著者
工藤 美奈子 峯木 眞知子 和田 涼子 杉山 みち子 髙田 和子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.163-171, 2018-12-01 (Released:2019-01-21)
参考文献数
21

【目的】高齢者施設で給与エネルギー目標量を設定する場合に,どのようにエネルギー必要量(以下ER)を推定しているか,推定方法の実態と推定方法や推定値の活用における課題を明らかにすることを目的とした。【方法】東京都内の介護老人福祉施設114施設,及び東京都内と神奈川県内の介護老人保健施設115施設の栄養管理者を対象に,ERの推定方法と課題について質問紙調査を行った。【結果】回収率は58.1%であった。ERの推定方法は「基礎代謝量×活動係数×ストレス係数」が64.7%と最多で,使用している基礎代謝量の推定式はHarris-Benedict式が66.1%であった。ERの推定値が対象高齢者に適切かの回答は「適切である」が21.8%,「適切ではない」が23.3%,「わからない」が49.6%であった。【結論】ERの推定値が対象高齢者に合わないと感じ,値の調整を行っている割合が44.4%であった。現在推奨されている,食事摂取基準に準じた式や数値から求めるERの推定方法は,高齢者施設の現場に適さない場合が多い可能性が示唆された。エビデンスに基づいた要介護高齢者に適したERの推定方法の確立が必要である一方で,式による推定だけでなく,個人差に対する適切な調整方法の確立も栄養ケア・マネジメントにおいては重要である。
著者
上野 茂昭 髙橋 玲 劉 修銘 島田 玲子 都 甲洙
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
pp.18-18FB_OA, (Released:2018-07-15)
参考文献数
8

サバ類は冷凍によって肉質が著しく劣化することから,貯蔵中の肉質劣化を防止する高品質な冷解凍技術を開発する必要がある.本研究では脂質含量の異なるサバを-20℃,-40℃および-80℃の冷凍庫または-196℃の液体窒素で凍結し,K 値,pH,氷結晶サイズ等の品質項目について分析した.サバの品質を決定する重要な評価指標の一つである脂質含量は,魚肉のK 値,ドリップ率および氷結晶サイズに影響を及ぼすことが示唆された.脂質含量の異なる魚介類に対して適した凍結条件を選択することで, 鮮度低下抑制やドリップ抑制,氷結晶サイズの制御が可能となることが期待される.
著者
佐藤 孝幸 仁科 雅良 須賀 弘泰 篠原 潤 増田 崇光 髙橋 宏之 磯谷 栄二
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.11, pp.971-975, 2013-11-15 (Released:2014-01-07)
参考文献数
16

子宮留膿腫は子宮腔内の感染に子宮頸管の狭窄や閉塞が加わり,子宮腔内に膿が貯留する疾患であり,高齢者に多くみられる。今回我々は,子宮留膿腫に起因する敗血症性ショックから心肺停止に至ったが,適切な加療により救命することができた1例を経験したので報告する。症例は76歳の女性。突然の呼吸困難と発汗を認めたのち意識消失したため救急搬送となった。来院後心肺停止状態となり,心肺蘇生術により心拍再開した。心拍再開後,敗血症を呈していたため,腹部,骨盤CT検査による精査を行い,子宮内に膿瘍を認め,子宮留膿腫の診断に至った。子宮留膿腫による敗血症に対して経膣的ドレナージと集中治療を行った結果,後遺症を残すことなく救命することができた。高齢女性においては敗血症性ショックから心肺停止を来す可能性があり,鑑別診断に本疾患も念頭に置く必要があると思われた。
著者
髙橋 省吾
出版者
The Academic Association for Organizational Science
雑誌
組織学会大会論文集 (ISSN:21868530)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.154-159, 2018 (Released:2018-12-27)
参考文献数
11

This research presents ways in which companies engaged in industry-academia open innovation manage risks. Recently, importance of industry-academia open innovation is increasing. Universities, in particular, find it difficult to administrate risks; such as, information leakages, breaches of contract, conflicts of interest, etc. One of the reasons for this is multiple organizational structures of universities, which include bureaucracies, collegiums, enterprises, and corporations. In contrast, corporate governance is comparatively easy to administer because the organizational structure is bureaucratic basically. Therefore, companies that introduce industry-academia open innovation should manage their risks, including the ones mentioned above.
著者
髙宮 優実
出版者
現代日本語研究会
雑誌
ことば (ISSN:03894878)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.70-86, 2018-12-31 (Released:2018-12-31)
参考文献数
27

言語形式的には「ほめ」であっても、実際には批判や非難として機能している場合がある。このような機能は、これまでに、小説やエッセイなど作者によってつくられた文章にもとづいた資料の分析からは言及されているが、本研究において自然談話を分析した結果、日常の会話において、特に第三者を批判する場面で「ほめ」の形をとった皮肉や嫌味といった否定的な機能が使われていることが明らかになった。これは、直接言語的に批判をするよりも、状況をユーモラスに捉え、事態の深刻さを回避する役割があるためと考えられる。
著者
髙濱 聡 溜渕 功史 森脇 健 秋山 加奈 廣田 伸之 山田 尚幸 中村 雅基 橋本 徹夫
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

気象庁では,地震調査研究推進本部の施策に基づき,全国の高感度地震計のデータを収集し震源決定等の処理を一元的に行い,その結果を地震カタログとして公表している。 現在の地震カタログは,精査により一定の基準を満たしたものを掲載することとしている。しかし,東北地方太平洋沖地震後の余震域では余震活動は低下してきているものの以前と比べれば活発な状況にあり,処理対象地震の規模の下限を上げた処理を行っていることから,検知されても処理基準未満であるため地震カタログに掲載されない地震がある。 これに対処するため,平成25年度に同本部地震調査委員会の下で検討が行われ,1)これまでの検知能力は維持し,2)検知された地震のすべてを地震カタログへ掲載する,3)精度に段階をつけた品質管理を行う,の3つの方向性を示した報告がまとめられた。 気象庁ではこの報告を踏まえ,自動震源を活用するなど,震源決定処理手順を変更し改善する。具体的には,領域と深さごとに精査を行う地震のMの閾値(以下,Mthと記す)を設定し, Mth以上の地震については,現行通りに精査した震源決定を行い,Mth未満の地震については自動震源を基本とし,検知されても自動震源が求まらない地震については,最大10点程度の観測点を検測する簡易な手順により震源決定を行うことで、処理の効率を高める。精査される震源の目安は、内陸の浅い地震はM2以上とし,海域については陸域(観測網)からの距離に応じてMを上げて最大でM4以上とする。また,処理方法と精度の違いがわかるような登録フラグを新たに設ける。 ここでは、新たな地震カタログを用いて気象庁が作成する震央分布図等の資料について、具体例を紹介する。
著者
髙坂 康雅
出版者
日本青年心理学会
雑誌
青年心理学研究 (ISSN:09153349)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.47-53, 2014-07-30 (Released:2017-05-23)
参考文献数
11

Changes in the sense of identity from continuing or terminating romantic relationships were investigated in university students through a longitudinal study conducted at three time points. Participants were university students with a boy/girlfriend at the first survey (N = 192, 61 men and 131 women). At the second survey, the romantic relationship of 20 participants had terminated and they did not have a new partner (Time 2 ending group). At the third survey, the romantic relationship of 14 more participants had terminated and they did not have a new partner (Time 3 ending group). Two-factor-mixed-design analysis of variance was conducted on four scores of the Multidimensional Ego Identity Scale, with the time of survey (3) and the state of dating (3) as factors. The results indicated that interaction was not significant for any of the four scores. It is concluded that even when young people lose a lover, they are able to maintain a sense of identity owing to feedback given during dating time by their ex-partner.
著者
髙倉 直
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.88, no.12, pp.1173-1176, 2013-12

最近,垂直農場という言葉が使われ始めた。アメリカの微生物学が専門の教授が著したVertical Farmの訳であり,訳本まで出ている。大都市の高層ビルの各層の窓からあふれんばかりの植物が生育しているバーチャルな構想図が示されており,インターネットでも大々的に宣伝されているし(Despommier 2013),似たような構想図がいろいろとあふれてくるようになった(e. g.,Gordon-graffs 2013,Skygreen 2013)。植物栽培と環境調節を専門とする研究者ならこれはおかしいと直感するのではないだろうか。立体栽培の構想ないしは実験は古くから存在する。バビロンの塔もその一つである。立体栽培は大きく分けて,3つになる。高層建物の室内に観賞用として植物を栽培する。展示会や博覧会場で,人集めのシンボルとして作られる。立体農場として作物を栽培するものであるが,問題は作物栽培であり,インターネット上ではこれらが混同されているので,注意が必要であろう。明確な過去の事例をいくつか紹介しながら,このような構想が安易に実現されないことを祈りたい。窓の限られた高層ビルより,はるかに太陽光が中に多く入る,数十メートルのタワー状の温室すなわちタワー温室がヨーロッパと我が国にかつて存在し,その末路がどうであったかを知る人が少なくなっている。タワー温室は人工光でも実験された。人工光植物工場だけでなく,太陽光利用型温室でも,植物を立体栽培した例はアメリカ,英国,我が国にもあったし,我が国では現存するものもある。その問題点を改めて紹介しよう。
著者
髙橋 直暉
出版者
東京海洋大学
巻号頁・発行日
2016

東京海洋大学修士学位論文 平成28年度(2016) 海洋管理政策学 第2567号
著者
髙木 力 米山 和良 阿部 悟 鳥澤 眞介 竹原 幸生 山口 武治 浅海 茂
出版者
日本水産工学会
雑誌
日本水産工学会誌 (ISSN:09167617)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.209-213, 2017 (Released:2018-12-03)
参考文献数
8

We developed an effective aquaculture production management system that can measure the body length, weight, and number of cultured fishes in a tank or cage in a non-contact manner. A threedimensional measuring system that employs two commercialized video cameras was produced to measure the body size of cultured fish, including their fork length, body height, and width. The distance between the video cameras and target fish was less than five meters to reduce the error ratio. In addition, an automatic counting system for cultured fish in a tank was developed to assist in efficient aquaculture management. Finally, an algorithm for fish counting was based on estimating the mobile vectors of individual fish, in which the particle tracking velocimetry (PTV) analytical method was applied. In some experimental cases, estimated numbers by the system were coincident with actual numbers.
著者
竹谷 裕平 髙津 哲也 山中 智之 柴田 泰宙 中屋 光裕
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
pp.17-00031, (Released:2017-12-06)
参考文献数
11

キアンコウの外部形態である瘤状鼻管幅の性的二型を利用した性判別法の精度を検証した。体重1 kg以上のキアンコウの全長(TL)-瘤状鼻管幅間の雌雄別回帰式は,雄が相対的に大型の瘤状鼻管幅を示した。両回帰式の±20%の範囲で性判別した正答率は,400-499 mmTLで93.0%,500-899 mmで94.9-96.0%,≥900 mmで100%を示し,400 mmTL以上で実用的な性判別法と判断した。雄の大型の瘤状鼻管は産卵行動に関連し,雌のフェロモンを感知するのに有効と考えられた。