著者
朝井 義久 渋沢 進
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.83-84, 1996-03-06

これまで、入出力命令を含むプログラムの並列化は、入出力命令の含まれていない部分についてのみ並列化を行い、入出力命令部分については逐次で実行されていた。この方法では、プログラム全域にわたる並列化が行えず、並列化の効率も悪くなってしまう。そこで、我々は入出力命令を含まないプログラムの並列化で利用されている最早実行開始条件解析法に、入出力命令間の依存関係としてデバイス依存を導入することにより並列化を行ってきた。 本稿では、デバイス依存を用いた並列化手法ならびに並列計算機上での実行方法について報告する。また、タスクグラフを用いたシミュレーションによる評価を行い、実際の並列計算機上での実行についても述べる。
著者
綾塚 祐二 千葉 滋 益田 隆司
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.47, pp.135-136, 1993-09-27

オブジェクト指向データベース(OODB)のためのグラフイカルューザインタフニース(GUIは、OODB上のオブジェクトを視覚化し、ユーザにオブジェクトを操作しやすい環境を与える。あるオブジェクトを視覚化するためにはそのオブジェクトに対して付加的なデータ(以下、GUIデータと呼ぶ)が必要である。このGUIデータ部分も永続化できれば、queryなどの操作の途中結果をその撹覚的表現とともに保存しておくことなどが容易になる。GUIデータを永続化するには、以下の二つの点を考慮する必要がある。まず、GUIデータと視覚化されるオブジェクトは明確に分離して格納されなければならない。あるオブジェクトに与えられる視覚的表現は一種類とは限らず、同じオブジェクトに対していろいろな独立したGUIデータが存在し得るからである。また、GUIデータの中には、再起動時の環境に依存するために単純に保存できないものも存在する。このようなものはデータベースから取り出したときにその時点の環境に合わせて値を再構成しなければならない。これら二つの点に関して、従来のGUIツールキットではアプリケーションの扱うデータとGUIデータが分離されておらず、また永続化がもともと考えられていないために不十分であった。本稿ではアプリケーションデータとGUIデータを明確に分離し、そしてGUIデータの永続化の機構も備えたMidgetと名付けられたツールキットについて述べる。
著者
吉田 公晴 森 陽一 西野 浩明 宇津宮 孝一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.220-221, 1997-09-24

製造分野における新製品の開発には, 試作品の製作と評価, およびその改良を繰り返し行うプロトタイピングに多くの時間と労力を要する。例えば, 新作花火の製造に関して言うと, 花火の制作時には乾燥に多くの時間を要する。また, 火薬を使用するので, 繰り返し作業をするほど危険度が増す。そこで我々は, 一連の花火の作業工程(設計, 試作, 打上げ)をVR (virtual reality)技術を用いて再現することにより, VRの問題点の洗い出しを行ってきた。本稿では, 仮想打上げ花火システムにおける3次元空間での視点移動機能などについて述べる。
著者
島尻 優香 加藤 昇平 世木 博久 伊藤 英則
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.213-214, 1994-03-07

仮説推論の研究に関しては、その理論的枠組の提案、効率的な推論システムの実現方法、並びに診断・設計問題などへの応用など、多くの研究結果が報告されている。我々は、すでにホーン節で表現された論理知識ベースを対象とした仮説推論の効率化手法について提案した。そこで、本稿ではより表現力の高い不確定論理データベースを対象とした仮説推論について述べる。不確定論理データベースのような非ホーン節(non-Horn 節)集合を対象とした推論方法として最近提案された定理証明系SATCHMOREがある。本研究では、 SATCHMOREで導入されている"関連性(relevancy)"の概念を仮説推論に適用することを考える。不確定論理データベースに対する問合せの答としては、"真(true)"、"偽(false)"、"不定(unknown or possibly true)"の三つが考えられる。そこで、SATCHMOREのような充足可能性を調べる定理証明系では区別されることのない"偽"と"不定"を仮説推論においては判別する処理を行なわなければならない。本稿ではその際の処理においても関連性の概念を用いることにより、冗長なOR分岐の抑制ができることを示す。
著者
星 仰 井橋 孝夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.33, pp.1563-1564, 1986-10-01

字宙開発に伴う情報分析は地球レベルから太陽系惑星レベルそして銀河系へと広域化しており、地球における情報分析量は計算機技術の進歩を助長している。計算機利用における情報保管はデータ分析の基本的管理事項として重要であるにもかかわらず、画像データの特徴分析・解析等に主力が注がれデータ管理面までの投資がなかなかなされていなかったという面がある。現在のわが国の大型計算機システムを保有している国公立・民間の研究所や大学ではDASD容量は高々100Gbyte程度であり、それ以上のデータは磁気テープ倉庫に眠っているケースが多い。このオフラインデータをオンライン化することが大容量データ活用の一つの道であり、従来は自動マウント方式のMTやMSSのデータカートリッジがその業務を果たしてきた。しかし、これらの方法は広い空間が不可欠であり、狭空間による大容量データのオンライン化が社会要求として挙げられよう。本研究は上記の問題点を解決する一手段として、光磁気ディスクのDRAW型をデータ保管媒体に選び、リモートセンシング分野で取り扱われている2,3のデータフォーマットをそのまま用いて、データ圧縮の実験的研究を試みた。この研究は手持ちのミニコンピュータに市販の光磁気ディスクを接続したので、必ずしも理想的な接続形態にはなっていないが、16ビット転送のインタフェースが開発できたこと、一次元ではあるがデータ圧縮が可能になったこと、などは実用性があると思われるので、その内容の一部を報告する。
著者
濱川 礼 暦本 純一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.44, pp.329-330, 1992-02-24

マルチメディアシステムへの期待と共にメディア間の同期をどのように処理するかが重要なテーマとなってきている。現状では、この問題を解決するためにハードウエア、OSレベルでの処理(real time OS)に研究が注がれている。これは最終的に同期を行なうためには現状のハードウエア、OSでは非常に困難であるからである.一方ユーザインタフェースの立場からメディアの同期を考えてみると、主だ未解決の問題が多いのに気づく。現状の、いわゆる「マルチメディアオーサリングシステム」のほとんどは、時間軸上に複数のメディアを並べるという操作によってユーザに同期関係を定義させている。しかし、これは実際に行なうと非常に手間のかかる作業である。
著者
池田 雅史
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.49, pp.377-378, 1994-09-20

最近、熱い視線が注がれているマルチメディアであるが、今一つその実態がつかめない。まさしく言葉先行である。そこで、企業活動における有効性を検討することでマルチメディアの実態に迫ることにした。つまり、「マルチメディアは利益に貢献するのか?」という観点で、厳しくその有効性を評価した。また、多様な業務をこなしている企業にあってマルチメディアが有効である分野を模索し、幅広い観点から評価することも狙った。今回は、企業活動を(1)対顧客活動、(2)社内活動の2つに大別し、実際にあるいは机上でマルチメディアシステムを構築することで、各々での有効性を検討した。
著者
早野 文孝 箱崎 勝也
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.161-162, 1996-03-06

マウスのボタンをクリックする事で手軽に情報を引き出し、しかも他のプロトコルをまるで意識する事無く、それらの情報を簡単に手に入れる事の出来るWWW(World Wide Web)は多くのユーザを獲得し、数メガバイトのマルチメディア・ネットワーク・トラヒックを生み出したと言われる。こうして出来たネットワークの圧迫を解消する手段は以前から提案されているが、比較的簡単かつ効果的と思われるキャッシングに注目してみる事にした。電気通信大学内の計算機センタに設置されたproxyサーバ(cern-httpd)を通したリクエストを書き出した6月28日から12月末日までの利用履歴(ログファイル)を基本データとし、統計を取っている。実際に稼働しているキャッシュサーバによって記録されたログファイルから最適と思われるアルゴリズム、キャッシュの容量、保存期間等の傾向を割りだし、これからのキャッシュサーバに反映させようというのが本レポートの目的である。
著者
古井 陽之助 島崎 眞昭
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.49-50, 1992-09-28

アプリケーション内部の並列性を活用しマルチプロセッサで実行することによって処理効率向上を図る並列処理技術は、現在最も盛んに研究されているテーマの一つである。本研究では特に共有メモリ型マルチプロセッサ・マルチユーザ・マルチジョブ環境に議論の焦点を絞る。マルチユーザ・マルチジョブ環境でプロセッサ間の負荷分散を図るにはOSによるスケジューリングが必要であり、オーバーヘッドが非常に大きい。逆に、負荷分散を犠牲にして処理の粒度を相対的に大きくすることによってオーバーヘッド削減を図ると、システム全体の効率は上がるがジョブごとの処理効率は逐次処理のそれに近づいてしまう。このような状況をある程度解消する方法として、マルチプロセッサをクラスタ化し、OSはクラスタ単位のスケジューリングのみ行なうようにして、クラスタ中にあるプロセッサのスケジューリングはアプリケーション自身に任せることでオーバーヘッドを抑える、という方式が考えられる。本稿では、クラスタ化された共有メモリ型マルチプロセッサでdoall型ループの並列処理を行なった場合の実行効率をシミュレーションによって評価し、クラスタ化方式の可能性を論じる。
著者
副島 匡暢 宇津宮 孝一 肥川 宏臣 児玉 利忠
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.273-274, 1992-09-28

マルチロボットによる協調問題の研究は、人工知能やロボティクスなどのさまざまな分野で豊富な概念試行の環境を与えている。近年、マルチロポットを用いた研究は盛んであるが、これらの研究の多くは仮想環境による概念シミュレーションによるものが多い。これは、適切なハードウェアが使用できないことや、リアルタイム性の高い実験が難しいことによる。完全なロボットシステムは複雑であり、必要なハードウェアの開発もかなりの時間を要する。以上のことを踏まえて、我々はマルチロボットシステムのテストペットとして、Gung-Ho("work together"の意味)システムを構築している。このシステムは、協調動作の基本概念を評価するためのマルチロボットシステム開発を支援するものである。特に、Gung-Hoシステムでは、ロボットの制御にUNIXワークステーションを利用することにより、UNIX上のソフトウェア開発ツールやマルチタスク機能、TCP/IPやXウィンドウシステム等のネットワークコミュニケーション機能やユーザインタフェース機能などを最大限に利用できる。これらの環境により、マルチロボットシステム開発における仕様確認の迅速性や変更の柔軟性を達成することができる。
著者
大城 淳
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.139-140, 1992-09-28

近年,PCはハードウェアの性能・価格面の進歩,LANの普及により,大量に導入されるケースが増えており,ソフトウェアもマルチタスクOSからGUIを備えたアプリケーションまでそのサイズをますます膨張させている.一方,それに伴い点在する大量のPCの管理や個々に行なわれるソフトウェアの導入およびレベル管理に費やされるワークロードは年々増大している.このような環境の中,LANに接続されたPCの各種情報の収集およびソフトウェアの導入を行なうためのPC管理支援システムを構築した.本稿では,当該システムの中でクライアントPC側における管理情報の収集およびソフトウェアの配布/導入を行なう部分について述べる.
著者
村上 知嘉子 安田 剛 植木 克彦 中村 英夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.44, pp.155-156, 1992-02-24

最近の組み込みシステムでは、リアルタイムOSを用いてマルチタスクのアプリケーション・プログラムを制御するようになってきている。しかし、アプリケーション・プログラムは大規模化の傾向にあり、ひとつのマイクロプロセッサでは処理が困難になっている。そこでターゲットシステムの処理能力を高めるために、複数のマイクロプロセッサを使用し、その上でアプリヶーショシ・プログラムを分散処理するという方法がとられている。そのため、従来から行われているクロスソフトウェア開発手法において、複数のマイクロプロセッサから構成されているターゲットシステムについてもホストマシン上からデバッグを可能にする必要がでてきている。そこで、このようなデバッグ環鏡を整えるために、必要な機能について報告する。
著者
元田 敏浩 黒川 裕彦 徳丸 浩二
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.141-142, 1992-09-28

我々はこれまでに垂直分散型のデータベースシステムにおける分散不可視化およびユーザインターフェース向上の手段として、データベース検索結果を一時的に蓄えて利用する一時データ管理方式を検討してきた。またこの方式を、MS-DOSのシングルタスク環境で動作する垂直分散型データベース応用システムにデータベース検索結果の格納機能として実装してきた。今回、同システムをマルチタスクOS上に実現するにあたって、これまでの一時データ管理方式をマルチタスク環境下で動作し、しかもユーザインターフェースの高度化に対応した一時データ管理方式とすべく検討を行った。本稿では、これまでに検討を行った一時データ管理方式である『データリスト方式』について述べる。
著者
橋本 一也 金子 善則 高倉 規彰 中島 隆
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.331-332, 1996-09-04

近年、マイコン組み込みシステムにおいて、プログラミングの容易さや並列処理による効率化のために、リアルタイムOS(以下OS)を用いることが多くなってきている。これに伴い、OS上のタスクを効率よくデバッグできるタスク・デバッガが開発されてきた。従来、タスク・デバッガは、モニタやデバッグ用のタスクで実現されていたが、これらの方式では、ユーザによる組み込み作業が必要であることに加えて、メモリの制約を受けるという欠点があった。特にメモリ容量の小さなマイクロコントローラを利用するとき、この制約により、タスク・デバッガを実現するのは困難な場合が多い。そのため、一般的にデバッグ装置として利用されているインサーキット・エミュレータ(以下IE)上でタスク・デバッガを実現することが望ましい。一方、デバッグを行なうターゲット・システムが自動車のエンジン制御やモータ制御などのリアルタイム制御装置である場合に、ターゲット・システムのソフトウェアが停止してしまうと装置を破損してしまう恐れがあるが、リアルタイム応答性を保証することによって装置の破壊を回避することが可能になる。上記理由により、ターゲット・システムのソフトウェアのリアルタイム応答性を損なわずデバッグ可能とすることがタスク・デバッガの重要な機能として要求されている。本論文では、このタスク・デバッガの実現にあたっての必要機能を洗い出し、その実現方式について考察する。
著者
小谷野 正博
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.44, pp.185-186, 1992-02-24

OSI-VTの損保適用では,元受各社ホストはOSI-VTプロトコルで,代理店設置端末は既存の各社メータプロトコルで接続するため,各社VANでOSI-VTプロトコルとメーカプロトコルを変換するゲートウェイを開発することになった.富士通VANではOSI-VTとFNA/F6650及びBSC-C/ABCとの変換を行っている.今後,VANへの収容端末数が急激に増加することから,VAN側ではゲートウェイのトランザクション処理件数を把握して設備計画に備える必要がある.ところで,1台のゲートウェイのトランザクション処理件数は,1件の処理時間とトランザクション到着率をパラメータとして与えれば,待ち行列理論から目安を導き出せる.さらに,トランザクション処理件数を上げるには,処理時間を短く(走行ステップ数の削減,高性能マシンの使用)すれば良いことは明らかだ.本稿ではゲートウェイのマルチタスクのタスクプライオリティの設定方法が,高トラフィック時のゲートウェシ内滞在時間に影響を及ぼすことに注目し,損保適用に当たり実現のゲートウェイで滞在時間を最小にするプライオリティの設定方法をシミュレーションにより探ったものである.
著者
池尻 宏 早川 栄一 並木 美太郎 高橋 延匡
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.44, pp.245-246, 1992-02-24

OS/omicronは日本語情報処理のためのアプリケーション指向のOSである.我々の研究室では,このOS/omicronを用いてOSや各種のアプリケーションの研究開発を行っている.また.システムプログラミングの教育用にも利用している.OS/omicronの特徴はシングルユーザー,マルチタスク,マルチスレッド,JIS2バイトコードの採用,パーソナル指向,アプリケーション指向などである。近年,EWSやPCのLANの世界では,分散システムや分散環境といったことがいわれるようになってきている.しかしながら,一般的に使われている通信システムはネットワーク内に含まれる信頼性の低さから,また速度の遅い通信媒体をサポートするためにパーチャルサーキットのような複数なプロトコルが採用されている.また,通信システムが高度に仮想化されているためにブラックボックス化してしまい,通信システム全体を見通すことが難しい.これはシステムプログラミングの教育に好ましいこととはいえない.本稿ではこのような問題を解決するための軽量でシンプルな通信サービスについて述べる.
著者
原 義幸 新田 恒雄 小林 賢一郎
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.329-330, 1992-09-28

近年、電子メールの読み上げのように、漢字かな混じり文を音声に変換する「文音声合成(Text-to-Speech:以下TTSと略す)」技術利用の要求が高まってきている。このような背景のもと筆者らは、先にプラストラム方式を用いた文音声合成ボードの試作について報告した。一方、現今のワークステーション(WS)は、処理能力が向上し(数十~数百MIPS)、同時に、オーディオデバイス(CODEC,スピーカ)を標準で塔載する機種が増えつつある。このようなWSを用いると、専用ハードウェアなしにソフトウェアのみでTTSを実行できる。しかし、サーバ/クライアント、あるいはマルチタスク処理環境のもとでは、TTSの実時間処理が困難となる場合を生ずる。こうした問題に対処するため、処理時間の設定が可能なTTSソフトをWS(AS4075)上の構築したので、概要を述べる。