著者
伊藤 壽啓 大槻 公一
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

鶏の強毒インフルエンザ、いわゆる家禽ペストは急性で致死的な伝染病であり、一度流行するとその国の養鶏産業は壊滅的な打撃を被る。しかし、野鳥が保有する弱毒のトリインフルエンザウイルスがどのようなメカニズムで鶏に対する病原性を獲得するのかは詳らかではない。そこで本研究では弱毒トリインフルエンザウイルス病原性獲得機構の分子レベルでの解明を試みた。我々はまず、国内に飛来する渡り烏から分離された弱毒トリインフルエンザウイルスを鶏ヒナの気嚢で24代、さらに脳で5代継代した。最終的に得られた24a5b株は鶏に対する致死率が100%の強毒株に変異していた。そこでこの弱毒ウイルス親株と一連の継代株のHA開裂部位のアミノ酸配列を調べた。その結果、親株の開裂部位には、塩基性アミノ酸R(アルギニン)が-1位と-5位にそれぞれ離れて単独で存在する典型的な弱毒型HAのアミノ酸配列であったが、継代を繰り返す間に2度の点変異と3塩基の挿入が起こり塩基性のアミノ酸(Rまたはリジン(K))への置換あるいは挿入が起こり、結果としてR-R-K-K-Rという合計5個の塩基性アミノ酸が連続した強毒ウイルスに変異していたことが明らかとなった。一方、継代株のニワトリ体内での増殖試験では継代を重ねるごとに、最初は鶏でほとんど増殖できなかった親株が徐々に他臓器増殖性を獲得し、最終的に脳を含む全身で増殖可能な強毒ウイルスに変異していたことが明かとなった。即ち、自然界においても渡り鳥が保有する弱毒トリインフルエンザウイルスが鶏に伝播し、鶏から鶏へと次々に新たな感染が操り返される間に、HAの開裂部位のアミノ酸が段階的に置換し、徐々に多臓器増殖性を獲得して強毒ウイルスに変異するものと考えられた。
著者
川野 佐江子
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

研究期間全体を通じて,研究目的①~③は,次のような成果を得ることができた.①力士たちは「相撲美」という様式美に自己を依拠させることで,アイデンティティを確立していたことが分かった.②現代の力士の「稽古」はトレーニングの意図を中心に展開されており,体脂肪率や栄養管理など筋肉を中心とした西欧的身体へとまなざしが移行していることが分かった.③主に横綱柏戸を例に考察した結果,「アイデンティティ確立への要請」や「剛健であること」が近代的男性性と結びつくことが議論できた.本研究では,相撲研究が現代社会の諸問題,とりわけ現代の男性が抱える問題にまで展開できることを示したことが,新たな成果としてあげられる.
著者
諸隈 誠一 福嶋 恒太郎
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

妊娠中の母親の精神的ストレス、大気汚染などの外的環境、化学物質の移行といった胎児をとりまく環境が、胎児の脳機能の発達に影響を与え、さらには生後の発達障害や心の脆弱性に影響する可能性が示唆されている。本研究では、胎内環境が胎児の脳機能の発達に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。研究成果として、胎児の脳機能発達評価方法を確立した。また、行動発達と自律神経系機能との関連を明らかにした。さらに、大気汚染時期と妊娠合併症の関連が明らかとなりつつある。音環境に関する実験、ストレスに関してデータ解析を行っており、引き続き、胎児環境に関して複合的に検討を行っていく。
著者
三木 望
出版者
駒澤大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の目的は、日本人英語学習者のメタ談話標識の体系的なエラーを明らかにすることによって、日本人英語学習者が英作文で論理的な展開を苦手とする主な要因を解明することと英作文の教授法に示唆を与えることである。分析した結果、英語校閲者に添削されるメタ談話標識もあれば、添削されないメタ談話標識もあることを指摘し、メタ談話標識の修正フィードバックの限界を述べた。本研究の学習者コーパスの結果に準拠した指示の重要性を述べ、英作文の指導の提案をした。
著者
磯部 祐子
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、江戸後期から明治初期の漢文笑話集および漢文小説に 収められた漢文笑話の所蔵・書誌の調査、訳読と作品の分析を行い、各話の特色、パロディ化された出典の変遷を導く。これにより、江戸後期および明治の漢文笑話が、江戸前期漢文笑話の特徴であった小咄の翻案や中国『笑府』の模倣の枠を超えて、風刺性・物語性が増加していくことを導き、その背景を考証するものである。本研究は、これまで、日本における漢文笑話作品集のうち、『笑門』(1797)、『胡盧百転』(1797)、『笑堂福聚』(1804)、『善謔随訳続編』(1798)、『奇談新編』(1842)の基礎的調査と訳読を終えたが、今年度は『善謔随訳続編』について、個々の笑話を『沙石集』の影響・先行小咄との関連性 ・中国由来の典故の使用実態・使用語彙の特質・仏教色等の側面から考察し、訳読・解説およびその考察結果を論文として発表した。すでに発表公刊している「善謔随訳続編を読む(一)」(『富山大学人文学部紀要第67号』)に続編である、「善謔随訳続編を読む(二)」(『富山大学人文学部紀要第67号』)「善謔随訳続編を読む(三)」(『富山大学人文学部紀要第68号』)の二篇がそれである。その中では、『善謔随訳』と『善謔随訳続編』の相違とその背景にも言及した。また、『訳準笑話』作品と明代『笑府』の関係について、一昨年、中国寧波天一閣博物館・上海復旦大學古籍整理研究所共催の「明代的書籍與文學國際學術討論會」において発表した内容に基づき、中国の研究誌『文匯学人』第308期に、「從中國笑話到日本小咄」と題して発表した。この論考は、中国の笑話「笑府」の影響下にあると思われる『訳準笑話』作品を、『笑府』の原話と比較し、①用語の文言化、②内容の日本化、③ストーリーの合理化、④中日笑話の相違等の視点から考察したものである。他、『奇談新編』についても、訳読と解説を進めた。
著者
福野 光輝
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

公共事業において社会全体の利益を追求する行政と、それによってさまざまな負担を強いられる地域住民との利害対立をどう調整すべきかは重要な問題のひとつである。こうした利害対立は、地域住民側のマイクロ公正判断と行政側のマクロ公正判断の不一致ととらえられる。ウェブ調査によって、一般市民がこうした利害対立をマイクロ公正とマクロ公正の不一致として認識しているかを検討した結果、この仮説は部分的に支持された。
著者
清水 義彦
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

わが国の礫床河川の多くは低水路の極端な河床低下と植物繁茂した砂礫州との比高増大により,河道内樹林化や砂州・みお筋の固定,水衝部の形成が治水上の問題となっている.本研究では,中小洪水を比高の高い砂州の内部に導く砂州掘削路を設けることにより,洪水撹乱を誘発して,①砂州上の樹木生育基盤の撹乱 (樹林化の抑制),②砂州・低水路河床の大きな高低差(横断比高)の解消,③低水路線形の変更(屈曲した低水路流れによる水衝部形成の是正)をねらい,その効果評価を通じて洪水のダイナミズムを利用した新たな河道管理手法の提案を行うものである.
著者
渡嘉敷 崇
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

地域在住の超高齢者における血管内皮前駆細胞数、ω-3脂肪酸及び脳画像的特徴と認知機能の相関性を評価する目的で研究を開始した。161名の80歳以上の地域住民を対象に歩行機能評価を含めた身体測定や血液検査、MRIを用いた脳画像評価、生活調査及び認知機能検査を行った。今回の研究では、特に血管機能と認知機能の相関について主眼を置き、血液検査においては血管内皮前駆細胞数をフローサイトメトリーで測定し、身体測定では血管機能の指標となり得る項目を各種機器を用いて測定した。頭部MRI検査では全脳容積評価に加え、機能的磁気共鳴法や拡散テンソル画像法も施行した。今後これらの項目の相関について解析を進める。
著者
近藤 功行 安保 英勇 江崎 一朗 簗瀬 誠 與古田 孝夫 木ノ上 高章
出版者
沖縄キリスト教学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

9.研究成果の概要昨今、雇用は重要な社会問題でもある。とりわけ、深刻な問題は障害者雇用である。日本では、障害者の分類が3つに分かれている。すなわち、身体障害、知的障害、精神障害の3つである。これまで障害者雇用率にカウントされていなかった精神障害者の雇用がカウントされることが重要な課題であるが、このことは非常に大切な視点をはらんでいると考えられる。そのような中で、私たちは鹿児島県奄美大島にある精神障害者小規模作業所:「明りの家」に着目している。精神障害者の雇用率がアップすること、障害者雇用率をあげることは重要であるがこの点について我々は奄美鳩骸市(旧名瀬市)にある、「明りの家」を通して追って来ている。本研究で得た、知見は以下の通りである。1.鹿児島県奄美大島にある「明りの家」は非常に重要な視点をはらんでいる。明りの家では比較的高い賃金を利用者に支払うことが可能となっていた。その理由としては、行政から委託された仕事(公民館の清掃、道路ののり面の整備関連の仕事など)やスーパーのビラ配りなど、地域と密着した仕事を受注できていることにある。その背景には、これまでの明りの家の仕事ぶりが、地域の人々から評価され、信頼を得ていることにある。明りの家の所長は、今後の展開として、単に仕事を請けるだけではなく、自らが主体となる方向を考えている。今後とも精神障害者の雇用を考える上で、明りの家の活動は、着目すべき精神福祉、就労のモデルになると考えられる。2.障害者雇用を考究する上では、日本人の障害者観が問題になるのではないかと考えている。地域、行政、医療福祉関連に従事する人々、学校、などであるが、障害者雇用の理解に際しては、学校教育に関連した内容に関しては(社会人や大学のみの教育ではなく)小学校から大学までの教育において重要になると考えている。
著者
庄垣内 正弘 藤代 節 大崎 紀子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

ウイグル漢字音成立過程の解明について、ベルリン所蔵ウイグル文字表記漢文本U5335を中心的に扱い、加えていくつかのウイグル文字表記の漢文断片を同定し、資料とした。いずれもこれまでほとんど研究されたことのない文献であった。ウイグル漢字音が10世紀代の「プロト体系」から徐々にウイグル語音化し、やがてU5335に見られるような元朝時代の簡素化した体系に発展してゆく過程を記述し、庄垣内がかつて体系として再構、提出したウイグル漢字音を検証し、その成立、発展を包括的に記述することができた。
著者
富山 栄子 塩地 洋
出版者
事業創造大学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

新興国自動車メーカーである、現代自動車のグローバルマーケティングについて、インド、ロシア、中国市場への市場参入方法とマーケティング戦略の比較、および先進国企業との戦略比較を中心に研究を行った。現代自動車のグローバル・マーケティングの「配置」と「調整」では、自社工場の設置は人口が多く将来的に需要が見込める国BRICsを中心に中小型車を投入し、市場の大きさや潜在力に応じて直接進出方式とライセンス方式を使い分けている。4P戦略は、全世界で同一のスローガンによるグローバルな統合の下、プラッットフォームは共有し標準化しながら、地域のニーズや状況にあわせてデザイン等は現地適合化を行い、拠点間でのノウハウの移転・共有を行っていることを明らかにした。また、先進国自動車メーカー(トヨタ)との違いは前者がグローバルモデルの「本国モデル」あるいは「先進国モデル」を基盤とした新興国への転用を原則とし、機能的価値や品質、耐久性など「見えない」点に力を注いでいるのに対し、現代自動車は、国単位でBRICS市場を分割し特定国向けの専用車種を開発投入し、「新興国モデル」を基盤として他の新興国へ横展開し、デザインなどの「見える化」に力を注ぎ、市場環境に応じてフレキシブルな対応を行っていることを明らかにした。
著者
森 公章
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では遣唐使の特質を唐文化移入のあり方や入唐後の動向を通じて検討し、その成果は既発表論文とともに著書『遣唐使と古代日本の対外政策』(吉川弘文館)として上梓することができた。また平安中・後期の日中関係を解明する材料として入宋僧成尋の『参天台五臺山記』の校訂本作りと記事の分析を進めるとともに、成尋に至る入宋僧の系譜を考究して論文化し、これらの成果を報告書の形で刊行することで、広く学界共有の研究基盤を呈することに貢献したものと考える。
著者
加藤 哲郎
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の成果は、書き下ろし単著『「飽食した悪魔」の戦後ーー731部隊と二木秀雄「政界ジープ」』(花伝社、2017年)中に発表した。同書第3部「731部隊の復権と二木秀雄の没落」中に第2章「シベリア抑留と米ソ情報戦」を設け、「ドイツ240万人、ハンガリー50万人、日本60万人の強制奴隷労働」「洗脳教育と民主運動」「帰還者米軍尋問ーー陸軍プロジェクト・スティッチと空軍プロジェクト・リンガー」「陸軍プロジェクト・スティッチで見つかった『ソ連スパイ』352人」「『人間GPS』としての米空軍プロジェクト・リンガー」等について、詳述した(269-284頁)。
著者
渡邊 貢次 中垣 晴男
出版者
愛知教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

(1) 男女大学生(計1477名),男女60-80歳(計319名)を対象とし,それぞれの小学生時,20歳時の歯科保健意識について世代間で比較検討した。20歳時には大学生の方が高年代者より甘味に対する制限をしているが,逆に間食は多い。時代背景から高年代者は,小学生時のかかりつけ歯科医が非常に少なく,早期治療も行き届かなかった。また,小学生時に歯磨き無しも約25%みられるなど,歯科保健意識の不十分さが認められた。また,8020に自信のある大学生男子は33%,女子は24%と差がみられた。(2) 高校生について同様の調査を行い,学校保健委員会で活用した。調査により,高校生の健康への意識は全体的に向上していることがわかったが,歯および歯疾患への関心が薄いようであった。これを全学的に紹介し,歯科保健意識の啓蒙活動としたした。(3) 歯科保健指導を実践した小中学校(13校)へ訪問し,養護教諭からその内容を聞き取り調査した。その結果,重点的に行われているのは,学校行事,委員会活動,学級活動,個別指導の順であった。3項目以上にわたって指導効果ありと評価したのは6校であり,中には,多くについて効果なしの評価もみられた。また,家庭での指導に保護者の多くが参加したのは1校のみであり,家庭での歯科保健の啓発の必要性を認識した。(4) 子供達に好まれている嗜好飲料(清涼飲料,乳性飲料,ジュース,スポーツドリンク,コーヒーなど)のグルコース・シュクロース量を分析し,同一商品の1981年,1985年の成分データと比較した。その結果,.糖質量はほとんど変化ないが,シュクロース量の減少がみられた。このことは,砂糖の低減化,低カロリー化,甘味料の普及を反映している。
著者
川島 富士雄
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、世界貿易機関(WTO)に加盟した東アジア諸国、特に中国、カンボジア及びベトナムにおけるWTO上の義務・約束の履行状況(市場開放)と市場経済化・競争促進に向けた国内法整備状況(市場経済化)の双方を同時並行的に検討し、両者の相克・連動といった相互作用を明らかにすることで、グローバル経済時代における「市場」をめぐる国内法及び国際法的諸問題の相互関係を解明することを目的とするものである。3ヵ国のうちカンボジアとベトナムにおける競争法は未制定又は運用が活発でないため研究の主な対象となり得なかったが、2008年8月より施行された中国独占禁止法の運用状況(民事訴訟を含む。)及びその課題をつぶさに把握し、かつ、表面的に現れてくる法執行現象の背景を明らかにすることに成功したほか、これらを国際経済法上の法現象を合わせて研究することで、「国家資本主義」又は「国家積極主義」とも批判的に描写される中国の政府と市場の関係、とりわけ国有企業等に対する優遇策に対する法的規律という今後の研究において重要となる視点を抽出することに成功した。本研究の具体的な成果として、8本の論文、6回の学会発表及び2冊の共著がある。
著者
鎌倉 やよい 深田 順子 米田 雅彦 熊澤 友紀
出版者
愛知県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

脳卒中急性期には誤嚥性肺炎発症のリスクが高い。肺炎発症と唾液中分泌型免疫グロブリンA(sIgA)・炎症性サイトカイン(IL-6)・上皮成長因子(EGF)・口腔内細菌との関係を検討した。脳卒中患者14名(79.5±9.0歳)を対象に、非肺炎群6名、肺炎群8名に分類した。唾液を第5~13病日の隔日10・14・18時に採取し、ELISA法・real-time PCR法で測定して群間比較した。その結果、唾液中sIgA(唾液中sIgA濃度×唾液量)は肺炎群に有意に高かった(ANOVA ; p<0.01)。IL-6・EGFは群間比較では差を認めず、EGF濃度はsIgA濃度と相関を認めた(rs=0.574-0.900)。非肺炎群の2名に肺炎球菌の増加を認め、肺炎群では抗生物質が投与されて、肺炎球菌・常在細菌とも減退して(6名)、緑膿菌の増殖(4名)を認めた。
著者
高村 武二郎 深井 誠一
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では,青紫色花シクラメンと紫色花シクラメンの花弁slip部分では,いずれにおいてもマルビジン3,5ジグルコシドを主要アントシアニンとするものの,青紫色花シクラメンでは,花弁細胞の高いpHにより花弁が青色化していることを明らかにした.また,シクラメンにおいて花弁のpHが高くなり青色化する形質は,単一の劣性遺伝子に支配されている可能性が高いことを示唆した.
著者
常川 光一
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

あらゆる無線通信端末にアクセス可能な「統合された室内無線アクセスシステム」を提案した。主要なアイデアは「ディジタル信号を直接複数のアンテナに給電し、空間合成/フィルタ効果を用いて所望信号を所定の端末近傍に形成する」ことにある。まず、基本技術であるアンテナ配置/構成法、キャリブレーション手法について検討した。次に、システム構成法を検討し実用化に向けた設計指針を明らかにした。また、デモ機として「ユビキタスシーリングライト」を試作した。
著者
村瀬 忍 松下 光次郎 池谷 尚剛
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、黙読時の視線の動きが言語処理に関わる神経活動を反映することを利用して、視線計測を用いた吃音評価方法を検討することを目的とした。成人吃音者5名および成人非吃音者15名を被験者として、意味的逸脱のある日本語の文章の黙読における視線の動きを測定した。その結果、標的語の注視時間は、吃音者において長い傾向があることが明らかになった。本研究ににおいては、吃音者は非吃音者の言語処理特性の違いについても追試を行った。その結果、吃音者は非吃音者に比較して、言語処理に時間がかかっている可能性が示唆された。さらに、この吃音者と非吃音者との時間的な相違は、視線計測の方法でも捉えられる可能性が示された。
著者
桜井 芳生 大山 小夜 新 睦人 片岡 栄美 加藤 源太 藤山 英樹 石川 洋明
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

延10回程度、ネットワークデータを収集できた。まずは、ネット形成の要因を分析した。就活意識、使える金、階層意識、化粧代の類似が、友人が形成されるさいに、大きな影響をもっていることが確認された。ネット構築後分析に関しても、Christakisらと同様、われわれは、「ネットワーク指標」以外の具体的タイ関係を重視して分析を継承した。当初の予想と異なって、いわゆるネットワーク指標、とくにボナチッチ中心性が大きな影響をもっていることが確認できた。また、恋愛、髪の色、幸福感、英語学習意識の伝播が確認できた。