著者
金井 一賴
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.48-57, 1999 (Released:2022-07-27)

地域における戦略的社会性をもったネットワーク(ソシオダイナミクス・ネットワーク)の形成と展開のプロセスを,場の創造および場と場の連結のプロセスの観点から明らかにする.この中で特に,市民企業家の事業コンセプトの創造や場の設定,連結といった行動が分析される.さらに草の根で活動する市民企業家を地域政策形成の場に組み込むことによるミクロ・マクロループの活発化を通じた地域活性化の方法が提示される.
著者
栗嶋 クララ 桑田 聖子 金 晶恵 梁 明子 岩本 洋一 石戸 博隆 増谷 聡 先崎 秀明
雑誌
第51回日本小児循環器学会総会・学術集会
巻号頁・発行日
2015-04-21

【背景】Fontan術後の高い中心静脈圧(CVP)はリンパの鬱滞を惹起し,リンパ浮腫やリンパ漏,酸化ストレスや炎症性サイトカインの活性化からFailing Fontanの病態に関与しうる.実際に我々は近赤外線カメラによる下肢のリンパ管投影にてリンパの鬱滞を呈するFontan患者が多数存在することを報告した.従って,リンパ鬱滞を改善するリンパマッサージはFailing Fontanの予防や治療の一つとなる可能性がある.しかし,リンパマッサージのFontan循環への影響は不明である.【目的】Fontan循環におけるリンパマッサージによる急性期の効果と血行動態学的変化について検討する.【方法】現在までに,説明と同意を得て,希望者にリンパマッサージを施行したFontan術後患者4名を対象とし,リンパマッサージ中に心拍数,血圧,心係数(CI),末梢静脈圧から算出したCVP,心拍変動解析を持続的にモニターし評価した.また,リンパマッサージ前後の血液量も比較検討した.【結果】リンパマッサージ前後で,交感神経系の活動(LH/HF)は抑制され,心拍数は著明に減少(mean 95→85bpm)し,収縮期血圧,CIも低下した(各々100→97mmHg,3.0→2.7L/min/m2).リンパマッサージは循環血液量の増加をもたらした(92→112ml/kg,Ht 44.0→43.2%,Alb 7.0→6.9g/dl)が,CVPは上昇しなかった(各々14→14,10→8,9→10,14→11mmHg).【考察】Fontan術後患者におけるリンパマッサージは,リンパの静脈への還流量増大に伴う体液量増加が,心拍数減少によるCI減少,静脈キャパシタンス増大により代償され,CVP上昇を伴わずに施行される安全な手技と思われる.従って,リンパマッサージはリンパ鬱滞の改善という直接効果に加え,交感神経抑制効果による心拍数減少,静脈キャパシタンスの増大(静脈機能改善)によりFontan術後患者の予後改善に寄与しうる非薬物療法としての可能性が示唆され,今後長期効果を含めた検討に値すると思われた.
著者
金井 隆典 松岡 克善 久松 理一 岩男 泰 緒方 晴彦 日比 紀文
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.109, no.3, pp.364-369, 2012 (Released:2012-03-05)
参考文献数
20

インフリキシマブ治療はクローン病治療に革命をもたらしたといっても過言ではない.しかし,治療経過中に効果が減弱するいわゆる二次無効について国内外で活発に議論がなされている.本邦でも,2011年,インフリキシマブの10mg/kgへの増量が承認され,二次無効症例に対して直接的な対処が可能になった.しかし,10mg/kg増量ですべての二次無効症例が再び8週間隔の維持治療で寛解を維持できるまで効果が回復するとは限らない.また,本邦では2番目に登場したアダリムマブとの治療優先に関する議論,アダリムマブ増量の議論,さらには本邦オリジナルな白血球除去療法,栄養療法との併用など,長期の寛解維持を達成させるための適切な薬剤選択,適切な増量のタイミングを明らかにすることが重要である.
著者
孫 金勝 石川 芳治 白木 克繁 若原 妙子 内山 佳美
出版者
公益社団法人 砂防学会
雑誌
砂防学会誌 (ISSN:02868385)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.15-24, 2020-05-15 (Released:2021-05-17)
参考文献数
30

This study elucidates effects of various conservation works on soil erosion at the Dodaira beech forest of the Tanzawa Mountains using USLE, where forest floor vegetation has declined because of deer feeding. We applied soil erosion prevention work of four types: untreated (control), wooden horizontal step, coconut fiber net cover, and bamboo fiber net cover. Then we observed soil erosion amounts for 10-11 years. During the first year of soil erosion prevention work, the soil erosion amount in the treated plots was less than in the control plots. Although the vegetation was restored, litter had accumulated. Soil erosion was reduced at the control plots that had been installed outside of the vegetation protection fence. The effects of soil erosion reduction reached their limit after 10-11 years. The increased forest floor coverage led to reduction of soil erosion inside of the vegetation protection fence, even for the control plots. At the wooden horizontal step works, the soil erosion increased in the final year at the outside of the protection fence despite of the recovery of vegetation. Results show that the soil erosion amount at the wooden horizontal step works can be larger than that expected from the effects of vegetation coverage restoration. Soil erosion amounts during the last year for coconut and bamboo fiber net covering works installed at the steep slope of the outside of the protection fence surpassed those measured during the first year. This fact illustrates the time limitations of the effects of the coconut and bamboo fiber net. It also suggests that the coconut and bamboo fiber cover works installed at the steeper slope of the inside of the protection fence or at the gentle slope have reduced soil erosion for more than 10 years.
著者
金井 壽宏
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.62-75, 1996 (Released:2022-07-22)
被引用文献数
1

統合という問題を分化との関連において論じる.個人にせょ,集団にせよ,組織にせよ,そのシステムの分化の程度に応じた統合をはかることが,システムの発展や成長のために要請される.分化と結びつけられることなく統合ばかりを旗頭にするようでは,個人レベルでは独断的で権威主義的なパーソナリティ,組織レベルでは(表現は適当ではないが)ファシズムのような組織を生み出してしまうことになる.本稿では,「分化に応じた統合」という観点から,複数の分析レベルにまたがって議論が成立するようなクロス・レベル・イシューが試論的に展開される.
著者
岡島 義 金井 嘉宏 笹川 智子 金澤 潤一郎 秋田 久美 陳 峻要 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.297-309, 2008-09-30 (Released:2019-04-06)

本研究の目的は、社会不安を測定するSocialPhobiaandAnxietyInventory(SPAI)の翻訳版を開発することであった。大学生431名を対象に自己記入式の調査を行い、探索的因子分析を行った。その結果、SPAI日本語版は原版と同様の2因子45項目で構成され、各因子を「社会恐怖」「広場恐怖」と命名した。各因子の内的整合性(α=.88〜.96)、および再検査法による信頼性(r=.67〜.72)は高かった。既存の社会不安測定尺度と相関は中程度であったため、高い併存的妥当性が認められた。また、「社会恐怖」下位尺度において、確認的因子分析を行ったところ、原版と同様の5因子構造であることが確認された。以上の結果から、SPAI日本語版は高い信頼性と妥当性を有することが明らかにされた。
著者
金沢 勉 岩崎 友也 高橋 麻由 柿沼 健一 江塚 勇 山田 治行
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.958-964, 2003-08-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
9
被引用文献数
2 3

Although abducens nerve palsy is a relatively common disease, the abducens nerve has been almost impossible to identify, because it is one of the finest cranial nerves and runs three-dimensionally in the prepontine cistern. Three-dimensional constructive interference in steady state (3D-CISS) is helpful in visualizing fine structural elements in the central nervous system because of its higher spatial resolution and fewer artifacts from cerebrospinal fluid. In this study, we successfully visualized the abducens nerve using 3D-CISS. The procedures were as follows : first, Dorello's canal and the ponto-medullary sulcus were identified as visible, landmarks, and then the abducens nerve was followed to the root exit zone ; second, the gray scale of the original image was inverted to clearly visualize the cisternal course of the nerve and the neighboring small vessels ; and, finally, the entire cisternal course of the nerve was visualized in the same images in both oblique axial and oblique sagittal planes by a multi-planar reconstruction method. This reliable technique can be performed for the diagnosis of abducens nerve palsy.
著者
浦野 貴裕 金子 俊一 高氏 秀則 田中 孝之
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.417-425, 2007 (Released:2011-08-25)
参考文献数
21
被引用文献数
1

方向符号差分ヒストグラム(OCDH)に基づき回転不変かつ計算コストの低いロバストな画像照合法を提案する.画素近傍の明度変化の勾配から得られる方向符号は,ハイライトや陰影などの明度変動対して強いロバスト性を有する.画像上の2点から得られる方向符号の差分は,回転不変特徴を持ち,本手法では,そのヒストグラム(OCDH)を照合に利用する.高速な回転不変照合実現のため,照合の候補位置をOCDHにより推定し,推定された候補位置に対して画像間の回転角度推定,ならびに方向符号を用いた確認処理を行う.
著者
金沢 みどり 丸山 有紀子
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.3-18, 2014-07-31 (Released:2017-03-03)
参考文献数
21
被引用文献数
1

生涯学習を支援するために,近年の公共図書館は,利用者の情報活用能力の育成を支援するという新しい役割を果たそうとしている.特に,公共図書館のヤングアダルトサービスは,中学生や高校生を対象として,読書習慣を発展させるための読書支援,リテラシーや情報活用能力を更に向上させるための支援など,ヤングアダルトの生涯学習の基礎を固める上で重要な役割を果たすことが期待されている.本研究では,日本の公共図書館WebサイトのヤングアダルトWebページを対象として,情報活用能力の育成支援の観点などから,ヤングアダルトのコンテンツについて,現状調査を実施した.調査結果から,ヤングアダルトWebページのコンテンツに関する全体的な傾向を明らかにするとともに,ヤングアダルトWebページのコンテンツ・モデルを提案した.
著者
金子 知世 三輪 南海 齋藤 輝幸 久野 覚
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成30年度大会(名古屋)学術講演論文集 第6巻 温熱環境評価 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.161-164, 2018 (Released:2019-10-30)

本研究では、全館空調システムを実際に導入した住宅複数戸にて調査を行い、居住者の意識および全館空調システムの年間を通じた運転モードや設定温度などの運転状況について明らかにすることを目的としている。結論として、多くの居住者は全館空調システムに満足しており、省エネルギーよりも快適性を重視した運転を行い、24時間連続で冷暖房を運転していた。
著者
金 外淑 村上 正人 松野 俊夫
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.143-156, 2006-09-30 (Released:2019-04-06)

外来通院中の全般性不安障害患者に対して、認知行動的諸技法を用い、治療効果が得られた症例を取り上げ、認知行動的介入による心理技法の導入とその臨床経過について報告する。面接による治療は52セッションであった。介入の初期段階は患者特有の心配・不安に対する仕方に注目し、論理情動行動療法による認知再構成法を用い、心配や不安時に生じる認知の仕方について理解させた。中期段階は、イメージを用いた「心配へのエクスポージャー」と「言葉による反応妨害法」を組み合わせた介入を行った。後期段階では、おもに問題解決訓練を導入し、出来事に対する問題解決の能力を向上させ、自信を高める介入を行った。その結果、過剰な心配・不安症状を訴える頻度も減り、次第に日常生活上のストレスも以前より柔軟に対処できるようになった。
著者
金谷 浩一郎 今手 祐二 竹本 剛 蓮池 耕二 綿貫 浩一 守谷 啓司
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.95, no.2, pp.203-209, 2002-02-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
28
被引用文献数
1 2

PURPOSE: Tsumura Co.'s Bakumondo-to (TJ-29) is a Chinese herb medicine prescribed widely in Japan for bronchitis and laryngitis. It is well known that TJ-29 not only has a variety of effects including anti-inflammatory and antitussive properties, but also is capable of increasing salivary secretions. The purpose of this study is to examine whether TJ-29 can reduce mucosal toxicity caused by radiotherapy in patients with early laryngeal carcinoma.METHODS AND MATERIALS: Between 1993 and 1999, 20 patients with primary early laryngeal carcinoma were treated by radiotherapy at Nagato General Hospital. All patients were treated with 2 Gy per fraction daily, 5 days a week. Eight patients formed the control group (no TJ-29) and 12 patients received TJ-29 throughout the radiation therapy. The severity of daily subjective symptoms such as hoarseness, xerostomia or pharyngoxerosis, cough, and sore throat were graded O to 3 according to descriptions on the clinical charts.RESULTS: No statistically significant between-group differences were seen in subjective hoarseness, xerostomia or pharyngoxerosis, and cough. However the mean final grade of subjective sore throat was less severe in the TJ-29 group (p=0.023).CONCLUSION: Despite the limited number of patients, this study suggests that TJ-29 was able to reduce the severity of mucositis induced by radiotherapy. Further intensive research is needed.
著者
金光 禎寛
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.109, no.10, pp.2124-2131, 2020-10-10 (Released:2021-10-10)
参考文献数
12

咳は,胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease:GERD)の食道外症状の1つである.本邦でのGERDの有病率の増加に伴い,GERD咳嗽も増加傾向で,慢性咳嗽の原因として,咳喘息と共に頻度が高い.一方で,胸やけ等の典型的な食道症状を伴わないことも多く,咳の罹病期間が長期に及び,生活の質を低下させる.診断に難渋することも多いが,Fスケール等の質問票の活用やPPIに加えて消化管運動機能改善薬の併用がGERD咳嗽の診断・治療に対して有用な可能性を述べる.