著者
五島 淑子 小野 佑輔 広津 理恵 石田 佳菜絵 前田 綾子 村尾 奈美 柏木 享
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1006, 2009

<BR>【目的】近年日本酒の消費量が減少している。日本の食文化のひとつである日本酒について、将来の酒の消費量に影響を与える年齢層の大学生を対象に、日本酒に対するイメージと嗜好について調査を行い、若者に日本酒を普及させる方法を探る。<BR>【方法】(1)酒のイメージ調査 平成20年6月上旬~7月上旬、山口大学学生290名を対象に、SD法によるイメージ調査を行った。(2)実態調査 平成20年6月中旬から7月中旬、山口大学学生353名を対象に、日本酒の飲酒頻度、日本酒についての関心などについてアンケート調査を行った。(3)日本酒の試飲調査 平成20年12月10日~12日に、山口大学学生102名(20歳以上で試飲後運転をしない人)を対象に、山口大学教育学部食物調理科学教室で、4種類の日本酒(純米酒、地酒)から好きな酒を選ばせた。<BR>【結果】(1)大学生は、日本酒を「アルコール度数が高い」「男性的」「年配向き」「高級」「辛い」とイメージしていた。(2)お酒として一番に思い浮かべるのはビールついで日本酒であったが、最も好きな酒はカクテルついで梅酒、ビールであった。(3)日本酒を飲む頻度は「月1回以下」「飲まない」が6割以上を占めた。(4)「料理にあう日本酒」「日本酒の飲み方」「日本酒の種類」に関心が高かった。(5)日本酒離れが進む原因として、「においがきつい」「アルコール度が高い」「値段が高い」「近寄り難い」「辛い」ためと考えていた。(6)試飲調査の結果、純米大吟醸、発泡純米酒、アルコール度数の低い酒が好まれた。(7)若者に日本酒を普及させるためには、若者が好む種類の日本酒の販売、料理にあう酒や飲み方などについて情報の発信など、日本酒の知識と経験が重要だと考える。
著者
宮島 彩
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.31, 2019

<p>【目的】近年,若者の味覚は低下しており,食について学ぶ大学生にも同様の傾向みられる。本研究では,食について学ぶ大学生の味覚の現状を把握し,食生活や食嗜好との関連性について検討する事で,味覚低下の原因を明らかにする事を目的とした。</p><p>【方法】平成31年4月に,本学で食について学ぶ大学生60名を対象に味覚試験として,5味識別試験及び濃度識別試験を実施した。更に,同対象者に食生活と食嗜好についてのアンケート調査を行った。</p><p>【結果および考察】五味識別試験の正解率は,甘味71.1%,塩味71.7%,酸味26.7%,苦味33.3%,うま味38.3%であった。苦味は55%,その他の4味については80%の正解率を想定して試料を調製したため,いずれも想定より正解率が低い結果となった。不正解者に着目すると,甘味,酸味,苦味,うま味では,水と認識して回答した人が多く,甘味では47.1%,酸味では34.1,苦味では42.5%,うま味では40.5%であった。水とは異なる溶液であることが識別できていない人の割合が高いため,刺激閾が高く味覚が低下している事が考えられる。塩味では,うま味と認識して回答した人が47.1%と一番多かった。味質の違いを識別できていない人の割合が高いため,認知閾が高くなっている事が推測できる。濃度識別試験の正解率は,甘味71.7%,塩味53.3%,酸味60.0%,うま味81.7%であった。いずれも70〜80%の正解率を想定して試料を調製しており,甘味とうま味は想定通りであったが,塩味と酸味は想定より正解率が低い結果となった。今後は特に味覚試験の正解率が低いパネリストにスポットを当て,味覚低下改善に向けて検討していく必要性がある。</p>
著者
中谷 梢 片寄 眞木子 坂本 薫 作田 はるみ 田中 紀子 富永 しのぶ 原 知子 本多 佐知子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】日本調理科学会平成24~25年度特別研究の「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」において実施した「昭和30~40年代に食べられていた兵庫県の家庭料理」の聞き書きで得られた報告に基づいて兵庫県の主菜の特徴を9つの地域ごとに調べた。<br>【方法】美方郡香美町(但馬・日本海沿岸),丹波市氷上町(丹波・山間部),宍粟市千種町(西播磨・播磨山地),姫路市(中播磨・播州平野),小野市(北播磨・平野部),加古川市(東播磨・平野部),明石市(東播磨・瀬戸内沿岸),神戸市(都市部),淡路市(淡路島)の9地域を選定し,聞き書き調査は平成25~26年に行った。収集した料理の中から主菜について地域の特徴を検討した。<br>【結果】香美町では多く獲れる魚介類を使い「さばのじゃう」(すきやき)や「かれいの煮物」,干物などにした。丹波は鶏を飼い「すきやき」にした。千種では山鳥や山うさぎを捕まえて骨ごと青石で叩いて肉団子にした。姫路では生姜づくりが盛んであり「おでん」を生姜醤油につけて食べた。小野では高野豆腐の加工中にできる粉で「高野豆腐粉と野菜の煮物」,また正月には畑で採れた野菜中心の「煮しめ」が作られた。加古川はクジラ肉で「はりはり鍋」を作った。明石ではたこを塩もみし「やわらか煮」などにした。神戸は「ぐっだき」,「牛肉の佃煮」など牛肉料理や洋食を食べていた。淡路はハモをなますや鍋に,卵を産まなくなった鶏を「すきやき」に入れていた。魚介類については,沿岸部は刺身や焼魚,煮魚にした他,干物や小魚は佃煮などに加工したが,山地や内陸部は塩魚や魚の干物を行商などから入手していた。鯖の塩焼きや魚の干物,飼っていた鶏や卵,揚げの煮物などは県内共通して食されていた。
著者
久保 加織 吉田 愛 石川 直美 堀越 昌子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.174, 2010

<B>目的</B> 輸入柑橘類には、防カビ剤としてポストハーベスト農薬が使用されることが多い。本研究では、日本で食品添加物として使用が認可されている防カビ剤のなかの一つであるイマザリルのレモン各部位での残留濃度を調べた。さらに、イマザリルが添加されている米国産レモンを用いて、保存や洗浄、調理によってどの程度その量が変化するかについて調べた。<BR><B>方法</B> 試料には、2005年~2009年に京都市内あるいは大津市内の小売店から購入した国産および米国産のレモンを用いた。イマザリルは、厚生労働省公定試験法に基づいて抽出後、高速液体クロマトグラフィーにより分析した。レモンの保存は、10℃に設定した冷蔵庫内で行った。洗浄は、水洗やゆでこぼしのほか、洗剤や重曹、酢酸、エタノールを用いて行った。レモンの調理として、レモンティー、レモンのハチミツ漬け、レモンのすりおろした皮とレモン汁を加えたマドレーヌを調製した。<BR><B>結果</B> イマザリル使用の米国産レモンからは、イマザリルが基準内濃度で検出され、内皮や果汁に比べると外皮の残留量が高かった。10℃保存では、国産レモンは約1ヶ月で傷みがみられたが、米国産レモンに変化はみられず、4カ月保存後もイマザリル量の減少はなかった。レモンを水洗した後のイマザリル量は47.6%に減少した。レモンをハチミツに漬けたり、紅茶に加えたりすることで、ハチミツや紅茶にイマザリルが溶出し、50ml紅茶に10gのレモンを30秒間浸漬した時の紅茶への溶出は47.1%であった。焼成後のマドレーヌからもイマザリルが検出され、残存率は51.0%であった。以上のことから、洗浄や調理を行ってもかなりの量のイマザリルが食品中に残存することがわかった。
著者
土屋 京子 長尾 慶子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.136, 2007

<BR><B>【目的】</B><BR> 紅茶の種類は数多く、その飲み方も様々である。抽出に用いる茶葉や水の種類、抽出温度や使用する茶器など、その入れ方によっても味や香り、水色(すいしょく)が変わってくる。そこで、本学女子大生を対象にどのような紅茶が好まれているか、調査・検討することを目的とした。<BR><B>【方法】</B><BR> 調査対象は本学女子大生209名とした。本調査に先立ち、日常的に常飲している飲料や茶類についてのアンケートを実施した。これにより紅茶の摂取状況を把握し、それを参考にして、様々な条件で抽出した紅茶について、五段階評点法による官能検査を行った。また、抽出前後の水中のイオン量の変化もみた。<BR><B>【結果】</B><BR> アンケート調査の結果、紅茶は、緑茶・ウーロン茶に次いでよく飲まれており、それぞれ、ティーバッグ・急須(ポット)・ペットボトル(缶)が利用されていた。一般的な飲み方ではストレートティーがよく飲まれていた。よく飲む紅茶の種類は、自宅・喫茶店では無糖ストレートティー(41%)、ペットボトル・缶製品では加糖ストレートティー(49%)であった。抽出する時の環境条件や水の種類により、水色や水中のイオン量に変化がみられた。また、抽出条件を変えた紅茶4試料の官能検査において、抽出条件による有意な差はみられなかった。バリエーションティー6試料のうちでは、加糖レモンティーや加糖ミルクティーが好まれていることがわかった。以上の官能検査の結果より、好きな紅茶としては加糖(レモン・ミルク)ティーであることから、日常よく飲まれる紅茶と好まれる紅茶とは必ずしも一致しないことがわかった。
著者
佐藤 幸子 小築 康弘 民谷 万里子 北岡 千佳
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.2082, 2009

<BR>【目的】本学が立地する東京都港区芝界隈は、江戸時代より東京湾の魚場として食産業の中心地である。そこで、芝落語会および芝青色申告会青年部との地域連携により、庶民の食べ物として「蕎麦」をテーマとし、栄養士を目指す本学の学生を対象に食教育を展開した。「蕎麦」という食材について、落語鑑賞による食文化的視点と「蕎麦打ち」による調理科学的視点を通して、食材を生かした料理の美味しさの探究を目指し、その文化および調理性について理解することを目的とした。<BR>【方法】食教育として (1)「落語鑑賞」(2)「手打ちそばの体験」(3)「蕎麦粉を使ったお菓子作り」を展開した。対象は、本学食物栄養科の学生に選択授業として実施した。(1)「落語鑑賞」(2)「手打ちそばの体験」において、食文化的視点では落語家の瀧川鯉之助氏により、演目の「時蕎麦」を鑑賞させた。調理科学的視点では、「蕎麦粉」についての解説と芝地区の蕎麦打ち職人さんの実演を受講させた後、その場で打ち立ての「蕎麦」を試食させた。学生の評価は、「かわら版」としてまとめさせた。また、(3)「蕎麦粉を使ったお菓子作り」では、「蕎麦粉を使ったお菓子」を調理学研究室のゼミ履修学生と試作検討し、芝地区活動として「蕎麦」の普及を目指した。<BR>【結果】体験授業後、意識調査(n=74)を行った結果、「落語を聴いて興味をもった」が約80%を占め、手打ち蕎麦については「打ち立て蕎麦を試食して美味しかった」と、多くの学生が、「蕎麦」の文化・美味しさに関しての意識の向上が認められた。また、蕎麦の風味を生かした焼き菓子を試作し、「第4回ふれ愛まつりだ、芝地区」に参加した。
著者
升井 洋至 濱谷 風香 小泉 采音 黒瀬 真弓 渡邊 光
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】食物繊維は生活習慣病の予防に重要な役割を果たす成分として知られているが,現代の日本人の食物繊維摂取状況は,1日の摂取目標量に対して不足している。今回は,食品への水溶性食物繊維イソマルトデキストリン添加の調理品への影響について,テクスチャー測定,色差測定,官能評価による検討を実施した。<br><br>【方法】試料としては,レシピサイトを参考に作成した牛乳寒天,チーズケーキ,マフィン,マヨネーズを対象とした。食物繊維の栄養強調表示において「含む(3%)・高い(6%)」に相当するイソマルトデキストリン((株)林原)を添加した試料と未添加試料の三種類を作成した。テクスチャー測定はRHEONERⅡ(山電製,RE2-3305B,プランジャー直径20mm)により行った。色差測定は測色色差計(日本電色工業製,NE4000)により行った。<br><br>【結果及び考察】イソマルトデキストリン添加により色差測定では,チーズケーキ,マフィンで*a値が高くなり,焼き色がついた。物性測定では,無添加に対して,マフィンはかたくなったが,それ以外は軟らかくなった。官能評価では,牛乳寒天は添加によって,甘さ,飲み込みやすさが高い評価となり好まれる傾向を示した。マフィンでは,外観は高い評価となり,しっとり感,総合評価はやや評価が低くなった。牛乳寒天,チーズケーキ,マフィン,マヨネーズそれぞれで,イソマルトデキストリンを添加した試料であっても,無添加の試料に比して十分なものが作成できた。<br> 本実験により,イソマルトデキストリンの,幅広い食品への利用可能性が確認できた。
著者
岩村 もと子 三宅 紀子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2015

【目的】タケノコは和食の特徴である旬を感じさせる食材のひとつである。海外からの安価なタケノコの輸入の増加などにより、水煮タケノコの利用はあるものの、家庭での生鮮タケノコからの調理が少なくなってきている。各地で放置竹林も問題となっている。多くの調理書などではタケノコのあく抜きは米ぬかを用いた方法が示されているが、本研究ではタケノコの簡便なあく抜きの方法について検討した。<br>【方法】日本におけるこれまでのタケノコのあく抜き法について文献調査を行い、アジアの国々についても、在留外国人に聞き取り調査を行った。次にあく抜き方法について検討を行った。タケノコは2015年4月、鎌倉市内の竹林で採取し、収穫3日後のものを用いた。10%米ぬか、0.3%重曹、50%牛乳、アルカリイオン水、1.75%そば粉(そば湯)を用いてゆで、ゆで汁に浸漬して冷却し、水洗い後15時間水に浸漬したものを試料とした。20歳代のパネル(女性31名)により、えぐ味の強さ、硬さ、色・香り・食感の好みなどの評価項目について5段階の評点法を用いて官能評価を実施した。<br>【結果】文献調査の結果、日本でのあく抜き法として、何も添加せずにゆでる「湯煮」が長く行われてきたが、明治末期には婦人総合誌に米ぬかを用いた方法が記載されていた。また、アジアの国々においても「水でゆでる」「塩水でゆでる」が多かった。収穫後時間の経過したものはあく抜きが必要となるが、官能評価の結果、いずれの方法においてもえぐ味の強さに差は認められなかったが、色の好みおよび硬さについて有意差が認められ、重曹を用いた試料での褐色化および組織の軟化によるものと考えられた。米ぬかを含めていずれの方法によってもあく抜きが可能であることが示唆された。
著者
大矢 智子 熊田 早紀 明神 千穂 庄子 佳文子 稲熊 隆博 山口 智子 高村 仁知 的場 輝佳
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.16, pp.118, 2004

【目的】野菜類には活性酸素・フリーラジカルを消去し、ガンや生活習慣病を予防するポリフェノールやアスコルビン酸などの成分が多く含まれている。野菜は生食するよりも加熱調理した方が、より多く摂取することができる。本研究では、イタリアの代表的な野菜料理であるミネストローネを取り上げ、その調理過程におけるラジカル捕捉活性の変化について、アスコルビン酸量と総ポリフェノール量の変化と併せて検討した。また、加熱方法による違いについても検討した。<br>【方法】トマト・キャベツ・タマネギ・ズッキーニ・ナスを素材とし、調味料としてコンソメ・塩・コショウを用いたミネストローネを、ガスコンロおよび電子レンジで調理した。調理前後の素材とスープについて、ラジカル捕捉活性をDPPH-HPLC法により、総ポリフェノール量をFolin-Ciocalteu法により、アスコルビン酸量をHPLC法により測定した。<br>【結果】調理後のミネストローネのラジカル捕捉活性は、生の素材に比べて約80%に減少した。また、ミネストローネのアスコルビン酸量は生の素材に比べて約45%に減少したが、総ポリフェノール量は約85%残存していた。活性成分の約半分はスープ中に存在していた。5種類の素材の中で、トマトにおいてラジカル捕捉活性、アスコルビン酸量、および総ポリフェノール量の変動が大きく、最も加熱による影響を受けやすい野菜であることがわかった。ガスおよび電子レンジによる加熱を比較した結果、両者の違いはほとんどみられなかった。現在、個々の野菜に対する各調味料の影響を検討中である。
著者
園田 純子 江藤 優穂 定岡 愛子 武鑓 美和 西村 弥恵
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【目的】日本の食文化として受け継がれてきた食品の保存法である「乾物」に関し、若い世代の利用実態を把握するとともに、日常の食事に取り入れられるよう家庭料理への普及啓発の方法を検討した。<br>【方法】本学1~4年の学生734名を対象として、平成24年6~7月に乾物に関する意識や利用状況の調査を行った (回収率78.9%)。次にこの乾物利用の調査をふまえ、食品乾燥機(木原製作所SM4S-EH型・SP-1型)を用いて身近な農産物の乾物を作成し、家庭で簡単に作れるレシピを考案した。さらに、考案した干し野菜レシピを活用できるよう、乾物の普及啓発活動の取り組みを行った。<br>【結果及び考察】本学の学生で乾物を料理に利用している者は全体の45%で、乾物利用者のうち乾物を作成したことのある者は8%にすぎなかった。食べきれない生鮮食品の活用法としては冷凍保存が54%と最も多く、乾燥させるとの回答はわずか1%であった。家庭で残りがちな生鮮食品はキャベツが最も多く、人参、じゃがいも、玉ねぎと続いた。これら家庭で残りがちな野菜を用いた干し野菜の作成を試み、作成した干し野菜9種類を用いて「ミネストローネ」や「キャベツハンバーグ」など乾物独自の凝縮した味や食感といった干し野菜の特徴を活かせる料理を計18品考案した。作成したレシピは本学学生を対象とした料理教室で活用し、参加者の乾物に関する知識を深め、今後の乾物利用促進を図った。今回、従来乾物としての使用は少ないものの、日常的によく購入される生鮮食品を用いて干し野菜を作成したことで、若い世代にも乾物を身近に感じてもらえたと推察される。
著者
依田 萬代 根津 美智子 樋口 千鶴
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.26, 2014

【目的】近年、社会状況の大きな変化により日本の食生活が画一化され、各地の特産品を利用した郷土料理は薄れつつあり、又行事食も伝承力が薄らいでいる。そこで、今回はお正月料理を中心に伝承の現状について検討した。【方法】2009年11月~2013年11月の5年間の変化を山梨県内に存在する大学生及び保護者の合計1520名(回収率98%)を対象としてX<sup>2</sup>検定により分析した。【結果と考察】山梨県は地域性、気候風土も相まって地域に根ざした食文化を形成してきた。郷土料理のイメージとしての項目ではほうとう、地産地消、郷土愛の順であり、5年間の変化は4~5割とほうとうが最も高かった。郷土料理が減少傾向に対し、何とかしなければならないが56~75%と大幅に増加し郷土料理が減っていくことへの危機感を持ち継承の希薄化の回答も増加した。お正月料理の伝承者は6割が家族に教わり、調理時間を要す、材料の準備が大変、調理法が困難、価格が高いが示されお正月料理の工夫点としては色彩、味付け、地場産物、山梨県の特産品、栄養バランスを図る、海の物と山の物使用、盛り合わせの順であった。お正月関連行事では、七草粥やどんど焼き団子の摂取も平均で約60%と高かった。又、正月料理の作成率は65歳以上が最も高く、中でも金平牛蒡は各年齢共に70%以上の傾向が見られ、次いで雑煮餅であった。食文化の伝承には食教育の充実、産官学連携など食育活動の実践が大切である。今後も地域活性化に繋げ継続的、効果的な展開になるように取り組みたい。
著者
櫻井 美代子 大越 ひろ 増田 真祐美 大迫 早苗 河野 一世 津田 淑江 酒井 裕子 清 絢 小川 暁子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】 食文化視点より次世代に伝え継ぎたい日本の家庭料理を掘り起こすことを目的とする。<br /><br />【方法】 神奈川県内の主だった14地域である横浜市中区・横浜市泉区・川崎市多摩区・鎌倉市・三浦市・大和市・相模原市(旧津久井)・伊勢原市・秦野市・小田原市・大磯町・山北町・真鶴町・清川村の地域を中心に調査を行った。それらの地域の年配者に昭和年35年前後から昭和45年前後の食生活について聞き取り調査を行った。それらの料理内容をまとめ,文献による補足調査を行い,検討を行った。<br /><br />【結果・考察】<br />神奈川県は、立地により海・山の産物を利用した料理が多くみられた。水田を多く所有する地域ばかりでなく,水田や畑作からの裏作として,小麦・蕎麦・豆類が作られている地域も多く存在する。<br />その中で今回は,間食(おやつ)に注目し報告を行うこととする。神奈川県全域で小麦粉製品の所謂,粉物が多く登場する。行事(祭り等)での頻度が多い酒まんじゅうやまんじゅう類の他,小正月,どんど焼き等でのまゆ玉飾りがあげられる。月見の十五夜や十三夜に供えるだんごの他,日常では、春先のよもぎだんごや草の花だんご,へらへらだんごなどのだんご類のいろいろな種類がうかがえる。そのだんご類の材料としては,米粉,小麦粉,さつまいも粉などが使われている。行事等で供えられただんごは,きなこやあん,砂糖醤油などをつけて食されていた。また,日常のおやつとしては,蒸しパンや庭木として育てられた果物類なども間食としてあげられる。
著者
設樂 弘之 島村 綾 田中 亮治 有満 和人 峯木 真知子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.28, 2016

【目的】食品、特に生鮮食品と呼ばれる領域の食品に関しては、その鮮度と風味には密接に関係がある。野菜や魚など鮮度が良いとおいしいといわれている一方、肉などのようにすこし貯蔵したほうがおいしくなるといわれている。その原因についても多くが研究されている。卵は長期保存がきくことが知られている一方で、生みたてがおいしいといわれているが、その科学的根拠となる研究例は少ない。そこで保存した卵と生みたてのもので風味に違いを明らかにすることを目的とした。 <br> 【方法】タカハシ養鶏場 深谷農場6号舎で養育されたハイライン種マリア(日齢292日)が産卵した卵を5℃で16日保存した。同じ鶏舎のもの(日齢305日)で3日保管した卵と比較した。基礎項目として卵重、HU、卵黄の色、卵白のpHおよびタンパク質量、卵黄のpH、水分、脂質量、およびタンパク質量を測定した。風味の違いを知るために、卵かけご飯、茹で卵、だし巻卵、カスタードプリンを作成し、風味試験に供した。パネルは、東京家政大学栄養学科管理栄養士専攻4年生と大学院生の計25名で行った。<br> 【結果】たまごかけご飯、および、だし巻き卵に関して、新鮮卵のほうが好ましいという傾向にあったが、有意な差はなかった。プリンについては有意に新鮮卵を使ったほうが好ましいという結果になった(p<.05)。2つのプリンには硬さに違いがあり、新鮮卵のプリンのほうが軟らかく口どけが良いことから好まれたと思われる。新鮮卵と保存卵のプリンでは固さに差は、タンパク質量、pHに差があったことが、影響した可能性がある。これらの結果から、野菜や魚と比較すると、卵は保管中の変化が少なく、おいしさにもあまり差はないことがわかった。
著者
吉岡 智史 西村 知紗 柳澤 琢也
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.28, 2016

【目的】マヨネーズは、他の調味料と比較して一食分の塩分量が低いが、十分に味を感じておいしく食べられている調味料である。マヨネーズが低塩分量でも味を濃く感じられるのは、「こく」が関係していると考えられるが、その詳細はわかっていない。本研究ではマヨネーズの減塩効果に関与しているのは「こく」であることを明らかにするとともに、減塩に影響する成分を見出すことを検討した。 【方法】千切りキャベツを植物油で炒め、食塩で調味した試料(塩分0.5%、油脂量10%)を「植物油群」とした。植物油群の植物油、食塩をマヨネーズで置き換えた「マヨネーズ群」(塩分0.2%、油脂量5%)を調製した。試料の風味の強さと、こくについて1~7点の7段階の採点法にて官能評価を実施した。さらに固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて香気成分を分析した。 【結果】植物油群とマヨネーズ群の官能評価の結果、塩分量は異なるが風味の強さには有意差が見られず、「こく」はマヨネーズ群の方が有意に高かった。このことから、風味を補った効果はマヨネーズに由来する「こく」の影響であることが示唆された。さらに香気成分分析の結果、こくに関与すると思われる成分がマヨネーズ群から見出された。以上の結果から、マヨネーズの「こく」が、風味を強く感じさせることで減塩効果に影響していることと、香気成分が「こく」に関与していることが示唆された。
著者
舘野 美鈴 浜守 杏奈 大久保 洋子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.29, 2010

【目的】弁当は携帯食として発展し、主として昼食としての利用が多い傾向にある。明治以降の婦人雑誌、料理雑誌には記事として取り上げられることが多くなり、なかでも子どもの弁当記事は掲載がシリーズ化されることが多く、母親が献立を考える上での参考にしているだろうことが伺える。その内容は年代により様々な特徴を持ち、変化が見られるので大正期から昭和末までの子どもの弁当記事を通して、その変遷を見ることを目的とした。<BR>【方法】資料として2冊の婦人雑誌『主婦の友』(大正12年5月-昭和63年4月)『婦人之友』(大正2年6月-昭和46年9月)、2冊の料理雑誌『料理の友』(大正5年5月-昭和35年6月)『栄養と料理』(昭和10年-昭和63年)を用いた。年代を6区分にし、タイトル、献立、食材料、調理法、特記される記事を項目として子どもの弁当記事の調査・分析をおこなった。<BR>【結果】1)大正期は需要が少ないためか子どもの弁当記事が少なく、幼児を対象としたものは見られなかった。2)昭和元~13年には「子ども」とタイトルのつく弁当記事が増え、わずかに幼児専門の企画も見られた。大正期ではほとんど見られなかった西洋野菜や食肉加工品などが用いられるようになった。3)昭和14~28年では戦時中ということで子どもの弁当記事にも節米などの工夫が多く見られた。4)昭和29~38年ではパン食や洋風化がすすみ、たんぱく源が推奨され、子どもの弁当記事が増えた。5)昭和39~63年では40年代を境に主食が減少し、見た目と嗜好に重点を置く内容へと変化していく傾向が見られた。
著者
豊満 美峰子 小宮 麻衣良
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1001, 2009

<BR>【目的】食事の際、盛り付けは重要な要素である。美しく盛り付け食欲を増進させるとともに、1人分の分量を決定し栄養素の充足を図り食べ過ぎや不足を防ぐ意味もある。本調査では、家庭で利用される頻度が年々増加している中食について、購入後にどのような盛り付けをして食卓に供しているかを料理毎に把握することを目的とした。<BR>【方法】東京都内の服飾を専攻する大学生20~21歳及び食物を専攻する19~21歳の短大生288人を対象としてアンケート調査を行った。調査内容は、料理を家で作るか購入するかと一人分盛り付けるか家族分一緒に盛りつけるかを選択式できいた。各設問とも選択肢ごとの人数を集計し全人数に対する割合を算出した。<BR>【結果】中食として購入することの多い料理の盛り付けについて、パックのまま供卓する料理は%が高い順に「握り寿司(42.4%)」「サンドイッチ(29.9%)」「巻き寿司(18.8%)」であった。大皿に家族分一緒に盛り付ける料理は「ぎょうざ(69.4%)」「鶏の唐揚げ(68.8%)」「野菜炒め(62.5%)」「おでん(61.5%)」「シューマイ(60.8%)」「焼き鳥(58.3%)」「野菜の煮物(56.3%)」「野菜サラダ(54.5%)」「きんぴら(54.2%)」などであった。一人分ずつ盛り付ける料理は「焼き魚(78.8%)」「うどん(76.4%)」「炊き込みご飯(76.4%)」「ハンバーグ(75.3%)」「パスタ類(71.9%)」「そば(66.7%)」「うなぎの蒲焼(63.5%)」「グラタン(60.4%)」であった。
著者
川島 明子 川原﨑 淑子 青山 佐喜子 橘 ゆかり 三浦 加代子 千賀 靖子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.31, 2019

<p>【目的】日本調理科学会特別研究である「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」において,1960年〜1970年頃までに定着していた家庭料理について聞き書き調査を行った。本研究では,この調査結果を基に副菜の地域別の特徴を探ることを目的とした。</p><p>【方法】平成25年12月〜27年3月に,県内の12地域を訪れ,橋本・那賀,和海は紀北,上富田,大塔,田辺(湊浦),那智勝浦,太地,熊野川は紀南,有田川,由良,日高(御坊)は紀中とし聞き書き調査を行った。調査対象者は,合計38名の女性,平均年齢は72.3±6.3歳であった。今回は調査結果から副菜を地域ごとに抽出し検討を行った。</p><p>【結果および考察】副菜の材料は調査全地域で野菜,山菜,海藻類が酢の物,和え物,煮物として調理されていた。また海の幸に恵まれている,和海(除く紀美野),日高(由良・御坊),田辺,那智勝浦・太地の地域ではじゃこ,釜揚げしらす,鯨のオバキイ(尾羽毛の加工品)や太刀魚の酢の物,また野菜や山菜の煮物がみられた。さらに熊野山間部の上富田・大塔では鯨のコロ(皮を揚げ乾燥させたもの)の煮物,じゃこの炒め物に,有田地方ではぎんた(体長8cmで沖合や深所に生息する)を酢の物や炒め物にしていた。汁ものは全域で雑煮が挙げられ,中には上富田・大塔のぼうり(食べない雑煮)や日高の伊勢エビの味噌汁がみられた。他には紀ノ川流域の鰯の団子汁,おつけ(どじょう汁),上富田・大塔のアラメの味噌汁,田辺のヒロメの清汁やしらすの味噌汁があり,地域性もみられた。漬物は,梅干し,金山寺味噌や白菜漬け,沢庵,らっきょが漬けられていた。また紀南地域では高菜の漬物,紀ノ川流域で「漬物のたいたん」が副菜として挙げられていた。</p>
著者
藤江 未沙 野坂 隆文 石原 佑希子 池野 潤 永瀨 敬顕 小椋 麻友 中平 鈴果
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】<br><br>島根県の食料自給率は65%と中・四国地方の中で一番高く、全国でも12番目に高い自給率を示す。その理由として、島根県では平成15年にしまね地産池消推進協議会が策定した考え方を基に、広報誌やパンフレットによる啓発活動等を行っている。それにより県民の地産池消に対する理解が広がり、地産池消の取り組みが拡大していたことが理由とされている。そこで、より地産池消へ向けての活動を向上させるため、島根県での生産量が安定しているが、消費量の少ない食材として大根をピックアップする。地元の人が興味を持ち、親しみを持ってもらえるような食品開発を目的とした。<br><br>【方法】<br><br>島根県産の大根を使用し、細長くスライスしたものに片栗粉をまぶして油で揚げ、あんをかけた皿うどん風の大根麺作りを実施した。本学学生に試食をしてもらった後、味や食感、麺として活用したいと思うか、価格設定などの項目についてのアンケートに協力してもらった。<br><br>【結果】<br><br>アンケート結果によると、「珍しくて美味しかった」、「色々な料理に活用できそう」、といった総合的に良い評価を得ることができた。今後、価格設定や、パッケージ、栄養価など商品としてのビジョンを詳しく決め、広める必要がある。まずは、本学学生による給食運営管理実習を利用し地域の方や外部の方に、大根麺の存在を知ってもらい、実際に食べてもらうことで農林水産省の地産地消推進計画の4つある推進の柱の「知る」「味わう」「伝える」を実施する。残りの柱である「伸ばす」という点は、給食センターや道の駅などでの販売や提供を行い、大根麺の生産や流通体制を作ることによって、地産池消活動の協力・食料自給率の向上につながると考える。
著者
加藤 雅子 會田 久仁子 阿部 優子 栁沼 和子 中村 恵子 津田 和加子 福永 淑子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぎたい日本の家庭料理」の主旨に賛同し,福島県内における伝統料理,及び郷土の家庭料理について文献を基に把握するとともに,調理担当者からの聞き書き調査を通して,地域の気候や風土から発生し,現在まで伝え継がれている料理,これからも伝承したい料理について知ることを目的とした。<br>【方法】前報と同様に,聞き取り調査の結果を基に,本報は福島県内の「主菜」について考察した結果を報告する。<br>【結果】会津地方ではにしんの山椒漬け,にしんの天ぷら,するめいかの天ぷら,鯉のうま煮,棒たら煮,さんまの麹漬けが食されていた。中通り地方の県北では身欠きにしんの煮物,ひき菜炒り,へそ大根の煮物,凍み大根の煮物や炒め物,凍み豆腐の煮物,県中では鮭の粕煮,あかはらの天ぷら,くきたちの煮びたし,葉たまねぎの煮物,県南では葉たまねぎの炒め物、凍み大根の煮物などが食されていた。浜通り地方の相双ではほっきの天ぷら,鮭の味噌焼き,いわきではさんまのぽうぽう焼き,さんまのみりん干し,めひかりのから揚げや天ぷら,うにの貝焼き,赤次の煮つけなどが食されていた。県内全域では,いかにんじん、味噌かんぷら、いなごの佃煮などが食されていた。新鮮な海産物が流通しにくい会津や中通りでは淡水魚やにしんなどの乾物を利用した料理が作られ,海に面した浜通りでは新鮮な魚介類が使用されていた。流通が発達した現代においても,にしんの山椒漬けや棒たら煮など伝え継がれている料理が多いことが分かった。また,中通りでは副菜に位置付けられるような野菜を使用した料理が主菜と同じ位置づけで食されており,主菜と副菜とに分類しにくいことが特徴であった。
著者
佐川 敦子 笹原 由雅 鎌形 潤一 青木 仁史 大橋 きょう子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.31, 2019

<p>【目的】減塩につながる調味方法としては,食品内部に塩味を拡散させず,食べる直前に食品表面に塩味をつける方法がある。これまでに,うま味や酸味を添加することで塩味強度が強まるという報告はあるが,油を添加した場合の塩味の感じ方についての報告は見当たらない。そこで,油添加に着目し,調製時における塩および油添加タイミングの違いによる塩味の感じ方について検討した。</p><p>【方法】塩および油添加タイミングを変えた飯表面に塩味をつけた試料(塩味表面試料)と,塩水で炊飯した試料(塩味均一試料)の塩むすびモデル系試料を調製した。塩添加量は米重量の1.15 w/w%(飯の0.5w/w%),油添加量は米重量の2.0 w/w%とした。試料の形状測定(マイクロスコープVHX-6000),物性測定(レオナーRE2-33005C)を行った。また,官能評価により,同一塩分濃度下における塩味の感じ方について,呈味強度(塩味,甘味,うま味)および味の好ましさを5段階評点法により評価した。</p><p>【結果および考察】1. 形状測定:米飯対角幅,周囲長,面積において,塩味表面試料は,塩味均一試料よりも高値を示した。2. 物性測定:硬さにおいて,塩味表面試料は,塩味均一試料よりも有意に低値を示した。3. 官能評価:塩味表面試料は,塩味均一試料に比べ塩味強度は有意に高かった。また,炊飯前油添加試料は,炊飯後油添加試料よりも塩味強度は有意に高かった。炊飯前に油を添加し炊飯後に飯表面に塩味を付与すると,塩味の感じ方は強くなることが示唆された。官能評価の塩味強度と物性測定の凝集性および付着性で負の相関が認められた。結果,米飯の凝集性,付着性が小さいほど,塩味強度は高くなることが示唆された。</p>