著者
佐藤 真理子 趙 羅衡 田村 照子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2014

目的 民族衣装には,気候・風土に適応可能な素材の選択,姿勢・動作を含む生活様式を反映したデザインの工夫等,長い年月にわたり積み重ねられてきた知恵が詰まっている.本研究では,アジアにおける民族服の下衣に着目し,素材とデザインが温熱的快適性,運動機能性へ及ぼす影響について検討を行った.<br>方法 被験者は23&plusmn;1歳の若年女性5名,実験衣はシャルワール(インド),バジ(韓国),ストレートパンツ(現代服)の3種である.運動機能性評価としては,同一素材で製作した実験衣を着用し,9種の動作時(立位,椅座,正座,胡坐,立膝,横座り,体育座り,日本のお辞儀,韓国のお辞儀)における衣服圧測定と官能評価,温熱的快適性評価としては,各市販品(ポリエステル100%・重量約200gで統一.インド,韓国,東京で購入)による物性試験と衣服気候計測(27℃・50%RH環境下で立位安静&rarr;足踏み運動&rarr;座位安静)を行った.<br>結果 シャルワールは,通気性と透湿性に優れ,接触冷温感が高く,暑熱気候への適応性が示された.バジは,接触冷温感が低く,衣服内温度は高く,防寒機能に優れていると考えられる.現代服は,正座,胡坐,立膝,日本と韓国のお辞儀において,高い衣服圧を示し,床に座っての姿勢や動作の多い&ldquo;伝統的所作&rdquo;に適さない様子が明らかとなった.
著者
好田 由佳 矢澤 郁美 香山 喜彦
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.60, 2018

<b>目的</b><br> 実践的授業の一環として,ゲームプログラミングを取り入れたゲーム融合型のファッションショーを提案する.従来のファッションを「見(魅)せる」から,デジタルファッションを「楽しむ」コンセプトに拡張する.<br><b>方法</b><br> ハードウェアは,グラフィック機能を強化したWindows PCと,舞台の背景全体に高輝度で映写するために5000ルーメンの明るさを持つプロジェクターを利用した.最大の特徴であるゲームとファッションショーの融合にはマイクロソフトのKinect を用いた.<br><b>結果</b> <br> ゲームプログラミングを活用して自由な背景設定ができることにより,衣装や音楽だけでは表現できないゲーム感覚を味わう楽しさを付与することができ,背景スクリーンに拡大映写することで,客席からも衣装の詳細を確認できる.<br> 結果として,拡張現実によりモデルがスクリーン上で衣装替えをするというゲーム性を付与したことで演出効果を高め,新しい形態のファッションショーを提案することができた.また,kinectは,体感型ゲームに用いるゲームシステムとして開発されたが,人体のジェスチャーを認識する特性を応用して,服飾研究の分野に活用することの可能性を示唆できた.
著者
渡瀬 典子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<目的>近代の女子教育では「裁縫」に多くの時間が割かれ、余暇活動としてこれらの行為を行うことも奨励された。「社会生活基本調査」によれば「趣味・娯楽」として「編物・手芸」をする女性は32.4%(昭和61年)&rarr;19.3%(平成23年)、「和裁・洋裁」は28.7%&rarr;12.1%と減少している。しかし、昭和51年の同調査で「和裁・洋裁・手芸」を余暇活動に挙げた女性が9.0%だったことを考慮すると、バブル期前後にこれら行為を「余暇活動」として日常生活で楽しむ状況が生まれたと考えられる。本報告はNHK「婦人百科」(現在は「すてきにハンドメイド」)に焦点を当て、バブル期前後にあたる10年間に取り上げられたテーマと記事に付されたキャプションに注目し、「手芸」の意味付けについて考察する。「婦人百科」を分析対象としたのは80年以上に渡り手づくりに関する情報を提供してきたからである。<方法>「婦人百科」[No.241~336:1985年4月~1993年3月],「おしゃれ工房」[No.337~372:1993年4月~1996年3月]の記事にある「和裁・洋裁・手芸」のテーマ、各テーマについて付されたキャプションの内容分析を行った。<結果>「家族」のためだけではなく「自分」のため、「社会」のための手づくりという視点が見える。また、工程が複雑、高度な技術が必要な時間がかかる作品から「手軽に」作ることができるものへと変化している。
著者
須田 理恵 田村 照子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, pp.165, 2007

<BR><B>目的</B> 2005年の京都議定書発効に端を発した環境省によるクールビズ・ウォームビズの呼びかけに対して,夏はより涼しく冬はより暖かい肌着の開発が進められている。本研究では近年の開発肌着について,素材の物性と肌触りの関係,およびこれに及ぼす環境温度条件の影響を検討した。<BR><B>方法</B> 対象肌着は,試料提供企業が2005年度市販用に開発した10種の素材を用いた同一サイズ・同一パターンのU首半袖シャツで,素材特性としては基本特性のほか,熱・水分特性(乾・湿時熱損失値,熱伝導率,熱コンダクタンス,接触冷温感,保温性,透湿性,吸湿性,吸水性)並びに力学特性(剛軟性,引っ張り,曲げ,せん断,表面摩擦,表面粗さ,圧縮特性)を測定した。肌触りについては,手触りと着用感を,環境温度22℃,28℃,34℃,いずれも湿度50%一定の条件下で,SD法を用いて評価した。被験者はMサイズ着用可能な女子学生16名である。<BR><B>結果</B> 手触りにおける快適感は,いずれの温度条件においても,共通して滑らかさ・柔らかさ・べたつき感という布地の表面的な風合いを示す官能量が高い相関を示し,物性値としては通気性,コース方向における表面粗さ変動(SMD)の寄与が大きいことが示された。一方,着用感における快適感については,環境温度の関与が見られ,22℃では,しなやかさ,28℃ではこれにゆるみ感が加わり,34℃では,さらに清涼感が加わることが示された。また,着用感と素材物性間の重回帰分析によると,22℃では,表面粗さと摩擦,28℃では,吸湿性が加わり,34℃では,引張り・圧縮などの力学特性の関与が認められた。
著者
大西 友恵 谷村 千絵
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<b>目的 </b> 「関口富左『家政哲学』の再考-クリティカル・リアリズムの視点から-」(於第61回日本家政学会中国・四国地区支部研究発表会2014年10月)では,1970年代に関口が提示した「家政哲学」を再考し,関口がとらえようとしていた家政学は多様性に対応すること,現実から作り出すことを重視するものであることを明らかにした.関口はドイツの教育哲学者O.F.ボルノーの哲学に依拠していたが,現代においてこれを補う視点として,クリティカル・リアリズム(以下CR)という新たなアプローチを用いることを提案した.本発表では,三者の違いをさらに考察し,家政学とは何かという問いに対する,現代における回答を試みる.<b><br> 方法 </b> 関口富左の「家政哲学」,ボルノー哲学,CRの三考に関わる諸文献をもとに考察する.<b><br> 結果 </b> 関口の批判した科学は,人間の日常における現実から切り離された形式的な科学である.人間存在を重く見た関口は,ボルノー哲学にその可能性を見たが,ボルノー自身は科学について多くを言及していない.他方,CRを教育に援用しているR.オドノヒューによれば,CRはReal,Actual,Empiricalの現実の三つのドメインを想定し,それらを繋げる社会的活動を科学としている.CRの視点を家政学に取り入れることで,主体的に思考する力,即ち,知の創造を育むことが可能になり,新しい家政学のありようを示すことが可能となると考える.
著者
佐藤 恵 田中 ゆかり 藤本 真奈美 鴫原 正世
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2012

<b>【目的】 </b>北海道は明治維新後の国策により、沖縄を除く日本各地からの移住者が入植し、この地を築いた開拓の歴史があり、その中から独自の文化が生まれた。食文化についても例外ではなく、各々出身地の伝統食を継承しつつ、そこに厳寒の地で生き抜くための工夫が施され、北海道独自のものへと変化していった。本研究は、北海道が発祥ともいわれ、道民に慣れ親しまれている郷土料理の一つ「甘納豆(金時豆等)入り赤飯」について、そのルーツを辿り、他都府県とは異なる&ldquo;北海道の赤飯文化&rdquo;を明らかにすることを目的とした。<br><b>【方法】 </b>2008年~2011年の入学生に対し、6月~8月に『赤飯アンケート調査』・『家庭での聞き取り調査』・『市場調査』を実施した。調査対象者は、本学学生、食物栄養科569名・保育科585名、合計1154名である。回答者のうち、北海道出身学生の回答を集計し、甘納豆入り赤飯の実態を調査した。<br><b>【結果】 </b>アンケート調査の結果、甘納豆入り赤飯の認知度は100%であったが、全国的に認知度が低いことを「知らなかった」「聞いたことがある・最近知った」と回答した学生が、全体で67%、多い年で74%であった。好きな赤飯の種類については、「甘納豆入り赤飯が好き」と回答した学生が全体で68%、多い年で76%、「小豆の赤飯が好き」と回答した学生が全体で9%、多い年で10%であった。また、市場調査の結果、北海道で販売されている赤飯は、年中行事に関係なくお弁当やおにぎりと常に同等に扱われ、販売店のもち米売り場では甘納豆と食紅が並べられている等、陳列方法も独特であった。これらのことから、道民には甘納豆入り赤飯が、北海道の赤飯として一般的であることが示唆された。
著者
辻 幸恵
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.69, 2017

<b>目的</b> 同じ年代の男子大学生が女子大学生たちの服装を見て、良いと感じるか否かは個人差があるとはいえ、一定の傾向があると考えた。そこでどのような装いに対して、男子大学生たちが女子大学生としてふさわしい服装であると評価しているのか、その基準を明らかにすることを目的とした。<br><b>分析</b> 関西圏に在住する共学の大学に通っている男子大学生100人を調査対象とし、主に質問紙を用いて調査を実施した。調査時期は2016年12月上旬から中旬とした。A4サイズの用紙に大学生としてふさわしいと思う装いを図示し、それらの解説を加筆してもらった。この回答をデータとした。各調査対象が描いた図から、季節、品目、色別に集計した。<br> <b>結果</b> ふさわしい服装として想起するのは春と秋の装いが約50%を占めた。アイテムではセーター、スカート、長いTシャツが上位を占め、色では上に着るものは、季節の差はなく白色が65%を占め、スカートやズボンでは紺と黒の合計が58%となった。<br><b>考察</b> 目の前の女子大学生の装いというよりもステレオタイプ的な装いを高く評価している傾向があった。これはあまり女子の装いを注視していないことが考えられる。また、奇抜な装いよりも定番なものを選んでいると考えられる。ジーパンや短パンなどは8%以下であり、評価が高いとはいえない。よって、現在の男子大学生たちの評価は、保守的な傾向があると考えられる。
著者
藤平 眞紀子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.61, pp.250, 2009

【目的】1961年にわが国初のニュータウンとして開発が始まった千里ニュータウンでは、1962年より入居が始まった。近年、居住者の高齢化が急速に進み、戸建て住宅の空き家化が進行してきている。本報では、ニュータウン周辺の集合住宅居住者を対象として、ニュータウン内の戸建て住宅への住み替えの可能性を探った。【方法】千里ニュータウン周辺の阪急宝塚線豊中駅、石橋駅から徒歩15分圏内の3LDK程度の家族向け集合住宅の居住者を対象として、住み替えに対する意識や考えについてアンケート調査を行った。有効回答数は79であった。【結果】回答者の平均年齢は50歳であり、住宅の平均延床面積は80m<SUP>2</SUP>であり、間取りは3LDKが多い。所有形態は分譲が75%、賃貸が20%であり、居住年数は平均7年であった。現在の住まいについて、通勤や通学、買い物などの利便性や手頃な広さや落ち着いた環境を評価している。住み替えへの関心は高くなく、近い将来住み替えを考えている世帯は3割程度であり、乳幼児や小学生の子どものいる世帯であった。住み替え先として現在と同じ生活圏で、床面積がやや広い分譲戸建て住宅への希望が高い。千里ニュータウンは巨大な、古い昔の住宅街と捉えられていて、あまり良いイメージを持たれていない。定期借家制度による戸建て住宅の期限付き賃借について利用希望は低く、子育て期の世帯でのみその可能性がみられた。しかし、ニュータウン内の戸建て住宅へというよりも庭付き戸建て住宅への住み替えという意識が強いことがわかった。ニュータウンへの魅力が低下している現在、若い世帯がニュータウン内の戸建て住宅へ住み替えるためには、子育て支援の充実や家賃面での検討が求められる。
著者
奥山 純子 青木 恵美 中山 徹
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.60, pp.275, 2008

【目的】多くの高齢者は介護が必要になっても、住み慣れた地域で暮らし続けることを望んでいる。そのためには、高齢者が居住する地域に、地域生活を可能とする介護サービス等の居住環境整備が必要である。しかし介護保険制度では、民間事業者の自由参入によりサービスの整備が進められてきたため、すべての地域に必要なサービスが整備されているとは限らない。住民の望むサービスを地域に整備するためには、行政の計画を民間主導で実現させるのではなく、地域住民の参加のもと整備を進める必要がある。しかし、これまでにそのような事例は数少ない。そこで本研究では、高齢者の地域生活を支える高齢者福祉施設を"住民参加"により計画・開設した事例に着目し、施設の開設過程や開設後の運営状況を把握することで、"住民参加"による高齢者福祉施設の"開設後の利点"や"開設過程での課題"について明らかにすることを目的とする。<BR>【方法】"住民参加"により計画・開設された高齢者福祉施設の代表者に聞き取り調査を実施した。調査対象は、介護保険給付の対象とされるサービスである7事業者と、地域の高齢者の介護予防・生活支援を目的として設置されたサービスである6事業者、調査時期は2007年2月から10月である。<BR>【結果】"住民参加"による施設開設の利点は、空白地に施設を設置できること、地域住民が施設計画に関わることで施設に対する意識が向上すること、介護保険の対象外である高齢者が利用できる施設を設置できること、介護保険以外にも多様なサービスを導入し利用者の要望に対応できること等が挙げられた。一方、施設開設の過程における問題点は、資金調達、用地・物件の確保、行政との協議の段階で多くみられた。
著者
孫 珠煕 中嶋 史央里
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.69, 2017

<br><br><b>目的</b> 温泉浴衣はTPOでみると、温泉宿で着る館内着であり、集団で着る制服でもある。晴れの場で着る浴衣に関する研究は多数あるが、温泉浴衣に関する研究は殆ど見当たらない。2020年は東京オリンピックが開かれ、温泉浴衣は若者や外国人に気軽に和文化体験できる機会となるのではないか。本研究では、好みの温泉浴衣の類型化にみる装い行動を明らかにする。<br><br><b>方法 </b>温泉宿で貸し出しサービスをしている温泉浴衣30種類を対象に、好きな浴衣を複数回答で選んでもらった。次に「好きな浴衣」の因子分析を行い、その因子得点を基にCluster分析を行った。「装い行動」測定尺度(38項目、6件法)は因子分析を行い、各Clusterにみる装い行動を可視化した。対象者は温泉宿利用客515名・若者375名の合計890名である。<br><br><b>結果 </b>女子好みの女性・男性浴衣、男子好みの男性・女性浴衣をポジショニングマップにより「現代的なー伝統的な」「はなやかな配色ー渋い配色」で可視化した。また、「好みの浴衣」は7因子、「浴衣の行動」は5因子が得られた。女子の「好きな浴衣」を基に5クラスターに類型化した。現代的なイメージを好む女子群(64.4%)は装い行動の「高揚感」「選べる浴衣」に因子得点が高く、肯定的であった。一方、伝統的で渋いイメージの浴衣を好む女子群(35.6%)は因子得点が低く、否定的な傾向が示唆された。(JSPS KAKENHI JP15K00749)
著者
大石 美佳 山下 美紀 正保 正惠 竹田 美知
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2014

<b>目的</b> 教育期から労働期への移行段階における若年女性の自立と家族資本との関連を明らかにすることを目的として、女子大学生を対象に質問紙調査を実施した。本報告では、女子大学生のキャリアデザインの実態を把握し、家族資本との関連を検討する。 <br><b>方法</b> 2012年11月~12月、女子大学の大学生を対象に「大学生の生活環境と将来設計についての調査」を実施した。配布数1209票、有効回答数は1097票である(回収率90.7%)。家族資本を経済的サポート(家計のゆとり)と情緒的サポート(家族からの理解)の二側面から、キャリアデザインを自立度、理想のライフコース、将来設計、就職先条件からとらえ、関連を検討した。<br><b>結果</b> 女子大学生の家族資本は経済的サポート、情緒的サポートともに高く、経済的サポートと情緒的サポートには高い相関がみられた。女子大学生の自立度は低く、約8割が経済的に自立していない、約6割が精神的に自立していないと自己評価した。理想のライフコースは「結婚出産で中断、再就職」、理想の夫婦の役割分担は「夫婦で仕事も家事育児も」がもっとも多かった。将来に向けて就職活動に25.8%、結婚活動(婚活)に8.4%、資格・技能の習得に51.3%が力をいれていると答えた。就職先として重視する条件は「福利厚生」「能力個性発揮」「給料」(上位3つ)であった。家族資本とキャリアデザインとの関連については、経済的サポート、情緒的サポートともに、理想のライフコース、将来設計、就職先条件とのあいだに関連がみられた。
著者
村上 陽子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.177, 2018-07-28

<b>【目的】</b> 豆類は,米と並ぶ五穀の一つである。我が国においては,豆の種類や用途に応じた伝統的な調理操作があり,郷土料理や和菓子など多岐にわたって利用されている。豆類は,大豆,落花生,雑豆類の3つに大別されるが,大豆以外の豆類は摂取量が低く,年々減少しているのが現状である。また,近年では、食の洋風化に伴う和食の喫食頻度の減少,および、中食・外食の発展による家庭での調理機会の減少が報告されている。そのため,家庭における調理技術は衰退の一途を辿っており,食文化継承において危惧すべき状況にあると考えられる。そこで,本研究では大学生を対象として豆類の認知度と食嗜好性について調査を行った。加えて,小豆あんに着目し,嗜好性を検討した。<br><b>【方法】</b> 大学生における豆類の認知度や学習経験,小豆あんの嗜好性を把握するためにアンケート調査を行った。対象は静岡大学教育学部学生309人とした。学校における学習状況については,小中高等学校の家庭科の教科書分析を行った。<br><b>【結果】</b> 20種類の豆類の認知度を検討した結果,小豆や大豆やいんげんなどの6種類の豆類は,名前の認知度や実物を見た経験,および,喫食経験が非常に高かった。一方,調理経験についてはいずれの豆類も著しく低く,喫食経験に比べて有意に低かった。小豆あんの嗜好性は高く,特にこしあんは粒あんよりも嗜好性が高かった。また,和菓子の種類によって,好まれるあんの種類に相違が見られた。
著者
峯木 真知子 棚橋 伸子 渡邊 康一
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.74, 2003

<b>「目的」</b>生クリームと卵黄を用いた「なめらか」・「とろける」プリンが高級化嗜好に伴い、好まれている。市販品6種のテクスチャーおよび組織構造の一部については、既に報告した<sup>1,2)</sup>。そこで、生クリームを用いたプリンを調製し、プリンにおける組織観察および物性測定を行い、生クリームの影響を検討する。<b>「方法」</b>プリンは、鶏卵および割卵して取り出した卵黄と、牛乳(全農協、成分無調整牛乳)・動物生クリーム(スジャータ純乳40)・植物生クリーム(スジャータホイップ、脂肪分45%)、上白糖で調製した。卵・卵黄1、乳・クリーム3、上白糖は0.6(全体の15%)の割合で混合し、オーブンで150℃、30分加熱した。組織試料は、室温に冷却後、プリン中央部から7?角を採取し、10%ホルマリン・カルシウム固定を行った。アラビアゴム・シュークロース液に置換後、コンパウンド液に入れ、ドライアイス・アセトンで凍結し、クリオスタット切片(10μ)にした。タンパク質・脂肪二重染色を行い、水溶性封入剤で封入後鏡検した。同時にパラフィン切片によるPAS染色も行った。破断試験測定は、1日冷蔵庫保存後、レオナーRE3305((株)山電)でプランジャーP-22型を用い、ロードセル2kgの条件で行った。赤外線水分計によるプリンの水分測定も行った。<b>「結果」</b>牛乳,動物および植物クリームによるプリンでは、オイルレッドOに赤く染まった脂肪滴の大小、分散状態に明瞭な違いがあった。植物クリームの脂肪滴は動物クリームよりもやや大きく,全卵を用いたプリンの基質には分散しにくい傾向にあった。クリームで調製したプリンの破断応力は、牛乳を用いたものより軟らかく、植物クリームより動物クリーム使用プリンが軟らかかった。卵黄を用いたプリンは全卵よりいずれも硬かった。
著者
加藤 彩 井上 容子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.269, 2006

【目的】今日の視環境計画は視覚の日変化や季節変化を考慮していない。特に、視認能力は一日を通じて一定であると仮定して取り扱っている。しかし、より良い視環境を提供するためには、視認能力の日変化への配慮が求められる。本研究では、視認性の日変化を視環境計画へ取り入れることの可否を検討するために、高齢者と若齢者の視認能力の日変化を比較検討し、その特徴ならびに作業負荷との関係を把握する。【方法】被験者は終日指定された生活パターン(視作業負荷の場合と負荷無の場合)で過ごし、生理量4項目、視認能力5項目、主観的疲労感の合計10項目の測定を行う。測定時間は前日の晩と当日の朝・昼・夕・晩とし、被験者の普段の生活パターン(起床・就寝・食事の時間等)を大きく変えないことに留意している。被験者は高齢者6名、若齢者5名である。【結果】視作業負荷の場合は、年齢層に依らず夕〜晩に最低能力を示す割合が高い。負荷無の場合は高齢者では昼以降、若齢者では朝に最低能力を示す割合が高い。また高齢者では、負荷有の場合の方が負荷無の場合よりも、生理量の変化や作業を伴う視認能力の低下が大きい。若齢者では、作業を伴う視認能力は負荷有の場合の方が低下が大きく、判断を伴う視認能力は負荷無の場合の方が低下が大きい。また年齢層や視作業負荷の有無に依らず、主観的疲労感と生理量や視認能力との相関は見られない。生理量への影響や視認能力の低下をもたらす疲労は、被験者が自覚する疲労とは必ずしも同一ではないと考えられる。特に高齢者は、若齢者よりも主観的疲労感への影響が小さい。しかし、若齢者よりも生理量や視認能力への影響が大きい場合もあることから、日変化への配慮が必要であると考えられる。
著者
井上 智章 築地原 里樹 ガルシア リカルデス グスタボ アルフォンソ 丁 明 高松 淳 小笠原 司
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.245, 2018-07-28

目的 移動ロボットを用いた生活の見える化、生活時間の獲得を目指す。生活中の行動の中で、会話やテレビ視聴、スマホ、新聞、雑誌を見るなど、見ている対象を推定することでわかる行動の判別を、ロボットやコンピュータ技術を利用してどれくらい認識できるかを検討する。<br><br>方法 画像の解像度の関係から、正確な視線方向をロボットのカメラから推定することは難しいので、顔向きと視線の向きが一致すると仮定した。深層学習ベースの物体認識YOLOを用いた人・物体認識や、OpenFaceを用いた顔向き推定に基づき、見ている対象を推定する。推定精度が向上するように、ロボットの移動戦略を実装する<br><br>結果 正面を向いた人が見た物体の推定精度が最も高く、8割以上推定に成功した。ただし、向きが正面から大きく離れると精度が悪化することが確認された。そこで、できるだけ顔の正面になるようにロボットを移動させることによって、様々な場合で8割以上の推定を維持することに成功した。
著者
千田 眞喜子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.127, 2018-07-28

<b>目的</b> 生活習慣病は健康長寿の最大の阻害要因となる。これは個人が日常生活の中での適度な運動、バランスの取れた食生活、禁煙を実践することによって予防することができる。本研究では、生活習慣病予防における減塩に着目し、若いときから減塩習慣を身に付けるために、大学生を対象として、塩分摂取状況の現状把握・分析をした。<br><b>方法</b> 土橋作成の「塩分チェックシート」を参考に、塩分摂取状況をアンケート調査(<i>n</i>=39、留め置き法)した。質問事項に対して、0~3点に対応してあてはまるものに〇をつけ、合計点で4つのグループに分類し集計した。また、合計点や質問事項相互の関係を調べるため、主成分分析と相関係数マトリクス分析を行った。<br><b>結果</b> 塩分多めの学生は、約4割であった。主成分分析の結果、第一主成分の正の方向は「塩分摂取が少ない」、第二主成分の正の方向は「手軽な食事」、負の方向は「保存食」と解釈された。相関係数マトリクス分析によると、合計点と高い正の相関関係がみられたのは、「ちくわ、かまぼこなどの練り製品を食べる頻度」(<i>r</i>=0.702)と「ハム、ソーセージを食べる頻度」(<i>r</i>=0.602)であった。練り製品、ハム、ソーセージなどの加工食品に塩分が多いことを知らない学生がいた。
著者
知野 愛
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.69, 2017

目的 福島県では東日本大震災後の原発事故の影響があり、人口減や世帯の分離が進み家族の形に変化が見られる。そこで、未婚の学生達の結婚・出産・子育てに関する考え方を調査し、今後の子育て支援を考えるための一助とすることを目的とする。&nbsp;<br>方法 調査票(内閣府平成26年度調査を基に作成)によるアンケート調査を実施。調査対象は郡山女子大短大幼児教育学科2年生、回答数101名(有効回答率99.0%)。調査内容は、結婚観、出産、育児に関する意識調査、震災後の家族の変化について。調査結果を集計分析し、同内閣府調査結果の全国20代未婚女性の数値(全国)と比較した。 <br>結果 &nbsp;1,結婚生活で不安に思うことは、「配偶者の親族との付き合い」(75.2%)、「配偶者の家事分担」(32.7%)、2,結婚と仕事との調和のために必要なことは、「夫が家事・育児に協力する」(92.1%)、3,ライフコースは、「結婚あるいは出産の機会に一旦退職し子育て後に再び仕事に復帰」(71.3%)が最も多く、4,結婚生活での夫婦間の家計は、「どちらも同じ位」(34.7%)が比較的多い。5,子育てで不安に思うことは、「仕事をしながら子育てすることが難しそう」(86.3%)、「経済的にやっていけるか」(73.5%)であった。配偶者に自分の仕事を理解してほしいと望む割合が高いが「出産後は一旦仕事を中断する」という割合が高く、背景には子育てと仕事の両立が難しいという思いがある。今後は、未婚者も対象に入れた「結婚出産子育てと仕事の両立」に関する講座等で、多様な選択肢の可能性を示すことが重要なのではないかと思われる。
著者
増田 智恵 村上 かおり 平林 由果 永野 光朗
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.134, 2005

【目的】これまで女子大生を対象に,3次元ファッション・ファクトリ・ブティックシステムを構想し,消費者と販売間のコミュニケ_-_ションを支援する研究を行ってきた.本報では,学生を除いた成人女子の婦人服購入について,まずデザインイメ_-_ジとして捉えられている"イメ_-_ジ用語"の認識度を捉え,デザイン選択支援のための感性イメ_-_ジのキ_-_ワ_-_ド抽出を試みた.<br>【研究方法】1.イメ_-_ジ用語の抽出:2001年_から_2004年発刊のファッション雑誌約100冊から服のイメ_-_ジを表わす約1000用語を抽出,予備調査により136語にまとめた.2.イメ_-_ジ用語の分類:20代_から_70代の成人女子(九州,四国,近畿,東海,関東,東北の24都道府県在住)455名に,136用語を記したカ_-_ドを5_から_15のグル_-_プに分類,意味不明等の用語はその他として別にまとめさせた.3.分析方法:同一グル_-_プ用語を「1」,その他の用語の関係を「0」として136×136の行列を作成し,被験者単位に作成した行列を455名分合算して類似度行列を作成し,Ward法によるクラスタ分析を行った.<br>【結果・考察】1.136用語の詳細なグル_-_プとして,_丸1_レディ・ドレッシー系,_丸2_フェミニン・ゴージャス系,_丸3_大人系,_丸4_シャ_-_プ系,_丸5_モダン系,_丸6_トラッド系,_丸7_エスニック系,_丸8_カジュアル系,_丸9_レトロ系,_丸10_エレガント系,_丸11_シック系の11クラスタが抽出された.2.各クラスタの特徴をまとめると_丸1__から__丸3_は女性的,_丸4__から__丸5_はメンズライクを含む個性的,_丸6__から__丸8_は着心地の良いカジュアル的,_丸9__から__丸11_はオ_-_ソドックスで正統派的などのイメ_-_ジのデザインを示す用語となり,さらに大きくは普段非着用服のイメ_-_ジのAグル_-_プ:_丸1__から__丸5_と,普段着用服のイメ_-_ジのBグル_-_プ:_丸6__から__丸11_にまとまることがわかった.<br>本研究の一部には,平成15,16年度の栢森財団の助成を受けた.<br>
著者
中村 久美
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2016

<b>目的</b> 外部環境との応答性に関わる住生活には、①環境調整(温熱、光、空気環境の調節)、②防犯・監視(見守り)、③生活の豊かさにつながる知覚(眺め、自然や四季の変化の感受)、④コミュニティや景観形成(演出、表出による親しみ、通りの景観形成)の諸側面が存在する。もともと開放的で内外中間領域(縁側)を有する日本の住空間では、外の自然や周辺環境と親しむ住生活が存在したが、地球環境問題や地域コミュニティとの関係が問われる現代は、そのような住生活のあり方は重要である。現代における外部環境との応答性ある生活様式の再構築をめざし、まずは若年層の窓と窓周りの住生活の実態を明らかにする&nbsp;.<br>&nbsp;<b>方法</b> 女子大生151名を対象に、窓やカーテンの開閉など窓周りの住生活や自宅の窓周りの生活様態に関する質問紙調査を実施。<br><b>結果</b> 自宅開口部の様態を見ると、1年中雨戸や窓が締切の部屋がそれぞれ約2割、4割存在する。日差しの調節にすだれなどを活用している(4.5割)一方、天気の良い日中でもリビングの照明をつけている(4.5割)。内外中間領域のうち、ベランダ・バルコニーは7.5割が有しているが、縁側、テラス(ともに2割)を有する家は少ない。またそこでは物干し以外の住生活行為は特に行われていない場合が多い。学生自身の窓周りへの働きかけをみると、換気の習慣が定着していない学生が一定数存在し、厚いと感じたら窓を開けずにエアコンをつける者が1/3をしめる。「窓の外を眺める」「空模様を見る」ことを全くしない学生も2割存在する。そもそも自室の窓の方位を認識しない学生が多い。住空間への意識として窓や空間の開放性に関心のない学生ほど当然のことながら窓や窓周りへの働きかけはない。総じて外部環境への関心や窓を介した外との関係が希薄な学生が少なくない。
著者
武井 玲子 大泉 由美 鍋山 友子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.69, 2017

<b>目的</b>&nbsp; 便利で快適な生活を送るために、様々な生活関連品やモノを活用している。これらを安全かつ安心して使うための評価手法としてリスクマネジマント研究が有用である。実際に、食品添加物等はこの考え方が採用されている。しかし、依然として安全性に納得できず不安を抱いている生活者が多い。そこで、リスクマネジメント研究事例を分析評価し、リスク予測の精度を上げ生活者に対してより説得性の高い手法の提言を試みる。<br> <b>方法 &nbsp;</b>家政学会誌はじめ関連学会誌を対象として生活関連品に関するリスクマネジメント研究を分析評価した。 <br><b>結果 &nbsp;</b> 一般にリスクマネジメントは、暴露評価やリスク分析評価に基づきリスク低減化策を講じた後残されたリスクの性質や程度を公表するリスクコミュニケーションの一連の流れで進められる。様々な生活関連品に関するリスクマネジメント事例研究の課題の一つ目は、暴露評価の充実である。台所用洗剤の場合は老若男女の通常使用時の経口、経皮暴露に加えて誤飲時の眼への暴露等、乳幼児の被服の場合は乳幼児の生活実態の即した暴露評価に続くリスク評価が必要不可欠である。二つ目は、「ゆりかご」から「墓場」までをカバーするライフサイクルアセスメントの考え方を採用することである。この事例としては被服の変退色をリスクととらえ、製造・購入・着用・手入れ・保管の各段階においてリスク評価を行うことでより精度が高まる。三つ目は、実際に即したリスクコミュニケーション手法の充実である。