著者
中村 秀明 阪本 奈美子 染谷 康子 矢島 務 刈間 理介 鈴木 宏昌
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.505-512, 2021-08-31 (Released:2021-08-31)
参考文献数
11

目的:静脈路確保成否因子に沿った講習会の教育効果を明らかにすること。方法:BANDOメディカルコントロール協議会において,2018年8月1日〜2019年10月31日までの15カ月間のうち静脈路確保が実施された688症例を本研究の対象とした。講習会では,成否因子に基づき血管透過モデルを自作し,静脈の走行をイメージさせる教育を行った。その後,講習会前後に分類し静脈路確保成功率と所要時間を比較検討した。結果:講習会後,静脈路確保の成功率は53.8%(205/381)から62.9%(193/307)に有意に上昇した(p<0.01)。そのなかでもショック症例は51.0%(53/104)から75.6%(68/90)に有意に向上した(p<0.01)。講習会後のPIVC 所要時間は,2分58秒から2分22秒に有意に短縮し(p<0.05),低血糖症例の所要時間は3分から2分24秒に有意に短くなった(p<0.05)。結語:成否因子に沿った静脈路確保講習会は成功率と所要時間を改善する。
著者
白石 典之 鈴木 宏節 篠田 雅人 覚張 隆史 三宅 俊彦
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究はモンゴル高原に興亡した歴代遊牧王朝の中で、史料に名を留めても、その実態が不明であった時代(たとえば、鮮卑、柔然、第1突厥、阻卜など)を「空白期」と位置づけ、その時代を実証的かつ学際的に解明することを目的としている。研究組織は考古学を中心とし、文献史学、気候学、遺伝生物学に参画した超域的になっている。令和元(2019)年度は引き続き、モンゴル科学アカデミー考古学研究所と共同で、モンゴル国ヘンティー県ゴルバンドブ遺跡で発掘調査を行った。ここには3基の墳丘が残されているが、そのうち1号墳丘の発掘を行った。1号墳丘では2016年と17年に先行発掘が行われ、6基の「空白期」の墓が見つかっている。今年度は7号墓と8号墓を検出した。7号墓は第1突厥期の火葬墓で、きわめて珍しい発見である。8号墓は初期モンゴル帝国期の幼児墓で、ガラス玉などの副葬品に恵まれていた。試料の一部は日本に将来し、理化学的分析に付した。並行して同じくヘンティー県にて同県博物館とともに、突厥時代の石碑調査も行い、新たな石碑遺跡を発見した。成果は博物館と共同で発表する予定である。金沢大学および淑徳大学にて、メンバーによる研究集会を開催し、研究の現状と問題点を整理した。また、最終成果のまとめ方についても議論した。新型コロナ感染症の影響で、予定していた現地調査1件ができなかったため、研究期間を翌年に延長し、それを補う試料の理化学的分析と論文化の作業を行った。なお、本研究に係る年度内の研究成果としては、研究発表2本、研究ノート1本がある。
著者
鈴木 宏和
出版者
日本鼻科学会
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.51-53, 2021 (Released:2021-04-26)
著者
前鼻 啓史 渡 正 伊藤 真紀 鈴木 宏哉 渡邉 貴裕
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.69, pp.290_3, 2018

<p> 2020東京パラリンピックのレガシーにより、著しく障害者スポーツに関するニーズが高まることが予想される。したがって、量的普及の後に期待される質的な充実や多様なニーズに対応できる基盤を如何に構築していくかという課題がある。2012ロンドンパラリンピックを契機に同様の課題を抱え、かつ先進的な経験と知見を有する英国の障害者スポーツに関する事例は、日本にとって有益な情報を提供してくれるものと考えられる。そこで、本研究は英国エヴァートンフットボールクラブにおける障害者サッカーの包括的な取り組みについて明らかにすることを目的とした。英国にてクラブの代表者へインタビュー調査を実施するとともにクラブの活動資料を収集し調査内容を質的に分析した。調査の結果、多様なニーズに対応した多種目の障害者サッカーチームを組織しているとともに、地域の特別支援団体と提携し、毎年千人程度の障害のある子どもや大人を対象としたサッカーや身体活動の機会を提供するマルチスポーツプログラムを有していることが明らかとなった。今後は本研究で得られた知見やノウハウをもとに、次世代型パラスポーツモデルの拠点形成に関する取り組みへと繋げていきたい。</p>
著者
鈴木 宏典 中辻 隆
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.695, pp.137-148, 2002-01-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
21
被引用文献数
2 1

高速道路上の起終点 (OD) 旅行時間を推定する新手法を提案した. 各道路区間の交通状態を感知器からのフィードバック作用により推定し, 区間旅行時間の時空間的な合計によってOD旅行時間を推定した. 筆者らは現在までニューロカルマンフィルタ (NKF) を用い, 交通状態を推定せずにOD旅行時間を直接推定する手法を提案してきた. 今回既存のNKFによる手法と新提案手法を用いてOD旅行時間を推定した結果, 新提案手法が精度の高い推定を行うことを確認した. さらに提案手法を実際の高速道路単路部へ適用した結果, 密に感知器を設置することにより混雑状態を含めた広範な交通状態の推定が可能となる見通しを得た. これらの数値計算結果から, OD旅行時間推定に対する提案手法の実用化へ向けての課題を整理した.
著者
佐野 主一 立川 博邦 木之瀬 正 相野田 隆雄 宮崎 吉規 山本 安幸 池田 昌弘 赤羽 賢浩 藤野 雅之 鈴木 宏
出版者
山梨医科大学医学会
雑誌
山梨医科大学雑誌 = 山梨医科大学雑誌 (ISSN:09120025)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.125-130, 1988

症例は58歳男性,海外渡航歴なし。右側腹部痛,発熱を主訴に昭和60年10月当科入院。入院時検査所見では WBC 28300,CRP 6(+),梅毒反応陽性,HBs抗体陽性であった。US,CTで,肝右葉に径7cmと4cmの中心部壊死を思わせる局在性病変を認め,肝膿瘍と診断。ドレナージ施行。膿汁の鏡検でEntamoeba histolyticaを確認。内視鏡検査にて腸管病変は確認し得なかったが,糞便の鏡検でも同様の原虫を認めた。このため metronidazole 1500mgを18日間,tinidazole 2000mgを11日間投与した結果自覚症状は消失し,白血球数も正常化し,CT上膿瘍腔の縮小化も認めた。現在は再発なく外来通院中である。近年アメーバ性肝膿瘍は男性同性愛者に多発すると報告されているが,本例では確認し得なかった。
著者
大塚 悠 鈴木 宏易 赤川 泉
出版者
東海大学海洋学部
雑誌
海-自然と文化 = Journal of the School of Marine Science and Technology : 東海大学紀要海洋学部 (ISSN:13487620)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.11-22, 2009

松島湾アマモ場におけるサンゴタツHippocampus mohnikeiの成魚の採集時間あたりの採集個体数(CPUE)は、2006年5〜7月は4.6-5.3で、8月に8.4に増加し、9月以降急減した。繁殖場のアマモが9月以降枯れていくために分散していると考えられる。大型の成魚は前年に産まれた個体、9〜11月にかけて採集された未成魚は、当歳魚であると推測される。成魚の雌雄の体長に有意差は見られなかった(雌、62.9±6.7mm SL;雄、66.2±8.9mm SL)。採集された全個体の性比は有意に雌に偏っており、月別では6、7月に有意に雌に偏っていた(雌/(雌+雄)6月、78.9;7月、81.3)。生殖腺の組織学的な観察では、卵巣と精巣は共に体腔背壁より伸展する生殖腺間膜によって垂下する左右一対の器官で、卵巣はのう状、精巣は管状であった。卵巣はロール状を呈する特徴的な卵巣薄板を有し、その内部には基部付近に卵原細胞が存在し、薄板の先端部に向かって卵母細胞が成長順に分布していた。精巣は肥厚した被膜で覆われ、内部には精小のうが存在していた。精巣被膜壁に沿って精原細胞が位置し、精巣内腔に向かって順次精母細胞が分布しており、内腔内には遊離した精細胞や精子が観察された。雄では5〜11月のすべての成魚で精子が観察された。卵巣では、5月末に採集された雌で既に成熟期卵母細胞が観察された。6月末にはさらに増加しており、8月末に最も成熟期卵母細胞の割合が高くなった。したがって、2006年の松島湾における本種の繁殖期は5〜9月までの5ヶ月続いていると示唆された。
著者
岸 秀忠 前鼻 啓史 鈴木 宏哉
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.229_1, 2019

<p> 2018年に日本アンプティサッカー協会はフィジカルフィットネス測定を開始した。アンプティサッカーの競技力向上に関する研究はこれまでほとんど行われていない。したがって、本研究ではアンプティサッカー競技の日本代表選考に対する体力の影響を検討することを目的とした。対象者は日本代表候補選手の男性アンプティサッカー競技者18名とした。基本属性とする身長、体重、年齢、競技歴とともに、体力テストとして基礎的体力を測定する握力、足趾把持筋力、立ち幅跳び、メディシンボールスロー、専門的体力(クラッチ操作技能を含む)を測定する30mスプリントテスト、5m×5シャトルランテストを行った。統計解析には、日本代表に選出された選手10名(選出群)と選出されなかった選手8名(非選出群)の2群に分け対応のないt検定を行った。その結果、基本属性に関して両群の間に有意差は認められなかったが、体力テストでは、30mスプリントタイムおよび5m×5シャトルランテストにおいてのみ、選出群は非選出群よりも有意に高い値を示した(p < 0.05)。したがって、クラッチ操作技能を含む専門的体力がアンプティサッカーの日本代表選考に影響を及ぼすことが示唆された。</p>
著者
村瀬 俊朗 王 ヘキサン 鈴木 宏治
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.16-30, 2021-09-20 (Released:2021-10-15)
参考文献数
103

理論を構成する抽象概念の変数化は,実証を行う上で重要な作業である.経営学者はアンケート調査を活用して概念の抽出を行ってきたが,データの大規模化や時系列での取得が困難であるため,一部の理論の検証が難しい.このデータに関する問題を解消するために,自然な人の行動の記録であるログデータの活用方法を模索する必要がある.そのため,本稿では自然言語処理と機械学習を応用したログデータの活用方法を検討する.
著者
長井 超慧 大竹 豊 鈴木 宏正
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.7, pp.2308-2317, 2011-07-15

コンピュータグラフィクスやCADを代表とする多くの分野で,表面メッシュは,実在する3次元物体(実物体)の形状を表現する目的で多用され重要な役割を果たしている.実物体から表面メッシュを得る手法の1つに,物体表面のスキャンなどで得られる点群データを入力として,その形状を等値面として持つスカラー場を構築し,その等値面を近似するポリゴンメッシュを生成するものがある.この手法はスキャンデータに一般的に含まれるノイズに比較的頑健であるものの,異常値や大きいノイズを含むデータに対し適用すると過剰な面を含むなど,元の物体形状とまったく異なる表面メッシュが生成されることがある.本稿では,等値面による近似手法の代表的な方法であるPartition of Unity(PU)に大域的手法であるグラフカットを組み合わせることで,異常値を含むデータに対する頑健性を高めた表面メッシュ生成法を提案する.