著者
平川 善之 隈本 健 釜谷 幸児 野原 英樹 安田 和弘 津本 要 山崎 登志也 元尾 篤 牛島 幸治 北川 智子 蓮尾 幸太
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.C0845, 2004

【はじめに】腹筋群の緊張による腹圧の維持・増強は、体幹・腰部のみならず四肢の運動機能に重要である。実際臨床場面でも、腰部・四肢の障害側と一致した腹圧の左右差が問題となる症例は多い。Richardsonらは腹横筋の収縮による腹部引き込み動作が腹圧の向上に影響するとし、圧バイオフィードバック装置を用いた評価方法を紹介している。臨床的には血圧計マンシェットで代用した方法がある。これらは腹部全体の評価であり、左右差を反映したものではない。そこで今回、腹圧評価の一指標として左右を分別して測定した。この結果と我々が臨床で行う体幹安定性テストを比較し、その有効性を検討した。<BR>【方法】健常被検者18名に対して以下の2つのテストを行い、比較検討した。腹部引き込みテスト(以下テスト1):Richardsonらの方法に則って腹臥位での腹横筋収縮による腹部引き込み動作を十分習得させた後、正中線の左右腹部下に二つの血圧計マンシェットを配置し、水銀計の目盛を70mmHgに設定した。被検者に5秒間の腹部引き込み動作を行わせ、その際、水銀計の増減の安定値を記録した。測定は10回行い、各試行間に30秒間の休息を入れた。体幹安定性テスト(以下テスト2):被検者は足底接地しない端座位を保持し、検者が左右の肩の上に徒手的に体重の60~70%程度の負荷を加えた。肩甲帯挙上などの代償動作の出現や体幹中間位を保てなかったものを「不安定」と評価した。(背景に目盛を設定し3人のPTが評価)<BR>【結果】テスト1は左右差有り:11名、左右差無し:7名であった(t検定 危険率5%)。テスト2は左右差有り:9名、左右差無し:9名であった。テスト1・2共に左右差有り:8名、共に左右差無し:6名、どちらにも属さない:4名であった。これら2つのテスト間の関連性を検定するためフィッシャーの直接法を用いた。その結果、テスト1における左右差の有無が、テスト2における左右差の有無に一致する確率が高いことがいえた(p<.05)。<BR>【考察】今回、左右腹部下で腹部引き込みテストを実施した結果、半数以上の11名に左右差が認められた。このことから腹圧を反映する腹部引き込み動作に左右差があることが示唆された。さらに体幹安定性テストにて評価された左右差が、腹部引き込みテストでの左右差と一致する確率が高いことから、これら2つのテストは体幹機能の左右差を評価できる一つの指標となることが考えられた。身体の運動に先行しておこる腹横筋収縮による腹圧の上昇は、体幹の安定性に関与し、四肢の運動や動作を効率的に行うための重要な要素となる。この機能が片側的に損なわれると、体幹の安定性を必要とする動作等に支障を来たす可能性が考えられる。今後、より多くの健常者のデータを収集すると共に、諸動作との関連性を検討していきたい。
著者
木下 一雄 中島 卓三 吉田 啓晃 樋口 謙次 中山 恭秀 安保 雅博
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100456, 2013

【はじめに、目的】我々はこれまで後方進入法による人工股関節全置換術(以下THA)後早期(退院時)における靴下着脱動作に関与する因子の検討を行ってきた。そこで本研究においてはTHA後5か月における靴下着脱動作の可否に関与する股関節の可動域を検討し、術前後の各時期における具体的な目標値を提示することを目的とした。【方法】対象は2010年の4月から2012年3月までに本学附属病院にてTHAを施行した110例116股(男性23例、女性87例 平均年齢60.9±10.8歳)で、膝あるいは足関節可動域が日本整形外科学会と日本リハビリテーション医学会が定める参考関節可動域に満たない症例は除外した。疾患の内訳は変形性股関節症85股、大腿骨頭壊死31股である。調査項目は術前、退院時(術後平均22.7±7.0日)、術後2か月時、術後5か月時の股関節屈曲、外旋、外転可動域、踵引き寄せ距離(%)(対側下肢上を開排しながら踵を移動させた時の内外果中央から踵までの距離/対側上前腸骨棘から内外果中央までの距離×100)と術後5か月時の端座位での開排法による靴下着脱の可否をカルテより後方視的に収集した。靴下着脱可否の条件は端座位にて背もたれを使用せずに着脱可能な場合を可能とし、それ以外のものを不可能とした。統計学的処理はロジスティック回帰分析を用いて目的変数を術後5か月時における靴下着脱の可否とし、説明変数を各時期における股関節屈曲、外旋、外転可動域、踵引き寄せ距離とした。有意水準はいずれも危険率5%未満とし、有意性が認められた因子に関してROC曲線を用いて目標値を算出した。【倫理的配慮、説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言に基づき実施した。また本研究は当大学倫理審査委員会の承認を受けて施行し、患者への説明と同意を得た上で測定を行った。【結果】 術後5か月時の靴下着脱の可否は可能群103股、不可能群は13股であった。術後5か月時の靴下着脱の可否に関与する因子として、術前では股関節外旋と踵引き寄せ距離が抽出され、外旋のオッズ比(95%信頼区間)は1.124(1.037-1.219)、踵引き寄せ距離は1.045(1.000-1.092)、判別的中率は93.1%であった。それぞれの目標値、感度、特異度、曲線下面積は、外旋では25°、76.7%、92.3%、0.912で、踵引き寄せ距離は40.4%、84.5%、76.9%、0.856であった。退院時、術後2か月時、術後5か月時においては踵引き寄せ距離が因子として抽出され、退院時のオッズ比(95%信頼区間)、判別的中率は1.054(1.012-1.097)、91.4%、術後2か月時は1.092(1.008-1.183)、89.6%、術後5か月時は1.094(1.007-1.189)、91.3%であった。各時期の目標値、感度、特異度、曲線下面積は、退院時では40.4%、88.3%、61.5%、0.814であり、術後2か月時は50.0%、93.2%、61.5%、0.842で、術後5か月時では61.0%、80.1%、92.3%、0.892であった。【考察】我々の靴下着脱動作に関する先行研究は、術後早期における長座位での靴下着脱動作に関与する因子の検討であった。退院後の生活環境やリハビリ継続期間を考慮すると、実用性のある端座位での靴下着脱動作を継続期間中に獲得するための機能的因子を明確にすることが必要であった。先行研究では術前に靴下着脱が困難なものが退院時に着脱可能となるには外旋可動域が必要であった。今回の結果からも術前では股関節の変形により可動域制限がある場合でも股関節の外旋により代償して靴下着脱が可能となることが術後5か月の着脱動作能力に必要であると考えられる。また、術後5か月の靴下着脱を可能とするための機能的な改善目標として踵引き寄せ距離が抽出された。臨床的に術後の股関節可動域は概ね改善するが、疼痛や習慣的な動作姿勢の影響により改善経過は多様である。また、靴下着脱動作は股関節から足関節までの下肢全体を使った複合関節による動作である。このことから術後では単一方向の可動域を目標とするだけではなく、総合的、複合的な可動域の改善目標により着脱能力の獲得を目指すべきであると考える。具体的には術後2か月までに対側の膝蓋骨上まで踵を引き寄せられることが望ましいと考える。今後は踵引き寄せ距離に影響する軟部組織の柔軟性や疼痛の評価を行い、踵引き寄せ距離を改善するためのアプローチに関しても検討していきたい。\t【理学療法学研究としての意義】本研究により各時期の具体的な目標値が明確になり、術後5か月時までの経時的な改善指標となり得る。これにより術前後の患者指導の効率化や質の向上が図られると考える。
著者
遠藤 寛子 板井 英樹 桜木 康広
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.E0353, 2007

【目的】高齢化が急速に進む中、全国市町村各地域で介護予防対象者に対しての介護予防教室などが2000(平成12) 年の介護保険制度開始から徐々に開始され、2006(平成18)年4月からの介護保険制度の改訂により、現在では一層多く開催されるようになった。しかし、実状として介護予防教室には介護予防を必要としている全ての対象者が参加しているわけではなく、介護予防が必要な方の中でも参加していない方も多い現状がある。そこで、参加していない理由、または参加できない理由について、参加している方と参加していない方の要因を比較検討し、今後の参加率向上に繋がる方法について考察した。<BR>【方法】A県内3市4町各地域の在宅介護支援センターが把握している介護予防対象者(特定高齢者含む)のうち、過去1年間介護予防教室への参加がある高齢者と過去1年間介護予防教室へ参加したことがない高齢者の中から無作為に選んだ230名を対象とした。その対象となった方が登録されている在宅介護支援センターに、厚生労働省推奨の介護予防のための基本チェックリストと独自に作成した介護予防/転倒予防・健康状態に関するアンケート用紙の2種類を郵送または直接訪問し自記式にて実施した。調査期間は平成18年9月から10月の1ヵ月間とした。<BR>【結果】アンケートの回収率は、対象者158通(68.7%)であり、有効回答数は男性27名、女性121名の計148名であった。平均年齢は74.6±6.3歳で、独居世帯は33世帯(21.5%)を占めていた。介護予防教室に参加している方は、女性が圧倒的に多く、頻度が少なくなるにつれて男性の比率が上がってきていた。同居家族の人数による違いは見られず、全く参加していない方は、独居が多い傾向があった。自覚的健康観は、「まあまあ健康である」と感じている人が多数を占めた。また、健康に関するメディアへの関心は、「とてもある」「まあまあある」で、9割以上を占めていた。身体を動かすことや友達の家への訪問は、介護予防教室への参加頻度が上がるにつれ増加傾向にあった。ただし、身体の痛み、身体を動かす機会や自分から人に声を掛ける機会、人見知りや人と仲良くできないことに関しては、あまり差がみられなかった。介護予防教室に言葉や内容、開催の認知については、参加していない人に認知されていなかった。<BR>【考察】介護予防教室への参加要因として、自分の健康観というより、身体を動かすことが好きで他人との交流を目的としていることが考えられた。一方、不参加要因としては、健康に対する意識や関心は高く、それ相応に身体を動かしているものの、教室自体の存在や目的が、各地域で必ずしも周知徹底していないことが考えられ、今後、広報活動や地域でのネットワークづくりの必要性が高いと考える。<BR>
著者
山田 月男
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Gb1448, 2012

【はじめに】 平成19年、日本整形外科学会はロコモティブシンドローム(運動器症候群、以下、ロコモとする)を提唱した。ロコモは高齢世代のみではなく、その予備軍(中高年世代)の問題でもあると進言されている。その予備軍に対する予防も重要な因子であると考える。しかし、その予防に対する施策・具体的方法は未だ不十分と考える。ただし、予防を提供する側のみならず提供を受ける側の意識も重要な因子と考える。アンケートによりその予防に対する意識を実際の有病者に確認した。8割の患者が予防に関する意識があったが2割の患者は意識が低かった。また世代間で予防に関する認識の違いがわずかながらも存在すると考えられた。今回の調査から見られた予防に対する世代間の特徴を述べ、若干の知見と見解を踏まえ報告する。【方法】 対象は運動器疾患の確定診断を受け本院リハビリテーション科通院中で本題について了解を得た外来患者27名(男性10名、女性17名、43歳から85歳、平均年齢65.6歳)。方法はアンケートによる質問紙法とした。アンケート内容は、1、予防リハ(仮称)を受ける機会があれば受けるか受けないか、2、受ける理由、受けない理由を可能な限り具体的に明記する、3、予防リハとして希望する内容を提示し複数回答可として選択(筋力・可動域・骨密度などの測定計測、予防体操・運動方法の説明・提示、予防に有効な食事・副用薬の説明等とした。【説明と同意】 アンケート実施前に書面にて実施することを告知した。各患者に質問紙を提示し説明、協力を依頼、また学会等で報告することに承諾を得た上で実施した。【結果】 アンケートに承諾を得て実施できた27名中、予防リハを受けると回答したのは22名(81%)、受けないと回答したのは5名(19%)であった。予防リハを受けると回答した40歳から50歳代の内容を提示する。「年齢と共に衰えを実感する場面が少なくないので時間が取れれば受けてみたい」、「悪い股関節の負担を減らすために他の部位を強化、ケアしてできるだけ人工股関節になる日を遅らせたい」、「予防になるなら受けたほうがよい」、「症状がひどくなる前のリハビリなので悪化前に良くできるのであれば受ける」という内容であった。同様に予防リハを受けると回答した60歳~80歳代の内容を提示する。「悪くならないように」、「理由は特にありませんが心配が少しでもなくなるのであればという程度です」、「アンチエイジングの一つとして」、「ひどくなると困るから」等の内容であった。予防リハを受けないと回答した内容は「必要にせまられないとリハビリを受けようとする意欲がわかないと思う」、「自分の知識の範囲内でやってみます」、「事前に病気の種類により予防を行うときは受けることもある」、等であった。【考察】 予防リハを受けない具体的な回答から理学療法が予防としての役割、認識が不十分であると患者側にも印象として持たれていることが示唆された。中高年世代の予防に対する意識はポジティブな意見と考える。この世代は自身の体に対して衰えやケア、また悪化させないなどの問題・項目などを自ら真剣に考える意識があると伺えた。これを「予防に対する能動的な意識」と解釈したい。高齢と呼ばれる世代は予防に対する意識はネガティブな要素が強いと考える。転倒や寝たきりなど将来的な問題の因子を発生させる運動器疾患の予防ということに真剣に考える世代と思われたがあまり真剣に意識していないことも伺えた。このように予防に対する意識の低い状態、また受身的な場合は「予防に対する受動的な意識」と解釈したい。この場合、予防を積極的に意識せず実行することも消極的と考える。【理学療法学研究としての意義】 理学療法分野が今後、予防分野に本格参入する場合、「その対象者を把握する」という意味では、本報告が若干の参考資料となると考える。
著者
武田 正則
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【目的】(一社)岡山県理学療法士会(以下,岡山県士会)は,学術活動として学会や各種研修会を実施している。しかし,近年は業者や団体など行う研修会が多く開催されており,以前に行われていた県士会の県外や高名な講師の招聘といった役割は少なくなってきている。今回は,岡山県士会での企画運営した研修会についてその変遷と特徴を検討し,研修会運営の参考とするために行ったので報告する。【方法】岡山県士会の過去5年間における県学会,特別研修会(日曜日1日コース),卒後研修会(平日夜2時間コース),新人カリキュラム研修会,支部主催研修会について,内容,講師,参加人数,受講者の感想・要望などを中心に検討した。【結果】学会・研修会の回数については,県学会は年1回,特別研修会は年3回,卒後研修会は年3~4回,新人カリキュラム研修会年は年1~5回,支部主催研修会は年4回を基本として行われていた。特別研修会は県外の講師が多く,分野別に多岐にわたり行われている傾向があった。卒後研修会は県内の講師が多く,応用的な内容から基本的な内容へ変遷している傾向があった。新人カリキュラム研修会は県士会員の要望により年1回開催から年5回ほどの分散開催を含めたものに変遷していた。参加者は経験年数が少ない会員が多く10年以上の中堅や特に20年以上ベテランの参加は非常に少ない傾向にあった。【考察】研修会の内容については,特別研修会はトピックス的なものを扱うことを望んでいる傾向があった。卒後研修会は,基本的な知識・技術的なものを求めることが多かった。新人カリキュラム研修会は,A1~5が1日で取得できる1日研修の参加が多く,特に県外からの参加者が近年は増加している傾向にあった。多様化する現在の理学療法に関する研修会の中で,県単位の理学療法士会が担う役割を再構築する必要もあるのではないかと考えられた。
著者
田内 都子 門 浄彦 岩田 健太郎 伊福 明 前川 利雄 北井 豪
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.DdPF2055, 2011

【目的】 <BR> 拡張型心筋症(DCM)は慢性進行性のことが多く、予後は不良である。DCMに対する過度の運動は避けるべきで、運動療法中には突然死の危険性が上がるため、運動処方には注意を要する。今回、DCMによる僧帽弁閉鎖不全、三尖弁閉鎖不全を合併し外科的手術に至った症例の開心術後から自宅退院可能な能力を獲得するまでの期間介入できたので報告する。<BR>【方法】 <BR> 69歳、男性。身長158.3cm、体重52kg、BMI 20.7。診断名はDCM、僧帽弁閉鎖不全。平成13年、DCMと診断。平成18年9月、意識消失発作があり、その後入退院を繰り返している(NYHAII度) 。平成22年2月、ICDの体内植え込み手術施行。平成22年6月に入り自覚症状がNYHAIII度に増悪し自宅周辺の坂道の移動も困難となった。平成22年7月30日、手術目的にて当院入院。平成22年8月11日、僧帽弁形成術、三尖弁形成術、左室形成術を施行した。合併症に糖尿病(インスリン使用中)あり。術前心エコーでは左室駆出率(LVEF)31%、拡張末期容積(EDV)211ml、収縮期容積(ESV)145mlであり、術後心エコーでは、 LVEF29%、 EDV141ml、ESV100mlであった。<BR>【説明と同意】<BR> 本研究を実施する際に、事前に研究の趣旨、個人情報収集の目的とデータ利用の範囲について十分説明し、同意を得た上で行った。<BR>【結果】<BR> 理学療法は心電図モニター監視下にて、当院の心臓血管外科術後クリニカルパスに準じて行った。術後翌日よりPT開始したが、安静時より心房細動、心房粗動を繰り返しており離床は困難であった。術後4日目にはICDが作動している。術後5日目、端座位開始。術後7日目、歩行練習開始。運動時、特発性心房細動(Paf)や心室性期外収縮(PVC)3連発出現し一時中断することがあったが、医師の指示のもと経過観察となった。術後14日には約400mの歩行可能となり、ADLは自立したが心房細動のコントロールは不良であり薬物療法及び体外式ペースメーカーを装着し、個別運動療法を継続した。内容は病棟でのウォーキング、下肢筋力強化運動(スクワット、かかと上げ、股関節外転運動)とし、運動前後の血圧、運動中の低血圧症状(冷や汗、吐き気、めまい等) 、自覚的運動強度に注意し、心電図モニターにて新たな不整脈が出現しないか確認しながら行った。徐々にPafやPVCが減少していき、術後35日目、在宅での運動耐容能評価のため、心肺運動負荷試験(CPX)を実施。AT時VO2:9ml/kg/min(2.6Mets)最高酸素摂取量(peakVO2)は12ml/kg/min(3.4Mets) であった。この結果を元に、個別療法の運動量を調節し、集団心臓リハビリテーションプログラムにも参加した。集団療法では、有酸素運動(エルゴメメーター25w負荷から、1日1回20分)を開始した。その結果、1ヵ月後のCPXで、AT時VO2は15ml/kg/min(4.2Mets) 、peakVO2は18mL/kg/min(5.2Mets)であった。心エコーではLVEF32%、 EDV178ml、 ESV120mlであった。トレッドミルでの坂道運動、階段昇降も可能となった。<BR>【考察】<BR> 今回、重症不整脈を呈する低心機能のDCMに対し、長期間監視型運動療法を行った。その結果、著明な運動耐容能の改善と不整脈の改善がみられた。<BR> 運動耐容能に関しては、術後と最終の所見を比較すると、心エコー所見の変化に比べ、AT及びpeakVO2が著明に改善した。これは、最大心拍出量の増加、心室収縮能の改善などの中枢因子の効果に比べ、末梢循環や骨格筋機能の改善などの末梢因子の改善が主たる機序と考えられる。<BR> 不整脈に関しては、術後みられた重症不整脈が最終時にはみられなくなった。これは、薬物療法の効果に加えて、運動療法による酸素需要の低減・酸素供給の改善による虚血改善、また副交感神経活性の亢進による心臓交感神経活性の抑制などの効果であると推測される。<BR> また、モニター監視下にて症候限界性にトレッドミルでの坂道歩行練習を行った結果、自宅周辺の坂道も対応可能と確認でき、病態の改善に加え、症状においても改善がみられた。<BR>【理学療法学研究としての意義】 <BR> 本症例は重症不整脈遷延により長期的な介入が必要であった。今回、適切なリスク管理の下に運動処方を行った結果、患者が日常生活を再獲得するに至った。DCMは予後不良と言われているが、末梢能を改善させることができ、重症心不全に対しても運動療法の重要性を確認することができた。<BR>
著者
國安 勝司 荒尾 賢 片岡 孝史 栗山 努 日傳 宗平
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【目的】日本に理学療法士が誕生し50年を迎え,理学療法士の社会的認知度も上がっていると思われる。しかし,その具体的な業務については隣接職種と混同されているのも事実である。岡山県理学療法士会(以降,本会)は県民への理学療法士(以降,PT)の啓発活動を社会局が中心となり企画しているが,効果的な方法の一つとしてマスメディアを活用した経験を報告する。【活動報告】協会が理学療法週間として啓発活動を開始した平成7年の理学療法週間モデル事業から本会は参加しており,さまざまなイベントや企画を行ってきた。PTを目指す学生に出張講義の企画や,公共施設で一般向けのPTの紹介イベントを開催した。しかし,出張講義依頼やイベントへの参加者は期待したほどにはならず,より効果的な方法を模索していた。そこに広告会社から地元紙(発行部数42万5800部,県内のシェア約60%)への記事広告掲載の提案がされた。予算的にも支出可能な範囲であり,平成16年以降,7月16日朝刊に「明日は理学療法の日」として見開き半ページのPT紹介記事と,協賛広告を掲載している。内容は会長の挨拶文,PTの業務説明,トピックス,本会主催イベント案内,養成校情報である。【考察】掲載後の反響は大きく,問い合わせも多い。今年度は介護予防についての内容を掲載したところ「PTは介護予防もされるのですね」などすぐに反応があった。様々なイベント・会議等でパンフレット配布や業務の説明をしてきたが,その効果を実感することは少なかった。その点,県内をほぼ網羅している地元紙を利用することは,費用対効果の面からも非常に効果的であると感じている。【結論】職能団体として多くの県民にアピールすることは重要であり,今後は地元紙に加え4大紙にも掲載ができるよう掲載方法を検討したい。さらに今年度は11月11日の介護の日に協賛し,地元放送局のラジオ番組への出演と20回のスポットCMを放送することを決定した。
著者
伊東 可奈子 上間 智博 金子 政人 弓場 裕之 野間 知一 衛藤 誠二 川平 和美
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.F0622, 2008

【目的】振動刺激は麻痺に対する促通効果があるとされているが,一方では痙縮筋に直接刺激を与える治療は痙縮を増強してしまう危惧がある.我々は脳卒中片麻痺上肢において,振動刺激を筋に直接与える方法で痙縮抑制に効果があることを報告している.今回,脳卒中片麻痺下肢に対し,同様の治療を施行し,痙縮への影響を検討したので報告する.<BR>【方法】対象は重度な高次脳機能障害のなく,研究について同意を得た片麻痺患者6名(男性6名,年齢;63.2±13.1歳,罹病期間;5.2±3.5ヵ月,Brunnstrom tset,stageV4名,IV2名)である.振動刺激は背臥位でバイブレーター(大東電機工業株式会社製MD-01)を5本同時に使用し,麻痺側足底から下腿後面にかけて5分間加えた.振動刺激は足関節背屈位にして下腿三頭筋を伸張しながら行った.評価は振動刺激治療の前後に行い,以下の項目を実施した.1)10m歩行時間2)下肢軌道追従機能評価装置(鹿児島大学工学部作製)による下肢運動機能の評価3)筋力測定装置サイベックス(cybex6000清水メディカル株式会社)による足関節背屈抵抗最大トルク値(サイベックスは背屈の角速度を15°/s,60°/s)4)足関節背屈のModified Ashworth Scale(以下MAS)<BR> 評価は訓練効果を除くため評価前に十分な練習の後,測定を行った.<BR> 統計処理は対応のあるt検定を用い,危険率0.05%以下を有意とした.<BR>【結果】振動刺激治療によって10m歩行時間とMASには有意差はみられなかったが減少傾向がみられた.サイベックスによる足関節背屈抵抗最大トルク値は角速度15°では有意差はみられなかったが,減少傾向がみられた.角速度60°では振動後が有意に減少した(p<0.05).追従装置による評価では運動・誤差面積(p<0.05),幾何学誤差面積(p<0.01)ともに有意に減少がみられた.<BR>【考察】今回の研究で振動刺激によって脳卒中片麻痺下肢の痙縮抑制および下肢の随意運動が向上したため,痙縮筋に直接振動刺激を与えることにより痙縮が抑制され,主動作筋と拮抗筋の同時収縮が軽減したと考えられ,歩行時間や下肢の運動機能の改善に繋がったと推察される.今後,電気生理学的評価を加え,さらに症例数を増やし痙縮に対する振動刺激の有用性を検討していく.<BR>
著者
中野 静菜 玉利 光太郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Ab1312, 2012

【はじめに、目的】 近年の登山ブームで、幅広い世代の登山人口が増加している。しかし高所という低酸素環境は、生体にとってハイリスクであり、低酸素環境へいかに対応できるかが高山病などの急性症状の発症を軽減させる鍵となる。急性高山病とは、高所に到達した後6~9時間から72時間までの間に発症し、頭痛(必発)・倦怠などの症状を呈するものをいう。先行研究ではSpO<sub>2</sub>、性差、心拍数、呼吸法などの生体内因子と高山病発生との関係に着目し、リスク管理につなげることを提唱している。しかし、生体外因子、とくに登山で用いられるリュックサックが生体にどのような影響を与えるのかについてはよく分かっていない。本研究では、異なる形状のリュックサックが、換気応答、姿勢、自覚的運動強度にどのような影響を与えるのかについて検証した。【方法】 対象は、健常な女子大学生19名(年齢:19.6±1.57歳、身長:1.59±0.05m、体重:53.83±10.89kg、BMI:21.23±3.91)とした(うち呼吸器疾患の既往2名、運動器疾患の既往5名、両方の既往2名)。また、喫煙者は除外した。実験手続としてトレッドミル(AR-200、ミナト医科学)運動負荷試験を行い、呼吸代謝測定システム(AE300SRC、ミナト医科学)を用いて各種呼気ガス値と一回換気量(TVE)の測定、及び換気応答マーカーである換気効率(VE/VCO<sub>2</sub>)、呼吸リズム(TVE/RR)の算出を行った。また主観的尺度として、実験終了直後には自覚的疲労強度(Borgスケール)を用いて記録した。被験者それぞれに対し、1)通常歩行のみ(以下、コントロール条件)、2)体重20%の重量の登山用リュックサックを背部に密着させるよう肩ベルトを締めた状態での歩行(以下、タイト条件)、3)体重20%の重量の一般的なリュックサックで肩ベルトを最大限に伸ばした状態での歩行(以下、ルーズ条件)の3つのタスクを課し、測定を行った。運動負荷試験のプロトコールには、Bruceにより提唱されているものに一部修正を加えたものを用いた。運動中止基準は、年齢推定最大心拍数の85%とした。さらに、姿勢アライメントのタスク間の違いを見るために、耳垂、第7頚椎、肩峰の3点がなす角をデジタルカメラで撮影・計測した。なお、統計処理は繰り返し測定デザインの二元配置分散分析を行った(α=0.05)。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は全ての被験者に対し、目的、実験手続、危険性について十分な説明を行い、文書による同意を得た。【結果】 姿勢アライメント、自覚的疲労強度(Borgスケール)、換気効率については、各条件間に有意な差はみられなかった。しかし、TVEはルーズ条件で有意に高値を示した(p=0.003)。また、TVE/RRは、タイト条件がその他の条件に比べ低値を示す傾向がみられた(p=0.068)。【考察】 本研究のTVEとTVE/RRの結果から、タイト条件がルーズ条件に比べ浅く速い呼吸リズムを助長する傾向がみられるということが分かった。この結果の要因として、タイト条件では肩ベルトの他に、胸部及び腹部ベルトも締めていたため、胸郭の可動性が制限される、いわゆる拘束条件となっていたことが考えられる。この仮説を一部支持する結果として、Bygraveら(2004)は、12名の男性に異なる締め付け強度でリュックサックを背負わせた時の肺活量を測定し、締め付け強度が強い条件では肺活量が有意に減少したと報告している。また、女性は胸郭容積を変えるために肋骨の動きに依存する割合が大きいと言われていることからも、タイト条件は女性が呼吸するには効率の悪い条件であり、登山に際し必ずしも登山用リュックサックを背負うことは推奨されるものでないことが示唆された。【理学療法学研究としての意義】 登山はスポーツ愛好者だけでなく余暇活動や趣味活動としても幅広い世代に愛されている運動だが、重篤な状態に陥る可能性のある高山病への予防対策は進んでいるとは言い難い状況にある。生体外因子であるリュックサックが呼吸機能に及ぼす影響は、生体内因子と比較してどの程度大きいかどうかは不明だが、介入可能であり変更も容易だという利点があるため、今後の実証研究を行うための科学的根拠として、本知見は意義があると考える。また登山だけではなく、通常の生活においても頻繁に用いられるリュックサックが呼吸機能に影響を与える可能性を提示したことは、呼吸理学療法学の基礎資料として一定の貢献を果たしていると考える。
著者
大岡 恒雄 金澤 浩 島 俊也 白川 泰山
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.AdPF1015, 2011

【目的】<BR> 当院では2009年11月よりロボットスーツHAL福祉用(Hybrid Assistive Limb,以下 HAL)を導入し,これまでに延べ約60名の患者を対象に実施してきた.HALは,下肢に筋力低下や麻痺などの障害を持つ対象者に対して脚力や歩行を補助するツールとして現在約40の医療機関や施設等で使用されている.しかし,その方法や効果についての報告は少なく,疾患別の症例報告もほとんどみられない.今回,当院にてHALを使用した脳卒中片麻痺患者について筋電図学的分析を中心に検討したので報告する.<BR><BR>【方法】<BR> 症例は70代男性,身長168.0cm体重78.0kgであった.平成13年頃より数回脳梗塞を繰り返し,平成18年にさらに脳梗塞を発症し右片麻痺となった.以降,近医にてリハビリテーションを実施し,平成22年2月より当院にてHALを用いた歩行練習が開始となった.Brunnstrom stageは上肢VI,手指VI,下肢VIであり,歩行能力は四点支持歩行器を使用し自立レベル,階段昇降は不能であった.Demandは「立ち座りがスムースになれば」,「ユンボに乗りたい」であった.これまでのHALの実施回数は1ヶ月に1または2回の合計12回であった.当初はHAL装着下での膝関節及び股関節の屈伸練習,立ち上がり練習,歩行練習を実施した.HAL実施3回目より階段昇降練習を追加した. HALに対する感想は,介入時は「重たい」,「歩きにくい」が,HAL実施3回目より「脚があがるようになった」,「階段が昇れるようになった」とHALに対する肯定的なコメントが聞かれ,HAL実施10回目以降は「ユンボに乗れた」というコメントが聞かれた. <BR> HAL実施12回目において,HAL装着の有無が歩行に与える影響を調査する目的で表面筋電図(Tele MyoG2 EM-602,Noraxon)を使用した.導出筋は,両側の大腿直筋,内側広筋,半腱様筋,大殿筋,腓腹筋内側頭,前脛骨筋の12筋とし,筋電図解析ソフトウェア(Myoresearch XP, Noraxon)を用いて解析を行った.測定は,HAL装着前(以下,装着前),HAL装着時(以下,装着時),HAL装着後(以下,装着後)の歩行中の筋活動を測定した.解析に用いた歩行は10m歩行区間の中間時の安定した1歩行周期を解析し,得られたデータより各筋の平均振幅を算出し,合計3回の平均値を各筋の平均振幅とした.同時に歩行動作を三次元動作解析システム(ICpro-2DdA,ヒューテック株式会社)を使用し歩幅の解析を行った.毎回のHAL実施前後には,10m歩行テスト,各動作のVTR撮影を実施した. また,毎回のHAL実施前後にHALの使用感を聴取した.<BR> <BR>【説明と同意】<BR> 対象には事前に本研究の趣旨と測定内容に関する説明を十分に行い,紙面で同意を得た.また,医療法人エム・エム会マッターホルンリハビリテーション病院倫理委員会の承認を得て行った(MRH1002).<BR><BR>【結果】<BR> 各筋の平均振幅のうち,右側の内側広筋の立脚期は装着前は34.4±5.67μV,装着時は55.5±0.6μV,装着後は41.2±7.77μVであった.右側の内側広筋の遊脚期は装着前は14.7±6.43μV,装着時は19.8±2.48μV,装着後は19.4±0.99μVであった.左側の内側広筋の立脚期は装着前は20.4±2.23μV,装着時は46.4±3.55μV,装着後は28.1±2.75μVであった.左側の内側広筋の遊脚期は装着前は11.9±4.07μV,装着時は31.8±8.17μV,装着後は51.2±10.9μVであった.右側の大殿筋の立脚期は装着前は19.4±4.38μV,装着時は35.5±3.46μV,装着後は28.2±7.00μVであった.その他の筋については装着による変化を認めなかった.また,右側の歩幅は装着前が28.9cm,装着時は35.6cm,装着後は32.1cmであった.HAL介入前(以下,介入前)とHAL実施12回目(以下,介入後)の測定結果を比較した.10m歩行テストは,介入前は独歩にて21.5秒28歩であったが,介入後は16.1秒21歩と歩行時間の短縮がみられた.<BR><BR>【考察】<BR> 筋電図の結果から,HAL装着によって両側の立脚期及び遊脚期の内側広筋や右側の大殿筋の筋活動が増大していた.これは,麻痺側下肢の立脚期における支持性や遊脚期の際の振り出しをHALのアシスト機能によってもたらしたと考えられる. また,HAL装着による右下肢の振り出しの増大が右側の歩幅を増大させたと考えられる.10m歩行テストの結果からもHAL実施後,顕著な歩行能力の改善を認めた.発症後約9年が経過している本症例の歩行機能はプラトーに達していたと考えられた.しかし,HALの介入により,歩行能力や階段昇降能力に改善がみられたことから,心理面にも良い効果をもたらしHALの長期継続が可能となっていると考えられる.<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 本症例の結果から脳卒中片麻痺患者に対してHALの実施には効果が期待され,理学療法の新たな発展に寄与するものではないかと考えられる.今後は脳卒中片麻痺患者のさらなるデータの収集を行い,その効果や適応について検討していきたい.<BR><BR>
著者
積山 和加子 松尾 剛 田中 聡 沖 貞明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>ソーシャルメディア(Social Media;以下SM)とはインターネットを利用して誰もが手軽に情報を発信し,相互のやりとりが出来るメディアを指すが,近年,医師や看護師等がインターネット上に患者情報を掲載した事案や他者を誹謗中傷した事案など,守秘義務違反や個人情報漏洩の問題が数多く取り挙げられている。本来SMの私的利用は個人の自覚と責任で自由に行うべきものであるが,これまでの不適切投稿による事案から鑑みると懲戒解雇や停職等,個人に対する処分だけでなく,所属する組織にも影響を与える。そこで今回,リハビリテーション専門職に対しSMの私的利用に関する意識調査を行い,その実態について検討を行った。</p><p></p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>対象は国立病院機構中国四国グループの理学療法士,作業療法士,言語聴覚士の計440名とした。無記名自記式調査票を2016年6月に同グループの25施設に対して各職員数分を発送した。</p><p></p><p>本調査票の質問項目は,総務省が平成27年にSM利用に関して一般市民に行ったアンケートを参考に,①私的に利用している端末,②SM利用状況,③SM利用目的,④SMでの情報発信・拡散の程度,⑤情報拡散の基準,⑥SM利用時のトラブル経験,⑦SM利用時のリスクに関する認識,⑧SMトラブルに関する事例(報道)への意見,⑨SM利用時の留意事項の認知度の9項目とした。9項目の各回答は多肢選択法を用い,設問によって該当するものを1つまたは複数選択する形式とした。</p><p></p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>本調査では395名から回答があり,回収率は90%だった。①私的利用の端末は,全員がスマートフォンやPC等を使用していた。②SMの利用状況はLINEの利用者が最も多く86%で,SMを利用していないと回答した者は11%だった。③SMの利用目的は,「知人や家族とのやりとりや通話をするため」が65%で最も多かった。④SMの情報発信・拡散の程度では,「発信よりも他人の書き込みを閲覧することの方が多い」が57%で最も多く,拡散経験があると回答した者は40%だった。⑥SM利用時トラブルを経験したことがある者は7%で,トラブル件数は41件だった。⑦SM利用時のリスクに関する認識は,「非常に気をつけている」,「気をつけている」と回答した者が80%を超えていた。⑧SMトラブルに関する事例への意見としては,「情報モラルの低下」が60.8%で最も多かった。⑨SM利用時の留置事項の認知度は,60%以上が「知っている」と回答した。</p><p></p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>平成26年度の総務省調査によると,SM利用に関する情報リテラシー教育の受講経験について,本邦では20%程度であり諸外国の状況に比べ低いと報告している。本調査ではSMを利用していない者も1割程度いたが,SMを利用していなくても投稿者と一緒に写っていた写真によって投稿者以外の個人情報が流出する可能性もある。そのため,インターネット利用の頻度やSMの利用に関わらずSMの私的利用における情報リテラシー教育の機会を設ける必要性があると考えられる。</p>
著者
相原 一貴 松下 和太郎 小野 武也 石倉 英樹 佐藤 勇太 松本 智博 田坂 厚志 積山 和加子 梅井 凡子 沖 貞明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】整形外科的手術で出血量抑制のために使用されるターニケットは,虚血再灌流障害を引き起こし骨格筋の浮腫や炎症,萎縮を発生させる可能性が報告されている。我々は先の動物実験において,圧力300mmHgで90分間ターニケットを使用すると,虚血再灌流後に筋収縮力の低下が生じ,その低下は再灌流後7日目においても完全回復に至らないことを明らかにした。しかし,7日目以降の筋収縮力の変化に関しては不明である。そこで,虚血再灌流後の筋収縮力の変化を明らかにする目的で,虚血再灌流後14日目における筋収縮力の測定,および歩行動作との関係について検討した。【方法】10週齢Wistar系雄ラット12匹(体重360.1±14.2g)を6匹ずつ正常群(以下C群)と虚血再灌流群(以下IR群)に分けた。IR群は,まず麻酔下で後肢にターニケットカフを巻き,圧力300mmHgで90分間の駆血を実施した。そして14日後に,両群の筋収縮力の測定と歩行観察を実施した。歩行観察は傾斜0°のラット用トレッドミル上を分速10m/minで歩行させ,その様子をビデオカメラで撮影し,その動画から足指伸展角と踵骨高を測定した。足指伸展角は爪先離地時に踵骨と第4中足骨を結ぶ線と床に平行な線がなす角度とし,値が小さい程伸展していることを示す。また踵骨高は足底接地時の踵骨と床の垂直距離とした。筋収縮力の測定は,ヒラメ筋を摘出し95%酸素および5%二酸化炭素の混合ガスを常時通気しているリンゲル液で満たしたオーガンバス内へ入れ,電気刺激を加え測定した。測定後のヒラメ筋は,凍結させHE染色し筋横断面短径を測定した。統計学的解析は,対応のないt検定を用い,危険率5%未満をもって有意差を判定した。【結果】筋収縮力はC群116.5±7.4g,IR群69.2±13.3g,筋横断面短径はC群58.6±2.8μm,IR群46.3±4.2μmであり,どちらもC群に比べIR群に有意な低下が認められた(P<0.05)。一方,歩行に関する測定項目である足指伸展角および踵骨高では,両群間に有意差は認められなかった(P<0.05)。【結論】本研究結果にて,筋収縮力や筋横断面短径はC群よりもIR群が有意に低下していたが,歩行に関する評価項目に有意差は認められなかった。一般的に筋収縮力は,筋横断面積と比例関係にある。また,虚血再灌流障害の症状として浮腫や炎症,筋萎縮が報告されている。そのため,IR群では虚血再灌流により低下した筋収縮力が完全回復していないことが推測できる。一方で,歩行に関して差がなかったことについては,歩行自体は低負荷の運動であるため,運動から筋機能の状態を評価するには,より負荷の高い運動に対する反応から判断する必要性が示唆されたと推測する。よって,虚血再灌流後14日では,歩行が正常であっても,筋機能の回復は完全ではない可能性があることを明らかにした。
著者
藤田 唯 岩井 宏治 有吉 直弘
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】ネフローゼ症候群は高度の蛋白尿,低アルブミン血症を呈する腎臓疾患の総称である。近年,慢性腎臓病(CKD)患者に対する持続的な運動はADLやQOLを向上させ生命予後を改善させることが報告されているが,ネフローゼ症候群における運動療法の効果についての報告は少ない。ネフローゼ症候群診療ガイドライン2014においても,運動を制限することは推奨されないとされる程度で十分なエビデンスは示されていないのが現状である。本研究では,中等量の副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)に抵抗性を示した高齢ネフローゼ症候群2症例に対し運動療法介入における有効性と安全性について検討した。【方法】初発のネフローゼ症候群により入院加療となった80歳代男性2症例を対象とした。2症例に対して理学療法(PT)開始時に心肺運動負荷試験(CPX)を実施した。CPXは医師立ち会いのもと,下肢エルゴメーター,呼気ガス分析装置を使用しRamp10で実施した。入院中の理学療法は,初期評価で測定した嫌気性代謝閾値(AT)を参考に週5回,有酸素運動とレジスタンストレーニングを中心に実施した。PT開始後4週間目に再度CPXを行い,運動耐容能の再評価を行った。腎機能は,生化学検査からeGFR,Cr,UN,尿検査より尿蛋白の値をカルテより調査した。症例1は入院後25日目よりPTを開始した。PT開始時腎機能はeGFR49.5,Cr1.08mg/dl,UN23.5mg/dl,尿蛋白9.72g/gCrであり,プレドニン20mg/day,ブレディニン150mg内服中であった。症例2は入院後15日目よりPT開始した。PT開始時腎機能はeGFR58.1,Cr0.95mg/dl,UN12.3mg/dl,尿蛋白10.48g/gCrであり,プレドニン30mg/day内服中であった。2症例ともステロイド開始後,尿蛋白は目標値まで減少せず,主治医により治療抵抗性ありと判断された。【結果】症例1のATは初期評価2.64METsから再評価3.23METsへ向上した。PT介入期間中の腎機能はeGFR44.5~52.1,Cr1.03~1.19mg/dl,UN21.2~24.2mg/dl,尿蛋白は8.29~11.78 g/gCrであり悪化は認めなかった。症例2のATは初期評価2.28METsから再評価2.21METsと変化しなかった。腎機能はeGFR54.4~69.2,Cr0.81~1.01 mg/dl,UN12.3~21.3mg/dl,尿蛋白は4.18~6.58 g/gCrであり悪化は認めなかった。PT介入期間中,2症例ともに腎機能悪化は認めず運動耐容能は維持または向上を認めた。【考察】近年,CKD患者に対する中等度の運動は,尿蛋白や腎機能へ影響を与えないことは多くの先行報告において示されており,ネフローゼ症候群における運動療法も,一般的にはCKD患者の指標に準じて行うことが勧められている。しかし,ネフローゼ症候群の治療抵抗性患者に対する運動療法の効果や腎機能への影響についての検討はなされていない。本研究で示した2症例はともにステロイド治療に対して抵抗性を示し,尿蛋白減少には至らなかった。しかし,腎機能についてはPT期間中,eGFR,Cr,UNともに悪化をすることなく経過した。CKD患者に対する先行報告と同様に,高齢ネフローゼ症候群患者に対しても,ATレベルでの運動療法は腎機能を悪化させないことが示唆された。また,運動耐容能については症例1では向上を認めたが症例2では維持レベルであった。ステロイド治療抵抗性を示す高齢ネフローゼ症候群においても,運動療法介入により運動耐容能が維持・改善する可能性が示唆された。今回,運動耐容能が改善した症例1と維持レベルにとどまった症例2ではリハビリ時間以外の活動量に差があったことが一要因と考えられるが,今後症例数を増やし検討する必要があると考える。ステロイドに抵抗性を示す高齢のネフローゼ症候群に対する適切な運動強度での運動は,腎機能を悪化させることなく運動耐容能を維持・向上させる可能性が示唆された。【理学療法学研究としての意義】中等量のステロイドに抵抗性を示す高齢ネフローゼ症候群においても,運動療法は腎機能の悪化に影響せず,運動耐容能を維持・向上できる可能性が示唆された。
著者
菊谷 文子 伊東 一章 若狭 正彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに】</p><p></p><p>急性期病院において早期に病棟ADLを獲得することは廃用症候群の予防,今後の転帰先を考慮する上でも重要である。病棟内ADLの自立判定基準としてバランス能力の評価であるBerg Balance Scale(以下BBS)がよく用いられている。BBSには天井効果があり,また静的なバランス能力しか評価できないためADLにつながるような包括的なバランス能力を評価する指標としては不十分である。日本語版Mini-Balance Evaluation Systems Test(以下Mini-BESTest)は,予測的姿勢制御,反応的姿勢制御,感覚機能,動的歩行の4つのセクションから構成されており,高い信頼性,妥当性,治療反応性が報告されている。さらには天井効果がなく,歩行完全自立か否かの判別能に関してもMini-BESTestのほうが優れている傾向を示している。BBSとMini-BESTestには高い相関があると言われているが,急性期脳血管疾患において報告は少ない。今回BBSとMini-BESTestを比較したので以下に報告する。</p><p></p><p></p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>対象は2016年6月1日から同年9月まで当院に脳血管疾患で入院した患者17名(男性10名,女性7名)。脳血管疾患の既往がある者,整形疾患を有する者,検査内容が理解できない者を除外した。平均年齢は68±15歳,対象者の内訳は脳梗塞7名,脳出血5名,その他(くも膜下出血,慢性硬膜下血腫など)5名で,身体的特徴はNational Institute of Health Stroke Scale 0~6点が12名,7~14点が4名,15点以上が1名で測定日は平均11±6日だった。評価尺度はBBSおよびMini-BESTestを採用した。BBS,Mini-BESTestともに平均値,項目ごとの難易度(減点のある対象者の割合)を求め,さらにMini-BESTestは各セクションの得点率を求めた。BBSとMini-BESTestの合計点からPearsonの積率相関係数を求めた。</p><p></p><p></p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>BBSの平均値は32.5±19.8点(1~50点),難易度60%以上は両手前方,80%以上は360°方向転換,踏み台昇降,片脚立ち,タンデム立位。Mini-BESTestの平均値は10.8±8.4点(0~22点),難易度50%未満が静止立位(開眼,固い地面),座位から立位,斜面台,各セクションの得点率は,予測的姿勢制御48.0±35.8%,反応的姿勢制御22.5±27.0%,感覚機能54.9±39.4%,動的歩行31.8±28.3%,Mini-BESTestはBBS(r=0.91)と強い相関を認めた。</p><p></p><p></p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>急性期脳血管疾患患者においてBBSとMini-BESTestは慢性期脳卒中患者と同様に高い相関関係を示した。またBBSでは満点者はなく,Mini-BESTestでは無得点者がいたことやBBSにはない要素である反応的姿勢制御と動的歩行の得点率が低い傾向を示した。したがって,急性期においてBBSとMini-BESTest両者を計測することは有用であると思われるが,測定時期を考慮することや症例数を増やし運動機能別比較や疾患別の特徴をみる必要もあると考えられた。</p>
著者
木村 剛英 金子 文成 長畑 啓太 柴田 恵理子 青木 信裕
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100461, 2013

【はじめに、目的】二重課題とは,同時に複数のことを行う課題である。この二重課題では,単一の課題を行う一重課題よりも各課題において巧緻性や反応時間などの精度が低下する。これは,ヒトが一度に遂行出来る課題量には限界があることを示している。そして,この限界を規定する因子として,ワーキングメモリが挙げられる。ワーキングメモリとは,目標に向かって情報を処理しつつ,一時的に必要な事柄の保持を行う脳の一領域であり,保持出来る情報量に限界を持つ。また,ワーキングメモリが保持できる情報量は,トレーニングによって増加する。このことから,ワーキングメモリのトレーニングを行うことで同時に遂行出来る課題量が増え,二重課題条件下での各課題の精度低下を防げる可能性があると考えた。そこで本研究では,運動課題を用いた二重課題に焦点を当て,ワーキングメモリ容量の増加が二重課題条件下での運動精度にどのような影響を及ぼすか明らかにすることを目的とした。【方法】対象は健康な男子大学生24 名とした。初期評価として,二重課題条件下での運動課題,ワーキングメモリ容量の測定を行った。その後「ワーキングメモリトレーニング群」「二重課題条件下運動トレーニング群」「コントロール群」に割付け,2 週間の介入後,初期評価と同様の最終評価を行った。ワーキングメモリトレーニング群は,パソコンに次々と表示される円の位置と順番を記憶し,のちに再生する方法を用いた介入を行った。二重課題条件下運動トレーニング群は,評価で用いた二重課題条件下での運動課題を介入として行った。二重課題条件下での運動課題は,右下肢の等尺性収縮と左上肢の肘屈曲運動を同時に行う課題とした。第一課題は,事前に測定した右下肢伸展ピークトルクの20%及び40%を目標トルクとし,等尺性収縮にて目標トルクを維持させる課題とした。同時に行う第二課題として,前方のスクリーンに表示された合図に反応して,肘関節を出来るだけ速く強く屈曲方向へ等尺性収縮する運動を行わせた。下肢運動能力の評価には,実際に測定された下肢伸展トルクと目標トルクとの差の積分値を用いた。上肢運動能力の評価には,上腕二頭筋の表面筋電図より算出したpre motor time(PMT)と整流平滑化筋電図(ARV)を用い,得られたPMTの逆数とARVの積を評価指標とした。さらに,介入前後の二重課題能力の変化を評価するために,上肢と下肢の運動能力評価値から散布図を描き,分布の変化をカイ2 乗検定にて検定した。ワーキングメモリ容量の測定は,パソコン画面に表示される複数個の正方形の色判別課題を行い,結果を点数化した。得られた結果から各群および介入前後の2 つを要因とした二元配置分散分析を実施し,2 つの要因間で交互作用があった場合,多重比較として単純主効果の検定を行った。いずれも有意水準は5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言に基づき,事前に研究目的や測定内容等を明記した書面を用いて十分な説明を行った。その上で被験者より同意を得られた場合のみ測定を行った。【結果】ワーキングメモリ容量は,全ての群において介入前後で有意に変化しなかったものの,ワーキングメモリトレーニング群において平均値が高値を示した。また,介入前後における散布図の分布の偏りは20%条件で全ての群で有意に変化した。一方,40%条件ではワーキングメモリトレーニング群,運動トレーニング群において分布の偏りが有意に変化した。【考察】下肢40%条件コントロール群のみ二重課題条件下での運動能力改善を認めなかった。これは40%条件では20%条件より負荷量が多く,必要とする注意量が増えたため各運動へ十分な注意を配分出来ず学習が進みにくかったことが原因であると考える。一方,ワーキングメモリトレーニングを行うことで,実際の運動を行っていないにも関わらず20%条件,40% 条件いずれも二重課題条件下の運動能力に改善を認めた。これは,ワーキングメモリトレーニングに伴うワーキングメモリ容量の増加が,上肢,下肢の各運動に十分な注意を配分することが出来たためであると考える。本研究結果より,ワーキングメモリトレーニングによるワーキングメモリ容量の増加は二重課題条件下の運動精度を改善する可能性が示唆された。【理学療法学研究としての意義】日常生活の動作や運動は,複数の動作を同時に行うことで成立している。今回,ワーキングメモリトレーニングにより二重課題条件下の運動が改善した。この結果は,認知課題を行うことで,運動の改善が得られることを表している。この事実から,長期臥床の患者様やケガからのスポーツ復帰を目指すアスリートなど,運動を十分に行えない環境にいる者に対し,従来の運動療法に加えて認知面からも運動機能を改善できる可能性が示唆された。
著者
金村 尚彦 今北 英高 白濱 勲二 森山 英樹 坂 ゆかり 新小田 幸一 木藤 伸宏 吉村 理
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.A0521, 2005

【目的】 <BR>我々が行った先行研究では,荷重除去を行った後に,長期に重力下でラットを自由飼育しても,一度変性した機械受容器は正常な受容器までに回復しないのではないかという結果を得た.本研究では,受容器の変性を防止することはできるのかという観点から,荷重運動による影響を比較検討した.<BR><BR>【方法】 <BR>10週齢のWistar系雄性ラット30匹を実験に供した. 4週間懸垂中のラットに対し,時間は1日に1時間,頻度は週5日懸垂を除去し,ケージ内で自由飼育した群を運動群(EXC4W群),その対照群は自由飼育群,4週間飼育した群(CON4W群),4週間懸垂のみを行った群(SUS4W群)を各々10匹とした.懸垂の方法はMoreyの変法で行った.<BR> 飼育期間が終了した後,ラットにペントバルビタールナトリウムを腹腔内投与し,脱血により安楽死させた.靱帯はZimnyらのGairns塩化金染色変法に従って染色を行った.組織標本は光学顕微鏡にて観察し,機械受容器の種類とその数について検討した.<BR>受容器の総数(靭帯体積比)については,一元配置分散分析,多重比較はFisher's PLSD法,定型受容器と非定型受容器の割合については,χ<SUP>2</SUP>検定および多重比較Ryan法を用いた.有意水準は5%以下とした. <BR> この研究は,広島大学医学部附属動物実験施設倫理委員会の承認のもとに行った.<BR><BR>【結果】 <BR>すべての群において,パチニ小体,ルフィニ終末,ゴルジ様受容器,自由神経終末の4タイプの神経終末を認めた.SUS4W群,EXC4W群では,定型受容器 以外に非定型受容器(パチニ小体,ルフィニ終末)を観察した.総数については,CON4W群に比べSUS4W群,EXC4W群に比べSUS4W群(p<0.01)が有意に減少していた.CON4W群とEXC4W群においては有意な差を認めなかった.定型受容器では, CON4W群よりSUS4W群,EXC4W群よりSUS4W群(p<0.01)において有意に減少していた.非定型受容器では, CON4W群よりSUS4W群,EXC4W群よりSUS4W群,CON4W群よりEXC4W群(p<0.01)が有意に増加していた.<BR><BR>【考察】 <BR>長期の荷重除去において機械受容器は,形態学において正常な個数までは回復せず,回復しても変性した受容器の増加を認めたが,荷重運動を行うことにより,受容器の数の減少を防止し非定型受容器の増加を抑制することが可能であるのではないかと考えられた.しかし運動群においても,非定型受容器が観察されていることから,受容器の変性を防止するには靭帯へのより適切な力学的刺激が必要であると考えられる.廃用性筋萎縮の改善だけではなく,機械受容器の変性の防止を考慮した神経・筋協調システムを考慮した運動療法の必要性が実感される.
著者
山下 陽輔 田野 聡 高岡 克宜 田岡 祐二 鶯 春夫
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【目的】平成22年度の国民生活基礎調査によると,高齢者が要支援,要介護に至る要因の第4位は転倒による骨折で約1割を占めるという結果が出ている。加齢による敏捷性の低下が転倒の原因の一つとして考えられるが,敏捷性はトレーニングによって向上が見込めることが報告されている。SAQトレーニングはその代表的なトレーニングであり,速さをSpeed,Agility,Quicknessという構成要素に分けて考案された。その中でも敏捷性の向上を狙って最も多く活用されるのがラダートレーニング(以下,ラダー)である。ラダーは梯子状の器具を地面に敷き,1つの升を1歩ずつ順次進んでいくステップから,サイドステップやバックステップを取り入れたり,身体の捻りを加えたりするものなどパフォーマンスの必要性に応じて様々なバリエーションが活用されている。そこで今回は,ラダーを用いた高齢者の転倒予防プログラムを立案するために,健常成人を対象にステップ難易度を検討することを目的とした。【対象及び方法】対象は,下肢に器質的疾患のない健常成人男性17名(平均身長:171.6±5.3cm,平均体重:66.5±6.7kg,平均BMI:22.6±1.6kg/m<sup>2</sup>,平均年齢:31.2±5.9歳)とした。ステップ課題は日本SAQ協会編SAQトレーニングよりベーシックステップからジャンプ系ステップを除く10種目,ステップ1(クイックラン),ステップ2(ラテラルクイックラン),ステップ3(サイドラテラルラン),ステップ4(カリオカ),ステップ5(パラレル),ステップ6(シャッフル),ステップ7(1イン2アウト),ステップ8(サイド1イン2アウト),ステップ9(サイド2イン1アウト),ステップ10(バック1イン2アウト)を選択して実施した。ラダーはIGNIOトレーニングラダー(8m)を使用し,各ステップ課題を正しく遂行できるまで繰り返させた。そして,ステップエラーがなく,課題と同じように正しく遂行できたときの回数をステップクリア回数とし,ステップクリアできた際には,次のステップに進ませた。なお,実施前には映像を見せてステップを確認させた他,2回連続でエラーした場合には再度,映像を確認させた。そして,統計学的解析は各ステップ課題のステップクリア回数(中央値)をKruskal-Wallis検定を用いて検討し,有意差が認められた場合には多重比較検定を行った。なお,全ての有意水準は5%未満とした。【結果】各ステップ課題のステップクリア回数を比較した場合,ステップ1~3に対してステップ4~10で有意に高値を示した。また,ステップ4に対してステップ7,9が,ステップ10に対してステップ7,9が有意に高値を示した。各ステップ課題の中央値は,ステップ1~3は1回目,ステップ4は3(1-11)回目,ステップ5は4(1-9)回目,ステップ6は3(1-17)回目,ステップ7は7(2-11)回目,ステップ8は3(1-20)回目,ステップ9は5(1-20)回目,ステップ10は3(1-11)回目であった。【考察】ベーシックステップの中でも,特にステップ7のように身体を捻る動作や,ステップ9のように横方向への複雑なステップ課題でのステップクリア回数は多くなった。健常成人でも普段は身体を捻ったり,サイドステップを行う機会は少なく日常の活動では行わないことが原因であると考えた。また,複雑なステップであっても,ステップ7とステップ10のように前後の姿勢が異なるだけの同じステップでは,一度,ステップを経験したことが,その後のステップクリア回数に影響を及ぼしている可能性がある。これらのことから,初めは前向きでステップを正確に行い,正しい動きが身体にインプットされたらスピードを上げて敏捷性を向上させ,さらには横向きや身体を捻るステップを取り入れることがラダーの難易度を考慮したプログラムとなると考える。今後は女性や高齢者を対象に実施し,高齢者の転倒予防プログラムとして有用なラダートレーニングを検討したい。【理学療法学研究としての意義】SAQトレーニングは競技スポーツだけでなく,健康づくりにおいても大きな効果が期待され導入が進んでいる。今後,地域包括ケアシステムが推進され,介護予防事業の拡充が考えられるなかで,集団で敏捷性を向上させる転倒予防プログラムの構築は,理学療法学の研究としての意義があると考える。
著者
杉山 統哉 田中 宏太佳 鄭 丞媛 松本 大輔 近藤 克則
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.B3O2093, 2010

【目的】<BR> 脳卒中後の機能回復の予後において社会的サポートのレベルが高いほどActivities of Daily Living (以下ADL)点数が高くなるという報告がある.社会的サポートとは周囲の人々から得られる有形・無形の援助のことであり,家族介護者は社会的サポートの主な提供者の1つである.そこで介護力の有無により自宅退院率だけではなく,脳卒中後の機能回復に影響があるのかどうかを明らかにすることを目的とした.<BR> 日々の臨床においてもリハビリテーション(以下リハ)の対象となる患者は,関わる人が多い場合,帰結が良くなるという印象がある.仮説として特に家族介護者の関わりが多い方がより早く治したい,動けるようになりたいという感情が強くなり,帰結に影響を及ぼしているのではないかと考えた.しかし脳卒中後リハ対象患者において人の関わりがADLにどう影響を及ぼしているかを検討した報告はほとんどない.そこで多施設参加型データベースであるリハビリテーション患者データバンク(リハDB)に登録されている脳卒中患者のデータを使用し,検討したので報告する.<BR>【方法】<BR> 2009年5月までにリハビリテーション患者データバンク(以下リハDB)に登録された3,930名(30病院)のうち入院病棟区分が「一般病棟」の2,238名(19病院)から今回の検討するデータが入力されている9病院から入院時歩行不可である618名(男性365名,女性253名)を対象にした.患者選択基準は「発症前modified Rankin Scale(以下mRS)0~3」,「入院時mRS4・5 」,「55歳以上84歳以下」,「在院日数8日以上60日以下」,「発症後リハビリ開始病日21日以下」,「発症後入院病日7日以下」,以上の基準を満たすものを分析対象とした.対象の内訳は年齢72.4±7.9歳,発症から入院までの日数1.3±0.7日,発症後リハ開始病日2.8±2.8日,在院日数29.1±12.3日,リハ期間26.0±12.3日,1日あたりのリハ単位数(保険請求分)4.0±2.3単位であった.今回の検討は転・退院時の歩行状態が自立か非自立を帰結にした.そこで対象を転・退院時歩行自立294名と歩行非自立324名に分類した.転・退院時の歩行の自立・非自立の定義は入院時のFunctional Independence Measure(以下FIM)とmRSを掛け合わせることで設定した.リハDBのデータ項目の中から転・退院時の歩行状態を予測する因子として性別,年齢,確定脳卒中診断分類(脳梗塞,脳出血,くも膜下出血),在院日数,糖尿病の有無,高血圧の有無,合併症の有無,脳卒中既往歴,発病前mRS,発症後リハ開始病日,認知症の有無,意識レベル,下肢運動,入院時半側空間無視の有無,入院時感覚障害の有無,入院時FIM運動項目合計,入院時FIM認知項目合計,介護力の有無,装具処方の有無,リハ専門医の関与の有無,カンファレンスの実施状況,休日・付加的な訓練の有無,1日あたりのリハ単位数を選択した.上記の項目を独立変数とし,転・退院時の歩行自立・非自立を従属変数としてSPSSver12.0を用いてロジスティック回帰分析を行った.また,有意水準は5%未満とした.<BR>【説明と同意】<BR> 本研究において用いたデータは,リハDBについて説明の上同意した協力施設から,匿名化処理をし個人情報を削除したデータの提供を受けた.<BR>【結果】<BR> 選択した各変数の単変量解析(χ2検定)を行った結果,糖尿病の有無,高血圧の有無,発症後リハ開始病日,装具の処方の有無,カンファレンスの実施状況,1日あたりリハ単位数以外は有意確率0.05以下であった.<BR> ロジスティック回帰分析の結果は性別が「男」,脳卒中確定診断分類のうち「脳梗塞」,脳卒中既往歴「なし」,発症後リハ開始病日が「3日以内」,下肢運動「正常」,感覚障害「正常」,入院時運動・認知項目合計得点が高い,介護力「0~1人」「1人以上」,リハ専門医の関与「あり」が転・退院時の歩行自立が多い因子(p<0.05)であった.判別的中率は87.3%,HosmerとLemeshowの検定ではχ2=4.485(p=0.811)であった.今回の検討項目である介護力の有無に関してのオッズ比は歩行非自立を「1」としたとき,介護力「なし」に対して「0~1人」が7.142(95%信頼区間:1.846~27.625),「1人以上」が7.448(95%信頼区間:1.799~30.832)であった.<BR>【考察】<BR> 入院時の他の条件が同じ患者でも介護力が大きい人ほど歩行自立する確立が高いことが示された.1993年StrokeのGlassらによると高いレベルの社会的サポートは脳卒中後の機能回復に関連し,重要な予後因子であるかもしれないと報告している.今回の結果においても介護力の有無が脳卒中患者における歩行自立の重要な予後因子であるかもしれないということが示唆された.<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 本研究の結果から,急性期脳卒中患者において集約的合理的にリハを行う・予後予測する一助になると考えられる.
著者
行武 大毅 袋布 幸信 永井 宏達 薗田 拓也 山田 実 青山 朋樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Cd0834, 2012

【はじめに、目的】 野球肘の発生は11歳から12歳が,野球肩の発生は15歳から16歳がピークであると言われており,それらの発生要因としては過度の投げ込み,投球フォームなどが報告されている.また,初期の自覚症状である疼痛を見逃さないことが重症化を防ぐうえで重要である.一方で,日本臨床スポーツ医学会の,青少年の障害予防を目的とする提言の中で定められている投球数を超える練習を課しているチームも多数あり,指導者の意識的な面が障害発生に影響を与えていると考えられる.本研究の目的は,1) 京都市内の少年野球チームの選手の保護者や指導者を対象にアンケート調査を行い,少年野球チームにおける肩もしくは肘の疼痛発生に関する実態調査を行うこと,および,2) 学童期野球選手の投球障害発生要因を選手の個人要因や指導者の意識面を含めた環境要因から検討することである.【方法】 アンケート用紙を京都市内の平成23年度宝ヶ池少年野球交流大会参加チーム120チームに配布し,そのうち回答の得られた64チーム(選手の保護者740人,指導責任者58人)を対象とした.選手の内訳は男子714人(96.5%),女子24人(3.2%),性別未記入2人(0.3%)であり,選手の学年は6年生355人(48.0%),5年生286人(38.6%),4年生58人(8.8%),3年生29人(4.9%),2年生9人(1.2%),1年生3人(0.4%)であった.選手の保護者に対するアンケートの内容は選手の学年,性別,身長,体重,野球歴,ポジション,ここ1年での肩もしくは肘の疼痛の有無,自宅での自主練習について,ここ1年間の身長・体重の伸び幅,1日の睡眠時間とした(個人要因).指導者に対するアンケートの内容は年齢,指導歴,年間試合数,週の練習日数,投手の練習での投球数,投手の試合での投球数,投球数制限の知識の有無を含めた障害予防に対する知識・意識についてとした(環境要因).統計解析としては,従属変数をここ1年での肩もしくは肘の疼痛既往者とした多重ロジスティック回帰分析(強制投入法)を行った.階層的に分析するため,第一段階としては独立変数に個人要因のみを投入した.その後第二段階として,環境要因による影響を明らかにするため,両要因を投入した分析を行った.有意水準は5%未満とした.【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には,説明会において口頭で十分な説明を行い,同意を得た.【結果】 解析には,欠損データを除いた選手の保護者531人,指導責任者58人分のデータを用いた.ここ1年での肩もしくは肘の疼痛既往者は210人(28.4%)であり,その内訳は6年生123人(58.6%),5年生69人(32.9%),4年生15人(7.1%),3年生2人(1.0%),2年生1人(0.5%)であった.個人要因を独立変数としたロジスティック回帰分析では,1年間の身長の伸び幅のみが有意な関連要因となり,伸び幅が大きいものほど,疼痛発生のリスクが高かった(オッズ比1.14,95%CI: 1.02-1.26,p<0.05).個人要因に加え,チーム情報や指導者の意識面などの環境要因を加えたロジスティック回帰分析では,1年間の身長の伸び幅(オッズ比1.15,95%CI: 1.02-1.30,p<0.05),および年間試合数が少ないと感じている指導者の率いるチーム(オッズ比1.74,95%CI: 1.11-2.72,p<0.05)の2つが疼痛発生のリスクを高める関連要因となっていた.さらに,判別分析を用いて身長の伸び幅のカットオフ値を求めたところ,6.3cmで疼痛発生者を判別可能であった.【考察】 現在野球肩や野球肘の発生要因には練習時間や練習日数などの環境要因が多数報告されているが,今回の解析により,投球障害に関わりうる数多くの個人要因,環境要因で調整してもなお,1年間の身長の伸び幅が独立して疼痛発生に影響していることが明らかとなった.疼痛発生は野球肩や野球肘の初期の自覚症状であることは報告されており,1年間の身長の伸び幅が大きい成長期(特に6.3cm以上)にある選手には,疼痛発生に対して特に注意を要すると考えられる.また,指導者の年間試合数に対する意見では,チームの年間試合数に対してより多い試合数が望ましいという意見を持っている指導者の率いるチームに,疼痛発生者が多いことが明らかとなった.この結果は,指導者の意識的な面が疼痛発生の一要因として関与している可能性を示唆している.【理学療法学研究としての意義】 本研究により,学童期の障害予防を進めるうえで,指導者に対しての意識面に関する啓発活動が必要である可能性が示唆された.また,身長の伸び幅の大きな選手に疼痛発生のリスクが高いという点はこれまでほとんど報告されてこなかった情報であり,これらに関して理解を得ることが重要となる.今後,この結果をスポーツ現場へ還元することにより,指導者の意識の向上と障害発生率の減少が期待される.
著者
永瀬 外希子 伊橋 光二 井上 京子 神先 秀人 三和 真人 真壁 寿 高橋 俊章 鈴木 克彦 南澤 忠儀 赤塚 清矢
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.G0428, 2008

【目的】理学療法教育において客観的臨床能力試験(OSCE)の中に取り入れた報告は散見されるが、多くは模擬患者として学生を用いている。今回、地域住民による模擬患者(Simulated Patient以下SPと略)の養成に取り組んでいる本学看護学科(山形SP研究会)の協力を得、コミュミケーションスキルの習得を目的とした医療面接授業を実施した。本研究は、効果的な教育方法を検討するために、授業場面を再構成し考察することを目的とする。 <BR>【対象と方法】面接授業は、本学理学療法学科3学年21名を対象とし、臨床実習開始2週間前に行った。山形SP研究会に面接授業の進行と2名のSPを依頼し、膝の前十字靭帯損傷患者(症例A)、脊髄損傷患者(症例B)のシナリオを作成した。事前打合せや試行面接を行い、シナリオを修正しながらより実際の症例に近い想定を試みた。学生に対しては、授業の1週間前に面接の目的、対象症例の疾患名、授業の進行方法についてオリエンテーションを行った。面接授業実施30分前に詳しい患者情報を学生に提示し、4つに分けたグループ内で面接方法戦略を討論する機会を設けた。症例A・BのSPに対し、各グループから選出された学生が代表で10分間の面接を行い、それ以外の学生は観察した。それぞれの面接終了後に、面接した学生の感想を聞き、その面接方法に関して各グループで20分間の討論を行った。この面接からグループ討論までの過程を各症例につき交互に2回ずつ合計4回行い、全体討論としてグループごとに討論内容を発表し合った。最後に、SPおよび指導教員によるフィードバックを行った。<BR>【結果と考察】今回の医療面接の特徴は、第一点が情報収集を目的とするのではなく、受容的、共感的な基本的態度の習得を目的としたこと、第二点はトレーニングを受けている初対面のSPを対象としたこと、第三点は代表者による面接後グループごとに討論する時間を設定したことである。理学療法場面における医療面接では、医学的情報収集が中心となる傾向にある。今回の学習目的は、初対面の患者の話を拝聴し信頼関係を築くこととした。これにより、SPの訴えや思いなどを丁寧に聞いている学生の姿勢が認められた。また、初対面のSPとの面接を導入したことで、より臨場感あふれた状況の中で、学生が適度な緊張感を持って対応している場面が認められた。一巡目の面接では、SPに対して一方的に質問する場面が多くみられたが、二巡目ではSPが答えた内容に対して会話を展開させていく場面が際立った。これは、初回の面接終了後の討論により、面接者自身の反省や第三者の視点から得られた新たな方策を、次の面接に生かすことができたためと推測される。理学療法教育にSP参加型医療面接を導入することは、コミュニケーションスキルの向上を図るうえで有効な教育方法であると考えられる。 <BR>