著者
畑下 博世 鈴木 ひとみ 辻本 哲士 金城 八津子 植村 直子 河田 志帆 藤井 広美 橋爪 聖子
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.43-51, 2013
参考文献数
15

A県断酒連盟会員143人に自記式質問紙調査を実施し,107人(有効回答率74.8%)から回答を得た。その結果,研究参加者は男性が9割以上で40〜70歳代が中心であった。人生で基も自殺を考えるようになった時期に半数以上が消えてしまいたいと考え,死にたいと考えた者は約4割,自殺の計画を立てたり行動を起こした者は全体の約2割強であった。自殺の年代,場所,方法などは警察庁の統計と同様であり,その当時の心身の状態および経済状態,家族や友人関係が悪化していたことが伺えた。これからの自殺対策には,家族を含む地域のネットワークが専門家と連携できる環境が作られ,自殺のサインに気づき,当事者から逃げずに国民1人1人が自身の問題として自殺予防に向き合うことが求められる。
著者
北野 拓磨 福井 幸男 三谷 純 金森 由博
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.41-44, 2014

風船を用いて造成物をつくる行為のことをバルーンアートといい,特に,ツイストバルーンと呼ばれる細長いゴム風船をひねるなどして造成物をつくる行為を,バルーンモデリングという.本研究では,バルーンをふくらませるときの過渡的現象に焦点をあて,その物理的挙動を,非線形特性をもつばね質点モデルを用いて近似的にシミュレーションする手法を提案する.バルーンのゴム膜の弾性表現を,張力に対しては,非線形特性を持つ直線上のばねモデル,曲げモーメントに対しては,線形なばねを導入し,内部の空気を,粒子法を用いて表現し,ゴム膜と空気粒子の自己干渉,及び相互干渉を考慮する.弾性率の変化の度合いをモデル化するため,実物のバルーンにかかる力を計測し,バルーンの弾性係数のヒステリシス特性を推定する.推定した弾性係数をばねモデルに適用し,逐次的に膨らんでいくバルーンの挙動をCG表示して本モデル化の有効性を確認した.
著者
金原 ひとみ
出版者
新潮社
雑誌
新潮
巻号頁・発行日
vol.117, no.6, pp.7-36, 2020-06
著者
土井 智晴 笹原 龍樹 三藤 大地 玉利 寿靖 金田 忠裕 梅本 敏孝 葭谷 安正
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.41, no.12, pp.1005-1012, 2005

Interest has grown in the potential application of robot technology at accident and disaster sites where there exists the possibility of secondary disasters, and much effort is being channeled into research in this area. Yet, much of this effort has been directed at advanced, expensive robot technologies. We have been looking at ways of realizing a readily applicable robot technology for such disaster sites, and propose a relatively low-cost rescue robot with simple, intuitive operation, that does not require power supply lines. We report on a simple search device based on a human-powered generator, an improved version of an earlier device using a direct mechanical drive for mobility.
著者
金 彦志 矢野 夏樹 梅田 真理 韓 昌完
出版者
一般社団法人 日本LD学会
雑誌
LD研究 (ISSN:13465716)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.484-493, 2020

限局性学習症(Specific Learning Disorder : SLD)の児童生徒において早期発見と学習支援についての関心が高まっている。SLDの児童生徒を評価するためには学習困難に影響を与えている要因を明らかにし,その要因を教育的対応によって取り除いた上で彼らの学習を改めて評価する必要がある。本研究では児童生徒の教育的ニーズを評価するための尺度であるInclusive Needs Child Record(ICR)の評価データを分析することで,SLDの可能性のある児童生徒の学習に影響を与える要因を明らかにすることを目的とする。研究の結果,ICRにおけるSLDモデルとして読む,書く,計算する,推論するの4領域を含むモデルにおいて良好な適合度が検証された。また,そのモデルに影響を与える要因として,身体の状態,姿勢・運動・動作,不注意,自己肯定感が明らかになった。
著者
上里 迅 真栄田 裕行 金城 秀俊 安慶名 信也 平川 仁 鈴木 幹男
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.233-238, 2020

肺癌患者において開胸下の右上葉切除術と,頸部アプローチによる巨大な腺腫様甲状腺腫(AG)摘出術の同時施行例を経験したので報告する。患者は頸部圧迫感を主訴とする70歳の男性。精査の結果,右肺上葉S2区の肺癌と同時に上縦隔におよぶ右甲状腺腫瘤が発見された。甲状腺腫瘤は気道を圧排し,頸部圧迫感の主因であると考えられたため,肺癌と同時に甲状腺腫瘤摘出が計画された。AGは頸部操作のみで摘出可能であった。術後の経過は極めて順調であったが,縦隔炎や膿胸,胸骨骨髄炎など合併症の発症リスクを抑えるため,気管切開を併施せず,気管内挿管による気道管理を選択したことが理由として考えられた。
著者
姜 京範 不破 茂 江幡 恵吾 バスケス A. ミゲル 金 碩鍾
出版者
日本水産工学会
雑誌
日本水産工学会誌 (ISSN:09167617)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.185-192, 2015

沿岸域で使用されているかごは,角柱型や円柱型の形状が多く,かごの表面は網地や金網で覆われ,魚類や甲殻類などを漁獲対象として使用されている。かごの設置海域は底質が砂や泥で平坦な形状で,水深が3~1,000mである。かごが設置される海底付近の流れは表層の流れと比べて遅いと考えられる。一方,河川で使用されているかごは,形状が円柱型で,かごの表面には丸竹や割竹などが取り付けられ,オイカワやフナ,コイを対象として使用されている。これは設置される流速環境を反映しているものと考えられる。鹿児島県内の河川の月別平均流速は0.1~0.5m/sであり,河川で使用されているかごは,沿岸域で使用されているかごと比べて流速が速い場所に設置されている。河川や沿岸域で使用されているかごは対象種により様々な形状があるが,その中でも角柱型と円柱型が代表的な形状で,かごの表面を覆う素材は丸竹と網地に大別できる。流れに対するかごの全投影面積に占める表面の空隙面積の比率(β:空隙率,詳細は後述)は,河川で使用されるかごでは36~62%で小さく,沿岸域で用いられるかごでは80~96%で大きい。これらのかごを流水中に設置した時,かごの後流域ではかごに沿った流れとかごの内部を通過した流れが生じる。そこで,かごの後流域の流速分布に与える要因としてかごの形状と空隙率が考えられる。これらの要因によって形成された流速分布はかごの漁獲過程に影響するため,かごの後流域の流速分布がどのように形成されるのかを知ることは重要である。かご周辺の流れの変化と漁獲との関係については,山口らが島原湾内の流動環境とコウイカの漁獲量から,流れが遅い小潮時の方が大潮時と比べて漁獲量が多くなり,かご周辺の流れがかごの漁獲に密接な関係があると示唆している。また,Budiman et al. はかごの空隙率が大きくなるとかごの後流域の流速分布に及ぼす影響が小さくなることを報告している。一方,Fuwa et al. は鹿児島県の河川で使用されているハート型の竹かごの後流域における流速分布を調べ,後流域におけるかごの両側前方部では大きく減速し,かごの入口前方部ではやや減速した領域が下流側に舌状に伸びることを明らかにした。本研究では,かごの形状と空隙率がかごの後流域の流速分布に与える影響を明らかにするために,流れに対する投影面積が等しい角柱型と円柱型の2種類の形状のかごを用いて,かごの表面を丸棒または網地で覆って空隙率を変化させて,回流水槽実験によってかごの後流域の流速分布を測定した。
著者
金澤 朋美
雑誌
日本畜産学会第126回大会
巻号頁・発行日
2019-07-08

はじめに ウシの妊娠成立と維持には機能的な黄体が存在し,黄体からのプロジェステロン(P4)の持続的な分泌が必要である.これまで,直腸検査や超音波画像診断装置により測定した黄体サイズから血中P4濃度を評価してきた.近年,非侵襲的に血流の検査が可能な超音波ドプラ法を用い,黄体の血流を指標とした新たな機能評価が注目されている.本講演では,黄体の血流と機能の関係,ならびに胚移植(ET)における受胎性評価への適用について概説する.黄体の血管走行 黄体は血管が豊富な組織の一つであり,卵巣動脈から分岐する螺旋動脈を基部とし,黄体を取り囲むように血管網が発達している.排卵後,内卵胞膜から発達した血管が排卵窩へと侵入し血管網を構築して黄体細胞へ血液を供給する.この血管新生は黄体細胞でのP4合成に必要なコレステロールの輸送とP4の全身循環に必須である.黄体血流と機能 黄体サイズと血中P4濃度は正の相関があり,黄体発育に伴い両者は増加する.しかし,黄体サイズは発情後12日に最大となるが,P4濃度は14日まで増加し,黄体退行期では先にP4が減少し,次いで黄体サイズが減少する.一方,黄体血流面積(最大直径における血流面積)は黄体発育に伴い増加し14日に最大となり,16~17日に著しく増加した後,急激に減少する.黄体発育期や退行期では,黄体血流面積とP4濃度の増減が同期するため,超音波ドプラ法を用いた血流観察により機能的変化を鋭敏に評価できる.しかし,中期黄体期 (発情後9~12日)では黄体血流面積とP4濃度に相関が無いことから,黄体サイズが機能評価の指標としては優れる.黄体血流と受胎性 近年,性判別精液の普及に伴う安定的な後継牛の生産や黒毛和種子牛の販売価格高騰から,乳用牛への黒毛和種胚の移植が増加している.これまで,直腸検査や超音波画像診断装置または血中P4濃度による受胚牛の選定が行われてきたが,受胎率の向上には至っていない.そこで本研究では,黄体機能を反映する黄体血流と受胎性との関係,ならびにETにおける受胎性評価への適用を調べた. 分娩後50日以上経過したホルスタイン種経産牛58頭(平均産次数2.5 ± 1.7産,平均分娩後日数131.6 ± 82.3日)を供試し,発情後0,3,5,7及び14日に採血,超音波画像診断装置を用いて黄体と卵胞の形態及び超音波ドプラ法で黄体血流を調べた.7日に黒毛和種胚を移植,30日に妊娠診断をした後,受胎・不受胎群に分類し,共存卵胞,黄体面積,黄体血流面積(BFA),螺旋動脈基部の血流速度(TAMV)及び血中P4濃度を比較した.その結果,共存卵胞,黄体面積及び血中P4濃度は両群間で有意な差は無かった.一方,受胎群のBFAは高く推移し,不受胎群と比べて発情後7及び14日で有意(p<0.01)に高かった.受胎群のTAMVは高く推移する傾向が認められ,不受胎群と比べて14日で有意(p<0.01)に高かった.また,ロジスティック回帰分析より受胎に影響を及ぼす要因は,7日ではBFA,14日ではBFA及びTAMVであった.さらに,ROC(受信者動作特性)解析より受胎性評価に有用な因子は,7日ではBFA,14日ではBFA及びTAMVであり,カットオフ値はそれぞれ0.43 cm2(感度79.4%,特異度75.0%),0.63 cm2及び50.6 cm/s(感度85.3%,特異度91.7%)となった.以上の結果から,受胎群では発情後7及び14日のBFA及びTAMVは高く,また,これらを指標とすることで受胚牛の受胎性が高感度・高特異度で評価可能なことが示された.略歴: 平成17年3月 日本獣医生命科学大学 卒業平成17年4月 宮城県農業共済組合 入組平成29年3月 岐阜大学大学院 連合獣医学研究科 博士課程 卒業