著者
渡部 一郎 長門 五城 三浦 雅史
出版者
青森県立保健大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

リハ治療では、疾患や障害に合わせ、運動強度や物理療法の種類や強さを設定する。近年開発された毛細血管顕微鏡観察装置では非侵襲的に毛細血管血流速度が定量化できる。この臨床的意義を検討した。健常人の手指冷水負荷後毛細血管血流速度は皮膚温の改善とともに上昇した。姿勢保持や介入困難な脳性麻痺症例では障害側手指の毛細血管血流速度低下を認めた。糖尿病では毛細血管の狭小、変形などの形態学的異常と、有意の毛細血管血流速度低下が示された。糖尿病の有酸素運動では、毛細血管血流速度が改善し微小血管循環の治療への有用性が示された。
著者
中田 和一 横山 尚志
出版者
青森大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

積雪空港のローカライザアンテナへの着雪の影響についてスケールモデルを用いた実験とFDTD法による解析を行い、着雪時のLPDAアンテナ特性をシミュレーションによって評価できることを確認した。また、降雪状況や地形を考慮することでコース特性を解析するシミュレータの開発を行い、青森空港での積雪時のコース変動事例を評価できることが確認された。
著者
鷲見 哲也
出版者
大同大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

主に現地調査を通して、河道の砂州を横断して河川水から河川水へ復帰するような水交換現象では、その水温形成、特にその水温安定化作用を評価ときには伏流水面上部の土被り厚さが重要な要素であることが明らかになった。また交互砂州を持つ河道での水交換現象は、砂州を通じての水平方向水交換と、河床の鉛直水交換が組み合わさった形での交換が全体像を形成し、河床間隙やわんど・たまりの一次水域の生息環境形成において本現象の重要性が示唆された。
著者
狩野 智洋
出版者
学習院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

中世ヨーロッパに存在したベギンと呼ばれる半僧半俗の女性達の一人であるメヒティルト・フォン・マクデブルクの『神性の流れる光』の思想的、社会的背景を探ることを目的とした。ベギンは11世紀に始まった教会改革に端を発した中世の宗教運動の流れの中で生まれ、病人の看護や死者のための取りなしの祈りを神に捧げることを重要な仕事としていた。メヒティルトの『神性の流れる光』は個人の魂を「キリストの花嫁」と見る考え方に立ち、自らの神秘体験や聖俗両界の人々に対する警告や励まし等が述べられているが、そこには彼女独特の内容と並び、他者からの少なからぬ影響も見られる。
著者
久住 一郎 伊藤 侯輝 豊巻 敦人 橋本 直樹
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

北海道内の精神科医療機関初診患者において初診患者(16-30歳)157名を対象に精神病発症高リスク状態(ARMS)患者の有病率を検討したところ、25名(15.9%)であった。統合失調症の病態に関係する生物学的マーカー(中間表現型)として、社会認知の基盤となるbiological motion(BM)知覚、自発的な意思に関わる遂行機能(スイッチング課題)、作業記憶過程(Sternberg課題)における事象関連同期が有用であることを見出した。
著者
森山 廣思
出版者
東邦大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

フラーレンC60は高い電子親和性を持ち、容易に電子を受け取ることによってフラーライドと呼ばれるアニオンとなる。本研究ではフラーライド系結晶を有機固体薄膜の界面制御に応用し、その新規分子素子としての機能解明を目的に、フラーライド分子結晶を構成要素とする自己組織化超薄膜を作製し、構造物性相関を調べた。さらにフラーレン誘導体をn型半導体とする有機薄膜太陽電池への応用を図り光電変換効率などの物性を評価した。
著者
佐々木 達行
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

1、成熟した社会を担う子どもたちにふさわしい新たな義務教育としての造形教育理念の構想。義務教育としてすべての子どもたちに必要な図画工作・美術科の理念とあり方を考察、構想し、仮説をたてた。2、義務教育としての新たな造形教育理念に基づいた教育課題、活動課題と授業課題の抽出。仮説に基づいて、図画工作・美術科の教育課題を3つの課題要素と6つの活動課題に、また、それぞれの活動課題に対して具体的な授業課題を抽出し、それらをカテゴリーとしてまとめた。3、教育課題と授業課題を実現するための適切なカリキュラム構造の構築。活動課題を骨格、構造としたカリキュラム構造論、「カリキュラムの構造と教育課題」を設定した。4、新たなカリキュラムの骨格、構造を基にしたカリキュラム編成方法の確立。仮説を立てた「活動課題を骨格、構造としたカリキュラム構造論」をもとに、カリキュラムの編成方法を考察する。具体的に、それぞれの活動課題を骨格とした活動課題領域を設定し、それらの領域に対する学年の配当割合と活動/授業内容に対する可能性の考察を行った。5、新たな教育課題、活動課題と授業課題を達成するための教材開発と実践授業研究。教材開発と実践授業研究を行うために、現職の教員による「カリキュラム編成モデル研究開発プロジェクト」チームを組織し(2006.11.1)、カリキュラムを編成するための授業の内容開発研究を行った。6、各学年で開発した教材をカリキュラムとして配列、編成。新たなカリキュラムの編成方法による初等、低、中、高学年、及び中学、第2学年に対し、3つの「課題要素領域」、6つの「活動課題領域」、「表現内容領域」を骨格とするカリキュラムの編成方法を基に、各学年で開発した教材をカリキュラムに配列(題材配列例表)し編成モデルを作成した。7、本研究の研究成果を研究紀要として執筆。研究課題名「造形を通した美術教育の課題とカリキュラム編成方法、及び編成モデルの研究開発」として、仮説を立てた理論と実践研究を組み合わせ、研究成果としてまとめた。
著者
徳井 淑子 小山 直子 内村 理奈 角田 奈歩 新實 五穂
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

服飾流行における模倣論の構築には、時代と地域による多様な流行現象の構造分析を集積する必要がある。模倣を生む媒体とシステムは、時代と地域に固有の社会構造や経済の様態、あるいは政治文化によって異なるからである。ヨーロッパ中世では、祝祭や文芸の宮廷間交流が媒介となって服飾文様の伝播が行われる例があり、身体表象が社会秩序に組み込まれた17 世紀フランスでは、大量の作法書が流行を支えている。18 世紀後半に誕生するモード商は、オートクチュールのデザイナーの前身とも、大規模小売りの百貨店の前身ともいえる二重の意味において近世の流行を牽引している。男女の服装の乖離を生んだ19 世紀には、逆説的ではあるが、ゆえに異性装を助長し、ここには初期のフェミニズムの思潮背景がある。一方、近代日本では、西洋文化の受容としての洋装礼装の普及が、近代国家の成立過程に連動した政治性をもっている。芸術とファッションの近接が促された20 世紀は、デザイン・ソースとしての模倣と引用が創造性を獲得するに至っている。
著者
川間 健之介 佐島 毅
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

重度・重複障害児42事例の学習場面における車いす座位姿勢について検討した。その結果、頭部、体幹、足底の安定が図られていない事例が多かった。ポジショニングの改善により視覚探索と上肢の操作性に良好な変化の見られた8事例について検討した。学校の授業における腹臥位姿勢の活用とキャスパーアプローチの適用について検討した。集団による授業場面でのポジショニングについて3つの授業において検討した。これらの結果から、狭い学習空間の構築、能動的な視覚探索と主体的な上肢の使用を促すポジショニングが有効であった。
著者
難波 功士
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

平成15年度に発表した「戦後ユース・サブカルチャーについて(1):太陽族からみゆき族へ」(『関西学院大学社会学部紀要』96)に引き続き、本研究期間中に「戦後ユース・サブカルチャーをめぐって(5):コギャルと裏原系」(『関西学院大学社会学部紀要』100)までの計5本のシリーズ論文と、それに関連する研究ノート計4本を紀要に発表した。これらに平成15年度に発表した「ユース・サブカルチャー研究における状況的パースペクティブ」(『関西学院大学社会学部紀要』95)や「ユース・サブカルチャーズの国際比較のために」(文部科学省21世紀COEプログラム研究報告書r国際比較研究のフロンティア』)の内容を加味し、今回別添報告書をまとめている。本研究は、日本におけるユース・サブカルチャーズ研究進展のための用語体系(タロミノロジー)、や方法論(メソドロジー)の検討・整備とともに、史資料の集積とそれにもとづく具体的な分析を目ざしたものであった。一応の理論的検討と通史的な記述を終えたので、今後は、今回提出した報告書の内容を一書にまとめ、公刊する作業の中で、理論と分析との統合をはかり、この2年間で得た知見である「70年代後半に若者文化のみならず、日本社会の大きな画期があった」との主張を、より説得的に提示していきたい。またこの2年間の成果は、国際日本文化研究センター共同研究員として参加した「コマーシャル映像にみる物質文化と情報文化」(代表山田奨治氏、平成15〜17年度)、研究分担者として参加した科学研究費補助金(基盤研究(C))「テレビ文化のメディア史的考察」(研究代表者・長谷正人氏、平成16〜17年度)などの研究成果を公刊していく作業や、現在研究分担者として参加している科学研究費補助金(基盤研究(C))「地方博覧会の文化史的研究」(研究代表者・柴田哲雄氏、平成17〜19年度)などの共同研究に反映させていきたい。
著者
米田 頼司
出版者
和歌山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究の課題は景観保全運動の成立機序及び社会運動としての特質を祉会学的調査研究によって解明することであるが、事例(和歌山市和歌の浦、和歌山市雑賀崎、奈良県吉野町、福山市鞆の浦)に即した研究から次のようなことが明らかになっている。1.景観の改変を容認する立場と保全運動との間で"景観論争"が生じるのは、景観評価における主観性に起因するとも考えられるが、むしろ生活歴や文化的背景を異にする集団や利害を異にする集団間における景観の把握の相違によるところが大きいと考えられる。2.景観把握の多様性及び重層性に関わっているのは景観体験の相違であると考えられる。景観体験は一面では個々人のものであり主観的なものであるが、他面では共通・共有の体験として集団のものでもあり得る。景観保全運動の成立機序の重要な一環は、共通・共有の景観体験の想起・創出であり、景観体験の共通・共有化である。従って、景観保全運動は、「景観体験を母体とし景観を再発見する集合的活動」として捉えることができる。3.保全運動が、保全すべきとする景観は、対抗関係にある集団(行政など)の言説や提示された計画(景観の改変を伴う計画)との関係で言語化され、フレイミングされるが、根底におかれているのは、生きられる景観である。即ち、言語化される前の感応的で体験的な、言わば一次的な景観である。この一次的景観の感応性・祝祭性が景観保全運動の成立機序の核心部には伏在していると考えられる。4.景観保全運動の中心メンバーには、互いに理解し合える景観意識が共有されており、こうした景観意識がメッセージとして他の住民や市民に伝達されることにより、共感を誘発し、また、影響を及ぼしている様相が見られる。こうしたことが運動成立の不可欠な過程となり、運動にダイナミズムを与えている。5.景観保全運動の展開方向には、地域づくりというテーマが見通される。
著者
江川 式部
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は、中国における「礼」の社会への浸透を、唐代における具体的事例として把握分析することにあった。研究の結果「墓参り」「遷葬」などの具体例が明らかとなり、中国社会における礼の浸透については、唐代が画期となっていたことが鮮明になった。今後は唐代社会におけるこうした動きと、五代・宋以後の社会とのつながり、そして日本及び周辺諸国における唐礼の意義について考察することが可能となる。
著者
田中丸 治哉 多田 明夫
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は,河川水質モデルにおいて水量・水質の再現性を両立させるパラメータ同定法の確立を目指している.まずタンクモデルの最適化を対象として,多目的最適化手法の一つである妥協計画法の適応性について検討した.次いで,長短期流出両用モデルに流出成分別のLQ式ないしCQ式を組み合わせたモデルを用いて,奈良県五條市の山林小流域を対象としてナトリウムイオンの流出負荷量及び水質濃度の推定を行った.流出モデル定数及びLQ式ないしCQ式の決定には,妥協計画法を適用した.その結果,妥協計画法によれば,河川流量と流出負荷量の再現性,あるいは,河川流量と水質濃度の再現性を両立させたモデル定数が求められることが分かった.
著者
狩野 均
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、アントコロニー最適化法(ACO)で時間依存TSPを効率的に解く手法を開発した。この問題は旅行時間が変化するタイプのTSP であり、宅配便の配送経路探索問題に直接応用できる。渋滞が激しく変動する環境下で良い解を求めるためには、探索の高速化が必要となる。ACOのフェロモンの初期値の分布を探索における有効な知識(部分解)と見なし、これに偏りを与えることで、探索領域の削減を行った。また、予測交通量と再探索を組み合わせて性能向上を図った。TSP のベンチマーク問題、ならびに、現実の道路網と交通量データを用いた実験の結果、提案手法は解の精度を落とすことなく収束が早まっていることを確認した。
著者
工藤 与志文
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

知識の活用において重要視される操作的思考の活性化要因ならびに抑制要因について検討した。活性化要因としては, 属性の共変関係に関するルール教授や事例情報による思考の方向性の制御などが挙げられたが, その効果は部分的であった。また, 抑制要因としては, 科学的思考における操作の役割について, 全般的に低い評価しか与えられていない点が挙げられた。今後, 操作の論理的側面に加え, イメージ表象や背景知識の影響についてさらに検討する必要がある。
著者
許 俊鋭 五條 理志
出版者
埼玉医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

我々は、細胞移植を用いた不全心治療をテーマに研究を重ねてきた。その中で、細胞培養の操作が必要な治療における最も大きなハードルは、細胞培養における安全性の確保である。現在までの細胞培養は、その多くが開放系で行ったものであり、閉鎖培養系の応用はほとんど実施されていなかった。本研究では、MABIO internationalより市販されている最も小ささ閉鎖式細胞培養容器を使用し、そのFeasibility/Safetyを1年目の実験にて検討し、十分臨床応用が可能であることを確認した。本年度の計画としては、この閉鎖細胞培養を用いた臨床応用を行うこととしていた。しかしながら、年度の初めに厚生労働省より"ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針"の草案が示され、9月1日には発布された。我々が用いた閉鎖式培養容器は、完全には閉鎖となっておらず、GMP基準を満たすためには、従来の開放系細胞培養系と同様に大規模なCell Processing Centerが必要となり、臨床研究に進むことができない状況となった。このような社会情勢の変化の中で、本研究では、当初の目標の1つであった長期間の培養を経た細胞の安全性の評価を目標に、大動物を用いてin vivoの検討を行うこととした。ビーグル犬を対象に、骨髄細胞を採取し間葉系細胞のPrimary cultureから5-10 Passagesを経た細胞をドナーとして、同じビーグル犬の心臓へ戻し移植を行い、病理学的検討を行った。1年目の実験と同様に、感染等の問題は発生しなかった。また、長期細胞培養による細胞の癌化に関しては、標本を詳細に検討したが異型細胞を含め、癌細胞を認めることはなかった。ここまでの研究結果にて、培養容器のみを閉鎖系にした細胞培養はFeasibility及びSafetyに関しては問題ないが、完全機械化によるRobotic Culture Systemが試作されており、完全閉鎖系培養システムとして期待される。培養による細胞癌化は、5-10 Passagesでは認めることはなく、過度な増殖刺激を加えない限り問題となることはないと考える。
著者
手塚 宣夫 堀毛 一也 菅原 郁夫 鳥畑 与一 大山 小夜 佐藤 順子
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

金銭管理に関するアンケート調査により、合計3,304名の回答を得ました。(財)民事紛争処理研究基金の助成により実施した同様の調査結果と併せて、総計4,432名の回答を得ました。これは、労働組合や生協の組合員の方を中心とした調査なので、各人・各家庭の平均的な金銭管理について、ある程度の一般的な傾向を知ることができます。この調査結果を分析することによって、金銭管理の問題点を探り、多重債務にならないための予防策について、提言する予定です。
著者
長友 恒人 小野 昭
出版者
奈良教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

IntCal04によって26 kyr BPまで較正することが可能になったC-14年代の有効性を検証することを目的として、約7~30kaのテフラを対象としてルミネッセンス年代測定を行い、18のルミネッセンス年代とC-14年代をクロスチェックした。約13 cal kyr BPを超えるテフラについてはC-14較正年代が若干古い傾向があるようにみえるが、有意に古いかどうかについてはより厳密な検討が必要である。
著者
高橋 成子
出版者
京都市立芸術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

物体知覚と空間知覚における知覚的文脈がどのような脳内機構によって処理されるのかについて検討を行なった。知覚的文脈処理においては、4つの処理系が同定された。視覚情報処理において常に働く機構は、低次文脈処理、および、注意コントロールを担っていると考えられる。これに対して、過去記憶と照合して物体知覚における連合的文脈処理を担う機構、物体奥行き文脈処理を行う機構、空間奥行き文脈処理を行う機構は、刺激状況によって動的に働く。
著者
安井 湘三 鈴木 宏昭 下薗 真一
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

我々が開発したCSDF構造刈り込みの手法は、脳機能の本質に迫るとされる冗長削減原理の一形態と考える。本基盤研究では、この手法を洗練・改良した上で以下のような応用を行い、当初の目標は概ね達成されたものと考える。(A)アナロジー類推プロセッサアナロジーは認知科学、心理学、科学史、AIなどで研究されてきた。アナロジー類推を行う我々のニューロプロセッサは比較的シンプルで、そこでは抽象化内部モデルおよび具体⇔抽象の結合がCSDFの働きで自律生成されるという独自のものである。内部モデルへの引き込み等が起こることで、複合アナロジーや追加アナロジーの学習パラダイムにおいても有効であることが確認された。(B)独立成分分析(ICA)ICAもしくはBSSとは、混合された複数未知信号を分離抽出するという新IT技術である。我々の方法は、情報理論に基づいた従来法とは根本的に異なる。センサー信号を入力するオートエンコーダに恒等写像学習を行わせ、同時に、デコーダ部にCSDFを施す。すると、CSDFに抗して生き残った隠れ素子が源信号を再生する。また、デコーダ行列は混合行列を再生するので、デコーダ部は外部世界(源信号-センサ)の内部モデルとなる。従来法と比べて適応性・ロバスト性に富むことが特長で、音声や画像の実データを使った実験においてもある程度の成功を収めた。