著者
花岡 和則 渡邉 大介 北本 武郎
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

筋ジストロフィー等の難治性筋疾患の治療法を考える上で、筋再生の分子機構を理解する事は非常に重要であるにも関わらず、筋再生の分子メカニズムについては、不明な点が多く残されている。我々は、ホメオボックス型転写因子Lbx1およびNotch受容体の1つであるNotch3が、筋再生を担う幹細胞であるサテライト(筋衛星)細胞で発現していることを発見し、これらの遺伝子が筋再生に重要な機能をもつことを明らかにしてきた。本研究は、これらの遺伝子の作用機構と生理機能をノックアウトマウスを用いて明らかにしたものである。本研究の結果を基盤に新しい視点から筋再生・筋発生のメカニズムを解明し、幹細胞治療への応用の可能性を探ることが可能になった。
著者
細木 俊宏 高橋 邦明 村山 賢一 細木 俊宏
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

高齢化社会のモデルとして豪雪・過疎地である中郷村を選び、松之山町で成功した自殺予防介入方法を異なる地域で用いることによって、有効な自殺予防介入を検証した。平成13年(平成12年度)から3回にわたって、対象者である60歳以上の中郷村村民全員(1684〜1688人)に新潟大学方式自己記入式うつ病尺度(SDS)を配布し、SDSを回収した。回収されたSDS点数をもとに、うつ状態や自殺の危険性を評価するためにDCRによる診断面接を行なった。2年目からは積極的な介入を行なうため、自責感、焦躁感、希死念慮の有無が自殺の危険性と関連している質問項目として5つを選び、診察対象者を絞り込んだ。対象者を精神科医師が診断面接し、うつ状態や自殺の危険性を評価し、自殺予防介入方法としてその妥当性を検討した。また啓蒙活動としてうつ病について講演をおこなった。平成12年度〜14年度の3年間で8名が自殺したが、7名のSDS点数は60点未満であり、診断対象から外れていた。また1名は絞込み項目で点数が低いことから診察対象から除外された。そのためSDSの総得点、絞り込むための項日は自殺既遂者を特徴づけるものとはいえなかった。しかし自殺既遂者によるアンケート結果から、自分が社会や家族にとって必要とされるか、仕事を気楽にできるか、充実した人生であるか、頭はすっきりしているか、息苦しいか、動悸がないか、などへの回答が自殺既遂者と非既遂者で異なる傾向があった。現時点まで介入前後における中郷村の自殺率の変化は認められない。啓蒙活動の継続や地元スタッフ参加協力による共同活動を通して、地域における自殺予防介入の重要性とその必要性についてある程度の理解が得られた。しかしうつ病の早期発見、早期治療から自殺を予防していくためには今回用いた手法の限界、絞込みや訪問診察などの介入方法、評価方法に改善すべき点があると考えられた。
著者
西 真弓 坂本 浩隆
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

脳内コルチコステロイド受容体にはグルココルチコイド受容体(GR)とミネラルコルチコイド受容体(MR)の2種類が存在し、いずれもホルモン誘導性の転写制御因子であり、低分子脂溶性ホルモンのコルチコステロイドとの結合により活性化され、細胞質から核へ速やかに移行し、脳内で発生、分化、ストレス応答など多彩な作用を発揮することが知られている。また共通のリガンドであるコルチコステロイドに対して、MRはGRよりもおよそ10倍親和性が高いことも知られており、この親和性の差を反映して恒常状態ではMRが主として活性化されるのに対し、ストレス状況下などコルチコステロイドの分泌が増加した状態ではMRに加えてGRも活性化されると考えられている。しかしながら、ストレスやサーカデイアンリズムなどに伴いダイナミックに変動するホルモン環境に対し、これら2つの受容体がいかにして神経細胞の突起、細胞質から核へ移行し、標的遺伝子の転写を調節するのか、という生物学にとって極めて基本的かつ重要な問題が未だ明確にされていないのが現状である。本研究では、これら受容体が核局在化シグナル(nuclear localization signal ; NLS)を有することから、このNLSを認識する輸送因子であるインポーチンαおよびβに着目した。平成17年度は、海馬培養神経細胞にCFP-GRあるいはCFP-MRとYFP-インポーチンαの種々のサブタイプを共発現させ、コルチコステロイドを投与した際に受容体とインポーチンαが同時に核内へ輸送されるかを、live cell imagingの手法を用いて解析した。その結果サブタイプにより、核輸送に違いがあることが明らかになった。平成18年度は、GRとインポーチンα1あるいはα3は結合するが、これら複合体は樹状突起から細胞体、核の方には輸送されない、という2点に必要な部位の決定を行い、ミュータントを作成した。現在、受容体とインポーチンαとの複合体を核へ輸送するモーター分子を探索する実験が進行中である。
著者
小林 達明 野村 昌史 佐々 英徳
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

柏市こんぶくろ池湿地に自生するズミ集団の保全のために、個体の開花・結実状況、実生の更新状況、アロザイム遺伝子構造、自家不和合性対立遺伝子構造、花の形態変異を調べた。その結果、こんぶくろ池ズミ集団の結実率は低く、実生の更新状況は不良だったが、アロザイム遺伝子多様度、自家不和合性遺伝子多様度とも高く、遺伝的劣化は見られなかった。同湿地の再生目標を明らかにするために江戸期以来の絵地図・絵図の変遷を検討し、周辺はクヌギを主とする立木密度の低い林だったことがわかった。
著者
増田 良介 大内 茂人 稲葉 毅
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、手の不自由な障害者がいつでもどこでも好きなものを、なじみ深い箸を使って食べることができる食事介助ロボットを開発した。このロボットは、水平多関節型で先端部に箸操作機構をもち、コンピュータ画面に表示された食べ物を指定すると、箸で自動的に口元まで持っていくシステム構成となっている。箸の閉じ位置と把持力を計測し制御することにより、多様な食べ物をハンドリングすることができるようになった。
著者
丸山 士郎 島谷 弘幸 高橋 裕次 白井 克也 鬼頭 智美 木下 史青 伊藤 嘉章
出版者
独立行政法人国立文化財機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

東京国立博物館は日本で最も古い博物館であり、1950年に文化財保護法が施行されるまでは、文化財行政の中心的な役割を果たしてきた。東京国立博物館が保管する歴史的な文書は、日本の博物館の歴史を知る上で欠くことのできない資料であるとともに、戦前までの文化財行政を知る上でも重要な資料である。この研究では、それらの資料を分析し、東京国立博物館が果たしてきた歴史的役割について解明した。
著者
下村 直行 寺西 研二
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

バイオマス燃料となる微細藻の油性分抽出の効率化のため, パルス電界による微細藻細胞壁の穿孔を試みた。 パルス幅 25-100μ秒のパルス発生装置を開発して印加すると,一部が透明化した個体が確認され,全体が透明になったものも存在した。印加電界を高めると,細胞壁の一部が欠けて見えるものも現れた。これらは細胞壁の穿孔による結果と考えられる。パルス電界による微細藻増殖促進の実験では,一部に増殖が加速されたサンプルも見られたが,さらに実験継続して確認が必要である。
著者
平田 豊 HIGHSTEIN Stephen M. BLAZQUEZ Pablo M. BAKER Robert
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

小脳を中核として実現される運動学習に関わる脳内情報処理機構を、電気生理学的手法を用いた動物実験により探り、得られた結果をもとに計算機上に数理モデルを構築し、その妥当性を確認した。また、このモデルによる実機モータ制御を試み、小脳モデルが実機モータの適応制御に有効であることを実証した。
著者
荒井 幸代 吉村 忍 丸山 喜久
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

情報提供が人間の意思決定戦略を変化させ,交通流に大きな影響を与えることを示し,これを改善する方法を提案した.具体的成果は3つに大別される.1)不完全情報下で運転者の経路選択モデルの提案,2)1)のモデルが大域的な交通流に与える影響の検証,および,3)実世界データを用いた1)2)の妥当性検証である.交通網変化時の過渡現象の混乱から収束の様子を再現し,東北地方太平洋沖地震後に東京都で取得されたタクシープローブデータを分析し,利用者均衡配分によってリンク交通量を予測し運転者の経路選択行動に関する分析も実施した.
著者
野口 美和子 大湾 明美 石垣 和子 北村 久美子 山崎 不二子 植田 悠紀子
出版者
沖縄県立看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、島嶼環境を活かし「島嶼から学ぶ」島嶼看護学教育の看護学士課程への導入促進に資することであった。島嶼看護学教育の効果は、学生、教員、地域の専門職において"島嶼での理解の深まり""島嶼看護の魅力と理解""学習力・教育力の向上""看護実践力・地域力への貢献"があった。課題は、"島嶼での学びの意義"を多くの大学が挙げていた。その解決に向け島嶼看護学教育内容を体系化する必要性が提言された。
著者
吉川 寛 塩澤 正 倉橋 洋子 小宮 富子 下内 充
出版者
中京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、大学における国際英語論に基づく英語指導のための評価項目を設定し、それを踏まえた教育活動の実践をめざす一方、アウターサークル地域への短期留学前後の大学生を対象に日本人に適した「内的基準に基づく英語到達目標」を提示し、併せて国際コミュニケーションにおけるaffective competenceの重要性などの指導をおこなった。学生へのアンケート調査から、留学後「日本人英語への肯定的認識の向上」や「日本人英語教師による授業への志向性」等の高まりが見られることが判明した他、国際英語論の学習により「第二言語不安」が軽減し、英語を用いた国際発信力の強化という点で有意な教育効果をもちうることが判明した。
著者
水野 幸治 三木 一生 山本 創太 田中 英一
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究では,CRS使用時の小児の傷害の詳細解析を目的とし,成人人体有限要素モデルTHUMS AM50のスケーリングに基づき,3歳児FEモデルを作成した.3歳児の人体計測値に基づき,身体各部位におけるスケールファクターを求め,AM50モデルに対して形状のスケーリングを行った,その結果,3歳児の人体計測値との誤差が10%程度であり,3歳児の形状を表した人体FEモデルを作成することができた.3歳児の骨の材料特性は文献を基に骨の弾性係数,破断強度,ひずみを求め,小児の骨の応力-ひずみ曲線を推定した.この推定した3歳児の特性から,3点曲げ解析を実施し,実験結果とよく一致した.3歳児FEモデルの衝撃応答を3歳児ダミー校正要件を用いて検証した.特にCRSの拘束に関連する胸部,腰部の特性に対して検証を行った.本モデルは衝突ダミーの胸部応答要件を満たし,さらにダミーよりも死体に近い応答を示した.すなわち,本モデルでは衝突ダミーよりも詳細に人体の胸部傷害メカニズムを再現できる可能性がある.3歳児FEモデルを用いシールドタイプのチャイルドシート(CRS)による衝撃解析を行った.3歳児FEモデルではシールドにより荷重を受けた胸椎を中心に体幹が屈曲した.衝突ダミーでは腰椎で体幹が屈曲した.本モデルの応答は,衝突ダミーよりも死体の応答に近く,人体挙動を再現していると考えられる.さらに軟部組織の応力について検討した結果,シールドタイプのCRSでは胸部の圧迫により,胸部内臓傷害の危険性があることがわかった.本研究で開発した3歳児人体有限要素モデルを用いることで,従来,困難であった子供の骨折などの詳細な傷害の評価,CRSの拘束方法の評価が可能となり,本モデルが傷害再現のための有効なツールであることが示された.さらにこのモデルにより,子供の解剖学的特長及び傷害メカニズムを考慮したCRSの設計開発のための有用な知見が提供できると考えられる.
著者
赤星 保浩
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

宇宙ごみの増加割合を低減させる目的で、2007年度にフランスよりISOに超高速衝突試験法(新たな宇宙ごみが生じにくい材料を選定するための試験方法)に関する規格案(11227)提案された。しかしながら、日本ではこのような試験を想定しておらず十分な試験体制が取れていなかったが、本研究活動を通じてその試験体制を整えた。さらに日本側から数多く修正案を提案した。本規格案は現在FDIS段階まできており、今後、ISO本部と最終確認作業を行うところまできている。
著者
ヨコタ村上 孝之
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

当初の計画以上に進展している。すなわち、データベースについては、ほかの研究者の実用に供せるような、試用版が完成した。このデータベースに基づいて、また、亡命文学・ディアスポラ文学理論関係の資料から得られた知見を応用しつつ、読解・分析なども継続して行い、その理論的解釈を深め、成果がいつくかの論文にまとまりつつある。現在までに図書に収録された論文が一本。平成21 年度中に出版予定のものが二本ある。
著者
赤岡 仁之
出版者
武庫川女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究は、ストア・ブランドに焦点を当てて、ブランドの意味形成と競争関係に関する内容を取り扱った。ストア・ブランドとは、「顧客の知覚空間上に形成された店舗あるいは複数店舗の総体であるストア・ブランド・レベルにおける意味の集合体」であり、顧客の店舗に対する意味形成は、店舗で提供される製品やその価格、店舗のサービスや雰囲気、それに関わる広告等のマーケティング活動を通して行われる。しかし、その店舗の製品やサービスに対する評価は、他の競争する店舗との相対的な関係のなかで決定されることも否めない。そこで、ブランドの意味をブランドの意味構造として、競争相手との関係性を競争構造としてそれぞれ捉え、ブランドの意味構造と競争構造との関係を見ることによって、競争構造の差異がストア・ブランドの意味形成にいかなる影響を与えているかを考察した。意味構造をコアの意味内容とフリンジの意味内容から構成されたネットワークとして捉え、競争構造として店舗立地を取り上げ、消費者の生活空間における店舗数の問題である量的側面と、どの競合店舗が同一の生活空間に存在しているかという質的側面に分類した。ケースとして、ストア・ブランドに対するイメージが比較的安定しており、他店との比較が容易なファストフード店(マクドナルド、モスバーガー、ミスタードーナツ等の7社)を分析対象にし、質問紙によるアンケート調査を行った(被験者は関西および関東在住の女子大学生100名)。その結果として、消費者の生活空間に多く存在しているファストフード店ほど、そのブランド評価が高いことがわかった。また、「消費者の生活空間にある競合店舗の組み合わせが異なれば、それぞれのストアブランドの意味内容も変化する」という仮説に対して、統計的に有意な結果は得られなかったが、消費者のファストフード想起集合との関係がある程度認められた。
著者
今堀 洋子
出版者
追手門学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、グリーン・サービサイジング(モノを所有するのでなく、その機能を利用する方が、より環境親和度が高いビジネスモデル)に関して、そのサービスを受ける側の立場から、その受容性の検討を行った。また、グリーン・サービサイジングが、いわゆる企業のビジネスモデルとしてだけでなく、それぞれの地域内でモノを循環させるしかけとしての有効性も検証した。更には、グリーン・サービサイジングという考え方を、国内外に情報発信を行った。まず、グリーン・サービサイジングの受容性であるが、2002年から家電をリースで利用しているリースモニター79名に対して、リース期間が終了する直前にアンケートで確認した。家電に限らず日常の暮らしの中で使用するモノを所有するのでなくリースで利用することに関して、ユーザのニーズは高いことが判明した。特に所有しなければ、必要がなくなった時に返却できること、故障の際の安心感などへの共感が多かった。但し、家電など毎日利用するものに関してはこだわり、所有意識が高い人もあり、機能を利用に関しては、意見が分かれた。家電を所有でなく機能利用にシフトしていくには、製品のデザイン時からそのコンセプトを盛り込んでおかなければならない。また、地域資源循環を促進するグリーン・サービサイジングに関しては、長野県飯田市において、ペレットストーブによる農家向け熱供給サービスを具体的な事例として、その事業を実験的に進める中で、可能性・有効性を検証した。熱を供給するというサービスの核に、地域の色々なセクター(森林、工業、農業、市民、自治体など)を結ぶ役割を担うミドルマンの存在が、事業の成功の鍵を握っている。ミドルマンのコーディネートのもと、グリーン・サービサイジング事業を通して、地域の地産地消を促す取り組みが可能である。
著者
宮下 規久朗
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、カトリック改革が西洋美術に及ぼした影響を解明するため、16 世紀後半から 17 世紀初頭にいたるローマを中心とするイタリアにおける教会と美術との関係に注目し、作品をめぐる権力と受容の問題を通して、カトリック改革が、マニエリスムとバロックとの過渡期であるこの時代の美術にどのように具体的に作用したのかを探るものである。
著者
杉山 政則 的場 康幸
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

キャディと名付けたタンパク質と複合体を形成したチロシナーゼの結晶に, 銅イオンをソーキングすると, チロシナーゼの活性中心に 2 つの銅イオンが導入された。 また, キャディ分子中に2 つの銅結合部位が見出され, キャディがチロシナーゼへの銅輸送を担うと考えられた。本研究では, ソーキング時間の異なるチロシナーゼ・キャディ複合体の結晶構造, および, チロシナーゼと銅イオン輸送能力が低下したキャディ変異体との複合体の結晶構造を, 高分解能で解析した。その結果, キャディがチロシナーゼの活性中心に銅イオンを輸送する分子機構を明らかにすることができた。
著者
小林 昭三
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

科学概念形成に効果がある最新のITセンサー活用をベースに「active-learning理科学習モジュール群」を研究開発した。抵抗のない世界を手軽にもたらす数々の巧妙なシステム、超高速動画カメラ・運動分析ソフト活用教材、携帯型ICT(無線LAN)活用教材、抵抗が支配的世界での学習モジュール、等の有用なICT活用コンテンツを研究開発した。その効果を事前事後調査等で評価し、その修正・改良で、より効果的な理科支援・学習システムを形成・構築した。
著者
久保 勇
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

軍記を<武>の表現として捉え,歴史事象・地域伝承等へ視野を拡大し,「戦争の語り方」という課題設定から研究をおこなった。およそ以下の2つの成果を得た。1点目は<武>の表現が歴史事象としての「断罪」から「戦闘」へと変容していく傾向を把捉したことである。2点目は,江戸前期(17世紀半ば)の修史事業を契機として「軍記」はさかんに流動・伝播した。都市部では新たな物語(軍談など)の創作がおこなわれる一方,地方では伝播した軍記作品等が史書に近い形で受容されていくという2つの方向性が認められたのである。