著者
関根 理敏 野崎 正典
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.134, pp.31-36, 2008-07-10
参考文献数
8

ユーザが近距離無線通信機能を有する携帯端末を利用して,ゲーム情報,ロコミ情報,また興味情報などを交換するPocket Switched Network (PSN)が新たなネットワークサービスとして想定されている.このようなサービスでは,ユーザは限定的な範囲のみならず,住宅地,オフィス,また商業施設などの広い範囲を移動し,携帯端末がデータをホップバイホップで中継する場合もある.PSNではリンクの切断が長時間継続し,ネットワークトポロジーの変動が大きいため,効率的にデータの交換を行うことが重要になる.そこで本稿では,広域におけるユーザの移動モデルを想定する.そしてノードがお互いに無線リンクにおける配送遅延に関する情報の収集し,その情報を利用して複数ホップに渡ってデータを効率的に交換する方式に関する検討を行う.
著者
機関誌編集委員会
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.1-3, 1991-01-10

マシュー先生は1954年ボストン大学の理学療法学科を卒業し, 1967年ノースカロライナ大学の修士課程で公衆衛生学修士号を取得された。1982〜1985年, APTA副会長を務め, 1985年から会長に就任し, 現在に至っている。大学院で, 地域社会における保健・医療推進プログラムについての内容の検討, 評価の方法について研究し, 現在はある特定の地域社会の理学療法サービスの必要度を調査し, その結果に基づいて, その地域に適した, 場所, 理学療法士(人ではなく専門性), 設備, 機器を選択して, 情報管理システムのサービス提供などの仕事を主にやっておられる。インタビューにあたって, マシュー先生の地域ケアに関する豊富な知識, 経験の中で日本の地域ケアの発展のために少しでも役立つものを引き出すことができたらと願った。地域ケアというものは, その地域に住む人たちの生活, 文化と深い関わり合いをもっている。米国と日本とではそれぞれ大きな違いがあるが, 戦後40年間, わが国は米国をモデルとして学び, 追いつき, 追い越せをモットーとしてきており, リハビリテーション, 地域リハビリテーションも全くその通りである。このインタビューのなかから少しでも学ぶものがあったら望外の喜びとするものである。なお, このインタビューは第25回日本理学療法士学会の特別講演のため来日した機会をとらえ1990年5月28日帝国ホテルで行ったものである。
著者
宮下 陽子 (2009) 関口 陽子 (2007-2008)
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

申請者は研究実施計画に基づき、以下の研究を実施した。現代トルコの右派民族政党である民族主義者行動党(MHP)の組織とイデオロギーに関する研究を前年度及び前々年度に行い、主に論文の形で発表してきたが、今年度はMHPと思想的傾向は類似しつつも国家政党として長らくトルコを支配してきた共和人民党(CHP)を研究対象とした。その際、CHPのイデオロギーにおけるナショナリズム認識の変化はやはり既に確認したため、そのイデオロギー変化を実施した党エリートの変遷の有無について今年は確認し、学会発表の形で発表した。発表では、党イデオロギー変化の起こった時代、同時並行して党幹部の顔ぶれにも明確な変化が起こっていたこと、それは明らかに党内の権力闘争に起因することを明らかにした。前々年に行った党イデオロギーに関する研究成果と併せて、党内の権力闘争が党イデオロギーの変化に便乗し、党幹部の変化をもたらしたこと、それが第二共和制下での政党再編に繋がったと結論付けた。年度末に行った海外調査ではトルコ国外(主に中央ユーラシア諸国)における団体の活動に関する新聞や雑誌記事の収集、刊行物の購入を目的とする資料収集をイスタンブル市にて行った。これらの資料から、90年代以降国外での諸団体の活動が活発化したこと、それらは学校の開校や企業進出といった民間団体の活動に拠るところが大きいことが判明した。また、中でもイスラーム色の強さが特徴であることが分かった。
著者
丸田 恵美子 長谷川 雅美 上田 正文 関 剛 山崎 淳也
出版者
東邦大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

中部日本の太平洋側と日本海側の山岳域を比較して、森林の動態に対して積雪がどのように関与しているか、温暖化による積雪量の減少が森林の動態にどのような影響を与えるかについて以下のような結論を得た。冬季、日本海側では降雪日が多く、大気の水蒸気飽差(VPD)が低いために、森林限界付近での常緑針葉樹は、太平洋側に比べて葉からの水分消失量が少ない。積雪も多く、この中に埋まって越冬したシュートでは水分の減少はみられない。そのように、太平洋側に比べれば緩和された環境であっても、日本海側気候の北アルプス乗鞍岳・樹木限界のオオシラビソでは、冬季に積雪に埋まって保護されないと、強光ストレスと乾燥ストレスを受けて、葉の枯損や生育期間の光合成抑制といった影響を受け、やがては幹が枯損する。これを補うのが、積雪下で越冬できる下部のシュートであり、この部位が1本のオオシラビソ個体の90%以上の生産力をもっていると推定される。したがって温暖化によって積雪量が減少すると、この部位も減少し、オオシラビソ個体の存続も危ぶまれる。一方、冷温帯に優占する日本海型のブナの実生は、冬季に積雪の保護がないと、凍結・融解によ導管内にキャビテーションが生じ、翌春に開葉できずに枯死する。そのために、日本海側では積雪の保護を受けて、容易に実生が定着できるが、太平洋側では定着することができない。日本海型ブナは、太平洋側ではギャップ内に芽生えれば越冬はできるが、との後の数年間に、光合成系の強光阻害や晩霜害によって結局は枯死するので、冬季に積雪の保護がない太平洋側山地に定着することはできない。このことから、現存の日本海側に優占しているブナ林は、温暖化によって積雪量が減少すると更新が困難になる危険性があるということができる。
著者
関場 亜利果
出版者
筑波学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は美術運動が産業デザインの発展と多様性に寄与した一つの様相を明らかにする事を目的とし,1960年代にイタリアで発祥した美術運動アルテ・プログランマータ(Arte Programmata)を研究対象とした。この美術運動は当時先進的な情報科学技術であった「プログラミング」を芸術へ応用することを試み,ブルーノ・ムナーリ(Bruno Munari)とウンベルト・エーコ(Umberto Eco)が企画した展覧会がヨーロッパとアメリカ各地を巡回,美術史においてキネティック・アートと位置づけられている。2008年度にイタリアとドイツで現地調査を行い,イタリア人作家ブルーノ・ムナーリ,エンツォ-マーリ(Enzo Mari),ジェトゥリオ・アルヴィアー二(Getulio Alviani),グルッポT(Gruppo T),グルッポN(Gruppo N)について資料収集した。2009年度はこれら作家がグラフィック・デザインやプロダクト・デザイン的な作品も制作していく点に注目しその背景と要因について考察した。具体的には,この運動がデザイン文化に力を入れるオリヴェッティ社の支援で始まった事,制作過程で工業生産という手段に関わる事,多くの作家が当時急速に産業都市として発展したミラノに関わりがあった事,作品のコンセプトとして「オブジェ」「マルチプル」というキーワードを掲げ,思想的背景として旧来の芸術への批判精神から「共同研究」「共同制作」を行い,従来の芸術と異なる観客との関係を模索していた事,一人の享受者ではなく大衆へ開かれた作品を目指していたこと等である。また,こうした立場を国際舞台で他芸術家や研究者らと交流・議論し再確認した「新しい傾向」への参加が後の制作姿勢に影響を与える過程を調査した。本研究は,他国のキネティック・アートに見られない特徴,デザインへの展開の過程を考察し,美術史的視点のみにとどまらない文化的側面から再考察した点に意義が有る。
著者
渡辺 公三 高村 学人 真島 一郎 高島 淳 関 一敏 昼間 賢 溝口 大助 佐久間 寛
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

フランス人類学の定礎者マルセル・モース(1872-1950)はデュルケームの甥であり、フランス穏健社会主義の指導者ジョレスの盟友であり、ロシア共産主義の厳しい批判者であった。その人類学分野以外での活動もふくめて思考の変遷を、同時代の動向、学問の動向、学派(デュルケム学派社会学)の進展との関係を視野に入れて明らかにし、現代思想としての人類学の可能性を検討する。そのうえでモースの主要業績を明晰判明な日本語に翻訳する。
著者
関 源太郎 高 哲男 姫野 順一 岩下 伸朗 荒川 章義 江里口 拓
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

20世紀イギリスの経済社会改良思想は、19世紀末に古典的リベラリズムの時代的限界を打破するべく登場したニュー・リベラリズムの形成とその後の戦前・戦後における多様な展開、1980年代の一時的消失、20世紀末の再生という動的過程を基軸に理解することができる。その際、特に注目すべきは、(1)ニュー・リベラリズムの形成はリッチーの社会進化論が大きな契機となったこと、(2)その展開は戦前・戦後期のマーシャル、ピグー、トーニー、ウェッブ夫妻、ケインズらの経済社会改良思想にも伺うことができること、(3)1980年代サッチャー政権下で消失した観を呈した経済社会改良思想におけるニュー・リベラリズムの伝統は、サッチャー政権の諸政策を推し進めようとしたメジャー保守党政権が新たに提起した市場への政府介入を推し進め、新らたに変化した時代環境に適用したニュー・レイバー労働党政権によって1990年代末に再生されたということである。
著者
井関 俊夫
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究課題では、非定常な船体動揺データに対して、時変係数自己回帰モデルによる瞬間スペクトル解析の有効性を明らかにするとともに、近年問題となっているパラメトリック横揺れの解析に本手法を適用し、スペクトル構造の時間的変化の解明を理論的ならびに実験的に試みた。当該研究期間内に実施した研究の成果は以下の通り。1.理論的検証:追い波中縦揺れ時系列データに現れる歪度の変動を理論的に検証した。波と船体の幾何学的位置関係による非線形復原力変動が原因と考えられることから、一自由度振動系の理論的検証を行うとともに、瞬間バイスペクトル解析法を提案し、歪度の変動がほぼ説明できることを示した。また、パラメトリック横揺れの理論的考察結果と規則波中実験結果を比較し、横揺れパワースペクトルのピークが一致して存在することを示した。また、時変係数自己回帰モデルを用いた瞬間スペクトル解析結果から、パラメトリック横揺れ発生までの過渡的特徴を明らかにした。最後に、トライスペクトル解析を適用し、パラメトリック横揺れの特徴を確認することができた。2.実験的検証:本学練習船汐路丸の実験航海に参加して非線形船体動揺データの計測を行うとともに、詳細な海象データを得るために、海上保安庁に協力を要請し、野島埼灯台のレーダ波高観測データを入手した。また、1/40汐路丸模型船にワンチップマイコンとラジコン用サーボモータを用いた制御装置と、動揺センサと無線式RS232C通信ユニットを組み合わせた計測装置を搭載し、大振幅実験用自航模型船に改造して大振幅動揺実験を行い解析した。
著者
関矢 寛史
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究の第1の目的は,プレッシャーが運動制御に及ぼす影響を調べることであった.また,第2の目的は,プレッシャー下における意識的処理や注意の処理資源不足などの認知的変化ならびに生理的情動反応が運動制御に及ぼす影響を解明することであった.実験1では,大学生24名を実験参加者として,プレッシャーがゴルフパッティング課題に及ぼす影響を調べた.実験2では,大学生30名を実験参加者として,プレッシャーが卓球フォアハンドストローク課題に及ぼす影響を調べた.両実験において,低強度のプレッシャーが実験参加者に負荷された.パフォーマンスの得点はプレッシャーによる影響を受けなかったが,ボールの停止位置やバウンド位置はプレッシャーによって偏向した.また,身体運動ならびに身体運動以外の対象への注意がプレッシャーによって増加した.実験1では,テイクバック期及びフォロースルー期の運動変位の減少ならびにダウンスイング期の運動速度と加速度の減少という運動学的変化が生じた.また,テイクバック期におけるグリップ把持力の増加という運動力学的変化が生じた.そして,注意散漫度が増加した実験参加者ほどインパクト時のクラブヘッドの向きがターゲットに向かって右に偏向し,心拍数の増加という情動反応が生じた実験参加者ほどダウンスイングの速度と加速度を増加させた.実験2では,プレッシャーによって打点が前方に移動し,インパクト時のラケット面がターゲットに向かって左を向いた.さらにフォワードスイング期の運動速度が低下し,ボール速度も低下した.また,注意が増加した実験参加者ほど運動の変動性が増加した,これらのことから,課題によって,プレッシャーが運動制御に及ぼす影響は異なるが,プレッシャー下で生じる認知的変化ならびに情動反応の変化によっても運動制御に生じる変化が異なることが明らかとなった.
著者
関山 浩介 福田 敏男 松村 司郎 山田 康二
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.63, no.605, pp.196-203, 1997-01-25
参考文献数
12
被引用文献数
2

This paper deals with a modeling and controlling strategy for multirobot group behavior. While the distributed autonomous robot system has the advantage of flexibility, it also has difficulties in coordinating global system such that the designer expects. We present a methodology for the designing issue for group robotics. Self-organization is a natural principle in a dissipative system. Utilizing this principle, we present the top-down and bottom-up hybrid approach and a basic model for coordinating macro-scale group behavior as a framework for the self-organizing control of group behavior. Then we present the model of strategy formation in the system based on the opinion formation model. The analytical predicted group behavior is verified by simulation results. In particular, we realize self-organization of temporal behavior pattern in group-level cooperation.