著者
上田 慧
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

NAFTA国境地帯に広がる北米市場向け輸出加工工場に着目し、米国・カナダ間の北米最大の自動車工業地帯と、メキシコにおけるマキラドーラ(保税加工工場)の新しい展開を現地調査し、国際輸出加工戦略の実態を解明した。第一に、メキシコと中国の国境経済圏における輸出加工貿易モデルの比較を行った。第二に、デトロイトとカナダのオンタリオ州との間の国境経済圏が輸出加工貿易モデルの一つであることを立証した。第三に、メキシコ中部高原地域に日系企業進出ブームによる新興自動車クラスターが形成されており、国境マキラにたいして内陸マキラの発展が顕著であることを考察し、その問題点と課題を提起した。
著者
宮崎 まゆみ
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

奈良時代に中国より箏およびその音楽が伝来し、その後、平安時代に隆盛した宮廷箏曲、安土桃山時代に誕生した筑紫箏曲、江戸時代初期に誕生した当道箏曲、明治時代に一部の宮廷箏曲を改変整備した雅楽箏曲、大正時代に当道箏曲から発展誕生した近代箏曲、近代箏曲の延長線上にある現代箏曲の、各奏法の相違点、特徴等を抽出し、それらが各箏曲の音楽的特徴を決定づけた要因の重要な要素となっていることを立証した。
著者
二神 葉子
出版者
独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

文化財の脆弱性評価と地震発生時の救援や被害状況記録、防災へのデータベースの活用についてイタリアを対象として調査したところ、文化財GISによる危険地図を用いて詳細に実施されていた。日本の国宝文化財建造物の地震対策進捗状況と地震動予測地図の認知度について所有者へのアンケートを実施したところ、地震対策の実施は15%、地図の認知度は17%にとどまったが、地震危険度評価は有効との回答は72%にのぼり、活用の必要性が認識されていることがわかった。
著者
大口 昭英 松原 茂樹
出版者
自治医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

平成15年4月〜平成20年3月までに、妊婦1500例に対して妊娠16〜23週に子宮動脈血流速度波形計測を行った。妊娠20〜23週、妊娠28〜29週および妊娠37週の採血時に、各々1358例、916例、365例に妊婦より10mLの採血を行い、血清および血漿を分離し、-20℃で保存した。これらのコホートを用いて以下3つの研究成果が得られた。(1)初期コホート587例についての検討から、妊娠中期(妊20週前後)の子宮動脈血流速度波形notch depth index(NDI)上昇(深いnotch)と妊娠中期の高血圧前症/高血圧を用いたスクリーニングにおける妊娠高血圧腎症(以下PE)発症予知の感度(84%)は、各々単独でのスクリーニングに比べて(各々53%、63%)、PE発症予知の感度を大きく上昇させることを明らかにした。(2)妊娠16-23に子宮動脈血流速度波形計測を行い、かつ、妊娠16-23週、27-29週で血清PIGF、sFlt-1値を測定した単胎妊婦コホート261例についての検討から、妊娠中期に子宮動脈血流速度波形のノッチの深さが深い症例(NDI増加例)では、妊娠中期の血清P1GF値がすでに低値を示していること、また、妊娠中期にNDI増加及びPIGF低値を示した群は、妊娠28週前後の血清sFlt-1高値を示す割合とPE発症率が最も高いことを明らかにした。(3)妊娠20-23週、27-30週、及び36-38週で採血した正常妊婦85名の血清を用いて、妊娠20-38週の血清soluble endoglin(sEng)正常域を決定した。さらに、早発型PEでは、疾患発症後sEngは全例(25/25)高値(≧95%値以上)を呈したこと、また、将来早発型PEとなった妊婦では、妊娠16-23週において全例(5/5)がsEng高値を呈していたことを見出した。
著者
澤尻 昌彦 野村 雄二 谷本 啓二 滝波 修一
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

骨浸潤性腫瘍に対する放射線治療において照射後の骨の機能と形態の保存を目的としてメダカ(Oryzias)咽頭歯骨部を用いて放射線照射後の骨代謝,破骨細胞誘導の信号伝達物質を生化学的に計測してきた。骨浸潤性腫瘍においてはペリオスチンなどが高頻度に発現して骨代謝,石灰化,骨芽細胞の成熟に大きな影響を与えることが示されている。ペリオスチンの骨代謝に与える影響は明らかではないが,ガンマ線照射に比べて炭素線照射によってペリオスチンは増強され骨吸収が阻害されるだけでなく,骨芽細胞が産生される石灰化促進因子が増強される。このために骨の吸収阻害や放射線照射後の病的骨折防止に応用できる可能性が示された。
著者
井口 文男
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

1 19世紀にイタリア統一の主体となったサルデーニャ王国においては、1848年の憲章により、カトリック教が国の唯一の宗教であり、既存の他の宗派(ワルドー派とユダヤ教)は寛容の精神により法律でもってその存在が認められ、他の宗派は法外のものとされていた。2 しかしながら、実際には、憲章公布と相前後して、ワルドー派とユダヤ教はもちろん他の宗派にもカトリックと同等の権利が付与されることになった。他方、カトリックに対してはその特権を剥奪する政策が実施されることになるが、これはサルデーニャ王国における自由主義的政治家の意向に即したものであった。3 まず、1848年法律第777号により、イエズス会が王国から追放されることになった。ついで、1850年には、教会裁判権、聖職者特権、教会庇護権が廃止され、教会法人に財産が蓄積される<死手>という制度が除去されることになった。さらに、1855年には、教会の役割を本来の霊的役務に限定し、従来行っていた広義の営利活動を禁止するとともに国家は教会に課税権を行使するようになった。そしてイタリア統一王国形成後の1866年には教会の資産を没収する法律が制定され、経済的にも国家が教会に優位することが明白になった。4 このようにしてイタリア自由主義国家においては、憲章の規定にもかかわらず、カトリック教は他の宗派と等しいものとされたが、普遍教会として特性から特別の配慮を受けることにはなった。すなわち、1871年に教皇と聖座の特権、国家と教会の関係を定める法律が制定された。これにより領土特権を喪失した教皇は、全世界のカトリック信者に対して霊権を自由に行使しえることにはなったが、教皇はこの法律を受け入れることはなかった。結局、この問題の最終的解決は1929年のラテラノ協定でなされることになる。
著者
綾野 秀樹
出版者
東京工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では,電力変換装置において零相電圧成分を利用した電磁障害の低減技術を確立した。特に,零相電圧成分の利用を最適化し,零速度領域からモータ駆動領域まで対応できる。具体的な成果は次の3点である。(1)モータ駆動時の誘起電圧を考慮して,重畳する零相電圧を出力周波数の関数とする方式を立案した。(2)モータの回転状態を模擬した詳細なシミュレーションにより,提案手法は,モータの全駆動領域における漏えい電流を従来手法よりも低減可能なことを明らかにした。(3)実機評価により,提案手法は,漏えい電流を従来手法よりも約30%低減できることを確認した。
著者
金子 格
出版者
東京工芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

EV/HEVの接近報知音の評価方法を検討した。Bフォーマットマイク(Sound Field ST450)を4本用いた評価システムの構成を構築した。報知音の定位の評価方法を構築し、「EV/HEVの報知音を想定した漸増刺激音の定位の主観評価 (応用音響)」電子情報通信学会技術研究報告等で発表した。たとえばトーン性の妨害音がノイズ性の目標音の定位を妨害する効果が,妨害音が目標音の臨界帯域内であるか否かにかかわらずほぼ7dB程度であること、など有益な知見が得られた。
著者
西村 あをい 山田 至康
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

1.調査研究の実施【目的・方法】2011年12月、救急外来トリアージの現状と課題を明らかにすることを目的に、全国の救急認定および小児救急認定看護師が所属する全国440施設を対象として、救急外来看護師トリアージの現状をアンケート調査により実施した。【結果】有効回答は155施設(回収率35.2%)であり、トリアージナースの導入施設は75施設(48%)だった。75施設のうち小児トリアージの実施施設は12施設(16%)であり、以下この12施設の結果を報告する。小児トリアージ導入の動機は、救急外来混雑の改善目的が7施設、診療報酬改訂が3施設だった。ガイドラインを有するのは11施設(92%)と高率であるが、CTAS/JTAS改訂版の使用は4施設(42%)のみで、他5施設(50%)は自施設独自に作成したものを使用していた。トリアージの事後評価体制があるのは4施設(33%)と低率であり、各施設では教育・研修上の問題やトリアージナースの質の問題、事後検証の必要性等を問題点として自覚していた。【考察】小児トリアージを実施している施設では、ガイドラインの使用率は高いが独自のものが多いため、事後検証の普遍性を保つには標準化が望まれる。また、トリアージナースの教育や研修体制に課題を有する施設も多く、教育研修プログラムの改善が必要である。2.トリアージナース養成プログラムの作成と運用関東地区の大学病院救急外来に勤務するトリアージナース候補者を対象にして、トリアージナース養成のための研修会を2013年3月に千葉県浦安市内で開催した。研修内容は、院内トリアージの概要(トリアージの概念、目的、意義、過程)、トリアージナースの役割、トリアージの過程に関する講義と、成人患者及び小児患者のトリアージプロセスに関する演習問題のグループワークである。
著者
石田 尚行 岡澤 厚
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では有機無機ハイブリッド分子性磁性体を中心に複合機能の開発を進めた。(1)機能性低次元磁石:ラジカル-コバルト系単一次元鎖磁石からこれまでの世界最高の保磁力をもつ磁性材料を開発した。(2)分子包接誘起磁性体:ラジカル置換のホスト・配位子分子を構築し、その磁性を超分子化学手法により制御した。(3)液晶性磁石・可溶化磁石:長鎖アルキル基を有する鉄(II)錯体を合成し、中間相転移とスピン転移の共存する系を得た。
著者
坂口 勝義 宮脇 正一 永田 順子 山崎 要一 岩崎 智憲 松根 彰志 黒野 祐一
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

成長発育期の小児における睡眠障害の実態を解明し、顎関節症状、消化器症状、社会心理学的な問題行動などの種々の関連因子との相互関係を明らかにするため、小学校児童を対象に、消化器症状、日中の活動中の眠気、睡眠状態、問題行動について質問紙を用いた調査を行った。睡眠に異常を示す群(睡眠障害群)と正常群に分けたところ、小学校児童の一般集団において睡眠障害を訴える者は30%弱にのぼった。睡眠障害群では、授業中に眠くなる、日中にしっかりと起きていない、日中に疲れたと思うこと、イライラなどの行動的特徴、睡眠時にいびきをかく等に加え、食後におなかのあたりが気持ち悪い、げっぷなどの胃食道酸逆流の症状を示唆する項目、不安や攻撃性などの問題行動が見られた。また、問題行動に関する質問紙調査の結果から分けた問題行動群と正常群について、睡眠障害、胃食道逆流症状を比べたところ、問題行動群では正常群に比べて、睡眠障害と胃食道逆流症状が有意に多く認められた。
著者
森實 芳仁 芝崎 太 黒井 克昌
出版者
財団法人東京都医学総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

昨年度より引き続き、新規診断法確立のためのMUSTag法の改良及び民間企業との共同研究による新たな診断機器・計測法の開発を継続しつつ、実際の臨床検体を用いて各種疾患に関与するバイオマーカーを標的としたより大規模な臨床研究を開始した。1.MUSTagアッセイ用検出機器の共同開発平成21年度に開発に成功した超高速PCR装置の臨床応用により、新型インフルエンザ等の感染症における遺伝子診断において、迅速(30分以内)に診断結果を得る事が可能となった。一方でMUSTagアッセイ用の検出機器としては測定可能な検体数の問題から(最大12ウェル)未だ実用可能な段階には至っていないため、今後は検体処理能力向上のための装置の改良が急務である。また昨年度開発を行ったMUSTag法の標識技術を蛍光・発光イムノクロマト検出法に応用したIMPACTag法と、民間企業と連携して開発した高感度蛍光検出機器を組み合わせる事で、各種感染症の簡便・迅速かつ超高感度なイムノクロマト検出系の開発に成功し、現在臨床診断薬としての実用化のための検証を進めている。2.アッセイ法の改良磁気ビーズを抗体の固相担体に用いるMUSTagアッセイ系の開発により最大10倍程度の高感度化が得られた他、血清等の臨床サンプルを用いた実験において適切な前処理方法との組み合わせにより、非特異的反応をほぼゼロに低減する事に成功した。現在は上記の改良を行ったMUSTagアッセイ系を、各種臨床サンプル中のバイオマーカーの測定に応用している。3.MUSTag法を用いた臨床サンプル中の各種疾患関連バイオマーカーの測定MUSTag法を用いた臨床試験により、膀胱がんや運動機能関連疾患等の診断に有用なバイオマーカーの選別・検定を開始しており、その結果いくつかの因子において患者-健常者間で有意な差が見られる事が明らかになっている。
著者
菅野 新一郎
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

我々はDNA修復機構であるNHEJに関わる新規DNA修復酵素PALFの発見からCYR domainを発見した。このCYR domainをもつ遺伝子を調べたところショウジョウバエで未知タンパク質を発見し、そのヒトオルソログ(APNX)を発見した。ショウジョウバエとヒトオルソログタンパク質がDNA修復酵素である可能性を前提にこれらのタンパク質の活性を調べた。その結果AP endonucleaseの活性をつこと、また、アセチル基転移酵素活性の二つの活性をもつ稀なdual fanction enzymeであることがわかった。
著者
三時 眞貴子
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、19世紀後半のイギリスにおける「浮浪児」の教育実態を、浮浪児を収容した寄宿制インダストリアル・スクールに残された入学記録、退校記録、各種委員会の議事録等、これまで使われたことのない一次史料を用いて明らかにすることを目的とした。マンチェスタ認定インダストリアル・スクールへの入所は浮浪児処遇の唯一の対応策ではなかったが、浮浪児を地域社会に包摂する手段としては決定的に重要な措置であった。マンチェスタ認定インダストリアル・スクールでは、本来であれば親や親方が責任を持って行う徒弟修行を学校内で行い、退校時にはほとんどすべての子どもたちを就職させることで浮浪児たちを労働者として送り出した。
著者
手塚 実
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

「学校嫌い」を理由に年間30日以上欠席した登校拒否(不登校)の小・中学生が、平成8年度には94,245人と過去最高を更新したことが文部省の学校基本調査(平成9年8月8日現在)によって明らかにされた。前年度より約13,000人増え、前年度に対する伸び幅は、調査開始時の平成3年度以降最も高く3倍に達した。この数は、中学生で60人に1人、小学生ではほぼ400人に1人とそれぞれ過去最多の割合である。学校に行かないという同じような現象でも、学校恐怖症のように、行かなくてはと思い前夜は登校の準備をしていても当日朝になると恐怖や不安で登校できないものと、一応の理屈をつけて行かないでいる登校拒否の病体ではその対処が異なったものでなければならないと考えられる。しかし、学校側はこの状況に対して半数が怠学・なまけと認識しており治療・教育上まだまだ大きな問題が残されている。また、学校に行かれない児童の環境(教師、友人、親、兄弟姉妹等)に対しても観察の目が行き届いているとは言いがたい。本研究ではこのような現実的な問題をふまえつつ、不登校児に対し療法的音楽教育を施しながらこの児童をとりまく周囲の人間関係にも注視し、以下の点(1.音楽教育者の立場から、学校教育の中で療法的音楽教育はどのような形で係わることが可能か。2学校教育の中で、比較的難治性の心身症児童に対して教育実習生は教師とどのような連携をとるべきか。3.言語的コミュニケーションが図れなくなった親子関係、師弟関係、友人関係等に対し言語的コミュニケーションを通して肯定的な対人関係を得るきっかけに音楽はなりうるか。4.啓豪活動を通して、地域住民の心と体の健康管理に音楽はどのような形で貢献できるか)を明らかにしようと試みた。その結果は報告書(別冊)に記載してある。
著者
河野 銀子
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

日本の理工系大学・学部を対象とした調査を実施したところ、女性学生比率が30%を超えるのは65学部(該当学部の22%)しかないことがわかった。理工系学部の女性学生比率が低い理由は複数考えられるが、本研究では、理工系を選択する女子高校生が「入りやすいところ(入試科目が少ない、合格難易度が低い)に入学する」という進学行動をとらないことを強調した。不本意に理工系を選択する者もいる男性とは、対照的な進学行動である。
著者
谷脇 理史
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

出帆による文芸の流布が一般化する近世の状況の中で、その前期における出版取締り令は、享保期以後のもののように整備されたものではない。しかし、明歴3(1657)年の取締り令発令以前からも作者や書肆による自主規制(時にカムフラージュ)が行われており、政治・社会問題をとりあげる仮名草子や「軍書類」にその様相をうかがうことができる。それは、西鶴以後の浮世草子においても同様である。西鶴は、『好色一代男』以来、武家階層以上をとりあげる場合、明らかにカムフラージュを行いつつ諷刺する姿勢を示しており、『好色一代女』『武道伝来記』などでは、それが一層あらわとなっている。また、上層町人に対しする諷刺は、『一代女』以前の場合、そのモデルを実名で登場させたりしているが、『永代蔵』以後では、実名をかくしたり、仮名を用いたりして諷刺を行うようになっている。以上の諸点は、本報告書に収めた拙論(本研究期間以前に発表のものも含む)の中で問題にしたが、とりわけ西鶴の問題については本報告書第2部第11章「西鶴の自主規制とカムフラージュ」で一応の総括を行い、現在までの私の主張及び問題点・課題を記した。なお、西鶴が「出版規制に対応する」様相については、これまでの研究を一書にまとめ、平成18年度中には清文堂出版より刊行する予定となっている。一方、近世初期の軍記類・元禄期の軍書類、西鶴以後の浮世草子類等についても検討を続けたが、それらについての資料は収集したものの、論文としてまとめる段階にまでは至らなかったので、遺憾ながら、今後の課題としたい。また、本研究期間には、西鶴のカムフラージュと諷刺の様相を「『好色一代女』の面白さ、可笑しさ」「経済小説の原点『日本永代蔵』」(ともに清文堂出版)の二書によって具体的に解明した。
著者
植野 雅之 高見 友幸 和田 慎二郎 対馬 勝英
出版者
大阪電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

(1)対話的タスクを用いた実験の結果,心拍間隔の標準偏差やポアンカレプロット等の指標では安定した結果が得られるが,LFHFに対しては,ばらつきが大きくなる結果が得られた.(2)タスクの種別によって脳波成分の偏りが見られることがわかった.また,暗算などの内省的なタスクで負荷を変えると,脳波成分はほとんど変化しないが,対話的なタスクでは,負荷が大きくなると,δ波成分が小さくなり,他の成分は増大する傾向があるという結果を得た.さらにゲーム状況でも同様の傾向が見られるが,負荷過大状況では,β・γ波成分が著しく増大するなどの傾向が見られるということがわかった.
著者
コンスタンチノフ デニス Bunkov Yu. P.
出版者
沖縄科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

強いマイクロ波による励起下では、反強磁性であるMnCo3サンプル内のアンサンブル核スピンの核磁気共鳴は非線形であることを観測した。この実験結果の信号は、核スピンがマイクロ波の励起によって、核スピンの温度が上昇するというような従来のモデルでは説明することが出来ない。実験結果と理論を比べてみると、強いマイクロ波による励起下では、核スピンの磁気モーメントの角度は大きく偏向されていることがわかる(磁気モーメントの強度は変化しない)。この事実はコヒーレントに一様に歳差運動をする核スピンによる核マグノンによるボーズ・アインシュタイン凝縮と同一視することが出来る。
著者
平田 裕美 小林 正子
出版者
女子栄養大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

中学生、高校生の身長・体重の時系列的変化と心身の健康、社会的風潮の取り入れ、生活習慣、栄養素等摂取、父親・母親の養育行動との因果関係を明らかにした。生活習慣では、朝食を同じ時間に食べていない、鉄分、ビタミン類などの栄養素等摂取不足群は身体不調を訴えていた。体重では、父親との会話が多い中学生、高校生ほど、男女の差異無く、不安感が低く、成長曲線に極端な体重の変動は見られなかった。身長では、思春期スパートと対人関係に関連はなかったが、身長の停滞がある子どもには低出生体重児であったことが確認された。アレルギー(金属、鼻炎、食物)、腎疾患、心疾患などの症状をもつ子どもにも同じ兆候が見られた。