著者
佐藤 晋治 武藤 崇 松岡 勝彦 馬場 傑 若井 広太郎
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.36-47, 2002-03-30 (Released:2017-06-28)

(1)研究の目的 点字ブロック付近に置かれた迷惑車両に対する警告だけでなく、適切な場所へ駐輪するというルールに従う行動に対する強化も焦点化したポスターを掲示することの効果を検討した。(2)研究計画 場面間多層ベースライン・デザインを用い、ベースライン、介入、プローブを実施した。(3)場面 A大学図書館、講義棟付近の点字ブロック周辺。(4)対象者 主に上記の場所を利用する学生、職員。(5)介入 不適切駐輪の定義とその防止を呼びかける内容のポスターと、1週間ごとの不適切駐輪台数のグラフとその増減に対するフィードバックを付したポスターを上記の地点に掲示した。(6)行動の指標 点字ブロック付近に置かれた迷惑駐輪車両の台数。(7)結果 介入を実施した5地点のうち4地点では、不適切駐輪台数は減少した。しかし、残りの1地点ではむしろ増加傾向にあった。また、駐輪スペースの利用者に対する事後調査の結果から、介入方法や結果の社会的妥当性が示された。(8)結論 不適切駐輪台数の増減に対するフィードバックを表示したポスター掲示は不適切駐輪台数を軽減させたが、その効果は明確なものではなかった。今後はより効果的な介入方略の検討とともに、物理的環境の整備も必要である。
著者
柿野 亘 竹内 基 伊藤 寿茂 成田 勝 中村 咲蓮 塩練 元輝 杉山 真言 岡田 あゆみ 筏井 宏実 眞家 永光 馬場 光久
出版者
日本動物分類学会
雑誌
タクサ:日本動物分類学会誌 (ISSN:13422367)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.23-35, 2023-02-28 (Released:2023-03-07)
参考文献数
109

In recent years, the classification system of Unionoida (Margaritiferidae, Unionidae) has undergone major changes from conventional methods by shell morphology, due to breakthroughs in approaches based on molecular phylogenetic analysis. We compared the classification system trends of the Margaritiferidae and Unionidae distributed in Japan, and pointed out that there is a time lag to the classification determinations of the latter. Although the scientific names have been changed, the existence, distribution, and ecological information (ex. host fish for glochidia) of two Japanese margaritiferids have been established, and conservation measures and regulations based on the Red List and laws can be expected. On the other hand, the Unionidae consisted of 3 subfamilies, 11 genera and 15 species has increased to 2 subfamilies, 13 genera and 26 species (excluding alien species) by the new classification system reported in 2020. Therefore, information on the distribution and ecology of many new species must be elucidated. A new classification system will be assumed the further revision, especially for the genus Sinanodonta, and the risk of some local populations extinction increase before clarifying the actual situation of species. We are now proceeding to clarify the early life stage of some Unionoida mussels (ex. parasitic stage, salinity tolerance), but insufficient knowledge of the life cycle of Unionoida has prevented the establishment of complete ex-situ conservation methods. Conversion project of numerous reservoirs are that the most important habitats for Unionidae species pressing forward in Japan. In light of this situation, it is hoped that the new classification system that can serve as a basis for on-site conservation will spread throughout as soon as possible to realize comprehensive conservation.
著者
加藤 司 馬場 真美子 太幡 直也 下田 俊介 福田 美紀 大久保 暢俊
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.146-155, 2013-06-25 (Released:2013-09-01)
参考文献数
35
被引用文献数
1 2

This study investigated the professional impact of “Japanese Journal of Psychology.” Thirty four psychological journals written in Japanese were selected to register articles in a new database. This database included approximately 23,900 articles published through 2010. Using citations extracted from the references and footnotes in these scholarly journals, the Psychology Citation Index for Japanese Papers was created. The citation impact factors in Japanese psychology was determined on the basis of the number of times a journal was cited, cumulative impact factors, and the cited half-life of the journal; five years was a valid period for impact factor of psychological journals in Japan. The changes in the 5-year impact factors of “Japanese Journal of Psychology” were reviewed by comparing it with other journals.
著者
馬場 駿吉 高坂 知節 稲村 直樹 佐藤 三吉 鈴木 茂 遠藤 里見 石戸谷 雅子 小野寺 亮 山田 公彦 大久 俊和 荒井 英爾 鈴木 雅明 大山 健二 粟田口 敏一 戸川 清 岡本 美孝 松崎 全成 寺田 修久 喜多村 健 石田 孝 馬場 廣太郎 島田 均 森 朗子 池田 聖 金子 敏郎 今野 昭義 山越 隆行 石井 哲夫 窪田 市世 鍋島 みどり 田口 喜一郎 石山 哲也 中野 雄一 中村 英生 五十嵐 文雄 古川 仭 作本 真 山下 公一 久保田 修 宇佐神 篤 伊藤 博隆 鈴木 元彦 間宮 紳一郎 横田 明 加藤 薫 大屋 靖彦 河合 〓 岩田 重信 横山 尚樹 井畑 克朗 瀧本 勲 稲福 繁 坂倉 康夫 鵜飼 幸太郎 雨皿 亮 山田 弘之 坂倉 健二 平田 圭甫 伊藤 由紀子 村上 泰 竹中 洋 山下 敏夫 久保 伸夫 中井 義明 大橋 淑宏 阪本 浩一 村田 清高 平沢 昌子 原田 康夫 森 直樹 白根 誠 多田 渉 小林 優子 竹林 脩文 河野 嘉彦 夜陣 紘治 平田 思 宮脇 修二 津田 哲也 山下 隆司 二階堂 真史 柿 音高 永澤 容 増田 游 後藤 昭一 西岡 慶子 折田 洋造 東川 康彦 武 浩太郎 進 武幹 前山 忠嗣 百田 統洋 堤 昭一郎 茂木 五郎 川内 秀之 松下 太 吉村 弘之 高田 順子 石川 哮 定永 恭明 大山 勝 松崎 勉 坂本 邦彦 廣田 常治 内薗 明裕 鯵坂 孝二 中島 光好
出版者
The Society of Practical Otolaryngology
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.389-405, 1995-03-01
被引用文献数
13 16

The efficacy and safety of Kampo preparation Sho-seiryu-to were studied in a joint double-blind trial in comparison with a placebo. The study was carried out on 220 patients with perennial nasal allergy at 61 hospitals. Granules in a dose of 3 g were administered 3 times daily for 2 weeks. Moderate to high improvement was recorded in 44.6% of the treated patients and in 18.1% of those receiving placebo. The difference is significant (p <0.001). Side effects were noted in 6.5% of the treated patients and in 6.4% of the controls (not a significant deference). The side effects were mild and had no influence on the daily life of the patients.
著者
栗原 拓也 木下 尚洋 山口 竜之介 横溝 有希子 竹腰 美夏 馬場 哲晃 北原 鉄朗
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.1073-1092, 2017-05-15

本稿では,カラオケにおいて歌ってない人に対してタンバリンの演奏を促すことで,歌ってない人もカラオケを楽しみ,盛り上げることができるシステムを提案する.カラオケに行った際に,歌われている曲を知らなかったり,どのようにして一緒に盛り上げてよいか分からず,ただ曲を聴いているだけで退屈をしてしまう人は少なくない.そのような場合に対して,カラオケ店に置いてあるタンバリンの使用を促すため,どのようにタンバリンを演奏するか自動で生成・表示し,ゲーム風の画面により正しく叩けているかをフィードバックする.しかし,これだけではタンバリン演奏者が1人でタンバリンの演奏をゲーム感覚で楽しんでしまい,歌唱者や他の人と一体になってカラオケを楽しむ目的からは外れてしまう可能性がある.そこで,歌唱者も含めて全員がタンバリン演奏に参加するようにする.システムを実装し,実際にカラオケ店で実験したところ,次の可能性が示唆された.(I)本システムによりワンパターンなタンバリン演奏を防ぐことができる.(II)タンバリン奏者が知らない楽曲に対しては,譜面の表示によりタンバリンを演奏しやすくなる.(III)カラオケの一体感を高めるには,全員がタンバリン演奏に参加することが効果的である.一方,次のような課題も明らかになった.(i)生成されるタンバリン譜の難度が高く,正確なリズムで演奏できない場合があり,その場合むしろ歌いにくくなる.(ii)タンバリン演奏がうるさく感じられる場合がある.(iii)歌い手がタンバリンを叩く際に,歌いながらタンバリンを叩くのが難しい場合がある.
著者
馬場守次 著
出版者
珊々社
巻号頁・発行日
vol.続々, 1925
著者
植田 智之 中西 惇也 伴 碧 倉本 到 馬場 惇 吉川 雄一郎 石黒 浩
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.227-238, 2021-05-25 (Released:2021-05-25)
参考文献数
14

Experimental tasks depicting a bullying scene are being studied to elucidate the causes of bullying and to verify methods for resolving bullying. Bullying involves not only victims, bullies, reinforcers, who are complicit in the bullying, and defenders, who mediate the bullying, but also bystanders, who ignore the bullying. Bystanders comprise the largest group involved in bullying and can play an important role in resolving bullying. However, in previous experimental tasks depicting a bullying scene, participants could not perceive bystanders’ behavior as different from the behaviors of the victim or bully. The present study aimed to contribute to the development of solutions to bullying by creating experimental tasks, including a measurable behavior representing bystanders. In this research, we introduced a new option of behavior representing bystanders in a “catch-ball task” that can express the reinforcing and defending behavior in a bullying scene. Results of our questionnaire survey showed that the newly implemented behavior representing bystanders was perceived as bystander’s behavior by participants. Moreover, according to the results of another questionnaire survey, the improved experimental tasks with one bystander were perceived to be closer to a bullying scene compared with previous catch-ball tasks.
著者
久保田 雅史 山村 修 神澤 朋子 五十嵐 千秋 松尾 英明 成瀬 廣亮 嶋田 誠一郎 加藤 龍 横井 浩史 内田 研造 馬場 久敏
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.13-20, 2014-02-20 (Released:2017-06-28)

【目的】本研究の目的は,急性期脳梗塞患者に対する歩行中の機能的電気刺激(functional electrical Stimulation:FES)が運動学的・運動力学的歩行パラメータおよび内側感覚運動皮質(medial sensorimotor cortices:mSMC)のヘモグロビン濃度に及ぼす即時的影響を検証することである。【方法】対象は発症後14日以内の脳梗塞患者8名とし,FESは遊脚期に前脛骨筋を,立脚後期に腓腹筋を刺激した。歩行パターンの変化は三次元動作解析システムを用い,mSMCのヘモグロビン濃度変化は近赤外線分光法を用いて計測した。【結果】FES実施前と比較してFES実施中に,歩行速度や,麻痺側立脚期の股関節屈曲モーメント,膝関節伸展モーメントおよび足関節底屈モーメントが有意に上昇し,FES終了後にも持続した。また,FES実施中の非損傷側mSMCの酸素化ヘモグロビン濃度は,FES非実施時と比較して加速期・定速期とも有意に低下していた。【結論】FESは麻痺側立脚期の支持性向上や麻痺側立脚後期のroll-off機能向上といった歩行パターンを変化させ,さらに非損傷側mSMCの過剰な脳活動を抑制している可能性が示された。
著者
馬場 義裕
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.137, no.5, pp.202-206, 2011 (Released:2011-05-10)
参考文献数
16

カルシウムイオン(Ca2+)は細胞内シグナル伝達における主要なセカンドメッセンジャーであり,様々な免疫細胞の生理機能に重要な役割を果たす.細胞質内Ca2+濃度は厳密に制御され低濃度に維持されているが,外来抗原刺激により細胞質内Ca2+濃度の上昇が引き起こされる.このCa2+レベルの上昇は主に2つの経路から供給され,1つは細胞内Ca2+貯蔵庫である小胞体からの放出,もう1つは,細胞外からのCa2+流入である.免疫細胞の場合,Ca2+流入は小胞体ストアのCa2+レベルの減弱が引き金となって誘導されるストア作動性カルシウム流入(store-operated calcium entry: SOCE)機構によってなされる.SOCEの活性化メカニズムは長らく謎であったが,近年の小胞体Ca2+センサーSTIM1およびCa2+チャネルOrai1の同定により,SOCEの分子基盤ならびに生理機能に関する研究は飛躍的に進展した.STIM1は小胞体内Ca2+減少を感知すると,小胞体と細胞膜の近接領域でクラスターを形成し,Orai1を活性化することによりSOCEを発動させる.筆者らはSOCEの肥満細胞における生理的役割を明らかにするために,STIM1欠損マウスを樹立し,肥満細胞の機能を検証した.その結果,STIM1欠損肥満細胞は抗原刺激によるSOCEの障害がみられ,これに起因する脱顆粒ならびにサイトカイン産生の抑制が認められた.さらに個体レベルでのアナフィラキシー反応もSTIM1依存的であることが明らかになった.さらに,筆者らはB細胞特異的STIM1/STIM2欠損マウスを作製し,未だ不明であったB細胞のカルシウム流入の生理的意義の解明にアプローチした.本稿では,我々が明らかにしたSOCE活性化メカニズムと肥満細胞およびB細胞における生理的役割に関する知見を紹介する.
著者
国武 陽子 寺田 佐恵子 馬場 友希 宮下 直
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.92, no.4, pp.217-220, 2010 (Released:2010-10-05)
参考文献数
8

アオキ (Aucuba japonica) の花粉媒介様式と主要な花粉媒介者を, 網掛けによる訪花者の排除実験と訪花昆虫の観察から推定した。花序当たりの結果率は, 花序に網 (1 mmまたは3 mmメッシュ) を掛けて昆虫の接触を制限すると, 無処理区に比べて著しく低下したが, 網を掛けて人工授粉を施すと無処理区との差はみられなかった。また, 1 mmと3 mmメッシュの網では, 網掛けの効果に有意な差はみられなかった。以上の結果より, アオキの種子生産は主に虫媒依存であることが示唆された。次に訪花昆虫の同定と体サイズの測定より, 花粉媒介者は, ジョウカイボンおよびゾウムシなどのコウチュウ目や, クロバネキノコバエなどの長角亜目であることが推測された。花粉媒介はこれらの昆虫の機会的な訪花に依存していると考えられる。
著者
加藤 直 馬場 雪乃 鹿島 久嗣 横路 隆
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

企業の会計業務は煩雑を極め、作業量の多さから自動化が望まれるが一般に自動化は困難である。しかし近年、クラウド会計ソフトを通じてデータが蓄積されるようになり、機械学習による会計業務の自動化の実現が現実味を帯びてきている。本研究では会計業務の一つである消込処理について業務自動化の実現可能性を検証する。機械学習により入出金データのマッチングを予測することで作業の効率化が可能であることを示す。
著者
馬場 宏二
出版者
大東文化大学
雑誌
Research papers
巻号頁・発行日
vol.31, pp.1-32, 1999-12

事態を発見しながら叙述を進めて来たので、文脈が多少混雑していると思う。繰り返しになるが、大筋を箇条書きにまとめておく。1. 漢籍古典に「社会」という文字は古くからあるが、「会社」という文字はなかった。「会社」は江戸時代の日本で創案された新語であった。2. 19世紀に入って、鎖国日本が世界情勢を知る必要が生じた時、蘭学者が地理書を翻訳し、その中で、西欧の社会制度の訳語の一つとして「会社」が創案された。最初の創案者を特定することは出来ないが、杉田玄瑞『地学正宋』がおそらく最初の使用例である。19世紀後半の蘭学者たちは、この語を共有していたものと思われる。3. 「会社」はもともと学界、学芸集団の意味であり、やや拡げて特定階層の自発的集団の意味、あるいは今日の「社会」に重なる意味で使われた場合もあるが、営利企業の意味に使われたことは原則としてなかった。その例外は、オランダ東インド会社の類の特権会社を「会社」と呼んだ場合である。4. これは「会社」の原語がオランダ語の Genootschap (団体、協会) か Maatschapppij (社会、協会・学会・団体、会社) だったことに由来する。江戸時代の辞書では、前者を学会、後者を組合と訳している。オランダ語の Compagnie には、「中隊」と東インド会社を指す「会社」の意味しかなく、これは江戸時代の辞書でも同様だったから、訳書の中ではこれが例外的「会社」になった。中隊に相当する訳語はなかった。5. 幕末開港後は、会所貿易が不利になり、商人集団を形成してそれに貿易を担当させる必要が出てきた。幕府の実務官僚がその集団を「商社」と呼んだが、これは英語の Company の訳語であり、そのなかでも特に共同出資の営利企業を指していた。6. 「商社」の創案者は、小栗上野介忠順と目されているが、これは資料的には確定できない。この語は、幕末には公用語として流布した。7. 明治期に入ると、Company の訳語は「会社」に置き換えられた。「会社」はこの時新たに造語されたのではなく、「商社」の語義をヨリ古い別義の単語に置き換えたのである。この切り替えには意図的な推進があったことが推測されるが、推進者がいたとすれば最初でなくても最有力なのは渋沢栄一である。8. 福沢諭吉は、「商人会社」を説いたことで、穂積陳重から、営利企業の意味の「会社」の創案者と目されたが、福沢は単語としての「会社」の創案者ではない。また、「会社」の語義を営利企業に定着させたわけでもない。福沢は訪欧で「商社」の概念を掴んだ後、それを商人の会社と言い換えた見せた。この際の「会社」は蘭学者達が使っていた「会社」である。「商人の会社」は、おそらく『ズーフ・ハルマ』が無意識の下敷きになって出来たのであろうが、商人の集団組織だから、当然に営利企業になる。9. こうして福沢は、蘭学者達の非営利的な「会社」と、幕末の「商社」を換骨脱胎した、明治以降の営利的「会社」とを、無意識に媒介する位置を占めていたことになる。
著者
早川 文代 馬場 康維
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.447-456, 2002

"まったり" について, 京都・滋賀地方でのアンケート調査および京都市内での専門家による聞き取り調査を行い, 前報の首都圏のデータと比較し, 以下の結果を得た.<BR>(1) "まったり" は, 京都高年層には方言として用いられているが, 京都若年層には, 首都圏若年層の流行語と同様に用いられている.<BR>(2) 方言としての "まったり" は, 食物名による尺度化の精度が悪く, 食物名で "まったり" を説明することは困難であるが, "まったり" している可能性が高い食物は, 栗きんとん, 白味噌などである.<BR>(3) 方言としての "まったり" は, 良いイメージをもつ誉め言葉であり, 感覚用語というよりも, 感性を表現する用語である.まろやかで, 口にゆっくり広がる, 穏やかで, 深みがあり, ほのかに甘い感覚である.<BR>(4) 若年層に用いられている流行語としての "まったり" は, 食物名による尺度化が可能で, カスタードクリームやバタークリームなどの, まろやかで, 口にゆっくりと広がる, ねっとり, こってりした感覚である.