著者
鈴木 聡 笹島 康明 小方 博之 槻舘 尚武
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2016-HCI-166, no.5, pp.1-8, 2016-01-14

コンピュータを利用した学習環境において,アニメーションを伴う CG キャラクタ (身体化エージェント) を教育エージェントとして導入する試みが数多く試みられており,教育エージェントの振る舞いによる学習者への影響も検討されている.一方,身体化エージェントの社会的役割がユーザに与える影響についても議論が進んでいる.本研究では,身体化エージェントの要素として外観と言葉遣いに着目し,教育エージェントについてそれらが誘発する社会的役割が学習者に与える影響について実験により検討した.特に,マンガなどでみられる,実際にそのような言葉遣いをする人間は稀であるにもかかわらず特定の社会的役割を誘発する言葉遣いである役割語に着目し,役割語と外観の対応が学習に与える影響に注目した.学習への影響は顕著にはみられなかったものの,教育エージェントに対する印象や学習内容の把握への影響が示唆された.この結果をもとに,教育場面における身体化エージェントの設計指針について論じる.
著者
鈴木 聡志
出版者
日本カウンセリング学会
雑誌
カウンセリング研究 (ISSN:09148337)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.43-50, 2010 (Released:2015-12-14)
参考文献数
24

わが国では1934年からの約10年間に教育相談施設が多数開設され,それに伴い教育相談のあり方が議論された。当時の教育相談は,親等に忠言(アドバイス)を与えることを主としていた。本研究は,昭和10年代の教育相談における忠言の科学性に関する議論を,現代的観点から再検討する。常識に基づいた忠言が推奨されていたが,これは科学的ではないようである。知能検査と実態調査が科学性を保証すると考えられていたが,それらは処置をもたらさなかった。条件発生的考察も科学性を保証すると考えられていた。これはゲシュタルト心理学に基づく児童理解で,これが展開していたなら,わが国独自の臨床心理学となる可能性があったと考えられる。
著者
鈴木 聡士 五十嵐 日出夫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.391-396, 2000

交通と都市は車の両輪である。およそ交通の便なくして都市は繁栄せず、交通システムは都市の繁栄によって、はじめて意義付けられるからである。<BR>このような観点から本研究は、この交通と都市の発展連鎖に着目し、今日では東京新都心と称されるまでに発達した「新宿」の都市形成史について略述する。さらに水運輸送と陸運輸送との結節点である船着場、港湾 (津) における「まち」の発生例として京都の花町・先斗町、次いで交通と都市の連関盛衰について青函連絡船の歴史を回顧しながら、青森市JR駅前地区の盛衰について考究する。そして、青森市の再興には東北新幹線の青森までの開業と同時に、これに接続する北海道新幹線の速やかな函館までへの延伸整備が必要であることを論述する。最後に福岡の「まちづくり」戦略を概観しながら、それとの関連において交通システム整備と「まちづくり」の連動の重要性について論究しようとするものである。
著者
鈴木 宏昭 福田 玄明 鈴木 聡 田中 克明 山田 歩
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

人間の行う様々な知的活動は感情,動機によって支えられている.近年,これらは意識できないレベルの周辺情報によって大きく影響を受けることが明らかになってきた.本報告では,これらについての認知科学,実験社会心理学の知見を紹介し,AI研究の方法論と組み合わせて,オフィスワーカのモチベーションを向上させるための方策を探究する.
著者
鈴木 聡 鈴木 宏昭
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.3150-3158, 2011-12-15

レポートライティングにおいて,レポートに関連する文献を深く読解し,その内容に対する書き手である学習者の意見を構築することは不可欠である.文献を深く読解するためには,文献に下線・コメント(マーキング)を付与しながら文献の各部分を吟味しつつ読み込むことが重要である.そして,学習者の意見を構築するためには,論理的に考えて文献の問題点を探るよりも,できるだけ直感的・感情的に反応して学習者の意見をコメントの形で外化する方が有効であることが示されている.しかし,そうしたコメントには学習者の独善的な意見や,それでもなお論理的な欠陥を含む意見が含まれている可能性がある.そこで,そのようなコメントの問題点を修正する方法として,学習者同士がマーキングを共有し,相互にコメントし合うことが有効と考えられる.本研究では,以上のプロセスをWeb上で行えるシステムEMU(Emotional and Motivational Underliner)を開発・運用し,学習者がどのように以上のプロセスを進めるのかについて分析した.その結果,良いレポートが書ける学習者は,そうでない学習者と比べ,文献内容に否定的・懐疑的なマーキングを中心に着目し,そのマーキングに対して肯定的なコメントを多く産出する傾向がみられた.この結果をふまえ,今後の分析,およびシステムの機能の追加・修正の方針についても論じる.In writing an academic essay, it is indispensable for learners to deeply understand related documents and to build arguments to claim their opinions. To understand the documents, adding underlines and annotations on them is crucial. Besides, to build arguments, previous studies suggest that it is more effective to externalize learners' opinions based on their intuitive and affective response than to logically deliberate. Nevertheless, there should be inappropriate and illogical thought in such learners' opinions. To improve the opinions, sharing the opinions among learners and adding comments on the opinions can be effective. In this study, we are developing the EMU (Emotional and Motivational Underliner) system which enables learners to add annotations, share the annotations among them, and add comments on others' annotations on the Web. We analyzed usage of the EMU system in a class for undergraduate students. The analysis implied that learners who wrote good essays tend to focus on the others' annotations which represents negative and skeptical attitude to the document, and add affirmative comments on such annotations. Discussion on further analysis, and addition and modification of the EMU system follows.
著者
川久保 嘉昭 竹井 謙之 泉 光輔 山科 俊平 今 一義 榎本 信行 鈴木 聡子 池嶋 健一 大久保 裕直 佐藤 信紘
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.73-81, 2007

目的: 肝星細胞は肝障害が継続すると筋線維芽細胞様細胞に形質転換し, コラーゲンをはじめ, 細胞外マトリクスを過剰産生し, 肝線維化機序の中心的な役割を果たす. このため, 活性化した星細胞に細胞死を誘導することができれば, 肝線維化抑制につながると期待される. グリオトキシンは活性化した星細胞にアポトーシスを引き起こすことが知られているが, その分子機序は明らかではない. 一方, inverse genomicsの手法は, ランダムな切断配列をもつリボザイムライブラリーを導入し, 細胞の表現型・性質を変化させる刺激を与えた際, 変化が起こらなかった細胞からリボザイムを単離し, その塩基配列を知ることで表現型変化に関わる機能遺伝子を同定することが可能である. われわれはこの手法を用いてグリオトキシンによる星細胞のアポトーシスに関わる遺伝子の探索を行った.対象・方法: 株化星細胞であるHSC-T6にリボザイムライブラリーを搭載したプラスミドをトランスフェクションし, 48時間後にグリオトキシン (1.5μM) を培養液に添加して24時間培養後, 生存細胞からプラスミドを回収した. このグリオトキシンによるセレクションを3回繰り返した後にリボザイムを単離してシークエンス解析を行い, その配列情報をもとにアポトーシス関連遺伝子の検索をデータベース上にて行った.結果: われわれは20の星細胞アポトーシスに関わる候補遺伝子の配列を得た. その中の1配列は, カスパーゼ7に相補性を有していた. 同配列を持つリボザイムをHSC-T6に導入したところ細胞はグリオトキシンによるアポトーシスの誘導に抵抗性を示した.結論: 以上の結果によりグリオトキシンによるアポトーシスの誘導にはカスパーゼ7が関与していることが示唆された. またinverse genomicsによるアプローチは, 肝星細胞のアポトーシスに関わる機能遺伝子の探索に有用であることが示唆された.
著者
鈴木 聡 飯田 正博 井上 誠喜
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.639, pp.61-64, 2004-01-26
被引用文献数
5

近年,放送で3D CGが多用されているが,ハイビジョン,しかも生放送で,複雑な3DCGキャラクターをリアルタイムに動かすシステムはそう多くない.我々は,ハイビジョン生放送にも対応可能な,3DCGキャラクターシステム,"きらり"システムを開発し,多くの番組に利用するとともに,システムの機能拡張を図ってきた.本稿では,システムの開発経緯やシステム構成とともに,最近行った,グラフィックスワークステーションの整備,モーションキャプチャシステムの2式化,キャプチャエリアの拡大(エリア拡大用トランスミッタの追加)などの,整備および機能拡張について紹介する.これらの機能により,効率的で,信頼性の高いシステム運用が可能となっている.最近の運用事例として,2体のキャラクター同士による掛け合い,地上波デジタル放送開始記念番組「デジタルテレビ新時代」での運用について紹介する.
著者
鈴木 聡 森松 博史 江木 盛時 清水 一好 松崎 孝 佐藤 哲文 片山 浩 森田 潔
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.215-220, 2011-04-01 (Released:2011-10-05)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

術後の発作性心房細動の発生は,ICUや病院滞在日数,医療費の増加につながることが報告されており,その管理は重要である。我々は,食道癌術後に難治性の発作性心房細動を合併し,短時間作用型β1選択的遮断薬である塩酸ランジオロールを使用した7例を経験した。症例は51~87歳で,いずれも男性であった。複数の抗不整脈薬が無効であり,塩酸ランジオロール投与を開始した。初期の急速投与は行わず,4.3~33.5μg/kg/minと低用量の範囲で開始し,投与前と投与1時間後の心拍数は平均153[140, 167][95%信頼区間] /minから101[88, 116] /min(P<0.0001)と有意な低下を認めた。平均血圧は88[78, 94] mmHgから82[74, 89] mmHg(P=0.37)と有意な変化を認めず,重症な低血圧に陥る症例もなかった。6例では投与開始24時間以内に洞調律に回復した。複数の抗不整脈薬に抵抗性の食道癌術後発作性心房細動に対する低用量の塩酸ランジオロール投与は,大きな血圧の低下なく心拍数の安定をもたらした。
著者
鈴木 聡一郎 柴野 純一 早川 吉彦
出版者
北見工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

マウスガードの身体能力を向上する効果として、等尺性筋活動における背筋力、ならびに等張性筋活動におけるベンチプレス、レッグプレスの運動速度を向上する効果が有意に認められた。これらの主導筋と顎二腹筋の活動に強い相関が認められたため、マウスガードによる下顎骨の固定が、筋活動を向上することを明らかにした。
著者
本川 雅治 下稲葉 さやか 鈴木 聡
出版者
The Mammal Society of Japan
雑誌
哺乳類科学 = Mammalian Science (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.181-191, 2006-12-30
被引用文献数
2

日本産哺乳類の最近の分類体系について,阿部(2005)「日本の哺乳類 改訂版」(以下,日本哺乳類2)とWilson and Reeder(2005)「Mammal Species of the World」第3版(以下,MSW3)での扱われ方について検討した.明らかな外来種と鯨目,および海牛目を除くと,日本産哺乳類として,日本哺乳類2は116種,MSW3は120種を認めた.高次分類群に関連して,日本哺乳類2を含む従来の文献で食虫目(Order Insectivora)とされていた一群は,MSW3ではアフリカトガリネズミ目(Order Afrosoricida),ハリネズミ形目(Order Erinaceomorpha)およびトガリネズミ形目(Order Soricomorpha)の3つに分割され,日本産の「食虫目」に含まれるトガリネズミ科とモグラ科はすべてトガリネズミ形目に含まれた.種レベルでの両書の分類体系について,記述された内容や引用文献の内容などに基づいて対応表を作成したところ,種レベルでの分類体系について両書で相違が見られた.また,両書が編集,出版された後に,日本産哺乳類の分類体系について大きな変更や分類学上の重要な知見がいくつかの種で得られている.これらの37項目について,本文中でコメントした.
著者
高橋 修平 佐々木 正史 大橋 鉄也 川村 彰 榎本 浩之 鈴木 聡一郎 高橋 清 亀田 貴雄 菅原 宣義 堀 彰 舘山 一孝 中山 恵介
出版者
北見工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

研究課題について次のような成果を得た。(1)知床半島は海氷の流れに対して「せき止め効果」を持ち、北海道で最も長く海氷が接岸する。(2)知床峠の山間部では吹き払いによる無雪区間と5m以上の吹きだまり区間と地形に依存する積雪特性が得られた。(3)知床半島で陸生動物も入った栄養塩循環が確認された。(4)送電線がいしに海塩汚損と着氷による電力障害を観測し、低温実験室内でも再現できた。(5)雪氷環境と人間社会に関する様々な課題が研究された。