著者
水枝谷 一仁 井上 玲央 長谷川 麻衣子 住谷 昌彦
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究の概要は、術後せん妄に続く中枢神経ダメージの機序解明、予防開発のため、同一術式の術後患者を術後せん妄の有無により2群に分け、末梢血液で測定可能な血液脳関門(BBB)の接着因子とその透過性の調節因子、微小循環の調節機構に関連する因子、認知機能と強い関連性のあるメタボリック症候群関連サイトカイン等をリン酸化ニューロフィラメント重鎖(pNF-H)とともに測定し、解析を行い、術後せん妄のメカニズムの解明とそれに基づく診断マーカーの開発及びせん妄に続く中枢神経ダメージを予防する治療開発に繋げる。
著者
今村 俊幸 村松 一弘 北端 秀行 金子 勇 山岸 信寛 長谷川 幸弘 武宮 博 平山 俊雄
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.22(2000-ARC-142), pp.49-54, 2001-03-08

世界各国の計算機資源のみならず様々なネットワーク上の装置を有機的に結合し,一つの仮想計算機システムを構築する試みとしてメタコンピューティングが提案されている.日本原子力研究所では,これまで所内LANでの仮想計算機上を構築し数値アプリケーションの実験を行ってきたが,さる2000年11月アメリカ,ダラスにて開催された国際会議SC2000期間中に日独米英4ヶ国のスパコンを結合して世界規模での実験の試みに成功した.本実験では,放射線情報推定システムを題材として世界5機関の並列計算機を利用し最大計510CPUの仮想計算機の構築並びに,仮想計算機上での計算を行った.また,計算と同時に仮想計算機から大気中に放出された放射性物質の拡散過程を可視化することも実施した.本報告では,世界規模での実アプリケーションの実験の概要とその結果についてまとめる.
著者
五十嵐 中 松崎 稔矢 滕 麗達 長谷川 紗由美 常深 祐一郎
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.131, no.4, pp.719-731, 2021-04-20 (Released:2021-04-21)
参考文献数
26

ホスラブコナゾールL-リシンエタノール付加物(F-RVCZ)を含む爪白癬に対する薬剤の費用対効果を,完全治癒率と質調整生存年(quality-adjusted life years:QALY)をアウトカムとして評価した.各薬剤の標準的な投与期間における投与開始48週間後の評価をした場合,F-RVCZを最も安価のテルビナフィン後発品と比較すると,費用は57,361円増大し,完全治癒率は20.7ポイント増加する.完全治癒者1人増加当たりの増分費用効果比は,277,155円,1 QALY獲得あたりの増分費用効果比は1,979,681円となり,一般的に許容可能な上限値(500~600万円/QALY)の水準を下回っており,費用対効果に優れた薬剤であると判断した.
著者
粟生田 友子 長谷川 真澄 太田 喜久子 南川 雅子 橋爪 淳子 山田 恵子
出版者
一般社団法人 日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.21-31, 2007-11-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
20
被引用文献数
4

本研究の目的は,(1)せん妄発生因子を患者へのケア実践過程にしたがって構造化し,(2)その発生因子とせん妄発症との関連を明らかにすることである.せん妄発生因子は,【背景・準備因子】【身体・治療因子】【患者因子】【周辺因子】の4領域102項目と,薬剤104種類について,せん妄発症との関連を検証した.研究の場は一般病院1施設の,産科,小児科,脳神経外科病棟を除く7病棟であり,2005年1〜3月の3か月間に,基点となる週から2週間ごとに等間隔時系列データ収集法を用いて,6クールのデータ収集を行い,75歳以上の入院患者の全数を調査した.その結果,対象はのベ461名得られ,DRS-Nによってせん妄発症の有無を判定したところ,せん妄発生群96名(DRS-N平均得点16.16点),非せん妄発生群365名(2.44点)となった(発症率20.8%,t=37.687,p=.000).【背景・準備因子】では,「年齢」「入院ルート」「認知症または認知障害」「脳血管障害」「せん妄の既往」の5項目で両群に有意差が認められ,【身体因子・治療因子】で,身体因子の「せん妄を起こしやすい薬物の投与数」「高血圧の既往」「脳血管疾患の既往」「消化器疾患の既往」「感染症徴候(CRP,発熱)」「低血糖/高血糖」「肝機能障害(LDH)」の7項目,治療因子の「緊急手術」「緊急入院」の2項目に有意な差があった.【患者因子】では,日常生活変化の「陸眠障害(夜間不眠,昼夜逆転)」「排尿トラブル(尿失禁,おむつ使用)」「排便トラブル(下痢)」「脱水徴候」「低酸素血症(O2 sat)」「ライン本数」「可動制限(生活自由度)」「視覚障害(眼鏡使用)」の8項目,【周辺因子】では,物理的環境の「部屋移動」,物理的環境への認識/反応の「日にちの確認(カレンダーで確認)」「時間の確認(時計で確認)」「点滴瓶やルートが気になる」の4項目に有意差を認めた.今回抽出できた因子は,せん妄の発症リスクの判断指標となりうるもの,あるいは看護介入によって発症を予防できる可能性をもつものであり,看護職が日々のケアの中で介入可能なものに対して介入方法とその効果を明確にしていくことが今後必要であると考えられた.
著者
繁森 英幸 渡邉 諒子 須藤 恵美 山添 紗有美 成澤 多恵子 堀之内 妙子 渡邉 秀典 長谷川 剛 山田 小須弥 長谷川 宏司
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集 57 (ISSN:24331856)
巻号頁・発行日
pp.PosterP49, 2015 (Released:2018-10-01)

植物の具備する屈性現象については、これまで「オ-キシンが光側から影側に移動(光屈性)または上側から下側へ移動(重力屈性)することによって屈曲する」というCholodny-Went 説によって説明されてきた。しかしながら近年、「オ-キシンの横移動は全く起こらず、光側組織で成長抑制物質が生成され光側組織の成長が抑制される結果、光方向に屈曲する」という新しい光屈性の仮説 (Bruinsma-Hasegawa説)が提唱され、重力屈性についても同様に成長抑制物質が関与することが示唆された(図1)1-6)。そこで本研究では、Bruinsma-Hasegawa説に基づき、屈性現象に関わる生理活性物質を用いて、光刺激や重力刺激の感受から始まり、最終的に観察される屈曲といった一連の機序について、化学的ならびに生物学的手法を用いて分子レベルでの解明を行うことを目的とする。本討論会では、ダイコン下胚軸の光屈性制御物質の合成ならびに機能解明およびトウモロコシ幼葉鞘の重力屈性機構の解明について以下に報告する。図1.光屈性の仮説(左図、中央図)と重力屈性の仮説(右図)1.ダイコン下胚軸の光屈性制御物質の合成ダイコン下胚軸の光屈性制御物質として、MTBG、MTBIおよびRaphanusaninを見出した(図2)4)。MTBIおよびRaphanusaninはいずれも光屈性刺激によって光側組織で短時間に増量するが、影側や暗所下では変動しないことを明らかにした。また、光側において短時間で加水分解酵素の活性が高まることも見出した。そこで本研究では、これら光屈性制御物質の合成ならびにそれらを用いて機能解明を行った。図2.ダイコン下胚軸の青色光誘導性成長抑制物質の生成機構・MTBGの合成1,4-Butanediolを出発原料とし、TBDMS基で保護、酸化してアルデヒド体に誘導し、オキシム化に続いて塩素化を行った。このオキシム体をチオグルコシル化し、アセチル化、TBDMS基の脱保護、Dess-Martin酸化によるアルデヒド体への誘導、Wittig試薬によるメチルチオメチル化、アセチル基の選択的脱保護、硫酸エステル化、最後に脱アセチル化を行い、目的とするMTBGを合成した(図3)7)。図3.MTBGの合成スキーム・MTBIおよびRaphanusaninの合成 Thiolaneを出発原料とし、S-メチル化した後にNaN3を用いてアジド化合物へ誘導、この化合物をNCSで処理し加熱還流してビニルスルフィド化合物へ誘導した。これにCS2とPh3Pを用いてNCS化し、MTBIを合成した。MTBIをCH2Cl2中でシリカゲルと作用させることによって目的とするRaphanusaninを合成した(図4)。図4.MTBIおよびRaphanusaninの合成スキーム・MTBG、MTBIおよびRaphanusaninの生理活性MTBIおよびRaphanusaninについてクレス幼根およびダイコン下胚軸を用いた成長抑制活性試験を行った結果、両化合物とも天然物と同様、濃度依存的に成長抑制活性が見られ、また活性の強さもMTBIよりRaphanusaninの方が強かった。一方、Tissue Printing法により、MTBIおよびRaphanusaninをダイコン下胚軸に片側投与すると、青色光照射と同様に投与側でH2O2(View PDFfor the rest of the abstract.)
著者
会田 真衣 福間 理子 長谷川 潤一 西村 陽子 本間 千夏 佐治 正太 古谷 菜摘 美馬 康幸 倉崎 昭子 近藤 春裕 仲村 将光 鈴木 直
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.561-564, 2021 (Released:2021-12-10)
参考文献数
4

【目的】新型コロナウイルスワクチンに関する妊婦の不安,情報に関する問題を明らかにすること. 【方法】2021年6月,妊婦健診受診中の妊婦に,コロナウイルス感染症に関するアンケート調査を行った. 【結果】総回答数は284で,74%の妊婦はPCR検査を受けたいと回答し,妊婦にワクチン接種ができることを知っていたのは70%であった.実際,ワクチンを受けたいと考える妊婦は40%,受けたくない妊婦の82%は副作用を懸念していた.53%の妊婦はそれなりに情報収集していると回答し,情報源としてはテレビやWebが多かった.医療機関の情報提供は半数以上の妊婦に普通であると評価された. 【結論】コロナ禍における妊婦は感染を不安に思い,自らの抗体保有の状態を把握したいと考え,免疫獲得を希望していた.一方,ワクチンに対する不安を抱える妊婦も少なくなく,適切なテレビ,医療機関などを介した情報提供が必要である.
著者
佐々 朋幸 後藤 和秋 長谷川 浩一 池田 重人
出版者
森林立地学会
雑誌
森林立地 (ISSN:03888673)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.43-58, 1990-12-30 (Released:2017-10-20)
被引用文献数
10

They say, forests are being damaged in many parts of Europe, North America and Scandinavia by acid rain. In Japan also, the decline of adult Sugi tree (Cryptomeria japonica D. Don.) is going in urban areas, which is supposed by acid rain or acid materials from exhaust gases. The authors have an opinion that the influences of acid water will appear firstly on increase of soil acidity. Because, many kind of metals in soil will be exchanged to poisonous ions for tree fine roots or mycorrhizae, under such an acid soil condition. But, as it is extremely rare that rain water reaches forest floor directly without any touches on leaves, twigs, branches and stems, the water supplied to soil will certainly contain much amount of soluble nutrient elements derived from tree body, other than the amount in rain water. The other words, "the rain fall dropped on soil" means the throughfall or the stem flow changed in quality by such nutrient elements. The authors schement out a new method for collecting the stem flow and studied about the differences of acidity among rain fall, through fall and stem flow in relation to those nutrients' concentration. As the results of their study, they listed the following topics. 1) The acidity of stem flow always seems to converge to characteristic pH value in every species, independently of that of rain fall, as followings; Cryptomeria japonica: pH3.5〜pH4.1 Larix leptolepis: pH4.2〜pH4.8 Pinus densiflora: pH4.5〜pH5.2 Thujopsis dolabrata: pH5.0〜pH6.0 Fagus crenata: pH5.9〜pH6.5 2) The pH value of throughfall is always between that of rain fall and that of stem flow. 3) The pH value of stem flow is determined by multiple ionic action, not by single element. 4) The larger istheratio of(Ca+Mg+K+Na)/ organic-C in stem flow, the lower is the acidity. 5) The succeeding stem flow is different from the beginning one in the proportion between alkaline earth metals and alkali metals.
著者
長谷川 晃
出版者
社団法人 プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.24-30, 2004 (Released:2004-06-16)
参考文献数
31
被引用文献数
2 4

Irradiation effects of SiC fiber reinforced SiC matrix composites were summarized. Based on studies of irradiation behavior of SiC⁄SiC composites, SiC fibers which have stoichiometric composition and highly crystallized structure are expected to have high resistance to irradiation, and advanced SiC⁄SiC composites for fusion application were developed using these advanced SiC fibers. In this paper, the mechanism of irradiation resistance and recent irradiation studies on size stability, mechanical properties and thermal diffusivity were introduced.
著者
竹内 外夫 高橋 邦郎 長谷川 優 鈴木 輝雄
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.11-18, 1975-09-30 (Released:2012-11-27)
参考文献数
9

The purpose of this study was to investigate the relationship between victory or defeat of the Judo contest (3,299 match, team game of university students were held from May,1970 to June,1974) and grade (Dan), height, weight and Rohrer's index. On the same time, the authors analyzed the details of the contest too.The results may be summarized as follows:1. The contests decided victory or defeat showed 63%, the residual game 37%ended in a draw. The percentage of a drawn game was ascending with increasing the tournament scale.2. The decided performance elicited the greatest percentage in UCHIMATA, followed in order by OSOTO-GARI, SEOI-NAGE, HARAI-GOSHI, KAMISHIHO-GATAME and YOKOSHIHOGATAME.3. According the difference increasing of grade, height, weight and Rohrer's index, the standings by win percentage of dominant Judoists was ascending, the drawn game decreased further.4. It is satisfactory to the weight difference set up about 10 kg from the above mentioned results.
著者
長谷川 記央
出版者
日本経営実務研究学会
雑誌
経営実務研究 (ISSN:18805345)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.16, pp.19-40, 2021-12-31 (Released:2022-08-30)

When a sole proprietor establishes a company, the question is when the company will attribute income from the sole proprietor with respect to profits and losses. It is concluded that the profits and losses of a corporation belong to the corporation from the day when it becomes a management entity sufficient to run a continuous business. If it is difficult to make the judgment, it is concluded that the assets used for the business of the sole proprietor belong to the corporation when the corporation makes the profit from use. For this reason, it is not appropriate for profits and losses to be attributed to corporations uniformly on the day of business start, and individual and specific judgments are required.
著者
長谷川 直樹
出版者
日本経営実務研究学会
雑誌
経営実務研究 (ISSN:18805345)
巻号頁・発行日
vol.2019, no.14, pp.15-28, 2019 (Released:2021-02-06)

This paper intends to review critically the existing body of literature on Authentic Leadership theory. The field of Authentic Leadership, which appeared in the 1980s & emerged after the transformational leadership theory, has been established in the West (Northouse, 2016; Zhu et al., 2019). Authentic Leadership, however, has not yet seen its theoretical structure in the developed form but is still in the formative phase of development (Northouse, 2016). The purpose of this study is to clarify the theoretical characteristics of such Authentic Leadership, the current state of research, & problems. First, the theoretical characteristics of Authentic Leadership were examined based on previous studies such as behavioral theory & transformational leadership theory. Authentic Leadership is a leadership theory that explores the true self, rather than exploring what leadership styles can be used to achieve good results, as previous leadership research has been trying. Second, academic papers on Authentic Leadership conducted so far were reviewed to examine the current status & problems of the research. Finally, theoretical contributions & practical implications obtained from future research topics & literature reviews are described.
著者
長谷川 記央
出版者
日本経営実務研究学会
雑誌
経営実務研究 (ISSN:18805345)
巻号頁・発行日
vol.2020, no.15, pp.33-56, 2020 (Released:2022-02-17)

In the case of the construction industry, when the prime contractor pays for damages due to an accident of the subcontractor, the prime contractor may simultaneously generate compensation for damages. In such a case, as in the case of a normal contracting construction contract or a sales contract, when the right is established based on the vesting principle, the issue is whether the main contractor must recognize the profit. In this paper, we conclude that in the case of a vesting principle, it is appropriate to consider that the right to claim for damages was vested at the time of actual payment.
著者
長谷川 直樹
出版者
日本経営実務研究学会
雑誌
経営実務研究 (ISSN:18805345)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.13, pp.1-14, 2018 (Released:2020-05-11)

Avolio and Bass's Full Range Leadership Theory, which had been popular for more than 30 years in English-speaking countries, has also been studied in Japan. However, Transaction Leadership has rarely been studied. This paper presents an empirical research on Transactional Leadership conducted in a Japanese electric-industry company with 105 participants. Data collected from the sample were analyzed firstly by Confirmatory Factor Analysis to confirm whether transactional leadership has two-factor structure of Contingent Reward and Management by Exception (active). Secondly, correlation analysis was employed to examine the relationships between Contingent Reward and Management by Exception (active) and three leadership effectiveness variables. Thirdly, Multiple regression analysis was employed to examine the influence of Contingent Reward and Management by Exception (active) on three effectiveness variables. Results show that firstly two-factor structure of Transactional leadership was confirmed as predicted, that secondly Contingent Reward strongly influenced on leadership effectiveness over Management by Exception(active)and that thirdly Contingent Reward had more influence on three effectiveness variables than Management by Exception (active). Discussions of results shall be given in the middle of this paper.
著者
韓 雪 長谷川 智子 外山 紀子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.93, no.3, pp.177-187, 2022 (Released:2022-08-25)
参考文献数
26

There are cultural differences in childcare practices in preschools, reflecting beliefs and values about children, childcare, and education. The COVID-19 pandemic exposed normally hidden cultural, ethnic, and historical issues. Mealtime is particularly restricted by droplet spread of COVID-19. Cultural differences in thoughts related to meals became evident in the response to this critical situation caused by the pandemic. This study examined how preschool mealtime has changed due to COVID-19 in Japan and China. A questionnaire survey was conducted from September 2020 to January 2021. This study included 191 Japanese preschools and 179 Chinese preschools. Various infection countermeasures were taken and mealtime practices changed drastically in both countries. In Japan, preschool mealtime is regarded as a socially essential event, for example, chatting while eating; whereas in China, nutrition and hygiene are considered more important. Possibly, because of such differences in mealtime conceptions, the impact of the spread of COVID-19 appeared to be substantial in Japan compared to China. Based on the obtained results, cultural differences in preschool education were discussed.
著者
長谷川 紀子
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.67-76, 2016 (Released:2017-12-01)

ノルウェー、ヌーラン県ハットフェルダル・コムーネ(kommune)に、少数先住民族サーメ児童・生徒のための基礎学校がある。1951年、国立の寄宿制サーメ学校として創立され、特に1980年以降、南サーメ言語・文化教育をノルウェーの普通教育に取り組んだ独自の教育を展開してきた。しかし、2000年以降、徐々に児童・生徒数が減少し、現在は通年の学校として機能していない。本稿の目的は、スウェーデンにあるサーメ学校と比較の観点から、学校の教育的特徴を分析し、児童・生徒数減少の要因と実情について明らかにすることである。学校は、現在、短期セミナーや遠隔教育を駆使して南サーメ言語・文化を伝承する役割を果たしている。しかし、通年で 通う児童・生徒を確保できないがために新たな課題に直面している。この学校は、今後どのような教育機関として位置づけられていくのだろうか。