著者
坪倉 誠
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

以下の6つの研究課題に取り組んだ.(1)簡易形状車体モデルを対象とした空力抵抗発生メカニズムの解明(2)吹き出し&吸い込み等の要素制御技術の数理モデル化(3)後ひき渦対の不安定性成長(4)簡易形状車体モデルを対象とした空力抵抗低減制御技術の提案(5)実走行状態における制御技術の効果検討(6)実車両形状モデルを対象とした戦略的空力抵抗低減制御技術の提案.簡易形状車体に対して,車両姿勢の動的変化を与えて,その空力応答特性を渦構造の非定常変化から明らかにした.この知見を実車セダン形状車体に適用し,抵抗や揚力の非定常変動と車両側面境界層や車体周りの渦構造を明らかにし,その抵抗抑制効果について考察した.
著者
古川 宏 野田 和恵 渡邊 信 白川 卓
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、切断者が自ら気にしているソケットの悪臭と断端部の湿疹の改善を目的に消臭・抗菌ソケットの開発を2年間で行う、切断者のQOLを高めるための研究である。平成17年度は金属フタロシアニン処理の断端袋(KSS)の抗菌性、他の断端袋との抗菌性の比較、水分吸収性、臭気試験の検討および金属フタロシアニンをソケットの材料・材質であるリゴラック、リボキシとどの様に混合させるのかの検討を行った。平成18年度は以下の検討を行った。1.消臭抗菌ソケット(金属フタロシアニン処理含有ソケット)の試作金属フタロシアニン処理の断端袋(KSS)の枚数を変えた材質を基盤にソケットを3種試作した。2.消臭抗菌ソケット(金属フタロシアニン処理含有ソケット)の抗菌作用の検討「JIS L 1902:繊維製品の抗菌性試験方法・抗菌効果」に準拠し、混釈平板法で行った。検定用菌株はStaphylococcus aureus NBRC(ATCC6538P)およびKlebsiella pnumoniae NBRC13277(ATCC4352)を用いた。消臭ソケットは金属フタロシアニン含有と非含有のものを作成した。各ソケットを4cm角に切断し、その上に3cm角の標準布を置き、菌液を接種して18時間後に菌量を測定した。その結果、金属フタロシアニン含有ソケットで両菌に対して静菌作用があることが確認されたが、殺菌活性は認められなかった。金属フタロシアニン非含有ソケットでもS.aureusでは弱い静菌作用が認められた。3.臭気試験日本防菌防黴学会臭気試験検定法に従い、ハンディーにおいモニターおよびポータブル型ニオイセンサーを用いて臭気の測定を行った。試験菌体はProteus vulgalis(ATCC13315,NBRC3815)を用いた。3種類の布を規定のバイアルビンに入れ、菌液を接種し18時間後に各バイアル中の臭気をニオイセンサーで測定した。その結果、漂白布および生成布に比較してKSSで臭気の減少が認められ、E減少幅はアンモニア臭以外の臭気で顕著であった。
著者
土佐 光司
出版者
金沢工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

下水の臭素消毒副生成物質による化学物質リスクの変化と消毒効果を検討した。臭素消毒の場合、消毒条件が高濃度になるにつれ、消毒副生成物の検出量は、塩素消毒よりも高濃度になった。次に、臭素消毒下水を水道原水と混合し、塩素または塩素代替消毒を行い、その飲用におけるリスク評価を行った。上水消毒においてオゾン消毒は塩素消毒よりトリハロメタンの生成量が少なく、効果的であるといえた。
著者
小池 文人
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ニホンジカの増加により,北海道から九州までの奥山から里山に至るさまざまな地域で植生が変化しつつある.シカが少ない状態でも好まれて食害される植物と,被食圧が高まった場合のみ被食される種が存在する.このような選択的な被食は植物の種どうしの競争関係に影響を与え植生が変化する.この研究ではシカの嗜好性も植物種の種特性のひとつとして取り入れることにより,極相の植物群集をアセンブリールールで予測した.
著者
中居 功
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

2文字X、Yとそれらの逆元となる文字からなる語全体は語の結合を積とすることで代数学における群の構造を持つ。この群の元はXY平面の整数格子点で折れまがる折れ線を定める。平面曲線はこのような折れ線の、一般化した対象、つまり一般化されたX、Yの語と捉えられる。この観点から平面曲線全体の群としての構造を研究し、曲線のX、Yの語としての展開、また曲線の形式的対数を、自由リー環の元として考察し、部分的結果をえた。
著者
土居 安子 遠藤 純 小松 聡子 酒井 晶代 三宅 興子 浅岡 靖央 伊藤 元雄
出版者
一般財団法人大阪国際児童文学振興財団
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、明治期の代表的な出版社である博文館の編集者・作家であった故・南部新一(1894~1986)の書簡を調査・研究することである。その成果として、まず、南部書簡を整理、撮影、データ化し、書簡の概要データをホームページで公開することによって、近代文学、児童文学、出版史等の基礎資料の整備ができた。そして、書簡の中から巖谷小波、木村小舟、池田文痴菴、博文館館員等の書簡について研究することで、博文館の児童雑誌の編集、明治・大正・昭和期の児童文学・児童文化の一端を明らかにすることができた。これらの成果は日本児童文学学会、及び当財団紀要で報告し、従来の児童文学研究の枠を広げ、深めることができた。
著者
田中 正之
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、研究例のほとんどないマンドリルの認知能力について,比較認知科学の観点から解明しようとしたものである。京都市動物園で飼育中のマンドリルを対象として,タッチモニターを用いたアラビア数系列の学習課題を課した。実験はマンドリルの屋外放飼場において公開で行い,他個体と隔離することなく,自発的に参加してきた個体を対象にした。実験参加個体は,最終的に大人オス2,子ども3となった。本研究課題は,3つの研究により構成される。1)タッチパネルへの反応の文化的伝播過程に関する研究,2)アラビア数系列課題の習得と作業記憶に関する研究,3)マンドリルと近縁種についての視覚的選好性に関する研究である。
著者
服部 浩一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究で、研究代表者らは、凝固・血液線維素溶解系(線溶系)因子に代表されるセリンプロテアーゼや、膜型あるいは可溶型マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)等の各種プロテアーゼの活性化を起点として、骨髄由来の造血系細胞群の腫瘍組織への動員が誘導され、そして白血病・リンパ腫をはじめとするがん組織微小環境―「悪性ニッチ」の構成・形成を通じて、腫瘍性疾患の病態を制御していることを示唆した。また本研究を通じて、研究代表者らは、線溶系阻害剤によるMMP活性と腫瘍増殖の抑制に成功し、白血病・リンパ腫を含めたがん・腫瘍性疾患に対する、線溶系因子を標的とした、新しい分子療法の可能性と有用性を提示した。
著者
北本 正章
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

「子ども学の構成と展開に関する比較教育社会史的研究」というテーマのもとに進めた本研究は、欧米各国で精力的に進められてきている子ども観の社会史研究の世界的な研究動向を構造的かつ領域区分ごとに詳細に検討することによって、わが国における新しい「子ども学」(Childhood Studies)がその学術的基盤の構築を目指す上で必要な構成カテゴリーと課題の所在を明らかにすることを目的とした。本研究では、「子ども学」の構成カテゴリーを「子ども観の歴史人類学」、「子ども社会学」、「子ども文化の学際的研究」の3つの領域の研究成果から再構成するとともに、少子高齢化社会における子ども理解の構造を「子ども学の構成と展開」という文脈で解明するために比較教育社会史的アプローチを試みた。
著者
HARTING AXEL 吉満 たか子 岩崎 克己
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、日本における非ドイツ語母語話者の教師がいかなる目的のもとに、日本語とドイツ語を使い分けているのかを明らかにすることである。そのために、言語選択を決定づける要因を探るとともに,教授目的ごとに受講者が母語(L1)と学習言語(L2)のどちらを使用するのかを見極めるために,ドイツ人と日本人両方のドイツ語教師を対象にして,調査を行った。その結果,受講者のL1使用を誘発する要因として,複雑な教育内容,規模の大きな授業,そして受講者のやる気の低さないしはL2能力の低さが示唆された。
著者
ウォン 裕子 佐々木 倫子 堀口 純子
出版者
桜美林大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は、ヴァーチャル映画討論会の参加者の多文化・多言語意識を「言語の社会化」の観点から分析・考察することである。下記の4点が主な結果である。1)活動の理論的枠組みと協働的学習活動設計の有効性が検証された。2)これまでのCMC活動の問題点を5つの新たな方法により改善した。3)「言語の社会化」の視座からCMCの実際使用実態を明らかにした。4)参加者の多文化・多言語意識に変容が見られた。
著者
田中 聡
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

マウス始原生殖細胞の形成に関わるニッチェを構成する環境要因としては、BMPシグナル及びWntシグナルが考えられているが、その作用機序の詳細に関しては不明な点が多く残されている。生殖細胞の形成不全を示すDullard欠損マウス胚の解析から、BMPシグナルでなく、Wntシグナルに依存して生殖細胞の形成不全が生じることが明らかとなった。DullardによるWntシグナル活性の適正量の調節には、Dishevelled 2を介したcanonical Wntシグナルの制御機構の存在が考えられた。以上より、Wntシグナル活性の適正量の調節が、マウス生殖細胞形成に重要であることが明らかとなった。
著者
柳村 俊介 紺屋 直樹 吉野 宣彦 泉谷 眞実 東山 寛 相原 晴伴 吉野 宣彦 相原 晴伴 泉谷 眞実 小山 良太
出版者
宮城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

農業経営の収益性低下と高齢化による農業投資環境の悪化、急激な経営規模拡大、一般企業の農業参入といった傾向がみられるなかで、本研究では、新たな投資主体の形成という視点から地域農業の担い手のあり方を検討した。家族経営に代わる集落営農、農業法人経営等の経営体による農業投資が期待されるとともに、現状では萌芽的な動きにとどまるものの、経営体と分離した投資主体の形成を展望すべきことを明らかにした。
著者
中野 等
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

上記研究課題のもと、(1)朝鮮における諸大名の動向、(2)より詳細な慶長の役の実証研究、(3)兵站諸物資輸送の実態解明、(4)水軍の動向に関する実証分析、などを研究の柱と想定して研究を開始した。具体的には東京大学史料編纂所、国立公文書館内閣文庫、慶應義塾図書館、京都大学研究博物館、愛知県史編纂室、山口県文書館、広島県立文書館、香川県立歴史博物館などの諸機関で史料調査を実施。つぎのような成果を得るに至った。(1)については史料収集、分析に多くの時間を費やすこととなり、その成果は本報告書にも「史料」として掲載することができた。(2)については、今後の課題として、次に説明する。本報告書の「研究」を参照されれば、明らかな様に(3)は最も成果のあがった部分である。また、ここでの検討を通じて、前線で戦闘をおこうな将兵のみでなくではなく、後衛の将兵や奉行衆が果たした役割についても、多くの知見を得ることができた。戦後の関連書研究はもとより池内氏の研究と比しても、本研究の特徴と見なすことができよう。(4)についての直接的な成果は学会での口頭発表のみにとどまるが、(3)との関連で史料分析はなかりの程度進展をみせた。しかしながら、研究の方法が細かな年紀比定をともなう史実の確定を基礎とするため、朝鮮出兵(木陸侵攻)の準備段階から、時間軸に従って作業を進めて行かざるを得ず、結果的に論文というかたちで成果を残せたのは文禄の大役の後半期までであり、慶長の役期については、若干の関連史料を収集するにとどまった。今後何らかのかたちで研究を継続し、課題分析を深化させたい。
著者
我部 政明
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、米軍プレゼンスを有効に利用して東アジアにおける多国間安全保障枠組の創出へ向けた現状を把握し、個々の安全保障協力の諸条件を検討し、その上で地域別・機能別協力レジームそしてレジーム相互の組みの合わせにより、実現可能な重層的なレベルでの安全保障協力枠組の創出を可能にすることであった。ここでは、米軍プレゼンスのハブとして位置づけられている沖縄における米軍再編が、地域安全保障の枠組みへどのように影響を与えているのかを明らかにした。米軍再編の東アジアにおける展開を、歴史的に、プレゼンスの構造および機能別に、今後の展望について言及した。以下が、研究の結果、明らかに出来たことである。収集した資料は、これまで研究者の間で存在についてすら言及されたことのないものであった。これらの文書を分析した結果、沖縄における米軍プレゼンスの変容が明らかとなった。前方展開能力においては、これまで有事の際の戦略輸送と相互補完による代替性が重視されてきた。しかし、1996年12月に公表され沖縄における米軍基地の再編計画(いわゆるSACO合意)のなかでの普天間米海兵隊飛行場の沖縄本島北部への移設計画は、有事の際の戦略輸送と代替性を放棄していたのである。このことは、米軍プレゼンスの変容が起きていることを示している。研究実施計画に照らすと、米軍プレゼンスのハブとなる沖縄基地を重視したため、他の米軍基地の現況を十分に取り上げられなかったのは反省点である。その理由として、分析対象へのアクセスが少なくなったのは米軍プレゼンスに関わる公開情報の乏しさにあったと考えられる。
著者
高原 弘樹
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

つり下げた容器で液体を搬送する場合の安全性や効率を向上させるためには,容器の運動と内部液体の振動の基本的な特性を明らかにする必要がある.そこで本研究課題では,水平励振を受ける振り子型直方体容器とその内部液体の非線形連成振動特性に着目した.振り子型直方体容器の液面揺動が,二次元的な揺動から三次元的な揺動に遷移する条件を解析で予測し,実験により確認した.さらに,条件により概周期振動が生じることが実験によりわかり,解析からも確認した.
著者
繁野 麻衣子 山本 芳嗣 吉瀬 章子 八森 正泰 岩田 覚 後藤 順哉
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

ネットワーク理論において横の広がりとなる基礎理論の構築と縦の広がりを作る実社会に適応したモデルの伸張を行い,基礎問題と拡張問題の両方に対して,アルゴリズム開発を行った.具体的には,修正可能性を考慮したネットワーク上の配置問題に対するアルゴリズム提案,通信ネットワークにおける耐故障性の指標開発,社会ネットワークにおけるコミュニティ抽出のハイパーグラフ上への拡張,グラフの向き付けに関する基本的性質やアルゴリズム開発などを行った.
著者
平井 邦彦 後藤 哲男 森田 守 渡邉 誠介 澤田 雅浩
出版者
長岡造形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本年度はこれまで新潟県南魚沼郡で行ってきたさまざまな調査研究の集大成として、より広範な施設に関するバリアフリー状況調査を実施するとともに、その簡便な改善策の実証的研究を当該地域において実施した。具体的には、バリアフリー状況調査で抽出した観光・レジャー施設を複数抽出し、その施設のより詳細な調査を実施するとともに、簡便な設備で状況が改善可能な場合にはそのような対策を施した。また実際に障害者や高齢者が訪問した場合の障害に対してのシミュレーションを実施した上で、南魚沼郡全域にわたる一日観光ルートを設定し、そのルートを利用した実地調査を行った。調査に際しては、抽出した施設からの協力を受けるとともに、塩沢町社会福祉協議会の支援を受け、実際に車椅子を利用されている方をモニターとして4名の方にご参加いただき、利用時の問題点や対策の有効性についてユーザー側からの情報を提供してもらうことができた。ハートビル法が成立したものの、一定規模以下の施設ではバリアフリー改修が不必要なことも多く、またそれらの施設はそのような設備改修の余裕を有していない場合が多いが、今回の調査で事前に行った対策は費用、手間両面からも大変扱いやすいレベルのものであり、その効果を実際に施設管理者が目にすることで、障害者受け入れの精神的障壁を取り除くことができるようになることも調査の中で明らかとなった。手近なところの工夫によって今後国内で増加する高齢者・障害者を積極的に受け入れることができるようになることが実証的に明らかにされるとともに、この知見を地域内で共有することでより広範かつ綿密な「もてなし」が実現する可能性が示唆されたといえる。
著者
長ヶ原 誠 石澤 伸弘
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

国内外のマスターズスポーツ振興事業に関する調査の結果、マスターズスポーツ大会の開催や熟年者を対象としたスポーツ推進キャンペーン事業が、開催地への社会経済的効果だけでなく、その結果、マスターズイベントの開催や参加者のスポーツ活動がもたらす身体的健康、心理的健康、教育、コミュニティ、社会文化面での便益に代表される個人的・社会的便益の側面が明らかとなった。またマスターズスポーツ大会の開催によるアクションリーサーチを通じたインパクト評価とアウトカム評価の結果、仮説として掲げていた、個人のライフスタイル活性化、地域の活性化、社会活性化、次世代教育の活性化が認識され、生涯スポーツを振興させる有効な事業であることが実証された。
著者
佐藤 アヤ子
出版者
明治学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

Identity Politicsが声高に叫ばれていた90年代、マイノリティ作家と呼ばれていたカナダ先住民作家及びアジア系カナダ人作家の文学をグローバルとローカルを融合させた「グローカル」性という新しい概念で分析した。白人優勢の社会で、従来の支配者、被支配者という二元的な構図で創作するのではなく、彼らの作品が、グローバルに普遍なるものへの同化と同時に、自らの出自である母語や伝統的なローカル文化を作品の中に取り入れ、個別と普遍を融合させた「グローカル」性という新しい文学理念に向かっていることに注目した。この分析法は、内外においても本研究が初めてであり、新しい文学分析として今後活用されよう。