著者
野口 亮 黒田 健太 河村 光晶 矢治 光一郎 原沢 あゆみ 飯盛 拓嗣 小森 文夫 辛 埴 尾崎 泰助 近藤 猛
出版者
公益社団法人 日本表面真空学会
雑誌
日本表面真空学会学術講演会要旨集 2019年日本表面真空学会学術講演会 (ISSN:24348589)
巻号頁・発行日
pp.3Ha04S, 2019 (Released:2019-10-28)

非磁性のスピン分裂が生じるラシュバ効果は、スピントロニクスへの応用が期待されており、様々な物質でその発現が調べられている。本研究で我々は、Ag/Au(111)薄膜の量子井戸バンドにおいて膜厚と量子準位に依存したスピン分裂をレーザースピン分解ARPESによって見出した。さらに第一原理計算により、この振る舞いは量子閉じ込めによる電荷密度分布の変化によって説明できることを明らかにした。
著者
松村 人志 江村 成就 黒田 健治
出版者
大阪医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

研究代表者らは、以前に、一酸化窒素(nitric oxide : NO)の生体内合成酵素(nitric oxide synthase : NOS)の阻害剤であるN^G-nitro-L-arginine methyl ester(L-NAME)をラット間脳領域に持続投与すると、レム睡眼が顕著に増加することを見いだし、続けて、NOを供与する性質を持つ化合物であるNOC 12を同領域に投与すると、レム睡眠が減少することを見いだした。これらの実験結果から、間脳領域のNOがレム睡腹の制御に関与しているのではないかと考えた。レム睡眠を制御するならば、ひいては、意識変容といった病態にも関与する可能性もある。しかし、L-NAMEやNOC 12の作用が本当にNOの変動を介したものなのか、あるいは何らかの別のメカニズムによるものかは明確でなかった。そこで、間脳領域のNOが睡眠・覚醒、とりわけレム睡眠と連関した日内変動を示しているのか、さらにL-NAMEを投与した際に、間脳領域で、本当にNOが量的に低下しているのかを確かめる必要があると考えた。本研究では、無拘束ラットで、2日あるいはそれ以上にわたり持続的に間脳領域のNOの量的変動を測定しつつ、さらに間脳領域にL-NAMFを6時間にわたり持続投与し、その睡眠・覚醒に対する効果を観察しつつ、同時にNOの量的変動を記録することに成功した。その結果、間脳領域のNOは、ラットの活動期である夜間に高値を示し、睡眠期である日中に低下するという日内変動を示し、さらにL-NAMEを持続投与することで、低下を示すことが証明された。本研究では、この成果を、この研究グループがこの2年間になし得た他の関連研究成果とともに報告する。
著者
笹川 崇男 黒田 健太 矢野 力三
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2021-04-05

トポロジカル電子状態への新概念の提案が理論から続く中、新物質の探索にはマテリアルズ・インフォマティクス(MI)が導入され始めている。この潮流の中で、世界最前線の実験研究を推進しつつ、トポロジカル物質科学からトポロジカル材料工学へと学理のフェーズを変えるために、「第一原理計算」「純良単結晶育成」「先端分光計」「極限環境物性評価」を武器に、MIを活用しつつ、更にその一歩先をゆく独自の物質・物性・機能の開拓を行う。
著者
小川 信夫 牧 博司 黒田 健嗣
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.59, no.566, pp.2975-2981, 1993-10-25
被引用文献数
1

Control of turbulent jets has applications in the manufacturing industry. It has been reported that it is possible to control the jet structure by a pure tone. However, in pure-tone-excited jets, the detailed characteristics of the flow fields are unknown. In this paper, a jet excited by a pure tone radiated from the direction perpendicular to the axis is addressed. A woofer was set downstream near the nozzle. As a result, we found that the cross section of the jet was distorted elliptically in shape. It was clarified that the distorted cross section depended on frequency and sound pressure level of the excitation. This phenomenon is very useful to control jet flows, since it can change the characteristics of the flows. We attempted to clarify the mechanism of elliptical distortion of the jet cross section, assuming the mixing region of the jet was organized into many vortex rings in a time-averaged domain.
著者
石田 直也 二階堂 泰隆 浦上 英之 黒田 健司 冨岡 正雄 佐浦 隆一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.753-757, 2021 (Released:2021-10-20)
参考文献数
30

〔目的〕異なる速度条件での歩行分析から歩行障害の原因を推測し,前庭リハビリテーションを行った結果を報告する.〔対象と方法〕対象は54歳男性の多系統萎縮症(MSA-C)患者である.異なる速度条件(至適・高速・低速)で歩行分析を行ったところ,低速度条件で歩行変動が増大したため,小脳片葉小節葉の病変による平衡機能障害が歩行障害の原因と判断し,前庭リハビリテーションを9日間実施した.〔結果〕重心動揺検査とFunctional Gait Assessmentの成績が向上し,治療前に観察された低速歩行時の歩行変動が減少した.〔結語〕MSA-C患者に対して歩行変動の速度依存性に着目し,前庭リハビリテーションを行うことで歩行不安定性の改善につながった.
著者
黒田 健成 宮川 雅巳 田中 研太郎
出版者
Japanese Society of Applied Statistics
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.79-91, 2006-12-30 (Released:2009-06-12)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

変数間の因果関係が因果ダイアグラムと構造方程式モデルで表現される状況で,ダイアグラムの矢線へ介入する行為を考え,その効果を定式化する.この定式化は条件付き介入の枠組みにおいて記述される.矢線への介入効果に対する識別可能条件についても考察した。線形構造方程式モデルのもとで,興味ある特性変数の分散が,これへの有向道上の矢線を介入することで,どのように変化するかを具体的に求めた.矢線への介入は,直接介入しにくい変数である中間特性を制御するうえで有用である.適用例を通して,これらの定式化の有用性を主張した.
著者
簗瀬 正伸 瀬口 理 中西 道郎 渡邊 琢也 中島 誠子 黒田 健輔 望月 宏樹 福嶌 五月 藤田 知之 福嶌 教偉
出版者
一般社団法人 日本移植学会
雑誌
移植 (ISSN:05787947)
巻号頁・発行日
vol.55, no.Supplement, pp.351_2, 2020 (Released:2021-09-18)

背景:心移植後に行う心蔵リハビリテーション(心リハ)によって自然回復以上の運動耐容能を得ることができる。しかしながら、より心リハの効果が得られるレシピエント及びドナーの要因は明らかではない。方法:対象は2010年4月から2016年11月までに当院にて心移植術を受け、監視下の心リハ開始時と3ヶ月後に心肺運動負荷試験を実施した成人41例。レシピエント要因(年齢・基礎心疾患・人工心臓のタイプ・栄養状態など)とドナーの要因(年齢・LVEF・心停止の既往・虚血時間・高用量カテコラミン使用の有無など)による最大酸素摂取量の変化の検討した。結果:レシピエントの平均年齢は37.4歳。男性36名。40例は補助人工心臓補助下に心臓移植を待機し、平均待機日数は1085日であった。最大酸素摂取量は平均18.1から22.7ml/kg/minと心リハ前後で有意に改善した。レシピエント要因では年齢の若い群(50歳未満)と、3ヶ月後のリンパ球数が多い群(1200以上 vs 1200未満、前:20.4 vs 16.8 p<0.01, 後:25.1 vs 21.9ml/kg/min p=0.021)で心リハ前後の最大酸素摂取量が有意に高かった。ドナー要因で最大酸素摂取量の変化に影響を与えるものは認めなかった。結語:心移植後早期から積極的な栄養介入によって最大酸素摂取量のさらなる増加が得られる可能性が示唆された。
著者
土屋 周平 黒田 健介 加藤 伸一郎 本田 雅規 渋谷 恭之
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

インプラント治療においてオッセオインテグレーションは必須の現象であるにもかかわらず、その分子メカニズムは明らかにされていない。一方、オッセオインテグレーションを獲得したチタンと骨の界面にある糖鎖はチタン上の石灰化や生体適合性などに影響を与え、オッセオインテグレーション獲得に重要な役割を果たしていると考えられる。本研究の目的は、チタンと骨のPGs層に含まれる糖鎖がオッセオインテグレーションにおける機能を分子生物学的手法で明らかにすることである。その結果、糖鎖を利用した分子マーカーを同定することにより、チタン製インプラント治療の検査項目の開発や成功率の高いインプラント製品の開発を最終目的とする。
著者
林 良太 黒田 健治 田中 宏明 稲富 宏之
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.231-238, 2020-04-15 (Released:2020-04-15)
参考文献数
14

本報告の目的は,自傷行為を繰り返すうつ病患者に対して,多職種協働の中でストレス対処行動獲得のために実施された作業療法の効果を検討することである.症例はうつ病患者で,自傷行為がストレス対処行動として用いられていると考えた.多職種協働の介入目標を「自傷行為の減少」として,作業療法では,新しいストレス対処行動の獲得,ストレス要因の改善,ストレス要因に対する症例のとらえ方に介入した.その結果,自傷行為は減少し,新しいストレス対処行動の獲得を認めた.多職種協働の中で,ストレス対処行動の形成化,ストレス要因の改善,認知的柔軟性を獲得し,日常的に実践可能となるような介入により自傷行為の減少に繋がる可能性が示唆された.
著者
黒田 健 今度 史昭
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会論文集 (ISSN:13446460)
巻号頁・発行日
vol.56, no.653, pp.256-261, 2008 (Released:2008-07-01)
参考文献数
5

Optimal aircraft maneuver against two missiles are studied. In this paper, the problem is formulated as a nonlinear optimal control problem and solved by the steepest ascent method. In order to maximize the miss distance against two missiles simultaneously, a special type of criterion function is employed by introducing a window function. Some examples obtained by our method show reasonable aircraft optimal controls, and verify the validity of our method. Our method will be applied to pursuit-evasion and collision avoidance problems with multi-vehicles.
著者
磯野 誠 堀口 明男 田崎 新資 黒田 健司 佐藤 全伯 朝隈 純一 瀬口 健至 伊藤 敬一 早川 正道 淺野 友彦
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.103, no.6, pp.691-696, 2012-11-20 (Released:2013-12-03)
参考文献数
13

(目的) 尿道狭窄症に対する内尿道切開術の有効性について検討した. (対象と方法) 当院で内尿道切開を行った尿道狭窄症19例を対象とした.狭窄部位は球部尿道17例,膜様部尿道1例,振子部尿道1例であった.狭窄長は1 cm未満13例,1~2 cmが2例,2 cm以上が4例で,狭窄原因は騎乗型損傷7例,経尿道的手術後7例,骨盤骨折1例,不明4例であった.全例とも手術はガイドワイヤーを併用した,cold knifeによる切開で行った.術後尿道カテーテルの留置期間は5~35日(平均12.8日)であった.術後観察期間は1カ月から139カ月で,術後再狭窄の定義は画像上の再狭窄,もしくは自覚症状の悪化とした. (結果) 術後19例中13例に再狭窄を認めた.術後3カ月,6カ月,5年時点での無再狭窄率はそれぞれ44.4%,38.1%,20.3%であった.再狭窄例のうち7例に2回目の内尿道切開術を行ったが,6例に再々狭窄を認めた.再々狭窄を認めた6例のうち2例に3回目の内尿道切開術を行ったが,2例とも尿道カテーテル抜去直後から再狭窄により尿閉となった.統計学的有意差は認めなかったが,1 cm以上の狭窄例は1 cm未満の例に比べて再狭窄率が高い傾向にあった. (結論) 内尿道切開術の有効性は低く,過剰に適応されている可能性がある.内尿道切開術は長い狭窄や術後再狭窄例に対しては適応すべきではない.
著者
黒田 健太
出版者
広島大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

昨年度、スピン角度分解光電子分光を用いてトポロジカル絶縁体におけるディラック表面電子状態の磁場に依存した(時間反転対称性の破れた)スピン電子構造を解明するために、高効率スピン偏極検出器を用いた放射光スピン角度分解光電子分光装置の開発を広島大学放射光科学研究センターで行った。そこで本年度では、開発したその装置を用いてトポロジカル絶縁体ビスマスセレナイドにおける時間反転対称性の破れたデラック表面電子状態のスピン電子構造の完全決定を行った。まず、円偏光の励起光を試料に照射する事で時間反転対称性の破れたスピン偏極度に注目した。この場合、円偏光のヘリシティを外部磁場とみなす事ができる。また、放射光の最大の利点であるエネルギー可変性を十二分に活用する事により、光電効果における終状態効果まで詳細に測定を行った。直線偏光を用いた測定では、ディラック電子状態から放出された光電子のスピン偏極度は時間反転対称性を持った始状態のスピン電子構造を大きく反映する事がわかった。それに対して、円偏光を用いた場合、観測されるスピン偏極度は明らかに時間反転対称性を破っており、直線偏光の結果と大きく異なる。この偏光依存性は光電子のスピン偏極度が円偏光のヘリシティにより励起された事に起因している。また、この円偏光依存性は励起光のエネルギーに強く依存する事がわかった。これらの結果から、円偏光照射により表面にスピン偏極した光電流を創出できる事、さらに選択的にその電子スピンを励起できる事を示している。これらの点で本研究は、光により、電流、スピンを同時に制御したオプトスピントロニクスの実現に向けて重要な知見を与える。
著者
興戸 正純 市野 良一 黒田 健介
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

銅,ニッケルなどのコモンメタルのナノサイズ粒子を液相還元法により合成した.反応パラメータの最適化を図り,反応機構を明らかにした.アスコルビン酸,次亜リン酸,硫酸チタン(III),水素化ホウ素ナトリウムの4種類の還元剤において,還元力(ΔE)が大きいものは粒子サイズを小さくする駆動力があることを定量的に示した.水酸化銅を前駆体として硫酸銅と強い還元剤である水素化ホウ素ナトリウムを用いpH12, 30分の反応において30 nm径の銅微粒子を得ることができた.弱い還元剤のアスコルビン酸と硫酸銅を用いテンプレートになるCTBAの濃度を増加させると,析出する金属は粒状,針状,平板状と変化した.反応過程を混成電位図より電気化学的に議論した.
著者
野村 吉宣 阪尾 学 江村 成就 黒田 健治 宮崎 真一良
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.325-330, 1996-04-01

症例は24歳男性, 会社員。元来宵型人間。23歳頃より過眠傾向となり, 昼過ぎまで覚醒できず, 遅刻欠勤が目立ち, 1992年7月末H病院受診。精査目的のため入院となった。睡眠日誌, 終夜ポリグラフィー検査, MSLT, 直腸温測定により睡眠相遅延症候群と診断された。VB12の経口投与とともに, 院内の生活に合わせて就床起床時刻を一定とし, さらにその後の1週間は高照度光療法も併用した。治療開始2週間後に再度諸検査を施行したところ睡眠相は前進し, 入眠起床時刻も午後10時と午前7時に固定した。退院後は起床時刻を守ること, できる限り規則的な生活を行うことを目的として寮生活をしたところ, 週末には一時的な入眠起床時刻の遅延があるが, ほぼ固定した生活を送ることが可能となった。本症例にみられた睡眠相の遅延に関しては, 単身生活による不規則な生活, 残業が続くことによる入眠時刻の遅延といったライフスタイルの変化が, 概日リズムヘの同調を困難とし, 睡眠相遅延症候群の発症に関与したと考えられた。
著者
福澤 美佐 嘉村 基樹 国貞 和恵 萩原 淳 本田 久美代 持永 早希子 矢富 義信 原 周司 小野 信文 黒田 健
出版者
日本医療薬学会
雑誌
病院薬学 (ISSN:03899098)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.499-507, 1998-10-10
被引用文献数
2

A questionnaire survey the patient's views regarding drug information was carried on 941 outpatients from April 24 to May 10, 1997 at Fukuoka University Hospital. As a resutlt that drug information and compliance counseling was found to have been given by physicians (73%). Pharmacists (9%), both(7%) and nurses (3%). Thirty-two% of the patients showed a good understanding of the counseling and could correctly identify their medicines. Most patiens who did not understand their medications very well wanted written information about the effects, side effects and drug interactions of the prescribed medicines. These patients requested physicians (75%), Pharmacists ( 13%) and both (9%) to give the drug information. These results indicate that the present drug counseling to the outpatients is not sufficient. Increasted efforts by pharmacists are therefore still needed to enable patients to obtain appropriate information and thereby improve the overall effectiveness of drug therapy.