著者
望月 美也子 長谷川 昇
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.28, 2004 (Released:2005-04-02)

【目的】 茶(Camellia sinensis)は、近年、生理機能が多数解明され注目されている嗜好飲料である。我々は既に、粉末緑茶が高脂肪食を摂取させたZuckerラットの体重増加を抑制し、その原因は緑茶により脂肪細胞における脂肪分解が促進する事によることを明らかにしている。そこで本研究は、緑茶中の作用物質を特定する目的で、緑茶中の渋み成分である茶カテキン類の脂肪分解作用を確かめるために行われた。 【方法】 3T3-L1細胞を培養し、細胞がConfluenceに達した時点でインスリンを培養液に加え、脂肪細胞へと分化させた。脂肪分解作用は、充分に分化した脂肪細胞に茶カテキン類を添加し12_-_24時間反応後の細胞質中のグリセロール濃度、中性脂肪(TG)濃度を測定することにより判定した。【結果・考察】 細胞質のグリセロール濃度は、以下のような順になった。 (-)-epigallocatechin-3-gallate(EGCG) > コントロール> (+)-catechin緑茶カテキンの脂肪分解効果は、緑茶中に約53%含まれるEGCGによるものであることが明らかとなった。反対に、(+)-catechinは脂肪分解を抑制することが明らかとなった。これらの結果を総合すると、EGCGには強い脂肪分解作用がみられ、我々のこれまでに得たZuckerラットや、脂肪細胞での粉末緑茶の効果を裏付ける結果であると考えられた。一方、微量成分であるが、脂肪分解に対して反対の作用を示すカテキンの存在も確認された。
著者
川俣 茂 長谷川 雅俊
出版者
日本水産工学会
雑誌
日本水産工学会誌 (ISSN:09167617)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.69-79, 2006-07-15 (Released:2017-09-01)
参考文献数
37
被引用文献数
5

Laboratory experiments were conducted to evaluate the effects of wave-induced oscillatory flow and temperature on feeding by the rabbitfish Siganus fuscescens on the kelp Ecklonia cava or Eisenia bicyclis. With a constant temperature of 20℃, feeding rates were very low from July to August and then increased until November. When feeding activity was highest, oscillating flow reduced feeding to 50% at the velocity amplitude of l.lm/s and to nil at ca 1.5m/s. An experiment with variable temperatures showed that temperature threshold for initiating feeding on kelp were variable with time, from 23℃ in late July to 17℃ in early November. Once reached maximal, feeding rate remained high until temperature was lower than 19℃ and then decreases to zero at 16℃. Contrary to expectations, the experimental results and wave-induced water velocity predictions lead to the conclusion that destructive feeding by S. fuscescens on kelp is very unlikely to be inhibited by waves on the Pacific coast of central Honshu, requiring further studies of the feeding ecology of S. fuscescens.
著者
長谷川榮作編
出版者
主婦之友社
巻号頁・発行日
1927
著者
宮本 進生 大西 綾乃 武内 良男 前山 利幸 長谷川 晃朗 横山 浩之
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.9, pp.710-718, 2022-09-01

近年,アンテナから収集した電磁波のデータに対して機械学習により無線通信の信号を分類する研究が注目を集めている.一方で,工場等の製造現場で産業機器等から発生する電磁ノイズは発生源となる機器により発生頻度やパターンが異なるため,これらを機械学習により分類しようとすると,限られた時間で収集した学習データに含まれない未知のパターンが運用中に発生する可能性が高い.それらを既知のパターンに分類すると,発生源の異なる電磁ノイズを混同し,取るべき対策の検討において誤りを生じさせる恐れがある.未知のパターンを見つけ出す方法として機械学習の新規性検出を利用することが考えられる.しかし実際の運用では,製造現場の限られた計算資源で,学習データに基づく電磁ノイズの分類と新規性検出のための機械学習を同時並行で実行するのは負担が大きい.そこで本論文では,分類の際に得られる事後確率値から未知のノイズを検出する方法を提案する.この手法が計算資源の消費を押さえつつ,未学習のパターンを高い精度で検出可能であることを,実測データを用いて実証する.
著者
出口 順子 長谷川 健司 清川 健一 菊池 秀夫
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.13-32, 2021 (Released:2021-01-30)
参考文献数
91
被引用文献数
2

Relationships between team identification, fan community identification and team-support behavior can be explained using organizational identification theory (Ashforth and Mael, 1989; Mael and Ashforth, 1992). According to Mael and Ashforth (1992), for an individual to identify with an organization, it must enhance the appeal of its collective identity through clear delineation of in-group and out-group memberships as a distinct organization, while increasing self-esteem through association with the organization’s prestige, meaning that the antecedent factors are the organization’s distinctiveness and prestige. Additionally, in social identity theory, which represents the theoretical background for organizational identification theory, support behavior is expressed for an organization that embodies the supporter’s identity. Accordingly, Mael and Ashforth (1992) consider organizational support to be a result factor. Based on the above, the aim of this study was to use organizational identification theory to clarify the relationships between team identification, fan community identification, and team-support behavior. Specifically, we developed a hypothetical model in which the factors of team distinctiveness and prestige were the antecedent factors and the non-transactional support behavior of fan engagement was the resulting factor. Data collected from spectators at a V. Premier League were used for verification. Analysis using the bootstrap method revealed that impact relationships were not found for all hypotheses. Nonetheless, certain relationships were found between leading and result factors, thus supporting the conclusion that organizational identification theory can be used to explain spectator support behavior.
著者
萩岡 松韻 久保田 敏子 野川 美穂子 長谷川 慎
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

地歌箏曲の楽曲アーカイブを目的とした研究。稀曲等次代への伝承が危ぶまれている楽曲について、音源の収集、楽曲の伝承者に指導を受けることで、楽曲の音源化・楽譜化を試みた。地歌箏曲では口頭伝承が昭和の初めまで行われていた。現在は作品の多くが楽譜化されているが、楽譜化できない口頭伝承の部分を知る実演家の多くは没し、口頭伝承を受けた実演家の存在は貴重である。本研究はそうした実演家より直接指導を受け、楽曲をアーカイブすることを目的とした。地歌箏曲の喫緊の課題といえる現存する古典曲の調査、楽曲の楽譜化、録音等による伝承者の演奏の保存、稀曲等の公開演奏を行うことで無形文化財ともいうべき楽曲の保護保存を進めた。
著者
上薗 薫 綿貫 仁美 長谷川 桜
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 2022年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.99, 2022 (Released:2022-09-02)

【目的】灰干しとは、火山灰を用いた熟成乾燥加工法の一種で海産魚に対して用いられることが多い。研究者らは魚介類だけではなく、食肉、野菜、果物等に調理加工の下処理手法として活用検討し、加工食品への応用検討も行っている。魚介類では適度に水分を火山灰が吸収し、併せて魚臭やサメやエイではアンモニア臭も吸着し、食味が向上する。本研究では本特性に着目し、渋柿を試料とし、脱渋工程に火山灰干しが活用できるか検討することを目的とした。【方法】試料は平核無、刀根早生2品種とした。1)灰干しの手法は三宅島灰で行われている加工法を基本とした。灰干しに用いる火山灰は環境庁三宅支庁から許可された三宅島火山灰を使用した。2)各試料を火山灰に6時間、12時間、18時間、24時間浸漬処理を行い、その後、低温機械乾燥で干し柿とした。比較対照の脱渋方法としては、アルコール脱渋法を用いた。3)灰干しと灰干し未処理試料に対し、紫外吸収法で各試料の渋味判定と併せてD(+)-カテキンと比較し、カテキン含有量を判定した。また、フォリン・デニス(Folon-Denis)法も用い、含有タンニン定量を行った。【結果】灰干し処理後及び灰干し未処理(アルコール脱渋)後に低温乾燥を行った各々の試料のタンニン定量の結果は、脱渋処理の違いに差は認められず、いずれもほぼ同等のタンニン含有量を示した。よって、灰干しによる脱渋作用が示唆された。加えて、試料により灰干しのデメリットなる火山灰のにおいは、24時間火山灰浸漬処理を行っても火山灰独特のにおいが試料へうつらず、食味も比較対照手法品と同等の甘さが認められた。
著者
住田 拓郎 上村 綜次郎 長谷川 孔明 岡田 美智男 大島 直樹
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2022論文集
巻号頁・発行日
vol.2022, pp.93-95, 2022-08-25

人と人とが一緒に何かを成し遂げるには協調性を必要とする。 人とロボット、あるいはロボット同士で互いに「こうして欲しいな」という気持ちを汲み取り行動することは可能だろうか。 本発表では、人とロボットとが身体的協調を伴ないながら目的に向かって貢献しあうことで、一体感を生みだすロボットを提案する。
著者
長谷川 真理子
出版者
専修大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1991

筆者が1987年から1989年にかけて、英国サセックス州のペットワ-ス公園に生息するダマジカのレック繁殖行動を調査した資料を分析し、レック繁殖における雄どうしの闘争の機能の解明と、レックにおける雄間の繁殖成功度の偏りを表わすシミュレ-ション・モデルの開発に関して研究をおこなった。ダマジカは、レック内において頻繁に雄どうしが闘争を行なうが、その闘争にどのような意味があるのかは不明であった。分析の結果、レック内での闘争のほとんどは勝敗の結着があいまいな、60秒以下の闘いであること、闘争のほとんどは、闘争をしかけた個体もしかけられた個体も、なわばり内から雌のほとんどすべてを失う結果に終わること、闘争に勝つことと繁殖成功度との間には相関がないこと、なわばり内の雌の数が少ない雄が、なわばり内に多くの雌を持つ雄に対して闘いをしかけることが明らかとなった。なわばり内にいる雌の数と各雄の繁殖成功度との関係を分析すると、レック内にいる雌の、各雄のなわばりへの分布の分散が大きいほど(つまり分布に偏りがあるほど)、各雄の繁殖成切度間の分散も大きくなることがわかった。これよりダマジカのレックで行なわている闘争は、配偶の確率の低い雄が、レック内の雌の分布の偏りを平均化し、特定の雄の配偶のチャンスを低める機能を持っていることが推測される。上記のようなレック内の闘争による、雌の移動、雌が他の雌のいるところへ行きたがる傾向などを組み込み、実際のデ-タから得られた値を導入して、レック内の各雄をそれぞれ一つのセルとみなし、セル・オ-トマトンの考えでレック繁殖のモデルを開発した。これについては、いくつかの点について改良をほどこしている段階である。
著者
長谷川 正哉 金井 秀作 清水 ミシェルアイズマン 島谷 康司 田中 聡 沖 貞明 大塚 彰
出版者
コ・メディカル形態機能学会
雑誌
形態・機能 (ISSN:13477145)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.75-80, 2007-03-22 (Released:2010-09-09)
参考文献数
29
被引用文献数
5

靴着用が原因と考えられる扁平足、外反母趾等の障害が増加している。これら足部障害の予防には、靴等の環境要因の改善および足部内在筋強化等の身体要因の改善が重要である。本研究では履物着用中の歩行が足部に及ぼす影響について調査し、その中で下駄着用歩行の有効性について検討する事を目的とした。実験は裸足、靴着用、下駄着用の3条件とし、足趾MP関節運動及び内側縦アーチの動態を計測した。関節角度の計測には三次元動作解析装置であるOxford Metrics社製VICON512を用いた。結果、裸足と比較して靴着用中におけるMP関節運動範囲、Arch運動範囲が有意に減少した。また、靴着用中と比較して下駄着用時にはMP関節運動範囲、Arch運動範囲が改善する傾向が認められた。足趾の積極的な使用が足部障害発生予防に有効であると報告されており、下駄着用による歩行の有効性が示唆された。
著者
高瀬 裕 山下 洋平 石川 達也 椎名 美奈 三武 裕玄 長谷川 晶一
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.327-336, 2013-09-30 (Released:2017-02-01)
被引用文献数
2

Recently, robots are more and more utilized in entertainment area. Stuffed toy robots or pet-like robots are developed to entertain or to heal people with intimate touch interactions. Softness of the robot is important for comfort in such interactions. However, most entertainment robots with expressive body motions include hard structures to actuate body, and they cause rough feelings in touch or hugging interactions. In this paper, we propose the soft-to-the-bone robot looks like a stuffed toy, driven by a novel mechanism made by a fabric material and pulling strings. The robot has large movable range and move speedy enough for various body motion expressions. Moreover, the proposed robot is evaluated to have more familiar and comfort impressions than conventional hard stuffed toy robots.
著者
長谷川 正木
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.102-108, 1970-02-01 (Released:2011-09-21)
参考文献数
37
被引用文献数
1

最近,光化学反応に関する基礎面での活発な研究に伴い,それらを利用した数々の感光性樹脂が開発されている。光重合の一般的性質,種々の開始系についてカルボニル化合物を中心に述べ,さらに最近見出された結晶状態での一連の光重合反応を概説した。最後に光重合の応用例のいくつかについて述べた。光重合による硬化はかなり厚みのあるものまで行なえるので,レリーフ型の画像を形成させることも可能で,現在,印刷用凸版材料などとしての用途が注目されている。レリーフ型感光性樹脂の二三について,おもに組成,反応性の面