著者
石井 永 石川 勉 小林 純一 関 宏子
出版者
天然有機化合物討論会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
no.34, pp.518-525, 1992-09-10

Toddacoumalone (4) and toddacoumaquinone (5), isolated from Toddalia asiatica (L.) Lam. (T. aculeata Pers.) (Rutaceae), were established to be novel unique mixed dimers based on a coumarin by spectroscopic means mainly 2D-NMR. Toddacoumalone (4), C_<31>H_<31>NO_6, was isolated as colorless prisms, mp 202-204℃ (AcOEt), in a racemic form. Its IR, UV, and NMR (Table 1) spectra including the COLOC experiment based on three bond correlations (Table 2) indicated the presence of a 8-substituted 5, 7-dimethoxycoumarin like 6 and an N-methyl-2-quinolone like 7 in 4. A monoterpene bridge of CH=CHC(Me)CH_2CHCH=CMe_2 with cis arrangement between the two vinyl groups was interposed between the coumarin and the quinolone units. Though lack of coupling between the conjugated olefinic protons gave us no clue to the geometry, an E geometry for the double bond could be deduced by appearance of conjugated (E)-olefinic protons in toddalenol (12) as a 2H singlet and coexistence of toddasin (13) in the same plant. Connection of the C_<10> unit to the coumarin and the quinolone systems resulted in drawing the structure of 4 for toddacoumalone. Toddacoumaquinone (5), C_<23>H_<18>O_7, was isolated as orange prisms, mp 278-281℃ (AcOEt). The same 8-substituted 5, 7-dimethoxycoumarin moiety was also found to be in 5. In this case presence of an 8-substituted 2-methoxy-6-methyl-p-naphthoquinone system was reasonably deduced by spectral data. Thus, toddacoumaquinone should be a biaryl compound consisting of a coumarin and a naphthoquinone, the structure of which could be depicted as 5. Both the dimers would be synthesized in a plant body through Diels-Alder type cycloaddition reaction. The synthetic works based on this biogenetic consideration are now in progress.
著者
関口 俊一 浅井 光太郎
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.302-308, 2011-03-01
参考文献数
15
被引用文献数
2

AVC/H.264に次ぐ新しい国際標準映像符号化方式を策定するプロジェクトHEVCの最新状況を報告する.HEVCはISOとITU-Tの共同作業として,2013年初頭の規格化完了を目指している.本稿では執筆時点での最新情報に基づき,HEVC標準の候補となっている技術の概要と活動状況について概説する.
著者
中田 雅大 溝口 英里子 関 哲朗
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会研究発表大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.170-175, 2005-03-17

近年のゲーム市場の縮小により,日本のゲーム産業の景気は低迷している.一般に,ゲームソフトウェア開発は通常のソフトウェア開発に比べ,複雑で困難な特徴を持っているといえる.これは,「おもしろさ」を追及するというゲームソフトウェアが持つ独自の性質を原因とし,仕様変更々作業追加による遅延を引き起こし,企業利益喪失の原因となっている.本論文では,ゲームソフトウェア開発プロセスの改善のために以下の2点について議論する.一つは「おもしろさ」を価値であり,一方はゲーム開発へのプロジェクトマネジメント導入の価値である.これらの議論の解を得るために,ゲーム開発企業の管理層およびプロジェクトマネージャとのディスカッションを行った.その結果,「おもしろさ」はゲームソフトウェアの質を高く確保するためには欠かすことのできない要素であることがわかった.また,プロジェクトマネジメントの導入は,ゲームソフトウェア開発プロセス改善にとって有効な手段であることが明らかとなった.
著者
庄子 習一 竹山 春子 水野 潤 関口 哲志 細川 正人 尹 棟鉉 鈴木 美穂 福田 武司 船津 高志 武田 直也 モリ テツシ 枝川 義邦
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、微小発光サンプルの光学的超高感度定量計測を可能とすべく、以下の新規マイクロ流体デバイス要素技術を開発した。1)自由なサイズの液滴作製技術の構築,2) 自由な流れのコントロール技術の構築,3) 液滴のパッシブソーティング技術の構築。次に要素技術をシステム化することにより、微小発光サンプルの計測を実現した。1)液滴に生体サンプルを個別に抱合して環境微生物個々の遺伝子を解析,2) 個別に抱合された細胞の成長を観察して酵素反応活性を評価。本研究の遂行により、従来定性的観察のみ可能であった光学信号が高感度な定量的計測結果を得るのに十分なレベルに増幅され、光学的定量計測が実現された。
著者
中田 秀基 竹房 あつ子 広渕 崇宏 伊藤 智 関口 智嗣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.167, pp.55-60, 2010-07-28
参考文献数
8
被引用文献数
2

データセンターにおける消費電力低減手法の一つとして、低負荷時には仮想計算機群を少数の物理計算機に集中することで、他の物理計算機を低消費電力状態でスタンバイさせておく方法が考えられる。仮想計算機の負荷が上昇した際には、物理計算機をレジュームし、そこに仮想計算機を高速にマイグレーションすることで、仮想計算機のユーザのユーザ体験を損なわずに、消費電力を低減することができる。この方法を実現するには、負荷に応じて仮想計算機の配置を決定(仮想計算機パッキング)する手法が必要である。本稿では、仮想計算機パッキング問題に対して、いくつかの方法でアプローチし、そのパッキングの質と速度に対する評価を行った。具体的には、遺伝的アルゴリズム、0-1整数計画法を用い、グリーディなアルゴリズムであるFFD法と比較した。0-1整数計画法のソルバとしてはオープンソースのGLPKを用いた。評価の結果、以下を確認した。1)遺伝的アルゴリズムおよび0-1整数計画法は最適化に時間がかかり、リアルタイム性が要求される仮想計算機パッキング問題には必ずしもそぐわない。2)FFD法は、使用ノード数の最小化には効果があるが、マイグレーション数が制御できない。3)遺伝的アルゴリズムを、FFD法で導出した解の改良に用いることができる。
著者
浅井 武 瀬尾 和哉 藤井 範久 高木 英樹 小池 関也 藤澤 延行
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,先端的スポーツ流体科学・工学の基盤創生と展開研究の一環として,実際にキックされたナックルボールに対して,高速度ビデオカメラと発煙物質を用いて可視化し,渦放出の動態について検討した.その結果,飛翔するボールに働く横力と揚力の周波数と,大規模渦構造における渦振動の周波数に高い相関がみられた(r=0.94,p<0.01).これらのことから,大規模渦構造における渦振動がナックルボールの不規則な変化を引き起こす大きな原因の一つになっていると考えられた.
著者
清水 一政 尾関 美愛 田中 克典 伊東 佳代 中條 真二郎 浦川 紀元 厚地 幹人
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.753-757, 1997-09-25
参考文献数
17
被引用文献数
3 27

東南アジア地域に自生するガガイモ科植物のギムネマ・シルベスタ (Gimnema sylvestre) は古くから糖尿病, リウマチあるいは痛風などの疾病に効果があると伝承されている. しかし, 甘味抑制と苦味を有し問題がある. 本研究は甘味抑制と苦味を示さないギムネマ・イノドラム (Gimnema inodorun) (GI) 葉を用い, モルモット腸管平滑筋の高濃度K^+収縮に対する実験, モルモット回腸の酸素消費量の測定, モルモット回腸の糖輸送電位測定およびラットの糖負荷による血糖値測定試験を行い, GI葉成分の糖利用との関連について検討した. GI葉の抽出・精製物は高速液体クロマトグラフィーで4分画 (F-I〜F-IV) し, これらの各分画成分を用いて実験を行った. その結果, GI葉中には腸管平滑筋の収縮, 酸素消費量の増加, 糖輸送電位の増加あるいは血糖上昇をそれぞれ抑制する効果があることが示された. 従ってこれらの成績より, GIの薬理作用は, 腸管におけるブドウ糖吸収を抑制することにより血糖上昇を抑制している可能性が示唆される.
著者
志水 幸 志渡 晃一 村田 明子 日下 小百合 亀山 青海 小関 久恵 古川 奨 杉山 柳吉 倉橋 昌司 樋口 孝城 貞方 一也 岩本 隆茂
出版者
北海道医療大学
雑誌
北海道医療大学看護福祉学部紀要 (ISSN:13404709)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.67-71, 2004

本稿では、本学新入学生の健全なライフスタイルの確立に資するべく、日常の健康生活習慣の実践度、心身の自覚症状、自覚的健康感などについて検討した。その結果、以下の諸点が明らかとなった。1)健康生活習慣実践指標(HPI: Health Practice Index)で良い生活習慣が守られていた項目は、男女ともに「適正飲酒」(男性96.6%、女性98.1%)であった。他方、もっとも実践率が低かった項目は、男性では「朝食摂取」(57.7%)、女性では「拘束時間が10時間以下」(69.6%)であった。2)HPI得点は、男女とも6点がもっとも多く、男性28.4%、女性34.3%であった。また、7点以上の良い生活習慣を実践している割合に、男女間での差はみられなかった(男性23.5%、女性23.7%)。3)自覚症状で、女性と比較して男性で有訴率が有意に高い項目は確認されず、男性と比較して女性で有訴率が有意に高い項目は、「なんとなくゆううつな気分がする」、「誰かに打ち明けたいほど悩む」、「理由もなく不安になる」、「自分が他人より劣っていると思えて仕方がない」、「足がだるい」、「肩が凝る」、「胃・腸の調子が悪い」、「便秘をする」の8項目であった。4)HPIを実践している群と比較して、実践していない群で自覚症状得点が高い傾向、また、自覚的健康感が低くなる傾向が認められた。以上の結果から、HPIの実践は、自覚症状有訴率の低下、および自覚的健康感の向上のための、有効な規定要因の1つであることが示唆された。ただし、自覚症状有訴内容や、HPIの実践と自覚的健康感の関連などに性差がみられることから、健康教育対策を講ずる際には性別に対する十分な配慮が必要であると考えられた。
著者
内田 雄三 野川 辰彦 山下 三千年 橋本 茂廣 藤井 良介 畦倉 薫 橋本 芳徳 石川 喜久 小武 康徳 猪野 睦征 日高 重幸 北里 精司 大江 久圀 柴田 興彦 石井 俊世 下山 孝俊 三浦 敏夫 調 亟治 辻 泰邦 関根 一郎
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.12, no.12, pp.891-900, 1979-12-01
被引用文献数
7

癌浸潤が肉眼的に胃, 十二指腸の両側におよんでいるとみなされた79例について, 臨床的ならびに病理組織学的に検索し, 切除度および術後再発を左右する因子について検討した. 臨床的十二指腸壁に癌浸潤が確認された症例は79例中35例 (44.3%) で, その発生側はほとんどの症例で明らかでないが, 胃癌の十二指腸浸潤と考えるよりは, その進展の態度ならびに臨床的意義から, 胃・十二指腸境界部癌の概念で把握するのが妥当と思われる症例が6例みられた, この概念に該当する症例は肉眼的に Borrmann1, 2, 3型である. 十二指腸壁内先進部は m および sm にあり, リンパ管内蔓延が問題となる. 転移では(8), (12) および (13) 節が第一群リンパ節としての意義を有する.
著者
鎌田 東二 梅原 賢一郎 河合 俊雄 島薗 進 黒住 真 船曳 建夫 原田 憲一 藤井 秀雪 中村 利則 小林 昌廣 尾関 幸
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日本語の「モノ」には物質的次元、人間的次元、精神的・霊的次元が含意されているという問題認識に基づき、日本文明の創造力の基底をなすその三層一体的な非二元論的思考の持つ創造性と可能性、またその諸技術と表現と世界観をさまざまな角度から学際的に探究し、その研究成果を4冊の研究誌「モノ学・感覚価値研究第1号~第4号」(毎年3月に研究成果報告書として刊行)と論文集『モノ学の冒険』(鎌田東二編、創元社、2009年11月)にまとめて社会発信した。また最終年度には、「物からモノへ~科学・宗教・芸術が切り結ぶモノの気配の生態学展」(京都大学総合博物館)と、モノ学と感覚価値に関する3つの国際ンポジウムを開催した。
著者
小林 正則 國土 典宏 関 誠 高橋 孝 柳澤 昭夫 前川 勝治郎
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.32, no.10, pp.2399-2403, 1999-10-01
参考文献数
17
被引用文献数
10

症例は66歳の女性. 他院にてS状結腸癌にて結腸切除術1年後, 肝転移を来たし当科にて肝左2区域切除, S6部分切除を施行した. 入院時血清AFP1,036.8ng/mlと異常高値を認めた. 肉眼的に根治であったが術後短期間に皮下組織内および残肝に再発し初回手術より1年4か月後(肝切除より94日後)死亡した. 病理組織像では, 原発巣および肝転移巣ともに通常の大腸癌に見られる腺腔形成部と明るい細胞質を持つ細胞がシート状に配列した部(hepatoid differentiation)よりなっていた. AFP産生性は免疫組織学的に原発巣および肝転移巣の両者で検出された. AFP産生大腸癌の報告はきわめてまれであるが, 予後不良なこのようなタイプの大腸癌の存在することを念頭に置き, 診療に当たる必要があると考えられた.
著者
丸井 英二 JOHNSTON Wil 李 誠國 SOMーARCH Won YAP Sue Pin 田口 喜雄 田畑 佳則 関 道子 遠藤 誉 米山 道男 大東 祥孝 WILLIAM Johnston SUNGKUK Lee SOMARCH Wongkhonton 山中 玲子
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

本研究は留学生にかかわる問題のなかで、長期的な波及効果としての留学生の帰国後に焦点をあてて行われた。その背景として、「留学生10万人政策」に由来する近年の留学生数の著しい増加がある。もちろん、現在わが国に滞在する留学生についての各種支援が必要とされていることは言うまでもない。しかし、こうした現状の延長上にある今後の問題点を考慮すると、帰国後の留学生の生活について研究を行っておくことが必要な時期となっている。その場合、帰国してからの国内的、国際的役割を継続的に把握していくことが必要である。留学生の帰国後に描くことのできる明るい展望がなければ、国内における留学生指導も実効性をもつことがなく、留学生も日本への期待をもつことができなくなり、将来的にわが国への留学そのものを希望しなくなるであろう。今後の健全な留学生政策のためにも帰国後の留学生についての研究が必要とされてきている。本研究では国立大学の留学生センターの留学生指導担当教官が中心となり、留学生の帰国後の社会的活動の動向の量的、質的に把握するための調査を行った。わが国への留学の意義を現地の視点でとらえなおし、さらに今後のわが国との関係をいかに維持していくかについて現時点で研究した。対象国はタイ、マレーシア、インドネシア、韓国であったが、初年度のみ台湾を加えた。研究の実施過程は1)現地での調査研究、2)国内での修了留学生の名簿作成のためのデータベース構築、3)研究ワークショップの開催とに分けることができる。初年度は主として現地での調査研究に焦点を絞った。研究分担者6名が共同研究者のいる対象国における実状を把握するために、アジア地域を中心に担当国を複数ずつ訪問し予備的調査を行った。現地では研究協力者との個別会議を開催し、必要に応じて帰国留学生との面接を行い、現状把握を行った。こうした一連のプロセスにより日本側研究者の現地事情に関する認識を極めて高いものとなった。また、現在では過去に多くの留学生が卒業あるいは修了しているにもかかわらず、なお多くの卒業生の現状が大学で把握できていないことが判明してきた。そのために第2年度には、国内での作業として卒業・修了留学生のデータベース構築のための研究会を開催した。個々の大学の事情に応じて若干の差はあるものの、共通のデータ形式を統一し、入力作業を開始した。すでにいくつかの国では帰国留学生会が設立されているが、そのメンバーは帰国したのちに自らの日本留学を是認し評価している人々が中心となって形成されている。こうした組織に日本留学に批判的な人々が加わっている可能性は小さい。したがって、本来的な母集団としての日本の卒業・修了留学生から出発して追跡することが評価のためのもっとも公平な方法である。現在のところ、データベースの構築は留学生センターの設置されている国立大学の一部から開始されているに過ぎないが、今後はその範囲を拡大していくことにより、留学生が大学から離れた後の動向を把握することが可能となる。今回の3年間の研究では主として帰国後の留学生を対象としたが、われわれのこうしたデータベースを利用することによって、母国に帰国しない人々についても追跡していくことができるという大きな意義が生まれることになる。さらに、第3年度である平成7年9月には、タイのマヒドン大学においてタイ、マレーシア、韓国からかつての日本留学生で現在は本国で活躍している人々を招待し、日本側研究者と合同でのセミナーを開催した。ここでは過去の留学生が日本でどのような経験をしたか、現在何をしているか、現在の日本との関係、さらに現地から日本をどのように見ているかなどについて一日半にわたって討議を続けることができた。3年間の研究期間に参加した留学生センターの日本側研究者ならびに現地の分担研究者にとっては相互理解の基盤を確立し、その上で帰国留学生に関する研究を行うことができたという点で充実した期間であった。また、タイ、マレーシア、インドネシア、韓国で研究協力者として多くの帰国留学生が参加することができた点も高く評価したい。本研究は単に限定された学術的研究にとどまらず、留学生を媒介とした共同研究の萌芽を各研究者レベルで作り出してきた。今後、この留学生問題に関する分野での多くの研究者によるさらなる研究に期待したい。
著者
高橋 昌一 高谷 俊一 一関 一行 畠山 正治 大徳 和之 久我 俊彦 棟方 護 福井 康三 福田 幾夫
出版者
特定非営利活動法人日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.224-229, 2003-07-15
参考文献数
18
被引用文献数
5

1996年から2002年3月までの約5年間(前期:1998年6月まで,後期:1998年7月以降),39例の腹部大動脈瘤に対してステントグラフト(SG)挿入による治療を行ってきた.そのうち80歳以上の症例は前期3人,後期8人で,感染性動脈瘤を2人認め,また併存症として後期に虚血性心疾患5例,COPD1例,胸部大動脈瘤合併4例などhigh risk症例が含まれていた.前期の3例が外科手術に移行したが,残り36例(92%)がSG留置に成功した.36例中6例にendoleakを認め,5例に腸骨動脈解離(全例ステント留置)を認めた.SG留置に成功しendoleakを認めない症例は,前期50%,後期89%であった.経過観察中に追加治療や手術を受けたのはそれぞれ3例と4例であった.在院死は前期に4例認め,遠隔死亡は3例認めた.全体の生存率は術後3年で82%であった.腹部大動脈瘤に対するSG治療は,high riskな症例に対して有効と考えられ,今後さらに治療成績は向上すると考えられた.
著者
油井 大三郎 藤永 康政 梅崎 透 内田 綾子 藤本 博 小塩 和人 豊田 真穂 井関 正久 八十田 博人 土屋 和代 栗原 涼子 中村 督 ディビット ファーバー ベス ベイリー ケビン ゲインズ ヨアヒム シャルロート
出版者
東京女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

1)1960年代の米国における社会運動に関する1次史料の系統的な収集がほぼ予定通り実現した。また、収集した史料の解題付き目録を作成し、史料自体も近く公開されるので、日本においても1960年代米国の社会運動に関する実証研究が大いに進展することが期待される。2)米国の社会運動グループ毎の比較を通じて諸グループ間の思想的・組織的連関の解明が進んだ。3)西欧や日本の1960年代社会運動研究と米国のそれとの国際的な比較研究によって、ニューレフトなど重要な概念における相違と相関が明らかになった。
著者
亀谷 裕志 デン ジャンリン 堤 千花 古関 潤一
出版者
東京大学
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.7-10, 2008-03
被引用文献数
2

2004年新潟県中越地震で小千谷市横渡地区に生じた斜面崩壊は風化した凝灰質砂岩の薄層をすべり面とするものであった.このような斜面崩壊が地震時に生じた要因を検討するため, 地質状況の観察や不攪乱試料による室内試験, 安定解析などを実施した.解析結果から常時には地下水位が変動しても斜面はすべらないこと, 地震時には実際の被災条件であった事前の降雨が安定性に影響することが確認された.また崩壊発生要因としては, 地震動が斜面に与えた交番荷重の影響が大きかったことが推測される.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
島村 達也 関口 啓貴 北島 律之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.143, pp.51-54, 2006-06-29
被引用文献数
1

仮想経路が提示されるヘッドマウントディスプレイを装着して,実際に経路を10mから20m歩行した際に,映像の種類によって歩行距離が影響を受けるかどうか調べた.操作したパラメータは,経路周囲の物体密度と,映像の移動速度であった.実験の結果,歩行距離に対する映像の顕著な影響は見られなかった.本研究で用いた歩行距離内では,ヒトの歩行による距離評価システムは,視覚による影響を受けづらく,比較的頑健であると推測される.