著者
河村 葉子 三浦 麻記子 杉田 たき子 山田 隆
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.27-33, 1997-02-05 (Released:2010-03-01)
参考文献数
7
被引用文献数
9 11

The residue and release of 28 kinds of antioxidants and ultraviolet stabilizers in polyethylene products were investigated. The samples included a total of 36 kinds of kitchenware, e. g., bags, wrapping films, sauce bottles and a chopping board, and a total of 16 food-packages, e. g., bags, cases, nets and a tube. They were analyzed using the simultaneous determination method with HPLC. Most samples contained 1-3 antioxidants, mainly Irganox 1076, Irgafos 168, BHT and Irganox 1010. The residue level was about 50-1, 000μg/g. The migration test was carried out using high-residue samples. No additives were released into water, 20% ethanol or 4% acetic acid at 60°C after 30min, though some additives were released into n-heptane at 25°C after 60min.
著者
山田 明男 大垣 寿美子 野田 勉 清水 充
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.169-183_1, 1985-04-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
17
被引用文献数
23 31

ステビア抽出物 (純度95.2%) を飼料に 0 (対照), 0.1, 0.3, 1%添加し, 雌雄のF344ラットに雄は22か月, 雌は24か月投与した. 体重増加の抑制が, 0.3%群と1%群でみられたが, 1%群では一過性であった. 投与群の一般症状は対照群と変りなかった. 6か月時で尿, 血液検査値や臓器重量の一部に有意差がみられたが, 12か月及び試験終了時には有意差はみられなかった. 非腫瘍性病変, 腫瘍性病変の発現率は, 対照群と投与群の間に差はなかった. 本実験における最大無作用量は1%添加すなわち550mg/kgと推定された.
著者
松本 苗緒 吉川 真弓 江田 邦章 小林 あゆみ 横島 真澄 村上 正人 金来 広文
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.211-222, 2008-06-25
被引用文献数
14

簡易に加工された農産物中残留農薬分析における簡易前処理法を検討した.試料をペースト状に細切均質化しガラス遠心管中でアセトニトリル抽出および塩析後,アセトニトリル/ヘキサン分配し,ミニカラム(グラファイトカーボン/NH<sub>2</sub>およびシリカゲル)で精製した.分析はGC/MSおよびLC/MS/MSを用いた.試験溶液のマトリックス効果を調べた結果,正負の両方で影響が見られたことから,マトリックス効果を排除するためにマトリックス検量線を用いた.試料8種(にんにくペースト,青ピーマンカット,グリーンピースペースト,セロリーペースト,さつまいもペースト,あずき(乾),たけのこ水煮,トマトペースト)について235農薬の添加回収試験を行った結果,いずれの試料とも214農薬で回収率は50~100%,変動係数は20%未満であった.本法は食品中残留農薬のスクリーニング方法として活用できると考える.
著者
辻 澄子 松村 郁子 中村 優美子 外海 泰秀
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.357-363, 2000-12-25
参考文献数
17
被引用文献数
2 7

食用黄色5号 (Y-5) 中の副成色素, 未反応原料及び反応中間体などの有機性不純物の分離・定量に当たりHPLC条件を検討した. その結果, 0.02mol/L酢酸アンモニウム溶液とアセトニトリル-水混液 (7 : 3) との濃度勾配系を用いるHPLC条件を変化させることにより, 4,4'-(ジアゾアミノ) ジベンゼンスルホン酸=二ナトリウム塩とスルファニル酸アゾG塩色素との分離定量を確立した. 本HPLC条件を用いて平成10年度Y-5製品検査合格品39検体中の有機性不純物の実態調査を行った. その結果, 検体中の副成色素の総量は規制値の五分の一未満であり, 未反応原料及び反応中間体の総量は規制値の半分以下であった.
著者
塚本 友康 清水 愛 山本 敦 小玉 修嗣 上茶谷 若 井上 嘉則
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.58-64, 2010
被引用文献数
1

夾雑成分の多い試料から親水性農薬を簡便かつ迅速に測定するために,陰イオン交換基と長鎖疎水基を併せ持つ新規逆相陰イオン交換型(RP-SAX) 固相抽出剤を合成した.RP-SAX固相抽出剤は,グリシジルメタクリレート,グリセリンジメタクリレート,ステアリルメタクリレートを懸濁重合によって合成し,陰イオン交換基としてジメチルエチルアミンを導入した.合成したRP-SAXをシリンジ型カートリッジに充填し,野菜抽出液中からのアセフェートの固相抽出により,その機能を評価した.野菜抽出液中のアセフェートは定量的にRP-SAXに吸着し,50% (v/v) メタノールで調製した 30 mmol/L リン酸三ナトリウム溶液 3 mL で溶出された.その溶出液をHPLC分析した.アセフェートの検出は紫外可視光検出器で行った.アセフェートは 5 mg/L となるように野菜抽出液に添加した.測定の結果,野菜抽出液中からのアセフェート回収率は77~100% であった.
著者
吉井 公彦 外海 泰秀 津村 ゆかり 中村 優美子 柴田 正
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.184-191_1, 1998
被引用文献数
11

穀類に使用される農薬15種を超臨界流体抽出 (SFE) で抽出後, Extrelut<sup>&reg;</sup>+Sep-Pak<sup>&reg;</sup> C<sub>18</sub>で脱脂し, Sep-Pak<sup>&reg;</sup> フロリジルでクリーアップし, HPLCで測定する一斉分析法を作製し, SFE装置からの抽出物を Extrelut<sup>&reg;</sup> で補集する方法を考案した. また脂肪の抽出率からSFEの有用性を明らかにした. また脂質を多量に含むとうもろこしなどの試料は, ゲル浸透クロマトグラフィーを併用するのが有効であった. クリーンアップに Sep-Pak<sup>&reg;</sup> フロリジルを使用し, 各種農薬を3画分に分けて溶出することにより, 検体からの農薬の検出を容易にした. また, GCでの測定の必要性が生じることも考慮して, 最終溶媒をイソプロパノールで調製した.
著者
多田 敦子 増田 愛乃 杉本 直樹 山形 一雄 山崎 壮 棚元 憲一
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.179-185, 2007
被引用文献数
9

天然由来のエステル系ガムベース10品目(ウルシロウ,カルナウバロウ,カンデリラロウ,コメヌカロウ,シェラックロウ,ホホバロウ,ミツロウ,モクロウ,モンタンロウおよびラノリン)の成分分析を行い,含有成分組成の差異を比較検討した.TLC分析の結果,含有脂質成分組成の概要が把握でき,いくつかの品目では,その特徴的なTLCパターンにより,他品目との区別が可能であった.しかし,TLCパターンの類似した品目間では相互の区別ができなかったため,さらに,GC/MSにより構成脂肪酸およびアルコールを分析した.その結果,構成脂肪酸およびアルコールの種類やピーク強度比が品目ごとに特徴的であり,TLCパターンが似ている品目同士も,脂肪酸組成分析とアルコール組成分析を組み合わせることで,相互に区別できることが示唆された.今回得られた結果は,エステル系ガムベース製品の種類の推定・判別を行う上で有用な情報であると考えられる.
著者
根本 了 清水 亮子 木川 寛 佐々木 久美子 斎藤 行生
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.233-243_1, 1995
被引用文献数
4

ホキシムはGC測定で熱に不安定なことから, 測定に適した注入口温度及びカラム温度について検討した. ホキシムの日常分析法として, 内径0.53mmのキャピラリーカラムを使用したGC-FPD測定による迅速な分析方法を作成するとともに, 妨害成分の影響によりGC-FPD測定が困難な場合には, GC/MS (SIM) 測定により定量する方法を設定した. 農産物に残留基準値濃度のホキシムを添加した場合の回収率は75.3~95.1%であった. また, マススペクトルを測定するのが困難な農産物中の低濃度のホキシムの確認法として, GC/MS (SIM) 測定によるフラグメントイオンの相対強度比を用いた方法について検討したところその有用性が示唆された.
著者
安井 明美
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.191-197, 2009
被引用文献数
3

判別技術は、JAS法の改正によるすべての生鮮食品の原産地の表示義務化や加工品への適用範囲の拡大に対応した表示内容の科学的検証、種苗法改正による育成権者の保護の強化と育成者権の効力の加工品への拡大や関税定率法の改正による「育成者権を侵害する物品を輸入禁制品に追加し、輸入差止申立て制度の対象とすること」などへの対応のために必要であり、品種、産地、生産履歴、遺伝子組換え、放射線照射などについての研究が行われている。農林水産省のプロジェクト「食品、農産物の表示の信頼牲確保と機能性解析のための基盤技術の開発(旧、安全で信頼性、機能性が高い食品・農産物供給のための評価・管理技術の開発)」(平成18〜22年度)でも研究が行われ、「食品表示の信頼性を確保するため、原産地、生産履歴情報、品種・系統等の高度偽装防止技術システムを構築する」ことが目標の1つとなっている。その柱の1つが産地判別技術の確立である。原産地の表示では、国産品では都道府県名を、輸入品では国名を記載する。農産物等の産地を科学的に確認するための技術開発は海外では以前より行われているが、国内では、農水省の特別研究「穀粒の一粒判別技術の開発」において、玄米の無機元素組成あるいは同位体比による産地判別技術の検討が行われたことをきっかけに、各種の農水産物にこれらの手法が適用されるようになっている。
著者
丸山 卓郎 川原 信夫 吹春 俊光 横山 和正 牧野 由紀子 合田 幸広
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.49-54, 2005
被引用文献数
1 4

2002年6月よりサイロシン類含有キノコが麻薬原料植物に指定されたことから,これに代わり,ベニテングタケ (<i>Amanita muscaria</i>) が,さまざまな形態で販売されている.本研究では,DNA分析および成分分析により,これらベニテングタケ関連商品の実態調査を行った.DNA分析の結果,上記商品の基原種は,<i>A. muscaria</i> あるいはその変種であると推定された.また,これらは,3つの遺伝子型に分類され,その多くが海外産であると思われた.一方,LC/MS分析により添加物質としてハルミン類およびトリプタミン類がそれぞれ2種,検出された.このうち,ハルミン類含有商品からは,ハルマラ (<i>Peganum harmala</i>)のmatK遺伝子が検出され,これらの商品中のハルミン類が,ハルマラ組織に由来することが明らかとなった.
著者
穐山 浩 坂田 こずえ SPIEGELHALTER Frank 古井 聡 中島 安基江 橘田 和美 手島 玲子
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.65-70, 2010
被引用文献数
5

リアルタイムPCRを用いた未承認遺伝子組換えトウモロコシDAS59132系統(E32)の検知法を8機関によるバリデーション試験により評価した.試験試料は0%,0.05%,0.1%の3濃度粉末試料と0.01% の抽出DNA溶液試料で,各濃度試料を2点並行により併行再現性や室間再現性などを評価した.トウモロコシ内在性遺伝子の検出試験ではすべての試料において良好な増幅曲線が得られ,陽性と判定された.E32検出用試験では,すべての 0% 試験試料と1機関において 0.01% 試験試料2点の内1試料で2反応並行の1反応が陰性であった以外は,良好な増幅曲線が得られ陽性と判定された.検出限界は約0.01%と判断された.本研究により,E32の検知法の妥当性が確認された.
著者
長谷川 ゆかり 中村 優美子 外海 泰秀 大島 辰之 伊藤 誉志男
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.261-265, 1990-06-05 (Released:2010-03-01)
参考文献数
9
被引用文献数
7 8

The antimicrobial and preservative effects of sodium chlorite on fish and vegetable were compared with those of sodium hypochlorite. Raw whole sardine, sliced mackerel or shredded cabbage were soaked in solutions of sodium chlorite or sodium hypochlorite at 5°C for 1 hour, and then stored for 1 or 2 weeks at 5°C. Then bacterial counts for all samples and K values of fish were determined. Browning of cabbage was observed continuously.The antimicrobial effect of sodium chlorite was as strong as that of sodium hypochlorite for fish. The two compounds were not effective to keep fish fresh (checked by K value), but sodium chlorite suppressed the growth of bacteria on vegetable better than sodium hypochlorite did, and it also protected cabbage from browning very effectively.
著者
今井 美紗子 髙木 伸浩 吉﨑 麻友子 細貝 恵深 小林 ゆかり
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.1-6, 2019-02-25 (Released:2019-02-28)
参考文献数
10
被引用文献数
3

LC-MS/MSによる農産物中のフルフェナセットおよびその代謝物である[(4-フルオロフェニル)(1-メチルエチル)アミノ]オキソ酢酸ならびに [N-(4-フルオロフェニル)-N-(1-メチルエチル)アセトアミド]-2-スルフィニル酢酸の同時分析法を検討した.試料の抽出にはメタノールを用い,Bond Elut C18およびInertSep GC/PSAで精製しLC-MS/MSを用いて測定した.本法による小麦,大豆,ばれいしょおよびトマトを用いた添加回収試験(添加濃度;残留基準値濃度および0.01 μg/g)では,各化合物の平均回収率は70.6~97.0%,相対標準偏差は5%未満と良好な結果が得られた.また,0.01 μg/g添加試料の試験溶液における各化合物のピークのS/N比は25以上あり,この濃度を定量下限として設定することが可能であった.
著者
武森 真由美 坂牧 成恵 貞升 友紀 植松 洋子 門間 公夫 新藤 哲也 小林 千種
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.99-105, 2018
被引用文献数
1

<p>HPLCおよびLC-MS/MSを用いた食品中のエリスリトール,マルチトール,ラクチトールおよびトレハロースの分析法を開発した.HPLC分析では,アミノ基結合型ポリマーカラムを用い,カラム温度を室温とすることで定量することが可能になった.LC-MS/MSでは,SRMモードにより定量・確認を行うことができた.また,試験溶液を1,000倍以上に希釈することで,試料由来のマトリックスによる影響を抑えられた.紅茶飲料,ゼリー,ラムネ菓子およびチョコレートを用いた添加回収試験の結果,回収率はいずれもHPLCで90%以上(CV≦6.1%),LC-MS/MSで94%以上(CV≦4.8%)であった.クッキーについては,まず水で抽出してからエタノールを加えることで,HPLCで回収率83%以上(CV≦4.1%),LC-MS/MSで回収率90%以上(CV≦3.0%)と良好な結果が得られた.</p>
著者
小田 真悠子 宗村 佳子 永野 美由紀 木本 佳那 奥津 雄太 新開 敬行 貞升 健志
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.257-264, 2018-12-25 (Released:2019-01-09)
参考文献数
28
被引用文献数
2

A型肝炎は潜伏期間が約1か月と長く,聞き取りによる感染源調査が困難な場合が多い.感染経路の解明や広域集団発生の確認を行うためには,患者検体から検出されたウイルス株の分子疫学的解析が有用であるとされている.そこで2016~2017年に都内で積極的疫学調査として発生届が提出された患者検体108例について遺伝子検査を実施し,HAV陽性となったものについて分子疫学的解析を実施した.99例からHAV遺伝子が検出され,遺伝子型の内訳は,IAが91例,IBが2例,IIIAが6例であった.また,系統樹解析から,最も多く検出されたIAは4つの大きな系統に分類され(IA-1,IA-2,IA-3,IA-4),各患者にはそれぞれに特徴的な疫学的背景が認められた.今回の解析で得られたHAVのシークエンスデータおよびそれらが検出された患者の疫学的背景に関する情報は,今後新たにA型肝炎患者が発生した場合の感染源や感染経路を推定するための科学的根拠として活用できると考えられた.
著者
山内 啓正 原田 雅己 但馬 良一
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.265-268, 2018-12-25 (Released:2019-01-09)
参考文献数
7

ミトコンドリア遺伝子ND5の多型を利用して,昆虫をその主要な5つの分類学上の目(双翅目,膜翅目,半翅目,鞘翅目,鱗翅目)のレベルで識別する方法を開発した.すなわち,複数の種のDNA塩基配列を決定し,それぞれの目に特徴的な塩基を19塩基以上見いだした結果,従来技術より正確にまた簡易に,目のレベルでの識別を行えることが分かった.
著者
井部 明広 西島 基弘 斉藤 和夫 安田 和男 上村 尚 永山 敏廣 牛山 博文 直井 家壽太 二島 太一郎
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.334-341_1, 1984
被引用文献数
6

食品中のオクラトキシン (OCT) A及びBの分析法を検討した. 試料からメタノール-1%炭酸水素ナトリウム溶液 (1:1) で抽出後, エーテルに転溶した. 抽出物は15%含水シリカゲルカラムでクリーンアップ後, カラムに Finepak SILC<sub>18</sub>, 移動相にアセトニトリル-0.1%リン酸 (50:50), 検出器に蛍光を用いた高速液体クロマトクフフィー (HPLC) で測定した. 添加回収率は20,100ppb添加で87-101%であり, 定量限界は試料あたり約2.5ppbであつた. また, 確認法としてメタノール-硫酸によりOCTのメチルエステル誘導体を作製し, HPLCにより確認を行った. 本法を用い市販品171検体に適用したところ, らい麦粉15検体からOCTAをTrace-20ppbの範囲で検出した.
著者
高橋 知之
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.97-101, 2013
被引用文献数
2

2011年3月11日に発生した東日本大震災に起因する東京電力(株)福島第一原子力発電所の事故(以下「東電福島原発事故」という)により,大量の放射性核種が大気および海洋に放出された。この事故により,避難区域が事故直後から段階的に拡大され,最終的に発電所サイトから20km圏内が避難区域に設定された。また,20km以遠においても,事故発生後1年間の被ばく線量が20mSvを超えると予想される地域が「計画的避難区域」に設定され,区域外に避難することとされた。これらの区域は現在「避難指示解除準備区域」「居住制限区域」「帰還困難区域」への再編が進められており,事故から約2年経過した現時点においても,多くの方々が避難生活を余儀なくされている。
著者
田端 節子 飯田 憲司 木村 圭介 岩崎 由美子 中里 光男 鎌田 国広 広門 雅子
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.111-115, 2008-04-25
参考文献数
12
被引用文献数
1 19

HPLCおよびLC/MS/MSを使用した同時分析法により,市販食品中のオクラトキシン(OT) A, Bおよびシトリニン(CIT)の低濃度(0.1 &mu;g/kg)までの汚染実態調査を行った.また,一部の試料についてはアフラトキシン(AF)などのカビ毒についても調査を行った.その結果,157試料中,国産表示の2試料を含む44試料から0.11~4.0 &mu;g/kgのOTAが検出され,カカオパウダー,インスタントコーヒーなどで検出率が高かった.OTBは,OTA含量が比較的高い試料から0.10~1.8 &mu;g/kg検出された.また,穀類でOTAとCITおよびデオキシニバレノール,カカオでOTAとAFとの複合汚染が認められた.コーヒー豆中のOTAは約30%が抽出液に移行した.