著者
馬場 錬成
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.4_20-4_25, 2009-04-01 (Released:2011-10-28)
被引用文献数
1
著者
門脇 知子 瀧井 良祐 馬場 貴代 山本 健二
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.122, no.1, pp.37-44, 2003 (Released:2003-06-24)
参考文献数
27
被引用文献数
4 4

グラム陰性偏性嫌気性細菌Porphyromonas gingivalis(ジンジバリス菌)は歯周炎の発症·進行において最重要視されている病原性細菌であり,菌体表面および菌体外に強力なプロテアーゼを産生する.なかでもジンジパイン(gingipains)は本菌の産生する主要なプロテアーゼであり,ペプチド切断部位特異性の異なるArg-gingipain(Rgp)とLys-gingipain(Kgp)が存在する.両酵素は相互に協力しながら生体タンパク質の分解を引き起こし,宿主細胞に傷害を与え,歯周病に関連する種々の病態を生み出すと考えられている.ジンジパインは歯肉線維芽細胞や血管内皮細胞の接着性を消失させ細胞死を誘導する.こうしたジンジパインの病原性は本菌の保有する病原性の大部分を占めており,それらの特異的阻害薬を用いることや遺伝子を欠損させることによって消失させることができる.ジンジパインは単量体として菌体細胞外に分泌されるだけでなく,外膜上では血球凝集素やヘモグロビン結合タンパク質,LPS,リン脂質と結合した高分子複合体としても存在する.この膜結合型ジンジパイン複合体は単量体よりさらに強力な細胞傷害活性を示す.ジンジパインは宿主に対して強い病原性を発揮する一方で,菌自身にとってはその生存増殖に不可欠であり,ジンジパイン阻害薬の存在下では本菌は増殖できない.最近,歯周病が心筋梗塞,早産·低体重児出産などの全身疾患のリスクファクターであることが指摘されるようになり,これら疾患とジンジバリス菌の関係も注目されている.本稿ではジンジパインの構造学的·病理学的特性と特異的阻害薬の開発によるその制御の試みについて紹介する.
著者
馬場 章 藤井 敏嗣 千葉 達朗 吉本 充宏 西澤 文勝 渋谷 秀敏
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

将来起こりうる火山災害を軽減するためには,過去の噴火推移の詳細を明らかにすることが重要である.特に西暦1707年の宝永噴火については,富士火山では比較的例の少ない大規模爆発的噴火の例として,ハザードマップ作成でも重要視されている.宝永噴火は基本的にプリニー式噴火であったとみなされているが,火口近傍相の研究は多くない.また,宝永山については,脱ガスしたマグマの貫入による隆起モデルが提唱されており(Miyaji et al.,2011),さらにはマグマ貫入による山体崩壊未遂の可能性と,予知可能な山体崩壊の例として避難計画策定の必要性が指摘されている(小山,2018).本発表では,宝永噴火の火口近傍相の地質調査・全岩化学組成分析・古地磁気測定などから新たに得られた知見をもとに,宝永山の形成過程について考察する.富士火山南東麓に位置する宝永山は,宝永噴火の際に古富士火山の一部が隆起して形成されたと推定されてきた(Tsuya,1955 ; Miyaji et al.,2011).しかし,赤岩を含む宝永山には多種多様な類質岩片は認められるものの,主には緻密な暗灰色スコリア片、火山弾から構成され,斑れい岩岩片や斑れい岩を捕獲した火山弾も認められる.それらの鏡下観察・全岩化学組成分析・古地磁気測定から,赤岩を含む宝永山は,Ho-Ⅲでもステージ2(Miyaji et al.,2011)に対比され ,マグマ水蒸気爆発による火口近傍の降下堆積物ないしサージ堆積物と推定される.また,宝永第2・第3火口縁,御殿庭の侵食谷側壁は,宝永噴火の降下堆積物で構成されており,ステージ1のHo-Ⅰ~Ⅲ(Miyaji et al.,2011)に対比される.侵食谷の基底部に白色・縞状軽石層は現時点において確認できないものの,下位から上位にかけて安山岩質から玄武岩質に漸移的な組成変化(SiO2=62.8~52.2wt%)をしている.そして,宝永第1火口内の火砕丘,宝永山山頂付近,御殿庭の侵食谷から得た古地磁気方位は,古地磁気永年変化曲線(JRFM2K.1)の西暦1707頃の古地磁気方位と一致する.これらの新たな知見に加えて,宝永噴出物のアイソパック(Miyaji et al.,2011),マグマ供給系(藤井,2007 ; 安田ほか,2015)と史料と絵図(小山,2009)も考慮し,宝永噴火に伴う宝永山の形成過程を推定した.宝永山はわずか9日間で形成された宝永噴火の給源近傍相としての火砕丘である.1.玄武岩質マグマがデイサイト質マグマに接触・混合したことで白色・縞状軽石が第1火口付近から噴出し,偏西風により東方向に流された(12月16日10~17時頃,Miyaji et al.,(2011)のUnit A,Bに相当).2.火口拡大に伴って第1火口の山体側も削剥され,多量の類質岩片が本質物と共に東~南方向に放出し,宝永山を形成し始めた(12月17日未明,Miyaji et al.,(2011)のUnit C~Fに相当).3.第1火口縁の地すべりによる火口閉塞ないし火口域の拡大により,噴出中心は第2火口に移行した(12月17~19日、Miyaji et al.,(2011)のUnit G~Iに相当).4.火口閉塞した類質岩片が噴出されることにより,噴火中心は第1火口に遷移し,断続的なマグマ水蒸気爆発により宝永山(赤岩)が形成された(12月19~25日、Miyaji et al.,(2011)のUnit J~Mに相当).5.噴火口が第1火口に限定されることで類質岩片の流入が止み,玄武岩質マグマによるプリニー噴火が6日間継続したのち,噴火が終了した(12月25~30日,Miyaji et al.,(2011)のUnit N~Qに相当).
著者
廣川 佐千男 伊東 栄典 馬場 謙介
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.447-454, 2015-09-01 (Released:2015-09-01)
参考文献数
7

科学技術の加速度的発達により,一般社会と専門家の乖離(かいり)は大きく,若者の理系離れも問題となっている。専門家であっても,複合領域や未知の分野の調査は容易ではない。本稿では,わが国の科学技術の基本情報である科学研究費の研究成果の概要を対象とした検索可視化システムを紹介する。本システムでは,概要に現れる単語だけでなく,キーワード,分野,研究者,研究者所属,年度などの単語を異なる色の関連語マップ(Mind Map:マインドマップ)として表示する。単語の属性識別により関連解釈が可能となり,知りたいテーマに関連して,「だれが,どこで,どんな」研究活動を行っているかを把握できる。本稿ではシステムの概要と,探索的検索の事例を紹介する。
著者
馬場 正太郎
出版者
日本言語テスト学会
雑誌
日本言語テスト学会誌 (ISSN:21895341)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.44-64, 2019 (Released:2020-02-07)
被引用文献数
1

The purpose of this study is to propose a way of generating beneficial washback effect by using high-stakes testing from a perspective of educational psychology. As can be seen in recent educational climate in Japan, it is required that high school students make the best use of language tests, such as EIKEN, GTEC, TEAP, TOEFL, IELTS, Cambridge English Exam, in order to improve four-skill English proficiency. Although this educational reform has been criticized due to its aggressive performance, there has been little discussion on how to induce its beneficial washback effect while reducing negative one. Therefore, it is necessary not only to argue the flaws of the reform, but also to seek the practical solution to the reform. In this paper, the recent standards-based educational reform efforts in Japan will be reviewed briefly. Next, the concept of washback and validity will be introduced to argue that washback effect should be considered as a consequential aspect of validity. Then, an effective way to induce beneficial washback effect will be discussed based on the previous studies on educational psychology. Specifically, by introducing the research on learners’ beliefs about tests, this study illustrates what kind of beliefs will lead to generating beneficial washback effect. Lastly, the practical implication of this study and the need for future research will be discussed.
著者
馬場 良二
出版者
熊本女子大学国文談話会
雑誌
国文研究
巻号頁・発行日
no.53, pp.120(1)-111(10), 2008-05
著者
馬場 良二
出版者
熊本県立大学
雑誌
熊本県立大学大学院文学研究科論集 (ISSN:18829082)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.lxiii-lxxix, 2008-09

秋山正次『肥後の方言』(1979)には、熊本方言の語句リストがある。その148語のうち、『日葡辞書』にあったのは27語だった。これら27語に3語をくわえ、『日葡辞書』の記述を詳細に分析し、現代熊本方言での意味用法と比較した。秋山が肥後方言だと言っている27語のうちの20語を『日葡辞書』は九州方言だと言っていない。16世紀当時は全国共通であった語が、その後、方言的な意味、語義を発展させていったのかもしれない。もう一つ考えられることは、「X.、Ximo」の注記は九州の方言語彙の中でも、とくに必要な場合にだけ付された可能性である。もともと『日葡辞書』はイエズス会士たちの日本語学習のために作成されたものであり、当時の日本語の客観的な記録、記述を目的として編まれたものではない。「この語、あるいは、この語義は九州独特なもので、使うときには気をつけよ」という語学上の実践的な意味合いの記号なのかもしれない。
著者
浜田 信夫 馬場 孝 佐久間 大輔
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 = Bulletin of the Osaka Museum of Natural History (ISSN:00786675)
巻号頁・発行日
vol.75, pp.29-34, 2021-03-31

2020年 7 月に発生した豪雨による球磨川氾濫で被害を受けた熊本県の人吉城歴史館の植物標本 を,乾燥・クリーニングする過程で,汚染カビの種類や性質について,14サンプルを調べた.最も多 く繁殖していたカビは,Trichoderma で,その他に,Fusarium,Penicillium などが検出された.いずれ も貧栄養な土壌中に一般的に見られる好湿性のカビであった.保存した植物標本に生育するカビには 好乾性カビは見つからなかったことから,いずれも洪水に由来し,浸水と同時に発生したカビと思わ れる.これらの汚染カビは,十分な乾燥を数カ月行えば,消失すると思われる.あわせて,乾燥や酸 素遮断を優先するカビ被害への初期対処法の提言も行った.
著者
馬場 伸彦
出版者
甲南女子大学
雑誌
甲南女子大学研究紀要. 文学・文化編 (ISSN:1347121X)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.A75-A82, 2007

雑誌『犯罪科学』において,1930年代に登場した新しい「グラフ・モンタージュ」は,その実践者である堀野正雄,また写真評論家として活躍した伊奈信男や板垣鷹穂らによって,西欧で勃興した「新興芸術」の流れの中に位置づけられている。「グラフ・モンタージュ」と名付けられた一連の作品評を概観してみると,移入初期においては直裁的な翻訳のようであったが,その後試行錯誤を経て次第に独自の表現形式を獲得していったことが分かる。そこには社会の暗部や裏面をメディアの視覚を媒介にして安全かつ刺激的に覗き見たいという大衆の欲望が表象され,また,「シナリオ」を必要としたその構成と形式は,写真報道と映画を架橋する新しい表現であったにちがいない。
著者
馬場 紀寿
出版者
東京大学東洋文化研究所
雑誌
東洋文化研究所紀要 (ISSN:05638089)
巻号頁・発行日
vol.171, pp.348-304, 2017-03

The ar ticle discusses how the Khuddakanikāya became a par t of the Pāli Tipiṭaka. In my book, Jōzabu Bukkyō no shisō keisei (Formation of Theravāda Buddhist Thought), I note that the Khuddakanikāya does not appear as a collection of suttantas in the four parts of the Pāli commentaries (Aṭṭhakathā) which refer to structure of the Pāli Tipiṭaka. Based on this assessment, I concluded that the Khuddakanikāya was the last collection added to the Pāli Tipiṭaka. In an article published in 2016, the scholar Toshifumi Shimizu critiqued my conclusion, insisting that the four parts of Pāli commentaries, which my book dealt with, do, in fact, mention the Khuddakanikāya. Reassessing these Pāli commentaries, I argue that Shimizu's hypothesis is not valid because it is based on cer tain misunderstandings of Pāli words, and their context, and, on account of more general flaws in the logic informing his critique.
著者
坂田 雄亮 馬場 雪乃 鹿島 久嗣
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

機械学習を行う為には入力となる特徴量が必要であるが、抽象性の高いデータを学習対象とすると機械的な方法では本質的な特徴量を得られない場合がある為、人による特徴抽出を行いたい。人間をアルゴリズムに組み込むには本来であれば多大なコストが必要となるが、クラウドソーシングの発展により安価にかつ大量に人的リソースを得る事が出来る様になったため現実的なコストで人間参加型のアルゴリズムを組む事が出来る。しかし人間の能力には個人差があるため成果物の品質にばらつきが出てしまう。よって頑健化の為に複数のワーカの意見を統合した物を成果とする手法が一般に行われている。本研究では特徴抽出にクラウドソーシングを用いて分類器の生成を行う過程で、分類器の精度向上を目的として複数のワーカの意見を適切に統合する手法を考察する。そのような手法として畳み込みニューラルネットワークを応用してワーカの能力と各ノードの重みを纏めて学習する事でより良く意見統合を行うCrowd Neural Networkを提案する。上記の手法の性能を確認する為に4つの抽象性の高いデータセットを用いて実験を行い、提案手法が既存手法に優る例を示した。
著者
小川 文夫 馬場 雅志 日浦 慎作 浅田 尚紀
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:18840930)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.6, pp.1-5, 2010-11-01

広島への原爆投下によって発生したきのこ雲の高さについては様々な議論がなされてきた.我々はきのこ雲の写真をその特徴により分類し,爆心地に高さを変えた物体を仮想的に配置し,推定されたカメラ位置からの画像を生成することによりきのこ雲の高さを推定した.その結果,きのこ雲が成長していく過程が確認され,高さは最大で約 16km となることが分かった.推定には様々な誤差を含む要因が考えられるため,推定結果の精度を増すにはさらなる検討が必要である.The height estimation of mushroom cloud after the A-bomb explosion at Hiroshima has been a controversial issue for many years. We have tried to classify there pictures by their feature, and measure the height of the cloud from a single picture by superimposing a vertical object on the picture projected in the same geometry. In the result, we confirm the growing of the mushroom cloud, and the height of mushroom cloud is estimated up to 16 kilometer. There is necessity of consideration for accuracy because the result involve error by various reason.
著者
下山 巌 奥村 雅彦 小暮 敏博 町田 昌彦 馬場 祐治 本田 充紀 岡本 芳浩
出版者
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

H28年度において実施した研究の実績概要は以下の通りである。1.高温低圧環境高速X線回折(XRD)装置及び蛍光X線分析装置(XRF)の導入:複数の候補からリガク製XRD装置SmartLab3を選定し、低圧加熱実験可能な電気炉と2θに対して10°以上の範囲の同時測定可能な高速2次元検出器を併用することで、加熱時及び冷却時の構造変化をその場観察できる装置を導入した。また、XRF装置も導入した。2.アルカリ塩化物試薬におけるカチオン依存性の解明:非放射性Csを収着させた風化黒雲母(WB)をモデル土壌とし、CaCl2とKCl単塩をそれぞれ添加した際のXRD、XRF測定を行った。CaCl2添加により700℃低圧加熱で100%のCs除去率を確認した。一方、KCl添加では約50%のCs除去率となった。また、CaCl2添加時はXRDパターンが大きく変化したのに対し、KCl添加ではWBの構造がほぼ保たれた。これらの結果から同じ塩化物でも1価と2価のカチオンではWBからのCs脱離過程が異なることを明らかにした。また、昇温脱離法(TDS)を用いた分析でもCaCl2添加時にCs脱離が促進されることを確認した。X線吸収分光法(XAFS)を用いた加熱中のその場観察の研究ではNaCl-CaCl2混合塩へのCs溶出が観察された。それと共に、600℃付近より高温側と低温側でCs脱離過程が異なる可能性を見いだした。以上の知見に関しては欧文誌に論文発表すると共に、国内外の学会において報告を行った。3.福島汚染土壌による実証試験:福島の帰還困難区域から粘土質汚染土壌を採取し、加熱処理による放射能変化をNaI検出器により調べた。その結果、KCl、MgCl2試薬では低圧加熱の方が大気加熱よりも高い放射能減衰率が得られたがCaCl2試薬では両者で大きな差が見られず750℃大気加熱で約97%の放射能減衰が得られた。
著者
馬場孤蝶 著
出版者
三田文学出版部
巻号頁・発行日
1942