著者
清田 貴茂 高田 彰子 松本 陽 大塚 誠 糸谷 真保 足立 徹 大木 玲子 木許 賢一 小副川 敦 杉尾 賢二 西川 和男 西田 陽登 駄阿 勉 浅山 良樹
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.17-22, 2022 (Released:2022-02-14)
参考文献数
12

眼症状を有する脈絡膜転移に放射線照射を行い,症状緩和の得られた3例を報告する.症例1は71歳女性.右乳がん術後7年目に多発転移を認め化学療法が行われていた.術後16年目に右眼痛と視力障害を伴う右脈絡膜転移が出現し,同部への緩和照射により,右眼痛の軽減と腫瘍の縮小を認めた.症例2は54歳男性.右眼痛および視野異常を自覚し,精査にて右下葉肺がんおよび右脈絡膜を含む全身多発転移と診断された.右脈絡膜転移巣への緩和照射により,眼痛の改善と腫瘍の縮小を認めた.症例3は71歳女性.右上葉肺がん術後1年5カ月で左眼痛が出現し,精査にて左脈絡膜転移の診断となった.同部に対して緩和照射を施行し,照射後は腫瘍の縮小と左眼痛の一時的な消失を認めた.脈絡膜転移に対する緩和的放射線治療は,眼症状の軽減に有効と思われた.
著者
高田 祥司
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.32-47, 2008-10-01 (Released:2017-07-28)

日本語東北方言と韓国語には,過去形として,「〜タ」/-ess-ta(過去形1)の他に,「〜タッタ」/-essess-ta(過去形2)という形式が存在する。後者は前者と異なり,(1)現在との断絶性,(2)直接体験・認識の解釈,(3)トキ節/ttay節で<限界達成後>を表さない,(4)反事実条件文への使用という特徴を持つ。これは,<過去>の<継続性>を表す「〜テアッタ」/-e iss-ess-taを出自とし,その文脈的意味を受け継ぐためだと説明される。-essess-taは,より原形に近い古い用法を保ち,<継続性>やその派生的意味<過去パーフェクト><発見>を表し,存在動詞への使用は難しい。一方,「〜タッタ」は形容詞・名詞述語に用いにくい。また,両言語の回想表現「ケ」/-te-も(1),(2)を持つが,話し手の行為の体験は表さず,過去形2とは逆に(2)(認識)に基づき,文脈的に<過去>や<継続性>を表す。両言語では,過去形1が現在の状態を表すことと関わり,(1)を持つ過去形2や回想表現が<過去>を現在から明確に区別している。
著者
武田 輝之 平井 郁仁 矢野 豊 高田 康道 岸 昌廣 寺澤 正明 別府 剛志 小野 陽一郎 久部 高司 長浜 孝 八尾 建史 松井 敏幸 植木 敏晴
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.163-168, 2018-02-25

要旨●現在,潰瘍性大腸炎を評価するための内視鏡スコアは多数存在するが,スコアの統一化についての一定のコンセンサスはない.これまでのスコアは検者内・検者間一致率などの信頼性評価が十分ではなかったことがその要因の一つである.2012年に提唱されたUCEISはその問題を指摘し検討した上で作成された内視鏡スコアである.今回,筆者らは現在汎用されているMESとUCEISの両者に関して検者間一致率を検討した.その結果,UCEISはMESと比較し,検者間一致率が高い傾向にあった.今後の課題として,UCEISによる粘膜治癒の定義や長期予後との検討などが挙げられるが,妥当性の検証結果からは今後の臨床研究などで使用するスコアとしてより適したものであると考えられた.
著者
鈴木 康文 高田 緑 土居 良子 深澤 優子
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.13-18, 2014

高校生や大学生に対して,身近な電気製品に使われている科学技術に対する興味を喚起するためにLEDを用いた光通信に関する教材を作製した。一つはLED光線電話であり,もう一つはLEDによる音声・映像通信機である。前者は古くから知られたものであるが,後者は新たに考案したものである。LEDからの光をDVDプレイヤーからの音声信号と映像信号で変調させ,この光を受光側に置いたLEDで受け取り,増幅し,テレビで再生するものである。2本のアクリル棒を光ファイバーケーブルとして用い,その中で光を送信する。教材としての改良を繰り返しながら,子ども・保護者・高校生・大学生.教員らに対し複数回の教育実践の機会を設けた。その結果,これらの教材は従来もっている通信の概念とは異なって目新しく映り,見る者の驚きとともに興味や関心を引き付けることが分かった。
著者
高田 治樹 菊地 学 尹 成秀
出版者
目白大学
雑誌
目白大学心理学研究 = Mejiro journal of psychology (ISSN:13497103)
巻号頁・発行日
no.16, pp.1-13, 2020

本研究は,多種のオタクカテゴリとオタクカテゴリに対する印象との関連性を検討することを目的として調査を実施した。調査対象者は,自身をオタクと自認するオタク群258名となり,自身をオタクと認識しない一般群258名を対象とした。オタク群と一般群によるオタクカテゴリごとの印象の差を検討した結果,カテゴリによって,オタク群は一般群よりも社交性に関するポジティブなイメージを抱きやすく,マナーの悪さに関するネガティブなイメージを抱いていた。また,一般群はオタク群よりもオタクカテゴリに対して不健康で,大人しいという印象を抱いていた。さらに,オタクカテゴリと印象評定との相互関連性を双対尺度法によって検討した結果,腐女子とマンガオタクは過激で妄想しやすいという印象でまとめられ,女性アイドルオタクと声優オタクは不健康という印象でまとめられ,ゲームオタクと鉄道オタクは陰気でマナーが悪いという印象でまとめられ,アニメオタクやコスプレイヤーは恋愛が苦手で大人しいという印象でまとめられた。本研究の結果から,一般群においていまだにオタクに対する偏見がみられ,その偏見はオタクカテゴリごとの異なる印象が統合された偏見である可能性が示唆された。
著者
高田 英一
出版者
日本インスティテューショナル・リサーチ協会
雑誌
大学情報・機関調査研究集会 論文集 大学情報・機関調査研究集会 論文集 (ISSN:24363065)
巻号頁・発行日
pp.96-99, 2021 (Released:2021-12-28)

第3サイクルの認証評価では、内部質保証が重視されているため、各大学では、各大学の運営の独自の文脈とともに認証評価基準を踏まえて、内部質保証体制の構築と機能の実質化に取り組んでいる。その際は、他大学の評価結果が参考となるが、留意すべき課題の所在や内容を把握することは必ずしも容易でない。このため、本研究では、認証評価機関である大学基準協会の評価結果を基に、大学の内部質保証体制について指摘された課題の所在等を分析するものである。
著者
中村 善行 藏之内 利和 高田 明子 片山 健二
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.577-585, 2014-12-15 (Released:2015-01-31)
参考文献数
24
被引用文献数
7 13

調理後の甘さが大きく異なる多様なサツマイモ品種·系統や育種素材を供試して,塊根のβ-アミラーゼ活性およびデンプンの含量,糊化温度と蒸しいものマルトース含有率との関係を調べた.マルトース含有率はβ-アミラーゼ活性の上昇に伴って増加したが,活性が約0.2 m mole maltose/min/mg proteinを越えると含有率の増加は抑制された.マルトース含有率とデンプン含有率との間には相関が認められなかったが,デンプン糊化温度との間には弱い負の相関が認められた.特に,β-アミラーゼ活性が高い塊根では糊化温度が低いほどマルトース含有率が高い傾向が見られた.また,デンプンの糊化温度が比較的高い品種「ベニアズマ」を本州より気温の低い北海道で栽培すると,糊化温度が有意に低下し,β-アミラーゼ活性は同等かあるいはそれ以下にも拘わらず,マルトース含有率が有意に高くなった.サツマイモの加熱調理に伴うマルトース生成には塊根のβ-アミラーゼ活性に加えてデンプンの糊化し易さも重要であると考えられた.
著者
市川 雷師 守屋 達美 保坂 辰樹 福西 智子 沖崎 進一郎 小川 顕史 鈴木 貴博 松原 まどか 高田 哲秀 田中 啓司 藤田 芳邦
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.495-500, 2010 (Released:2010-08-19)
参考文献数
19
被引用文献数
2

症例は65歳の男性.2型糖尿病で食事療法,インスリン療法を受けていたが,HbA1cは7~9%台であった.2008年9月下旬感冒を契機に食思不振となり,インスリン注射を中断した.10月12日意識障害,異常行動を主訴に当院を受診し,糖尿病性ケトアシドーシス(Diabetic ketoacidosis:以下DKAと略す)の診断で入院した.第2病日から腹痛を訴え,腹部CTで門脈ガスを認めた.腸管壊死を疑い上腸間膜動脈造影を行なったが,血栓や閉塞はなく非閉塞性腸管虚血症(Nonocclusive mesenteric ischemia:以下NOMIと略す)と診断した.血管拡張薬の持続投与も効果なく,第3病日緊急手術を施行し救命できた.NOMIは特徴的所見がなく診断が困難であり死亡率も高い.DKAでは腹痛を訴える症例が少なくなく,鑑別としてNOMIも念頭に置き診療にあたる必要がある.
著者
高田 知紀 桑子 敏雄
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集 (ISSN:1348592X)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.105-108, 2016 (Released:2017-05-31)
参考文献数
8

本研究は,「ある土地において信仰上の重要な役割をもつ神社は,自然災害発生時においても安全性を担保しうる立地特性を有している」という仮説にもとづいて,和歌山県下の398社の神社を対象に,その自然災害リスクのポテンシャルを検証することを目的としている.GISを用いて,津波,河川氾濫,土砂災害のそれぞれのリスクと神社との立地の関係を分析した結果,和歌山の土地に深いルーツを持つイソタケル系神社,熊野系神社,王子系神社の多くは,自然災害に対してのリスク回避性が高い立地であることを明らかにした.
著者
岡田 昌己 曽我部 夏子 田邉 解 高田 安希子 宮本 雄基 西村 一弘
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.567-572, 2020 (Released:2020-10-01)
参考文献数
17

日本女子サッカーリーグ1部のチームに所属する選手に、食生活に対する意識等の調査を行った。平日の日中は学業に励む学生が多く、競技以外の仕事に従事する社会人もいるチームであることから、練習後の夕食に求めることについて調査した。平日の夜の練習後の食事に求めることとして、「疲労回復に効果的」、「栄養のバランスがよい」、「おいしさ」を挙げた選手がそれぞれ56%であった。さらに、「たんぱく質が十分にとれる」が39%であったが「エネルギーが十分にとれる」は17%であった。食生活、体調管理で気を付けていることに関する自由記述でも、食事量についてはエネルギーを多くとることを意識している選手がいる一方、食べ過ぎないことを意識している選手もいることが示された。食事に関して知りたいことを尋ねたところ、「自分に適した食事量」が約60%で最も多く、次いで「自分に適した食事内容」、「試合前日に適した食事」であった。体調に関して知りたいことは「疲労回復」が最も多く67%、「コンディション維持」、「貧血予防」の順であった。 本調査は、1つのクラブチームの横断研究ではあるが、他競技の女性アスリートの栄養サポートや食環境支援構築のための資料となると考える。
著者
高田 三枝子
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.34-45, 2006-04-01

本研究は語頭有声破裂音のVOTに注目し東北から関東にかけての地域,また話者の生年との関係を分析した。資料は1986〜88にかけて全国統一的に収集された録音資料を用いた。その結果東北と関東の間で大きな地域差が見られ,東北では話者の世代(生年)に関わらずほとんどの場合VOT値がプラスの値をとること,一方関東では世代差がみられ,生年の遅い話者ほどプラスの値をとる割合が高いことを明らかにし,さらに北関東(茨城・栃木)内を詳細に検討することによりここに見られる東北・関東間の境界が,先行研究で指摘されてきた東北的な音声音韻に関する現象の境界とほぼ一致することを指摘した。
著者
内藤 馨 鶴田 哲也 綾 史郎 高田 昌彦 岡崎 慎一 上原 一彦
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.307-319, 2018 (Released:2018-12-27)
参考文献数
39

淀川は全国有数の淡水魚類相の豊かな河川である。とりわけ、天然記念物のイタセンパラは淀川のシンボル的存在となっている。本種は各生息地で絶滅が危惧されているが、淀川でも外来魚等の大量繁殖により一時生息確認が途絶えた。この状況を打開するため、外来魚のオオクチバスやブルーギルを駆除し、イタセンパラを含めた多様な在来種が生息できる環境を回復させることが必要となった。水生生物センターでは様々な外来魚駆除技術の現地実証に取り組み、淀川に適した駆除方法を明らかにした。それらの方法を使って外来魚を駆除し、イタセンパラの生息する環境を取り戻すため、2011年に市民団体、企業、大学と行政機関など筆者らが所属する多くの団体からなる「淀川水系イタセンパラ保全市民ネットワーク」が設立された。これまで、淀川城北ワンド群でイタセンネットを中心とした多様な主体の活動等によって、オオクチバス、ブルーギルが減少し、イタセンパラをはじめとする在来魚が復活した事例について報告する。
著者
高田 広章
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.3_45-3_66, 2020-07-22 (Released:2020-09-22)

使用するOSオブジェクトをシステム構築時に生成する静的OSにおいては,OSオブジェクトの生成に必要なコンフィギュレーション情報を,何らかの方法で記述する必要がある.静的APIは,リアルタイムOSのコンフィギュレーション情報を記述するための記述言語である.μITRON4.0仕様においてはじめて導入し,TOPPERS新世代カーネル仕様において改善を行った.本論文では,静的APIに求められる要件と,それらの仕様における静的APIの具体的な仕様について述べる.また,静的APIを処理するコンフィギュレータの設計と実装について,TOPPERSプロジェクトにおける約20年間の開発の歴史に沿って述べる.
著者
園木 一男 中島 左代里 内藤 徹 高田 豊 横田 誠
出版者
九州歯科学会
雑誌
九州歯科学会総会抄録プログラム 第63回九州歯科学会総会
巻号頁・発行日
pp.11, 2003 (Released:2004-06-21)

糖尿病患者は、酸化ストレスのため動脈硬化を起こしやすい。歯周病は心血管疾忠の危険因子である。そこで、歯周病を持つ糖尿病患者5名(年齢49.2歳、男性4名、女性1名)と非糖尿病患者6名(年齢60.4歳、男性2名、女性4名)に歯周病治療を行い、治療の前後で血糖、脂質および酸化ストレスの変化を検討した。治療後、歯周ポケット、出血指数は両群とも有意に減少した。歯周病治療は糖尿病群の血糖コントロールや脂質に影響しなかったが、糖尿病群で過酸化脂質を改善し、両群で抗MDA-LDL抗体を有意に低下させた。糖尿病患者は歯周病の合併によりさらに酸化ストレスを受けているが、歯周病治療により酸化ストレスが改善されることが示唆された。