著者
相澤 一美 山崎 朝子 野呂 忠司 望月 正道 細川 博文 河内山 晶子 杉森 直樹 飯野 厚 清水 真紀 藤井 哲郎 磯 達夫
出版者
東京電機大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

テキストのカバー率を95%にするための語彙レベルと,読解テストで十分な得点を取るための語彙サイズの間にはギャップがあることが明らかになった。例えば,大学入試センター試験の読解問題で,約3000語を学習することになっており,テキストも3000語の語彙知識があれば,95%をほぼカバーできるが,実際に理解度を試す問題に正答するには,5000語の語彙知識が必要であった。同様に,アカデミックテキストは,約5000語でほぼ95%をカバーできるが,十分な得点を取るためには,6500語が必要なことがわかった。
著者
松浦 敏雄 西田 知博 石橋 勇人 安倍 広多 吉田 智子 西田 知博 石橋 勇人 安倍 広多 吉田 智子
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

プログラミングを容易にかつ短時間に体験的に習得できるプログラミング環境PENの機能拡張として, 図形描画機能, ファイルI/O機能, 関数呼出機能を設計・実装し, PENを用いた実験授業を繰り返し実施し, その有効性を明らかにした. また, PENの中国語版, 台湾語版, 韓国語版, 英語版を実装した. さらに, 授業中の個々の学生の課題進捗状況を教員が概観するためのモニタ機能を実装した
著者
山口 和孝
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

現行の大学入試制度は、「大学全入時代の到来」といわれているが、実態としては、次のことが明瞭となった。厳しい試験を課す上位層大学における激しい競争と、試験を課さずに定員充足を至上命題とする下位層大学の二極化現象を示しており、センター試験のための受験準備にシフトする大半の高校は、(1)センター試験得点確保のために、体育・音楽・家庭・芸術等の教養的科目を大幅に削減させ、(2)3年生の教育課程は半分しか終了できず、(3)大学入学後にすぐ剥離してしまうような「学力」しか形成されず、また学習意欲を促進するものとなっていない。他方、試験を課すことができず、定員充足を優先課題とする下位層大学への進学は、(4)AO・推薦が、学力のない生徒を大学に進学させるための回路として活用されており、結果として、(5)AO・推薦入試合格者は、早期に学習意欲を喪失するという大きな影響を高校生の学力形成に及ぼしていることが明らかとなった。
著者
横田 悦雄
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

タバコ培養細胞BY-2において、小胞体輸送に関与していると考えられるミオシンXIのアイソフォームのひとつである、175-kDa重鎖からなる175-kDaミオシンと小胞体との関連性を細胞分画法によって検討した。GFPでラベルされた小胞体(GFP-ER)を発現しているBY-2細胞のプロトプラストを、ダウンスホモジェナイザーによりマイルドに破砕して、遠心法によって分画を行った結果,175-kDaミオシンとGFP-ERのシグナルは、主にミクロゾーム画分と可溶性画分に検出され、両成分の分布は一致していた。さらに可溶性画分とミクロゾーム画分を含む分画をショ糖密度勾配遠心法によって分画したところ、175-kDaミオシンの一部がGFPのシグナルと同じ画分に検出された。これらの結果から、175-kDaミオシンは小胞体に結合して、その輸送を担うミオシンであることが更に強く示唆された。しかし、シャジクモ節間細胞のアクチンケーブルや植物アクチン束化タンパク質であるビリンにより束化させたアクチン束を用いたin vitro運動再構成系において、このような小胞体はアクチン繊維上を動くことはなかった。おもしろいことに、アフリカツメガエル卵細胞から単離した小胞体と同様、BY-2細胞から調製した小胞体にGTPを加えたところ、チューブ状の構造が形成された。このような構造は、細胞表層部で観察される小胞体網目状ネットワークに相当すると思われる。またIn vitroにおける単離小胞体のチューブ形成には、溶液内の流れなどの力が必要であることがわかった。そして細胞内では、このような力はミオシンによって発生していることが示唆された。
著者
野澤 桂子 清水 千佳子 沢崎 達夫
出版者
山野美容芸術短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、がん患者のQOLを向上させて治療意欲を高め、社会復帰を促進するための、「エビデンスに基づく外見関連の患者サポートプログラムの構築」を目的とする。具体的には、外見変化の実態と患者ニーズに関する数量的研究を通して基礎的なデータを収集するほか、外見のケアに関する先進国フランスの調査などを実施した。その結果をふまえて、段階的患者サポートプログラムの試案(成人患者版・思春期患児版)を作成した。最終年度には、プログラムをさらに改良し発展させるために必要な有用性の検証と普及に向けた研究にも着手した。
著者
沢辺 元司 村松 正明 田中 紀子 池田 仁子
出版者
(財)東京都老人総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は遺伝子多型解析という最新の手法を用いて、心筋梗塞、脳血管障害などの基礎病態である動脈硬化症の発生に関係する遺伝子を同定する事である。対象症例はセンターで行われた約2,000例の連続病理解剖症例であり、冠状動脈、脳動脈などの全身10動脈の動脈硬化度と各種遺伝子多型の関連を解析した。その結果、炎症性サイトカイン、葉酸代謝に関係する酵素、リポタンパクの遺伝子が動脈硬化症に関係していることを見つけた。
著者
永田 量子 後藤 節子 鈴木 和代
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

日本における寝たきり老人は増え続け、平成11年には約120万にも達するといわれている。本研究は、寝たきり老人を起こすことの一つの妨げとなっている起座時(起立性)低血圧を防ぐために考案した「二度起こし法」の有効性を科学的に立証し、その適応を明らかにするを目的としている。起立性低血圧は多様な人に生じやすく、転倒や廃用性症候群、QOLの低下につながるので可及的な予防が必須である。二度起こし法とは、まず老人に声をかけて上半心をゆっくり起こし再度寝かせ、さらにもう一度ゆっくり起こしてベットに腰掛けさせて足底を床につける簡単な方法である。二度起こし法を寝たきり老人、健常老人、健常老人を対照に、一般的に行われている一度起こし法との差を以下のように測定・観察し次の様な結果を得た。1.一度起こし法と二度起こし法による臥床時と起座時の血圧の変動測定寝たきり老人では、一度起こし法の血圧低下が、二度起こし法により有意に軽減し、随伴症状も軽減した。特に糖尿病・高血圧を合併した人、人工透析をしている人では二度起こしよりさらに三度起こしの法がさらに有効であった。健常老人、健常成人では一度起こし法と二度起こし法の間には有意な差はなかった。2.一度起こし法と二度起こし法による臥床時と起座時の自律神経学的検査の変動測定健常老人に心電図RR間隔変動係数を用いて自律神経学的検査を行ったところ、安静時から起座時の心電図RR間隔変動係数の平均変化量は二度起こし法が有意に低値であり、より安定した自律神経状態をつくった。
著者
加藤 宏 皆川 洋喜
出版者
筑波技術短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究は視覚障害者のための高等教育レベルでの教材、特に図的教材の視覚障害者向け適性化と活用支援システム構築のための基礎的研究である。重度視覚障害者のための教材には点字と触図があるが、触図はグラフィック情報であり、1次元の情報ではない。結論としては図も、視覚障害者向けには文字記述形式などへの1次元情報化が推奨されることが示された。触図についてはセンター試験の点字問題の視覚障害者による解答過程と触察行動を観察した。結果は成績は、図形式へのリテラシィと教科内容についての知識の2要因に影響されることが示唆された。特にグラフ形式についての習熟が、触図の読みとりに大きく影響した。チャートや模式図・地図等の触図は、その形態・内容を比較的容易に触察できた。触図では、触覚で形の認知という問題以上に、その事象についての知識と図の諸書式への習熟、軸の意味理解等が鍵となることが示唆された。このことはキャプション情報で軸説明などを補足すれば、特別な変換を行わない原図に近い触図で対応できるということである。触図にはキャプション等が必須であることも示唆された。弱視用教材研究には眼球運動測定装置を導入した。図とテキストを含むドキュメントを解読中の眼球運動からテキスト理解に及ぼす図の外的資源機能を探った。弱視者の場合、CRT画面上の文字と図を読ませるという方法では、注視点の記録が困難である場合があることが分かった。さらに眼疾別に適切な拡大提示法を検討する必要がある。諸外国における視覚障害者への図情報提示の実態調査も行った。スウェーデンでは、視覚障害者用の大学適性試験では図は削除か文による説明に代替された。ドイツでは大学の点訳教科書では、数式や図形はマークアップ言語による線形的記述か言語説明に代替された。図情報もテキスト文と同じくテキスト情報として一元化管理されることが有効であることが示唆された。
著者
岡本 正志
出版者
大阪女子短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

本研究は,Maxwell電磁理論の確立過程を分析することによって,科学理論が科学者社会の中でどのように確立してゆくか,確立されつつある理論が社会的にどう取り扱われるのかについて明らかにしようとするものである。96年度の調査により,マクスウェル理論の確立に際してO.Lodgeが大いに貢献していたことを明らかにできたが,97年度はそれに引き続いて,O.LodgeとO.HeavisideやH.Hertzらとの関連を中心にして,J.C.MaxwellからH.Hertzに至るマクスウェリアンの活動を調査した。この調査の結果,現在,電磁気学史上Heavisideは欠くことのできぬ科学者としての位置を占めているが,このHeavisideを見いだし,科学者社会の中に積極的に紹介したのがLodgeであったこと,Lodgeの実験ノートからみて,彼の電磁波検出実験はH.Hertsとほぼ同様な地点にまで到達していたこと,などを資料的にも確認することができた。また,Lodge資料の中から,Lodgeと交流した日本人の存在が明らかになり,それが旧制七高物理学教授村上春太郎であったことが判明した。村上春太郎は,わが国の物理学史上まったく無名であったが,調査の結果,流体力学や月の摂動論などの研究において当時としては国際的なレベルの研究を行っていたことが判明した。本研究の主目的からは外れるが思わぬ副産物の発見で,日本物理学史や日本中等物理教育への新たな資料を追加できることになった。
著者
船寄 俊雄
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

『教育修身研究』誌は、「文検」の受験雑誌であった。受験の技法や情報を伝達するとともに、教師としての人間的教養の蓄積や「文検」受験を通しての人間的な成長を主張した。1937年7月以降日中戦争が本格化するにつれて、その時局の変化が「文検」の試験問題に強い影響を与えた。同誌発行の中心人物は島為男であったが、その戦前戦後を通じた教育活動と著作は今日改めて評価されないといけない。
著者
酒井 志延 小野 博 杉森 直樹 久村 研 菊地 賢一
出版者
千葉商科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

1.背景:本研究チームは,平成16年度に民間の研究団体で開発されたテスト・エンジンを使って試験的なオンラインによるコンピュータテストを開発していた。しかし,そのコンピュータテストはいくつかの欠点を持っていた。(1)このオンラインによるコンピュータテストは,民間の研究団体の開発したエンジンであったこと。そのために,研究のためであっても使用料を払わなければならなかった。(2)このオンラインによるテストは,項目識別パラメータと問題難易度パラメータを持っているテストアイテム・プールを必要とする。テストアイテム・プールは順次テストアイテムを増やしていって,大きくする必要があった。しかし,そのテストアイテム・プールは,問題の順次追加が不可能で,問題をプールごと変更する必要があった。2.今回の研究による成果(1)コンピュータテストのテスト・エンジンの開発そしてそれと民間のテスト・エンジンを交換すること。そして,その新しいエンジンで,従来のテストアイテム・プールからの問題が有効に使用できるようにすること。この課題に対し,テストエンジン開発者の菊地をメンバーに加え,菊地が開発したテストエンジンを民間のエンジンと交換した。平成18年7月に18名の同一試験者に,そのテストエンジンを使ったコンピュータテストと同一のテストアイテムバンクから出題したペーパーテストを実施し,その相関係数は0.90であった。(2)テストアイテム・プールを改良し,パラメータがついたテストアイテムを順次プールに追加できるようにすること。この課題に対し,アイテムプールのシステムを改良し,新しくパラメータをつけたアイテムバンクを持ったコンピュータテストが,正常に作動したことを確認した。
著者
菅 聡子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、明治二十年代の女性作家の文章表現の分析・考察ならびに、女性作家の<国民化>の様相を、主に表現構造の中に探り、従来考察対象とされることの少なかった当該年代の女性作家における<国民化>の問題を前景化することをめざしたものである。その前提として、国民国家の根幹が形成された明治二十年代前後における女性の表象を分析した。具体的対象としては岸田俊子(中島湘烟)をとりあげ、<女丈夫>として表象された彼女が、どのような文脈によって制度の言説へと回収されるのか、それを彼女をとりまく言説の分析によって明らかにした。加えて、女性の政治からの排除の問題についても、明治23年の集会及政社法を一つの軸とできることを、湘烟の事例から具体的に検証した。次に、明治期の女性表現をめぐるジェンダー機制について、女子用文(女性用手紙の文例集)に見られる文章論を調査・分析した。また個別対象として、女性作家樋口一葉の日記の文章をとりあげ、一人の女性において、<国民>としての教化と表現の交錯が、<和歌>において見られることを前景化し、<和歌>の持つ共同の機制を指摘し得た。さらに女性にとってふさわしい文章が「和文」とされることの意味を考察し、女性性と<国家>がどのように関与するのか、その一端を明らかにし得た。
著者
ヨコタ村上 孝之
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

平成16年度は15年度に続き、資料の収集を継続して行った。8月にロシア連邦ウラジオストク市に出張し、極東国立大学貴重書文庫、極東国立公文書館、アムール川流域研究協会図書館、アルセーニエフ名称博物館付属図書館、ウラジオストク公立図書館にて資料収集・閲覧・複写を行った。とくにウラジオストク公立図書館地方史研究部門主任調査員ニーナ・イヴァンツォーヴァ氏と意見交換、共同研究を行った。12月には米国ニューヨーク市に出張し、ニューヨークの公立図書館、コロンビア大学図書館にて、イヴァン・エラーギン(ザングヴィルト・マトヴェーエフ)および彼をめぐる米国亡命ロシア人文学資料(新聞『ノーヴォエ・ルースコエ・スローヴォ』、雑誌『ノーヴィ・ジュルナール』など)を閲覧、複写した。こうした収集・調査の蓄積を受けて、これらの資料の分析・研究に入った。極東ロシア人作家の筆名の使い方には、辺境の文学者の複合的アイデンティティーが表現されていること、マトヴェーエフ家の人々の生涯が現在の批評的言説の中で伝説化されつつあること(「日本で生まれた最初の白人」という説ほか)などの知見が得られた。研究発表のため、10月、日本ロシア文学会研究発表会(於稚内北星学園大学)に参加し、「マトヴェーエフ家文学の研究」という表題で報告した。研究の成果の一部を、雑誌『セーヴェル』第19号(2004年12月)に発表した。研究成果の全体は、科学研究費報告書としてまとめ、提出した。
著者
小畑 精和 佐藤 アヤ子 曽田 修司 藤井 慎太郎
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

シルク・ド・ソレイユを筆頭に,R.ルパージュの演劇,ラ・ラ・ラ・ヒューマン・ステップスなどのダンスなど近年隆盛を極めているケベックのパフォーミング・アーツを分析し,製作者(劇作家・演出家・俳優・パフォーマー)や受容者(観客・評論家)の観点からばかりでなく,政策や経営も含めた文化状況全体の中で,パフォーミング・アーツを考察した。また,連邦政府の提唱するマルチカルチャリズムと,ケベック州政府が推進するインターカルチャリズムの比較を行った。研究を通して,その発展の大きな要因として,ケベック州政府の文化政策があることを明らかにした。その成果の一端を昨秋の日本カナダ学会第33回年次研究大会(9月21日セッションIII,皇学館大学)で三人がそれぞれ発表した。
著者
松家 裕子 小南 一郎 磯部 祐子
出版者
追手門学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、中国近世以来、今日にいたるまで民間で行われている、歌と語りによる唱導文藝である宝巻(宣巻)*について、実地調査(於浙江省紹興・平湖)と文献調査を行い、これらを総合したものである。個人宅や廟(神社の類)で行われる宗教的儀式に立ち会い、そのテキストを読み解くことによって、唱導文藝の担い手の性格-宗教者として、また芸能者としての-や、儀式における信仰の実相とテキストの内の信仰との関係-整合するとはかぎらない-など、中国文化史全体の問題にかかわる重要なことがらについて、いくつかの考えを提出した。*テキストとしてみるときには「宝巻」、パフォーマンスとしてみるときには「宣巻」を用いる。
著者
池田 美佐子
出版者
名古屋商科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、1世紀以上にわたる近代エジプト議会の展開について、おもに議会議事録を資料とし、その議会議事録と議会機能の発展に注目して考察したものである。議会議事録の分析では、初期の段階から逐語的に議事が記録されており、立憲君主制期議会の議事録はきわめて精緻に議事録の編纂が行われたことを明らかにした。議会の機能については、初期の議会は諮問機関であったものの、限定的ながら近代議会の諸機能を有しており、立憲君主制期の議会では、独立性の高い議会に発展した。さらに、時代の政治環境と議会の活動や機能との密接な関係も明らかとなった。
著者
山田 雄三
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

イギリスのニューレフトと呼ばれる文化・政治運動が、実は1930年代に始まるモダニズムの理念や発想に基づいているという仮説を、これらの研究を通して提唱することができた。それにより、政治学や社会学で考えられてきたように、ニューレフトは冷戦構造と高学歴社会における一時的な現象であったのではなく、近代の産業構造の変化にともなう文化的な反応であったことが立証できた。とりわけ、ニューレフトが理性中心の西欧思想を批判する中で、感情の基づく新しい形式を文学やアートの制作を通して模索していた様態を明らかにすることができた。
著者
東海林 健二 森 博志
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、対象物体や人物を手持ちのカメラで同時に撮影したスナップ写真群から少ない手間で対象物体形状を得ることを目指し、視体積交差と投影を繰り返すことにより、カメラ撮影画像から物体のシルエットを矛盾の少ない形で取り出す方法と、視体積交差のためのカメラ姿勢を最適化する方法を提案した。また、視体積交差のためのよいカメラ配置とは、各カメラから得たシルエット形状が相互に異なり、なるべく複雑であるようなカメラ配置であることを実験的に示した。
著者
出口 徹
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は矯正歯科治療に伴う痛みに対するCO2レーザーの軽減効果のメカニズムを解明することである。本研究において、実験的歯の移動時におけるCO2レーザーの疼痛軽減の効果を中枢側(中脳路核)および末梢(歯髄、歯根幕)において検証を行った。その結果、歯の移動時に伴い、中枢側において増加した痛み発生物質(c-fos)の発現がCO2レーザー照射後に有意に減少する事が明らかとなった。一方、末梢側においては、実験的歯の移動後、末梢神経組織のマーカーとしても知られるカルシトニン遺伝子関連ペプチド: CGRPおよびPGP9. 5の発現はわずかに増加した。CO2レーザー照射後においては、CGRPおよびPGP9. 5の発現に全く変化を認めなかった。さらに、CO2レーザー照射後の温度変化を計測した結果、いずれの照射強度、時間においても40°を超えることはなく、人体に影響を与えることはないことが示唆された。以上よりCO2レーザー照射は、中枢に発現するc-fos蛋白の発現を抑制することにより、歯の移動時に認める痛みを末梢組織の損傷等を起こさずに軽減する可能性が示唆された。
著者
新保 寛 千原 猛 金児 孝晃 戸松 亜希子 若松 一雅 新里 昌功
出版者
藤田保健衛生大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

アロエエモジン(AE)は抗がん活性や抗炎症効果を有することが報告されている。我々はApcMin/+マウスの大腸腫瘍発症のデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)処置の有無に対する低用量AEの修飾作用を調べた。その結果、低用量AEの混餌投与は、DSS未処置・処置の双方でMinマウスの大腸腫瘍の発生を低下させた。さらに、低用量AE投与はMinマウスの大腸粘膜の細胞増殖能を抑制した。