著者
白井 洋輔 柳村 舞衣 篠崎 隆宏 堀内 靖雄 黒岩 眞吾 遠藤 俊樹 宇都宮 栄二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.475, pp.245-250, 2013-03-11

リアルタイム映像配信における字幕提示において,字幕情報の遅延や欠落は大きな問題である.この問題に対し,音声と字幕の同期と字幕の要約が有効であると考えられるが,一般的な映像での検証はほとんどなされていない.そこで本研究では(1)字幕提示のタイミングを変化させた場合の了解度実験(2)音声に忠実な字幕文(全文字幕)と音声を要約した字幕文(要約字幕)での了解度実験と主観評価実験を行った.結果として字幕提示のタイミングは音声と同期させた場合の了解度が最も高くなった.全文字幕と要約字幕では了解度において有意差は見られなかったが,ろう者に対しては要約字幕の方が了解度が高い傾向が示された.また,主観評価では要約字幕の評価が高くなり,字幕を要約することの有効性が示された.
著者
飯塚 宏之 江連 裕一郎 伊藤 哲也 長谷川 淳 板谷 聡子 長谷川 晃朗 デイビス ピーター
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.86, pp.49-52, 2005-05-19
参考文献数
9
被引用文献数
1

屋内テストベットにおいて, 無線マルチホップネットワークを構成し, TCP上で動作するFTPと, UDP上で動作するTFTPの2つのファイル転送プロトコルを使用し, 性能比較実験を行った.その結果, FTPを使用した場合, 端末間で激しい無線帯域争奪が行われ, 不安定な経路を持つ端末が安定な経路を持つ端末のファイル転送の終了を待たなければならないという不公平性が発生し, 端末間にスループットの格差が見られた.一方で, TFTPによるファイル転送はFTPより転送速度は遅いが, 無線マルチホップ環境ではFTPに比べて安定したデータ転送レートを維持することができ, 公平であることがわかった.
著者
山中 芳 降旗 建治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.255, pp.61-66, 2008-10-16
参考文献数
11

金管楽器は発振部(演奏者の唇),マウスピース及び共鳴部(ホーン)からなる.トランペットのマウスピースは,体積が1.2ml,スロートの直径が4.2mm,及び長さが11.0mmであり,それ自身の共振周波数をもっており,およそ800Hzに共鳴(F1)が現れる.この周波数はポッピング周波数として知られている.トランペット音の音色は,このポッピング周波数が重要な物理的要因であると考えられる.本論文では,プロを含む経験年数が異なる演奏者によってこのポッピング周波数がどのように変化しているかを実験的に検討した.具体的なポッピング周波数解析法は,線形予測(LPC)分析によりポッピング周波数(F1,F2,F3)を推定し,各周波数に中心周波数をチューニングした臨界帯域幅バンドパスフィルタ(CBPF)出力のゼロ交差信号から「周波数と振幅」を抽出した。ここでは,その抽出結果から心理的な「音の高さ(mel尺度)と音の大きさ(sone尺度)」に変換し,新たなロジスティック聴覚モデル(mel尺度に対するloudness尺度値の累積確率分布)を構築し,上記比較検討を行った.
著者
橋本 賢一郎 遠峰 隆史 関谷 勇司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.236, pp.51-56, 2014-10-07

社会活動や日常生活のうち,インターネットを用いた活動の比重が高くなってきている.それに伴い,これまでの国家間のサイバー戦争だけでなく,インターネットに接続された機器や個人情報,知的財産を狙った被害が増加し対策が急務となっている.本論文では,Interop Tokyo 2014にて構築したShowNetを事例として,昨今のサイバーセキュリティに関する脅威の手法と,それに対抗するための技術,それらを組み合わせた防御システムの構築方法について考察する.また,ShowNetでのセキュリティ対策を通じて得られたデータから,標的型攻撃の存在や未知のマルウェアの侵入,更にはIPv6による攻撃も開始されていることがわかった.短期間の展示会のために構築されたネットワークへの脅威から,日常的に利用されるネットワークへの脅威を推察し,今後の攻撃の傾向と,サイバーセキュリティにとって重要と思われる防御方法に関して考察する.
著者
三上 雄一郎 牧方 康裕 北脇 信彦 山田 武志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.121, pp.49-54, 2009-07-02
参考文献数
7

全IP(Internet Protocol)技術を特徴の一つとする次世代ネットワーク(NGN:Next Generation Network)における音サービスの主たる品質要因は,時間連続的な符号化ひずみ,時間離散的なパケット損ひずみ,及び信号の周波数帯域制限ひずみである.筆者らは,これまで楽音信号に対して,連続ひずみ,離散ひずみ,帯域制限ひずみを考慮した客観品質評価法を検討してきた.本稿では,同じ構造の客観品質推定尺度を用いて,音声信号の客観品質推定について検討し,楽音と音声の双方に適用できる客観品質評価尺度の開発を目指す.
著者
飯塚 宏之 江連 裕一郎 松本 晃 伊藤 哲也 長谷川 淳 板谷 聡子 長谷川 晃朗 デイビス ピーター
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.405, pp.83-86, 2005-11-10
参考文献数
5
被引用文献数
8

無線通信端末だけで無線マルチホップネットワークを構成した場合と, 無線通信端末をアクセスポイントに収容しアクセスポイント間通信に無線マルチホップネットワークを利用し階層化した場合について, FTPとTFTPのスループットとその時間変動に注目し, 屋内テストベッドにて実験を行った.その結果, 無線通信端末だけで構成する場合には各クライアントでのスループットにばらつきがあること, アクセスポイントで階層化するとそのばらつきが抑制されること, および, アクセスポイント間の経路が不安定になることが確認された.これらの現象とその解析結果, および, 無線マルチホップネットワーク上のアプリケーションに与える影響について報告する.
著者
山下 泰樹 松本 弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.270, pp.15-22, 2001-08-23
参考文献数
12

声質を表す8対の評価語による音声の主観評価値と, それら音声の各種音響パラメータとの間の関係を重回帰分析等を通して検討した.音声データは男女各50名中から選定した男声20名女声19名で, 被験者は大学生22名である.検討の結果, (1)主観評価の結果から, 評価語はほぼ2グループに分かれること, (2)"張り"を含むグループは, 中域の周波数パワーが大きいこと, (3)"太い"を含むグループではF0が主要な要因であること, (4)動的個人生を表す"落着き"は, モーラ当りのF0の偏差と高い相関があること, (5)動的個人生を表す"歯切れ"は, 母音の広がりやホルマントの遷移の度合いに違いが見られること, が分かった.
著者
金子 雅志 入江 道生 四七 秀貴 飯尾 政美
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.448, pp.321-324, 2010-02-25
参考文献数
3
被引用文献数
1

データ通信と音声通信を統合したIPネットワークである次世代ネットワーク(NGN:Next Generation Network)では、多様なサービスの登場が期待されている。NGNのサービスを実装するアプリケーションサーバの開発において、開発効率の向上を目的としてJavaを採用する動向がある。一方で、高信頼・高品質な通信サービスの提供が求められる通信事業者向けサーバにおいては、ガベージコレクションに伴う停止時間が招くリアルタイム性への影響が懸念される。近年、ガベージコレクションの停止時間を改良したリアルタイムGC等の技術によってリアルタイム処理性能についての改善が見られるが、フルGCの発生確率を完全に無くすことはできないため、十分な解決策とはなっていない。本稿では、ガベージコレクションによるリアルタイム処理性能への影響を低減させる方式について、ロードバランサと連携する方式と、ネイティブコードを利用する方式を提案する。そして、後者の方式の有効性を示すため、応答時間の改善効果と処理に必要なオーバーヘッドを試作によって実機評価した結果を示す。
著者
井手上 慶 里見 優樹 津邑 公暁 松尾 啓志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.169, pp.19-24, 2013-08-01

スマートフォンなどの普及に伴い,ガベージコレクション(GC)の性能が与える影響範囲が拡大している.一方, GCは主にアルゴリズム面で改良がなされてきたが, GC実行時のレスポンス低下など,重要な問題の根本的解決には未だ至っていない.そこで本稿では,多くのGCアルゴリズムがコールスタックを起点としてオブジェクトを探索する点に着目し,これを高速化するハードウェア支援手法を提案する.オブジェクトを探索する際には,コールスタック上の値からポインタを判別する必要がある.そこで,コールスタック上の全てのポインタを管理する専用の表を用いることで,従来のポインタ判別コストを削減しGCの高速化を実現する.シミュレーションによる評価の結果,提案手法がGCの高速化につながることを確認した.
著者
荒川 文男 小沢 基一 西井 修 服部 俊洋 吉永 健 林 伴一 清重 賢一 岡田 崇 西堀 雅和 児玉 征之 亀井 達也 石川 誠 入田 隆宏 新田 祐介 平岡 徹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.67, pp.13-18, 2004-05-14
参考文献数
12

SuperHアーキテクチャの組込みプロセッサコアを130 nm CMOS プロセスで開発した.ワースト条件で400MHz動作し, 250mWで720MIPSのドライストーン性能, 2.8GFLOPSの浮動小数点ピーク性能,及び36Mポリゴン/秒の基本グラフィクス性能を達成した.プロセッサコアは2命令同時発行の7段パイプライン構成で,前世代の5段パイプライン構成の約1.5倍の動作周波数を達成しながら,前世代と同等の方式性能1.8MIPS/MHzを達成した.また,様々なアプリケーションの幅広い要求に応えることができる柔軟性を持ち,特に携帯電話,デジタルカメラ,カーナビゲーションシステム等のデジタル家電に適している.
著者
足澤 憲 澤本 潤 杉野 栄二 瀬川 典久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LOIS, ライフインテリジェンスとオフィス情報システム = IEICE technical report. LOIS, Life intelligence and office information systems (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.470, pp.115-120, 2012-03-01
参考文献数
6

携帯電話はもともと移動中に通話ができるように開発されたものであるが,現在は通話機能よりもメール機能のほうがより多く使われており,それに伴い日本語入力システムの重要性が高まった.本研究の目的は,携帯端末から取得した位置情報から,現在地で良く入力される文字を変換候補・予測変換候補の上位に表示させ,入力効率を向上させることである.また,膨大な位置情報と入力単語の関係性のデータを効率良く管理し,読み込む辞書を絞ることで,読み込むデータの肥大化を防止する.
著者
伊藤 竜次 澤原 裕一 石崎 俊雄 粟井 郁雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.10, pp.85-90, 2014-04-17

結合共振器型WPTシステムの伝送効率、入力インピーダンス、共振器の無負荷Qなどの基本量には複数の測定法が存在する。ところが異なる方法による測定結果は往々にして異なった値をもたらす。それらの原因を究明することを通じて当システムの物理をより明確に理解するとともに、新しい展開の芽を探索する。
著者
小林 哲生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.625, pp.71-76, 2003-01-27
参考文献数
32
被引用文献数
1

両眼視野闘争とは、物理的には左右の網膜上に視覚刺激が与えられ続けているにも関わらず、競合する視覚刺激が交互に知覚され、一方の刺激が知覚されている時、他方の刺激が意識にのぼらないという視知覚現象であり、視覚的意識の脳内機構を実験的に調べる上で、主観的体験を定量的に観測できる稀少な現象であるとして重要性が再認識されるようになってきた。ここ数年、特に機能的MRIや脳磁図、事象関連電位といった脳機能イメージング研究により、その機構解明の手がかりとなる重要な結果が報告されるようになってきており、視野闘争には、一次視覚野のみでなく、高次視覚野、頭頂連合野、前頭連合野といった複数の部位が関わっており、相互に結合している機能領域間の情報統合プロセスの結果生ずるらしいことが明らかになってきている。
著者
シン キユン 小田 恭弘 古野 辰男 丸山 珠美 大矢 智之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.251, pp.169-174, 2010-10-20
参考文献数
8
被引用文献数
1

MIMO伝送方式は複数ストリームの並列伝送が可能な方式として,周波数利用効率が高い無線通信方式として注目されてきた.しかし,見通し伝搬路では,直接波が支配的になり,MIMO信号の分離が困難になる.そのため,見通し伝搬路におけるMIMO(見通しMIMO)は,チャネル容量が著しく低下することが知られている.本報告では,電波を反射する反射板を見通し伝搬路上に設置することによって,見通しMIMOのチャネル容量改善効果に関して検討した.完全見通し伝搬路における2×2MIMOの固有値解析などによって,反射板の効果を明らかにし,計算機シミュレーションによってチャネル容量が増加することを示す.

1 0 0 0 Y-00 is Broken

著者
太田 昌孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PN, フォトニックネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.84, pp.67-68, 2008-06-05

量子暗号系Y-00は、共有秘密鍵により生成された擬似乱数と信号ビットに基づく位相角(偏光角)を持つ中規模の数の光子を使う。角度の量子論的不確定性により擬似乱数の値を知らない者にとっては信号ビットそのものの復元は難しい。しかし、不確定性を含んだ角度の測定でも擬似乱数の情報が大幅に漏れるため、プライバシー増幅が行えない。つまり、Y-00は破綻している。
著者
布川 博士 鈴木 秀顕 佐藤 究 小笠原 直人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.355, pp.79-84, 2013-12-14

電子メディアの一つである電子メールは長い歴史があり普及度も非常に高い.電子メールは社会の情報化のなかで必要欠くべからものとなっている.そのため,大学においても情報リテラシーの一つとして電子メールに関する教育を必修の授業として行っていることが多い.電子メールに関する教育を設計し実施するためには受講生のこれまでの経緯と現状を把握することが必要である.本稿ではその把握を目的に実施したアンケート調査の結果とその考察について報告する.
著者
北岡 教英 新宮 将久 中川 聖一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.94, pp.43-48, 2003-05-30
参考文献数
9
被引用文献数
1

人間の音響的知覚能力と,局所的なコンテキストを教示して音声を聞かせることで音響モデルとN-gram言語モデルによる音声認識をシミュレーションし,実際の音声認識システムと比較して各モデルの能力について検討を行った.人間の知覚実験ではコンテキストが与えられない場合に短い単語の知覚が難しいが,前2単語程度のコンテキストで短い単語の聴取は改善される.これは,助詞などが多い短い単語のパープレキシティが,言語モデルを用いることで小さくなることに対応する.また,コンテキスト情報のみからの単語予測能力もパープレキシティと強い相関がある.一方,前後2単語のコンテキストを与えると予測能力はさらに向上するが,必ずしも聴取能力の向上につながらない.同様の認識を音声認識システムでも行った.ユニグラム言語モデルと音響モデルによる認識は,人間のコンテキストなしの聴取に遠く及ばないが,トライグラム言語モデルの予測能力は人間と同等以上である.一方で人間でさらに予測能力が向上するコンテキストを与えても知覚能力は向上しないことから単語予測能力の高い言語モデルが認識の向上につながることは考えにくい.すなわち,講演音声などの自由発話認識に対しては,トライグラムによる言語のモデル化は十分でありかつこれ以上の改善による認識率向上は難しい一方で,音響モデルはまだ大きく改善すべきであると考えられる.