著者
金子 裕史 林 豊彦 中村 康雄 石田 智子 高橋 肇 新井 映子 山田 好秋 道見 登 野村 修一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.478, pp.135-142, 2001-11-22
被引用文献数
3

これまで我々は, 嚥下機能障害者を無侵襲かつベッドサイドで検査することを目的として, 喉頭運動・舌骨上筋群筋電図・嚥下音の同時計測システムを開発してきた.本論文は, お粥の性状の違いによる嚥下動態の変化について述べたものである.被検食品は, 一般的なお粥である"全粥"と, より付着性の小さい嚥下困難者用"ふっくらおかゆ^R"(亀田製菓)とした.実験の結果, 全粥嚥下時に比べ, ふっくらおかゆ嚥下時には次の2点が確認された:1)嚥下初期において, 喉頭がより速く動く;2)筋活動量が少ない.これらの結果から, ふっくらおかゆは, 一般的なお粥に比べて飲み込みやすいことが示唆された.
著者
高橋 宏
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.6, pp.182-204, 1992-12-15
被引用文献数
9

自動車の駆動系やシャシ系の制御を考えるとき、自動車メーカにとって最適な制御特性を実現するための制御戦略を決定することは容易なことではない。車両がどのような環境を走行しているかを認識することは、最適な制御戦略決定のため有益な情報となる。従来こうした走行環境の認識を考える方法論としては、C.C.D.カメラやその他のハードウェアデバイスを自動車に装着して外的情報を入手することが考えられた。しかし、この手法では自動車の価格を引き上げてしまう。そこで、上記のようなハードウェアの追加無くして、走行環境や車両の状態が検知できる手法が望まれていた。本論文では、ドライバーの操作から走行状況を認識するヒューマンセンサを提案した。ドライバーは彼等の目や耳で外的状況を知覚した結果としてハンドルやアクセルおよびブレーキなどを操作している。つまり、ドライバーは自動車にとってセンサと位置付けられる。よって、センサの出力であるハンドルやペダルの動きを解析することによって、ドライバーが知覚した対象を推定しようとした。しかし、こうした推定モデルの検討は、ドライバーの操作特性があいまいなため厳密に扱うことが難しい。そこで、ドライバーの操作から操作分布を考慮しながら、ファジィデータを生成し、ドライバーの運転操作をあいまいな量として扱った。さらに、このファジィデータにファジィ数量化理論第II類を適用することによって、走行状況を認識するための判別指標を生成した。本手法の適用例として、自動車のサスペンション制御への適用を検討し、その状況判別の効果を評価した。またドライバーの個々の操作特性に対する適応化についても検討した。
著者
八木 哲 高橋 直久
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.3, pp.17-24, 2002-01-21
被引用文献数
1

本稿では,広域分散した地点で観測される頻繁に変化する情報を,リアルタイムに広域で共有するためのシステムであるWISE(Wide-area Information Sharing Engine)について述べる.例えば,道路交通情報,地域情報,気象環境情報,ネットワーク情報,計算機リソース情報が対象となる.これらの情報を,端末の種別や場所を問わずにシームレスに利用可能にすることで,計画からドアtoドアまでのナビゲーションサービス,ネットワークの可用性情報サービス,グローバルコンピューティング向けの計算機リソース情報サービスなど,多様な情報ナビゲーションのための基盤を実現する.WISEはRM(Resource Manager)と呼ぶ自律型モジュールの集合体であり,`抽象化した情報'を利用して,情報に対する参照と更新の負荷を共に各RMに分散,局所化,あるいは抑制する.本稿ではWISEの構成を示し,WISEを構成するデータベース系と情報交換系のうち,データベース系の設計を示すとともに,例題にてらして有効性を考察する.This paper presents the WISE (Wide-area Information Sharing Engine) which is the real-time sharing system for dynamic and globally distributed information. For instance, dynamic and globally distributed information is road traffic information, network traffic information, meteorology information, environmental information or load information of distributed computing resources. WISE supplies these information to any device at everywhere seamlessly for any navigation service. For the purpose, WISE is constructed with a group of autonomous elements named the RM (Resource Manager) and uses the abstracted information to distribute and localize the load of reference and update to each RM. This paper describes a design and a case study.
著者
古田 雅一 浜崎 宏治 Wirkner Sandra CONSTANTINOIU Elena 高橋 克忠 林 壽郎
出版者
日本食品照射研究協議会
雑誌
食品照射 = Food irradiation, Japan (ISSN:03871975)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.24-28, 2002-09-30
被引用文献数
2

食品には大腸菌群、細菌を中心とした一般生菌、カビ、酵母など多種多様な微生物汚染を受ける可能性があり、これらの中で病原性のある食中毒菌を殺菌するためにγ線、電子線を用いた放射線殺菌がすでに世界各地で実用化されている。例えば香辛料の照射は100000トンに達し、米国においては2000年5月以来γ線、電子線を用いた冷凍牛肉パテ(ハンバーガー用)の実用照射が開始されている。さらにわが国においても香辛料照射の許可申請が成されている。しかしながら、食品の汚染微生物の放射線感受性は多様であり、また照射後の食品からこれらの微生物を抽出する際の効率など、許可された線領域において個々の食品の汚染度に見合った適切な殺菌線量を決定するのは汚染菌の種類や量が比較的少ない医療用具に比べて困難であることが予想される。我々は微生物が増殖する際、発生する微少な熱量を試料24個の同時計測が可能な高感度の熱測定装置で検出し、(60)COガンマ線照射後の酵母、大腸菌、芽胞の増殖パターンを図式化した。その結果、放射線量を増加させた場合、比較的低線量の場合には増殖時の熱発生のパターンは変化せず、増殖開始時間の遅れ(ta(i))が増大する。すなわち放射線の効果が殺菌的に働いていること、また高線量になるに従って増殖開始後の熱発生量増加の度合い(増殖速度定数:μi)が減少する、すなわち静菌的な効果も同時に現れる。
著者
高橋 ひとみ
出版者
桃山学院大学
雑誌
桃山学院大学人間科学 (ISSN:09170227)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.67-81, 1997-03-15

For nearly 110 years, we have been implementing only Far-Vision Tests in Vision Tests at elementary schools. For this paper, I investigated the kinds of Vision Test that meet the needs of the times. I implemented Near-Vision Tests five times at K Elementary School and N Elementary School between 1992 and 1994. Each time I discovered some Near-Vision children, but they had been given no help because, being Near-Vision children, they had not been identified by the Vision Test. However, using a Non-Space Low Vision Tester, I have verified that accurate tests can be carried out on both Far-Vision children and Near-Vision children at the same time. The paper closes with an appeal for Near-Vision as well as Far-Vision Tests to be implemented in elementary school's in the future.
著者
高橋 ひとみ 川端 秀仁 衞藤 隆
出版者
桃山学院大学
雑誌
桃山学院大学人間科学 (ISSN:09170227)
巻号頁・発行日
no.41, pp.57-97, 2011-10-25

Children are given visual acuity tests at school. The purpose of the tests is to facilitate school education. There are two types of visual acuity: far-vision and near-vision visual acuity. Far-vision visual acuity is required, for example, when reading something written on a white board in a classroom. On the other hand, near-vision visual acuity is needed when reading textbooks, notebooks, or when looking at computer screens. However, only far-vision visual acuity tests are stipulated in the "School Health Law". As a result, a near-vision visual acuity test is not typically included in medical examinations at public schools. However, we believe that a near-vision visual acuity test is necessary, and so in this paper we analyze some basic data about the relationship between children's near-vision visual acuity and their vision-related behavior. For the purposes of the paper, we examined both far-vision and near-vision visual acuity tests of elementary school children. We found that children whose far-vision visual acuity was under 1.0 had 4 vision-related behavioral problems, and that children whose near-vision visual acuity was under 0.8 had six such problems. Children whose far-vision visual acuity is found to be lacking are given remedial treatment to improve their eyesight. We therefore strongly recommend the addition of near-vision visual acuity tests in public schools so that children found to have near-vision acuity problems can be given treatment too.
著者
井上 祥史 田畑 由美子 飯岡 久美子 遠山 正宏 高橋 慶子 INOUE Shoshi TABATA Yumiko IIOKA Kumiko TOOYAMA Masahiro TAKAHASHI Keiko
巻号頁・発行日
2009-05-30 (Released:2016-05-17)

大学生になると、レポートを頻繁に作成しなければなりません。また、卒業時には卒業論文作成という大きな仕事が待っています。このようなレポートや論文を書くためには、なにを書くか、どのような構成でつくるか、どんな資料を参考にするか、まえもって計画する必要があります。中・高校生の読書感想文のようなわけにはいかないのです。きちんと論理的に考える必要があります。 情報化時代のなか、いろいろな情報が飛び交っています。そのなかから自分で欲しいものを手に入れるためには、かなりの時間と労力を必要とします。確かにインターネットでも情報を得ることができますが、それは使いやすいように整理されたものではありません。書店でも本という情報がありますが、ただ並べられているだけに過ぎません。 本を借りて閲覧することだけが図書館の機能ではありません。図書館にはいろいろな情報という宝があります。この宝は印刷体、CD-ROM、データベースなどさまざまな形態をしています。しかしある程度整理されているため、容易に近づくことができるはずです。この宝を積極的に利用すべきです。みなさんが情報を手に入れるためのお手伝いとなることが、この本の目的です。 レポートなどの内容や構成が決まると、いよいよ資料を探すことになります。構想の段階で、この情報が欲しい、これに関連する情報は?などの要求が起こり、作成の途中でも発生するはずです。ここで本書の出番です。知りたい、探したい情報の種類を大別し、そのなかで情報源を何点か挙げ、解説を加えるという内容になっています。この本を理解し、情報をできるだけ、的確・迅速に手にする方法を覚えてください。そして多いに図書館を利用してください。
著者
長谷川 浩史 重田 和夫 高橋 秀也 志水 英二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学
巻号頁・発行日
vol.96, no.44, pp.31-36, 1996-05-17
被引用文献数
2

人間は正面顔や横顔, 種々の傾きを持つ顔や髪型を変えた顔からも個人を識別することができる. しかし, 顔画像識別の研究において提案されてきた手法は, 正面顔か横顔かのいずれかのみを主として利用したものであった. 本報告ではニューラルネットワークを用いて傾きを持つ多くの顔画像と少しの髪型を変えた顔画像からの識別とその顔の方向の検出を試みる.
著者
渋久 奈保 高橋 友和 井手 一郎 村瀬 洋 小島 祥子 高橋 新
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.2, pp.215-225, 2009-02-01
被引用文献数
10

本論文では,事前に構築した距離データマップと走行中の自車が測定した距離データを対応づけることで,高精度に自車位置推定を行う手法を提案する.我々が考案した距離データマップとは絶対位置座標とその位置における車両走行方向の距離データ及び距離データの信頼性を対応づけたマップである.また,ここでいう距離データとは,4ラインレーザスキャナにより測定された車両前方の奥行方向の距離分布である.自車位置推定のために行う距離データマップと距離データの対応付けでは,精度向上をねらい,距離データ系列同士をDPマッチングで対応づける.複数の車線がある道路の同一区間を走行しながらGPSと同期して測定されたデータ系列を用いて,実験を行った.実験の結果から距離データ系列間の対応付けにより高精度な位置推定と走行車線分類が可能となることを確認した.
著者
高橋 史 小関 俊祐 小関 真実
出版者
公益財団法人 パブリックヘルスリサーチセンター
雑誌
ストレス科学研究 (ISSN:13419986)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.77-83, 2014 (Released:2014-10-31)
参考文献数
11
被引用文献数
1

The purpose of this study is to examine the effect of social skills training (SST) on children’s self-efficacy for receiving new classmate. A total of 33 elementary school students in the fifth grade participated class-wide SST, while the other 36 children in the same grade were administered into waiting-list control group. Training sessions were held in the daily-used classroom and targeted two social skills: friendship-making skills and problem-solving skills. Participants’ social skills and self-efficacy for receiving new classmate were measured through self-reported questionnaires. Results showed that children, only in SST group, decreased their social withdrawal and increased self-efficacy for receiving new classmate. Correlational analysis revealed that the change of prosocial behavior through training was positively correlated with the change of self-efficacy. In contrast, the change of social withdrawal and aggressive behavior were negatively correlated with the change of self-efficacy. Finally, methodological issues and future directions are discussed.
著者
橋爪 力 高橋 優子 沼田 恵 SASAKI Koichi UENO Kimiko OHTSUKI Kenji KAWAI Mami ISHII Aya
出版者
THE SOCIETY FOR REPRODUCTION AND DEVELOPMENT
雑誌
The Journal of reproduction and development (ISSN:09168818)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.273-281, 1999-08-01
被引用文献数
5 29

The objectives of this research were to characterize plasma profiles of growth hormone (GH), prolactin (PRL) and insulin-like growth factor-I (IGF-I) during gestation and the lactation period in goats, as well as in their suckling growing kids. There were no obvious changes in the GH or PRL profiles during gestation, but secretion of both GH and PRL increased acutely after parturition. The elevated GH concentrations were maintained until 3 months after parturition, whereas the PRL concentrations decreased gradually after parturition. The elevated hormone concentrations are thought to be caused mainly by an increase in the secretory pulse amplitudes. In contrast to the GH and PRL profiles, the plasma IGF-I concentrations during late gestation were significantly higher than the post-parturition concentrations, and the IGF-I concentrations in late gestation decreased gradually until the day of parturition. The plasma GH, PRL and IGF-I concentrations in kids 1 week after birth were high, and concentrations of each hormone decreased thereafter. These results show that the increased secretory potencies of pituitary GH and PRL after parturition are caused mainly by an increase in the secretory pulse amplitudes and that plasma GH is inversely related to plasma IGF-I compared over gestation and the lactation period in goats.
著者
高橋 由記
雑誌
大妻国文
巻号頁・発行日
vol.44, pp.37-53, 2013-03 (Released:2013-05-18)
著者
渡邉 廉也 高橋 宏治 多田 和弘 石村 春令
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.755-759, 2014 (Released:2014-12-22)
参考文献数
8
被引用文献数
1

症例は糖尿病歴10年の65歳女性. 2014年2月上旬, 近医にてインフルエンザBと診断され, オセルタミビル, クラリスロマイシンの内服治療を開始した. 2週間後, 徐々に尿量が低下し, 嘔吐, 全身倦怠感が出現したため, 2月中旬, 当院夜間内科外来を受診した. 来院時検査にて著明な高K血症, 腎機能障害を認め, 緊急透析を施行し入院となった. 2回目の透析後より徐々に, 尿量が改善し血液透析を2回施行し離脱した. その後, 全身状態が軽快し退院となった. 急性腎障害の原因はさまざまであるが, 本症例は受診までの経過, 来院後の検査結果からオセルタミビルとクラリスロマイシンを被疑薬とする薬剤性腎障害が最も考えられた. 両薬剤とも日常診療で頻繁に使用される薬剤であり, 投与後の経過には注意が必要である.
著者
山口 梓 高橋 央 王 宗洋 今井 由美 野々村 美宗
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.87, no.6, pp.192-196, 2014-06-20 (Released:2014-09-20)
参考文献数
16
被引用文献数
4

ヒト指の力学的特性と表面形状を模した接触子を用いて,五つの化粧用スポンジの摩擦評価を行い,触感との関係を解析した。被験者が指でスポンジに触れたときには,さらさら・ふわふわ・すべすべしていて,ざらざらしていないスポンジが好まれた。さらに,これらの触覚はスポンジの摩擦・力学特性とセルの形態によって支配されていることが明らかになった。これらの成果は,化粧用スポンジを設計・開発するうえで有用である。
著者
高橋 紀穂
出版者
太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.167-175, 2014-03

本稿の目的は,意識のエネルギーと生産的労働によってもたらされるエネルギーを同一の地平で考えるジョルジュ・バタイユの思考を明確化することにある。議論は以下の手続きによって進められる。まず,バタイユの労働概念を,次に,彼の労働と言語との関係の思考を見る。続いて,彼が,ヘーゲル哲学の分析の中で,労働と言語的意識の両者を,エネルギー論というひとつの視点から捉えたことを示す。その後,その正当性をデリダの言語論から考える。そして,彼が思考した消費の倫理を示す。最後は,バタイユが現代のわれわれにもとめた「自覚」について考える。