- 著者
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田中 志信
村田 和香
山越 憲一
- 出版者
- 金沢大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 1997
1. 生体情報の宅宅収集壮置の試作: 既に開発済みの心拍出量と血圧の無拘束同時計測システムに被測定者の姿勢状態を記録する簡易行動シナリオ計測を組み合わせたシステム(生体情報の在宅収集装置)を試作した。姿勢計測の角度分解能は約3゜、測定間隔は0.1,0.2,0.5秒で静止画表示・アニメーション表示・ヒストグラム解析などのが可能である。循環生理情報に関しては血圧・心拍出量と共に末梢循環抵抗、心拍数、一回拍出量が演算処理され24時間分のデータがトレンド表示される。健常成人を対象としたフィールド試用の結果、無拘束下で得られた循環動態の24時間計測値と被験者の各種行動・姿勢変化との詳細な対応付が可能であることが確認された。2. スペクトル析による循環生理機能の日内変動の解析: 健常成人を対象に1日目は通常の日常生活、2日目は終日ベッド安静という条件下で連続48時間の無拘束循環生理機能計測実験を行い、日常生活における行動様式が各パラメータに及ぼす影響を検討した。その結果、各パラメータともに概ね12時間及び24時間を主な周期とする日内変動が存在し、行動様式の違いは12時間周期に対してはあまり影響を及ぼさないものの概日周期に対しては大きく影響することが確認された。3. 高齢者を対象とした日常生活下における姿勢解析: 生活環境の異なる高齢者を対象とし日中約10時間の無拘束姿勢計測を行った。対象者は年齢71〜83歳の女性8名で、日常生活下における行動や活動性というものが客観的に評価可能であることが確認されるとともに、生活環境の違い、すなわち在宅か施設や病院で生活しているか、さらには同じ在宅でも単身か家族と同居かといった違いで、日常取る姿勢の種類や頻度、活動性に大きな差が見られることが客観的に示された。これらの結果から、何らかの障害を持つ高齢者の治療に際して「寝たきり」状態を惹起させないためには、障害の快復状況に応じて患者の生活環境をも考慮すべきであることが確認され、機能面の評価に加え、生活スタイル、生活信条をも把握したリハビリテーションプログラムの必要性が示された。