著者
呉 慧太 上田 慎治エジウソン 寺内 文雄 青木 弘行
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.149, 2013 (Released:2013-06-20)

飲料は、容器の形状や材質によって味の印象が変化する。また、ワインやビールなど一部の嗜好品には、それぞれの味や香りの特徴に合わせた様々な形状の容器が存在する。それらは形状により、飲料の流れや、香り方を変化させることで飲料を美味しくしている。そこで日常的に飲む飲料でも、特徴に合った形状ならば、より美味しくなる可能性があると考えた。 本研究では、容器形状が飲料に与える影響を明らかにし、それに基づく飲料容器の提案を目的とした。 普段飲む飲料に関する調査から冷めたコーヒーに対する不満が多く見られたため、冷めたコーヒーでも最後まで美味しく飲める飲料容器の提案を考えた。 様々な形状をしたコップのモデルで実験を行い、冷めたコーヒーの不快な特徴を打ち消すような飲料容器を制作した。それらを用いて印象評価を行い仮定の実証と、新たな課題の発見をした。
著者
武田 孝太 八馬 智
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.157, 2015 (Released:2015-06-11)

近年、土木構造物を観光資源として活用する「インフラツーリズム」という新しい旅行形態が注目を集めている。このインフラは大量生産品ではなく、地域の実情に合わせて一番最適な解を導きだしている。それは地域の特性を反映しているため、インフラを知る事で地域を理解する事が出来ると推測される。地域を理解することは地域活性化の手掛かりになると考え、このテーマを研究する事にした。 本研究では、インフラツーリズムが年間を通した地域固有の観光対象にするために、各地域で提案、実証し、一つの方法を示す事を目的とする。二つの地域で、産業観光のモニターツアーとインフラツーリズムの提案を行い、以下の成果が得られた。まず、福島県いわき市の産業観光のモニターツアーでは、その地域の産業施設などを実際に視察する事で、その地域がどういった経緯や文化を経て、形成されたのかを体感することができ、それによって地域の理解が深まるということがわかった。そして、立山インフラツーリズムでは、インフラは地域住民が気付いていなかった地域固有の観光資源に成り得る価値が潜んでいるという事がわかった
著者
井上 征矢 玉置 淳
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.G08, 2007

聴覚障害者に対する適切な情報保障方法を探るため、聴覚障害者と健聴者に対して、駅空間画像を用いた視覚実験を行った。その結果、聴覚障害者は、路線色やピクトグラムとともに表示される文字が読みにくい場合や、文字が(間に数字等が入ることによって)離れて表記されている場合に、健聴者よりもターゲットの探索に時間がかかった。健聴者は色やピクトグラムを見るだけでターゲットの方向を判断する場合も多いが、聴覚障害者は隣に表記された文字までを確認して判断しようとする傾向が強いのではないかと考えられる。従って聴覚障害者に対する情報保障を充実させるには、サインを掲示する側としては、文字の可読性に充分に配慮したサイン計画を、逆に聴覚障害者に対しては、サイン計画への理解を深め、色やピクトグラムによる誘導にも慣れるための教育を進めることが必要といえる。
著者
三友 奈々
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.33, 2015 (Released:2015-06-11)

米国では、「プレイスメイキング(Placemaking); 以下、 PM」という考え方の下、公園や広場、街路といった公的空間(パ ブリックスペース)の計画・設計、運営が行われ、周辺の住民 や就業者のサードプレイスとなっている。また、都市部の公的空間の一部は訪問者や観光客の「居場所」になっている例も見られる。 我が国では、2014 年度に国土交通省都市局主催で PM フォーラムとシンポジウムが開催される等、本概念に注目が集まり、 様々なまちで検討・試行されはじめている。 しかし、コミュニティの再生や賑わいの創出といったまちな かの居場所づくりに寄与する概念であると確信しながらも、その定義は曖昧であり、具体的手法もほとんど示されていない。 本稿では、文献調査からPM の定義を概観し、PM の原則について示した上で、PM における公的空間の場の評価項目について考察し、本概念の明確化を試みることを目的とする。
著者
菊池 利彦 藤井 素晴
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.184-184, 2011

近年、地域に根ざした演劇活動が日本各地で広がりつつある。このことから演劇という営みが、今日の地域社会に対して少なからぬ役割を果たすであろうことがうかがわれる。そもそも演劇とはそこで発せられる言葉とそこでつむがれる文脈を、演者と観衆がともに想像/創造する営みであり、また時間と空間をともにした人びとが、同一の表象を共有したときにはじめて可能となる社会性を帯びた営みである。戦後日本の歩みとは地域コミュニティが空洞化する歴史であった。こうした状況を反省するとき、すぐれて社会性を内包する演劇という営為が示唆することは少なくないはずである。本研究は、千葉県いすみ市で活動する演劇集団に注目し観察調査を実施することで、演劇が今日の地域社会に果たす役割を具体的に把握し、また、その特質を導出することを目的とする。本研究で得られた結論は以下のように要約される。演劇とは、「コンテクストの共有」を通して、そこに参加する人びとの関係性を強化するものである。そして、演劇が地域において展開される場合、それは共同体を再構築する可能性を有している。それゆえに地域に根ざした演劇は、大きな社会的・今日的価値を持ったものといえる。
著者
張 英裕 黄 佳琪
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.59, 2012

本稿は1979年の手工業産品評審会から現行の工芸の夢まで入選した陶磁器に基づき、Formalisticaと社会学でその造形を分析し、その変遷をまとめるものである。台湾における陶磁器のスタイルの変遷について、下記のように三つの時期に分けることができる。(1)素朴期(1979~1992)この時期の作品には素朴と豪華の2極化傾向が見られる。そして造形において、両者ともシンプルなスタイルを保っているが、装飾紋様では簡単な色使いと精緻な絵画の二種類に分けられる。(2)転変期(1993~1998)欧米や日本などの先進国から技術とコンセプトを作品に取り入れることにより、その造形が大きく影響され、ユニークな作品が多数現れた。造形の突破こそがこの時期の一大特徴と言える。(3)設計重視期(1999~)この時期の作品には主に二方向性が見えてくる。一つはシンプル且つ生活感が溢れる方向性で、もう一つは創意と精緻さを求める方向性である。しかし、両者ともデザインの重視ということは不変である。
著者
岑村 春香 金 尚泰
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.187, 2015 (Released:2015-06-11)

本研究では、近年発達が進んでいるリアルタイムCGを利用し、形態比較に3DCGモデルの変形アニメーションを用いた新たな骨格標本を提案した。骨格の比較を、骨格の分類に従って設定した変形アニメーションによって表現することにより、比較する2種における骨の対応関係が分かりやすくなると考えられる。実物の標本を並列する従来の骨格形態比較の手法に比べ、より直感的な比較が可能になると予想し、Webブラウザ上で動作する骨格標本コンテンツの制作と評価を行った。評価実験の結果、「骨格形態比較の容易さ」に関して高い評価を得ることができた。また、全ての被験者が、本研究で制作したコンテンツの閲覧によって、骨格の形態差異と共通点に関する新たな知見を得られたことが分かった。提案手法を用いることで、文字による補足情報を必要とせずに、動物の形態に関する新たな発見や気づきを促すことが可能であると言える。
著者
香村 翼 伊藤 孝紀
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.H01-H01, 2010

国内における傘の年間消費量は1億3,000万本でその内9割がビニル傘である。環境問題としての傘の大量消費を見直そうと、レンタル傘の取り組みが行われるようになった。本研究では、住民の意識を把握することで、都市部におけるレンタル傘のシステムを構築するための知見を得ることを目的としている。本研究ではレンタル傘の貸出システムやレンタル傘の利用実態に関する市民の意識を調査した。調査した市民の意識から得られた知見は、レンタル傘の設置場所や貸出システムを決定する際の指針とすることが可能である。今後の展望として、本研究から導かれる知見と、都市部における実際のレンタル傘の動き方や利用者の属性等のデータを合わせ、レンタル傘が都市において円滑に循環するシステムの構築を目指す。
著者
小野澤 明良 村井 まどか 神谷 嘉美 木下 稔夫 山内 友貴
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.13, 2014 (Released:2014-07-04)

三次元造形装置は、意匠モデルやコンペ・展示会出展用モデルの作成に多く利用され、カラーモデル化が求められている。本研究では、ナイロン粉末焼結型RP造形品のカラーモデルの提供を目的に、RP基材に適した塗装および着色技術の開発を行った。前処理、塗料、塗装方法、塗装仕様と加工技術などの塗装適性の検討により、RP製品モデルに活用できる物性と塗装外観をもつ塗装工程の開発をした。塗装では、立体造形品をプロトタイプモデルとして有効に活用できる外観を実現することができた。
著者
矢口 真理子 北田 貴詠 島野 里彩 矢野 英樹 須永 剛司
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.62, 2015

あそびのデザインDesign of Playという授業課題として「carat game(カラットゲーム)」をデザインした。carat gameとは、2人~3人で行う対戦型ボードゲームである。サイコロを用いて、ゲームは”運任せ”で進むが、同時に”運任せではなく”ゲームを進めるルールもデザインした。それは、プレイヤーが盤を構成するマスの色を変更できるというルールとパーツ「コネクト・タイル」でできている。また、”1人遊びでは得る事のできない体験”も重要な要素として考えた。私達はこの授業を通して、誰かと一緒に遊ぶ事の大切さや楽しさを改めて実感することができた。そしてとても大事な学びとなった。
著者
滝本 成人
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.56, pp.G12-G12, 2009

本件は、福井県越前市のタケフナイフビレッジ協同組合青年部との共同デザイン開発である。市販の家庭用パン切り包丁への不満の意見を調査した。実験用の試作品包丁を9種類作った。被験者を用い食パンとフランスパンのカット実験をおこなった。当初は鎌の刃の利用を試みた。しかし、滑らかに動かないことが明らかになったことと、制作での技術的な問題が明らかになった。次に、直刃の一部に波刃の加工を試みた。再度、被験者を用いカット実験をおこなった。その結果、ハーフセレーションブレイドの優位性が確認できた。包丁の制作においては越前打刃物の伝統技術を用いた。
著者
酒井 聡 青木 孝文 若生 一広 阿部 晃一 三瓶 仁寛 菅原 道晴
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.146, 2015 (Released:2015-06-11)

昨今、広告業やデザインの分野でプロジェクションマッピングが広く扱われるようになった。建築物 や自動車、人などに映像投影を行うことで、新たな映像表現として注目を集めている。しかし、広く 扱われるようになったプロジェクションマッピングの映像投影する条件として映像投影面は変形や移 動などをしないことが前提となっている。 本研究開発では、動的に形状が変化する物体に対して歪み のない映像を投影可能なスクリーン(Addressable Screen)を開発することを目標としている。本 稿では、研究開発の過程において制作・発表を行った映像投影作品Addressable Screen「9パズル」 「Magical Card」について報告する。
著者
向 心力 伊藤 良介 日比野 治雄 小山 慎一
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.234, 2014 (Released:2014-07-04)

部屋の中のカーテンや壁紙の色を変えると気分が一新す る。人々がはなやかな色の服装で参加するパーティはそれだ けでも楽しい気分になるし、黒一色の喪服は人々に悲しみを さそう。気が滅入ったときでも、派手な色の服に着替えると 気持ちが明るくなる。青空の下の緑の野原は人々の心をのび やかにする。このような色が与える感情は個人によってもほ とんど変わらないし、国際的にも共通している点が多い(大 山、1994)。多くの人に対してある程度共通した印象を与え ることができるからこそ、色の感情的な効果はさまざまなも のに利用されている。大学のロゴマークにおいても同じこと がいえる。 色の象徴に関する研究(大山ら、1963)(千々岩、1981)(伊 東、1998)や、コーポレートカラーの研究(A.F.T、2010)、 UI の取り組みに関する研究(トムソンコーポレーション、 2008)は多くあるが、大学のロゴマークの色に着目した研 究はあまり多くない。そこで、大学のロゴマークに用いられ ている色彩と、その色の象徴するイメージを調査し、日本の 大学のブランド活動の現状を知ることや日本と中国の大学の ロゴマークの比較が本研究の目的である。
著者
川合 康央 門屋 博 池田 岳史 尾崎 洋 益岡 了
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.214-214, 2011

プロジェクト型学習は,学生主体のテーマ設定による演習形式の授業である.本稿では,プロジェクト型学習であるプロジェクト演習および卒業プロジェクトにおける学生成果物のうち,地域をテーマとしたディジタルコンテンツ制作について報告する.大学周辺の湘南地域をテーマとしたプロジェクト成果物を対象とし,表現手法によって成果物を分類した結果,動画,CG,Webコンテンツ,インタラクティブコンテンツなどが挙げられた.地域取材に基づく映像作品として,市民による祭りやイベントを取材したものが挙げられる.3DCGなどを用いた地域コンテンツでは,景観シミュレーションやARを用いたキャラクターデザインが見られた.Webによる地域紹介サイトも多く見られ,ゲーム性を持つものや廃墟や心霊スポットを対象としたものなどがある.ゲーム等のインタラクティブ作品も多く,スタイルとして完成されたルールを持つゲームであっても,地域情報を持たせることでプレイヤーはコンテンツに親しみを持つと考えられる.また,対象となるテーマに応じた独自のルールを持たせることで,地域固有の新しいコンテンツの可能性が見られた.
著者
三橋 俊雄
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.46-46, 2006

1200年を超える悠久の歴史に育まれてきた京都は、今もなお、日本の伝統文化が生き続ける歴史都市である。とりわけ世界文化遺産に登録された社寺をはじめとする優れた文化財、伝統的な町並み、そして、それらを取り巻く山紫水明の自然が織り成す京都の景観は、われわれが後世に伝えていくべき日本の文化的資産である。 しかし、1980年代のバブル経済期における、投機目的の地上げや無秩序なマンション建設など、市街地の景観や自然景観の破壊が拡大した。 こうした状況下で、京都市市街地景観整備条例等により、景観の保全・保存に努力してきたが、一方、その保全・保存のあり方が、伝統的建造物に対して問われ始めている。 外壁だけを残して内部を新築する「ファサード保存」、建物のごく一部を残しただけの「カサブタ保存」、そして、現在の建物を撤去し、新たに異なる材料によってそっくりな建物を新築する「レプリカ保存」的な改築計画が実行され、建築として、景観としての真正性(authenticity)が問われることとなった。 2004年の景観法の制定を契機に、一人でも多くの市民が、真のアメニティーを標榜し、すぐれた眺望・背景景観がもつ精神的文化的価値を再認識、再評価していく必要がある。
著者
益岡 了 谷本 尚子 中原 嘉之 尾崎 洋 川合 康央 池田 岳史
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.63, 2016

現在のオーディオ開発には、未だコンポーネント型オーディオ的なデザイン価値が強く残る。そのことがオーディ装置としての発展を阻害し、生活環境の変化、PCや携帯端末を使った音楽再生の大衆化との不均衡を生じさせた可能性も否定出来ない。本研究では一体型オーディオシステムの有意性を活かして、回路全体の効率化を図り、USB-DAC以降の増幅率の最適化・増幅回路間の適合によって、ボリューム部の排除と安定性の高い回路の実用化を図る。また各電子部品の選別やスピーカーユニットの支持方法の改善によって音響特性の改善を実施する。市場の要求からスピーカーユニットの特性に合致する十分な容量を満たす非直方体形状のエンクロージャーの採用は難しいが、本制作では音響的特性を優先した容量の確保と造形上の工夫を優先した。特にユーザーのライフスタイルへの適合を考慮した場合には、設置や配線が簡易なアンサンブル型オーディオが支持される傾向が見られた。「非直方体エンクロージャー」や「ハイブリッド型バッフル板」採用の音響上の利点も確認出来た。
著者
周 臻 木本 晴夫
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.D01-D01, 2007

六書原理は、漢字の独特な造字・造型の方法であるだけてなく、まだ有効な視覚表現の手段の一種で、さらに設計思惟でもある。六書原理は東洋の思想モデルを反映する論理的な創造システムである。本研究は、ロゴデザインを例にして、六書原理に基づく新しいデザイン体系を探求したので報告する。六書の各原理、すなわち、象形、指事、形声、会意、転注、仮借の概念と造字方法、造字実例を研究して、その中から得る啓発をデザイン構想とデザイン手法に転化して、自分のデザイン実例と結合して、新しいロゴデザインシステムを構成することを試みた。1. 象形:具体物の形態を表現する。2. 指事:抽象的な符号を入れる。3. 会意:現有の要素を合併して新しい意味を生む。4. 形声:意味を表す符号と発音を表す符号の結合。5. 転注:シリーズデザイン。6. 仮借:類似したオブジェクトを借りる。7. 六書原理の統合的応用。文化の内包を掘り起こすことと民族の風格を発展さめることによって、六書原理に基づくデザインシステムは、中国のデザインを進展させる強力な道具になる。
著者
曽和 具之 籾井 雄太 柴田 あすか
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.143-143, 2011

本研究は、イベントやワークショップにおいて、主催者および参加者が各々の学びの体験を振り返り、共有することを援助するメディアツールについて、考察した。研究の特徴としては以下の3点が挙げられる。(1)ワークショップの進行と同時並行で撮影・編集作業を行っている。(2)ワークショップの最後に上映し、体験をその場で振り返ることができる。(3)インターネットに公開し、主催者および参加者が体験の意味づけを長期間にわたって行えるようにしている。 具体的事例として、2011年2月2日から13日に行われた、「第14回文化庁メディア芸術祭協賛展先端技術ショーレース2011」における記録を挙げる。
著者
都甲 康至 栗原 隆
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.63, 2016

日本食の世界的なブームに伴い日本の安全・安心な生鮮食品の海外への需要が急速に高まってる。政府もTPP対策や農林水産業の活性化を図るために生鮮食品の輸出に関する公的支援が活発化しているが、地方都市に目を向けるとそこには様々な問題がある。そこで農林水産物等の国内生産から輸出相手国の消費に至るまでの一連のプロセスを社会システムととらえ、地方都市における既存の地域産品の輸出に係る諸問題を解決し、新たな社会システムを構築するために必要なデザイン要件と方法論の研究が必要と考えた。本論文はその基礎研究として、まず既往研究から現在の社会システムに係るステークホルダーとその役割を導出し、次に彼らが抱える諸問題を明らかにするために、北部九州で現在、農林水産物等の輸出に取り組んでいる関係機関に対して聞き取り調査を行い、その調査結果から得られた関係機関が抱えている諸問題を明らかにした。そして「地域産品グローカル・バリューチェーン構想」の概念図を仮説として提示し、最後に結論として地方都市において地域産品輸出促進プラットホームのような社会システムをデザインするにあたって参考となるような基本的考え方について述べた。
著者
坂田 光
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.129, 2012 (Released:2012-06-11)

鳥蟲書は、春秋戦国時代の中国大陸のうち、主に南方で用いられた宗教的装飾書体である。青銅などの金属器に鋳造された金文書体であり、中でも戈を始めとする武器に用いられた例が多い。 鳥蟲書は、典型的な三つの特徴を持つ。まず、黄河流域で用いられた金文に比べて字画が大きく歪められ屈曲していることである。そして、縦長のプロポーションを持つこと、字画に鳥を始めとする人獣の姿が抽象的な装飾として融合されていることである。「鳥蟲書」とは、鳥や蟲(蟲は、中国においてはあらゆる生物を含む)の書という意味である。 鳥蟲書は、その奇抜さから書道史や歴史学上注目されることがなく、理解しがたい文字とされてきた。しかし筆者は、古代の造形にも、我々が今日行なっているデザインと同様の工夫を発見することができると考える。この研究では、鳥蟲書の外形的特徴であるプロポーションの変形について分析し、特にその最大のものである線の屈曲の効果と由来について考察した。