著者
頼高 朝子 深江 治郎 渡辺 宏久 三輪 英人 志村 秀樹 河尻 澄宏 下 泰司 前田 哲也 大塚 千久美 山田 大介 富山 誠彦 阿部 隆志 平沢 基之 木原 武士 斎木 英資 鈴木 千賀子 風間 明日香 大野 欽司 伊藤 美佳子
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

水素分子はパーキンソン病(PD)疾患モデル動物のドパミン神経細胞の減少を抑制した。この事実を基にレボドパ内服中のPD患者に対して水素水を48週間飲水させた無作為化二重盲検試験でその症状を改善させた。初期及び進行例を含めたPD患者に対象拡大し72週に延長し、無作為化二重盲検並行群間試験を14施設で実施した。レボドパ未内服の患者を含めた178例を登録し、水素水群91例とプラセボ群86例に試験水を1日1l飲水した。水素水による有害事象は認めなかった。主要評価であるPD評価スケールの開始時から72週目までの変化量は水素水群とプラセボ群で統計学的な有意差は認めず、有効性は認めなかった。
著者
荒谷 聡子 中島 利博
出版者
東京医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

線維筋痛症 (FM) は全身性の強い慢性疼痛を主訴とする疾患である。発症原因は不明であり、根本的な治療法の確立されていない。我々は FM における小胞体ストレス分解、ミトコンドリア機能に注目してきた。本研究では神経特異的シノビオリン欠損マウス、FMの病態モデルマウスを作製また患者よりリンパ球を分離し、これらを用いて個体内での病因・病態解析を目的としている。臨床において FM 様の病態を引き起こすことが示唆されているワクチンを用いてモデルマウスの作製を試みたところ、尾の緊張および運動協調性低下を示すマウスが得られた。また FM 様の症状に視床下部の機能が関与していることが示唆された。
著者
安藤 美樹
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

抗原特異的細胞傷害性T細胞(CTL)を体外で増幅して再び患者体内に戻す養子免疫T細胞療法は、悪性黒色腫などの一部の腫瘍で持続寛解を得ることができるが、多くの腫瘍では慢性的な抗原暴露によりCTLが疲弊し、期待した程の効果を得ることができない。我々の研究グループでは抗原特異的CTLをiPS技術を用いて機能的に若返らせる技術を開発した。iPS細胞より再分化誘導されたCTLはもとの抗原特異性を保ったまま、より強い増殖能を持つ。2015年にはiPS細胞由来CTLがEBウイルス関連腫瘍を効率よく縮小させることをマウスモデルで証明し、現在医師主導型臨床研究を目指して前臨床試験を行なっている。現在までに13名のEBウイルス関連リンパ腫患者(節外性NK/T細胞リンパ腫鼻型3名、ホジキンリンパ腫2名、び漫性大細胞型B細胞リンパ腫3名、メソトレキセート関連リンパ増殖性疾患5名)と1名の健常人ドナーにご登録いただいた。最初にHLAを調べたところ、ほとんどのドナーがA2402もしくはA0201などの一般的なHLA型を持っていることがわかった。その後末梢血よりLMP1, LMP2, BZLF1など様々なEBウイルス抗原に特異的なCTLの誘導に成功し、更にT-iPS細胞樹立とiPS細胞由来CTLの誘導に成功した。誘導開始した患者で、CTLを誘導できなかった患者はステロイドを長期間内服している患者1名のみであった。臨床用プロトコールを作成し、作成期間を大幅に短縮することができた。現在マウスモデルを用いて,投与方法や投与量を検討している。
著者
金子 和雄 大山 陽介
出版者
四日市大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

(a)2次元退化ガルニエ系および(b)4次元パンルヴェ型方程式における超越的特殊解の研究(a)G(9/2),G(5)及びG(14),G(23)に対し、対称解の存在を示し、線型モノドロミを計算した結果につき学会報告した(2010慶応大、名古屋大、2011-3早稲田大)。(b)藤、鈴木系の特異点における有理型解の分類及び線型モノドロミの計算、笹野系の特異点における有理型解の分類による藤、鈴木系との違い、藤、鈴木系および行列型パンルヴェの退化系NY{A4},IV{Mat}およびII{Mat}につき学会報告した(2011-9信州大,2012-3東京理科大,2012-9九州大,2013-9愛媛大)。
著者
森下 修次
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

佐渡市春日地区の祭礼「鬼太鼓」において地元の奏者と在米日系人IV世の演奏を録音し,ProTools によりIOI の計測を行った。その結果、付点音符(例えば〓など)に相当するリズムの比の値が地元の奏者は3.3:1、在米日系人は3.6:1 であった。このことは地元の奏者に比べて在米日系人が長い音符はより長く,短い音符はより短く演奏する傾向が示唆されるものと考えられる。また、同じ曲において日本語で歌われる場合と英語で歌われる場合はどのようにリズムが変化するのかを市販のCD を用いて分析した。その結果英語の方が長短を強めてうたう傾向があることが分かった。これは英語をはじめとした外国語は発音される音に長短が混合するシラブル構造だが、日本語はモーラ構造、すなわち母音と子音を一まとまりとする音が、等拍で発音されることによる影響が考えられる。
著者
高津 芳則
出版者
大阪経済大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

フランスの国歌「ラ・マルセイエーズ」は、フランス憲法において、国歌であると条文で定められている。フランス小学校では、学習指導要領(現行2002年版)で、国歌を教えるものとされている。ところが、2005年9月の新学期から、法律上、小学校で教えることが義務となった。これが、新自由主義が必然的にともなう新保守主義の現れと見ることができるか、検討をおこなった。国歌の教育を義務づける法律は、政府が提案したものではない。2005年1月に政府が提出した、通称フィヨン法の審議の過程で議員立法の形で登場した。政府は、義務化法を政府提案には含めず議会の多数決に任せた。政府の本音は不明である。下院は、さしたる議論もなく多数決で可決した。上院では、修正案が出され議論となった。しかし、ナショナリズムを指摘し、批判する議論はまったくなく、ラ・マルセイエーズの歌詞の一部に残酷な部分があること、子どもの教育にふさわしくない内容を含むことが論点となった。結局上院では、ラ・マルセイエーズを、単なる音楽教育に終わらせることなく、それが生まれた歴史の文脈を含んで学習することを義務づける修正案が可決された。それが現行法となる。すでに、フランス文部省は、社会党のジャック・ラング文相のとき(2002年)、『ラ・マルセイエーズ』(全60頁)という教師用教材を全国の小・中・高校に配布している。そこでは、ラ・マルセイエーズの歴史が簡潔に叙述されており、ゲンスブールのレゲエ・バージョン事件についてもふれている。学校で国歌を教える義務があるとしても、教育行政が特定の価値観(解釈)を上から押しつけるのではなく、相対的な視点を養う大切さにも配慮するフランスの特徴といえるだろう
著者
森岡 隆 手島 和典 吉嶺 絵利 中谷 正 高橋 佑太 倉持 宗起 橋本 貴朗 林 信賢 中村 裕美子 中溝 朋美 高橋 智紀 若松 志保 楠山 美智子 成田 真理子 油田 望花 川口 仁美 安生 成美
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

源兼行ら11世紀半ばの3人の能書が分担揮毫した『古今和歌集』現存最古の写本である「高野切本古今集」について、巻五・巻八・巻二十の完本3巻を除く17巻を復元した。このうち巻一・巻二・巻三・巻九・巻十八・巻十九の6巻は零本・断簡が伝存するものの、他の11巻は伝存皆無だが、各々の書風で長巻に仕上げて展示公開するとともに、それらを図版収載した研究成果報告書を刊行した。なお巻五についても、後に切除された重複歌2首の各々の当初の位置を特定し、復元し得た。
著者
藤村 成剛 臼杵 扶佐子 出雲 周二
出版者
国立水俣病総合研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、主にメチル水銀による神経機能障害に対するローキナーゼ阻害薬の効果について実験を行った。ローキナーゼ阻害薬(FasudilおよびY-27632)は、ラット培養神経細胞においてメチル水銀による軸索変性およびアポトーシス細胞死を有意に抑制した。また、Fasudilは、メチル水銀中毒モデル動物においても末梢神経の神経変性および神経機能障害の指標である後肢交差を抑制した。さらに、ローキナーゼ阻害薬は無機水銀およびRotenone(パーキンソン病の原因候補物質) による軸索変性および神経細胞死についても培養神経細胞を用いた実験において有効であった。
著者
三木 英 三浦 太郎
出版者
英知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究が目指したところは、阪神大震災によって大きな被害を受けた地域社会が復興するにあたり、宗教が何らかの寄与を為し得たのかどうかを検証することであった。これまで得られた知見を以下に述べるなら、リジッドな組織を伴う神道、仏教、キリスト教、新宗教が地域社会の復興に貢献することはかなり難しいということがまず挙げられよう。教団は基本的には、そこに所属する信者の方角を向いていたのであり、地域社会全体にその翼を広げることはしなかった(できなかった)のである。たとえば天理教では被災後、活動を地域社会において展開しようとして壁に突き当たったという事実を、本研究は突き止めている。教団へのアレルギーが確かに被災者の間には存在したのである。とはいえ、宗教そのものが完全に被災者によって拒絶されたというわけではない。犠牲者の慰霊を宗教的な儀礼によって行うことは、多くの被災者が求めたところであった。また本研究は、被災地において巡礼が創出されたことを指摘しているが、このことは被災者が自らの心のケアに供するべく宗教的な装置を利用したことを示すものである。さらに本研究では子供達の他界観にも注目をしているが、彼らは、自身にとっては遠い概念であった死に対処するため、他界に言及して心の平穏を取り戻そうとしたようなのである。被災者は、組織という外殻を纏う限りの宗教に対してはネガティブであったといわざるをえない。しかし、外殻を意識させない拡散したかたちの宗教に対してはポジティブな姿勢を見せたといえるだろう。危機的状況に在る社会で、そのダメージからの回復に寄与する可能性を宗教が有することは確かである。ただしそれは、組織的・制度的宗教ではなく、非教団的な宗教であることが本研究から判明したのである。
著者
福田 一彦
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

保育園児では昼寝の日課があるために、昼寝の平均持続時間および回数が多く,午後の長い昼寝の習慣は,夜間睡眠の就床時刻を遅らせ,さらに寝起きの悪さや午前中の機嫌の悪さと関連している可能性が示唆されている。では,このような幼児期の睡眠パターンは,児童期の睡眠パターンに影響を与えるのであろうか。かつて保育園と幼稚園のいずれかに通園していた児童を対象に,現在の睡眠パターン等について調査を行った。その結果、小学校1年生と4年生において,平日の就床時刻がかつて保育園に通園していた児童で有意に遅く、2年生で遅い傾向があった。平日の睡眠時間は1年生と4年生で,幼稚園出身児童に比較して保育園児出身児童で有意に短かった。1週間あたりの昼寝の頻度と起床時の気分と夜更かしの頻度に関してはどの学年においても両群間に差は認められなかった。以上を要約すると,夜間睡眠の就床時刻と夜間睡眠の長さに関しては,保育園出身児童で就床時刻が後退しており、夜間睡眠時間も短かったが、回帰直線の傾きからは、その差が加齢とともに減少していく傾向が読み取れた。それに対して、幼児期に保育園児の就床時刻を決定する主要な原因であると考えられた昼寝の頻度に関しては、両群の間に統計的に意味のある差は認められなかった。また、就床時刻の後退とともに保育園児に認められた起床時の気分の悪さや、高頻度の夜更かし傾向などについても両群の間に有意な差は認められなかった。このことから、睡眠パターンを規定する要因であった昼間睡眠の習慣がなくなり、昼間睡眠それ自身も習慣として定着することは無かったにも関わらず、就床時刻や夜間睡眠の長さといった要素は,小学校に進学した後も数年間はその状態が持続する可能性があると考えられ、幼児期の睡眠の習慣がその後の睡眠習慣の形成に対して重要な位置を占めていると考えられた。
著者
渡辺 和人 山折 大 竹田 修三
出版者
北陸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

大麻の毒性発現機構解明の一環として、主成分テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)およびカンナビノール(CBN)の代謝、代謝的相互作用、細胞毒性に関して検討を行い、以下の点を明らかにした。(1)THCのマウス脳における代謝。(2)CBDのヒト肝における代謝。(3)THC、CBD、CBNのヒトCYP分子種の阻害作用および誘導作用。(4)THCのカンナビノイド受容体を介した細胞毒性およびヒト乳癌細胞増殖促進作用の機構。(5)シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤としてのカンナビジオール酸、選択的5-リポキシゲナーゼ(LOX)阻害剤としてのCBD-ジメチルエーテル、THCおよび主代謝物THC-11-oic acidの強力な15-LOX阻害作用。
著者
河野 啓子 後藤 由紀 畑中 純子 野口 多恵子 吉川 悦子
出版者
四日市看護医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

産業看護職に必要なコンピテンシーとして、「自己成長する力」、「産業看護の本質を貫く力」、「チーム力を高める力」、「戦略立案・業務遂行する力」、「人・部門・組織間を調整する力」、「人の成長をサポートする力」、「創出する力」といった7つのコンピテンシーが開発された。これらは本来の産業看護活動を行う上で不可欠なものであることから、産業看護職の資質を向上させるためには、これらのコンピテンシーを育成するための教育が必要である。そこで、教育のあり方を論じ、教育内容、教育方法、教育システムについて一定の方向性を見出した。
著者
竹本 浩典
出版者
千葉工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

通常の発話における声の高さは、主に輪状甲状筋と甲状披裂筋によって制御されており、輪状甲状筋は声を高く、甲状披裂筋は声を低くすると考えられている。ビブラートも同じメカニズムで制御されているかどうかを検討するために、歌唱中のオペラ歌手の声道をリアルタイムMRIで撮像して声道壁の振動を分析した。その結果、舌、咽頭、喉頭が大きく振動していた。これは、通常の発話では活動が小さい下咽頭収縮筋が活動したためと考えられる。そして、筋の走行によれば、ビブラートは輪状甲状筋と下咽頭収縮筋の甲状咽頭部(甲状咽頭筋)によって制御されている可能性があることが明らかになった。
著者
吉川 徹朗 上田 恵介
出版者
国立研究開発法人国立環境研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

シキミという樹木の種子は猛毒をもつにもかかわらず、ヤマガラという鳥によって運ばれていることがわかっている。本研究では、この特異な相利関係がヤマガラの体内微生物に及ぼす影響を明らかにする。特に、シキミ種子に含まれる猛毒物質がヤマガラの内部寄生者を減少させる可能性に注目する。シキミ自生地の内外でヤマガラの糞を採取し、そこに含まれるDNAの量を分析することで寄生者などの微生物の組成やアバンダンスを明らかにする。そしてシキミの種子を食べることが、ヤマガラの体内寄生者を減少させるかどうかを検証する。
著者
山田 悟郎
出版者
北海道開拓記念館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

平成13年度は、平成12年度に続き畠跡が発見された八雲町栄浜2遺跡と、平成13年度に畠跡が発見された隣接した栄浜3遺跡、北海道北端の稚内市声問川右岸2遺跡で発見された畠跡の調査を行い、畝断面に切り返しされた痕跡が存在するか否かの観察を行うとともに、花粉分析や浮遊選別用の土壌試料を採取した。切り返し跡が確認できたのは栄浜3遺跡の畝跡だけで、同遺跡の畝跡では3回の切り返し跡が確認でき、最低でも3年間は耕作が継続されていたことが明らかになっている。他の2遺跡の畝跡では切り返しの痕跡が確認できなかったことから、単年度の耕作が行われただけであったことが明らかになった。採取した土壌試料からは、野生植物の花粉や種子を検出することが出来たが、栽培種の花粉や種子はまだ発見されていない。また、石狩低地帯の千歳市内に分布する18世紀以前のアイヌ文化期遺跡の調査を行い、その下位には例外なく擦文文化期の遺物包含層や住居群が存在すること、同遺跡での断絶はみられず、擦文文化がアイヌ文化に移行した様子が伺える。擦文時代の雑穀が出土している同市末広遺跡、ユカンボシC13遺跡、ユカンボシC2遺跡、オサツ2遺跡、メボシ遺跡でも、上位にアイヌ文化期の遺物包含層や住居群が存在し、やはりそこから雑穀種子が出土している。出土した種子をみると、擦文文化の遺構ではアワ、キビが主となった作物コンプレックスが、上位のアイヌ文化期の遺構では、ヒエ、アワが主となった作物コンプレックスが確認でき、擦文文化から雑穀農耕は継続されたものの、主要作物の一つであるキビがヒエに置き操わったことが明らかとなった。
著者
大澤 稔 菊地 章子 沼田 健裕 金子 聡一郎 高山 真
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

この1年は「化学物質過敏症」患者のリクルーティング・ピックアップ準備の年であった。まずはpilot的に化学物質過敏症診断で高名な病院の「化学物質過敏症・環境アレルギー外来」で診断済みの患者を紹介してもらい評価の方法を探った。化学物質過敏症に伴う症状と治療(漢方薬)効果との関係にある程度の再現性が確認できたため、次に評価基準を設定する作業に入った。当初の実施計画の通りスクリーニングシートの作成を進めているが、内容としてはたいへん高名な診断ツールとして確立しているQuick Environmental Exposure Sensitivity Inventory(QEESI(R) )をベースにする方向で調整に入った。また個々の症状(頭痛・めまい他)もNSR(Numerical Rating Scale)で数値化を図ることとした。幸いこのQEESIの開発者に指導を仰ぐ機会に恵まれ、研究趣旨を汲んでいただけたため、今後連携研究者としての登録をいただく方向で準備をしている。また診断の信憑性を高めるため精神科の連携研究者の協力も今後仰ぐ予定でいる。化学物質過敏症は環境医学の領域でも大きなトピックである。この1年の間に化学、工学、看護学、衛生学を専門とする研究者のメーリングリストにも登録させていただいた。この課題に取り組むにあたり日本臨床環境医学会にも属することとなり、本研究代表者も医学の立場で情報交流をすることになり、治療実績発表の準備中である。この人事交流は本研究の大きな礎になることが予想される。
著者
齋藤 昌利 埴田 卓志 星合 哲郎 渡邊 真平 佐藤 信一
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

「いかなる新生児も後遺症無く生存させる」この命題は新生児医療が発展した現在においても周産期医療全体の最大の課題である。我々はこの命題に挑むべく、ヒト胎盤循環を模した体外式呼吸循環補助装置である「人工子宮・人工胎盤システム」をヒツジ胎仔を用いた実験で研究開発し、数々の成果を挙げている。そこで、この「人工子宮・人工胎盤システム」を用いたさらなる挑戦として、妊娠中に子宮内で増悪する胎児形態異常疾患を想定し、人工子宮・人工胎盤管理下で胎児治療を試みたいと考えた。本研究は、ヒツジ胎仔を用いて人工子宮・人工胎盤管理下で胎仔の開腹手術を行い、その可能性と安全性について評価する研究である。
著者
望月 勉 芳山 充晴 武田 正之 中込 宙史
出版者
山梨大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

下部尿路機能異常についてTRPチャネルの関与を解明すべく、各種ノックアウトマウスを用い、様々な角度から検証を行った。排尿代謝ケージシステムを用いた実験ではTRPV4ノックアウトマウスは頻尿を呈することが明らかとなった。また除脳を施した膀胱内圧測定では野生型マウスと比べnon-voiding contraction(不随意収縮)の回数が多いことが判明した。以上の結果より、TRPチャネルは下部尿路機能、とりわけ蓄尿機能の維持に重要な働きをなしていることが示唆された。各種TRPチャネルのコントロールが今後の過活動膀胱の治療のターゲットとして期待される。
著者
虫明 眞砂子 財満 健史 大脇 雅直
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

アマチュア合唱団員とプロ合唱団員は,合唱歌唱の発声をそれぞれどのように捉えているのか。まず、アマチュアとプロ合唱団員に対して質問紙調査を行った。その結果、両合唱団員は,ソロ歌唱と合唱歌唱それぞれの特質を認識し,両歌唱に適した発声技術で歌唱しようとしていることが明らかになった。次に、プロ歌手4名に発声を依頼し,合唱歌唱とソロ歌唱で,発声をどのように変化させているのか,歌い方の違いでどのような音響学的な差異が出るのかを,聞き取り調査と音の可視化装置によって,より客観的に捉えることを試みた。その結果、和音発声,旋律発声のいずれでも,4名の合唱歌唱では,音の到来方向が中央に収束する傾向が確認された。
著者
太田 晴久 橋本 龍一郎 金井 智恵子 山田 浩樹
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

ASDと ADHDの存率は高いことが報告されおり、両障害に共通して感覚過敏が認められる。本研究ではDTIを用いて、両障害における白質繊維走行の異同および感覚過敏との関連について調査した。知的障害のない成人のASD、ADHD、健常発達成人合計約200人を対象とした。脳梁において発達障害群で健常成人群と比較して白質繊維走行の異常が認められた。それは両障害で共通した所見であり、両障害間での統計学的に有意な差異はみられなかった。発達障害群で感覚過敏の評価尺度の点数と白質繊維走行に関係する値との相関を示した部位は両障害間で共通しているところが多くみられた。