著者
宮口 一
出版者
科学警察研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

殺人や性犯罪などに悪用される催眠鎮静薬の摂取を毛髪から証明するための実用的な分析法の開発を行った。毛髪分析で正しい定量値を得るためには抽出効率が極めて重要であるため、実際の薬物摂取者の毛髪を用いて抽出効率の最適化を行った。最終的に、13種類の代表的な催眠鎮静薬についての毛髪分析法を確立した。これまでに報告されている分析法と比較した結果、本開発法は抽出時間が最も短い(10分)うえに、「必要な毛髪量×定量下限」が最も小さく(5 pg)、既存の分析法よりも優れた方法であると考えられた。
著者
貴志 俊彦
出版者
島根県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

この4年間、各地の文書(案)を中心に調査、研究するなかで、本研究に関連する文書はアジア諸国だけでなく欧米各国にも膨大にあることを知ることができた。その一部は、概括的なものながら、実際に文書にあたることができ、調査報告も公表した。各地の文書調査を通じて、たんに黄渤海地域に限定されない歴史学上の課題にも直面し、本研究は萌芽的ながらも地域研究、外交史、社会史を交錯させた研究成果としてまとめることができた。さらに、こうした調査を通じて、マルチリンガル・アーカイブの手法による歴史学研究という点で日本はやや遅れをとっていることも痛感され、こうした手法による都市やメディアに関わる研究成果の公表につとめた。本年度の研究では、4年間の研究成果をまとめ、公表することに重点をおいた。実際に、上海及び日本国内の数箇所の研究会で、成果発表をおこない、批判をあおいだ。こうしてまとめた『研究成果報告書』の構成は、次のとおりである。第1章 近代中国における<都市>の成立-不平等条約下の華と洋-第2章 近代天津の都市コミュニティとナショナリズム第3章 帝国の「分身」の崩壊と「異空間」の創出-第一次大戦期の天津租界接収問題をめぐって-第4章 メディア文化とナショナリズム第5章 日中通信問題の一断面-青島佐世保海底電線をめぐる多国間交渉-第6章 天津租界電話問題をめぐる地域と国家間利害第7章 戦時下における対華電気通信システムの展開-華北電信電話株式会社の創立から解体まで-第8章 日中戦争期,東アジア地域におけるラジオ・メディア空間をめぐる政権の争覇第9章 啓蒙と抗日のはざまで-国民政府による電化教育政策をめぐって-4年間で一定の成果を得たとはいえ、課題も残った。例えば、本研究の時期として設定していた1950年代の問題はほとんど触れることができず、第二次世界大戦後の都市やメディアの変化を明らかにできなかった。また、黄渤海地域の都市といいながら、結局中国サイドのそれしか留意できず、朝鮮半島や日本の都市に言及できなかった。こうした課題に対しては、日本を含めた北東アジアの諸地域を意識した研究が必要であると考えている。広範囲な地域における文書調査は今後も続けたい。
著者
村井 嘉子 北山 幸枝 南堀 直之 中野 泰規 栗原 早苗
出版者
石川県立看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の目的は、安静療法(降圧と臥床安静)を行う急性大動脈解離(StanfordB型)患者の看護実践の構造を明らかにした。研究方法は、質的帰納的研究方法(Grounded Theory Approach)である。25サブカテゴリー、7カテゴリー及びコアカテゴリーを抽出した。看護実践は、急性動脈解離の急変のハイリスクに供えながら、患者の日常性を再構築することであった。CureとCareが融合した看護実践の一部を解明した。
著者
友部 謙一
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

明治後期から昭和戦前期にかけての日本の工業化・都市化という変換過程のなかで、村落に暮らす農家や都市に居住する労働者家計における乳児や妊産婦を取り巻く生活環境がどのように変化し、その累積過程の中で、乳児死亡率や妊産婦死亡率を中心に、その他の体格指標(初潮年齢・身長・体重等)も併せて、それらにいかなる変化が現れたのかを、それぞれの家族経済を経由しながら、日本の地域別(農村都市別と都市内地域別)そして工業形態別(農村工業も含む)に観察、分析するのが本研究の全体像である。
著者
西田 誠 山下 静也
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

健診受診者で、腹囲は内臓脂肪面積と同程度に動脈硬化危険因子と相関した。そして腹部肥満が、頸動脈硬化(IMT) のリスクであることを示した。さらに経年的に増悪するIMTには、腹囲の変化が、他のリスク変化より重要であることを示し、保健指導の指標としての腹囲測定の有用性を示した。また外因性リポ蛋白マーカーであるアポB48はIMTとの相関はなかったが、内臓脂肪面積や生活習慣によく相関しており、さらなる検討に値する。
著者
比屋根 哲 大石 康彦 山本 信次
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究は,野外における森林教育・林業教育のあり方について,その理念と今後の課題,森林教育の現状,森林教育効果の把握手法に関して,多面的に検討したものである。また,ドイツ(フライブルク)とイギリス(ロンドン,他)で,森林教育関連事項の予備的なインタビュー調査を実施し,それぞれの国民の森林観,とくに林業観について日本人と比較・検討した。森林教育の理念と今後の課題については,これまでの実践の中で得られた野外活動の意義上可能性,また活動上の留意点について具体的に明らかにするとともに,森林教育研究の意義と課題についても整理した。森林教育の現状については,岩手県,秋田県,福島県の事例をとりあげて調査・検討した。主として林業家が主体的に教育活動を実践している事例分析からは,林業関係団体などが市民,行政と協力しつつ林業家を後押しするシステムを構築することで,市民の動きと連動した森林教育実践が可能になること,また行政による森林インストラクターの養成活動は,インストラクターが活躍できる場を確保しつつ,活動の場となるソフトの運営などはフレキシブルな対応が可能なNPO等の民間団体に依拠して進めることが有効なことを明らかにした。森林教育効果の把握は,質問紙法,ビデオカメラを用いた児童の行動分析,森林活動家のライフヒストリーの分析等を試み,それぞれの手法の有効性を明らかにした。海外調査では,とくにドイツ人と日本人において自国の林業に対する認識や評価のあり方が大きく異なっていることを明らかにした。学会セッシヨン「森林教育の課題と展望」では,森林教育の目標は多様であり得るが,実践においては目標の明確化が重要であり,また教育を実施する側が楽しく実践できる取り組みを創造していくことが重要であることが浮き彫りにされた。
著者
藤戸 敏弘 藤原 洋志
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

1.最小コスト木被覆問題・有向シュタイナー木問題・有向木被覆問題・b辺支配集合問題などのNP困難なグラフやネットワーク上での組合せ最適化問題に対し,新たに近似アルゴリズムを設計し,従来からの近似保証を改善した.2.侵入者と守衛の間で行われるグラフ護衛ゲームにおいて,最小の守衛数を求める問題に対し,従来手法を拡張し,侵入者が木上を移動する場合でもΘ(log n)倍以下で近似可能であることを示した.3.多状態スキーレンタル問題について,いかなるインスタンスに対し最適戦略をとっても,競合比はe/(e-1)より小さくできないことを示した.
著者
池田 孝博 青柳 領
出版者
福岡県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

幼児の運動能力の二極化を次の視点で確認した。1)正規分布からの乖離性、2)尖度とパフォーマンス特性の関連、3)ヒストグラムの変化、4)運動能力の偏り。1411名の幼児の測定を実施し、多変量解析を用いて分析した。その結果、1)体格・筋力は正規分布だが、移動運動は優偏、操作・安定運動は劣偏の乖離が示された。2)尖度から格差は確認できない。しかし、6歳女児に格差傾向を示すパフォーマンスが存在した。3)ヒストグラムの形状は加齢に伴い正規化した。4)運動能力の偏りは一部の幼児(14.1%)に出現し、走力・リズムに優れ、操作運動・跳技能に劣るものとその反対のパターンであった。
著者
鈴木 秀男
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,Fornellら(1996)によって開発されたACSIにおけるモデルで採用している尺度変数、潜在変数を参考にしながら、サービス品質,顧客満足度,顧客ロイヤルティの関連性を示した構造モデルを示した.また,Schmitt(2000)により発展した経験価値の概念の導入を検討した.これらのモデルに基づき,サービス品質,顧客満足度,顧客ロイヤルティのスコアを算出した.調査対象としてプロ野球のサービスを取り上げ,インターネット調査を2009年,2010年および2011年の1月下旬に行った.モデルとして,サービス品質(チーム成績,チーム・選手,球場,ファンサービス・地域貢献,ユニホーム・ロゴ)→総合満足度→応援ロイヤルティ→観戦ロイヤルティの構造モデルを構築し,チームごとに構成概念スコアを算出した.また,経験価値に関するモデル構築およびスコアの算出を行った.最後に,算出された構成概念スコアの妥当性を検証するために,それらのスコアと平均観客数との関係性について調べた.
著者
平林 敬浩
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

多様化膜分子群クラスター型プロトカドヘリン (cPcdh)はこれまでの結果から、神経回路形成に関与していることが示唆されている。本研究では、そのcPcdhの分子的多様性、細胞接着活性がシナプス形成時の細胞選別や機能的回路形成にどのように関与しているかを明らかにすることを目的とし、cPcdh分子の細胞接着活性解析および、Cre発現依存的にcPcdh遺伝子を欠損するcPcdh遺伝子コンディショナルノックアウトマウスの作製、解析を行った。その結果、Pcdhαの一部の分子種、Pcdhβ分子群に細胞接着活性が認められた。また、終脳特異的にcPcdh遺伝子を欠損したマウスでは脳構造に異常が観察された。
著者
岡本 義雄 伊東 明彦
出版者
大阪教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

近年の地震災害でなぜ”想定外”と言う言葉が頻発するのかを地学教育の面から検討する教材を開発した.特にこの問題で専門家の意識と一般の人や中高校生の意識の差に着目した.そのための教材として,教材用の地震計を開発し,学校における地震観測の条件を検討した.同時に気象台等の波形の教材化を図った.次に,想定外という言葉の元は地震や火山などの災害の「べき乗則」としての性質に着目し,これらの「べき乗則」の元となる災害のメカニズムや発生機構を考えるための教材を開発した.また偶然や周期性と言った災害と関連深い概念が,学生や一般の人々の災害像にどのような心理的なバイアスをかけているのかという検証も行った.
著者
角田 鉄人 堀川 美津代 加来 裕人
出版者
徳島文理大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究によって,世新しい光延試薬CMMP,CMBP等のホスホラン型の試薬を世界で先駆けて開発できた.また研究例のほとんどないデラセミ化法を開発できた。例えばラセミ体の3-ベンジル-2-ヘキサノンを光学活性なホスト分子と塩基性条件下で処理すると、93%の収率で99%eeのS体に変化した.これら手法を用い不斉3級炭素,不斉なアルコールさらに不斉なアミン類を効率よく調整できるようになった。これら新反応を利用してアブラムシの生体防御物質であるポリケタイド類の全合成を行った。
著者
森 貴彦 臼井 敏男 小林 義光 北川 輝彦
出版者
岐阜工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

メカトロニクスの実践的エンジニア育成のために,学生が自ら問題を考え,課題を設定し,問題解決能力を取得することを可能とするPBL教材開発と自己増殖・進化型教材作成及び運用システムのプラットフォーム設計と,その有効性を実証した.実施計画とスパイラル型フィードバックシステムに基づいて,これまでに製作した電子機能ブロックが持つ幾つかの課題を解決するために改良した電子機能ブロックを,低学年の学生に協力してもらい評価を実施するとともに学習の見直しを図ることができた.
著者
清水 チエ 大山 篤
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

歯科研修医の医療事故防止をはかる目的で、平成17年度と18年度第2年次研修医101名(男性31名、女性70名)に対し、医療事故の実態を把握し、4種の心理テストSDS,CMI,MAS,STAIによる心理的特性を分析した。1)研修医の医療事故等に関する年間集計アクシデント(医療事故)は、平成17年度26.5%、平成18年度は19.2%の研修医が経験ありと報告した。内訳は、切削器具による口腔内の損傷が6件、治療終了後または根管治療中に気分が悪くなった例が4件、その他の順であった。医療事故により後遺症の残った患者はいなかった。ニアミス(ヒヤリ・ハット)の経験は、平成17年度が69.4%、平成18年度は75.0%であった。最も多い順から、バーの着脱が31件、タービン・バーによる損傷が17件、その他の順であった(いずれも複数回答)。2)心理的特性の分析SDSでは63.0%の者が抑うつ傾向のない正常領城で、中等度以上の抑うつ傾向を有する者は4.0%にみられた。CMIでは87.6%の者が神経症傾向のない正常領域であり、IV領域の者は2.0%であった。MASでは72.0%の者には自覚しうる顕在性の不安傾向がなかった。STAIでは、37.9%の者の特性不安が高かった。4種の心理テストにおける医療事故あり群と医療事故なし群との間には、ほとんど有意差があるとはいえなかった。これらの傾向については、医療事故あり群の数が少ないため、今後も事例を集積して慎重に検討していくことが大切である。
著者
古市 晃
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

5・6世紀の王宮について、恣意性をともなう『古事記』『日本書紀』の宮号ではなく、居地にちなむ王名から検討できることを明らかにした上で、5世紀の王宮が大和・河内・山背など広汎に分布していたこと、6世紀前半には淀川水系や大阪湾岸西部にも展開するようになったこと、この変化が倭王権の支配構造の転換に対応するものであることを明らかにした。さらに、『播磨国風土記』を中心とする地域社会の神話・伝承を検討し、5・6世紀を通じて、中央支配者集団による地域社会の統合の度合が国レベルから村レベルに深化することを明らかにし、中央支配者集団再編の過程と地域統合の進展が密接不可分の関係にあったという見通しを得るに至った。
著者
岡田 佳子 石原 照也
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は,光照射で屈折率(吸収)変化する有機非線形媒質バクテリオロドプシン(bR)を利用して,光制御型光スイッチ素子を実現することである.光スイッチの小型化,低動作パワー,高速動作などの点からチャネル型導波路が有利と考え,当初方向性結合器型を提案したが,グレーティング結合器型スイッチ素子の方が将来性があると判断して素子構成を変更した.提案したグレーティング結合器は,電子ビーム露光装置およびドライエッチング装置を用いて石英基板上に作製したスラブ型フォトニック結晶(露光面積1.5mm^2,周期600〜720nm)上に,各種bR混合ポリマー膜をスピンコートしたものである.最適導波路膜厚を求めるためPVAのみをコーティングして透過スペクトルを測定した.膜厚を130〜200nmに制御し,法線方向から白色光を入射させて(-40〜+40度)ポリクロメーターで分光したところ,導波モードあるいはBraggモードの励振による透過強度の損失に対応する鋭いディップが観察され,膜厚180mm付近で最大Q値を示した.さらにPVA溶液にbRを混合してスピンコートした膜,bRを塗布して乾燥させた上にポリスチレンをオーバーコートした膜についてそれぞれ光学測定した結果,複数の新しいディップが出現し,そのQ値は最大1000程度を示した.各ディップエネルギーを波数k_x=ksinθの関数としてプロットした分散関係から,有効屈折率を計算したところ,1.7〜2eV付近ではn^*=1.47,2.4〜2.7eV付近ではn^*=.53となり,これらの値は石英の屈折率やPVAの屈折率に非常に近いことがわかった.これらのサンプルにArイオンレーザー(515nm)を照射してbRの屈折率を変化させ,それに従って導波路に結合するモードすなわちディップの波長を変化させたところ,シフト量は1〜2nmで,He-Neレーザー633nm(半値全幅1.4nm),半導体レーザー682nm(半値全幅2.0nm)のスイッチングは十分可能であることを確認した.このように,入射角度によって複数のディップを同時に選択でき,その波長シフトを光で容易に制御できることから,本研究で提案したフォトニック結晶スラブは,多波長光スイッチング素子として利用できることを示した.
著者
日下部 健 岡田 利也 柴田 雅朗 武下 愛
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

Adipsin/ASP経路は補体活性化と、血中遊離脂肪酸の細胞内取り込みを交差させる複合的な生理システムである。流産の発症要因に補体系が関係することから、本経路の生殖学的な意義について検討した。流産を起こした胎盤では脂質成分の有意な上昇と血管への脂肪滴の蓄積が認められた。妊娠マウスへadipsinタンパクを投与すると流産率が増加し、胎盤に変性所見が認められた。投与によって脂質代謝関連因子と妊娠に重要なサイトカインの変動が認められた。妊娠期の主なadipsin産生部位は乳腺であることが判明し、本経路が過剰に活性化した場合、胎盤局所の傷害作用と全身性の代謝変動により流産が誘導される可能性を示した。
著者
加藤 博一
出版者
広島市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

1.正方形マーカーを用いたインタフェース方式の改良小型カメラを2台内蔵したHMDを用い,ステレオカメラ方式での拡張現実感システムを構築した.これにより精度・安定性を向上させた.また,カメラのレンズ歪みモデルにも改良を加え,カメラキャリブレーション手法のユーザビリティの改善を図った.2.評価実験の実施上述のシステムを用いて,3次元拡張現実感インタフェースの評価実験を行った.特に複数人での共同作業場面における有効性の確認や問題点の発見に注目した.ステレオ表示の有効性が確認され,また,現実世界と仮想物体の逆隠蔽問題による指差し行為の妨害効果なども確認できた.3.平面対象物の位置姿勢計測アルゴリズムの開発テンプレートマッチングに基づき平面対象物の位置姿勢をリアルタイムに検出する手法を開発した.対象画像からトラッキングに有効と思われる複数の特徴点を自動的に検出し,それを用いて特徴点を自動登録する.トラッキング中は,利用可能な特徴点の中から位置姿勢計算に有利な4点を動的に選択しテンプレートマッチングによりトラッキングを行う.4.屋内環境でのリアルタイム位置合わせ手法を開発屋内環境を平面近似によりモデル化し,そのモデルに基づく屋内環境でのリアルタイム位置合わせ手法を開発した.3の手法を応用し,多少の凸凹のある物体に対しての位置合わせを実現した.5.仮想物体表示における実世界シーンへのシャドウイングアルゴリズムの開発仮想物体を実世界映像上に重畳表示する際に,仮想物体の影を実世界シーンに投影するリアルタイム表示アルゴリズムを開発した.6.本・定規・カップ・サイコロによるインタラクション方式の考案と実装本,定規といった日常的道具を用いたインタラクション手法を考案した.それぞれの道具の有するアフォーダンスを有効に利用することで,ユーザが直感的に理解しやすいインタラクション方式を実現した.
著者
中丸 禎子 川島 隆 加藤 敦子 田中 琢三 兼岡 理恵 中島 亜紀 秋草 俊一郎
出版者
東京理科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

言語・時代の枠組みを超えた文学の超領域的研究と、教養教育・社会人教育における研究成果の還元モデルの確立を目的に、各研究者がアンデルセン『人魚姫』に内包される諸テーマを緩やかに共有した。個々の研究者が「人魚姫」「世界文学」「教養教育」などのテーマで成果を発表した。また、ブース発表「「人魚」文学を扱う授業の実践報告―多言語文学間の共同研究と教養教育への還元モデル」、シンポジウム「異界との交流」、シンポジウム「高畑勲の《世界》と《日本》」(映画監督・高畑勲氏を招聘)において、共同・連名で成果を発表した。
著者
海谷 治彦
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

情報システムの要求定義段階において,システムアーキテクチャに基づき,発生しうる脆弱性と,その対策群を予測するモデリング手法とツールを開発した.システム内の重要資産(アセット)の依存関係に基づきモデルは構築され,脆弱性と対策は,その依存関係グラフの構造的な特徴に基づき系統的に予測できる.ツールは独自のモデル検査エンジンによる予測の自動化と,予測結果の可視化を行う.これによって,セキュリティ分析者を含むシステム開発関係者が,予測結果の妥当性を吟味することが可能となった.