著者
齋藤 寛子 平尾 和子 佐藤 恵美子 宮地 洋子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】山形県は昔から米作りが盛んであり、農作業の合間の小昼や一服のおやつは、疲れた身体を癒し、生産性の向上も担う大切な食であった。また、学校を終えて帰宅した子どもたちにとって、おやつは昔も今も楽しみであり、大切な栄養補給である。加えて、歴史的背景から、西廻り航路の港であった酒田市は、早くから京の和菓子が伝えられ、隣接する城下町であった鶴岡市は、雛菓子、お盆菓子、正月の祝い菓子など現在も昔と変わらずに食べられている。そこで本報告では、山形県の家庭におけるおやつについて、その実態を調査し、伝承された食べ方などをまとめることを目的とした。<br />【方法】日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」に於いて行った聞き書き調査及び山形県の郷土料理に関する出版物からの料理の抽出、さらに継続して行っている調査結果などから、季節、行事及び県内の地域区分等でおやつを分類し、その特徴について分析した。<br />【結果】山形県の家庭料理におけるおやつは約50品集録された。「ケ」の食のおやつには、うるち米やもち米を材料とするものが多く、きな粉餅、味噌餅、白餅もおやつとして認識されており、硬くなった餅は油であげたり、炒ったりして味付けし、あられとして食べられている。醤油で煎り煮した玉こんにゃくや寒天を用いた寄せものは、おかずだけではなくおやつにもなる料理である。「ハレ」の食のおやつには、上巳の節句のくじら餅、草餅、鶴岡の練り切り等で作るお雛菓子、端午の節句には灰汁巻きと灰汁を用いない笹巻2種と笹団子及び小正月の団子などが分類された。昔からのおやつは、食材は限られるものの、調理法や味付けに工夫が見られ、山形のおやつは豊かであったことが推察された。
著者
山﨑 薫 石神 優紀子 奈良 一寛 石丸 佳奈 綿貫 仁美
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.28, 2016

【目的】相模原市川尻財産区が所有する本沢梅園には3haの敷地に約1000本の梅の木が栽培されており,開花時には「本沢梅園まつり」が開催され,収穫期には「梅のもぎ採り」が体験できる。その梅を原料に城山湖里地里山観光振興協議会が開発した梅ジュース「梅ほ乃香」が製造されている。「梅ほ乃香」の飲用以外の活用法と新たな梅関連産品開発相談を受けていることから,本研究は地域に愛され,息の長い商品展開をできる産品提案を目的とした。 【方法】本沢梅園産白加賀を使用した「梅ほ乃香」を使用し,菓子を中心に試作提案品を18品に絞り込んだ。梅ゼリーに関しては,当該地域で開催された「しろやま得の市」に訪れた男女55名を対象に試食とアンケート調査を行った。加えて本学学生39名を対象に,順位法を用いて3種類の梅ゼリーの官能評価も行った。 【結果】ゼリーやグミ,飴等では爽やかな甘酸っぱさが感じられ,羊羹や大福等の和菓子では餡の甘さと梅の酸味の相性が大変好ましかった。マフィンやパウンドケーキ,生キャラメルの試作時にバターを使用した結果,梅の風味が薄くなったため,サラダ油に替え,最終調整を行った。しかし,乳製品でもチーズや牛乳,ヨーグルトとの相性は良いことが分かった。アンケート調査の結果は,回答者の9割以上が総合的に高評価を示した。食感に関しては,かたさに好みの差が認められたため,性別・年齢層を統一し,官能評価を行った結果,パネル間に有意差は認められなかった。よって,性別・年齢層に関係なく,提案品の食感の好みは個人差と判断した。現在,好評を得た梅ゼリーの商品化を目指し,味や食感,副原料の更なる検討,消費または賞味期限,販売価格の検討も進めている。
著者
宇和川 小百合 色川 木綿子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2015

<br><br>【目的】平均寿命が延びて長寿社会となり、特に食に関わることは、各自が自己管理できるようにしていかなければならない。そのためには、男性も自分の食生活について関心を持ち、知識とスキルを身に付けることは大事なことである。今回は男性からみた行事食と儀礼食について検討したので報告する。<br><br>【方法】日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学」の調査より、関東甲信越地区調査データから男性437名と女性4,880名を対象に検討した。集計方法は、単純集計、クロス集計、&chi;<sup>2</sup>検定を行った。<br><br>【結果】対象者の男性の基本属性は、20歳未満33.0%、20歳代34.6%、30歳代1.8%、40歳代9.2%、50歳代15.3%、60歳代2.7%、70歳代以上3.2%である。家族構成は、二世代20.8%、三世代46.9%、四世代21.1%、同世代0.7%である。男性で調理を担当している者は18.8%である。認知と経験で男性と女性の間における&chi;<sup>2</sup>検定は、半数以上の行事や儀礼において差が認められた。差が認められなかった認知は、盂蘭盆、七夕、土用、重陽、クリスマス、大晦日、春・秋祭り、誕生日、成人式、婚礼、葬儀、法事で、経験では、盂蘭盆、七夕、重陽、クリスマス、大晦日、春・秋祭り、誕生日、成人式である。料理の経験で差が認められなかったものは、正月の屠蘇、雑煮、餅料理、魚料理、肉料理、端午のちまき、赤飯、菖蒲酒、七夕の煮しめ、ところてん、まんじゅう、重陽の菊花酒、ご飯、月見の芋、クリスマスケーキ、大晦日の祝い料理など20品目である。特に女性との差が大きかったのは、節分の経験で男性18.1%、女性90.2%、上巳の経験で男性60.0%、女性84.2%である。行事の料理で、男性の方が女性より経験が多かったものは、菖蒲酒、菊花酒、正月と七夕の赤飯など13料理である。
著者
齊藤(北岡) 千佳 山本 純平 井部 奈生子 良永(加藤) 裕子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】麹菌<i>Aspergillus oryzae</i>はその酵素によって食品に独特の味や風味を付与することが知られている。本研究では、塩こうじを非加熱ろ過した調味液である「液体塩こうじ」が食肉の呈味およびテクスチャに及ぼす影響を調べ、おいしさ向上への寄与を科学的に検証することを目的とした。<br>【方法】試料には牛モモ肉および豚ロース肉を使用し、各試験に適した前処理を行った。味およびテクスチャはプロテアーゼ活性試験、HPLCによる遊離アミノ酸分析、レオメータによる破断強度測定、官能評価および味認識装置による味分析により評価した。統計解析には、<i>t</i> 検定または一元配置分散分析後、Tukeyの多重比較検定を用いた。<br>【結果】プロテアーゼ活性試験では、35℃処理のカゼインタンパク質量が他温度群に比べ有意に減少した。遊離アミノ酸分析では、牛および豚ミンチ肉において、液体塩こうじ処理群のうま味・甘味を示す成分が有意に増加した。破断強度は、液体塩こうじ処理群で有意に低値を示した。官能評価では有意差はなかったものの、理化学分析と矛盾しない傾向がみられた。味認識装置による分析では、液体塩こうじを添加した豚ミンチ肉で酵素活性の有無に関わらず「うま味後味」が無添加群より高かった。また液体塩こうじ添加群では、酵素を失活させるために高温処理した群よりも「苦味先味」が有意に低値を示した。以上の結果より、液体塩こうじは麹菌の酵素により食肉の呈味成分を増すとともに肉質を柔らかくすることから、味の向上への寄与が検証された。さらに、プロテアーゼの至適温度が35℃付近と判明したことから、加熱調理の直前に15分程度ぬるま湯に浸漬するとおいしさが増すことが示された。
著者
木村 留美 杉山 寿美 石永 正隆
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.20, pp.96, 2008

<BR> 【目的】<BR> 白飯とおかずで構成される日本の食事様式は"口中調味(口中に残るおかずの味で白飯を味付けする)"により白飯をおいしく食べてきたと考えられる。しかし現在の食事はおかずのみを食べるなど、必ずしも白飯とおかずから構成されていない。我々はこの要因をおかずと一緒に白飯をおいしく食べることができないためではないかと考え調査を行った。<BR>【方法】<BR> 女子大学生を対象として口中調味実施群74.5%(214名)と非実施群25.5%(73名)で比較した。調査項目は白飯の摂取頻度・量、好きな味付け、白飯と料理の関係(白飯がないとおいしく食べられないおかず・白飯をおいしくするおかず)等とした。<BR>【結果・考察】<BR> 実施群は非実施群よりも白飯の摂取量が有意に多かった。「好きなおかず」に両群に差は認められなかったが、実施群で「甘い醤油味」「甘い味噌味」などを好きとした者が有意に多かった。両群とも5割以上の者が「白飯がないとおいしく食べられないおかず」とした料理は、カレー、鯖味噌煮、豚生姜焼き、漬物、麻婆豆腐、煮魚であり、85%以上の者が「白飯をおいしくするおかず」とした料理は、カレー、豚生姜焼き、鶏照り焼き、煮魚、鯖味噌煮、肉じゃが、筑前煮、すきやき、味噌汁、漬物、麻婆豆腐、焼肉であり、和風料理が多かった。また、実施群では非実施群よりも各料理を「白飯をおいしくするおかず」とした者が多く、春巻、焼売、魚ムニエル、目玉焼き、とんかつ、コロッケ、魚ホイル焼き、餃子、焼肉、麻婆豆腐、魚塩焼き、肉じゃがで有意な差が認められ、油脂を用いた甘味のない洋風・中国風料理が多かった。「白飯がおいしくなるおかず」に差が認められたことは、両群で白飯を食べる際の食事内容(献立構成)が異なることを示唆している。
著者
佐藤 真実 榎波 清美 田畑 聖香 松井 理佳子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】食育に関する意識調査では約三割の人が日本の食文化を受け継いでいないと回答している。本調査では、福井の食文化を守るための基礎調査として年中行事の実施と実施率の変化、行事食の喫食率について明らかにする。<br />【方法】平成28年7月に福井県在住の782人を対象に自記式質問紙法によるアンケート調査を行った(回収率71.6%)。内容は、行事の実施と実施率の変化、行事食の喫食率、後世に残していきたい行事とその理由などである。昭和57年、平成8年、平成18年の行事の実施については、谷ら<sup>1)</sup>の調査結果を用いた。<br />【結果】現在も行事食を喫食している行事は、「正月」(94.9%)、「大晦日」(80.7%)、「クリスマス」(70.3%)、「冬至」(63.1%)、「半夏生」(49.8%)となった。行事の実施率の変化としては、「正月」、「節分」がほぼ横ばい、「七夕」、「お盆」、「秋祭り」、「報恩講」が年々下降した。後世に残していきたい行事としては、「正月」(96.5%)、「大晦日」(82.4%)、「ひな祭り」(63.9%)、「お盆」(60.9%)であった。後世に残していきたい理由としては、「季節が感じられるから」(71.5%)、「日本の伝統だから」(57.0%)が高かった。一方、後世に残さなくていいと考える理由としては、「元々、実施していないから」(34.6%)、「行事を知らないから」(33.2%)であった。とくに子世代では、後世に残していきたい理由として「楽しいから」(55.9%)、残さなくていいと考える理由として「行事を知らないから」が親世代、祖父母世代に比べて有意に高かった。行事食の喫食率は、「冬至のかぼちゃ」、「半夏生の焼き鯖」、「天神講の焼きカレイ」が高くなった。これらの料理は、店で入手しやすく、家庭で作りやすいことから喫食率が高くなったと考えられる。<sup>1)</sup>谷洋子ら:仁愛女子短期大学卒業論文集より
著者
千賀 靖子 青山 佐喜子 川島 明子 川原崎 淑子 橘 ゆかり 三浦 加代子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】日本調理科学会特別研究である「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」において,1960年~1970年頃までに定着していた家庭料理について聞き書き調査を行った。本研究では,この調査結果を基に地域別の主菜の特徴について探ることを目的とした。<br>【方法】平成25年12月~27年3月に,県内の12地域(橋本,那賀,和海,上富田,大塔,田辺(湊浦),那智勝浦,太地,熊野川,有田川,由良,日高(御坊))を訪れ,聞き書き調査を行った。調査対象者は,合計38名の女性,平均年齢は72.3±6.3歳であった。今回は,調査結果から「魚・肉・大豆」を使用した主になるおかずを地域ごとに抽出し,検討を行った。<br>【結果】主菜の材料は,調査地域の地勢により異なった。魚のおかずでは,和海(除く紀美野),日高・由良,田辺,那智勝浦・太地などの海寄りの地域で旬の魚をさしみや焼き魚,煮魚,生節,干物などにして食べていた。一方,内陸地域では,塩物や干物,川魚であった。塩物は,県北,中部の地域では塩鯖,南部は塩さんまが多かった。肉類のおかずでは,鶏を食べている地域が多く,すき焼きにして食べていた地域もあった。牛肉の利用は少ないものの確認できたが,豚肉は全地域で調査者から具体的な料理名が出なかった。山間部では,猪や鹿などの野生の獣肉が食べられていた。鯨肉の利用は,ほとんどの地域で確認でき,調理方法も竜田揚げ,カツレツ,テキ,はりはり鍋,煮物,つけ焼き,カレーと多彩であった。さらに太地では,鯨肉のさしみ,また,いでもの(内臓)やコロ,骨はぎ(軟骨),オバキイ(さらし鯨)やイルカの肉なども利用されていた。大豆のおかずでは,内陸地域で郷土料理の豆腐焼きや豆腐の粉料理が確認できた。
著者
川上 栄子 村上 陽子 高塚 千広 新井 映子 市川 陽子 伊藤 聖子 神谷 紀代美 清水 洋子 中川(岩崎) 裕子 竹下 温子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.31, 2019

<p>【目的】 静岡県に伝承されてきた家庭料理の中から,副菜(野菜・きのこ・芋・海藻料理)として食されてきた料理を県内の各地域別について明らかにすることを目的とした。</p><p>【方法】「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」の調査ガイドラインに基づき,静岡県東部(沼津市,富士市,伊東市),中部(静岡市,焼津市,藤枝市)および西部(袋井市,浜松市)の各地域において居住歴が30&#12316;81年の男女61人を対象に聞き書き調査を実施した。</p><p>【結果および考察】今回は歴史的,地理的にもそれぞれの特徴を持つ東部(伊豆),中部(駿河),西部(遠江)の3地域に分け,豊富な素材の生かし方や調理法について列挙する。温暖な気候に恵まれ,1年中野菜が採れるため,高塩蔵品は少なく,漬け物類も酸味を効かせたものや,野菜そのものの味を生かした薄塩のものが多い。東部のみずかけ菜の漬け物,わさびの茎の三杯酢漬け,大根の甘酢漬け,中部の大根のゆず漬け,しょうがの酢漬け,西部の子メロン漬けなどに代表される。また,地域の農産物の食べ方として,東部の落花生のなます,中部の自然薯のとろろ汁,西部の蒟蒻の味噌おでん,糸蒟蒻のくるみ和え,海老芋の煮物などがある。また,静岡県は,伊豆沖,駿河湾,遠州灘と海に囲まれていて海産物も豊富であることから,主菜だけではなく副菜にも海産物が使われていた。いわしのつみれ汁,なまり節のサラダ,潮汁,いわしの酢の物,ぼらの酢味噌和えなどである。しかし,お茶やみかんが静岡を代表する特産品にもかかわらず,昭和35〜45年頃は副菜としては利用されていなかったことが明らかとなった。</p>
著者
髙山 裕子 熊谷 昌則 大野 智子 山田 節子 三森 一司 高橋 徹 逸見 洋子 駒場 千佳子 長沼 誠子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】日本調理科学会特別研究平成24~25年度『次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理』の聞き書き調査を通して、秋田県における次世代に伝えるべき家庭料理を抽出し、前回平成28年度大会の特別企画において主食の特徴について報告した。今回は得られた料理の「おやつ」に着目し、その特徴と調理特性について明らかにすることを目的とした。<br />【方法】秋田県内8調査地域(鹿角・北秋田・山本・秋田・由利・仙北・平鹿・雄勝)において、昭和35~45年頃に調理を担当していた対象者19名(女性、74.2±7.8歳)に聞き書き調査を実施した。調査から得られた110の料理について、主食・主菜・副菜・汁物・おやつに分類した。そのうち、おやつに該当する料理を抽出し、その特徴および調理特性について調査した。<br />【結果】おやつに該当した料理は23品目で、多くは日常、食されているものであるが、祭り・行事にて食されるものも5つ挙げられた。調理操作では、「蒸す」が全地域で多かったが、「揚げる」「焼く」も見られた。主材料では、米・米粉を使用するものが多く、県内全域において、おやき、干し餅・あられが、各地域で、ゆみそ、ごま巻き餅、バター餅、ままづけ、厚焼き、あさづけ、なんばこ、松皮もち、ゆべしが挙げられた。また、米・米粉以外に、県央部の沿岸地域においては、魚を使った磯部揚げ、県南部の内陸地域において、豆腐を主材料にした、豆腐カステラ、豆腐巻きなどが地域固有のおやつとして継承されていた。
著者
根津 美智子 樋口 千鶴 鈴木 耕太
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

<b>【目的】I企業からドレッシング開発依頼を受け演習で取り組んだ。</b><b>I</b><b>企業、</b><b>Y</b><b>銀行、大学との連携から商品化に至るまでの課題を見つけ、今後の活動の在り方を探る。</b><br /><b>【方法】時経列に取り組みと課題を示す</b><br /><b>①</b><b>2</b><b>7年</b><b>6</b><b>月レシピ作成後試食会</b> <b>②</b><b>8</b><b>月S調味料社にレシピ提出</b> <b>③</b><b>再度レシピ作成</b><b><sup>※</sup></b> <b>④</b><b>9</b><b>月</b><b>3</b><b>種をサンプル化</b> <b>⑤</b><b>学園祭にてサンプル試食会</b><b><sup>※</sup></b> <b>⑥</b><b>28</b><b>年</b><b>3</b><b>月新レシピ作成後試食会</b> <b>⑦</b><b>4</b><b>種をサンプル化</b> <b>⑧</b><b>7</b><b>月試食後</b><b>2</b><b>種を商品化</b> <b>チョレギドレッシング依頼も受け,3種の試食後サンプル化</b><b><sup>※</sup></b> <b>⑨</b><b>学園祭で</b><b>⑧</b><b>5</b><b>種の試食とアンケート調査を行う</b><b><sup>※</sup></b><b>。</b><b>⑩</b><b>3</b><b>種</b><b><sup>※</sup></b><b>商品化へ</b><b><sup> </sup></b><b><sup>※</sup></b><b>課題あり </b><br /><b>【結果】</b><b>①</b><b>を経てレシピを</b><b>S</b><b>社に提供。</b><b>③</b><b>商品化不可といわれ連携事業の難しさを知った。</b><b>S</b><b>社に商品化する為の勉強会を依頼し、再度レシピ開発</b> <b>④⑤</b><b>3</b><b>種類のサンプルを作ったが企業・銀行・大学側の連携が取れず年度内の商品化には至らなかった。</b><b>⑥</b><b>~</b><b>⑩</b><b>28</b><b>年に</b><b>3</b><b>種が商品化できる方向性となった。</b><b>S</b><b>社が加わることで急進展し商品化へ繋がった。学園祭で</b><b>5</b><b>種のサンプル試食会を行った。チョレギ</b><b>3</b><b>種の中では</b><b>57</b><b>%と嗜好度が高かったコチュジャン入りを商品化することになった。</b><br /><b>【まとめ】初回から</b><b>S</b><b>会社を加えた4者会議の重要性を感じた。互いへの情報提供を主にどこで行うか、メールを発信しても一方通行になる等、演習授業として進展する中で、どこが中心であるべきなのか戸惑った。利潤を追求し商売として展開する企業のあり方に対し、専門性を含め社会全般を教育する大学が中心となり、学生を主体とした情報発信が良い方向性をもたらしたのではないかと考える。本事業の体験から最も基本的なことであるが、何回も会議を開き連携を深めていくことが大切であることを学生は学んだ。</b>
著者
猪田 和代 宮原 葉子 仁後 亮介 吉岡 慶子 山本 亜衣 秋永 優子 楠瀬 千春 末田 和代 三成 由美 松隈 美紀 八尋 美希
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」では、全国に残されている特徴ある家庭料理について、聞き書き調査を通して地域の暮らしの背景とともに記録し、次世代に伝えることを目的としている。本研究では九州支部の調査で得られた家庭料理の中から特に「主菜」の特徴について検討した。<br>【方法】日本調理科学会特別研究の調査ガイドラインに基づき聞き書き調査を行った。調査地区は北九州地域(5名)、筑豊地域(2名)、福岡地域(9名)、筑後地域(9名)の4地域。調査期間は平成24年~25年度。対象者は昭和35年~45年当時の調理担当者とし、平均年齢は74.0±6.1歳であった。<br>【結果】日常の食事は質素で、主菜は野菜の煮物が主であった。朝食は主菜がなく、ご飯とみそ汁に漬物が添えられる程度であった。昼食も特に主菜はなく、残り物や漬物などで済ませていたが、夕食では肉類や魚介類と季節の野菜を煮て主菜とした。食材としては肉類では牛、豚肉はほとんど食べられず、鶏肉もハレの日には鶏一羽をつぶしてご馳走としてふるまうが、少量を味付けに使用していた。また、くじら肉は4地域で食べられ、特に筑豊の産炭地では塩くじらが好まれていた。魚貝類は玄界灘に面した福岡地域では新鮮な魚の煮つけ、塩焼き、県南の筑後地域は有明海の魚介を煮つけ、塩焼きとした。山間部では塩干品を、筑後川中流域では川魚を用いた。さらに、大豆・大豆製品は煮豆、豆腐、油揚が用いられていた。これらの主菜に加え、野菜は季節ごと食され、調理方法は煮物が主であった。特に少量の鶏肉を用い、野菜類と共に油で炒めて煮た「がめ煮」は4地区に共通してみられ、福岡県の歴史や生活の中から産み出された独自の調理法で広く伝承されていた。
著者
村田 玖美 松村 沙耶 升井 洋至
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】人が食事をするときの重要な因子としては,嗜好性,栄養性などが挙げられる。現在ではさらに健康志向により,各種の生体調節機能が食品に求められている。食後の急激な高血糖を防ぐ機能性因子を食品中から検索し,活用することは糖尿病の予防,そして治療に役立つと考えられる。本研究では,種々の野菜を用いて食後高血糖の上昇を抑制すると考えられている糖質分解酵素阻害物質と調理操作との関連性を明確にする基礎研究として検討した。<br>【方法】試料は,ショウガ,ニンニク,ニラ,ハクサイ,タマネギを対象とした。生鮮試料をみじん切り,ミキサー(Panasonic MJ-M32)等による摩砕抽出(蒸留水)を行った。抽出液を凍結乾燥(EYELA FDU-830)したものを抽出凍結試料とし,活性測定まで-80℃で保存した。糖質分解酵素の阻害活性はラット腸管アセトンパウダー(Sigma-Aldrich Japan)より調製した粗酵素液(α-グルコシダーゼ)を用い,スクロースを基質として分解活性の阻害を指標として測定を行った。さらにSephadexG-25(GEヘルスケア・ジャパン株式会社)により分画したものについても阻害活性測定を行った。<br>【結果】ニラ,ハクサイ抽出試料において,濃度依存的にラット腸管スクラーゼへの阻害活性がみられた。また,タマネギ抽出試料では阻害活性の傾向がみられた。ショウガ抽出試料はエタノール処理した画分で濃度依存的に阻害活性が見られた。ヒト腸管スクラーゼと相同性が高いとされているラット腸管スクラーゼに対して阻害活性が認められたニラ,ハクサイ,ショウガについては,ヒトの腸管内で作用する可能性が示唆される。SephadexG-25によるカラム分画では食材ごとに挙動の違いが見られ,阻害画分について現在検討中である。また,加熱操作処理による阻害活性についても検討中である。
著者
福永 祥子 武田 大造 寺澤 真由 升井 洋至
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2015

【目的】高齢者における咀嚼は,QOLに大きく影響を及ぼす要因であることが明らかとなっている。現在,高齢者の食事に関する物性の基準は,厚生労働省のえん下困難者用食品許可基準や日本介護食品協議会のユニバーサルデザインフード(UDF)の自主規格などがある。本研究では,実際に特別養護老人ホームで提供されている食事の物性を測定,これらの基準と比較し,高齢者向けの調理について検討することを目的とした。 <br>【方法】食事試料は,神戸市内の高齢者施設Fより提供を受けた(2012から2014年度)。施設におけるソフトA食:(歯ぐきでつぶせる硬さ,義歯に不具合のある人を対象),ソフトB食:(ソフトA食にあんをかけ,嚥下機能が低下した人を対象)の2種類を試料とした。調理品の物性の測定は,料理品の食材ごとに,山電レオナ―クリープメータ(RE2-3305B)を用いて,UDF等の基準に示されている方法に準じて実施した。なお,測定温度は20&plusmn;2℃または40&plusmn;2℃に統一して行った。 <br>【結果】硬さにおいて,ソフトA・B食ともに測定温度が高温(40℃)で基準内となる割合が高く,ソフトB食のほうがA食より高かった。この一因として,ソフトB食はA食のあんかけによる軟化方法であることがあげられる。低温(20℃)では,多くの食材が硬くなる傾向であった。食材の使用頻度から比較した場合,特に魚で大きな差が見られ,B食の方が軟らかかった。一方,A食の魚は,基準内にある割合が低かった。また,豆腐,ニンジン,ダイコン等の食材で基準を満たす割合が高く,その使用頻度が高かった。これらの食材を高頻度で使用することで,高齢者向けの食事を工夫して提供していると考えられた。
著者
高橋 秀子 岩根 敦子 菅原 悦子 魚住 惠 村元 美代 板垣 千尋 安部 恵
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.150, 2007

<BR><B>【目的】</B><BR> 近年は米の消費が低迷している。また、食品加工産業が発達し食材・調理品の購入が手軽になり、外食産業の浸透により外食の頻度も高くなった。米の摂取および調理に関する意識は、食品加工と外食産業の発達を受けて変化してきていることが予想される。岩手県の米の摂取と調理の現況を把握するためアンケート調査を実施した。<BR><B>【方法】</B><BR> 平成19年1月に調査を行った。岩手県内の大学1校と短大2校の学生、卒業生および学生の家庭の調理担当者を調査対象とした。調査内容は対象者の属性、米料理の嗜好および頻度、白飯の摂取状況、おにぎり・いなり寿司・炊き込みご飯・混ぜご飯およびちらし寿司の調理法、米に対する意識等であった。質問用紙を配布し、1ヶ月後に回収した。<BR><B>【結果】</B><BR> 回答者数は133であった。内訳は女性が130(97%)、40代が50(38%)、食事調理経験21~30年が64(48%)を占めた。最も好まれた米料理は白飯で123(92%)が好きと回答した。おにぎり・炊き込みご飯・ちらし寿司等多くの米料理が好まれ、好きが最も少ない米料理はおかゆ57(43%)であった。それぞれの米料理の最も高い摂取頻度は、白飯は毎日121(91%)、おにぎりは週に1回程度、炊き込みご飯と炒飯は月に1・2回、ちらし寿司、赤飯等の米料理は年に数回であった。朝・昼・夕の食事の米料理の摂取量はいずれも茶碗1杯が最も多かった。おにぎりの具材は、多かった順に、梅干し、鮭、こんぶ、かつおぶしであった。いなり寿司は、味付けの皮を購入し俵形に作っていた。炊き込みご飯の具材は人参、油揚げ、ごぼう、鶏肉、しいたけが多く、ほたて、うに、あわび、鮭等の魚介類もあった。回答者の多くは、米は日本人の主食であり、色々な料理にも合い、毎日米を食べたいと考えていた。
著者
北山 育子 真野 由紀子 中野 つえ子 安田 智子 今井 美和子 澤田 千晴 鎌倉 ミチ子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.155, 2007

<BR><B>【目的】</B><BR> 本学会東北・北海道支部課題研究として、青森県における米の利用状況を明らかにするために、摂取状況や調理法、米に対する意識調査等をした。また、津軽、南部地域の米の伝統料理を調べ、地域性を検討した。<BR><B>【方法】</B><BR> 津軽地域(弘前市中心)287名、南部地域(八戸市中心)112名の調理担当者を対象に自記式でアンケート調査を行った。質問紙には選択肢法と自由記述形式を取り入れ、調査期間は平成18年12月から平成19年1月までとした。<BR><B>【結果】</B><BR> 米料理の嗜好は高いものから、白飯、炊き込みご飯、にぎり鮨、炒飯の順であった。摂取頻度は白飯、おにぎり、炒飯が多く、リゾット、押し寿司は少なかった。調理状況では、家で作ることが多い料理はおにぎり、炊き込みご飯であり、行事への利用は正月、慶祝時に餅、赤飯、ちらし寿司、仏事では団子、おはぎが多かった。米料理の特徴として、おにぎりの具材に筋子を使用している人が60%と多いことや、残った白飯の利用でご飯もちが作られていた。また、いなり寿司や赤飯の味つけには砂糖を多く使用し、特に赤飯では砂糖を加えるが91%であった。米の入手先は自家栽培やもらうが目立ち、青森県が米作の主要産地であることが伺えた。また、銘柄では県産米を食べている人が85%と多く、郷土に対する愛着が感じられた。米についての意識調査では米は日本人の主食として大切であるとの考えがほとんどであったが、今後はさらに米に対する関心が低くなり、消費量が減ると考えている人も多かった。また、地域独特の料理を見ると、米作中心の食文化の津軽地域ではごまご飯、干し餅、しとぎ餅等もち米の使用が多く、畑作中心の南部地域では豆しとぎやイカめし等であった。
著者
菅原 久美子 和泉 眞喜子 宮下 ひろみ 中村 恵子 會田 久仁子 村上 知子 菊地 和美 北山 育子 真野 由紀子 松本 祥子 大野 智子 高橋 秀子 齋藤 寛子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.129, 2010

【目的】米利用の地域性および米消費減少の要因を探るために、東北・北海道地方における米の摂取・調理状況に関する調査を実施し、前報<SUP>1)</SUP>では米の嗜好、摂取頻度、米に対する意識等について報告した。本研究では、米飯と代表的な米料理の摂取・調理状況について、東北・北海道地方における特徴と地域性について比較検討した。【方法】前報<SUP>1)</SUP>、同様である。<BR>【結果】三食とも米飯を摂取する割合は、全体で46.6%であるが、各県・道別にみると山形県71.4%、北海道29.9%となり、一日の米飯回数には地域差がみられた。山形県では黒米、宮城県では五穀米の使用が多い特徴がある。また無洗米の使用経験は各県道ともに多く、認知度や利便性等が広く浸透していることが窺われた。残りご飯は炒飯、雑炊としての利用が最多であるが、焼きおにぎりへの利用には地域差がみられた。おにぎりの具材はいずれも鮭、梅干しが上位であるが、たらこは秋田・青森県、こんぶは青森・岩手・宮城県、かつおぶしは北海道で多かった。炊き込みご飯、混ぜご飯、ちらし寿司を作る割合は各々88.4%、75.7%、62.6%であり、炊き込みご飯は秋田県、混ぜご飯は福島県、ちらし寿司は岩手県で作る割合が多く、いずれの米料理も、具の調理状況と盛りつけ時の具の飾り方には地域的特徴がみられた。具材を種類別にみると、炊き込みご飯では山形県のいも類(しらたき、こんにゃく)ときのこ類、北海道の藻類(ひじき、海苔)と魚介類(ほたて貝、ほっき貝)、混ぜご飯では宮城県の鮭の出現率が高く、地域の特産物が多く利用されている状況が窺われた。<SUP>1)</SUP>日本調理科学会平成21年度大会研究発表要旨集、p.47(2009)
著者
橋爪 伸子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.18, pp.4, 2006

<BR>[目的] 牛蒡餅は今日和菓子として一般的なものではないが、江戸時代には寛永20年(1643)の『料理物語』を初め諸料理書に散見される。それによれば牛蒡餅は、糯米粉、粳米粉と煮熟した牛蒡を混ぜて作った生地を、揚げた後蜜または煎じ砂糖に浸けるという菓子である。この揚げて蜜に浸けるという特徴的な調理法は、日本古来の菓子には一般的ではなく、異国の菓子にみられることから、牛蒡餅の起源も伝来菓子の可能性がある。しかしながら、その由来についてはこれまで追求されてこなかった。そこで本報では、牛蒡餅の起源や実態について検討することを目的とする。<BR>[方法] 牛蒡餅の記述がみられる料理書、諸記録等による文献調査に加え、唯一牛蒡餅が現存する長崎県平戸で、製造業者へ聞き取り調査を行った。<BR>[結果] 牛蒡餅の起源と考えられる菓子は二つあり、いずれも江戸時代以前に伝来した異国の菓子で、揚げて蜜に浸けるものである。一つは南蛮菓子ひりょうずの根源とされる「フィリョス」、もう一つは朝鮮菓子「薬果」である。後者は日本では「くわすり」等と記され、安土桃山から江戸時代初頭にかけて饗応や茶会等で用いられた。<BR> 牛蒡餅の製法が収録されている主な料理書は、上記『料理物語』のほか、元禄2年(1689)の『合類日用料理指南抄』等比較的初期のもので、その後享保3年(1718)以降に刊行された『御前菓子秘伝抄』を初めとする菓子製法書にはみられないことより、この頃には次第に衰退の途にあったと考えられる。一方、元禄16年(1703)の『筑前国続風土記』では、牛蒡餅が筑前博多の土産にあげられていることから、牛蒡餅の消長には地域差があったことが考えられる。
著者
原田 和樹 小泉 武夫 永塚 規衣 長尾 慶子 數村 公子 前田 俊道 徳永 拓史 長谷川 喜朗 小川 伸也 岡村 英子 河村 幸恵 小俣 文登 金谷 節子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1089, 2009

<BR>【目的】我々は、咀嚼嚥下障害者食の抗酸化性について長年研究し、本学会で報告してきた。今回は、水産物由来で未利用資源であるナルトビエイに着目し、咀嚼嚥下障害者食を想定して調製した調理加工品が持つ抗酸化性を、多視点解析で行った結果を報告する。<BR>【方法】試料の形態は、煮こごり、魚醤、天日干し調味液漬けとし、試料が持つ抗酸化能の多視点解析は、ケミルミネッセンス(化学発光)法、電子スピン共鳴(ESR)法、米国農務省推奨のORAC法並びにHORAC法、また、好中球様分化細胞HL60の細胞内Caイオン濃度変化と活性酸素産生を蛍光・化学発光で同時に検出した結果から、シグナルトランスダクション経路をもとに作用機序の解析が可能である新しい次世代食品機能性評価法も用いた<SUP>1)</SUP>。それぞれの方法では、ペルオキシラジカル、ヒドロキシルラジカル、スーパーオキシドアニオン・ラジカルの消去活性能などを解析する事になる。<BR>【結果】ナルトビエイの煮こごり試料では、生肉と比較して、ORAC法では5.7倍、ESR法では6.7倍、抗酸化性が増大した。一方、ナルトビエイの肉を調味料の魚醤にすると、ORAC値の平均は、7271&micro;mol TE/100mlとなり、HORAC値の平均は、42981&micro;mol GAE/100mlとなった。なお、その時のESR法でのIC<SUB>50</SUB>値は平均0.08%であった。なお、次世代食品機能性評価法においては、従来知見を得ている単一成分の試料に対してばかりでなく、複合成分で構成されたこれら咀嚼嚥下障害者食材でも、解析が可能である事を見出した。<BR>1) 數村公子, 原田和樹, 前田俊道, 徳永拓史, 土屋広司: 日本食品科学工学会第56回大会講演集, 印刷中 (2009).
著者
脇田 美佳 前田 文子 濱田 陽子 高橋 恭子 瀬尾 弘子 福留 奈美 香西 みどり 畑江 敬子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.16, pp.17, 2004

[目的] 天丼、うな丼など丼物は古くから日本人になじみがある。また、近年多忙なサラリーマンや、手軽でおいしいものを求める若者のライフスタイルにマッチするためか、丼物のファーストフード店がブームである。本研究では丼物の種類や食材の種類、食べ方についての実態を知り、丼物が食生活の中で果たしている役割と新たな可能性を探るとともに、丼物と若者の食との関わりについて考察することを目的とした。<br>[方法] 全国の大学、短大等の学生及び職員に、1年間に家庭で食べた丼物・味付け飯についてアンケートを行った。調査期間は2003年10月から11月、1371名から回答を得た。<br>[結果] 家庭でよく食べられる丼物は親子丼、牛丼、カツ丼、天丼であり、これらについての地域差はほとんどなかった。また、親子丼、他人丼、そぼろ丼は手作りが多いのに対し、うな丼、牛丼、天丼、ビビンバなどは、調理済み食品あるいは半調理品の利用が多かった。ひとつの丼に材料として用いられる野菜は0から2種類、肉・魚・卵については1から2種類が多かった。丼物を家庭で食べるとき、22%の人は丼のみを食べ、丼に1品を添えて食べる人は44%で、添えられる品は汁物が多く、2品を添える人は26%で、汁物に加えて漬物・野菜・海草料理を食べる例が多かった。丼物を好きな人は82%、家庭で食べる頻度は月1から2回以上が66%であった。食べる理由は、好きだから、調理や後片づけが簡単という理由が多く、栄養的なバランスをとりやすいからという理由は少なかった。丼物は汁物や野菜料理等と組み合わせて食べることで栄養のバランスもとれ、また、手軽に楽しめることから、食事が偏りがちな若者の食生活改善にも有効である。
著者
大富 あき子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】九州南部に位置する鹿児島県は広大な海面を有し、都道府県別漁業生産量や生産額では上位に位置している。しかしながら、魚介類の消費量では最下位に近い位置で推移している。とはいえ、地域によっては魚介類を使った伝統料理が伝承されている。その一つがサメ類の身を茹でた志布志市のせんさらである。茹でたサメを食べる文化は他の地域にも見られるが、材料となるサメの種類や製法は必ずしも同じではない。そこで、志布志市のせんさらに用いられるサメの種類と伝統的な製法について調べた。<br><br>【方法】鹿児島県内の志布志漁協(2018年1月)、東串良漁協(2018年4月)、高山漁協(2018年4月)において聞き取り調査および水揚げ物調査を行った。また、2018年4月に志布志市内の鮮魚店Aにおいてせんさらに関する聞き取りを行うとともに、材料から製品が出来上がるまでの全過程を実演していただいた。<br><br>【結果】せんさらに使われるサメは皮のやわらかい全長1m未満の小型のもので、ドチザメ科のホシザメ、シロザメ、メジロザメ科のホウライザメ、ハナザメの若魚など、沿岸性の種が好まれることがわかった。盛期は春から夏で、特に毎年4月29日に開催されるお釈迦まつりには欠かせない伝統料理である。製法は、まず鍋に入る程度の大きさに切ったサメを湯通しして盾鱗を取り除き、皮付きのまま厚さ2㎝程度に切って流水にさらす。次に塩をまぶして一晩寝かせる過程が入るのが志布志市の伝統的製法である。塩を洗い流し、茹でた後に長時間流水にさらして塩分を抜き、皿に盛って酢みそで食べる。酢みそには、山椒の若葉をみじん切りにして加える。塩でしめることで、他の地域のものよりも歯ごたえのある食感となっている。