著者
曽山 奉教 吉田 秀人 下村 大樹 高橋 幸博
出版者
一般社団法人 日本体外循環技術医学会
雑誌
体外循環技術 (ISSN:09122664)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.1-6, 2013 (Released:2013-04-08)
参考文献数
18
被引用文献数
2 1

体外循環時のヘパリン化血における血液凝集塊の原因としては、主に血小板凝集・血栓形成説と「いが状赤血球」凝集塊説の2説があるが、機序解明には至っていない。今回、体外循環で生じるアルカレミア環境下で出現する血液凝集塊が「いが状赤血球」に起因することを裏付けるため、体外循環でのヘパリン化血が、アルカレミア環境において血小板凝集能および血液凝固時間に与える影響を検討した。結果、ヘパリンナトリウム血で作製した血小板は、アルカリ負荷(pH9)で粒径25μm以下の小凝集塊を形成したものの、粒径50μm以上の大凝集塊の形成には至らなかった。また、PTおよびAPTTはともにアルカリ負荷(pH9)で有意に延長した。したがって、体外循環時のアルカレミア環境下での血液凝集塊形成に血小板凝集、血栓形成は関与せず、「いが状赤血球」に起因することが強く示唆された。
著者
石井 僚 原田 雅也 松木 莉奈 川島 実紗 北村 紫織 高橋 麻緒 豊田 昂
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.457-466, 2020-03-20 (Released:2020-03-30)
参考文献数
57
被引用文献数
2

本研究の目的は,情報モラルの教示に合わせて集団もしくは個人アイデンティティを強化することが,SNS 上の否定的文脈への同調を抑制するか,パーソナリティ要因としての同調的対人態度を統制した上で検討することであった.実験協力者である大学生114名を情報モラルの教示と集団アイデンティティの強化を行う集団アイデンティティ強化群,情報モラルの教示と個人アイデンティティの強化を行う個人アイデンティティ強化群,教示や強化を行わない統制群に分け,場面想定法を用いた質問紙実験を行った.その結果,情報モラルの教示を行っても集団アイデンティティを強化された場合にはSNS における否定的文脈への同調は抑制されないこと,個人アイデンティティを強化された場合には場面によって同調が抑制されることが明らかとなった.情報モラル教育は,SNS の持つ状況的特徴が同調を抑制しづらくすることに配慮して行う必要があることが示唆された.
著者
高橋 雅弘
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.37-40, 1985-01-15 (Released:2011-11-04)

長寿国日本で培われた料理が, 今や海外でも大きな関心事となっている。 伝統の味がどのように形成され伝承されてきたか, また, その基本の食材料等について, 伝統の味の二つの主流である江戸と京との味を対比して食文化の流れについて詳述していただいた。
著者
高橋 英彦
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2020-07-30

統合失調症患者の脳内における単語の表象ネットワークの乱れを脳内における単語の表象ネットワークにグラフ理論による解析を適応し、定量的に解析することを目的とする。対象は統合失調症患者で、臨床・心理データに加え、脳MRIを取得する。被験者に自然動画刺激を提示し、全脳活動をfMRIによって記録する。動画に含まる単語のラベル時系列と脳活動から、重み係数を求める。この過程で、単語をベクトルに変換する自然言語処理技術Word2Vecを用いる。脳内単語ベクトルの任意の2語の組み合わせの類似度を表した行列を得るこの行列から、隣接行列を作成し、グラフ理論による脳内の単語表象のネットワーク解析を行う。
著者
清水 修 永井 栄寿 藤田 稔之 藤本 博志 角谷 勇人 高橋 英介 山口 宜久 谷 恵亮 佐藤 正憲
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.1095-1100, 2021 (Released:2021-10-07)
参考文献数
10

電気自動車の性能的課題である航続距離の課題解決のために磁界結合方式の走行中給電が提案されている.磁界結合方式で用いる磁界中に導体が存在すると渦電流が発生し,電力損失となる.本研究では,アスファルト路面に埋設したコイルで電力伝送を行うことで,給電効率が道路構造による影響の検証を行った.
著者
高橋 優基 山本 吉則 嘉戸 直樹
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.42-47, 2019 (Released:2019-12-26)
参考文献数
35

In daily life and sport situations, external stimuli can be used to control exercise. In physical therapy, periodic auditory stimulation is said to be effective at improving patients' walking ability (walking speed, stride length, and cadence). A metronome, hand clapping, and vocalization are used by therapists to deliver periodic auditory stimuli. Prediction of the rhythm is necessary to perform efficient exercise based on auditory stimuli. Reaction time and synchronization tapping tasks are used to examine the ability to perform exercise according to rhythm prediction. The mechanisms of motor control in the central nervous system are different for periodic and non-periodic movements. This study describes the results of research on motion control according to rhythm prediction based on reaction time and synchronization tapping tasks, the ability to reproduce rhythmic movements with hand clapping and foot stepping, and rhythm tasks and sensory function, and discusses clinical applications of rhythm tasks.
著者
高橋 恵子 多賀 正尊 伊藤 玲子 丹羽 保晴 林 雄三 中地 敬 楠 洋一郎 濱谷 清裕
出版者
一般社団法人 日本放射線影響学会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集 日本放射線影響学会第53回大会
巻号頁・発行日
pp.324, 2010 (Released:2010-12-01)

原爆被爆者成人甲状腺乳頭がんの分子生物学的解析より、RET/PTC再配列と放射線量との有意な関連に加えて、遺伝子変異が未同定、即ちRET、NTRK1、BRAFおよびRAS遺伝子に変異を持たない甲状腺乳頭がん症例も放射線量に関係することが見出された。このことは、RET/PTC遺伝子再配列以外にも、放射線関連成人甲状腺乳頭発がんに関与する遺伝子変異が存在することを示唆する。 我々は遺伝子再配列型の癌遺伝子に焦点をおき、遺伝子変異が未同定の甲状腺乳頭がん症例に生じている遺伝子変異の解析を行った。その結果、甲状腺乳頭がんではまだ報告されていない新しい型の遺伝子再配列、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子の再配列を初めて見出した。被曝症例19例中10例にALK遺伝子再配列を見出したが、非被曝症例6例中にはいずれにもこの変異は検出されなかった。現在、ALK再配列のパートナー遺伝子を同定中である。これらの結果より、放射線関連成人甲状腺乳頭発がんにおいて、RET/PTC再配列および ALK再配列を主とする染色体再配列が重要な役割を担うことが示唆される。
著者
高橋 良輔 角野 拓真 東条 かおり 岡崎 慎一郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.3, no.J2, pp.1053-1058, 2022 (Released:2022-11-12)
参考文献数
8

近年,極端豪雨により激甚化する豪雨災害の一つとして,局所洗掘による橋脚の損傷やそれに伴う落橋等が日本各地で頻発している.この種の災害に対する維持管理では,被災リスクが高い橋脚を抽出し,計画的な予防保全措置を実施するとともに,橋脚の健全度を把握するために適切な残存耐力評価が必要となる.本研究では,機械学習を援用し実効雨量を説明変数とした河川水位予測モデルを提案するとともに,局所洗掘の進展に応じた橋脚の残存耐力評価モデルを提案する.これらモデルを組み合わせることで,気象変動により変動する河川水位および局所洗掘の進展に応じた橋脚の残存評価が可能となる.
著者
山田 英一 佐久間 太 山下 茂 高橋 穣
出版者
日本線虫学会
雑誌
日本線虫学会誌 (ISSN:09196765)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.21-36, 2007-06-30 (Released:2010-07-21)
参考文献数
28
被引用文献数
2 1

北海道後志支庁管内のジャガイモシストセンチュウ発生圃場において、トマト野生種、ハリナスビ、イヌホウズキの播種時期、播種量と線虫密度低減効果を調べた。トマト野生種の孵化促進効果はイヌホウズキ、ハリナスビよりも高く、密度低減効果もトマト野生種が勝った。トマト野生種の播種時期と密度低減効果を比較すると、春まき栽培(6月上・中旬播種)の気象条件が夏まき栽培(8月11日播種)よりも植物の生育および線虫の孵化に好適なため、密度低減効果は高く、対照の抵抗性ジャガイモ「花標津」と同等か、やや勝る効果が得られた。夏播き栽培の効果はやや劣るが、栽培体系を乱さない点で実用性が認められる。ともに播種量1kg/10 aで効果が高かった。
著者
澤内 大樹 坂本 有希 高橋 治 佐藤 真里 八木 一正
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.11-14, 2007 (Released:2018-04-07)
参考文献数
15

近年、温室効果ガス増加による地球温暖化防止のため、カーボンニュートラルの観点からバイオマスを用いたエネルギーが注目されている。また、今年度から前倒し施行された学習指導要領では環境教育の一層の充実とともに学習内容が自分たちの生活と結びつく実感を伴った理解が強調されている。このような背景の下、本研究では岩手県の特産であるリンゴを用いた効率的なエタノール合成および教材への応用を視野に入れた研究を行っている。品種や酵母ごとでの検討の結果、糖度の高いリンゴほどエタノールの生成量が多く、酸度の高いリンゴほどエタノールの生成量が抑制される傾向が見られた。今後はサンフジについて、時間ごとでの生成量の変化や精製条件のさらなる検討を行う予定である。また、12 月上旬に授業実践を行い、生徒たちの環境・エネルギーへの意識の変化を調査する予定である。
著者
高橋 徹 井上 誠治
出版者
日本体育・スポーツ哲学会
雑誌
体育・スポーツ哲学研究 (ISSN:09155104)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.109-120, 2009 (Released:2012-12-17)
参考文献数
32
被引用文献数
2 2

The purpose of this study is to examine the surroundings of moving body based on the theory of “affordance”, that is to refine the concept of “body environment” in sport. The study also try to consider its implication into the theory of physical education and sport philosophy.First, the concept of “affordance” presented by J. Gibson is discussed to express the meaning lurked in environment around us. Then, the environment in sport is examined in terms of two ways of talking sport which is introduced by M. Sasaki. Namely, the first manner is the way talking sport inside the body. The second is that of the border between body and environment. Especially, author concentrates to focus on the latter manner in discussing sport environment. Next, the study attempts to define the concept of “body environment” in sport. It may give us the meaning of environment found in bodily movement.At any rate, refining this concept is an approach to understanding the lived experience in sport by its useful manner of experiential description. That is to say, it is an attempt to explore the potentiality in the enterprise educating sport. Finally, author may also inquire the significance and limitation of using experiential description of sport which is a method finding the meaning of lived movement. Then, the study may conclude that this manner of describing sport experience would be possible to apply into every educational affairs.