著者
安藤 秀俊 伊藤 和貴 伊藤 和貴
出版者
福岡教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

植物のバイオマス生産に関する教材開発とその指導プログラムの検討を目的として, (1)教員養成課程の大学生における植物栽培とその生産に関する意識調査, (2)小学校教科書に掲載されている種子発芽の実験の検討, (3)全国第2位の生産量を誇る福岡県におけるイグサの教材化, (4)植物の遺伝教材としてのファストプランツの有効性の検証, (5)バイオマス教材としてサトウキビの利用方法の開発と指導プログラム, の5点について調査, 実験などを行い, 更に授業実践を行ったところ, いくつかの新たな知見と指導プログラムの有効性が確認できた。
著者
加藤 みゆき 大森 正司 長野 宏子 加藤 芳伸
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

阿波晩茶製造工程中の桶漬けにおいて微生物を分離した。その中でも乳酸菌に分類されるLactobacillus pentosus, Lactobacillus plantarum, Enterococcus fecium and Enterococcus avium.を分離同定した。この DNA を解析した結果 1494bp の塩基配列が明らかとなった。阿波晩茶から分離した微生物の中にコラゲナーゼ活性を有している微生物が明らかとなった。阿波晩茶の浸出液中に抗酸化性を示す物質があることが明らかとなった。
著者
妹尾 弘子
出版者
武蔵野大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的はイタリアの精神病院の閉鎖に伴う看護師の地域精神保健活動の実態を明らかにすることである。当時イタリアのトリエステで改革に携わった看護師等にインタビューを行い内容の分析を行った。看護師達は改革に伴い、患者を地域に戻すために病院内から自分達も積極的に地域に出ていき、住民に理解を得るためのミーティングや訪問を頻回に行うなど、院内での看護にとどまらず生活者としての当事者を支えた。
著者
毛利 勝彦
出版者
国際基督教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

要国による非公式フォーラムとしてのG8サミットは、変化する国際政治経済の文脈において、強大国の単独主義を牽制し、多国間主義再生への足掛かりとして機能しうる一方、少数国による寡頭制化の可能性もはらんでいる。新興国、アフリカ諸国、市民社会等との対話によってG8をより民主的なグローバル秩序構築のための協議体に転換する方向もありうるが、金融危機や気候変動などに対処する枠組みとして台頭してきたG20はまだ十分にその機能を果たすまでには至っていない。
著者
佐々木 健介
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

プリオン持続感染細胞ScN2aに治療薬を投与して異常プリオン蛋白の動態を解析する研究で、種類の異なる薬剤を投与して蛋白重合度変化の違いを詳細に検討した。薬剤投与によりプロテアーゼ抵抗性異常プリオン蛋白だけでなく、プリオン蛋白オリゴマーも抑制された。しかし、コンゴ・レッドおよびその誘導体化合物を投与した場合には、分子量数100kDa程度の比較的小さなオリゴマーの抑制効果が乏しいのに対して、ペントサンポリ硫酸投与では十分な抑制効果が示された。これが生体での治療効果に影響を及ぼしている可能性があり、低分子オリゴマーが神経細胞毒性に関与することが示唆された。全反射顕微鏡を用いた解析で、蛍光標識した抗プリオン蛋白抗体を培養細胞から調製したサンプルと反応させて、プリオン蛋白と結合したと考えられる輝点を検出・測定した。未反応の遊離蛍光抗体およびプリオン蛋白モノマーと結合した低輝度の輝点をガウス分布のあてはめにより除外して、重合プリオン蛋白に複数の抗体が結合したと考えられる高輝度のスポットを定量化した。異なるエピトープを認識する抗体を用いて比較解析を行ったところ、高輝度のスポットの割合は抗体ごとに異なり、オリゴマーを構成するプリオン蛋白分子の異常な重合や構造変換を示唆している可能性がある。また、ヤコブ病剖検例の検討を継続して、ヒトのプリオン病におけるペントサンポリ硫酸脳室内投与例のうち、4例の剖検データを蓄積した。治療群では、非治療コントロール群と比較してプリオン蛋白オリゴマーの割合が低下している傾向を認めた。プリオン病の病態解明にプロテアーゼ抵抗性という指標だけでなく、蛋白重合度や構造変換という指標も重要であることが示された。
著者
梅澤 啓一
出版者
立正大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

世界80数カ国の6歳前後から15歳までの子ども達の絵5万点余りを年齢に沿って分析していったところ、絵に表されている子どもたちがとらえる現実形態の様相とその形態に込められている感性の質は、基本的に共通であり、従って、表現と感性の発達過程とそのメカニズムには普遍性があると認められた。そして、このことをいくつかの典型作品を例にしてその発達過程とメカニズムを辿ることを通じて跡づけた。
著者
杉野 緑 川上 昌子 朝比奈 朋子
出版者
岐阜県立看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は1990年代後半から急増した日本のワーキングプア(不規則・不安定雇用労働者、低賃金労働者)の社会的性格を実証的に明らかにし、その性格に即した地域での自立条件を提示するための基礎的研究である。一工業都市を対象として不安定労働市場、生活保護、居住条件の側面からワーキングプアの生活実態を検討した。不安定労働就業者の労働市場は縮小しており、ワーキングプアが就労できる雇用の社会的創出とワーキングプアを包摂する失業時所得保障と住宅保障を中軸とする社会保障制度の構築こそが必要である。
著者
勝西 良典 中谷 常二
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

3年間の研究のなかで、ビジネス倫理の教科書を出版し、アメリカの主要な研究書を翻訳し、カントの実践哲学のもつ形式主義がかえってビジネスと倫理の関係にかんする多様なモデルを提供することが示された。また、経営学者と哲学・倫理学者と実務家の交流、および日米独の研究者の交流が確立された。その理論的成果の一端は2010年8月出版予定の書物で公表される。また、実際的活動としては、経営倫理実践研究センターにおいてホールディングス形式の企業形態における共通の規範の醸成法等の各論において継続される。
著者
鈴木 孝太 山縣 然太朗 田中 太一郎 安藤 大輔
出版者
山梨大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

近年、妊娠中の喫煙が、出生した子どもの肥満と関連していることが示唆され、さらに、この関連には性差があることも推測されていたが、実際に検討されたことはほとんどなかった。本研究では、日本の一地域において、約20年にわたって妊娠中から子どもの発育を追跡してきたデータを用いて解析を行った結果、妊娠中の喫煙が小学生の肥満と関連していることを明らかにした。さらに、これらの関連には性差が存在することを示した。
著者
柴田 浩平 前田 豊樹 三森 功士
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

大腸癌における発癌または癌進展における新規non-coding RNAが注目されてきた。われわれは大腸発癌および癌進展において重要な役割を担う因子について解析を行った既存のデータベース(aCGH, Gene Expression, SNP アレイ)があり、これらをin silico に解析するなどしてlong nc RNAおよびmicroRNAについて解析を進めた。その結果、1)mTOR経路を標的とするmiR144が大腸癌の予後と関連すること。2) 大腸癌のゲノムクラスター上変異と発現変異とが相関する領域としてmiR17-92aが重要であることを改めて明らかにした。さらに3)大腸発癌関連遺伝子多型として8q24 (rs6983267)が知られるが、同多型直上において存在するlincRNA を同定し、同ncRNAの発現がMYCを介した大腸癌進展に寄与することを明らかにした。本助成により、臨床的に有用なマーカー候補であるnon coding RMAを同定し、また基礎的にも新たな発癌機構を明らかにしえた。
著者
縣 秀彦 宇山 陽子 CHABAY Ilan DOUGHERTY James 篠原 秀雄 奥野 光 大朝 摂子 郷 智子 中川 律子 高田 裕行 室井 恭子 藤田 登起子 野口 さゆみ 青木 真紀子 鴈野 重之 臼田 功美子 (佐藤 功美子)
出版者
国立天文台
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

従来の博物館、科学館等における様々な科学コミュニケーション・シーンにおいての「物語る」ことの役割を分析し、科学ナラトロジー(物語り学)について考察した。主な成果として、国立天文台構内に三鷹市「星と森と絵本の家」を平成21年7月開館予定。絵本の家での有効なラナティブの活用として「星の語り部」の活動を提案した。また、市民に科学を物語る場として、平成20年11月より三鷹駅前に「星と風のサロン」を開設し定点観察を継続している。
著者
荒井 容子
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

1999年から2002年にかけての国際成人協議会のカナダからウルグアイへの事務局移転は1980年代中頃に軍事独裁政権を終結させた当該国及び当該リージョンの民衆運動の盛り上がりと、1985年第3回世界大会を通じての同協議会へのその影響、事務局移転後の同協議会の挑戦的活動展開と、関わっている。従ってこの移転は単なる経費削減目的の途上国移転ではなく、同協議会発展史における重要な画期として、上記諸条件と深く関わらせて理解されるべきことが明らかになった。またリージョン組織についてはそれぞれの発展史を、関係国の政治情勢の変化、リージョン内の諸国間関係、支援組織等をふまえて分析する必要があることが分かった。
著者
岡 剛史 吉野 正 大内田 守 佐藤 妃映
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL)の発症機構をDNAメチル化状態、ヒストン修飾状態、miRNA発現、ポリコーム遺伝子群、クロマチン構造変換等エピジェネテイック異常の観点から患者検体・培養細胞等を用いて解析した。ポリコーム遺伝子群の発現の異常偏り、ヒストン修飾状態の大幅な変化、miRNAの異常発現, 様々な遺伝子の異常発現およびDNAメチル化異常が発症に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
著者
羽二生 博之 熊耳 浩 榎本 浩之
出版者
北見工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

オホーツク海の流氷の動きをDMSP衛星に搭載されたSSM/Iセンサーによるミリ波レーダー画像に画像相関PIV法を用いて解析した。冬のオホーツク海は雲に覆われ可視光での観測が難しいが、ミリ波レーダー画像では厚い雲を通して流氷を観測できる。米国雪氷データセンターから入手した37GHzおよび85GHzの画像データに対して、ピンホールノイズ除去や画像の平滑化処理を施し、さらには37GHzと85GHzの画像を複合して開水域に残った雲の画像を除去した。こうして得られた鮮明な画像を元に、まず数年間の流氷の動きを調べ、流氷の多い年と少ない年の特徴を比較した。次に、画像相関PIV法を用いて流氷帯内部の流氷の動きと流氷境界部の動きを比較検討し、流氷が生成される領域を推定した。また、PIVによる解析に先立ち、解析マトリックスの形状等に関する検討を行い、94年に行われたGPSビーコンの追跡データとPIVの解析結果を比較して本研究でのPIV手法の信頼性を確認した。解析の結果、1)北西の季節風の強さによって年ごとのオホーツク海の流氷の量が決まること、2)北海道近海では毎年流氷が渦を形成する領域が発生すること、3)北西からの強くて極寒の季節風よって流氷がロシア東海岸から離れて海岸付近に開水域が現れ、その海面が凍って流氷が生成されることが分かった。
著者
小栗 裕子
出版者
滋賀県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

大学でのリスニング中心の授業にライティングの宿題を導入することによって、リスニング指導ではおろそかになりがちな文法力や語彙力を含む書く力の向上が可能になった。また1年間ライティングの宿題を継続することにより、学習者はライティング力、特に長い文章が書けるようになったという実感を得ることができるようになった。ただし、宿題のフィードバックが必要ですぐに返却をすることが重要な決め手である。
著者
近藤 邦雄
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、テレビカメラなどで撮影した映像をもとに、さまざまな分野で利用されているイラストレーション映像へ変換する描画手法を開発することである。本研究では、(1)一枚の画像のイラストレーションへの変換するための領域分割と調和配色手法、さらに(2)実写映像をイラストレーション映像に変換する手法を提案した。そして、提案手法を用いて映像製作分野に利用できるような教育システムを開発した。(1)本研究ではでとりあげる領域分割とは,画像中の構成要素を近似色で塗りつぶした領域で表し描画の単位とするものである.この手法を用いることで,対象物の形状や特徴の強調や簡略化を行うことができる.また調和配色は,配色理論に基づいた配色を用いて実際の物体とは異なる色で描画する手法である.本研究では基本カテゴリ色を用いたカテゴリカル分割による統合の取れた領域分割と,調和配色を用いた配色変換によるイラスト風画像生成手法を提案した.この結果,離れた箇所にある同一構成物を同じ領域に分割することが可能になった.また,彩度と明度の誇張を用いた配色が可能になった.それにより,領域分割と配色変換を用いたイラスト風の画像を生成することができ,領城分割と調和配色を用いたイラスト生成手法の有用性を明らかにした.(2)実写映像に対してリアルタイム絵画風動画変換するためのシステムを開発した.本システムは映像読み込みや出力部分と絵画処理部分を分離し、また,新たなフィルタを考案し実装することが容易になるようにした。これによって、CG教育にも有用なシステムを開発できた。
著者
森 俊夫
出版者
岐阜女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

グレイレベル画像解析が編目密度の異なる平編物の視覚的特徴、規則的にあるいはランダムに折り畳まれた綿布の折りしわ外観及びさざ波状のしわや不規則な折りしわを含むランダムなしわの布の視覚的緩和挙動の測定に適用された。デジタル画像のグレイレベル平均、グレイレベルの同時生起行列から抽出される角二次モーメント、相関、コントラストやエントロピーおよびフラクタル次元が視覚的特徴量として測定された。これらの画像情報量は平編物の美しさ、布の折りしわやランダムしわの視覚的特徴や視覚的緩和挙動を特徴づけるのに有用であることがわかった。水玉模様の色対比や色陰現象を特徴づけるためにカラー画像解析が適用された。NTSC_RGBカラーシステムで表現されたRGB画像からL*C*H*画像への変換が行われた。同時生起コントラスト(CON)がL*、C*およびH*画像について計算された。CONは、水玉模様の対比効果や色陰現象を記述するよいパラメータとなることが分かった。並置混色の論理を応用して多色の色柄の全体的な色の印象から色柄布の寒暖を評価するために、カラー画像解析が適用された。多色系色柄布の暖色、中性色および寒色イメージは色相角により評価されることがわかった。RGB色空間を利用した色彩特徴解析が布の色彩テクスチャの特徴づけに適用された。因子分析により官能評価値と視覚的特徴量との関係が検討された。画像解析が色柄布の変退色を評価するのに適用された.画像中の各画素のL^*,a^*およびb^*がCIELABの公式を用いて計算され,L*,a*およびb*の全画素の平均値がそれぞれAVE-L^*,AVE-a^*およびAVE-b^*として得られた.単一色に対して,分光色差計によって測定されたL^*,a^*およびb^*と画像解析から求められたAVE-L^*,AVE-a^*およびAVE-b^*との間にはよい一致がみられた.
著者
小島 広久
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

適応スキュー角ピラミッド型コントロールモーメントジャイロを新たに提案し,スキュー角駆動機構を有する実験装置を製作した.特異点曲面のスキュー角依存性を解析し,従来角度において内部特異点曲面積が最小になることを発見した.従来のジンバル駆動則を適応スキュー角CMG 用に拡張し,約5%の姿勢変更時間の短縮に成功するとともに,オーバーシュート量の減少を達成した.またヌルモーション項を入れることによりスキュー角が姿勢変更終了後に従来角方向へ戻る傾向を与えることに成功し,連続姿勢変更にとって望ましい結果を得た.考案した制御則により,姿勢変更時間が短縮化可能なことを実験装置にて検証した.
著者
佐々井 啓 徳井 淑子 横川 公子 柴田 美恵 森 理恵 松尾 量子 村田 仁代
出版者
日本女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

各自研究を推進しつつ各年とも3〜4回の研究会で意見の交換を行い報告書にとりまとめた。研究および意見交換は主に西洋と日本のグループに分かれてすすめた。西洋においては19世紀後半のアメリカ、イギリス、日本における「New Women=新しい女」に焦点をあて、New Womenの服飾からジェンダー意識について検討を行った。New Womenの衣服改良運動や、New Womenを扱った演劇・小説に表された服飾表現から、ファッションにあらわれた女性解放について明らかにし、新しい衣装と行動とによって「新しい女」が確立していったことを明らかにした。また、同時代のイギリスの女性のスポーツ服や合理服といった、新たな服飾についての調査を通して、この時代に新たな価値観が提示され、20世紀のジェンダー観に影響を与えていたことが分かった。また、異装については、17世紀前半の英国の女性の異性装、近代フランス文学における男装を取り上げ検討し、17世紀の異装は少年の服飾との相似点から不完全な男装であったことに注目し、当時のジェンダー意識を明らかにした。日本においては、異装については鎌倉期の『とりかえばや』と近世初期の阿国歌舞伎の装いについて中心に検討し、ジェンダーとセクシュアリティーの明証性について考察を進め、装いのジェンダー的な意味を多面的に示すものとの示唆を得、さらに著者である女性の目を通した男女に共通する価値意識についても明らかにした。また、阿国の男装と風流としての男子の女装の検討からは、服飾における両性の接近について明らかにした。また、17世紀初期の風俗について「歌舞伎図巻」から、男性の髪型と服装の関連を明らかにし、流行をリードする社会集団を特定することによって服飾におけるジェンダー観を明らかにした。またその結果をふまえ、近世日本の服装におけるジェンダー観と近代日本の「キモノ」観との関連を明らかにした。
著者
藤井 聖子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、日本語と英語の話しことば談話における心的態度表意メカニズムを、実際の談話データの分析を通して明らかにし、その機能と表意手段の文法を、「談話と文法」「語用標識化」の観点から動的に探究することを目的として行った。本研究課題が特に着目したのは、文法的機能語が、本来の統語的特質を多少薄め、語用論的機能を強化し(また主観化・間主観化し)、話者の談話における命題態度および発話態度の表意手段として使用される現象である(藤井2008東京大学出版会)。本研究で、この言語現象を「語用標識化」とよび、その事例研究として、特に(1)接続形態素・節接続構文(Fujii 2009, 2008,藤井2010, 2009、etc.),(2)「と」や「みたいな」で標識される引用節(句)構文(Fujii 2009a, 2009b ; Fujii 2006)に焦点をあてて分析した。