著者
関村 照吉 笹島 正彦
出版者
岩手県工業技術センター
雑誌
岩手県工業技術センタ-研究報告 (ISSN:13410776)
巻号頁・発行日
no.8, pp.69-72, 2001-09

岩手県は、平成12年に低アミロース小麦で製めん適性が優れているとされている小麦の新品種'ネバリゴシ'(旧東北206号)を奨励品種とした。当センターでは、ネバリゴシ粉を用い既存のめんには無い特徴のあるめんができることを既に報告している。本年度は、温めて食べるうどんと冷たいまま食べるうどん、中華めん及び中華まんじゅうを製造して官能試験を実施した。また、製めん条件を検討した。その結果、温かいうどんではゆで伸びしやすく、色の評価は良くなかった。中華めんと中華まんじゅうでは評価の良否が分かれた。また、従来の製めん試験法はそのままでは適応することができないことが判った。
著者
関戸 明子
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

本報告は,昭和初期に推進された群馬県の観光プロモーションの特徴について,当時の社会的・地域的文脈との関わりから考察するものである。群馬県では,1935(昭和10)年3月20日に群馬県勝地協会が創立された(昭和10年「商工雑事」群馬県立文書館)。会長には当時の群馬県知事・君島清吉,副会長には群馬県経済部長と県会議長など,理事には群馬県総務部長・学務部長・警察部長・土木課長・林務課長・商工課長・衛生課長といった行政職や前橋・高崎・桐生市長など,幹事には前橋・高崎の商工会議所会頭など,評議員には伊香保・水上・草津・四万といった温泉の組合長や各郡の町村長会支部長などが就任しており,官民挙げての組織だったことがわかる。群馬県勝地協会の解散に関する記録は確認できていないが,出版物の刊行状況からみると,1943(昭和18)年までは活動が続いていたことがわかる。1940年以降,不要不急の旅行が抑制され,鉄道輸送の旅客制限が強められていくが,勝地協会の事業はこうした時期にも行われていた。<br> 「設立趣意書並会則」(県史資料「群馬県勝地協会関係綴」群馬県立文書館)には次のようにある。「本県は三面秀嶺を繞らして坂東太郎の清流を養ひ(中略)山河襟帯到る処風光明媚の勝地である。加ふるに史蹟,伝説の人口に膾炙するもの極めて僥く,動植物の世に珍稀なるもの亦少くない。更に温泉は各所に湧出して,古来著しき霊験を伝へ,帝都に近く交通至便なるは真に本県独特の天恵と謂はねばならぬ。殊に上毛三山の一たる赤城山には,昨秋 畏くも 聖駕を枉げさせ給ひ次で奥利根一帯の地は国立公園に指定されて景勝群馬の名声は愈々揚り,正に錦上花を添うるの趣がある」。 このように群馬県は風光明媚の勝地であり,史蹟や温泉も多く,東京に近いことをうたっている。「聖駕を枉げ」とあるのは,1934年11月,群馬県庁に大本営を置いて陸軍特別大演習が行われて,さらに県内を昭和天皇が行幸したことによる。また1934年3月に初めて3か所の国立公園が指定されたのに続き,同年12月に指定を受けた日光国立公園に「奥利根一帯の地」である尾瀬が含まれた。こうしたことが協会設立の契機となったのであろう。<br> さらに「地元大衆の理解と用意とは未だ此の天資に添はず動もすれば其の勝景を傷け,或は適当の施設を誤り,却て造化の殊寵を暴殄するものさへあるは,夙に識者の憂ふる所である。(略)近時一般保健思想の向上は交通機関の発達と相俟て,野外趣味の勃興を促し,国策亦国立公園の開設を計つて以来,各地競うて其の助成策を講じ,天下靡然として観光施設に汲々たる状況である本県民たるもの,豈此の勝地を擁して拱手傍観するを得やうか。(略)是に於て関係者並に有志相諮り,官民合同の勝地協会を設立し,統制ある組織の下に県下の景勝霊地を江湖に紹介し,其の愛護開拓を図つて,来遊者に利便を与え,大いに内外の観光客を迎へ,以て益々国土の精粹を顕揚し,文化の進展に寄与すると共に,天与の恵沢を頒つに遺憾なきを期せんとするものである」と設立の趣意を述べている。保健思想の向上,野外趣味の勃興とは,この時期に健康への関心が高まり,スキー,スケート,ハイキングなどが人気となったことがある。このように群馬県勝地協会は,官民合同の組織のもとで景勝霊地を紹介し,内外から観光客を迎えることを目的として設立された。<br> 「昭和十年度歳入歳出決算並事業成績」には,1.国立公園映画作製,2.赤城公園座談会,3.温泉とスキー展覧会,4.スキー大会,5.「勝地群馬」刊行,6.勝地絵葉書刊行の六つの事業が記されている。「勝地群馬」の著作権兼版権所有者は吉田初三郎,この鳥瞰図の印刷費は3453円32銭で,同年度の歳出の53%を占めていた。図裏面の案内情報には,名所・温泉・スキー場・スケート場・神社・仏閣・史蹟・天然記念物・国宝・重要美術品・古社寺の188箇所を掲載する。さらに勝地協会は1941年に『群馬の史蹟めぐり』,1943年に『群馬健康路 史蹟と温泉巡り』を発行している。 昭和初期の群馬県では,どのような場所がツーリズムの対象となり,意味や価値を付与されたのか,当日報告を行う。<br> [文献] 関戸明子2008.吉田初三郎の鳥瞰図.中西僚太郎・関戸明子編『近代日本の視覚的経験-絵地図と古写真の世界-』119-124. ナカニシヤ出版.
著者
高木 斗希夫 藤井 範久 小池 関也 阿江 通良
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.216-224, 2010 (Released:2016-04-15)
参考文献数
21
被引用文献数
10 1

本研究では,野球における速度の異なるボールに対する打撃動作に影響を及ぼす力学的要因を明らかにすることを目的とした.速度の異なるボール(75-80km/h,100-105km/h,125-130km/h)を被験者に打撃させ,3 次元自動動作分析システムを用いて動作を計測するとともに,2 台のフォースプラットフォームを用いて両足下の地面反力を計測した.下肢及び体幹部に作用する関節力および関節トルク,さらに股関節トルクを下胴の長軸周りの軸へ投影した成分(下胴回転成分)などを算出した.その結果,ボール速度の大きい条件では,投手方向への身体の移動に関与する力積が小さく,この要因として踏出足接地から身体重心速度が最大値に到達する時点までの動作時間の短さが大きく影響を及ぼしていた.また,ボール速度の大きい条件では,軸足側では股関節外転トルクの下胴回転成分,踏出足側では股関節屈曲トルクの下胴回転成分が大きく作用していた.
著者
阿江 数通 小池 関也 川村 卓
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
pp.13067, (Released:2014-07-09)
参考文献数
43
被引用文献数
16 3

The purpose of this study was to clarify the kinetic features of the upper limbs at different hitting-point heights (high, middle, and low) during baseball tee-batting. Twenty-three collegiate male baseball players (age: 19.8±1.3 yr, height: 1.74±0.04 m, weight: 74.1±6.2 kg, athletic career: 12.0±2.1 yr) participated. Three-dimensional coordinate data were captured using a VICON-MX system (12-camera, 250 Hz), and kinetic data for each hand were collected using an instrumented bat equipped with 28 strain gauges (1000 Hz). Three tee-batting heights were set for each subject based on the upper and lower limits of the strike zone according to the rules of baseball. Kinetic variables for the upper limbs, such as joint torque, joint torque power, and mechanical work, were calculated. The period of forward swing motion was divided into down-swing and level-swing phases. The results are summarized as follows: 1) The extension torque and positive torque power at each individual shoulder joint were significantly greater at the low hitting-point height than at other heights. 2) The positive torque power for extension torque at each individual elbow joint in the last half of the down-swing phase was significantly greater at the low hitting-point height than at other heights. 3) Negative power for adduction/abduction torque at each individual shoulder joint in the level-swing phase was observed at the low hitting-point height. 4) The mechanical work done by joint torque about the flexion/extension and adduction/abduction axes at the shoulder, the flexion/extension axis at the elbow, and the palmar/dorsal flexion and radial/ulnar flexion axes at the wrist showed large and positive values, and differed significantly among hitting-point heights. These results indicate that 1) the flexion/extension torque at each individual shoulder joint contributes greatly to adjustment of the translational movement of the bat in the vertical direction during the down-swing phase, 2) the adduction/abduction torque at each individual shoulder joint exerts a larger proportion of the longitudinal force of the bat to withstand centrifugal force at a low hitting-point height than at other heights in the level swing phase, and 3) consequently, it tends to be more difficult to adjust the bat to the hitting-point at a low height in comparison with other heights.
著者
髙野 裕輝 関野 とも子 山﨑 勝也
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.386-394, 2017-12-31 (Released:2019-01-02)
参考文献数
19
被引用文献数
1

左側頭葉後下部性失読失書 1 例と対照群 5 例に対し, 仮名文字列の語彙性判断検査および仮名実在語の音読-意味説明検査を, 呈示時間を統制した上で実施し, その成績や反応潜時の分析から仮名文字列の読み方略について検討した。その結果, 逐字音韻変換が機能し得ない短呈示条件下で本例はチャンスレベルを超える語彙性判断能力を示したが, それに比し音読や意味説明能力は低下が顕著であり, 欧米語圏で報告されている潜在性読みが観察された。以上より, 本例は単語形態熟知性の高い文字列を視覚的な「まとまり」として捉え, それが既知であるとの判断は概ね可能だが, それを音韻に変換するか意味にアクセスする過程に障害を呈していた。このような傾向は, 左側頭葉後下部性失読失書と病態的に近似していることが指摘されている日本語話者の純粋失読例にも認められる可能性が考えられた。この点については症例の蓄積を重ね, 今後検討を行う必要があると思われた。
著者
國實 誉治 小泉 明 荒井 康裕 稲員 とよの 石田 紀彦 藤川 和久 関田 匡延 村田 諒介
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境)
巻号頁・発行日
vol.75, no.7, pp.III_425-III_434, 2019

<p> 本研究では,配水管網ネットワーク内での基幹管路である配水本管に着目して,水需要の経年変化を考慮した更新計画について分析を行った.管路更新後の配水ネットワークの冗長性を確保する目的で,供給点からの管路延長を基準とした3つの区分(上流,中流,下流)に分けて,給水に必要な配水小管上での有効水頭を確保できる縮径の組み合わせを検討した.更新の対象管路は非耐震継手管として,【更新優先度順】【布設年度順】【流量順】の3つの更新シナリオを設定し,配水小管上での最小有効水頭や更新工事費用,更新工事時の逆流の発生,ポンプ増減圧による電力費を指標として比較分析を行い,新たな配水管路の更新計画についてシナリオ分析を行った.この結果,配水本管の縮径更新に関する経済性や安定供給性を考慮した新たな知見を得ることができた.</p>
著者
下川原(佐藤) 英理 関野 遥香 李 有てい 黒田 知士 山口 亨
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.527-532, 2022-02-15 (Released:2022-02-15)
参考文献数
14
被引用文献数
2

本論文ではロボットが人に行動を促したりタスクを依頼する場面において,ジェスチャー表現が行動受諾にどの程度影響を与えるのか,アンケートと生体センサ(心拍センサと脳波センサ)の結果を分析し報告する.ロボットが人と日常生活を共にする上で,ロボットが人に行動を促したり協働でタスクを遂行しなければならない場面は今後ますます増えると考えられる.行動の促しやタスクの依頼を受け入れてもらうためには,発話内容だけでなく非言語情報も含めたマルチモーダルインタラクションが重要である.そこで本論文では非言語情報の1つであるジェスチャーに着目しその影響を調査した.ロボットが人に行動を促す時の表現を,発話内容の感情に合わせたジェスチャーと発話内容の感情と逆のジェスチャー,ジェスチャー無しの三条件で比較したところ,ジェスチャー無しよりもジェスチャー有りの方が行動を受け入れ実際に行動する可能性が高く,また行動を促された時にストレスを感じにくいということが示された.
著者
高木 斗希夫 藤井 範久 小池 関也 阿江 通良
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.158-166, 2008 (Released:2010-12-13)
参考文献数
22
被引用文献数
16 5

本研究では,球速の異なるボールに対する野球の打撃動作の特徴を明らかにすることで,打撃の正確性に影響を及ぼす動作要因について検討することを目的とした.球速の異なるボール( 75km/h,100km/h,125km/h)を被験者に打撃させ, 3次元自動動作分析システムを用いて動作を計測した.打撃の正確性を評価する指標としてインパクト角を用いて,身体の並進および回転動作と打撃の正確性との関連について検討を加えた.その結果,ボール速度が大きい条件( 125km/h)においては,身体重心の並進移動距離を小さくするとともに,上胴部およびバットの回転動作範囲を小さくすることが打撃の正確性を高める動作であると考えられた.さらに,体幹の捻り角度および捻り戻しの角速度の最大値にはボール速度条件による有意な差は認められなかったため,これらの動作はボール速度に関わらずスイングに必要な動作であると考えられた.
著者
魏 書剛 関 信之
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.263-270, 1994-04-01 (Released:2017-06-02)
参考文献数
7

本論文では、小数の1/p(1&ltp≦∞)ベき乗計算を多項式の演算と除算で近似することに着目し、DSPにより効率的に演算できる高性能のコンプレッサ/リミッタの設計法について、まず、理想的な特性に最も近似な特性を求めるための、最小2乗法に基づくパラメータ算出アルゴリズムについて述べる。次に、DSPにより除算を実現するため、収束近似方法を使用し、近似誤差を小さくする方法について検討する。更に、ゲインの変化に従い、係数を切り替える処理によるアタック/リリース機能の実現方法について述べる。本論文で提案した設計法に基づいたコンプレッサ/リミッタの性能評価を行い、従来のアナログのコンプレッサ/リミッタに比較して、ほぼ同様な特性が得られると共に、出力信号の歪を約1/5に低減できることを明らかにしている。本論文によるコンプレッサ/リミッタは、DSP処理が約70ステップであり、コンパクトに構成できる。
著者
金関丈夫著
出版者
法政大学出版局
巻号頁・発行日
1976