著者
橘 ゆかり 青山 佐喜子 川島 明子 川原﨑 淑子 千賀 靖子 三浦 加代子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】日本調理科学会特別研究である『次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理』において、1960~1970年頃までに定着していた家庭料理について聞き書き調査を行った。本研究では、主に和歌山県の家庭で伝承されてきたおやつと年中行事や季節の農産物との関係について報告する。<br />【方法】平成25年12月~27年3月に、和歌山県の12地域(橋本、那賀、和海、上富田、大塔、田辺、勝浦、太地、熊野川、有田川、由良、日高)で聞き書き調査を行った。調査対象者の平均年齢は72.3±6.3歳で、合計38名の女性の聞き書き調査を行った。また地域でまとめられた資料や文献の調査を行った。<br />【結果】和歌山県の家庭で伝承されてきたハレの日のおやつとしては、菱餅(雛祭り)、柏餅、ちまき(端午の節句)、だんご、おはぎ(お盆や月見)、亥の子餅、くるみ餅(秋祭り)、よもぎ餅(秋祭り、正月)などがある。ケの日のおやつとしては、かきもち、あられやせんべいなどの餅の加工品、ふなやき、しゃなもち、小麦餅(半夏生他)や蒸しパンなどの小麦粉を使ったおやつの他に、はったい粉(あんぼ)、さつまいものおやつ(焼きいも、蒸しいも、干しいもなど)、炒り豆や果物や果物の加工品が食べられていた。和歌山県のおやつの特徴の一つとしては、季節の農産物と深いかかわりがあると考えられる。亥の子餅は、亥の日の行事食として古くから各地で伝承されている。一般的に亥の子餅はもち米だけで作る地域が多いが、和歌山県の亥の子餅の材料は、もち米だけではなく秋に収穫した里芋を使用する。また、端午の節句の行事食である柏餅は、和歌山県では、柏餅を包む葉は柏の葉ではなくサンキライの葉を使う地域が多く見られた。
著者
成田 亮子 加藤 和子 長尾 慶子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.137, 2007

<BR><B>【目的】</B><BR> 3年前に行った女子大生の家庭での餅の摂取状況結果を基に、今回は特に鏡餅について取上げ、正月における家庭でのその現状把握と、"餅"に対する女子大生の意識とイメージ観を知るために詳細なアンケート調査を行った。<BR><B>【方法】</B><BR> 調査対象は、本学家政学部栄養学科並びに同短期大学部栄養科学生200名である。調査期間は、2007年4月から5月とした。<BR><B>【結果】</B><BR> (1)鏡餅について:正月に鏡餅を供える家庭は80%以上と、3年前の調査結果とはあまり差がなかった。「供える場所は何か所か」については、1か所との回答が65%と多く、供える場所はリビングが多かった。「複数ヶ所供える」との回答では、供える場所は、トイレ・神棚・仏壇がみられた。鏡餅の種類としては、真空パックの鏡餅を供えている家庭が約80%と多くみられ、杵と臼・家庭用電気製品で搗くなど、家庭で餅を作ることが少なくなっていた。そのために、「飾り方」は大小の丸い餅を重ね、ダイダイやユズリハ、昆布、裏白の葉などで飾る伝統的な体裁であっても、真空パック鏡餅についている飾りを用いるという回答となっていた。供えない家庭の理由としては、面倒である・餅を食さないからもったいないであり、鏡餅を知らないという回答もわずかながらみられた。<BR>(2)餅に対する嗜好とイメージ:女子大生の餅に対するイメージとして、素朴、煮るよりは焼く、白くてもちもちとした食感、常備食としてよりは行事食が頻出していた。これらのイメージを回答した学生のほとんどが餅を好んでいた。餅を嫌いと回答した学生のイメージとしては、飲みこみにくい、ねちねち、太る、など好ましくない表現がみられた。
著者
関本 美貴 大橋 きょう子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.28, 2016

【目的】演者らは先に、大正末期から昭和初期におけるジャガイモ調理の実態を調査し、農村部ではジャガイモが里芋の代替として広く和風料理の材料に用いられていたことを報告した。本研究では東京近郊の一農村を取り上げ、近現代における都市近郊農村の食生活の実態、およびその変化と要因について、イモ類を中心に検討することを目的とした。 【方法】調査対象地域は、旧神奈川県都筑郡中川村周辺(現横浜市都筑区・港北区の一部)とした。明治後期の食生活の実態を知る資料として「中川村村是報告書」、大正期~昭和40年代の実態を知る資料として「港北ニュータウン地域内歴史民俗調査報告(7巻)」を用いた。両資料よりイモ類の入手方法・調理法・料理に期待する事柄、および食事全般の内容・材料を精査し、これらに関与する地勢、交通、農業、流通等についても調査した。 【結果】①ジャガイモは明治後期にはまだ新しい作物であり、単独で小昼等に食べられていた。大正期以降には一般的な自給作物となり日常の煮物や汁物の材料に用いられていた。両資料ともに洋風料理は出現しなかった。一方里芋は明治後期から常に一定量が栽培され、晴れ食に欠かせない食品として行事の際食べられていた。両者の位置づけには明確な差が見られた。②明治後期、当該地域では麦混合飯と野菜類を中心とした自給自足の食生活が営まれていた。大正以降はさまざまな園芸作物を東京・横浜方面に出荷し、得られた現金収入をだし素材や魚、ごくたまに肉類等の購入に充てていた。しかし食事の内容は明治後期から大きな変化はなく、麦混合飯が昭和30年代まで食べられていた。 一農村の約60年の食生活を調査するなかで、ジャガイモが新しい食品から日常の和風料理の材料へと浸透していく過程を確認することができた。この結果は先の調査結果を裏付ける知見のひとつと考える。
著者
石川 伸一 吉成 愛未 濟渡 久美
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】<br><br>低温調理は食材を一般的な調理温度より低い55℃~90℃程度の温度帯でじっくり加熱する調理法である。長時間加熱することで軟らかくなり,また真空包装して調理することにより様々な長所を有する。近年この真空低温調理が注目され,種々の食事提供の場で幅広く活用されているが,長時間調理の報告はほとんどされていない。そこで,真空低温調理によるリンゴへの長時間加熱の影響を検討することを目的とした。<br><br>【方法】<br><br>リンゴは8等分にし、30%濃度のシロップを添加後、真空パックし、それぞれ60,70,80,90℃の湯浴中で1,12,24,48時間加熱調理し、色差測定とテクスチャー測定を行った。70℃で加熱したリンゴを用いて,18歳~23歳の男女66名をパネラーとした官能評価を行った。「かたさ」「甘さ」「酸味」「香り」「色」「総合評価」の6項目をそれぞれ7段階評価で行った。<br><br>【結果】<br><br>色差測定では60℃調理と70℃12,24時間のサンプル間を除いたほとんどのサンプル間で,同じ温度条件で時間経過に伴い明度が有意に低下した。加熱時間が長くなるほど,褐変が進行すると考えられる。テクスチャー測定では70℃サンプルでは時間の経過に伴い有意にかたさの値が減少した。70℃調理では調理時間が長くなるほどペクチンの分解が進むと考えられる。官能評価では,理化学試験の結果と同様に,硬さと色は時間の経過とともに値が有意に減少した。しかし,甘さ,酸味に関して,理化学試験ではみられなかった有意差がみられた。
著者
山岸 好子 立屋敷 かおる 今泉 和彦
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.15, pp.115, 2003

<B>【目的】</B>小・中学生の箸の持ち方は、個人差が大きいこと、多様性があること、伝統的に正しいとされる持ち方(くの字持ち)が少ないこと、が知られている。一方、箸の持ち方と類似している字を書く際の鉛筆の持ち方にも多様性のあることが知られているが、それらの実態については十分明確にされていない。そこで、私達は現在の小・中学生における箸と鉛筆の各々の持ち方をしらべ、さらにそれらの持ち方の関連性を明らかにするため検討した。<BR><B>【方法】</B>公立の小学校2年生(小2)、5年生(小5)および中学校2年生(中2)の計160名を対象とし、給食時の箸の持ち方、平仮名をなぞる時の鉛筆の持ち方をDigital video cameraで撮影した。対象者の各動作を分析した後、各自の箸と鉛筆の各持ち方を類型化した。箸と鉛筆の各持ち方のパターンの人数とその割合を学年別、性別および対象者全体で比較・検討した。さらに、箸の持ち方と鉛筆の持ち方との関連性をしらべた。<BR><B>【結果】</B>箸がくの字持ちと判定された割合は、小2で約11%、小5で約26%、中2で約35%であり、学年が高くなると共に明らかに増加した。一方、鉛筆の正しいとされる持ち方(普通持ち)は学年に関係なく約42%であった。また、各学年共に鉛筆の普通持ちと判定された割合は箸のくの字持ちの割合より高く、全対象者における正しいとされる持ち方は箸が鉛筆の約1/2であった。また、箸と鉛筆が共に正しいとされる持ち方と判定された割合は、中2が小2および小5に比べて約3倍高かった。以上の結果から、箸の持ち方は鉛筆の持ち方より遅れて確立される可能性、および箸の持ち方がくの字持ちへと変化するのは小学校高学年から中学生であることが示唆された。
著者
杉山 寿美 水尾 和雅 今岡 麻奈美 都留 理恵子 水馬 義輝
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1080, 2009

<BR>【緒言】近年,電磁調理器(IH)による調理が増加している。これまでに,IH加熱が鍋底からの加熱のみであるのに対してガス加熱では鍋側面からも加熱されること,入熱量が同じ場合にはIH加熱の対流速度が速いことが示されている。このことはガス加熱とIH加熱で料理の仕上がりが異なることを推察させる。本研究ではぶり大根をモデルとして煮熟調理時の影響を検討した。<BR>【方法】大根は中央部を2cmの輪切りにし,NaClの浸透量・破断強度の測定用にはその中央から1辺が2cmの立方体を,官能検査用には半月切りを調製した。加熱機器はIH加熱はリンナイ製RHS71WG7V,ガス加熱はナショナル製KZ-VSW33Dを用いた。ステンレス製鍋を用いて,ぶりの煮汁中で10-40分加熱した。加熱条件はIH加熱時と鍋への入熱量が同じになるようガス加熱(ガス量を調節)したもの,あるいは,IH加熱と煮汁のゆれ具合が同じになるようガス加熱したものとし,それぞれ強火,中火で加熱開始した。官能検査は訓練された管理栄養士課程の大学生をパネルとし,20分加熱した大根を試料とした。<BR>【結果】強火で入熱量が同じ場合はIH加熱で,中火で煮汁のゆれ具合が同じ場合はガス加熱で,NaClの浸透量が多く破断強度が低く,破断強度の低さとNaClの浸透量が関係していることが示唆された。一方,官能検査の結果、強火で入熱量が同じ場合にIH加熱が「軟らかい・味の浸み込みがよい」と判断されなかった。また,鍋内の加熱では内部より表面部で破断強度が低くビーカー内加熱とは異なっていた。これらのことから,対流速度の破断強度への影響が示唆され,IH加熱とガス加熱で料理の仕上がりが異なることが示された。
著者
河北 雄一郎 新居 早也佳 橋本 博子 永谷 基浩 村井 一人 竹田 博幸
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2015

【目的】国立循環器病研究センターの減塩食「かるしおレシピ」は素材のうま味を引き出す京料理の考え方をベースとして、美味しく食べられるように工夫されている。レシピの基本はだし汁1.3Lに淡口醬油50ml、砂糖30g、塩6gを合わせた八方だしで、煮物から下茹でなど様々な調理に利用できる。一般的な八方だしには淡口醤油が多用されるが、かるしお八方だしにも淡口醤油が必須の調味料として使用されている。そこで本研究では、かるしお八方だしに淡口醤油を使う意義を解明することを目的とした。【方法】減塩調理に醤油が及ぼす影響を評価するため、淡口醤油と濃口醤油各々で調製した八方だしで、長芋の煮物、大根とうす揚げの煮物、ぶり大根、鯛の煮付け、治部煮、筑前煮を同条件で調理し、SD法による官能評価を行った。既に我々は塩味とだし風味について、淡口醤油中の方が濃口醤油中に比べ低い濃度で識別できることを報告してきたが、甘味は検討できていなかったため、本報告では甘味を識別できる濃度を調査した。淡口醤油と濃口醤油を用いてうどんだしを調製し、砂糖濃度1%を中心としてその濃度差を変えて2点識別試験片側検定にて甘味の閾値を比較した。【結果】減塩調理時の官能評価では全てのメニューで淡口醬油が濃口醤油よりも「素材の味が生きる」項目で有意差が見られた(P<0.001)。また、淡口醤油では砂糖濃度1%と1.25%の差を有意水準0.1%で識別できたが、濃口醤油では識別できなかった。以上より、淡口醤油は、塩味やだし風味に加えて、甘味を感じやすいことが明らかとなり、素材の味を引き立て、料理を低塩で美味しく仕上げることができる点で、かるしお八方だしに必須であることが示唆された。
著者
深井 康子 守田 律子 原田 澄子 稗苗 智恵子 中根 一恵
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】富山県に伝承されている家庭料理のなかで、主菜の特徴を明らかにすることを目的とした。<br>【方法】平成26~29年度に県内の6地区(朝日町、黒部市、滑川市、富山市、射水市、氷見市)で60歳代~70歳代のとやま食の 匠・伝承の匠の認定者及び食生活改善普及員の女性6名を対象に、昭和30年~40年代から作られていた家庭料理について聞き書き調査を行った。調査した料理から主菜に分類されるものを抽出した。また富山県の食文化関連の書籍や文献等を参考に、上記以外の主菜を検索し、主菜の特徴をまとめた。<br>【結果】富山県の主菜は、四季を通じて食べられる豊富な魚料理が特徴である。富山湾は、温暖な対馬海流と立山連峰からの伏流水が流れ込むため、水温が1~2度と低く、海洋深層水が層をなしている。海底には魚の餌となるプランクトンが豊富にあるため、魚種が豊富である。3月~5月が旬の滑川漁港で水揚げされる「ホタルイカ」は刺身、酢味噌和えにした。4月から11月には新湊漁港で獲れる「白えび」は干したり、から揚げや大門素麺のだしのつゆに用いた。かき揚げで食べるようになったのは20年ほど前からである。通年漁獲される「バイガイ」は旨煮にして、日常や正月に食べた。県内全域では魚の保存と昆布のうま味を生かした昆布じめを作った。昆布に魚を挟んだ独特の昆布料理で先人の知恵により受け継がれてきた。県境に近い宮崎海岸では「すけそう鱈」でたら汁にした。「真鱈」は昆布じめにしたあと、味付けした真子を和えて子付けにして日常や正月に食した。鱈は干し鱈として長期保存し、棒鱈の甘煮にした。氷見漁港で獲れる「ぶり」は刺身、ぶり大根にした。日常によく食べる「いわし」は酢を入れて醤油で煮たり、すり潰してすりみにして味噌汁にした。大衆魚の「イカ」は刺身、イカの鉄砲焼き、里芋とイカの煮物にしてよく調理した。
著者
安部 恵 板垣 千尋 鈴木 惇 山田 正子 中澤 勇二 伊藤 晋治
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.18, pp.183, 2006

目的: ブルーチーズには、複屈折性を示す結晶状の構造が、タンパク質の基質および脂肪球に存在する。カビの増殖した部位と結晶の分布状態および結晶構造に脂肪酸が係わるかを確かめるために、この実験を行った。<BR>材料: ロックフォール、ブルーデコース、スティルトンおよびゴルゴンゾーラを用いた。組織化学的方法によりカビと脂肪酸を染色して、カビと脂肪酸の分布を調べた。結晶の分布を偏光装置を用いて調べた。<BR>結果: これらのブルーチーズでは、多くの脂肪は複屈折性を示す結晶性の構造物が脂肪内にあった。また、タンパク質の基質に複屈折性を示す結晶が存在した。基質に分布する複屈折性を示す小さい結晶は、スティルトンが最も多く、次にロックフォールで、ブルーデコース、ゴルゴンゾーラの順に少なかった。これらのブルーチーズには、大きな結晶の集積および不定形をした結晶の塊が、カビが増殖した部位およびその近くに分布していた。大きな結晶の塊は、ロックフォールで多く、ブルーデコースおよびゴルゴンゾーラで少なく、スティルトンでは非常に少なかった。基質に分布する結晶および脂肪の一部は、脂肪酸の染色に染まり、脂肪酸が存在した。脂肪酸は結晶を構成する一成分となっていた。染色された部位の大きさと染色の強さによる脂肪酸の分布は、スティルトンで最も多く、ロックフォール、ブルーデコース、ゴルゴンゾーラの順に少なかった。
著者
奥本 牧子 畑江 敬子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1083, 2009

<BR>【目的】 煮物の味は冷めるときに染み込む、と一般にいわれているが、それを確かめるために実験を行なった。前報では、3種の食品を1% NaCl溶液中で加熱し、温度降下速度をかえて、一定温度で保温し、食品中の食塩の濃度を測定した。その結果、温度が高いほど食品中のNaCl濃度は高く、冷めるときに味が染み込むということは確認出来なかった。そこで、さらに温度降下条件を急速にし、煮汁の温度が冷めるときに味が染み込むかどうか確かめることを目的とした。さらにソレー効果との関係を考察した。 <BR>【方法】 試料として前報同様ジャガイモ、ダイコン、コンニャクを用い、一辺2cmの立方体に成型し1% NaCl溶液中で一定条件で加熱した後、とりだして、予め、0,30,50,80,95℃に設定した1% NaCl溶液に移し、5,10,30分後に取り出し、前報同様に内層(表面より3mm内側)と外層(表面より3mmまで)に分けて、イオンメーターでClイオンを測定し、NaCl濃度を算出した。<BR>【結果】 いずれの場合においても高温に保った方がNaCl濃度は高い傾向にあった。今回の実験でも冷めるときに味が染み込むことは確認出来なかった。ソレー効果は温度が定常状態の場合に液体中のNaCl濃度が移動するという現象で、濃度によって温度は異なるが、ある特定の温度(海水程度では12℃)を境にしてNaClは高温側から低温側、あるいは低温側から高温側に移動するという現象で、煮物の味の染み込みを説明するには無理があるのではないかと考えられる。
著者
洪許 于絹 石井 克枝
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.15, pp.9, 2003

【目的】台湾の家庭では薬膳スープを作り、食されている。四物湯はその中でもよく作られているスープである。本研究は台湾の家庭の調理方法により、加熱時間による呈味と呈味成分の変化を調べるともに、日本人を対象に嗜好調査を行った。<br>【方法】生薬は台湾の漢方専門店で購入し、鶏肉は市販手羽元を用いた。四物湯の調製は鶏肉480gと生薬(当帰・熟地・川芎・芍薬)47gと純水1150ml(台湾ではこの1/3量を使用するのが一般的)を加えて加熱した。加熱時間は30、45、60、90分とした。加熱には「大同電鍋」(間接釜式の電気炊飯器)を用いた。スープは加熱終了後1000mlに定容した。呈味成分の測定試料は一定量のスープを同量のn-ヘキサンで脱脂し、終濃度80%のエタノールで除タンパク後、減圧蒸留した。呈味成分はIMP、イノシン、ヒポキサンチン(HPLC)、還元糖(ソモギ・ネルソン法)、乳酸(酵素法)、タンパク質(Lowry法)を測定し、さらに、スープの官能検査(2点識別・嗜好法変法)を行った。<br>【結果】IMPは45分のスープにもっとも多く含まれ、タンパク 質や還元糖は90分のスープで多く、乳酸は60、90分で多い傾向がみられた。呈味成分全体としてみると、60分スープの量がもっとも多かった。官能検査では45分のスープを基本として比較した。30分はうま味やこくがなく、60分はうま味やこくが弱い傾向であったが有意差はなく、90分はうま味やこくが少なく好ましくないと評価された。官能検査では、45分のスープが最もおいしいと評価された。台湾の家庭では加熱時間を経験的におよそ1時間としており、その加熱時間の妥当性が明らかになった。
著者
大迫 早苗 永島 伸浩
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.18, pp.84, 2006

【目的】新食料資源として注目されているキヌアは、アカザ科に属する1年草の植物でたんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維などに富み、アレルギーを起こしにくい食品の1つとして知られている。最近 クッキー、ケーキ、シリアル、醤油など加工食品として利用されているが、まだまだ利用率は低い。そこで前報では、キヌアの調理への利用として餅にキヌア粒および粉末を添加することに試みた。さらに利用を拡大するためにキヌアの配合割合を変えて各々の違いがパンの性状および食味特性におよぼす影響について検討した。<br>【方法】材料として強力粉、キヌア粒・粉末を用い、ナショナルホームべーカーリーSD-BT102の基本配合割合でパンを調製した。キヌアの添加量は強力粉の10、20および30%とした。生地比重、焼成後のパンの高さ、比容積、断面組織の観察、表面と断面の色(日本電色工業ZE2000)、水分含量を測定し、テクスチャーは(山電製RE-33005)硬さ、凝集性について測定した。また焼成後のパンの経時変化による硬化度についても調べた。官能評価は外観、色、味、風味、きめ、硬さ、弾力などについて行った。<br>【結果】生地の比重はキヌアの添加量が増加するとともに大きくなり、比容積は20%を過ぎると小さくなった。硬さはキヌアの添加量の増加とともに硬くなった。断面組織の観察ではキヌア添加のものにきめの粗さが認められた。表面の色は添加量とともに濃くなる傾向が見られた。官能評価では、キヌア無添加と10%添加のものは香りもよくきめが細かく、弾力性があったことより好まれた。20%添加からはキヌア特有のにおいが強くなった。また 粉末添加より粒添加のキヌアパンのほうか評価が良かった。
著者
千田 麻美子 川野 亜紀 高橋 智子 大越 ひろ
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.15, pp.4, 2003

【目的】 リゾットはイタリアの米料理であるが、そのテクスチャーとおいしさに関する報告はほとんど見られない。そこで、本研究ではリゾットのテクスチャーとおいしさに及ぼす米品種の影響について検討した。【方法】 日本米(Aこしひかり)およびイタリア米3種(Bウ゛ィアローネナノ,Cカルナローニ,Dアルボーリオ)の計4種を材料として用いた。調製方法は日本イタリア料理協会会員を対象に行ったアンケート調査を参考に、実験室レベルで調製可能なモデルを検討した。リゾットのテクスチャーとしては、調製後30分までの変化について、リゾット全体(全粒法)のテクスチャー特性の硬さ,凝集性,付着エネルギーおよび、米粒一粒あたり(一粒法)の破断荷重を測定した。また、シェッフェの一対比較芳賀変法を用い、調製後のリゾットについて、かたさ、存在感、べたつき感、好ましさの4項目について評価してもらった。【結果】 4種の米を用いたリゾットは、いずれも調製直後から経時的に、テクスチャー特性の硬さは増加傾向を示し、米一粒の破断荷重はやや減少傾向を示した。付着エネルギーは放置時間に伴い4試料とも増加傾向を示したが、Aこしひかりを用いたリゾットが他のイタリア米3種のものより大となった。しかし、Dアルボーリオを用いたリゾットは他のイタリア米のものより付着エネルギーの増加が顕著であった。官能検査の結果、AこしひかりとCカルナローニで調製したリゾットが好まれた。
著者
辰口 直子 大 雅世
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

<目的>温泉卵を作る際の加熱温度は、一般に65~70℃といわれている。本研究では加熱到達温度と時間経過が凝固状態に与える影響を明らかにし、好みの温泉卵を作る加熱条件を明らかにすることを目的とした。到達温度65℃、68℃、70℃における凝固状態を確認し、その温度をそのまま保った場合の経時変化を測定した。<br /><br /><方法>恒温槽を用い、水温65℃、68℃、70℃に設定し、卵をいれて中心が設定温度になるまで加熱し、その後所定の時間保持した。卵は市販の物を購入して用いた。水温、卵中心温度は熱電対で測定した。加熱後の卵を割卵し、形状(長径、短径等の大きさ)と、TEXTURE PROFILE UNIT卓上型物性測定器(YAMADEN TPU-2S)を用いテクスチャー(破断強度、凝集性、付着性)を測定した。<br /><br /><結果>所定の温度に達した時点の凝固状態を確認した。この温度に一定時間保持した場合の変化は、卵白の凝固は65℃では変化はないが、68℃、70℃では時間経過によって、卵白では水溶状態の減少傾向がみられた。卵黄は65℃、68℃では保持時間が長くなると形状が変化し、高さが増す傾向にあったが、70℃では大きな差はみられなかった。到達温度と各温度での保持時間での、卵白と卵黄の凝固状態が明らかになったので、これらの結果を利用して好みの成績を得るための操作の指標のためのデータが得られた。
著者
川村 昭子 請田 芳恵 粟津原 理恵 新澤 祥恵 中村 喜代美 嶋田 靖子 張江 和子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.20, pp.146, 2008

<BR> 【目的】<BR> 2003~4年にかけて、石川県を金沢を中心に南部の加賀、北部の能登の三地域に区分して、調査を行った特別研究「調理文化の地域性と調理科学-魚介類の調理-」より、今回は、調理法で最も一般的な「生・煮る・焼く」をとりあげ、三地域において出現している魚介類との比較検討を行った。<BR>【方法】<BR> 出現料理7389件(金沢2598件、加賀846件、能登3945件)を調理法別に分類し、「なま物・煮物・焼き物」の調理法に用いられている魚介類をとりあげ検討した。<BR>【結果】<BR> 「なま物・煮物・焼き物」の三調理法で全調理法の77.0%を占めていた。地域別にみると、金沢、加賀、能登の順に高くなり、金沢はこの三調理法以外の調理法が多かった。出現率は煮物、なま物、焼き物の順に高かった。地域別にみると、金沢・加賀は同様の結果であったが能登は、煮物、焼き物、なま物の順であった。年齢別では、なま物は40~70代、特に60代が多く20・30代は少なかった。煮物は各年齢にあまり差がみられないが50・60代が多く、焼き物は20・30代に多く出現していた。三調理法に出現していた魚介類は85種で、なま物は63種、煮物は67種、焼き物は67種であり、そのうち46種が三調理法すべてに出現していた。なま物では、金沢のタラ、ホタルイカ、マグロ、加賀のホッケ、キス、能登のトビウオ、スズキ、煮物では、金沢のサワラ(カジキマグロ)、フグ、加賀のエイ、カワハギ、能登のタコ、焼き物では、金沢のドジョウ、ホッケ、マス、ムツ、加賀のカマス、カレイ、サケ、サンマ、能登のイワシ、タチウオ、タラ、ニギス、メバルなどに出現率に差がみられ、出現料理にも行事に用いられるものもあり差異がみられた。
著者
篠原 久枝 長野 宏子 磯部 由香 秋永 優子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】日本調理科学会特別研究平成24~25年度「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」の聞き書き調査を元に,宮崎県の家庭料理の主菜の特徴を明らかにすることである。<br>【方法】平成24~26年度に県内の8地区11ヶ所の昭和2年~昭和22年生の女性35人を対象に,昭和30~40年代から作られていた家庭料理について聞き書き調査を行い,主菜に分類される料理を抽出し特徴について検討した。<br>【結果】昭和30~40年代は、多くの農家の庭先で鶏が飼われていたが、卵は貴重品であり生で食したり、卵焼きにして弁当のおかずとした。正月や祭り、屋根の吹き替えなどの行事がある時には、鶏をつぶして刺身や煮物、すき焼きにして食された。大ばらし(足分け)までは男性の仕事であった。北部山間部では、豚一匹を使った料理(諸塚村)やアシナガやキイロなどの蜂の子を使った料理(五ヶ瀬町)も見られた。魚介類は地域差が見られ、北部沿岸部(延岡市)では、ぐち、いか、鰯、アジなどが多くとれ、日々の食事に魚を切らすことはなかった。内陸部や山間部では、昭和30年代までは、塩をしていない魚(無塩)は滅多に手に入らず、塩イワシやイワシの丸干しが食されていた。北諸県地区(都城市)では、イワシの丸干しをてんぷらにした「魚んてんぷら」が運動会や田植えのさのぼりの時のご馳走であった。南那珂地区(日南市)ではイワシのすり身に豆腐と黒砂糖を合わせて揚げた「飫肥のてんぷら」が冠婚葬祭の時に食されていた。豆腐は各家庭で作られていたが、東臼杵南部の椎葉村では、焼畑で栽培した大豆を使って、平家カブの葉や藤の花を入れた「菜豆腐」が作られていた。以上より、ひなたの海幸・山幸を活かした主菜が各地区でみられた。
著者
長屋 郁子 小川 宣子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.17, pp.170, 2005

<br><B>目的:</B>日常から地域性を意識した食事をすることで伝統的な日本型食生活が継承され、心が満たされる食生活につながるのではないかと考える。そこで本研究では、地域における伝統的な食生活を把握するため、地域産物や旬の食材を活用した伝統食の伝承が岐阜県の中でも比較的残っている飛騨地域の日常食の特性を調べることを目的とした。<BR><B>方法:</B>調査は地域の特性を地域産物や伝統食の食材料及び調理方法から明らかにするため、日本の伝統的な日常食であるごはん、大豆料理、漬物をとりあげ、飛騨地域の特徴を調べた。調査対象は、飛騨地域の中でも最北部にあり鉱山で発展してきた神岡町の65歳から80歳の男女18名と、北西部に位置し12月から2月にかけての平均気温が神岡町の0.8℃に比べて-0.2℃と低い農山地である白川村の40歳から73歳の男女14名に聞き取り調査を行った。大豆料理は、比較として県庁所在地のある岐阜地域の女性12名にも聞き取り調査を実施した。<BR><B>結果:</B>白川村では日常食のごはんに近隣の山の産物を加えることが多く、栗飯、山菜おこわを食べる家庭がいずれも29%あり、これらは神岡町では食べられていなかった。飛騨地域の大豆料理には、朴葉にのせて焼く朴葉味噌、すがたつまで茹で水分が少ないため保存性が優れているこも豆腐、豆乳を利用したすったて汁といった岐阜地域ではみられない地域特有の調理方法があった。日常的に食べられている漬物は、野菜を切ってから塩で漬ける切り漬が神岡町67%、白川村28%と多かった。また漬物の利用方法として、古くなった切り漬を加熱調理し、煮たくもじや漬物ステーキとして食べる家庭が白川村では神岡町に比べて多く、冬季に漬物を温かくして食べる工夫がみられた。
著者
山田 加奈子 島本 国一 白 ろ 宮崎 直人 吉元 寧 松枝 博明 川邊 清隆 西田 毅 松田 寛子 白井 隆明
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】我々は、カボチャの主要品種である「えびす」のでん粉が果実内で急速に糖化し、食味が変化することを報告している。近年、消費者志向の変化をうけて、粉質感が強い品種の栽培が増えている。8品種のカボチャの貯蔵中の成分変化および嗜好評価をおこない、品種の特性を明らかにすることを目的とした。<br>【方法】北海道の同一圃場で収穫された5品種(えびす、北渡交4号、雪化粧、ジェジェJ、TC2A)および産地より調達した収穫日が既知の3品種(くりゆたか、くり将軍、プリメラ115)のカボチャをそれぞれ10℃および常温で貯蔵したものを試料として用いた。各試料について、収穫直後、1ヶ月または2ヶ月後の固形量や遊離糖組成を分析し、でん粉を抽出してラピッド・ビスコ・アナライザー(RVA)粘度特性などを測定した。また、各貯蔵期間における全ての試料を用い、カット後に蒸煮し冷凍貯蔵した試料を解凍して「パンプキンサラダ」を調製し官能評価をおこなった。<br>【結果】固形量は、経時的に減少し、でん粉の分解と呼吸により水分が増加したと考えられる。一方の遊離糖は、経時的に増加したが、還元糖とショ糖が同時に増加する「えびす」型と還元糖の増加が少なくショ糖を増加する「北渡交4号」型の2タイプが見られた。<br> 抽出でん粉の6%RVA粘度は、「えびす」では、貯蔵により粘度が低下したが、他の品種では、特有の粘度特性を持つが、貯蔵中の変化が小さかった。サラダの嗜好では、貯蔵と共に糖化が進んだ甘いだけ品種よりも、硬さや甘さのバランスが取れた品種の方が評価が高い傾向にあった。
著者
柘植 光代 大越 ひろ
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2015

<br><br>【目的】山梨県の2地域について、伝統的な家庭料理の特徴を把握すること及び地域住民が次世代に伝え継ぎたいと考えている料理を明らかにする目的で、生活基盤となる暮らし及び家庭料理の過去と現在の状況について聞き書きとアンケート調査を行った。<br><br>【方法】日本調理科学会特別研究の調査ガイドラインに基づき、2013年と2014年に聞き書き調査を行い、同時にアンケート調査も実施した。南アルプス市(峡西地域)と南部町(峡南地域)に30年以上居住し、家庭の食事作りに携わった16人の女性を調査対象者とした。食料の生産方法と加工・保存方法、日常食と行事食、食の思い出や伝え継ぎたい料理について調査した。<br><br>【結果】南アルプス市は盆地特有の内陸性気候で扇状地であるため米作には不適であるが、日照時間が長いことを活かして、現在は果樹栽培が盛んである。昭和30年代は、主食として米の補食用に麦飯やほうとうを1日1食は作り、副食は野菜、豆、卵、川魚を食べ、菓子、味噌、醤油、菜種油も自家製であった。日常食ではかぼちゃを使った「おしくじり」、行事食としては各種の餅、太巻き寿司、「みみほうとう」、「やこめ」が次世代に伝えたい料理として挙げられた。南部町は静岡県に隣接した県最南端部に位置する。温暖多雨の気候を活かして、茶、たけのこ、生姜等が特産である。昭和30年代は、主食には粉物も利用し、副食には干し魚、野菜を使い、野菜やいもの乾燥品や漬物、味噌、醤油、菜種油も自家製であった。行事食として灌仏会の「おしゃかこごり」、田植えの「新じゃがと真竹の煮物」等を料理した。伝え継ぎたい料理として、特産品を活かした「富沢こわめし」、たけのこの煮物、生姜の佃煮や天ぷら等が挙げられた。
著者
北山 育子 真野 由紀子 中野 つえ子 安田 智子 今井 美和子 澤田 千晴 下山 春香 鎌倉 ミチ子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.20, pp.162, 2008

<BR> 【目的】<BR> 前報では地域性のある米の伝統料理が以前ほど家庭や地域に伝わっていないことを報告した。その伝統料理の伝承をたやさないために、今回は津軽地域と南部地域に伝わる米料理の調理方法や伝承の仕方などを調査した。<BR> 【方法】<BR> 平成18年12月~平成19年1月に青森県在住の調理担当者399人(40~50才代が79.7%)を対象に選択肢法と自記式でアンケート調査を行った。その中から家庭や地域に伝わる米料理についてまとめた。<BR> 【結果】<BR> 津軽地域は津軽平野を有した米作地帯であり、豊富にとれるうるち米のほかに、もち米や米粉を使用した米料理が作られていた。一例としてはうるち米ともち米を使い、たっぷりの砂糖を入れた太巻き寿司、米粉と砂糖を練ってかまぼこ形にしたお菓子のうんぺいなどがあった。干し餅は寒さの厳しい冬に寒気を利用して切り餅を乾かして作られるこの地方独特のものである。また、沿岸地方ではコンブの若芽で包んだ若生(わかおい)おにぎりなどがあった。南部地域はヤマセのために稲作に厳しい土地柄で、昭和の中頃までは雑穀や粉食が多かった。そのため、米の不足を補うためにかぼちゃを加えて食されていたかぼちゃ粥が今も作られていた。また、ウニやアワビを使った炊き込みご飯や茹でた長芋とごはんを混ぜた味噌餅などがあった。カワラケツメイ(マメ科の一年草)を乾燥して作るお茶を使った茶粥は上北郡野辺地町独特の料理である。米料理の多くは母親、祖母、義母(姑)から教わっており、家庭における世代間で伝承されていた。その他に地元や近所の人など、地域の交流が伝統料理の伝承の場として大切になってきている。