著者
関口 博之 八村 広三郎 崔 雄 古川 耕平
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

布の表現モデルとして今日広く用いられている、「バネ=質点モデル」の妥当性を検証するとともに、新しい布表現モデルの検討を行った。サテン、縮緬(ちりめん)、日本舞踊衣装(今回は振袖生地を使用)の3種類の生地について、モータとソレノイドを用いて外力を加えたときの布を動きを、光学モーションキャプチャシステムを用いて取得した。それぞれの生地の実際の動きと、バネ=質点モデルを用いて生成した布の動きを、生地に付けた反射マーカーの座標値をもとに比較した。その結果、縮緬のような薄く、柔らかな生地に対しては質点質量やバネ係数の変更によりバネ=質点モデルでほぼ近似することが可能であることがわかった。一方、我々がターゲットとする、振袖のような厚みのある固い生地に対しては、この種の生地で生じる、部分的な折れ曲がり現象を再現できず、従来のバネ=質点モデルによるシミュレーションには限界があることがわかった。そこで、このような生地に対する新しいモデルの開発に着手した。基本的なアイデアとして、従来モデルのように布全体を質点の集合として表すのではなく、不定型な剛体の集合体として表すことを考えた。これを検証するために、まず、互いにリンクさせた剛体の動作検証プログラムをマリオネットを題材として作成した。次のステップでは、このプログラム上で、布を剛体のリンク構造として表したモデルの動作シミュレーションを行い、その挙動を見ながらモデルの改良をを進めていく。
著者
横山 茂 関岡 昇三
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌) (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.129, no.5, pp.572-575, 2009-05-01 (Released:2009-05-01)
参考文献数
14
被引用文献数
5 13 3

The rapid increase of wind power plants and enlargement of capacity makes the lightning problem of the wind power plants including blades serious. This report summarizes the result of the comprehensive surveillance study carried out for these several years. The contents lightning outages, the lightning phenomena and the result of the electric discharge experiment in connection with the measure against lightning of a windmill blades. Furthermore, the state of the present condition of the protective measures in the blades of windmill, mechanical parts, connecting power lines and communication lines was also considered. Especially grounding methods for wind power plants are considered.
著者
関野 恭弘
出版者
岡山光量子科学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

我々の宇宙は、より大きい宇宙項を持った(より膨張率の高い)宇宙からの量子的トンネル効果によって生成された事が、超弦理論によって示唆されている。そのような宇宙を記述する厳密な(非摂動的)定式化を2次元共形場理論によって構成して観測への予言を与える事を目指し、宇宙のトポロジー、宇宙における揺らぎと共形場理論の演算子の間の対応などを詳しく調べた。また、トンネル効果によって生成された宇宙における宇宙背景輻射スペクトラムの解析を進めた。
著者
川畑 方博 井原 司 赤司 昌謙 松永 章 野々下 政昭 井関 充及
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.201-207, 2010 (Released:2010-07-16)
参考文献数
15
被引用文献数
2 2

症例は68歳,男性.近医で糖尿病のフォロー中であった.平成17年7月頃より食欲不振,体重減少が出現.平成17年8月6日同院にて上部消化管内視鏡検査施行.十二指腸下行脚ファーター乳頭よりやや口側に径約5cmの隆起性病変を認めた.生検では壊死組織のみで悪性所見は確認出来なかった.平成17年9月5日精査加療目的にて当科紹介入院.術前に確定診断は得られなかったが,原発性十二指腸癌の診断にて平成17年9月16日に幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的に腫瘍は十二指腸の固有筋層内にみられ,腺癌約50%,扁平上皮癌および腺扁平上皮癌約15%,肉腫様腫瘍約35%で構成されていた.固有筋層内に異所性膵が管状腺癌と混在し,膵管由来を思わす像もみられた.今回十二指腸に異所性膵由来と考えられる肉腫様成分を伴った膵管癌の1例を経験した.術後比較的良好な経過をたどっており,若干の文献的考察を加え報告する.
著者
関戸 英紀
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.95-102, 1994-03-31

質問に対してエコラリアで応じる14歳の自閉症男児に対して、明確な順序性をもち、動機づけの高い共同行為ルーティンを設定し、その文脈を用いて対象児の認知的発達水準を考慮しながら、適切な応答的発話の習得を目的とした指導を約3か月間行った。その結果、4セッションめでエコラリアが消失し、18セッションめで指導目標とした4つの質問すべてに正答できた。また、日常場面においても応答的発話に変化がみられた。以上のことから、場面文脈を対象児の認知的発達水準に近接させていくことによって文脈の理解がされ、このことがエコラリアの消失を促進したと考えられること、また場面文脈および質問の意味の理解を促進するためには最小限必要な要素から構成される、単純化された場面を設定し、しかもスクリプトの主要な要素から指導を開始することの重要性が検討された。
著者
松永 美輝恵 井関 智美 Mikie MATSUNAGA Satomi ISEKI 新見公立短期大学介護福祉学 新見公立短期大学介護福祉学
出版者
新見公立短期大学
雑誌
新見公立短期大学紀要 (ISSN:13453599)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.171-177, 2004

高齢者の尊厳を支えるケアを求めて認知症高齢者(認知症者)の8時間中のコミュニケーション量と感情の状況,言語コミュニケーション中の感情の状況等をコミュニケーション対象別にタイムスタディ法で調べその結果を検討した。その結果,認知症者はコミュニケーションなしの時間が7割余と多く,感情も不明が8割近くを占めて多かった。しかし認知症者と他の利用者,家族,介護者のそれぞれの間のコミュニケーション中の感情を比較すると,全ての対象者との言語コミュニケーション中の認知症者の感情は快感情が増加しており,特に家族との間で,快感情が最も増加していた。家族のコミュニケーションの意義が大きく,認知症者の介護では家族の機能の重要性が明らかになった。また,認知症者のコミュニケーション量を増やす関わりが認知症者の生活の質の向上につながるとみなされた。
著者
新関 尚宏 加藤 雅彦 大杉 功 小島 勉
出版者
サレジオ工業高等専門学校
雑誌
サレジオ工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:18812538)
巻号頁・発行日
no.33, pp.55-57, 2007

Thin laminated devices were successfully made from alumina and PVA in the insulating interlayers in order to produce integral laminated devices more useful for reducing the contact resistance than the conventional laminated devices using the ceramic solder. The proposed process by using alumina powder enables to produce integral laminated devices more reliable than those using PVA powder because of superior insulation characteristics and stability at high temperatures. Multi-layered devices are expected to be produced from finer alumina powders using this process.
著者
関和 裕介 小林 岳彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.277, pp.7-12, 2009-11-05
被引用文献数
1

携帯通信端末の高性能化・低価格化,および通信・放送インフラストラクチャの高度化・大規模化により,携帯インターネット,位置情報サービスや電子マネーサービスなどのモバイルマルチメディアサービスは飛躍的な進歩と普及を遂げている.しかしながら,実用化されたサービスの全てがビジネスとして成功し広く普及しているわけではないし,順調にサービスが提供されているとは限らない.本報告では,(1)2009年3月にサービス終了となったモバイル衛星放送サービス;(2)2009年から2010年にかけて相次いでサービス終了となる携帯電話のPTT(プッシュ・ツー・トーク)サービス;および(3)日本における携帯電話サービスで頻発したエラーに焦点を当て,失敗に至る経緯,海外との比較ならびに失敗要因の分析を示す.
著者
関 孝一 伊藤 芳晴 西 泰雄 猪阪 優子
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.385-391, 1993
被引用文献数
19 3

IFN治療中のC型慢性活動性肝炎症例のなかに,視力低下や飛蚊症などの自覚症状を訴え,眼底出血の存在を指摘される3症例が発現した.このため,IFN治療中20例と,IFN治療終了後14例,34例全例に眼底検査が指示され,IFN治療中の残る17例から,自覚症状を欠く眼底出血例4例があらたに発見された.眼底出血例7例が詳細に検討され,眼底出血がIFNの副反応の1つであることが推測された.乳頭部周囲に位置する表層性出血と軟性白斑が共通する特徴的所見である.出血例7例と非出血例27例が対比検討され,眼底出血発現の背景因子は糖尿病の合併,危険因子はIFN治療開始後の血小板減少,血小板減少率,triglyceride高値,がT検定で有意(p<0.05)と結論された.眼底出血例は視力障害など重篤な眼症状を伴なわず,又IFN治療中に眼底所見が改善する症例が3例あり,IFNは慎重な観察の下に治療継続が可能である.他方,自覚症状を欠く眼底出血例が4例あり,IFN治療例は全例に眼底検査が必要と考えられる.
著者
関口 博之 佐野 耕一 横山 哲夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.350-358, 1993-02-25
被引用文献数
35

X線CTやMRIの発達によって,体内の3次元データが容易に得られるようになってきた.3次元データから構成される体内臓器の3次元像は,臓器の3次元形状やその位置関係を把握するのに有用であり,次世代の診断用画像としての期待が高い,しかしその実用化には,3次元像表示速度の向上や3次元インタフェースの実現など,解決すべき問題がなお多く残されている.特にMRIにおいては,表示対象の抽出処理の困難さがMRI3次元像の実用化を妨げる大きな要因となっている.本論文では,3次元像を介した対話型修正操作を3次元領域拡張に組み入れた実用的な抽出処理手法を提案する.本手法を実現するため,抽出過程の3次元モニタリング機能,拡張過程で生ずるはみ出しの自動除去機能を開発した.本手法をいくつかの3次元頭部MRIデータへ適用し,その有効性を確認した.
著者
中田 秀基 竹房 あつ子 大久保 克彦 岸本 誠 工藤 知宏 田中 良夫 関口 智嗣
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.20, pp.217-222, 2006-02-27
被引用文献数
2

グリッド上で複数の資源を同時に確保(コアロケーション)するには,各サイトにおける事前予約が不可欠である.現在計算資源の多くでは,プライオリティと First Come First Servedを組み合わせたスケジューリングポリシが用いられているが,このスケジューリングポリシと事前予約をどのように組み合わせるべきかに関しては,明らかになっていない.われわれは,この問題を検討する研究環境を整備することを目的とし,1) OpenPBSの亜種であるTORQUEのスケジューラモジュールを記述するためのAPIを整備し,2)これを用いて事前予約機能を持つスケジューラモジュールを実装した.さらにWSRFを用いた外部インターフェイスを実装し,Globus Toolkit Ver.4のGRAMと連動したグリッド環境での予約と実行を実現した.While advance reservation is an essential capability for co-allocating several resources on Grid environments, it is not obvious how it can be combined with priority-based First Come First Served scheduling, that is widely used as local scheduling policy today. To investigate this problem, we 1) developped Java API to implement scheduling modules for TORQUE, a variant of OpenPBS, 2) implemented a scheduler module that have advance reservation capability with the API. We also provide an external interface for the reservation capability based one WSRF. Using with job submission module from Globus toolkit 4, users can make reservation for resources and submit jobs over Grid.