へ医療情報を提供するMedlinePlusを紹介いただきました。小河邦雄氏には,ヘルスリテラシーの観点から医薬品調査に使用する情報資源の特徴について,医療情報を専門としないインフォプロ向けに解説いただきました。本特集が,インフォプロの皆様のヘルスリテラシー,メディアリテラシー向上に寄与し,医療・医薬品情報を利活用する際の参考になれば幸いです。(会誌編集担当委員:野村紀匡(主査),海老澤直美,炭山宜也,水野澄子)