著者
トン ショウミン
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

第一原理の理論計算によって、(1)強レーザー場における原子・分子再散乱電子の運動量分布を得た。その得られた運動量分布を利用して、ヘリウム原子の非逐次2重電離の過程を解明した。(2)強-レーザー場における原子・分子の光吸収過程のメカニズムを解明した。赤外線による、原子の光透過率をアト秒の範囲での制御方法を提案した。この方法は実験で使われている。
著者
畝部 俊也
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

タイ国ワット・ラジャシッダラム寺院所蔵のパンニャーサ・ジャータカ写本の分析を行い、そのうちの3話について写本に基づいてテキストを作成し、和訳を行った。内容面についての研究成果は2011年6月に開かれた国際佛教学会で発表した。また、同寺院の仏伝を描いた壁画とタイの蔵外仏伝文学作品『パタマサンボーディ』を主たる比較資料として、オックスフォード大学ボードリアン図書館所蔵の装飾仏教写本の挿絵(仏伝部分)について研究した。この成果については同図書館より2013年春に同図書館より刊行される予定の書籍によって公表される。上のパンニャーサ・ジャータカのテキスト研究を含むそれ以外の研究成果は、研究成果報告冊子にまとめた。
著者
冨士田 亮子
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

子どもの出産や成長の段階で入手される子ども専用生活財や子供室は、子どもの独立後には主たる目的を失う。家族縮小期の生活財と住空間のあり方に影響の大である子ども専用生活財や子供室は、子ども独立後にはどのように考えていったらよいのかについて1,集合住宅及び戸建て住宅居住者を対象としたアンケート調査、2,戸建て住宅居住者を対象とした聞き取り調査、3,住宅情報誌編集長、及び木材の製材及び加工業者などによる聞き取り調査を行った。1.集合住宅及び戸建て住宅居住者に対するアンケート調査集合住宅では、子ども独立後には、学習机と椅子は処分、オーディオやテレビは子ども自身の住まいに持参、節句人形は収納空間に収納、冷暖房機器、本棚やシングルベッドは他の家族が使用しており、元子供室にそのまま置かれている家具は少ない。子供用生活財は、子ども独立後には現住宅内で家族が活用したいと考えている。一方、子供室は、子ども独立後もそのままにされている。戸建て住宅では、子供用生活財は、元子供室にそのままの状態が多い。2.戸建て住宅居住者への聞き取り調査元子供室は、夫や妻の専用室、また下の子の居室に用いられることもあるが、そのままの状態である。子ども用生活財も使われないまま室内に置かれている。床面を占める家具ばかりでなく、衣類や学用品などについても課題が多い。3.企業への聞き取り調査住宅情報誌編集長からは、子ども独立独立後には、現在の住宅に住み続けるのではなく,住み替えの希望が都市部でみられる。木材の製材及び加工業者からは、木廃材をパーティクルボードにし、これからユニットボックスやサイズオーダーデスクに製品化し、使用後は製造会社に返却でき、それを更に新たなパーティクルボードに蘇らせるリサイクル保証付きの家具が試みられ冠家具そのものとして使用できない場合にも再生の方法があることが明らかになった。
著者
生藤 昌子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

カタストロフィーは起きる確率は非常に低いが一度起きると経済的損失は莫大となる。本研究は、そのようなリスクが存在する状況下での政策分析を可能とする理論的枠組みを探ることが目的である。経済学では一般的に、リスクあるいは不確実性のもとでの意思決定について、リスク回避度一定の効用関数と期待効用理論が用いられる。しかし、1970年代に期待効用理論に整合的な確率変数の分布制約について議論され、その後その制約のもとで分析されてきた。それに対して最近のカタストロフィック・リスクのもとでの環境政策の研究において、期待値が発散する(つまり期待値の無くなる)状況を避けるために、損害の確率分布にその裾部を狭めるような仮定を置く分析の有効性について議論されている。本研究は裾野の広い確率分布に対して期待効用分析可能な効用関数の特性に着目した。環境政策に関する本研究の成果として、昨年度にワーキング・ペーパーのかたちで公表した"Expected utility and catastrophic risk in a stochastic economy-climate model"は、さらに改訂を行い"Weitzman Meets Nordhaus : Expected Utility and Catastrophic Riskina Stochastic Economy-Climate Model"として海外の専門誌に投稿中である。同様に昨年度公表した"Burr Utility"は効用関数の特性を詳細に分析している。絶対的リスク回避度は消費に関して減少し、相対的リスク回避度は増加するが有限であるPareto utilityが、どのような確率分布関数に対しても期待効用分析が可能であることが示されている。論文表題を改めた"Paret-Utility"は、査読付きの国際的な学術誌に掲載が予定されている。
著者
上原 三十三
出版者
愛知教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では,体育授業における運動感覚能力の向上を目指した,なわとび運動の「連鎖交互回しとび」のデジタル教材を開発した。本教材は,次のように作成された。「連鎖交互回しとび」の多様な運動形態をモルフォロギー的な発生分析によって分類し,体系化した。「連鎖交互回しとび」の基本形態習得における学習つまずき事例を動感分析し,「できる」動感を誘う運動アナロゴンを構想した。本教材を用いて小中高校の体育授業を実践した結果,運動の得意でない生徒たちも,自分と相手の動きに気づき,動感内容を伝え合うなどの積極的な学習活動が認められた。
著者
岩堀 修一 菅谷 純子 小塩 海平 坂本 知昭
出版者
東京農業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

マンゴー果実をエチレン吸着袋で貯蔵すると、貯蔵期間が延長され、袋内の果実は呼吸、エチレン発生ともに抑えられた。果実を20Cと13Cで貯蔵すると、ACC合成酵素、ACC酸化酵素ともにまず遺伝子の発現が上昇し、ついで、酵素活性が増加、その後にエチレン発生が増加した。8C貯蔵で低温障害が認められ、完熟果より緑熟果のほうが早く出現した。緑熟果ではACC合成酵素、ACC酸化酵素ともに遺伝子の発現が著しく高くなった。
著者
加藤 修
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

この研究では、地域活性化ワークショップを大学の授業として取り入れ、学生に継続的な活動環境を確保することで、主体的に思考する機会と実践経験量を増やすことができた。それにより彼らは自己理解と他者理解、技術能力の向上とともに高い問題意識を持つように変化した。さらに2年目からの商店街との恊働による実践的課題との対峙、多世代間との交流によって、多角的思考力を身につけた。大学と地域の連携のあり方についても、両者にとってリアルな知識・文化・情報の接触領域として、街なかの「スタジオ」を創設し、その運営を継続している。
著者
泉 克幸
出版者
京都女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究の目的は知的財産法を競争政策との関連で分析・検討するというものである。具体的なテーマとして、①知的財産権ライセンス時における独禁法上の問題、②知的財産の流通、③権利濫用や公序良俗理論と競争政策の関係、という3つを設定した。テーマ①に関しては、著作権の権利処理機関を競争政策の観点から分析した。また、公取委の最近の相談事例を分析した。テーマ②に関しては、電子書籍市場を素材に、著作権法を競争政策の観点から分析した。テーマ③に関しては、標準必須特許の権利行使を制限する手法として、権利濫用理論と競争法違反の両面から検討を行った。現在、本研究の総合的・最終的成果として論文を準備中である。
著者
今井 小の実 寺本 尚美 陳 礼美 大塩 まゆみ アンベッケン エルスマリー 孫 良 サンド アンブリット
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

日本における”ケア”労働に関するジェンダー公平な政策を展望するために、ジェンダー平等な国と評価されるスウェーデンを指標に研究を進めてきた。具体的には高齢者介護、育児政策に焦点をあて、その現状と課題を現地調査、スウェーデン在住の研究協力者との共同研究により明らかにした。そのうえで、日本の現在の制度・政策との比較を試み、両国の相違をもたらす要因について考察を深めた。その一つとして、スウェーデンのケアに関わる政策、つまり家族政策形成の歴史を検証し、日本との比較を行った。これらの研究は、今後日本がジェンダー平等な政策を展開していく上での貴重な材料となるはずで一定の成果が得られたと考える。
著者
北市 記子 八尾 里絵子
出版者
静岡産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、メディアアートのパイオニアとしてわが国のアートシーンに偉大な功績を残してきた山口勝弘の「今」について言及する。2010 年以降、我々は山口から直接依頼を受けて彼の作品制作に密接に関わっており、その成果の一つとして2013 年10 月に展覧会「回遊する思考:山口勝弘展」を開催した。そこでは近年の代表作と共に、今回の展覧会に向けて新たに制作した最新作「ヴィトリーヌもどき」も発表された。
著者
石田 淳一
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

長期間の足場のある算数授業は既習事項を手がかりに学ぶという信念を形成し、算数学力の向上に効果的であった。また算数シナリオや授業記録を用いた話し合い指導は、子どもが聴いて考えて伝え合う「学び合い」のある授業づくりに役立った。さらに1時間の授業の中に、協同学習を取り入れて、解法の見通しを相談させたり、問題をグループで解決させたりすることは、新しい学びの習得を促進するだけでなく、仲間と協力して学ぶカを育てるのに効果的であった。
著者
今村 律子 赤松 純子 山本 奈美 川嶋 径代 北又 寿美
出版者
和歌山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

小・中学校家庭科教科書における衣生活の「安全・安心」表記は実験・実習に関わる機器や用具の使い方が中心であり、高等学校も含め、食・住と比較して表記が少なかった。しかし、「安全」という表記がない文章や図中にも種々の視点のリスクが含まれており、授業者が「安全」を意識した授業展開が出来るよう配慮すべきであることがわかった。そこで、着衣着火事故から衣服の手入れや繊維の性質を学習する授業提案をおこなった。さらに、住生活をも関連させた授業展開が可能となった。
著者
大越 愛子 井桁 碧 白水 士郎 森岡 正博
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

社会や技術の変化と進展に伴って、特に生殖をめぐる旧来の法・制度の限界が明確に意識されつつある中、本研究では後者の本質を生殖と身体をめぐる「自然主義」と特徴づけ、フェミニズム理論から代理母出産等の環実問題、過去の国家政策に至るまで、広範な領域における「自然」概念の検証・批判と、今後に向けた課題の整理を行った、最終年度にその成果を、研究分担者・連携者を中心とした6名の寄稿者による論文集として印刷・配布を行った。
著者
宮町 良広
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、日本における対内直接投資の概要を整理し、それが地域経済に及ぼす効果について、九州を事例として考察した。九州への外資系企業の進出は増加傾向にあり、その数は500事業所を超える(2015年)。外資系企業が地域経済に及ぼす影響は,資本注入,地元企業への刺激,知識の伝播,雇用創出の4領域に区分できることから、九州の場合を分析したところ、これまではやや低調であることが解明された。日本政府は2014年に新たな地域政策である「地方創生総合戦略」を導入し、その中で対内直接投資の拡大を掲げている。地方自治体においては、地域人材高度化などの「高次」政策にシフトすることが重要である。
著者
尾崎 弘之 大木 裕子
出版者
東京工科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究のまとめとして、2012年に著書「社会変革期の成長戦略:グリーンラッシュで生まれる新市場を狙え」を出版した。元々、エネルギー、リサイクルなど限られた業界が担ってきた環境ビジネスに、幅広い業界からの参入とシナジー効果が見られる。新しい市場が形成される状況を「グリーンラッシュ」と名付けた。グリーンラッシュとそこから生まれるベンチャー企業のイノベーションは今後の経済成長に貢献する可能性が高く、研究意義が高いと思われる。
著者
竹元 仁美 山本 八千代 泉澤 真紀 笹尾 あゆみ 前田 尚美
出版者
東京純心大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

平成26年度から平成29年度に実施した3つの調査研究から、我々は日本型と言える特徴を備えた性暴力被害者への看護ケアの重要項目を明らかにした。それに加え、文献検討で整理したWHO暴力対応ガイドラインやなど北米のSexual Assault Nurse Examinerプログラムを基にして、性暴力被害者看護ケアの基本プロトコルを創り、看護職に対する教育プログラムの組み立てを行った。これによって、病院拠点型ワンストップ支援センターに展開されるべき性暴力被害者看護ケアを、機関を問わず提供することに資する。今後の展開として、看護基礎教育に組み込み、効果の検証をしていくことを目指す。
著者
小林 英紀 関口 猛 山本 泰 山本 泰
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

ユビキチン依存タンパク質分解は、細胞内外の環境ストレス応答における制御システムに重要な役割を担っている。本件研究では、出芽酵母と葉緑体を用いて、ストレス応答とタンパク質分解の制御について解析した結果、酵母の塩ストレスではUBL-UBAユビキチンレセプターが、栄養ストレスではGタンパク質Gtr1-Gtr2複合体が、葉緑体の光ストレスではD1タンパク質分解とFtsH-チラコイド構造が分解制御に関与することが示された。
著者
金子 洋之
出版者
専修大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、「証明」という概念に基づく意味論を再構築するための基礎研究として、非形式的証明という概念に焦点を合わせてきた。その結果、論理的証明の有用性と妥当性をどう調停するかという問題に非形式的な証明の概念が密接に関連すること、また、ブラウワーのバー定理の証明を分析することを通して、心的構成としての証明が、非形式的証明という概念の解明への重要な手がかりになることが、明らかになってきた。
著者
村上 義孝
出版者
滋賀医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

喫煙状況別の平均余命・障害なし平均余命を日本の代表的なコホートデータ(NIPPON DATA)から算出、比較した。簡易生命表法(Chiangの方法)、Sullivan 法を用い、喫煙状況別に推定した結果、男性の60歳平均余命は非喫煙群で23.8年、喫煙経験群(現在喫煙+禁煙)で21.0年と2.8年の差が、60歳障害なし平均余命では非喫煙群21.0年、喫煙経験群では19.7年で1.3年の差がみられた。この差は他の先進諸国より小さく、喫煙の年次変化、間接喫煙、肺がん死亡率の高さなどが理由として考えられた。
著者
山中 福子 下元 理恵 山田 覚
出版者
高知県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

保存期のCKD患者、CKD患者に関わる看護師を対象に半構造的面接調査を行い、質的帰納的に分析した。結果、保存期CKD患者は、自分の体感と一致しない身体の状態に直面し、戸惑いながらも、悪化させないための療養に取り組んでいた。看護師は、患者の状況に応じて病状変化の原因を患者とともに探索する、患者の感情・考えを表現できる機会をつくるなど患者の体験に着目した支援を行っていた。看護師は、患者の体験を捉え、支援につなげていた。また、個々の支援を連携するための課題が明らかになった。