著者
高田 雄一 神谷 智昭 渡邉 耕太 鈴木 大輔 藤宮 峯子 宮本 重範 内山 英一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Ab0445, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 足のアーチ構造は1Gの重力場でヒトの歩行時に有用な働きをしている。後脛骨筋は足アーチを支える重要な動的支持組織であると報告され、後天性扁平足の主な原因は後脛骨筋機能不全だと言われている。足ア−チは骨・関節・靱帯による静的なサポートと筋肉による動的なサポートが互いに協力することにより、重力に逆らい直立二足歩行する人体の重さを支えている。適度な弾性をもった足ア−チは歩行時の衝撃を緩和し、より中枢の関節を保護している。この力学的特性を解明するためには、1回の荷重負荷試験から求められる足アーチの単なる破断強度ではなく、日常生活で実際に骨・関節・靱帯にかかる生理的負荷領域での繰り返し負荷試験(fatigue test,疲労試験)により足アーチの疲労特性を調べることにより、はじめて、より適切な生理的負荷領域での足アーチの力学特性を解明することができる。本研究の目的は反復垂直荷重時に、足内側縦アーチに対する後脛骨筋の動的な効果を検討することである。【方法】 未固定凍結下肢標本を14肢使用した。平均年齢は82歳(59-92歳)だった。標本は7肢ずつ、後脛骨筋牽引群と後脛骨筋非牽引群の2群に分けた。足アーチの疲労特性を計測するために、医療機器開発メーカーであるメディセンス(株)と共同で繰り返し荷重システム、制御・解析アプリケ−ションの開発を行った。万能試験機(株式会社 島津製作所,AG-I)、LEDマーカ(株式会社 パナソニック,1.6 x 0.8 mm 矩形赤色発光ダイオード)とCCDカメラ(株式会社メディセンス,解像度640x480 pixels)で構成する微小変位解析システム、反復荷重負荷システムと組み合わせによる繰り返し荷重−変位解析システムの開発を行った。下腿を中1/3で切断し、専用ジグで固定した標本に万能試験機を用いて、0-500N,1Hzで反復軸荷重を10,000サイクル負荷した。舟状骨高の計測は舟状骨内側に設置したLEDの位置情報を経時的に測定し、それを座標軸に変換して記録した。後脛骨筋牽引群は軸荷重に同期したステップモ−タ(株式会社 メディセンス,最大トルク 6 kg・cm, 回転速度 60 deg / 0.1 sec)荷重負荷システムを用い後脛骨筋腱中枢部をワイヤーでロ−ドセルを介して反復荷重した。そして垂直荷重に同期して、後脛骨筋の筋収縮を模した0-32Nの牽引力が発生するように設定した。最小荷重時と最大荷重時の足ア−チの高さの変化は舟状骨高を足底長で除したBony Arch Index(BAI)で評価し、BAI<0.21をlow archとした。後脛骨筋牽引群と後脛骨筋非牽引群でそれぞれ1,000 cyclesごとの値で両群間を比較し、統計処理はstudent‘s t-test により、有意水準は 5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】 遺体は、死亡後24時間以内に本学医学部解剖学第二講座に搬送され、本人の生前同意と死亡後の家族の同意が得られている。【結果】 最大荷重時BAIの初期値は後脛骨筋牽引群0.239±0.009、後脛骨筋非牽引群0.239±0.014だった。両群共に最初の1,000サイクルでBAIは大きく低下した。その後、後脛骨筋牽引群の平均BAIはほぼ一定の値で経過し、10,000サイクルで0.212±0.011となった。一方で後脛骨筋非牽引群のBAIは徐々に低下し続け、3,000サイクルでlow archの基準となるBAI<0.21になった。7,000サイクル以降で両群間に有意差を認め、後脛骨筋牽引群は内側縦アーチが維持されていた。【考察】 本研究結果で後脛骨筋牽引群の平均BAIは、最終的に荷重時BAI>0.21を維持した。このことは反復荷重条件においても後脛骨筋が内側縦アーチ保持に重要であることを示した。一方、後脛骨筋非牽引群では最終的にlow archの基準に至ったことから、静的支持組織のみでは内側縦アーチ保持が困難であることがわかった。【理学療法学研究としての意義】 本研究は扁平足変形の主原因である後脛骨筋機能不全に対する運動療法やその予防に有用な情報を提供すると考えられた。
著者
立松 宏一 廣田 誠一 高倉 政寛 月館 司 鈴木 大隆 羽山 広文
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.80, no.707, pp.67-77, 2015-01-30 (Released:2015-03-30)
参考文献数
25
被引用文献数
1 3

The thermal performance and equipment type specified for a newly built house were investigated as benchmarks to enable the selection of appropriate insulation and equipment specifications. The prevalence of electric heater installations for space heating and hot water supply decreased in 2012, compared to 2011. However, it is estimated that the primary energy consumption is high in particularly cold areas of Hokkaido, because this type of equipment remains common in these areas. Because there is an initiative to contractors when the equipment type is determined, it is important to provide appropriate information to these contractors.
著者
豊田 雅夫 鈴木 大輔 上原 吾郎 梅園 朋也 堀木 照美 谷亀 光則 遠藤 正之 黒川 清 堺 秀人
出版者
社団法人 日本腎臓学会
雑誌
日本腎臓学会誌 (ISSN:03852385)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.44-48, 2001-01-25 (Released:2010-07-05)
参考文献数
14

We experienced two cases of limb edema of unknown pathogenesis. No evidence was found concerning involvement of the kidneys, heart of other visceral organs. Case I was 22-year-old woman. Her white blood cell count increased to 13, 100/μl with 65.0 % eosinophils. Case 2 was a 27-year-old woman. Her white blood cell count increased to 23, 300/μl with 67.0 % eosinophils. In these cases, extensive diagnostic evaluations revealed no evidence of atopy, neoplasms, collagen vascular disease, or parasitic infestation. We diagnosed these cases as episodic angioedema with eosinophilia. In both cases, the angioedema improved gradually in parallel with a decrease in the white blood cell count. This disorder is very rare, but it is very important to consider it in differential diagnosis especially for nephrologists.
著者
長島 渉 崎山 奈津子 鈴木 大吾 渡邉 啓介 水野 るみ子 鈴木 利恵 森本 優子 望月 寿人 會津 恵司
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.282-288, 2016 (Released:2016-12-28)
参考文献数
22

【目的】春日井市民病院では,症状緩和と療養場所の意向に関する意思決定支援を中心とした緩和ケアクリニカルパスを導入している.本研究では,自宅退院の意向を持つがん入院患者の自宅退院を困難にする要因をクリニカルパスの情報を基に探索した.【方法】2014年6月〜2015年8月の期間で緩和ケアチームが介入したがん入院患者のうち今後の療養先の意向が自宅である患者を対象とし,診療録を後方視的に調査した.自宅退院を困難にする要因についてロジスティック回帰分析を行った.【結果】解析対象43名の内,自宅退院された患者は25名(58.1%)であった.多変量解析の結果,せん妄の存在と独居が自宅退院に影響する因子として選択された.【結論】自宅退院の意向を持つがん患者の自宅退院を困難にする要因として,せん妄の存在と独居であることが示唆された.せん妄については早期発見・早期治療が,介護者の問題は早期から退院支援部門との連携が必要である.
著者
三好 哲也 中易 秀敏 鈴木 大介
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第22回ファジィ システム シンポジウム
巻号頁・発行日
pp.139, 2006 (Released:2007-05-30)

本研究では、まず自動車運転時に運転状況に応じて眼球運動が変化しているかどうかを確認し、自動車運転時の眼球運動特性を明らかにする。そして、眼球運動と視野画像の関連性を分析することで、眼球運動を誘発する条件や環境を明らかにする。視野画像全体を特徴づける指標として、視野画像のフレーム間の各画素のRGB値の差の総和を取り上げ、眼球運動特性との関係性を考察する。
著者
冨岡 亮太 鈴木 大慈 杉山 将
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.182, pp.43-48, 2009-08-24
被引用文献数
2

スパース正則化は凸最適化を通して変数選択や多様な情報源の統合を実現するための系統的な枠組みとして近年注目されている。多くのスパース正則化法は滑らかでない最適化問題として定式化されるため、このような問題を効率的に解く方法が求められている。本論文では、一般の凸な損失関数と広いクラスの正則化関数に対する最適化手法をproximal minimizationの枠組みから導出し、理論的な性質を議論し、既存の手法との関係を解説する。講演では実際のパターン認識やCVの問題を題材として、非常に多くの素性やカーネルが与えられたもとでいかに効率よくこれらを選択し学習することができるかデモンストレーションを行う。
著者
坂部 芳平 鈴木 大隆 伊庭 千恵美 松岡 統 最上 美緒
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成17年 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.353-356, 2005-07-25 (Released:2017-08-31)

The characteristic of gap for every specifications, such as a floor, a wall, a roof, an opening, etc. which constitutes structure skeleton in buildings of wood frame construction system, has been grasped quantitatively. Furthermore, a comparison with the result depended on survey of the airtight performance in buildings that have already been built was performed, and the validity of a measurement result and the extendibility to a real residence were examined.
著者
鈴木 大慈
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:24321982)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.7-14, 2017-09-26 (Released:2017-12-26)
参考文献数
26

Low rank tensor estimation has a lot of applications such as recommendation system, spatiotemporal data analysis, and multi-task learning. We consider a Bayes estimator for this problem. We give theoretical analyses for the Bayes estimator and show that the Bayes estimator achieves the minimax optimal predictive accuracy. We also consider a nonparametric tensor model and a Bayes estimator for that model. It is also shown that the Bayes estimator of the nonparametric model achieves the minimax optimality. Finally, numerical experiments were conducted on restaurant evaluation data and give comparison with the Bayes estimators and other methods.
著者
鈴木 大介 三村 泰成 廣井 美和
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
シンポジウム: スポーツ・アンド・ヒューマン・ダイナミクス講演論文集 2015 (ISSN:24329509)
巻号頁・発行日
pp._B-32-1_-_B-32-9_, 2015-10-30 (Released:2017-06-19)
被引用文献数
1

In recent years, in research fields such as gait analysis, ergonomics and sport, video processing has been used. A high speed camera can observe a motion slowly. We can get an animation of a slow motion by taking a number of frames at the time of photography. A motion capture is also a technique to record the movement of a real person and object digitally. We visualize a movement of the kendo, and analysis a motion of the lower limbs during swing of an experiencer or a beginner. The measurement contents are velocity measurement of the tip of the shinai. Motion analysis of lower limbs and analysis of tendon motion by floor reaction force. There was difference in velocity of the tip of the shinai by a person with experience and an inexperienced person. In the motion analysis on lower limbs, it has been understood that power to step is five times larger than power to kick.
著者
西山 崇経 新田 清一 鈴木 大介 坂本 耕二 齋藤 真 野口 勝 大石 直樹 小川 郁
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.235-239, 2019-06-30 (Released:2019-07-17)
参考文献数
8

要旨: 聴覚過敏は, 日常的な音に対して過敏性や不快感を示す状態で, 外界からの音によらない耳鳴や, 自分の声のみが強く聞こえる自声強聴とは異なった病態を表すと考えられている。しかし, 過敏症状には「響く」,「大きく (強く) 聞こえる」など多彩な表現が存在するにもかかわらず, 各表現を分類して意義を検討している報告はない。そこで, 過敏症状を訴えた168名を対象に, 過敏症状の自覚的表現と疾患との関連や, これらの表現の臨床的意義について検討した。疾患の内訳は, 約3分の2が急性感音難聴で, 次いで加齢性難聴であり, 聴力検査上異常を認めない症例も 1割程度含まれていた。「響く」が最も多く,「響く」か否かを問診することは過敏症状のスクリーニングに役立ち,「割れる」や「二重に聞こえる」は感音難聴の存在を疑い,「大きく (強く) 聞こえる」は極めて軽微な内耳障害や, 聴覚中枢を含めた病態の関与を考える必要がある表現と考えられた。
著者
鈴木 大助
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2022-CE-164, no.12, pp.1-4, 2022-03-05

コロナ禍下での対応のため,大学では妥当な評価が可能なオンライン試験の実現に向けて,様々な試みが行われている.筆者は,授業内小テストとして減点方式の正誤判定問題を利用したオンライン CBT 試験を行った.受講生数が多くても採点が容易であること,どのような科目にも応用可能であること,受講生個々人の理解度を測定できる試験であることを目指した.本試験は,制限時間 60 分,満点 40 点で,学習管理システムの小テスト機能を利用して実施した.問題は,減点方式の正誤判定問題 40 問からなり,全問解答必須である.受講生は,各設問の文章を読み,その文章が正しい場合は「正しい」,誤っている場合は「誤り」,自信が無いので解答したくない場合は「解答しない」をそれぞれ選択する.また,「誤り」を選択した場合は,対応する解答欄に正しくなるように修正した文章を記述する.修正した文章の記述が無い場合または修正した文章が誤っている場合は,誤答となる.採点は,正答数から誤答数を引いた数を得点とし,得点がマイナスとなる場合は 0 点とする.「解答しない」を選択した設問は正答数にも誤答数にも数えない.30 人が本試験を受験した結果,得点は 10~15 点の得点区間をピークとし,0 点から 33 点の範囲に広く分布する結果となった.また,「解答しない」選択数の分布からは,受講生が確実に得点するために「解答しない」という選択肢を戦略的に利用している様子がうかがえた.以上のことから,本試験は受講生の達成度を識別する能力を有しており,受講生個々人の理解度を測定できていると期待される.また,工夫は加えているものの基本的には正誤判定問題かつ CBT であるため,採点も比較的容易である.減点方式の正誤判定問題を利用したオンライン CBT 試験は,妥当な評価が可能かつ実践が容易な試験になりえると言える.
著者
鈴木 大助
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2022-IOT-58, no.13, pp.1-5, 2022-07-05

大学の一般情報教育における情報通信ネットワークの教育を考えた場合,その技術や仕組みに興味がある受講生ばかりではないことをふまえると,技術的な側面に偏らない親しみやすい演習が必要である.本研究では,一般情報教育での実践に向けた予備的研究として,3 年生対象の選択科目において,ネットワークコマンドを用いた経路調査実験とネットワークに関する社会的な事例学習の両方を実践し,理解や興味を促進する効果に関して比較検討を行った.経路調査実験では tracert と whois を利用して,任意のサーバに至るまでの経路を受講生各自で調査する.事例学習では,受講生は提示された 3 つの事例の中から好きな事例を選び,それについて記事を読んで問題に解答する形でレポートを作成する.事後アンケートによると,経路調査実験では8割程度が理解と興味が促進されたと肯定的な回答であったが,事例学習ではそれを上回る9割前後が肯定的な回答であった.難易度に関しては,経路調査実験を難しいと感じた受講生の割合は事例学習を大幅に上回り,事例学習の取り組み易さが確認された.経路調査実験も十分な教育効果を見込めるが,必修や履修指定として実施する一般情報教育においては,事例学習の方がより一層効果的であると期待される.

1 0 0 0 最貧困女子

著者
鈴木大介著
出版者
幻冬舎
巻号頁・発行日
2014
著者
石井 康夫 大久保 あかね 鈴木 大介
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.745-753, 2019-08-15 (Released:2019-08-15)
参考文献数
19

本論文では,観光マーケティングにおける現地でのアンケート調査結果を用いて,回答項目の全体構造を把握するための新たな分析手法を提案する.すなわち,伊豆半島における観光客の行動を明らかにするため,地域自治体,観光関連産業,観光客の地域連携の可能性を探るためのアンケート調査を実施し,この結果を対象に,ノンパラメトリック検定により統計的に有意な項目を抽出し,対象を絞り込んだうえで,テキストマイニング手法を用いて,観光客の評価構造の可視化を行った.この結果,今回採用したアプローチ手法の有効性の確認と,今後の採用すべき観光施策の考察に対し,有用な情報を提供することができた.