著者
西島 孜哉
出版者
武庫川女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

西鶴の使用語彙から策定された人間文化の総体について、現時点では次のような試案を想定し、その吟味と検証、補訂を行っている。それは新しい人間文化のモデルを提言しうるものと考えている。人間文化を大きく5 つの構成要素に分類し、その要素を生成する小概念をたてる。What/Why何を/なぜ大切にするか(人間尊重・帰属性・規律性・社交性キーワード : 不義・人はならはせ・生国・義理・情・はなしHow/どのような生き方をするか(誠実性・着実性・知の継承)キーワード : 誠・長者丸・世の鑑What/How何を/どのように創り出すか(創造性・素人性・玄人性)キーワード : 仕出し・贔屓・家職・家業What/How何を/どのように求めるか(現実重視・精神性・向上心・競争心)キーワード : 浮世・訳知り・粋・天下一What/How何を/どのように受けつぐか(伝統文化融合・地域文化融合・国際性)キーワード : 俗源氏・珍奇・世界括弧内の小概念を成立させるキーワードを設定する。西鶴作品の中で人間文化と関わりのある語彙を選定してキーワードとして取り上げた。短期間の研究であり、キーワードは僅かしかあげえないが、今後引き続いて西鶴作品から数多くのキーワードを抽出しうると考えている。そのキーワード群によって構築する西鶴の人間文化図と現代の人間文化との対比によって、新しい提言が可能となるのである。
著者
奥村 史朗 齋藤 浩之
出版者
福岡県工業技術センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

パラスポリン4 はヒト大腸がん由来のCACO-2 細胞をはじめとするヒト培養がん細胞に対して高い細胞傷害活性を示す一方で、正常細胞に対しては細胞傷害活性を示さないが、このことは正常な哺乳動物に対して毒性を示さないことを保証するものではない。そこで、マウスに対する急性毒性および長期投与における健康への影響を検討した。また、パラスポリン4 前駆体封入体の経口投与によるがん抑制効果の検討を行った。
著者
柴田 篤
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

1,『天主実義』の諸版本を調査・検討することによって、本書の成立事情、諸版本の異同、文字の改竄などについて明らかにした。2,『天主実義』に見える西洋人と中国人との対話の背景について、引用文の典拠や前提となっている思想を具体的に明らかにした。3,『天主実義』の著者であるマテオ・リッチの中国思想に対する考え方を明らかにした4,マテオ・リッチが『天主実義』を著述した意図と目的を、本文に即して具体的に明らかにした。5,『天主実義』の重要概念である「天主」と「霊魂」に関して、原文(中国文)の使用方法を分析することによって、従来の誤読を修正した。6,『天主実義』全篇の現代語訳を完成させ、我が国ではじめて出版した。7,『天主実義』を正確に現代語訳することによって、本書の持つ思想史的意味が従来以上に明らかになった。8,『天主実義』本文に見える固有名詞(人名・書名・地名)の索引を作成した。9,明代末期から清代にかけて、『天主実義』がどのように読まれてきたかを具体的に明らかにした。10,朝鮮王朝において、『天主実義』がどのような影響を与えたかということを具体的に明らかにした。11,江戸時代において、『天主実義』がどのような影響を与えたかということを具体的に明らかにした。12,『天主実義』と関係深い『畸人十篇』の内容を検討することによって、今後の研究の方向性が明らかになった。
著者
石渡 貴之 長谷川 博 柳田 信也 鈴木 航太 松村 健 中川 晃
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

体温調節機構においては視床下部の視索前野/前視床下部(PO/AH)が特に重要な部位であり,セロトニン(5-HT)が熱放散機構,そしてドーパミン(DA),ノルエピネフリン(NE)が熱産生機構に関与していることが示されている.本研究では,自発運動によるPO/AHの脳内神経伝達物質の変動及び体温調節に及ぼす影響を解明することを目的とした.自発運動群は非運動群に比べて,安静時の心拍数が低いという結果が得られた.また,深部体温に関しても,昼夜の高低の変動がハッキリしており,メリハリがあることが明らかであった.更に自発運動群のPO/AHのDAとNEが非運動群と比べて有意に高い結果であった.
著者
大島 光春 広谷 浩子 田口 公則 石浜 佐栄子
出版者
神奈川県立生命の星・地球博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

科学館や子どものための博物館では、対象を子どもに絞り、体験・体感できるような展示を行っている。一方、自然史博物館では、恐竜・鉱物・昆虫などを静置し、大きい・美しい・珍しいなどの感動から、自然への興味関心を引き出している。このような展示は来館者にある程度の知識や経験を要求することが多い。しかし、子どもを対象にした場合、自然史への興味の導入には、科学館などのような動く展示が重要な役割を果たしていると考え、自然史博物館にふさわしい動的展示を開発し、それをさらに有効に活用できるプログラムを試行した。
著者
田中 伸彦 伊藤 太一
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

「里山」を「人里近くにあって人々の生活と結びついた山や森林」と定義した。その里山を、観光デスティネーション(D)としてとらえ、レジャー観の多様性を体系化し、科学的根拠に基づき計画的提言を行った。内容は1.観光Dとして里山を捉える意義、2.観光学におけるDマネジメントと資源/施設との関連、3.里山観光を巡る興味関心と施策の変遷に関する考察、4.Dとしての里山の地理評価法の開発、5.里山の自然公園管理から構成される。成果としては、市民の里山に関する興味関心の広がりを時系列的に明らかにし、里山観光Dの地理的集散状況の経年変化を定量化する指標を開発し、客観的な里山観光地評価を行うことを可能とした。
著者
三井 利仁 田島 文博 中村 健 伊藤 倫之 馬渕 博行
出版者
和歌山県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

頸髄障害者(CSCI)は副腎髄質への交感神経支配が障害されているために運動時アドレナリン分泌が胸腰髄損傷者(LSCI)より抑制されている。今回の研究で、当初運動による上昇を予想していた酸化LDLがLSCIに比べCSCIで抑制されていた理由として、このアドレナリン分泌の低下が一因であると推察される。下部胸髄節交感神経障害があるLSCIには末梢性交感神経障害が存在すると考えられる。結果よりoxLDLがLSCIよりCSCIの方が抑制されていた理由は、このアドレナリン分泌の低下が原因であると推察する。酸化LDLの有意な増加がないことからは、この運動はたとえCSCIにおいても安全であることが示唆された。
著者
河西 憲一
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では途中退去が伴う複数サーバ待ち行列システムの待ち行列長分布について検討した。特に途中退去までの時間が一定の場合を前提として、待ち行列長の定常分布を解析した。サービス中の客のうち、最後にサービスを開始した客の経過系内滞在時間、あるいはシステムの仮待ち時間が従うべき積分微分方程式を導出し、それらの解を行列指数形式の混合として与えた。さらに行列指数形式を安定行列として表現することにより、数値計算に適した待ち行列長分布の評価アルゴリズムを開発した。さらに、客が途中退去する確率、客の待ち時間分布を評価するアルゴリズムも開発した。
著者
滝田 好宏 伊達 央
出版者
防衛大学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,ホームセンタで安価に購入できる刈払機をロボット車体に搭載することで,比較的長く伸びた草を刈り倒すことができる自律型刈払ロボットを提案して試作を行った.ロボットの移動機構は車体中央で屈曲するアーティキュレート式とし,100kg搭載可能で30.3kg の車体重量となった.刈り残しがない軌道計画と誘導および安全な刈払を行うために,自律制御プログラムの開発をつくばチャレンジに参加して行った.今後は,本ロボットの実証実験を行っていく.
著者
中園 薫 長嶋 祐二
出版者
兵庫県立福祉のまちづくり研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

手話表現に見られる視覚言語独特の写像的表現方法をピクトグラムデザインに応用した理解しやすいデザイン手法,およびマクロな表現から細かい手指の表現までを階層的に記述する視覚表現手法の確立を目指して研究を進めた.手話会話映像分析作業から抽出された手話独特の表現様式を利用し,抽象的概念を表現した3~数枚の動画ピクトグラムを作成し,評価実験により了解度の向上を確認した.次にTVMLにより,アニメーション的な動きのある動画ピクトグラムを記述・作成する手法を試みた.さらに記述が容易なマクロ表現からTVMLへ至る階層的表現の枠組みと変換によってTVMLの詳細なプログラミング作業を簡略化する手法の検討を行った.
著者
中野 忠
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

16世紀のロンドンはフリーメンが大多数を占め、彼らが地域の自治に役職を通じて参加する都市だった。この制度の枠組みは存続するが、それを支える原理は17世紀以降、しだいに変化した。罰金支払いによる役職忌避が広がり、役職の一部は有給の職員の雇用や請負によって置き換えられた。地域人口の高い流動性も役職制度の機能の障害となった。大火以後の移動の高まりに対して、転入者を役職制度に組み込むための努力も払われた。しかし役職を通じての奉仕よりも地方税の支払いがより重要な住民の貢献になっていった。教区ごとの救貧税により貧民を救済する救貧法の定着が、この傾向を促進した
著者
山本 雅史 高田 教臣 山本 俊哉 清水 徳朗
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

ナシにおいて原品種と同じ遺伝子型を備える葉を材料とした染色体分析法を開発した。幼葉を材料とした酵素解離法による最適条件は、酵素組成が4%セルラーゼオノズカRS、1.5%マセロザイムR200および0.3%ペクトリアーゼY-23、37℃、60~75分であった。ニホンナシ黒斑病のナシにおける本病因遺伝子座の染色体上の位置を検出した。この領域を含むBACクローンを用いたFISHを行ったところ、2本の染色体の端部にシグナルが観察できた。ナシと同じくバラ科ナシ亜科に属するリンゴの染色体構成をナシと比較した。両者の染色体構成は極めて類似していた。
著者
市川 治 淵野 雄二郎 秋山 邦裕 吉岡 徹 菅原 優 田野 光彦 仁平 恒夫 發地 喜久治 中村 稔 村田 まり子
出版者
酪農学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、農業構造改革に対応する農業経営の成長という観点から大規模土地利用型農業生産法人に着目し、農業経営内的展開と外的農業参入展開に分類し、その量的・質的な分析を通じて、経営成長のモデルの条件を提案した。具体的なモデルの条件としては、先駆的な経営者や後継者、中核的な従業員が存在し、大規模化の農業生産技術や先端技術を獲得したもので、農産物の加工・販売などの付加価値生産部門や直接販売部門・直売所やレストランをもつものである。
著者
今枝 奈保美 磯本 征雄 長谷川 信 後藤 千穂 小嶋 汐美 垣内 久美子 細野 覚代 釜野 桜子 栗原 綾子 三上 春夫 宮川 尚子 内藤 真理子 中畑 典子 南里 妃名子 岡本 尚子 尾崎 悦子 矢口 友理 遠藤 香 佐藤 信子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

目的:食事記録調査の効率化と精度向上に資するために、食事記録調査の信頼性に影響する諸因子の関連を見直して,食事記録調査支援ツールとしてコンピュータに実装すること。方法:12日間食事記録調査(4季節不連続3日間)の手順をプロセス評価した.結果:コード化標準マニュアル、e-ラーニング、メーリングリスト、入力過誤検索データベース、コード化困難事例照会システム、地区スタッフからのフィードバックアンケートを開発した.熟練した栄養士に備わっている暗黙知を、いくつかのコンピュータ支援ツールとして開発できた.
著者
秋山 純子 畑 靖紀 森實 久美子 鷲頭 桂
出版者
独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

彩色材料は当時の社会情勢や世界との交流の歴史を解明する上で重要な要素のひとつである。近年の分析装置の発展により非破壊で多くの情報が得られるようになったが、絵画の彩色材料の解明には、非破壊で簡便な「面」の広がりを持った総合的な判断要素となる科学分析が必要である。本研究では、赤外線撮影法が彩色材料の面的調査に有効な方法となりうるか検証した。その結果、赤外線画像の濃淡だけで顔料の種類を特定することは難しいが、同じ彩色材料の使用範囲や染料と顔料の組み合わせの様相など技法的な部分を面的に推察するのに有効であることが明らかとなった。
著者
米浪 直子 尾関 百合子 伊藤 知子
出版者
京都女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

野菜類は細菌に汚染されていることが多く、水洗浄だけでは完全に取り除くことは難しいことが報告されている。食中毒を予防するためには、HACCPの考え方をできる限り取り入れ、各給食現場に応じた衛生管理を行うことが必要である。それゆえ、本研究では、(1)HACCPに基づいた野菜の調理作業工程と一般的な調理作業工程について、いくつかのポイントで細菌検査を行った。(2)酢の物の調理作業工程のモデル実験で、きゅうりの洗浄、加熱処理、食酢の添加による殺菌効果について検討を行った。(3)生野菜の細菌数に及ぼすマスタードドレッシングの効果について検討した。以上のことから中心温度75℃1分以上の加熱処理を重要管理点としたHACCPシステムに基づく衛生管理の重要性が確認された。
著者
鈴木 正康
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

蛍光センサ色素や生体由来の分子識別素子を複数回重ねてマイクロコンタクトプリンティングすることで、一つのチップ上に複数種の極微小オプティカルバイオケミカルセンサを構築すると共に、作製したオプティカルバイオケミカルセンサを用いて化学物質の2次元的な分布の経時変化を画像化することに成功した。
著者
馬場 敦
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

高等生物は管腔様構造の臓器ネットワークを有しており、形成過程での破綻はヒトにおいてもよく見られるが、その原因は遺伝的要因と環境的要因とが交差しており不明な点が多い。申請者はCelsr1欠損マウスが生殖器系管腔様構造の形成不全を呈し、この表現型が糖転移酵素Fringeの欠損マウスの表現型と酷似することを発見した。Celsr1蛋白質は2箇所のEGF-like motifにおいてO-フコシル化かつFringe修飾され、細胞内分布が制御された。以上の結果から「翻訳後の糖鎖修飾がCelsr1蛋白質の局在を制御する」ことが明らかとなり、管腔様構造の形成に特異的な、糖鎖修飾による制御機構が明らかとなった。
著者
DETHLEFS H・J
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究はレオナルド・ダ・ヴィンチの草稿を中心とし、彼が北ドイツ、特にゲーテ時代のドイツにおける芸術理論に及ぼした影響をテーマとした。当初は1810年のゲーテの色彩論の中に、レオナルドの光の理解が受容されかつ変形されているという考えだったが、研究を進める中でレオナルドの草稿に自ら目を通して研究したヴァザーリの重要性が私の目にはっきり見えて来た。以来、ヴァザーリの伝記に散見する色彩理論的発言と並び、これまで一般に蔑ろにされて、2006年にようやくドイツ語に翻訳された「建築、彫刻、および絵画論序論」に焦点を当てた。ヴァザーリは、レオナルドの文献に時折見られる一つの概念を取り上げた最初の著作家である。
著者
千足 昇平
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

単層カーボンナノチューブ(SWNT)のデバイス応用に向けた,光学物性の解明を目的とし,レイリー散乱分光計測システムを設計し構築を行った.液中に分散したSWNT,スリット構造に架橋したSWNTなど様々な形態のSWNTサンプルに対し,レイリー散乱スペクトルの取得やレイリー散乱イメージング計測に成功した.SWNTはその直径が1nm程度しかないが,十分強いレイリー散乱光強度を得ることができ,今後のSWNTデバイスの評価・分析にレイリー分光計測が有効であることが明らかとなった.