著者
坂爪 悟 永井 敏郎
出版者
獨協医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

派生X染色体における常染色体領域の部分不活化を証明した.染色体の核型と臨床症状から部分的な常染色体の不活化が考えられ,分子生物学的に証明した貴重な題材である.メチル化が及ぶ領域は特定できたがそれが,単にXISTの影響なのか,それとも受精時に何らかの染色体構造異常が生じたかを区別することができていない.染色体構造異常が受精後に生じたことが示唆される.患者細胞にモザイクやキメラが証明できれば癒合染色体の存在を示唆できる物であり,染色体分析を再検討して本研究の総括としたい.
著者
小林 亜子
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

フランスは革命戦争の中で隣接地を併合し、その外周には姉妹共和国を建てていた。こうした併合地の統治については、史料上の制約によりこれまでほとんど解明されていなかったが、本研究では、「ライン左岸併合地」について、現在の主にベルギー、ドイツとスイスの西部にあたる地域を対象に、当時施行された法の受容や、フランス側から派遣された人々と併合地の人々との間に生じた関係を、フランス側の史料のみではなく、当時の併合地側の史料調査・分析を行った。本研究による成果は、フランス国立フランス革命史研究所とフランス革命博物館の主催で、2014年に行われた「フランス革命史研究国際シンポジウム」で報告することができた。
著者
林田 理惠 上原 順一 藤原 克美 堀江 新二 藤原 克美 堀江 新二 カザケーヴィチ マルガリータ
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

大阪大学外国語学部ロシア語専攻における過去7年間のロシア語検定試験試行結果を分析.学習者の技能別・問題内容別習得度と各年次教育カリキュラムとの相関性を調査・考察し.本学教育システムに適合し得る「国際基準」に準拠した(CEFR基準A1~B1の3レベル)文法・語彙.読解.聴解.作文.口頭発話の5領域の総合試験を作成.本学「授業支援システムWebCT」をLMS(学習管理システム)として活用した試験実施システムを開発.またパフォーマンステストにおける本学独自の客観評価法を確立した
著者
米倉 裕希子 山口 創生
出版者
関西福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は知的障害者のスティグマに関する海外や国内の文献及び知的障害福祉に従事する職員対象の大規模調査を基に、スティグマティゼーション是正のため肯定的態度や共感性を高めるプログラムを作成した。文献から知識と情緒的教材に加えディスカッションすることが肯定的態度の要因になることがわかった。また大規模調査では資格の有無、統合教育の経験、研修の受講が影響することが明らかになった。そこで「知識・情報」「対処方法」「サポート」を柱としたプログラムを実施し、前後及び未実施群と比較した。研修の効果は明らかではなかったが、肯定的態度や共感性は上昇し3か月後も低下しなかった。学校教育や職員研修での活用が期待できる。
著者
〓 東風
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、中国四川省の安岳地方・湖北省の荊楚地方・江西省の宜春と〓州などの地域を中心として、各地の仏教遺跡の現地調査を行い、これに文献史料の考察も加えることによって、それぞれの仏教遺跡の確認や新しい史料の発見、また、明代前期四川仏教の代表的人物の思想や経歴、天台智者の出身地の所在、当陽玉泉寺関羽信仰の発生・変化の経過、江西地方の禅宗発達の原因等の解明、という成果を挙げた.
著者
関口 洋美 吉村 浩一
出版者
大分県立芸術文化短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は大きく分けて2つであった。1つは、鑑賞授業における鑑賞文の作成を支援する鑑賞シートを開発することである。なお、鑑賞シートは、オノマトペによる感性評価を中心として、子どもたちが答えやすいものを目指した。もう1つの目的は、完成した鑑賞シートを授業で使用してもらい、鑑賞文の作成に効果があるかを検証することである。結果、21語のオノマトペから構成される鑑賞シートが完成した。本鑑賞シートの実証授業では、多くの子どもたちが鑑賞文の作成がしやすくなったと回答してくれた。特に、普段鑑賞文を書くのが苦手な子どもたちに有効に働くことが実証された。
著者
最所 圭三
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

Webサーバへのアクセス集中により十分な応答ができないとき,クラウド上で提供されるキャッシュサーバをアクセス量に応じて用いてサービスを提供するWebシステムを構築するための機能の開発を行った.具体的には,Webサーバの負荷量を監視する負荷監視機能,アクセスの振り分け先を設定する振分先設定機能,キャッシュサーバの起動・停止を行うキャッシュサーバ管理機能を開発した.これらの機能をソフトウェアロードバランサやDNSと組み合わせることで目的のシステムを構築できる.さらに,キャッシュサーバでのサービスの質を向上させるために,キャッシュサーバからのアクセスをWebサーバで優先的に処理する機能も開発した.
著者
乾 直輝 渡邊 裕司 千田 金吾
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

肺癌患者46名を対象にS-1代謝に関与する薬物代謝酵素CYP2A6の遺伝子多型を検討したところ、CYP2A6*4アレルが17.4%の割合で認められた。CYP2A6*4アレルを持つ患者では、多型を持たない患者に比べ、5-FUの最高血中濃度や濃度曲線下面積が低く、プロドラッグであるテガフールの血中濃度が増加していた。CYP2A6遺伝子多型に関する知見は効率的なS-1の投与法の確立のための有用と考えられた。
著者
伊藤 友孝 谷 重喜 鈴木 みずえ
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は,高齢者の転倒予防を目的に,(a)個々の歩行状態を定量的かつ的確に診断できる手法の開発と(b)屋外の不整地でも安心して使用できる受動アシスト杖の開発の二点を重点課題とした.課題(a)に関しては,歩行を簡便に計測して個々の歩容の特徴量を自動抽出し,歩行タイプやバランス状態などの診断を行える「歩行計測・診断システム」を開発した.実際に72名の診断を行い,高齢者の歩容の実態や転倒の要因を把握することができた.課題(b)に関しては,伸縮式の支持脚を有し不整地での段差吸収とバランス制御機能を併せ持つ「ロボット杖」の開発に成功した.本研究により今後の高齢者の転倒予防に関する重要な知見が得られた.
著者
福島 健 西口 慶一
出版者
東邦大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

D-キヌレニンという物質は、脳で神経伝達を弱めるキヌレン酸に変化し、この物質変化には統合失調症に関係することがわかってきたD-アミノ酸酸化酵素(DAAO)というタンパク質が関与していた。統合失調症のモデル動物の脳ではD-キヌレニンからキヌレン酸への物質変化が亢進しており、また、D-キヌレニンは生体内でD型トリプトファンから生成することも分かった。そして、DAAOによるD-キヌレニンからキヌレン酸の生成反応を抑制できる物質(薬)のスクリーニング法(探索・評価方法)を開発した
著者
古屋 秀隆
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

二胚動物門ニハイチュウ類は底棲の頭足類の腎嚢に片利共生する動物である。体を構成する細胞数が10-30個ときわめて少なく、体制の単純な動物である。分子系統学的解析によって、この動物はその見かけによらず原始的な動物ではないことが明らかになった。すなわち単純な体制は頭足類の腎嚢という微小環境への適応の結果であることがいえる。このような進化史をもつニハイチュウ類の分類形質がどのように適応してきたか、その道筋を明らかにするために、形態学的手法と分子系統学的手法を用いて解析を進めている。可能な限り多くの種を集め、種間の系統関係を明らかにしながら、分類形質の進化の道筋を解明している。当該年度は、日本海沿岸のウスベニコウイカ、ハクテンコウイカ、トサウデボソコウイカ、ハリイカ、およびトラフコウイカから12種の未記載のニハイチュウ類を見出すことができた。これらすべての種は分類形質を明らかにした結果、新種であることが判明した。現在、それらの新種記載の準備を進めている。同時に、これらニハイチュウ類のミトコンドリアCOI遺伝子と18SrRNAの塩基配列を解析中である。また、クモダコとツノモチダコから特異な適応形態をもつ種を発見し記載したが、一昨年イッカクダコのニハイチュウ類からも特異な適応形態をもつ種を発見し記載中である。昨年には、マダコ属未記載種の宿主から発見されたニハイチュウ類にも、特異な形態形質をもつ種を発見した。これらのニハイチュウ類に見られる特徴について、その形態を電子顕微鏡で観察した。その結果、体の前部の形を自由に変化させ、他の同種個体と手を繋ぐように接着させて群体を形成していた。それによって腎上皮の表面の生息域を大きく覆っていた。これは腎上皮の表面部を広く覆う適応である。この形質は分類上重要であるばかりでなく、ニハイチュウ類の系統の中でどのようなプロセスで生じたかが興味深い。
著者
徳井 厚子
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

複言語サポーターへのインタビュー調査の分析結果について論文発表及び学会報告を行った。複言語サポーターは文脈に応じて言語を使っていた。例えば相談場面で感情的な面や個人的な内容を聞く場合、具体的な説明の場合、緊急時の状況説明の場合、母語で行っていた。また、複数の言語の融合や言語スタイルの調整を行っていた。複言語サポーターは相談者と一定の距離を保ちつつ支援を行っていた。関係の相対化や、関係性の変化の重要性も挙げられた。また、複言語・複文化能力の観点から考察した結果、文脈に応じての自己の位置づけや複数の言語使用を変化させ、異文化間調整を行い、ネットワーキングを行うコンピテンシーの重要性が示唆された。
著者
生駒 忠昭 脇川 祐介
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

有機物質からなる薄膜における電気の流れやすさが外部磁場によって変化する現象を磁気伝導効果という。本研究は、磁気伝導効果を利用して有機太陽電池の中でおこる荷電キャリアが関係する反応を明らかにした。電子と正孔の再結合反応・励起子とキャリアの衝突に由来するトラップ反応・一重項励起子解裂の存在を明らかにした。本研究で開発した解析方法は、太陽電池素子を破壊せず動作条件下(室温・太陽光照射・低電圧)におけるキャリア反応を半定量的に評価できる新しいデバイス評価技術である。
著者
小野 美知子
出版者
岩手医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

研究期間内に実施した、ヘンリー・ソローの教育哲学に関する研究及びその成果として挙げることができるのは、子供の頃にソローが経営する学校の生徒でもあった、ルイザ・メイ・オルコットのソロー観、他の哲学者たちとの比較においてソローの自由と教育に関する見解を論じた"Thoreau and Freedom"、「成長」との関連における四季の循環の意義についての論文の三編、および2013年に音羽書房鶴見書店から出版された、ソローの教育哲学と自然観察に関する著書、Henry D. Thoreau: His Educational Philosophy and Observation of Natureである。
著者
佐藤 伸宏 加藤 達彦 高橋 秀太郎 土屋 忍 野口 哲也 畑中 健二 森岡 卓司 山崎 義光
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

「小品」とは、明治時代の後半期に成立した短小な散文テクストであり、近代長篇小説の確立の傍らで、それとは異なる脱ジャンル的で多面的な性格を備えた特異な散文として、非常な隆盛を示すことになった。この「小品」に関して、先行研究の蓄積はほとんど皆無に等しい状況であったが、本研究では、雑誌メディアを対象とした文献調査をとおして「小品」という枠組みの成立と展開を跡付けるとともに、北原白秋や水野葉舟その他が生み出した「小品」の様式的特徴を明らかにすることによって、「小品」の性格と意義を解明した。
著者
田中 聡
出版者
県立広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,高齢者を対象として仮想環境内で行う運動療法装置(VRスポーツ)を使用し,身体機能と認知面に及ぼす相乗効果について検討した.健常大学生を対象に安全性と効果的な映像コンテンツの検証を行ったのち,介護老人保健施設利用者を対象にレクリエーションとして3ヶ月間VRスポーツを行った.その結果,VRスポーツ群は下肢筋量(体重比)が平均1.1%と僅かに増加し,HDS-Rにおいては開始時18.3点から終了時20.7点と改善傾向を示したが,対照群と有意差は認めなかった.今後の課題として,高齢者では明瞭な視覚目標の設定と簡単なルール作りが重要と考え,新たな視覚映像を開発していくことが必要である.
著者
今福 恵子 川村 佐和子 深江 久代
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

静岡県内の15名のパーキンソン病療養者や7名の保健師を対象に、想定される避難所における生活障がいや必要とされる支援について半構成的面接を実施した。その内容を元に、小地域で活用できる災害支援マニュアルを作成した。災害時に予想されること、災害に備え準備すべきことなど自助実行が必要とすることが示唆された。今後もさらに改良をしていくことが必要である。
著者
千葉 智樹
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

生体を構成する細胞は、適切な時期にタンパク質を合成し、分解する必要がある。このタンパク質の分解は厳密に制御されており、その制御の破綻は様々な疾患(免疫疾患、神経変性疾患、メタボリックシンドロームなど)の原因となる。細胞内のタンパク質を選択的に分解するプロテアソームは、進化的に保存された複数の活性化因子によって制御されている。しかし、各活性化因子の生理的役割や機能分担は明らかではない。そこで本研究は、プロテアソームの多彩な機能を担うと考えられる活性化因子群の遺伝子欠損マウスを作製し、その表現型解析を行なうことを目的とした。
著者
鏑木 康志 久保田 浩之
出版者
独立行政法人国立国際医療研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

糖尿病腎症(DN)患者における血清可溶性LR11(sLR11)濃度を測定しDNとの関連を検討した。対象は健常者(H)39名、2型糖尿病患者(T2DM)38名、DN2期患者(DN2)34名、DN3期以降患者(DN3)53名とした。sLR11濃度はHに比べDN2, DN3で有意に上昇し、sLR11(β:0.22)、罹病期間(β:-0.22)、収縮期血圧(β:0.17)、HbA1c(β:0.22)、eGFR(β:-0.24)がACRの有意な規定因子であった。ロジスティック回帰分析ではsLR11、HbA1c、CreがDNの危険因子となった。血清sLR11の変動はDNの発症・進展と関連する可能性がある。
著者
嶋田 有三 安部 明雄
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

有人宇宙輸送の信頼性向上を目的として、(1)非パラメトリック方式と(2)パラメトリック方式の2タイプの適応制御方式を研究した。(1)の方式では、外乱観測器とフィードバック線形化法を併用した飛行制御システムを設計し、数値シミュレーション上でスペースシャトルを滑走路に自動着陸させることに成功した。(2)の方式では、横方向運動を最小位相系となるように設計し、外乱観測器を付加してその効果をシミュレーションで確認した。さらに、5基の操縦舵面の内、1基ないしは2基が故障しても飛行可能な制御則も開発した。