著者
東 哲司 平野 達也 笹山 大輔
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

アマゾン野生イネ種Oryza grandiglumis の2つの系統は,部分的深水で浮稲と同様に節間の伸長を示し,冠水状態では,冠水耐性イネ品種と同様に成長を停止し,気中に戻すと正常に成長した。これらの系統において,SUBMERGENCE1(SUB1A)遺伝子とSNORKEL (SK)遺伝子は共に検出できなかった。これらの結果は,O. grandiglumis のこれらの系統は,SUB1AとSK遺伝子が関与しないメカニズムによって相反する2つの成適応反応を有することを示す。これらの系統の深水下での節間の伸長促進にはエチレンではなく過湿度環境が引き金となっている。
著者
沢田 史子 大薮 多可志 村上 嘉代子 吉田 武稔
出版者
北陸学院大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

古写真や古絵図などの歴史資料を活用した外国人向けスマホアプリにおける情報発信技術を開発した.評価実験より,当時の人々の暮らしを伝える地域歴史文献を英訳し古写真を添えて作成したコンテンツが外国人旅行者に対し有効であり,旅行者による地域歴史資料を活用した情報発信が満足度を高めることが明らかとなった.さらに,外国人旅行者の積極的な情報発信を促進する仕組みの必要性が明らかとなった.
著者
目黒 強
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、明治時代に刊行された雑誌(教育雑誌・文学雑誌・総合雑誌・少年雑誌)における読書活動関連記事を検討した。その結果、「小説」が子どもに悪影響を及ぼすという社会通念のもと、子どもが読む雑誌に「小説」を掲載することについての合意が形成されているとは必ずしもいえないこと、課外読み物観が形成されつつあること等が明らかとなった。
著者
松山 美和 古谷野 潔 松下 恭之 山口 貞子
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

補綴治療効果を栄養学的見地から評価することを目的として、自記式3日間食事記録にスケール付きの摂取食品の写真撮影を加え、摂取食品と摂取量を推定する方法を次世代型栄養評価法とした。 本法を用いて栄養摂取に対する補綴治療効果および治療後の専門的栄養指導効果を検討したところ、補綴治療は短期間では栄養摂取に影響を及ぼさないものの、補綴治療後の専門的栄養指導は患者の質的栄養改善に有効であることが示唆された。
著者
橋本 誠一
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、静岡県をフィールドとして、おもに明治維新から明治 10年頃までの時期の(1)法学教育、(2)裁判所制度のあり方、(3)訴訟と代言人活動の実態を解明することを目的とした。そのうち研究目的(1)「法学教育」については論文(5)を、研究目的(2)「裁判所制度」については論文(1)と(2)を、研究目的(3)「代言人」については論文(3)をそれぞれ執筆した。
著者
竹内 郁雄
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

不完全にしか情報を共有し得ない多数の自律的なエージェントが,動的に変化する環境のもとで,実時間で協調的に振る舞って所定の目的を達成するシステムの研究を行なった.本研究は,この問題の論理的・ソフトウェア的側面に着目し,国際的協調研究が行なわれているロボカップサッカーとロボカップレスキューのシミュレーション部門をテストベッドとして,机上検討に留まらない実証的なシステム作成を進めた.本研究の成果の最も特筆すべき点は,実時間自律分散協調問題を,可能なかぎり人間に近い方法で解いたことである.すなわち,ロボカップという文脈で,個々のエージェントには人間と同等の認知限界や能力限界があるという制約を課した.チームプレイのために人間と同等の「かけ声」しか使わないことがその最たる特徴である.それにもかかわらず,本研究期間内に開催された公式国内競技会では30チーム程度の中で常に最上位の成績を修めることができた.また,マルチエージェントシステムとしてのロボカップでは,並行プログラミングそのものの難しさが課題となる.このため,我々は実時間分散協調システムのテスト・デバッグを可視化する支援環境の開発も行なった.これによって一般の並行プログラミング支援環境にも有用な知見が得られた.
著者
小田 竜樹
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

スピン軌道相互作用などほとんど全ての相対論効果を含む電子に対する擬ポテンシャルの開発を推進し、これらを既存の第一原理分子動力学法へ組み込む開発研究を行い、さらに開発された計算コードを用いて、スピントロニクス等で重要となる磁気異方性の電界効果や半導体のラシュバ効果といった新しい研究分野において計算科学的理論的研究を推進した。その結果、開発した計算コードがこれらの分野において重要な研究手段を提供することを実証した。
著者
北川 徹哉 ドラゴミレスク エレナ
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

高速道路トンネルの換気設備の省電力化のために,高速で走行する自動車と路面との間の空間に生じる負圧により,ダクトを経由して外気を吸入する手法を提案した.自動車通過時の路面上の圧力変動を屋外実験により求め,これを境界条件とする数値流体解析により外気吸入ダクト内の流れの挙動を調べた.また,外気吸入ダクトの形状および通気条件を変えて解析を行い,吸入効果の高い条件を探った.
著者
中村 祐司
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

新聞報道等のメディア情報や現地調査をもとに、2008年北京オリンピック大会を対象に、競技場の建設や交通基盤の確立、ボランタリー活動の浸透、五輪スポンサー企業の活動、政府広報、諸外国との調整、治安の確保など、開催に至るまでの中国内外における関係組織間の相互作用の動態を、ガバナンス(統治ないしは協治)の視点から把握すると同時に評価類型からの分析を行い、国内外における中国の協治の可能性について論じた。
著者
近藤 満
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

金属錯体ユニットの水素結合による連結や一次元型配位高分子の集積を利用したチューブ状チャンネルを構築した。これらの金属錯体を用いて、メタノールの除去と接触に応答したチャンネル骨格の崩壊と再構築、メタノールの添加を契機としたより大きなゲスト分子の捕捉に成功した。一方、一次元型配位高分子を用いて、温度に応答してチャンネル構造を可逆的に変化させる相転移挙動を発現させることに成功した。
著者
亀岡 智美 中山 登志子 舟島 なをみ
出版者
独立行政法人国立国際医療研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は、チーム医療の要である看護師が専門性発揮状況の自己評価に活用できる尺度の開発をめざす第一段階として、他職種と協働・連携する中、看護の専門家の立場から意識的に展開している実践を解明した。全国45病院の看護師902名を対象に質問紙調査を行い、収集したデータを質的帰納的に分析した。結果は、看護師が、看護の専門家の立場から意識的に展開している実践35種類を明らかにした。それは、〈患者の個別状況を考慮しながら健康上、生活上の問題解決を支援する〉、〈患者や家族の心情、苦痛や本音を聞き出し、必要な人物に代弁して伝える〉等である。このような本研究の成果は、最終目的とする尺度開発の基盤となる。
著者
安部 治彦 河野 律子 竹内 正明 近藤 承一
出版者
産業医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、反射性失神を中心に失神の原因と頻度、就労に関すること、長距離バス運転手の失神状況を分析し、更には失神の治療としての薬物治療と非薬物治療の効果、及び原因疾患の鑑別診断に関する植込み型心電計(ILR)の有用性を調べ、欧州での成績と比較検討した。就労中の失神が原因で辞職する患者は少なくないことが判明した。長距離バス運転手の事故の多くは運転中に失神発作を来していることが原因であることは判明した。ストレスが原因と考えられた。反射性失神の治療として起立調節訓練法は極めて有効性の高い治療法であり、患者自身は自宅で行うことができるため非常に有用な治療法であることが判明した。植込み型心電計は、原因不明の失神患者の鑑別診断に高い有効性を示し、その成績は欧州に比し本邦ではより高い原因疾患の診断率があった。今後本邦での多施設前向き研究が望まれる。
著者
安村 典子
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、ヘレニズム文学の至宝、カリマコスの諸作品を研究し、(1)カリマコス詩歌の文学的意義を考察すること、(2)カリマコスを中心とするヘレニズム文学の特質について考察すること、(3)カリマコス並びにヘレニズム文学が後代に与えた意義を究明すること、主としてこの三点に焦点をあてて考察した。カリマコスの作品は、神々への『讃歌集』6編と『起源物語』、それに風刺詩の断片が残るのみである。いずれの作品もいまだ日本語に翻訳されておらず、その研究もほとんど行われてこなかった。本研究では、これらの作品を初めて日本語に翻訳し、それらが緻密で文学技巧を駆使した薫り高い文学であることを研究した。これにより、古典文学に関心を抱く人々にカリマコス文学の全容を提示するものである。
著者
武藤 貞嗣 森田 繁 舟場 久芳
出版者
核融合科学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

X線スペクトルイメージ測定用試作器を製作して較正実験を行なった。本測定法は、光源の輝度が大きいほどエネルギー分解能と時間分解能が両立して向上する。よって、高エネルギー加速器研究機構・放射光科学研究施設・ビームライン14Cに於いて放射光を用いた実験を行なった。二結晶分光器から射出される幅0.3 mmの二次光を単色光として直径1 mmのタングステンピンホールに通し、ダイナミックレンジが16 bitのX線CCDカメラを用いて画像測定を行なった。その結果、試作器の動作が設計通りであることを確認できた。また、スペクトルを求めるために必要な数値を得ることができた。
著者
片岡 龍峰 佐藤 達彦 塩田 大幸 保田 浩志
出版者
国立極地研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

太陽の爆発現象から地球に向かって放出される太陽高エネルギー粒子(SEP)の影響は、最大規模のもので航空機パイロットの1年間の被ばく線量基準に達するおそれがあるため、宇宙天気予報でも最重要課題として知られている。最高エネルギーSEPによる航空機被ばく線量を物理的に、かつ定量的に予測することを目的とし、3段階モデルを用いて、過去に発生した最高エネルギーSEPイベントについて、地上の中性子モニター観測値を用いた定量的な検証を重ねることで、最高エネルギーSEPの宇宙天気予報システムWASAVIES (WArning System for AVIation Exposure to SEP) を開発した。
著者
唐原 一郎
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

リグニン形成は植物が陸上進出する際に獲得した重要な抗重力反応である.リグニン形成を含めた植物の抗重力反応に植物ホルモンが関与するか否かを検証した.過重力刺激を与えたシロイヌナズナのトランスクリプトーム解析から,過重力により発現変化する遺伝子の中でオーキシン関連のものが多く含まれることが確認された.そこで過重力を与えたDR5 :: GUS形質転換体を用いて過重力処理区と1G対照区においてDR5 :: GUSの発現を調べた.その結果DR5 :: GUS形質転換体の花茎において強いGUS発現が検出された.またそのときの花茎におけるリグニン合成関連遺伝子の発現は増加した.次にシュート頂からのオーキシンの供給を絶つ目的で摘芯処理を行ったDR5 :: GUS形質転換体に過重力を与え解析を行った結果,過重力による花茎内のGUS発現増加は見られず,リグニン合成関連遺伝子の発現も増加しなかった.このことから過重力による花茎におけるリグニン形成の促進には内生オーキシン量の増加が関与することが示唆された.
著者
石津 浩一 杉本 直三 山田 亮 池田 昭夫 中本 裕士 大石 直也 酒井 晃二
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

FDG-PET画像による認知症の診断支援システム構築の基礎的検討を目的とした。健常者とMCI(早期認知症)の鑑別を、日本人の健常者23名、MCI患者58名で検討した。FDG-PET画像上に自動処理で116個の関心領域を設定し、各領域の全脳に対するFDG集積率を用いた。クラス判別にはSVMと研究代表者が独自に開発したk-index法を用いた結果、ROC解析のカーブ下面積はそれぞれ74.3%と71.1%であった。MCIの臨床診断の精度の低さを考慮すると画像のみでの判別として良好な結果と思われた。また多数の癌患者の脳FDG-PET画像では患者体重と大脳皮質のFDG集積に逆相関が見られた。
著者
長倉 真寿美
出版者
大正大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

居宅サービス利用水準が高く、出来る限り住み慣れた家庭や地域で生活を送ることが可能な地域ケアシステムは、地域の現状を把握した上で、限られた資源の中で最も効果が高い方法が選択され、老人保健福祉計画・介護保険事業計画等に組み込まれている。同時に、居宅サービスの提供に関わる機関・施設がネットワークを組み、高齢化の進行等の変化に対応しつつ、介護保険内外の適切なサービスの組み合わせが総合的かつ継続的に提供されるケアマネジメントが行われている。また、看取りへの対応ができていることも重要な要素である。
著者
柳田 伸顕 手塚 康誠 兼田 正治 工藤 研二
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

此の研究者、柳田(研究代表者)、工藤、兼田、手塚による研究課題'群のコホモロジーとBP理論の研究'において幸いにも多くのコホモロジーを計算することができ、それらをかなりの数の論文として発表することができた。まず柳田とアメリカの共同研究者によってBP-theoryとMorava K-theoryの関係が詳しく調べられた。その結果もしMorava K-theoryが偶数次元の元だけで生成されていればBP-theoryもそうなる事を証明した。またBSL(Z)のmod2コホモロジーを完全に決定した。工藤と柳田はH-空間、特に例外リー群がtorsionを持つ場合にホモトピー性質(homotopy normality,homotopy nilpotency)を詳しく調べた。兼田は標数正の代数群のコホモォジーの良いfiltrationを与えている。
著者
田巻 帝子
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

一般市民が日常生活のトラブルを未然に防ぐためや法的な問題に直面した際に適切な対応を自らとるために、その行動を支援するカナダや英国のPublic Legal Education(以下、PLE)の制度と実態について調査を行った。その結果、PLEとして多種多様な機関による活動が行われていること、カナダと英国では異なること、活動資金獲得などの問題を抱えていること等がわかった。国民が「自分のため」に司法参加する手段としてPLEは有効であり、既存のPLE活動類似の機関に考慮し、グローバル化する社会に対応するため外国人居住者や社会的弱者をも射程にいれて、日本独自のPLEを促進する必要があると思われる。